水処理装置
【課題】水位差の充分でない砂ろ過池、活性炭ろ過池、膜ろ過設備等の後段の水路において、自然流下によって処理するのに十分な水位差がなく、且つ1次側に流入する処理水が周期的に変動する場合においても定量的、且つ効率的に紫外線殺菌処理装置を運転することができ、更に2次側への有害物質の流出の危険性を防ぐことができる水処理装置を提供すること。
【解決手段】第1水路(上流側開水路1)と第2水路(下流側開水路2)と、第1水路から前記第2水路をつなぐサイフォン配管(バイパス管路19)と、紫外線殺菌処理装置6と、揚水ポンプ7と、サイフォン配管の第2水路への出口に設けた流量安定化兼逆流防止機構11と、該機構11内の水面が第2水路の水面より高くするための堰と、第1水路の水位を測定する水位計13と、検出水位信号によって紫外線殺菌処理装置への水量を制御する制御装置を設けた。
【解決手段】第1水路(上流側開水路1)と第2水路(下流側開水路2)と、第1水路から前記第2水路をつなぐサイフォン配管(バイパス管路19)と、紫外線殺菌処理装置6と、揚水ポンプ7と、サイフォン配管の第2水路への出口に設けた流量安定化兼逆流防止機構11と、該機構11内の水面が第2水路の水面より高くするための堰と、第1水路の水位を測定する水位計13と、検出水位信号によって紫外線殺菌処理装置への水量を制御する制御装置を設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浄水処理設備のろ過処理等の濁質除去を行った処理水を紫外線殺菌若しくは紫外線酸化処理を行うのに好適な水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
浄水処理設備において、細菌、ウイルスや原生動物などを含む被処理水を消毒・殺菌する手段としては、従来から紫外線殺菌処理が実用化されている。近年では塩素耐性を持つ原虫類(例えばクリプトンポリジウム)の不活化等を目的として、水道分野においても普及している。代表的な浄水処理工程では凝集沈澱、急速ろ過など濁質を除去する工程を経た後に塩素消毒が行われている。このような浄水処理工程に紫外線処理を導入する場合、急速ろ過と塩素消毒の間に紫外線殺菌装置を設置して処理を行うことが望ましい。
【0003】
一方、紫外線殺菌をする方法としては、紫外線ランプを被処理水の開水路に浸漬させる方法と、紫外線ランプを耐圧製の紫外線殺菌処理装置内に配置し、管路に接続して処理水を通過させる方法がある。水道分野においては、作業者への安全性や装置の効率性の観点から後者の装置が一般的である。そのため、新たに設置する浄水場において紫外線処理を実施する場合、急速ろ過池と塩素混和池の間に紫外線殺菌処理装置を管路で接続し、被処理水を自然流下で流通することにより紫外線処理を行う方法がある(例えば、特許文献1)。
【0004】
一方、水路を上流側と下流側で二つに仕切り、配管で仕切りをまたいで上流側と下流側をつなぎ、その配管の途中に紫外線殺菌処理装置を設置する技術がある(特許文献2)。
【特許文献1】特開2004−209307号公報
【特許文献2】実公平7−21273号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記方法には下記のような課題がある。
先ず第1に、ろ過池、活性炭ろ過、膜ろ過などの浄水工程では、間欠的にろ過媒体を洗浄する必要がある。多くの場合洗浄水は自身のろ過工程で生成した処理水を使用するため(水道施設設計指針(2000)(社)日本水道協会)、洗浄工程時には後段に供給される処理水は減少するか或いは一旦停止する。このため後段に供給される処理水は周期的に変動するのが通常である。洗浄周期は、砂ろ過や活性炭ろ過では6〜72時間に1回、膜ろ過では15〜120分に1回が一般的である。ろ過装置は数基〜数十基程度の設備が1つの系列で設置され、それらは同時に洗浄を行うのではなく、数分〜数時間毎に順次1基ずつ行われるため、実際には数分〜数時間に1回程度の周期で洗浄が行なわれている。そのためこの周期で処理水の変動が生じることになる。
【0006】
