説明

水処理装置及び水処理方法

【課題】廃水等の液体から多孔質吸着材を用い有害物質を除去する装置において、多孔質吸着材を容器から取り出すことなく、過熱水蒸気を用いて、再生するに際して、短時間で再生処理を行うようにすることを課題とする。
【解決手段】水処理装置として、粒状多孔質の吸着材を内部に保持する容器本体と、処理をする水を容器本体に注入する注入口と、容器本体内の前記多孔質吸着材を通った処理後の水を排出する排出口とを有する、2以上設けられる吸着材保持容器と、前記各容器本体内に水蒸気を導入する水蒸気導入手段と、前記各容器本体内の吸着材の脱水を促進する脱水促進手段とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粒状多孔質の吸着材を用い、排水、廃液、地下水等から有害物質等を付着させて除去する水処理装置及び水処理方法に関し、特に、吸着材から付着した有害物質等を脱離させて再生することが可能なもの関する。
なお、本願において「付着」とはファンデルワールス力により物理的に粒状物表面(表面中に形成されるの穴の内面を含む)に付着している場合と共有結合などにより化学的に粒状物表面に結合して付着している場合の両方が含まれる。また、「脱離」とはいわゆる脱離反応を意味するものではなく、単に粒状物から有害物質または付着物が離れることを意味する。
【背景技術】
【0002】
従来、吸着材により有害物質を吸着させた後、吸着材から有害物質を脱離させることで、吸着材を再生することが行われる。再生過程においは、多くの場合、吸着材は吸着装置から取りされて、専用の工場において再生される。しかし、このようなプロセスで吸着材を取り出し、運搬し、再び使用可能とするには、運搬コストや労力を要するという問題がある。
これに対して、下記特許文献1には、多孔質吸着材である活性炭を反応塔内に入れたフィルターを用い、低沸点のエステル系溶剤を含むガスからエステル系溶剤を除くための装置において、反応塔内に水蒸気を通すことで吸着材を再生することが示されている。また、2塔を設けることで、交互に再生と吸着処理を行うことが示唆されている。このように、処理装置内において、吸着材をそのまま再生することとすれば、吸着材の取り出しや運搬などに必要なコスト、労力を低減することができる。
【特許文献1】特開昭54―35194号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記特許文献1に記載の発明は、吸着材の再生に際して、低沸点のエステル系溶剤を吸着材から取り除くものであるので、水蒸気を通す程度で吸着材を再生することができる。しかし、処理対象が廃水等の場合は、吸着材に吸着する物質が、有機物質、重金属などの陽イオン物質、フッ素等の陰イオン物質などがあり、通常の水蒸気で吸着材から取り除くことは難しい。
一方、このような有機物質や重金属等を取り除く方法として、過熱水蒸気を利用する方法がある。有機物質は過熱水蒸気により、分子量の小さい炭素化合物に分解して取り除かれ、重金属物質等は、過熱水蒸気の凝結により、吸着材の微細な穴から表面側に移動するので、これを水や酸性溶液等により洗い流すことで取り除くことができる。
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の発明のような構成において、単に処理塔に過熱水蒸気を通しても、気体ではない廃水等を通した吸着材の処理には時間がかかってしまうという問題がある。即ち、過熱水蒸気を利用した再生処理においては、過熱水蒸気を通すまえに、排水等により濡れた吸着材の細孔内の水分をある程度脱水しておく必要があるが、これを自然乾燥に任せると多大な時間を要し、複数の処理塔により廃水等の処理と、吸着材の再生処理を交互に行う場合において支障が生じる。
本発明は、このような問題に鑑みて、廃水等の液体から多孔質吸着材を用い有害物質を除去する装置において、多孔質吸着材を容器から取り出すことなく、過熱水蒸気を用いて、再生するに際して、短時間で再生処理を行うようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明は次のような構成を有する。
請求項1に記載の発明は、粒状多孔質の吸着材を内部に保持する容器本体と、処理をする水を容器本体に注入する注入口と、容器本体内の前記多孔質吸着材を通った処理後の水を排出する排出口とを有する、2以上設けられる吸着材保持容器と、前記各容器本体内に水蒸気を導入する水蒸気導入手段と、前記各容器本体内の吸着材の脱水を促進する脱水促進手段とを有する水処理装置である。脱水促進手段としては、後述の請求項2に挙げている高圧気体導入手段や請求項4に挙げている容器加熱手段のほか、容器の外周に複数の微細な穴を設けて容器を回転させ、遠心力で脱水を促進する手段や、容器内を真空又は減圧することにより脱水を促進する手段や、吸着材層を圧縮することで脱水する手段等が例示される。また、これらの複数の手段を組み合わせる場合も含まれる。
【0006】
請求項2に記載の発明は、前記水処理装置において、前記脱水促進手段として、前記各容器本体内に高圧の気体を導入する高圧気体導入手段を有するものである。なお、気体は通常は空気を用いるが、酸化を抑制するために窒素ガスを用いる等、空気以外の気体を用いる場合もある。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の水処理装置において、前記高圧気体導入手段から発生する気体の温度を高くする気体加熱手段が設けられたものである。なお、気体加熱手段は、高圧気体導入手段から排出される気体を加熱する場合のほか、高圧気体導入手段内の気体を加熱する場合や高圧気体導入手段に取り込まれる気体を加熱する場合が含まれる。
【0007】
請求項4に記載の発明は、前記水処理装置において、前記脱水促進手段として、前記各容器本体を加熱する容器加熱手段を有するものである。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の水処理装置において、前記容器加熱手段は、前記容器本体の外面に設けられるバンドヒーターにより構成されるものである。
請求項6に記載の発明は、請求項4に記載の水処理装置において、前記容器加熱手段は、コイル状に巻かれた誘導加熱線により構成され、前記容器本体は前記誘導加熱線により誘導加熱可能な金属により構成される構成されるものである。
請求項7に記載の発明は、請求項4に記載の水処理装置において、前記容器加熱手段は、前記容器本体を内部に収容する外部容器と、外部容器と容器本体との間に加熱液体もしくは加熱気体からなる加熱媒体を流入させる加熱媒体流入手段とを有するものである。なお、加熱気体は、排出される過熱水蒸気を利用することができる。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の水処理装置において、前記加熱液流入手段は、前記加熱媒体と冷却液体もしくは冷却気体からなる冷却媒体を切り替えて流入させることが可能なものである。
【0008】
請求項9に記載の発明は、前記水処理装置において、前記容器本体は、ほぼ垂直に立てられた細長い筒状体により構成されるものである。
請求項10に記載の発明は、前記水処理装置において、前記容器本体は細長い筒状体であって、側面に複数の穴が形成された管体が前記容器本体の筒状体の中心軸を通る位置に設けられ、当該管体は、前記水蒸気導入手段が水蒸気を導入する際の水蒸気噴出口として使用されるものである。
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の水処理装置において、前記脱水促進手段として前記各容器本体内に高圧の気体を導入する高圧気体導入手段を有するものであって、前記管体は前記高圧気体導入手段が気体を導入する際の水蒸気噴出口として使用されるものである。
【0009】
請求項12に記載の発明は、前記水処理装置において、さらに、前記容器本体内に、液体を導入する液体導入手段が設けられたものである。