第2にサイフォンにより被処理水を送水する場合、上流側と下流側の水位差が十分に確保されている必要がある。即ち、紫外線殺菌処理装置を含めた配管全体の圧力損失が、水位差よりも小さいことが必要となる。ところが一般的に砂ろ過池や活性炭ろ過池の後段に位置する処理水渠は、0.1〜0.3m程度の水位差で流れているが、これら紫外線装置を含むサイフォンは少なくとも1m以上の圧力損失をもつのが一般的であり、そのままサイフォンのみで自然流下により通水することはできない。また、上流側の水位変動によって上流側の水位が下流側より低下した場合は、例えばせっかく処理した下流側にある多量の処理水がサイフォンにより逆流することになる。この場合は処理水を再度紫外線殺菌処理等をしなければならず、非効率的な処理をするおそれがあった。
【0007】
ところで紫外線殺菌処理装置は、一定時間以上被処理水が流れないと紫外線ランプの放熱により装置内の温度が上昇するため、装置保護の観点から紫外線ランプを消灯しなければならないのが通常である。一方で紫外線ランプの消灯、点灯はランプの寿命を縮めることとなり、また、点灯直後の紫外線ランプから照射される紫外線は不安定であり、十分な殺菌効果を達成できない。これらのことから、ランプは極力連続点灯する必要が生じる。即ち、紫外線殺菌処理装置には、極力連続して被処理水を供給することが望ましい。特にサイフォン管により被処理水を流通する場合には、サイフォンが破壊すると紫外線殺菌処理装置内の水が流失するため、ランプを点灯し続けると放熱によってランプが重大な影響を受ける。そのため、サイフォンが破壊した場合に、直ちに紫外線ランプを消灯する必要があり、定常運転時においてサイフォンを維持することが必要であった。
【0008】
従って、紫外線殺菌処理装置をこのような砂ろ過、活性炭ろ過、膜ろ過などの後段に設置する場合、既存の技術では処理水の変動が大きく、紫外線ランプの消灯・点灯が生じる可能性があり、安定した紫外線処理とともに紫外線ランプの寿命が短くなることで維持管理コストが上昇するというといった課題があった。
【0009】
更に、洗浄工程などによって流量変動が生じる場合には低水量時の問題ばかりではなく、常時においては水量が平均化されていないため、平均水量より高めの水量設定が必要になる。このことは、紫外線殺菌処理装置を配備する場合、本来の平均水量ではなく、水量変動を考慮した最大水量において規定の能力を発揮できるような装置を選定しなければならなくなる。つまり、紫外線殺菌処理設備を過大なものにしなければならなくなる。
【0010】
第3に、紫外線殺菌処理装置は、通常図2に示すように、水銀を封入した紫外線ランプ17を、石英ガラスなどの中空円筒形の保護管18内に設置して構成されている。万一保護管18と紫外線ランプ17が破損した場合、処理水中に水銀や保護管18や紫外線ランプ17を形成するガラス等の破片が流出する恐れがあるため、保護管18や紫外線ランプ17の破損時は瞬時にこれらの流出防止対策をしなければならない。特に人体に直接影響を及ぼす飲料水である水道分野においては、万一の事故にも安全を確保することが大命題であり、既存技術では紫外線ランプが破損した時、ランプのガラス破片や封入水銀にどが2次側に流出する危険を回避できないという問題があった。
【0011】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、水位差の充分でない砂ろ過池、活性炭ろ過池、膜ろ過設備等の後段の水路において、自然流下によって処理するのに十分な水位差がなく、且つ1次側に流入する処理水が周期的に変動する場合においても定量的、且つ効率的に紫外線殺菌処理装置を運転することができ、更に2次側への水銀等の有害物質の流出の危険性を防ぐことができる水処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため本発明は、第1水路と第2水路と、第1水路から前記第2水路をつなぐサイフォン配管と、サイフォン配管に設けた紫外線殺菌処理装置と、第1水路の水を前記サイフォン配管を通して第2水路に揚水する揚水ポンプと、サイフォン配管の第2水路への出口に設けた流量安定化兼逆流防止機構と、流量安定化兼逆流防止機構内の水面が第2水路の水面より高くするための堰と、第1水路の水位を測定する水位計と、水位計で検出した水位信号によって紫外線殺菌処理装置への水量を制御する制御装置と、を設けたことを特徴とする水処理装置にある。
【0013】
また、本発明は上記水処理装置において、揚水ポンプは全揚程が4m以下の低揚水型のポンプであることを特徴とする。
【0014】
また、本発明は上記水処理装置において、制御装置は、水位計の水位信号により、揚水ポンプの回転数を制御することを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、上記水処理装置において、サイフォン配管は、紫外線殺菌処理装置の下流側が最も高くなるサイフォン形状となっており、該サイフォン形状の頭頂部に真空破壊弁を設置したことを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、上記水処理装置において、制御装置は、紫外線殺菌処理装置のランプ破壊などの緊急信号によって真空破壊弁の開閉を制御し、サイフォン配管の真空破壊を制御することを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、上記水処理装置において、サイフォン配管の紫外線殺菌処理装置の下流側から、第1水路に水を循環させる循環配管を配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
発明によれば、下記の効果が得られる。
(1)水位差が充分にない第1水路と第2水路の間においても管水路型の紫外線殺菌処理装置が設置でき、常に安定した紫外線殺菌処理が可能である。
【0019】
(2)処理水量の変動する浄水装置の後段に紫外線殺菌処理装置を設置した場合でも、間欠運転を防止できるため紫外線殺菌処理装置の紫外線ランプのON−OFFを防止でき、紫外線ランプの寿命の延命化が図れる。
【0020】
(3)処理水量の変動する浄水装置の後段に紫外線殺菌処理装置を設置した場合でも、流量の安定化が図れるため処理水の最大値が小さくなり、紫外線殺菌処理装置の最大処理能力を低減することができる。
【0021】
(4)紫外線殺菌処理装置、揚水ポンプ、流量計等の機器を全て第1水路及び第2水路の上部床上に配置すること可能となるため、機器の設置が容易で且つ維持管理も容易となる。
【0022】
(5)機器の設置が簡単容易であるため、既設開水路へ新たな装置を設置する場合や、或いは装置を別の開水路へ移設する場合などに適している。
【0023】
(6)揚水ポンプの流量調整により、処理水流量を調節できるので、処理水流量の調整が容易で、且つ精度のよい流量調整が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態例を図面に基づいて説明する。図1は本発明に係る水処理装置の概略構成例を示す図である。本実施の形態例では、本発明に係る水処理装置を浄水設備の急速ろ過池100からの処理水の紫外線殺菌処理に適用する場合について説明するが、本発明に係る水処理装置は、急速ろ過池の処理水以外にも、活性炭吸着池ろ過水、膜ろ過設備のろ過水等の処理水の紫外線殺菌処理に適用できる。
【0025】
上水処理設備には、一つの系列に急速ろ過池100が数基〜数条基程度配置されており、流入する流入水は流入渠101に流入し、該流入渠101から各急速ろ過池100に均等に配分されるようになっている。流入渠101から急速ろ過池100に流入した水は流入サイフォン102を通って濾層103に流入し、該濾層103でろ過され、一旦浄水渠104に貯留され、その後流出堰105を越流して、本水処理装置の上流側開水路1に流入する。急速ろ過池100は、濾層103の洗浄水として浄水渠104に貯留された処理水を利用するため、洗浄工程に入ると浄水渠104の水位は通常より低くなる。従って、洗浄中は流出堰105を越流して上流側開水路1に流入する水は減るか、殆どなくなる。一方、洗浄が終了すると浄水渠104の水位が上昇し、流出堰105を越流する水も回復する。
【0026】
上流側開水路1と下流側開水路2は仕切り壁3により隔てられている。上流側開水路1には吸込み管4、下流側開水路2には排水管(吐出し管)5が設置されており、上流側開水路1と下流側開水路2の上方で吸込み管4と排水管5を管で連結してバイパス管路19を形成している。このバイパス管路19の途中、即ち吸込管4と排水管5の間には管内通水式の紫外線殺菌処理装置6、揚水ポンプ7、サイフォンポッド8等を設置している。これらは一体となってサイフォンを形成している。この紫外線殺菌処理装置6、揚水ポンプ7、及びサイフォンポッド8の配置順序は問わないが、下記の理由により、揚水ポンプ7、管内通水式の紫外線殺菌処理装置6、及びサイフォンポッド8の順に配備することが望ましい。なお、上流側開水路1及び下流側開水路2の上部は天井壁30で覆われている。