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の水処理装置において、前記液体導入手段は、前記容器本体の上部から液体を散布するものである。
請求項14に記載の発明は、請求項12又は13に記載の水処理装置において、前記液体導入手段は、2種以上の液体を切り替えて導入することができるものである。
請求項15に記載の発明は、前記水処理装置において、前記吸着材保持容器は前記容器本体の底部分に開閉可能に形成されるドレイン口を有するものである。
請求項16に記載の発明は、前記水処理装置において、前記吸着材保持容器は前記容器本体の内部と外部との各流通口が電気的に操作可能な弁により遮断と開放を切り替えることができるものである。
請求項17に記載の発明は、前記水処理装置において、前記吸着材保持容器は、処理を行う水を通すことで所定物質を前記吸着材に吸着させる水処理過程と、前記容器本体に、水蒸気導入手段により水蒸気を通すことで、吸着材に吸着された所定物質を脱離させる再生処理過程とを繰り返すものであって、少なくとも1以上の吸着材保持容器が水処理過程にあるときに、他の吸着材保持容器が再生処理過程にあるように制御する制御手段が設けられるものである。
【0010】
請求項18に記載の発明は、以下の(101)〜(108)の要件を備える水処理方法である。
(101)粒状多孔質の吸着材を内部に保持する容器本体と、処理する水を容器本体に注入する注入口と、容器本体内の前記多孔質吸着材を通った処理後の水を排出する排出口とを有する、2以上設けられる吸着材保持容器を用いる。
(102)前記各容器本体には過熱水蒸気を導入する水蒸気導入手段が設けられる。
(103)前記各容器本体には内部の吸着材の脱水を促進する脱水促進手段が設けられる。
(104)1以上の吸着材保持容器に処理を行う水を注入口から注入し、容器本体内の吸着材に処理を行う水を接触させて、排出口から排出することで除去対象物質を吸着除去する水処理を行っている間に、他の1以上の吸着材保持容器においては吸着材の再生処理が行われる。
(105)各吸着材保持容器は、2以上の前記水処理と1以上の前記再生処理が行われる。
(106)前記再生処理は、脱水工程と過熱水蒸気工程とを含む。
(107)前記脱水工程では、前記脱水促進手段により吸着材の脱水が促進される。
(108)前記過熱水蒸気工程は、前記水蒸気導入手段により容器本体内に過熱水蒸気を導入することにより行われる。
【0011】
請求項19に記載の発明は、前記水処理方法において前記脱水促進手段は、高圧の気体を導入する高圧気体導入手段を含み、前記脱水工程では、前記高圧気体導入手段により容器本体内に高圧の気体が導入されるものである。
請求項20に記載の発明は、請求項19に記載の水処理方法において、前記過熱水蒸気工程においても、少なくとも一定時間前記高圧気体導入手段により容器本体内に高圧の気体が導入されるものである。
請求項21に記載の発明は、請求項19又は20に記載の水処理方法において、さらに、以下の(201)〜(202)に記載の要件を備えるものである。
(201)前記高圧気体導入手段から発生する気体の温度を高くする気体加熱手段が設けられる。
(202)前記脱水工程において、前記高圧気体導入手段により容器本体内には前記気体加熱手段により加熱された高温高圧の気体が導入される。
【0012】
請求項22に記載の発明は、前記水処理方法において、前記脱水促進手段は、前記容器本体を加熱する容器加熱手段を含み、前記脱水工程において、前記容器加熱手段により容器本体が加熱されるものである。
請求項23に記載の発明は、請求項22に記載の水処理方法において、前記過熱水蒸気工程においても、前記容器加熱手段により容器本体が加熱されるものである。
【0013】
請求項24に記載の発明は、前記水処理方法において、さらに以下の(301)〜(302)の要件を備えるものである。
(301)前記吸着材保持容器は、前記容器本体内に水を散布する水散布手段を有する。
(302)前記過熱水蒸気工程の途中に前記水散布手段により水を1回以上散布する。
請求項25に記載の発明は、請求項18から23のいずれかの水処理方法において、さらに以下の(401)〜(403)の要件を備えるものである。
(401)前記吸着材保持容器は、前記容器本体内に水を散布する水散布手段を有する。
(402)前記再生処理は、前記過熱水蒸気工程の後で、容器本体内が水蒸気雰囲気である間に前記水散布手段により水を散布する水散布工程を有する。
(403)前記再生処理は、前記過熱水蒸気工程の後に水散布工程を行うことを1回以上繰り返す。
【0014】
請求項26に記載の発明は、請求項18から23のいずれかの水処理方法において、さらに以下の(501)〜(502)の要件を備えるものである。
(501)前記吸着材保持容器は、前記容器本体内に酸性溶液又はアルカリ溶液を散布する溶液散布手段を有する。
(502)前記過熱水蒸気工程の途中に前記水散布手段により酸性溶液又はアルカリ溶液を一回以上散布する。
請求項27に記載の発明は、請求項18から23のいずれかの水処理方法において、さらに以下の(601)〜(603)の要件を備えるものである。
(601)前記吸着材保持容器は、前記容器本体内に酸性溶液又はアルカリ溶液を散布する溶液散布手段を有する。
(602)前記再生処理は、前記過熱水蒸気工程の後で、容器本体内が水蒸気雰囲気である間に前記溶液散布手段により酸性溶液又はアルカリ溶液を散布する溶液散布工程を有する。
(603)前記再生処理は、前記過熱水蒸気工程の後に溶液散布工程を行うことを1回以上繰り返す。
【0015】
請求項28に記載の発明は、前記水処理方法において、さらに以下の(701)〜(704)の要件を備えるものである。
(701)前記各容器本体は、底面に設けられた弁体により底面と外部との遮断及び開放の切り替えが可能である。
(702)前記吸着材保持容器は、前記容器本体内に酸性溶液又はアルカリ溶液を散布する溶液散布手段を有する。
(703)前記再生処理は、前記脱水工程の前に、前記容器本体の底面を前記弁体により遮断するとともに、前記溶液散布手段から酸性溶液又はアルカリ溶液を散布することで、前記容器本体内の前記吸着材を浸漬する浸漬工程を有する。
(704)前記再生処理は、前記浸漬工程の後、前記脱水工程の前に前記容器本体の底面を前記弁体により開放して前記酸性溶液又はアルカリ溶液を排出する。
【0016】
請求項29に記載の発明は、前記水処理方法において、さらに、以下の(801)〜(802)の要件を備えるものである。
(801)前記容器本体は、内部の気体を排出する開口を有するとともに、当該開口を遮断及び開放の切り替えが可能である。
(802)前記過熱水蒸気工程の途中で、1以上前記開口を開放し遮断する。
請求項30に記載の発明は、前記水処理方法において、さらに、以下の(901)〜(902)の要件を備えるものである。
(901)前記容器本体は、水蒸気導入手段から水蒸気が導入される部分を除いた隔壁を、気密状態と非気密状態に切り替え可能である。
(902)前記過熱水蒸気工程の少なくとも一定時間において前記容器本体は、前記気密状態に切り替えられる。
【0017】
請求項31に記載の発明は、前記水処理方法において、さらに、以下の(1001)〜(1005)の要件を備えるものである。
(1001)前記脱水促進手段は、高圧の気体を導入する高圧気体導入手段を含む。
(1002)前記各容器本体は、底面に設けられた弁体により底面と外部との遮断及び開放の切り替えが可能である。
(1003)前記吸着材保持容器は、前記容器本体内に水を散布する水散布手段を有する。
(1003)前記再生処理は、過熱水蒸気工程の後に、吸着材を冷却する冷却工程を含む。
(1004)冷却工程では、前記容器本体の底面を前記弁体により遮断するとともに、前記水散布手段から水を散布することで、前記容器本体内の前記吸着材を浸漬する。
(1005)冷却工程では、水に浸漬された吸着材に高圧気体を噴きつけることで吸着材を攪拌する。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、次のような効果を奏する。
請求項1に記載の発明は、吸着材を取り出すことなく、水蒸気により吸着材を再生することができる水処理装置において、容器本体の吸着材の脱水を促進する脱水促進手段を設けたので、濡れた吸着材に対して、迅速に吸着材を脱水することができ、結果として吸着材の再生時間を短くすることができる。
請求項2に記載の発明は、前記脱水促進手段として、前記各容器本体内に高圧の気体を導入する高圧気体導入手段を有するので、粒状の吸着材のそれぞれに気体を通すことで比較的均等に脱水でき、また、気体の温度を変えることで、吸着材の加熱や冷却を行うこともできる。
請求項3に記載の発明は、高圧気体導入手段から発生する気体の温度を高くすることができるので、吸着材の脱水をより促進することができる。
【0019】
請求項4に記載の発明は、前記脱水促進手段として、前記各容器本体を加熱する容器加熱手段を有するので、吸着材に物理的な付加を与えることなく脱水でき、また、吸着材の加熱を行う際にも利用することができる。
請求項5に記載の発明は、容器加熱手段をバンドヒーター容器の外表面に均一に沿わせることができ、容器外表面を均一に加熱することができる。
請求項6に記載の発明は、誘導加熱コイルによる加熱手段を設け、容器本体を誘導加熱コイルで誘導加熱可能な金属とすることで、容器全体を均一に加熱することができる。
請求項7に記載の発明は、容器加熱手段として、容器本体の外周面に加熱媒体を流入させるので、やはり、容器外表面を均一に加熱することができる。
請求項8に記載の発明は、加熱媒体と冷却媒体とを切り替えることができるので、容器を必要に応じて冷却することができる。
【0020】
請求項9に記載の発明は、容器本体をほぼ垂直に立てられた筒状体とすることで、通水時において効率よく吸着材と反応させることができる。
請求項10、11に記載の発明は、細長い筒状態の中心軸を通る管体の側面に設けられた穴から水蒸気や気体を噴出するので、水蒸気や気体を比較的均等に容器本体内に行き渡らせることができる。
請求項12に記載の発明は、前記容器本体内に液体導入手段が設けられることで、吸着材の再生の際に、吸着材に水やアルカリ溶液、酸性溶液などを作用させることができる。
請求項13に記載の発明は、上部から液体を散布するので、液体が下方に自然に流れるので、容器本体内の吸着材に容易に液体を接触させることができる。
請求項14に記載の発明は、2種以上の液体を切り替えて導入することができるので、例えば、吸着材にアルカリ溶液を散布した後に、水で洗浄するといった、作用させる液体を複数組み合わせることができる。
【0021】
請求項15に記載の底に開閉可能に形成されるドレイン口を有することで、濡れた吸着材から水分を排出したり、溶液などを作用させる際に溶液を溜め、その後、排出するといった操作を行うことができる。
請求項16に記載の発明は、電気的に操作可能な弁により容器本体内部に外部との流通口が遮断し開放するので、外部からの操作もしくは制御装置によるプログラムにより流通口の開閉を行うことができる。
請求項17に記載の発明は、複数の吸着材保持容器により水処理過程と吸着材の再生過程が自動的に繰り返されるので、吸着材の吸着力を維持しつつ長時間の水処理を行うことができる。
【0022】
請求項18に記載の発明は、水処理を行っている吸着材保持容器と、吸着材の再生を行っている吸着材保持容器が適宜入れ替わりながら処理が進められるので、吸着材を取り出すことなく、水処理に際して吸着材は常に再生処理後のものを使用することができる。そして、再生処理の脱水工程において濡れた吸着材が脱水促進手段により脱水が促進されることにより、再生処理を短時間で行わせることができ、再生処理と水処理とのサイクルを短縮することができる。
請求項19に記載の発明は、高圧の気体により脱水を促進するので、吸着材に大きな負荷を与えることなく、各吸着材粒に対して比較的均等に脱水を促進させることができる。
請求項20に記載の発明は、過熱水蒸気工程において、過熱水蒸気とともに高圧の気体を導入することで、吸着材を攪拌し、また、過熱水蒸気をより均一に容器内に行き渡らせることができる。
請求項21に記載の発明は、高圧の気体を加熱することで、吸着材の脱水をより早めることができる。
【0023】
請求項22に記載の発明は、脱水工程において、容器本体を加熱することで、吸着材に物理的な負荷を掛けることなく脱水を進行させることができる。
請求項23に記載の発明は、過熱水蒸気工程において、容器本体を加熱することで、過熱水蒸気ととともに、吸着材を効率よく加熱することができる。
【0024】
請求項24に記載の発明は、過熱水蒸気工程の途中で1回以上水を散布することで、吸着材の内部と外表面との間に温度差を生じさせ、これにより、吸着物の細孔内部の陰イオン物質、陽イオン物質を表面側に移動させることができる。
請求項25に記載の発明は、過熱水蒸気工程の後、水蒸気雰囲気内で水を散布することで、やはり吸着材の内部と外表面との間に温度差を生じさせ、これにより、吸着物の細孔内部の陰イオン物質、陽イオン物質を表面側に移動させることができる。
【0025】
請求項26に記載の発明は、過熱水蒸気工程の途中で酸性溶液もしくはアルカリ溶液を散布することで、吸着材の内部と外表面との間に温度差を生じさせ、これにより、吸着物の細孔内部の陰イオン物質、陽イオン物質を表面側に移動させることができるとともに、酸性溶液もしくはアルカリ溶液により陰イオン物質や陽イオン物質を溶かすことができる。
請求項27に記載の発明は、過熱水蒸気工程の後、水蒸気雰囲気内で酸性溶液もしくはアルカリ溶液を散布することで、やはり吸着材の内部と外表面との間に温度差を生じさせ、これにより、吸着物の細孔内部の陰イオン物質、陽イオン物質を表面側に移動させることができるとともに酸性溶液もしくはアルカリ溶液により陰イオン物質や陽イオン物質を溶かすことができる。
【0026】
請求項28に記載の発明は、脱水工程の前に吸着材をアルカリ溶液もしくは酸性溶液に浸漬させることで、吸着材の細孔内部に存する陽イオン物質や陰イオン物質を過熱水蒸気工程において脱離しやすい状態とすることができる。
請求項29に記載の発明は、過熱水蒸気工程の途中で、容器本体から気体を排出する開口を遮断し開放することで、容器本体内の圧力を上げ下げすることで、過熱水蒸気の対流を加速して容器内で対流をおこすことで、より迅速に過熱水蒸気を容器内に充満させることができる。
【0027】
請求項30に記載の発明は、過熱水蒸気工程において気密状態とすることで、容器本体内の圧力を上昇させることで、より迅速に容器本体内を高温にすることができる。
請求項31に記載の発明は、吸着材を水に浸漬し、さらに、高圧の気体を噴射することで、水中で吸着材が攪拌され、迅速に吸着材を冷却できるとともに、吸着材細孔内部の空気の排出を促進することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
(1)水処理装置の構成
図1に本実施形態に係る水処理装置Xの概要を表す模式図を示す。
水処理装置Xは2つの吸着材保持容器A、Bと、これらと接続される構成要素とから構成される。吸着材保持容器A、Bは2つの上下面が閉じられた円筒状の容器10、20を並列に配し、上部で側面に連結管19で連結した構成を有する。容器10は、容器本体11、気体噴出管12、容器加熱装置13、液体噴出ヘッド14、原水注入口15、気体導入口16、気体排出口17、ドレイン口18を有する。容器本体11は、金属製の上下面が塞がれた円筒体からなり、多孔質吸着材Rを内部に保持する。気体噴出管12は、容器本体11の軸芯を通る管体であって、側面に多数の穴が設けられる。容器加熱装置13は、容器本体11が内部に収容できる円筒体からなる外部容器13bと、本体11の外周に設けられ外部容器13a内に収容されるバンドヒーター13aとから構成される。液体噴出ヘッド14は、容器本体11の内部上端に設けられる下方側に複数の穴が設けられるリング状の管体からなる。原水注入口15は、容器本体11の底面から内部に連通する原水を注入する注入口である。なお、ここで処理対象となる有害物質等を含有する地下水および排水・廃液を「原水」と呼ぶものとする。気体導入口16は、気体噴出ヘッド12に対して気体を導入する。気体排出口17は、容器本体11の上面と外部と連通させる気体を排出するための開口である。ドレイン口18は、容器本体11の底面から液体を排出させるための開口である。