【0027】
最上流側に揚水ポンプ7を配置するのが望ましい。その理由は、吸込み揚程を小さくして、運転立ち上げを円滑に行うためである。ここで、揚水ポンプ7は陸上型でも上流側開水路1内に配備する水中型(図示せず)でもどちらでも良い。しかし、上水道設備の場合のように、製品である「処理水」を汚染する可能性のある物体は極力処理水に接水しない方が好ましい。また、後に説明するようにポンプ揚程が4m程度以下で十分である本発明に係る水処理装置においては陸上型の低揚程が適している。
【0028】
更に、サイフォンポッド8の取付け位置に関しては、紫外線殺菌処理装置6の後段にあることが望ましい。図2に示す構成の管内通水式の紫外線殺菌処理装置6では、紫外線ランプ17が破損した場合にサイフォンポッド8が後段にあった方が破損物は下流側開水路2に流入しにくい。
【0029】
吸込み管4のある上流側開水路1の水位は排水管5のある下流側開水路2の水位より高いのが通常であるが、揚水ポンプ7の全揚程からサイフォン全体の圧力損失を差し引いた水頭を超えなければ、下流側開水路2の水位が上流側開水路1と同じか若しくは高くても良く、揚水ポンプ7の作用により水を紫外線殺菌処理装置6に供給することが可能で、紫外線殺菌処理を安定して継続することができる。
【0030】
下流側開水路2の水位低下がサイフォン形成に影響を与えず、且つ揚水ポンプ7の停止時に下流側開水路2の水位が上流側開水路1の水位よりも上昇した場合、下流側開水路2の水が逆流して水位差分の水量全てを上流側に移送してしまうのを防ぐため、流量安定化兼用逆流防止機構11が必要である。上流側開水路1及び下流側開水路2は、一般的には水深2〜4m程度である。上流側開水路1の水位は吸込み管4の下端より高い位置にあればよい。このような流量安定化兼用逆流防止機構11によって上流側に逆流した水を再度多量に紫外線殺菌処理しなくてもよくなる。
【0031】
流量安定化兼用逆流防止機構11は単に下流側開水路2から上流側開水路1への水の逆流を防止するためだけではなく、下流側開水路2の水位を一定に保つ作用を有することから、揚水ポンプ7の流量を安定化し、紫外線殺菌処理装置6が安定して紫外線殺菌処理を行うという観点から極めて効果的である。図2に示す構成の管内通水式の紫外線殺菌処理装置6において、紫外線照射量は紫外線ランプ17により処理水Waに照射される紫外線量率と、照射槽20における処理水Waの滞留時間の積で表される。ここで紫外線量率とは、紫外線ランプから照射される面の単位面積あたりに入射する紫外線出力である。照射槽20の容積は一定であるから滞留時間を一定化させるためには照射槽20を通過する処理水Waの流量の一定化がそのまま紫外線照射量の安定化に繋がり、安定した紫外線殺菌処理が行われるためには処理水Waの流量の一定化が必要となる。
【0032】
流量安定化兼用逆流防止機構11の必要な設計について説明する。下流側開水路2の水位は、流量安定化兼用逆流防止機構11を取り付けることにより、水位の下限を設ける必要がなくなる。但し逆流防止の観点から下流側開水路2の上限水位L3(図9参照)は流量安定化兼用逆流防止機構11の堰11aのレベルL5より低い必要がある。また、立ち上げ当初のサイフォン形成時に必要な水を貯留する必要がある。従って、図9に示すVaの体積(流量安定化兼用逆流防止機構11のL5からL4までの体積からL5からL4の間の排出管5の外周に囲まれた内側部分の体積を除いた体積)が、Vbの体積(逆U字管のL5より上部で且つaの線(サイフォン頂部中心を通る線)より右側までの部分の体積)より大きくなるように設計する必要がある。なお、図9は図1の一部の詳細を示す図である。このような流量安定化兼用逆流防止機構11によって逆流する水量を堰11aに溜まる水量以下の量に抑えることができる。
【0033】