【0029】
図2に図1のP−P断面図を示す。図に示すように容器本体11内は、スリットが入った縦方向に延びる仕切11aが四方に設けられている。図3に気体噴出ヘッド12の一部破断斜視図を示す。気体噴出ヘッド12は側方に複数の穴12aが設けられるとともに、穴12aを覆うように金網による筒体12bによりカバーされている。また、気体噴出ヘッド12の底面は開放しているが、内部に雌ねじが形成されており、必要に応じて、この雌ねじ部分に係合する雄ねじ12cを係合させることで密閉することができるようになっている。
容器20は容器10とほぼ同様の構成であり、容器10と同様の容器本体21、気体噴出ヘッド22、外部容器23bとバンドヒーター23aとからなる容器加熱装置23、液体噴出ヘッド24、気体導入口26、気体排出口27、ドレイン口28を有する。容器20の容器10との相違点は、原水注入口15がなく、代わりに、容器本体20の底面に設けられる原水を排出する原水排出口29が設けられている点である。
なお、容器10及び容器20において、容器本体21と外部と連通する原水注入口15、気体導入口16、26、気体排出口17、27、ドレイン口18、28、原水排出口29には、それぞれ電気弁からなる原水注入口弁15a、気体導入口弁16a、26a、気体排出口弁17a、27a、ドレイン口弁18a、28a、原水排出口弁29aが設けられている。
【0030】
水処理装置Xは2つの吸着材保持容器A、B以外の構成として次のようなものを有する。
まず、原水を吸着材保持容器A、Bに送る構成として、原水を蓄積しポンプで吸着材保持容器A、Bに送る原水層31、原水槽31と原水注入口15とを連結する原水パイプ32、原水排出口29と原水槽31とを連結し、排水を原水槽31に戻す還流パイプ33、還流パイプ33の遮断開放を行う還流パイプ弁33a、還流パイプ33の途中に設けられる図示しない放流槽に連結する放流口34、放流口34の遮断開放を行う放流口弁34aとが設けられる。
【0031】
さらに、気体を吸着材保持容器A、Bに導入する構成として、飽和水蒸気を発生する飽和水蒸気発生装置41、飽和水蒸気発生装置41を加熱し、400〜500℃程度の過熱水蒸気を発生する過熱水蒸気発生装置42、過熱水蒸気発生装置42から発生する過熱水蒸気を気体導入口16、26に導く第1気体パイプ43、過熱水蒸気発生装置42と第1気体パイプ43との連通を遮断し開放する水蒸気連通弁43a、空気を送るエアコンプレッサー44、エアコンプレッサー44から排出する空気を加熱する気体加熱ヒーター45、気体加熱ヒーター45により加熱された空気を第1気体パイプに導く第2気体パイプ46、第2気体パイプの連通を遮断し開放する空気連通弁46aが設けられる。飽和水蒸気発生装置41は、余剰蒸気を発生する工場のボイラーやコージェネレーションシステムを用いることができる。加熱水蒸気発生装置42は、飽和水蒸気を細いIH誘導伝熱管内で無酸素状態のまま誘導加熱するものであり、過熱水蒸気量が35Kg/hで500℃の過熱水蒸気温度の場合を例にとると、消費電力量は約7kW程度と小さな電力で稼動することができるものである。
【0032】
液体を吸着材保持容器A、Bに導入する構成として、水を貯める水タンク51、水タンクの水51を送り出すポンプ52、酸性溶液もしくはアルカリ溶液を溜める溶液タンク53、溶液タンク53の溶液を送り出すポンプ54、水タンク51の水又は溶液タンク53の溶液を液体散布ヘッド14、24に送る液体パイプ56、液体パイプ56から各液体散布ヘッド14、24への連通を遮断し開放する液体散布ヘッド弁56a、ポンプ52、ポンプ52から液体パイプ54へ至る連通を切り替える三方弁55とが設けられる。
なお、水処理装置Xのポンプ、弁体、過熱水蒸気発生装置、飽和水蒸気発生装置、エアコンプレッサー、気体加熱ヒーター、容器加熱装置等は図示しない制御装置により制御されている。そして、制御手段には、吸着材保持容器Aと吸着材保持容器Bとが、交互に水処理と吸着材の再生処理が行われるようにプログラムされている。
【0033】
次に、以上のような構成を有する水処理装置Xの使用方法について説明する。水処理装置Xは、同一の構成を有する吸着材保持容器A、Bを有することにより、一方の吸着材保持容器で水を処理し、同時に、他方の吸着材保持容器は多孔質吸着材の再生処理を行うことができる。また、使用する多孔質吸着材を変えることで、異なる原水を処理することができる。以下に、多孔質吸着材として活性炭粒を用いて有機物質を吸着除去する場合と、多孔質吸着材として活性アルミナを主成分とする無機多孔質吸着材(以下「アルミナ吸着材」という)を用いて、リン酸イオンを除去する場合とについて、水処理装置Xの使用方法を述べる。
【0034】
(2)活性炭粒による有機物除去
活性炭粒により有機物を吸着し、その後、飽和した活性炭粒を再生する工程について以下に説明する。なお、吸着材保持容器A、Bの容器本体11、22に付着または吸着作用のある多孔質体を含む粒状物である活性炭粒が一定量投入されおり、処理を行う原水として有機物を含有する食品排水が原水槽31に貯められているものとする。吸着材保持容器A、Bは、同じ処理が交互に繰り返されるので、ここでは、吸着材保持容器Aの動作について説明する。なお、特に説明のない箇所の弁体は閉じているものとする。
まず、原水を吸着材保持容器Aに通すために、吸着材保持容器Aの原水注入弁15aと原水排出口弁29aを開き、吸着材保持容器Bの原水注入弁15aを閉じた状態で、原水槽31からポンプにより原水を容器本体11に注入する。これにより、有機物を含有する食品排水の原水が吸着材保持容器Aの容器本体11、21内の活性炭粒層を通ると、ろ過効果と同様な原理で活性炭と通水接触することで活性炭の吸着作用または付着作用で原水中の有機成分が活性炭の細孔内部に捕捉され原水中の有機物が除去され浄化される。浄化された原水は、吸着材保持容器Aの原水排出口29から排出され、還流パイプ弁33aが閉じられるとともに、放流口弁34aが開くことにより図示しない放流槽へ放流される。一定時間、原水の処理が行われると、吸着材保持容器Aへの原水の注入は停止し、吸着材保持容器Bへの原水の注入が切り替わる。原水が吸着材保持容器Bで処理される間、吸着材保持容器Aへの通水は一時的に終了し休止状態となっている。
【0035】
この休止状態になった吸着材保持容器Aに対して、活性炭の再生処理が行われる。まず、吸着材保持容器Aに高温高圧の空気を送り込み、吸着材を脱水する。具体的には、空気連通弁46a、吸着材保持容器Aの気体導入口弁16a、26a、ドレイン口弁18a、28aを開いた状態とし、エアコンプレッサー44から高圧の空気を供給する。この高圧の空気は気体加熱ヒーター45により110℃以上に加熱される。ここでは、300℃に加熱するものとする。この高温高圧の空気は、第2気体パイプ46、第1気体パイプ43を通って、吸着材保持容器Aの容器本体11、21の気体導入口16、26を経て、気体噴出ヘッド12、22から吸着材層に噴射される。また、空気の噴射と同時に、吸着材保持容器Aの容器加熱装置13、23のバンドヒーター13a、23aを作動させて容器本体11、21を110℃以上に加熱する。
活性炭は原水が通水され有機物が活性炭細孔内部に吸着または付着した状態であり、全体的に水分を含有しているが、ここに、容器加熱装置13、23により加熱された容器本体11、21内に高温高圧の空気が噴射されることで、活性炭表面または細孔内部の水分が乾燥蒸発し、また、活性炭表面の水滴が噴射される空気により吹き飛ばされる。また、高温高圧の空気によって飛ばされた水分はドレイン口18、28から排出される。このような作用により、活性炭は乾燥状態に近い状態になる。一定時間高温高圧の空気を流入させ活性炭の脱水が完了すると、ドレイン口18、28を閉めて、気体排出口弁17a、27aを開け、水分を含んだ空気を外部に排出する。
【0036】
次に、吸着材保持容器Aに過熱水蒸気を送り込み、活性炭に付着した有機物を脱離させる。高温高圧の空気により活性炭の脱水が完了した後、水蒸気連通弁43aを開いて、飽和水蒸気発生装置41、過熱水蒸気発生装置42から400℃程度の過熱水蒸気を送る。なお、活性炭を脱水する工程の間に、飽和水蒸気発生装置41、過熱水蒸気発生装置42は予備運転をしておくことで、過熱水蒸気を予備過熱状態としておく。過熱水蒸気発生装置42から送られる過熱水蒸気は第1気体パイプ43を通って、吸着材保持容器Aの容器本体11、21の気体導入口16、26を経て、気体噴出ヘッド12、22から吸着材層に噴射される。なお、気体噴射ヘッド12、22に至るまでに、100℃程度過熱水蒸気の温度は下がるので、気体噴射ヘッドからは300℃程度の過熱水蒸気が噴射される。また、空気連通弁46aは一定期間空けておき、過熱水蒸気とともに高温高圧の空気を流入させ、さらに、気体排出口弁17a、27aを一定時間間隔で開閉させる。これにより、過熱水蒸気が効率よく攪拌され、底面から上面へ向う対流を起こすことができる。また、吸着材保持容器Aの容器加熱装置13、23のバンドヒーター13a、23aを作動させて容器本体11、21を加熱する。
【0037】
過熱水蒸気は水分量が非常に少なく・非常に早い伝熱速度を持つ(飽和水蒸気の10倍以上)。さらに、飽和水蒸気に比べ数倍以上の高いエンタルピー(KJ/Kg)を有し、体積も2倍程度大きく、蒸気量が1Kgで約3.5m以上の体積を有する。このような特徴を有する過熱水蒸気が容器本体11、21内に充満すると高温高圧の空気で脱水された活性炭をさらに乾燥させる。その後、バンドヒーター13a、23aにより容器本体11、21の内部の温度が120℃以上になり、容器本体11、21内部が過熱水蒸気で充満したら、気体排出口弁17aと27aを閉めて容器本体11、21内を密封状態とする。
この状態でさらに過熱水蒸気を流入させ続けると、バンドヒーター13a、23aによる外部から加熱の作用と相まって、容器本体11、21内の圧力が上昇して容器本体11、21内部は圧力釜のような状態に近づき、数分程度の短時間で容器本体11、21内部の温度は流入している過熱水蒸気温度近傍にまで達する。
この状態になると、容器本体11、21内に充填されている活性炭表面および細孔内部は無酸素状態で過熱水蒸気の温度にまで達しているため活性炭に吸着または付着している有機物は完全に熱分解されガス化してしまう。
発生したガスは、気体排出口弁17a、27aを一定時間ごとに開閉することで、気体排出口17、27から効率的に外部に放出することができ、また、排出されたガスを収集し、図示しない加熱管などで再加熱処理することで最終的にはCO2(二酸化炭素)まで分解でき、大気中に放出するこ とができる。
【0038】
最後に、活性炭を水で冷却洗浄して処理を終了する。具体的には、気体排出口弁17a、27aのみを開けた状態で、三方弁55を水タンク51と液体パイプ56が連通するように切り替え、吸着材保持容器Aの液体散布ヘッド17、27側につながる液体散布ヘッド弁56aを開いて、ポンプ52を作動させて水タンク51の水を液体パイプ56を介して液体散布ヘッド17、27から容器本体11、21内に散布する。散布された水は容器本体11、21内に溜まり、内部の活性炭を浸漬する。浸漬後、空気連通弁46aを空けてエアコンプレッサー44から常温の空気を噴射させる。これにより高温になっている再生された活性炭は攪拌されながら冷却されるとともに、洗浄される。その後、ドレイン口弁18a、28aを開くことで、ドレイン口18、28から水を排出し、処理が完了する。
【0039】
以上のような方法で、再生した活性炭は、吸着性能の低下や物理的な欠損がほとんど生じない。下記表1に、活性炭の吸着性能に関して、上記の方法により再生した活性炭の耐久及び性能試験結果を示す。この表は、再生活性炭の評価項目であるTOC吸着性能の再生回数ごと変化を示している。
【表1】

この表からわかるように、再生した活性炭の実排水を用いたTOC吸着性能は、新品活性炭性能以上の能力があることがわかった。
【0040】
また、表2に、活性炭の物理的な欠損に関して、上記の方法により再生した活性炭の耐久試験結果を示す。この表は、上記の方法で10回再生した活性炭と新品の活性炭のヨウ素吸着性能、比表面積、全細孔容積、平均細孔径を示したものである。
【表2】


この表からわかるように、上記方法で再生された活性炭は、ヨウ素吸着性能、比表面積、全細孔容積に関して、新品活性炭性能と遜色がないことがわかった。
これは、従来の回転式キルン炉を用いた活性炭の再生方法と比較すると、著しいものであることがわかる。図4に、新品の活性炭、従来の方法で再生した活性炭、上記の方法で再生した活性炭のヨウ素吸着性能を比較したグラフを示す。従来の回転型のキルン炉を用いた活性炭再生処理では、活性炭の吸着性能はデータに示すように新品と比べ30%以上劣化しており、本方法に比べて著しく劣ることがわかる。本方法で品質劣化がほとんど生じないのは、酸素含有量の少ない過熱水蒸気の特性により、無酸素状態に近い雰囲気中で、熱分解脱離を行うため、活性炭を酸化または炭化させることがないことによるものと考えられる。
【0041】
図5に、従来の方法で再生した活性炭及び上記の方法で再生した活性炭の重量損失率を比較したグラフを示す。図からわかるように、従来のキルン炉を用いた再生方法では、約35%程度の重量損失がでているが、本方法では、0.1%未満であり、ほとんど損失は生じていない。これは、従来の方法は、高温で活性炭を回転攪拌させるものであるので、高温によりもろくなった活性炭が、回転炉の回転攪拌によって衝突し合うことで、重量損失が生じることが原因であると考えられる。一方、本方法では、衝突やぶつかりが起こらないため、衝撃等による損出がほとんど生じないものと考えられる。
このように、従来に活性炭の再生方法では吸着性能が30%以上減少し、再生活性炭量も35%以上減少しているため、再生活性炭を再使用する場合でも新品の活性炭を約40%以上混合する必要があり、再生した活性炭の再生コストと新品の活性炭のコストを考えると、再生活性炭を使用する経済的なメリットは約10%以下のコストダウンしか達成できなかったが、本方法は性能劣化と物理的な損出がほぼないため新たな活性炭の購入や補給が不要である。さらに、従来の再生方法では、一度、活性炭を取り出してから再生処理を行うための人件費、運搬コスト、再生コストなどが発生していたが、本方法では活性炭を取り出すことなく再生できるので、この部分にもコストダウンが図られるので、全体として大幅なコストダウンをすることができる。
また、従来は、活性炭の再生に大きなコストと労力がかかることから、通常の活性炭による排水処理では後段の薄い有機排水処理が主であったが、本発明では活性炭を取り出す必要なく、1パス後の通水処理後でも容易かつ迅速に自動再生処理ができるため、今まではありえなかった1パス通水ですぐに飽和して使えなくなる高濃度有機排水処理を、自動再生を繰り返すことで、実現することが可能となる。
【0042】
(3)アルミナ吸着材によるイオン物質除去
次に、活性アルミナを主成分とする多孔質無機吸着材による重金属イオン等の陽イオン物質もしくは陰イオン物質の吸着処理方法と当該吸着材の脱離再生処理方法について説明する。ここでは、陰イオンであるトータルリンについての排水処理方法と脱離再生方法について述べる。ここでも、吸着材保持容器A、Bは、同じ処理が交互に繰り返されるので、ここでは、吸着材保持容器Aの動作について説明する。また、やはり特に説明のない箇所の弁体は閉じているものとする。なお、吸着材保持容器A、Bの容器本体11、22には粒状の活性アルミナを主成分とする多孔質無機吸着材付着が一定量投入されおり、処理を行う原水としてリン酸イオンを含有する無電解めっき排水が原水槽31に貯められ、溶液タンク52には希薄なアルカリ溶液が貯められているものとする。
【0043】