また、揚水ポンプ7の停止時(1次側と2次側の水位が同等になった場合)のサイフォン破壊を防止するため、上流側開水路1の最低水位L2は下流側開水路2の排水管5の吐出口レベルL4よりも高い必要がある(L2>L4)。また、万一紫外線ランプ17が破損した時の、ガラスや水銀などの異物回収としての機能も奏することが可能となる。
【0034】
上記流量安定化兼用逆流防止機構11の構成例を図3〜図5に示す。図3に示す流量安定化兼用逆流防止機構11は、下流側開水路2の天井壁30の下面に所定の体積Vaを有する容器21のフランジを固定し、該容器21の内部に排水管5の下端を挿入した構成である。図4に示す流量安定化兼用逆流防止機構11は、容器21内に管22を配置して取付けた構成であり、この管22の上端をフランジ24を介して排水管5の下端に接続している。これにより排水管5の下端は管22の下端となる。また、図5に示す流量安定化兼用逆流防止機構11は、排水管5の下端にU字状管27を介して上部が開口した漏斗状の容器28を接続した構成である。
【0035】
流量安定化兼用逆流防止機構11としては、維持管理の面から水渠の水を抜くことなく上部から取り外しが出来る構造が望ましい。図3〜図5に示す流量安定化兼用逆流防止機構11のうち、図5に示すものは、シンプルで且つ経済的で維持管理が容易であり、本発明に係る水処理装置に用いるのに最も適している。なお、材質はステンレスなど耐食性があり、長期間の使用に耐える材質が望ましい。
【0036】
揚水ポンプ7は、必要な水量及び揚程を満足していれば型式は問わないが、維持管理が容易に行うことができるよう、上流側開水路1の上部に設置されているか、若しくは上部に引き上げられる構造であるこことが望ましい。例としては横軸軸流ポンプ若しくは立軸軸流ポンプが適している。渦巻ポンプは陸上ポンプとして水道分野に限らず一般的によく使われているが、より高揚程(例えば5m以上)に使われているため省エネルギーの観点からは本発明に係る水処理装置に適しているとは言えない。
【0037】
次に、サイフォンポッド8の作用について述べる。本水処理装置運転時に、真空源(図示せず)に繋がったサイフォンポッド8の自動弁9を開き、サイフォン内を負圧にすることにより、吸込管4及び排水管5から水を吸い上げサイフォンを形成する。サイフォン管が満杯になったことはサイフォンポッド8に設けられた水位検知器10等で確認する。サイフォン形成を確認後、自動弁9を閉じ、揚水ポンプ7を運転して必要な処理水を通水させる。真空源としては、エジェクタによる負圧の生成や、真空ポンプによる方法などがある。既設設備として真空タンク等で充分な真空源が確保されている場合はそれを利用することもできる。
【0038】
なお、構造的にポンプ羽根が上流側開水路1の水面WL1より下方にある場合は、真空源がなくてもサイフォン管(バイパス管路19)を満杯にすることは可能であるが、以下の理由により真空源によりサイフォン形成を行うべきである。即ち、紫外線殺菌処理装置6は発熱を伴うことから、装置の紫外線ランプの点灯はサイフォン形成後に行うべきである。その際、揚水ポンプ7を利用して立ち上げると未処理水が2次側に流出することになる。真空源によりサイフォンを形成する場合、処理水は上流側開水路1から下流側開水路2には流れることはなく安全にサイフォン管を満杯にすることができる。
【0039】
上流側開水路1に連続的に水面WL1の水位を測定する水位計13を設置し、その検出水位から必要な供給水量を計算し、揚水ポンプ7の回転数を制御する制御装置(図示せず)を設ける。この制御装置により、上流側開水路1の水位が低下した場合には供給水量を減らし、且つ紫外線殺菌処理装置6に途切れることなく連続して処理水Waを送るように揚水ポンプ7の回転数を制御する。そして最大処理水量の低減化と流量の連続化を図ることにより、先に述べた通り紫外線殺菌処理装置6の能力を最大水量で規定能力を発揮するように設定する必要がなくなり、後述するように適正な能力のものに選定できる。
【0040】