まず、吸着処理の工程は、前述した活性炭による有機物の吸着処理とほぼ同様であり、吸着材保持容器Aに原水槽31からポンプにより原水を注入し、容器本体11、21内の吸着材層を通す。これよりをリン酸イオン含有する無電解めっき排水の原水が多孔質無機吸着材と接触すると、アルミナ吸着材が持つファンデルワールス力により陰イオンであるリン酸イオンが引きつけられ吸着材の細孔内部に吸着され、陰イオンであるリン酸イオンが無電解めっき排水中から除去処理される。一定時間、原水の処理が行われると、吸着材保持容器Aへの原水の注入は停止し、吸着材保持容器Bへの原水の注入が切り替わり、吸着材保持容器Aに関しては吸着材の再生処理に移る。
【0044】
まず、吸着材をアルカリ溶液に浸漬させる。具体的には、気体排出口弁17a、27aのみを開けた状態で、三方弁55を溶液タンク54と液体パイプ56が連通するように切り替え、吸着材保持容器Aの液体散布ヘッド17、27側につながる液体散布ヘッド弁56aを開いて、ポンプ54を作動させて溶液タンク53のアルカリ溶液を液体パイプ56を介して液体散布ヘッド17、27から容器本体11、21内に散布する。散布されたアルカリ溶液は容器本体11、21内に溜まり、内部の吸着材を浸漬する。一定時間浸漬することにより、吸着材の細孔内部にアルカリ液が浸漬し細孔内部に吸着されたリン酸イオンはアルカリ液の溶解作用で細孔内部の内面から剥がれる状態となる。一定時間浸漬をしたら、ドレイン口弁18a、28aを開いてアルカリ溶液を排出する。
【0045】
浸漬により吸着材は濡れた状態となっているので、次に、上記活性炭の再生処理と同様に高圧の空気を通すことで吸着材の脱水処理を行う。ただし、ここでは、高圧の空気を気体加熱ヒーター45により加熱することなく室温により乾燥させる。高圧の空気を加熱しないのは、吸着材の温度を低い状態に維持し、後述の水蒸気の凝結を効果的に行わせるためである。この高圧の空気により濡れた状態となっている吸着材の水分を飛ばす脱水処理を一定時間行った後、高圧の空気を止める。
【0046】
次に、上記の処理の間に予備加熱していた過熱水蒸気発生源装置から過熱水蒸気を吸着材保持容器Aに送り込む。手順は、空気連通弁46aを閉じ、水蒸気連通弁43aを開いて、飽和水蒸気発生装置41、過熱水蒸気発生装置42から過熱水蒸気を送ることで、過熱水蒸気は第1気体パイプ43を通って、吸着材保持容器Aの容器本体11、21の気体導入口16、26を経て、気体噴出ヘッド12、22から吸着材層に噴射される。ここでは、過熱水蒸気発生装置42から発生する過熱水蒸気は500℃程度とし、容器本体1121内には400℃程度の過熱水蒸気が送られるようにする。なお、空気連通弁46aは一定期間空けておき、過熱水蒸気とともに高圧の空気を流入させ、さらに、気体排出口弁17a、27aを一定時間間隔で開閉させる。容器本体11、21内に400℃程度の過熱水蒸気が送られると、過熱水蒸気は吸着材層全体にほぼ均一に行き渡り、各吸着材層を構成する粒状体に接触すると、各粒状体はほぼ室温と同程度の温度なので、すぐに過熱水蒸気が凝結現象を起こし吸着材の外表面のみならず細孔内部にも水滴が生じる。その後、一定時間以上過熱水蒸気を送り続けると、吸着材内部への伝熱により細孔内部の温度が上昇し、細孔内部に凝結した水が水蒸気として細孔内部から外部に放出される。この際、一部のリン酸イオンは細孔内部から吸着材表面に運ばれる。さらに過熱水蒸気を送り続けると水蒸気が容器本体11、21内部の内圧が上昇するので、気体排気弁17a、27aを開けて水蒸気を大気中に放出する。なお、過熱水蒸気により吸着材全体が乾燥領域に入る状態に近づくと粒状物の表面および細孔内部の温度は110℃以上に達していると考えられる。なお、過熱水蒸気の照射時間は2分程度が適当である。これは、図6に示す過熱水蒸気の照射時間と、リン酸イオンの脱離率および重量損失率を示すグラフから、過熱水蒸気の連続照射時間が約2分以上はほぼ同じ脱離率であり、時間の経過とともに損失率が増加する傾向にあるからである。
【0047】
この状態で、ドレイン口弁18aと28aを開放し、三方弁55を水タンク52と液体パイプ56が連通するように切り替え、ポンプ52を作動させて水タンク52の水を液体パイプ56を介して液体散布ヘッド17、27から少量だけ容器本体11、21内に散布する。これにより、吸着材の表面が水洗され表面の温度は著しく低下するが細孔内部までは少量の水洗では著しくは低下しない。即ち、吸着材の細孔内部の温度はまだ高く、表面温度は低い状態になることで吸着材の細孔内部から表面への熱拡散が起こり、細孔内部に残存するリン酸イオンが熱拡散で粒状物の表面に移動拡散する。このように細孔内部の水分が水蒸気として外部に放出する際にリン酸イオンが細孔内部から粒状物表面に運ばれる現象と、この熱拡散の現象との複合現作用によりリン酸イオンを細孔内部から表面に脱離させることができる。このようにリン酸イオンを吸着材表面に脱離させた状態で再度水を同様に散布すると水にリン酸イオンが含有し、粒状物表面から取り出すことができる。
【0048】
以上の操作を繰り返すことで、リン酸イオンを吸着材より脱離することができる。図7に、水蒸気の照射時間を一定として、サイクル数に応じたリン酸イオンの脱離率と重量損失率の関係を表したグラフを示す。図から処理を繰り返すほど脱離率が上がることがわかる。一方、サイクル数が増えると重量損失率も増えるので、3サイクル程度が適当である。これにより、リン酸イオンの脱離率を70%以上、重量損失率は2%未満を実現でき、実用的には問題がない。なお、重量損失は、処理の最初にアルカリ溶液に吸着材を浸漬することの影響も大きいと考えられるが、本方法では、浸漬により細孔内部に存するアルカリ溶液は過熱水蒸気の凝結作用で希釈され、アルカリ液による細孔内部での溶解進行が抑えられるので、重量損失は微少に抑えられていると考えられる。
【0049】
即ち、本吸着材の再生処理は、3サイクルの過熱水蒸気処理と水洗処理を行った場合においても約9分以内の短時間で約70%脱離率を得られ、必要なエネルギー量の少ない効率のよい脱離方法であるといえる。さらに、容器本体11、21を加熱しなくてもよいので、この点でもエネルギーコストも削減することができる。
上記の方法は、やはり、吸着材を交換することなく吸着材の再生が可能であるので、入れ替え作業、運搬作業等の労力、コストを低減できる。また、従来は、高濃度排水を1パスで通水した場合はすぐに飽和するために、高濃度排水に対してアルミナ吸着材による水処理は困難であったが、上述の方法によれば、短時間で再生することができるので、今までは処理ができなかった高濃度排水への処理も可能になる。
尚、上記の説明では陰イオンであるリン酸イオンを用いて説明したが、他の陰イオン物質や重金属等の陽イオン物質の脱離再生においても使用すること可能である。この場合、吸着する物質の特性において、浸漬する溶液を希薄な酸とするかアルカリ液とするかを選択することとなる。図8に、上記の方法を用いて各種のイオン物質を吸着後再生処理したときのアルミナ質吸着材の吸着率を示す。図からも、種々のイオン物質に対して本方法は有効であることがわかる。
【0050】
(4)補足
上記実施形態では、尚、吸着材保持容器A、Bの2つの処理ラインを例示したが、通常は4以上の処理ラインで用いることが多い。即ち、複数のラインが多いほど再度同一ラインまで繰返されるタイムラグが多く発生し、休止時間を長くすることができるので、この休止時間を利用して再生処理工程を余裕もって行うことができる。
【0051】
また、本発明に係る水処理装置Xは上述のように活性炭による有機物の吸着処理や、アルミナ吸着材による陰イオン及び陽イオン物質の吸着処理のいずれにも使用できるが、容器本体11、21の加熱を行うバンドヒーターは原則として有機物を吸着した活性炭の再生処理のみに使用される。これは、陰イオン物質などが付着したアルミナ吸着材の再生はアルミナ吸着材の外部と内部とに温度差を生じさせることが必要であり、あまり温度を上げると再生処理に支障が生じるためであり、逆に容器の温度を下げる方が再生処理を促進することができる。そこで、図9に示すように容器本体11(21)を内部に収容する外部容器13cを設け、外部容器13cと内部容器11(21)の間に温度の異なる液体を流入させるようにしてもよい。具体的には、外部容器13cと内部容器11(21)との隙間に、連通する流路13fを設け、流路13fにヒーターにより加熱されるシリコンオイルを保持するシリコンオイルタンク13dと、冷却水タンク13eとを連結し、シリコンオイルタンク13dから流路13fに至る間に正逆運転可能なポンプ13daと電気弁13dbを設け、同様に、冷却タンク13eから流路13fに至る間に正逆運転可能なポンプ13eaと電気弁13ebを設ける。また、外部容器13cの外周面にはバンドヒーター13gが設けられている。このような構成により、容器本体11(21)を加熱する際には、電気弁13dbを開いてポンプ13daをシリコンオイルが容器本体11(21)方向に流入するよう作動させ、加熱したシリコンオイルを外部容器13cと内部容器11(21)との間に充満させる。この際、外部容器13cの外周面に設けられるバンドヒーター13gも作動させる。これにより容器本体11(21)内部が均等に加熱される。加熱が完了したら、ポンプ13daを逆に作動させることでシリコンオイルタンク13d内にシリコンオイルを戻す。容器本体11(21)を冷却する際には、電気弁13ebを開いてポンプ13eaを冷却水が容器方向に流入するよう作動させ、冷却水を外部容器13cと内部容器11(21)との間に充満させる。この際、外部容器13cの外周面に設けられるバンドヒーター13gは停止しておく。これにより容器本体11(21)内部が均等に冷却される。冷却が完了したら、ポンプ13eaを逆に作動させることで冷却水タンク13e内に冷却水を戻す。このような構成により、必要に応じて容器本体11(21)を加熱したり冷却したりすることができる。
【0052】
なお、図9に示すものは、外部容器13cと内部容器11(21)との間に、加熱に際しては加熱したシリコンオイルを流し、冷却に際しては冷却水を流したが、これらを気体にすることもできる。例えば、加熱に際しては、容器本体内部に流入した過熱水蒸気を用いることができる。即ち、容器本体内部に流入した過熱水蒸気は空気排出口弁から排出されるが、この過熱水蒸気温度は、高温であるので、配管を設けて外部容器13cと容器本体11(21)の間に流入させることで、容器本体を外部から加熱することができ熱エネルギーの再利用ができる。
【0053】
上記実施形態におけるアルミナ吸着材によるイオン物質除去では、過熱水蒸気を止めずに、水を散布したが、過熱水蒸気を止めてから、水を散布するようにしてもよい。また、散布するのは水ではなく、希薄アルカリ溶液でもよい。希薄アルカリ溶液を散布することで、リン酸イオンを溶かし出すことができる。溶液を散布する場合は、吸着物質により酸性溶液を散布する場合もある。アルカリ溶液や酸性溶液を散布した場合は、その後に水を散布するあことにより水洗処理を行う。
上記実施形態では、エアコンプレッサー44からは空気を送り出しているが、酸化を避けるために酸素を除いた窒素ガスなどを送りだしてもよく、また、送り出す気体を乾燥処理してから排出したり、必要に応じて冷却してから排出したりするようにしてもよい。
また、上記実施形態では、容器本体11、21の加熱をバンドヒーター23aにより行っているが、バンドヒーター23aに代えて、容器本体11、21外周をコイル状に巻く誘導加熱線により構成し、容器本体11、21を誘導加熱先により誘導加熱する金属により構成することもできる。さらに、容器の加熱は、マグネトロン等のマイクロ波発生装置を容器本体内に照射することで加熱を行う等、種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】実施形態に係る水処理装置の概要を示す模式図である。
【図2】図1のP−P断面図である。
【図3】気体噴出ヘッドの一部破断斜視図である。
【図4】再生した活性炭と新品の活性炭のヨウ素吸着性能を比較したグラフである。
【図5】再生した活性炭の重量損失率を比較したグラフである。
【図6】再生したアルミナ吸着材の過熱水蒸気の照射時間と、リン酸イオンの脱離率および重量損失率を示すグラフである。
【図7】再生したアルミナ吸着材の水蒸気の照射時間を一定として、サイクル数に応じたリン酸イオンの脱離率と重量損失率の関係を表したグラフである。
【図8】アルミナ吸着材の各種のイオン物質を吸着後再生処理したときのアルミナ質吸着材の吸着率を示すグラフである。
【図9】容器加熱装置の変形例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0055】
X 水処理装置
A、B 吸着材保持容器
11、21 容器本体
12、22 気体噴出管
13、23 容器加熱装置
13a バンドヒーター
13b、13c 外部容器
13d シリコンオイルタンク
13e 冷却水タンク
14、24 液体噴出ヘッド
15 原水注入口
15a 原水注入口弁
16、26 気体導入口
16a、26a 気体導入口弁
17、27 気体排出口
17a、27a 気体排出口弁
18、28 ドレイン口
18a、28a ドレイン口弁
19 連結管
29 原水排出口
29a 原水排水口弁
31 原水層
41 飽和蒸気発生装置
42 過熱水蒸気発生装置
44 エアコンプレッサー
45 気体加熱ヒーター
51 水タンク
53 溶液タンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒状多孔質の吸着材を内部に保持する容器本体と、処理をする水を容器本体に注入する注入口と、容器本体内の前記吸着材を通った処理後の水を排出する排出口とを有する、2以上設けられる吸着材保持容器と、前記各容器本体内に水蒸気を導入する水蒸気導入手段と、前記各容器本体内の吸着材の脱水を促進する脱水促進手段とを有する水処理装置。
【請求項2】
前記脱水促進手段として、前記各容器本体内に高圧の気体を導入する高圧気体導入手段を有する請求項1に記載の水処理装置。
【請求項3】
前記水処理装置において、前記高圧気体導入手段から発生する気体の温度を高くする気体加熱手段が設けられた請求項2に記載の水処理装置。
【請求項4】
前記脱水促進手段として、前記各容器本体を加熱する容器加熱手段を有する請求項1から3のいずれか1項に記載の水処理装置。
【請求項5】
前記容器加熱手段は、前記容器本体の外面に設けられるバンドヒーターにより構成される請求項4に記載の水処理装置。
【請求項6】
前記容器加熱手段は、コイル状に巻かれた誘導加熱線により構成され、前記容器本体は前記誘導加熱線により誘導加熱可能な金属により構成される構成される請求項4に記載の水処理装置。
【請求項7】
前記容器加熱手段は、前記容器本体を内部に収容する外部容器と、外部容器と容器本体との間に加熱液体もしくは加熱気体からなる加熱媒体を流入させる加熱媒体流入手段と
から構成される請求項4に記載の水処理装置。
【請求項8】
前記加熱液流入手段は、前記加熱媒体と冷却液体もしくは冷却気体からなる冷却媒体を切り替えて流入させることが可能なものである請求項7に記載の水処理装置。
【請求項9】
前記容器本体は、ほぼ垂直に立てられた細長い筒状体により構成される請求項1から8のいずれか1項に記載の水処理装置。
【請求項10】
前記水処理装置において、前記容器本体は細長い筒状体であって、側面に複数の気体が通る穴が形成された管体が前記容器本体の筒状体の中心軸を通る位置に設けられ、当該管体は、前記水蒸気導入手段が水蒸気を導入する際の水蒸気噴出口として使用されるものである請求項1から9のいずれか1項に記載の水処理装置。
【請求項11】
前記水処理装置は、前記脱水促進手段として前記各容器本体内に高圧の気体を導入する高圧気体導入手段を有するものであって、前記管体は前記高圧気体導入手段が気体を導入する際の水蒸気噴出口として使用されるものである請求項10に記載の水処理装置。
【請求項12】
前記水処理装置において、さらに、
前記容器本体内に、液体を導入する液体導入手段が設けられた請求項1から11のいずれか1項に記載の水処理装置。
【請求項13】
前記水処理装置において、前記液体導入手段は、前記容器本体の上部から液体を散布するものである請求項12に記載の水処理装置。
【請求項14】
前記水処理装置において、前記液体導入手段は、2種以上の液体を切り替えて導入することができるものである請求項12又は13に記載の水処理装置。
【請求項15】
前記吸着材保持容器は、前記容器本体の底部分に開閉可能に形成されるドレイン口を有する請求項1から14のいずれか1項に記載の水処理装置。
【請求項16】
前記吸着材保持容器は、前記容器本体の内部と外部との各流通口が電気的に開閉操作が可能な弁により遮断と開放を切り替えることができるものである請求項1から15のいずれか1項に記載の水処理装置。
【請求項17】
前記水処理装置において、吸着材保持容器は、処理を行う水を通すことで所定物質を前記吸着材に吸着させる水処理過程と、前記容器本体に、水蒸気導入手段により水蒸気を通すことで、多孔質吸着材に吸着された所定物質を脱離させる再生処理過程とを繰り返すものであって、少なくとも1以上の吸着材保持容器が水処理過程にあるときに、他の吸着材保持容器が再生処理過程にあるように制御する制御手段が設けられる請求項1から16に記載の水処理装置。
【請求項18】
以下の(101)〜(108)の要件を備える水処理方法。
(101)粒状多孔質の吸着材を内部に保持する容器本体と、処理する水を容器本体に注入する注入口と、容器本体内の前記多孔質吸着材を通った処理後の水を排出する排出口とを有する、2以上設けられる吸着材保持容器を用いる。
(102)前記各容器本体には過熱水蒸気を導入する水蒸気導入手段が設けられる。
(103)前記各容器本体には内部の吸着材の脱水を促進する脱水促進手段が設けられる。
(104)1以上の吸着材保持容器に処理を行う水を注入口から注入し、容器本体内の吸着材に処理を行う水を接触させて、排出口から排出することで除去対象物質を吸着除去する水処理を行っている間に、他の1以上の吸着材保持容器においては吸着材の再生処理が行われる。
(105)各吸着材保持容器は、2以上の前記水処理と1以上の前記再生処理が行われる。
(106)前記再生処理は、脱水工程と過熱水蒸気工程とを含む。
(107)前記脱水工程では、前記脱水促進手段により吸着材の脱水が促進される。
(108)前記過熱水蒸気工程は、前記水蒸気導入手段により容器本体内に過熱水蒸気を導入することにより行われる。
【請求項19】
前記脱水促進手段は、高圧の気体を導入する高圧気体導入手段を含み、前記脱水工程では、前記高圧気体導入手段により容器本体内に高圧の気体が導入される請求項18に記載の水処理方法。
【請求項20】
前記過熱水蒸気工程においても、少なくとも一定時間前記高圧気体導入手段により容器本体内に高圧の気体が導入される請求項19に記載の水処理方法。
【請求項21】
さらに、以下の(201)〜(202)に記載の要件を備える請求項19又は20の水処理方法。
(201)前記高圧気体導入手段から発生する気体の温度を高くする気体加熱手段が設けられる。
(202)前記脱水工程において、前記高圧気体導入手段により容器本体内には前記気体加熱手段により加熱された高温高圧の気体が導入される。
【請求項22】
前記脱水促進手段は、前記容器本体を加熱する容器加熱手段を含み、前記脱水工程において、前記容器加熱手段により容器本体が加熱される請求項18から21のいずれか1項に記載の水処理方法。
【請求項23】
前記過熱水蒸気工程においても、前記容器加熱手段により容器本体が加熱される請求項22に記載の水処理方法。
【請求項24】
さらに以下の(301)〜(302)の要件を備える請求項18から23のいずれか1項に記載の水処理方法。
(301)前記吸着材保持容器は、前記容器本体内に水を散布する水散布手段を有する。
(302)前記過熱水蒸気工程の途中に前記水散布手段により水を1回以上散布する。
【請求項25】
さらに以下の(401)〜(403)の要件を備える請求項18から23のいずれか1項に記載の水処理方法。
(401)前記吸着材保持容器は、前記容器本体内に水を散布する水散布手段を有する。
(402)前記再生処理は、前記過熱水蒸気工程の後で、容器本体内が水蒸気雰囲気である間に前記水散布手段により水を散布する水散布工程を有する。
(403)前記再生処理は、前記過熱水蒸気工程の後に水散布工程を行うことを1回以上繰り返す。
【請求項26】
さらに以下の(501)〜(502)の要件を備える請求項18から23のいずれか1項に記載の水処理方法。
(501)前記吸着材保持容器は、前記容器本体内に酸性溶液又はアルカリ溶液を散布する溶液散布手段を有する。
(502)前記過熱水蒸気工程の途中に前記水散布手段により酸性溶液又はアルカリ溶液を一回以上散布する。
【請求項27】
さらに以下の(601)〜(603)の要件を備える請求項18から23のいずれか1項に記載の水処理方法。
(601)前記吸着材保持容器は、前記容器本体内に酸性溶液又はアルカリ溶液を散布する溶液散布手段を有する。
(602)前記再生処理は、前記過熱水蒸気工程の後で、容器本体内が水蒸気雰囲気である間に前記溶液散布手段により酸性溶液又はアルカリ溶液を散布する溶液散布工程を有する。
(603)前記再生処理は、前記過熱水蒸気工程の後に溶液散布工程を行うことを1回以上繰り返す。
【請求項28】
さらに以下の(701)〜(704)の要件を備える請求項18〜27のいずれか1項に記載の水処理方法。
(701)前記各容器本体は、底面に設けられた弁体により底面と外部との遮断及び開放の切り替えが可能である。
(702)前記吸着材保持容器は、前記容器本体内に酸性溶液又はアルカリ溶液を散布する溶液散布手段を有する。
(703)前記再生処理は、前記脱水工程の前に、前記容器本体の底面を前記弁体により遮断するとともに、前記溶液散布手段から酸性溶液又はアルカリ溶液を散布することで、前記容器本体内の前記吸着材を浸漬する浸漬工程を有する。
(704)前記再生処理は、前記浸漬工程の後、前記脱水工程の前記容器本体の底面を前記弁体により開放して前記酸性溶液又はアルカリ溶液を排出する。
【請求項29】
さらに、以下の(801)〜(802)の要件を備える請求項18〜28のいずれか1項に記載の水処理方法。
(801)前記容器本体は、内部の気体を排出する開口を有するとともに、当該開口を遮断及び開放の切り替えが可能である。
(802)前記過熱水蒸気工程の途中で、1以上前記開口を開放し遮断する。
【請求項30】
さらに、以下の(901)〜(902)の要件を備える請求項18〜29のいずれか1項に記載の水処理方法。
(901)前記容器本体は、水蒸気導入手段から水蒸気が導入される部分を除いた隔壁を、気密状態と非気密状態に切り替え可能である。
(902)前記過熱水蒸気工程の少なくとも一定時間において前記容器本体は、前記気密状態に切り替えられる。
【請求項31】
さらに、以下の(1001)〜(1002)の要件を備える請求項18〜30のいずれか1項に記載の水処理方法。
(1001)前記脱水促進手段は、高圧の気体を導入する高圧気体導入手段を含む。
(1002)前記各容器本体は、底面に設けられた弁体により底面と外部との遮断及び開放の切り替えが可能である。
(1003)前記吸着材保持容器は、前記容器本体内に水を散布する水散布手段を有する。
(1003)前記再生処理は、過熱水蒸気工程の後に、吸着材を冷却する冷却工程を含む。
(1004)冷却工程では、前記容器本体の底面を前記弁体により遮断するとともに、前記水散布手段から水を散布することで、前記容器本体内の前記吸着材を浸漬する。
(1005)冷却工程では、水に浸漬された吸着材に高圧気体を噴きつけることで吸着材を攪拌する。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−36155(P2010−36155A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−204555(P2008−204555)
【出願日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【特許番号】特許第4335292号(P4335292)
【特許公報発行日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(505247867)有限会社Jトップサービス (8)
【出願人】(505295237)堺鋼板株式会社 (7)
【Fターム(参考)】