図6は供給水量Qと上流側開水路の水位WL1の関係を示す図である。また、図7、図8は時間経過と水位及び供給水量の変動を示す。図7及び図8の横軸に時間経過順に「ろ過」、「洗浄」、「ろ過」、「洗浄」と区分して示すのは、上流側開水路1の前段にある急速ろ過池100の各工程の切り替えが行われることを示したものであり、両図の区分される時点において工程が同時に切り替わることを意味する。いずれの図も水位計13の検出水位により制御を行わない従来技術の場合(破線B)と、水位計13の検出水位による制御を行った本発明の場合(実線A)を示す。図7の破線Bのa〜fの各記号は従来の紫外線による殺菌処理において水位が変化する時点を示しており、aは水位が一定の状態から低下に転じる時点を、bは水位が低下する状態から最低水位に達する時点を、cは水位が最低水位から上昇に転じる時点を、dは水位が上昇する状態から上限水位に達する時点をそれぞれ指す。e、fはそれぞれa、bと同様であり時間経過とともにこのような変動を繰り返す。そして図7のa及びeは、ろ過工程から洗浄工程に転じる時点であり、cは洗浄工程からろ過工程に転じる時点である。図8のb、d及びfの記号は図7における同一記号と同じ時点を意味し、図8においてb及びfは揚水ポンプ7が水量一定(Qmax)の運転状態からポンプ停止状態に転じる時点、dはポンプ7の停止状態から水量一定の運転状態に転じる時点を示している。
【0041】
このように、図7の破線Bで示すように処理流量の制御を行わない従来技術では、上流側開水路1の水位WL1が周期的に低下し、装置を停止する必要が生じる。一方本発明では、洗浄による周期的に変動する前段ろ過池100等の処理水量に対し、上流側開水路1の水位WL1の低下時には紫外線殺菌処理装置6への処理水供給量を減らし、水位WL1の上昇時には処理水の供給量を増やすことで、水位WL1の変動を抑え、結果的に安定した運転ができる。また、図10は流量制御ポンプにポンプの回転数制御を用いた場合のポンプの水量Qと揚程Hの関係を示す図である。
【0042】
また、図8の実線Aで示す本発明と破線Bで示す従来例とを比較すると、本発明では最大処理水量は小さくなり、紫外線殺菌処理装置6に小さい処理能力の装置を選定することができる。また、本発明では水位変動による装置停止も伴わないため、装置停止を頻繁に行う従来技術に比較して、例えば1日5〜10回、紫外線殺菌処理装置6の紫外線ランプ17を停止した場合に比べてランプ寿命は50〜100%伸びることになる。一般に、低圧紫外線ランプでは発熱量が少なく、処理停止時にランプを停止することは不要であるが、中圧紫外線ランプの場合、発熱量が多いため処理停止時に紫外線ランプも同時に停止するのが一般的である。
【0043】
なお、紫外線殺菌処理装置6に供給する水量を変動させる手段としては、揚水ポンプ7の回転数制御が望ましいが、バルブによる流量調節も可能である。万一水位低下が生じた場合は、図1に示すように、循環バルブ32を備えた循環配管31を設置し、通常処理水よりも小さく、紫外線殺菌処理装置6の温度上昇を回避する必要最小限の処理水量を排水管5から上流側開水路1に戻すことにより、紫外線ランプを消灯することなく連続運転が可能である。
【0044】
図11は本発明に係る水処理装置の運転処理フロー示す図で、図11(a)は運転開始処理フローを、図11(b)は停止処理フローを、図11(c)は非常停止処理フローをそれぞれ示す。運転開始は次の手順で行う。先ず、運転信号が発せられると(ステップST1)、水位検知器10が満水、即ちサイフォン管が満杯状態にあることを検知しているか否かを判断する(ステップST2)。満水検知でない場合は真空弁(自動弁9)を開いて(ステップST3)満水を待ち、満水検知している場合は、紫外線殺菌処理装置(UV装置)6をONにする(ステップST4)。UV装置のスタートアップタイムである所定時間Ta(数分〜数十分)後、揚水ポンプ7の運転を開始し(図10の最小流量Qmin)(ステップST5)、続いて水位計13の検出水位による揚水ポンプ7の回転数制御を行い(ステップST6)、通常運転となる。
【0045】
運転停止は次の下記の手順で行う。水位計13の検出水位Lx=L2で揚水ポンプ7が図10の最小流量Qminにて運転状態である場合(ステップST11)、紫外線殺菌処理装置6(UV装置)が通水なしの運転限界時間である所定時間Tb後に、循環配管31の循環バルブ32を開いて排水管5の処理水を上流側開水路1に循環させ(ステップST12)、揚水ポンプ7の回転数fx=f1とする(ステップST13)。水位計13の検出水位WLx>L2であるか否かを判断し(ステップST14)、NOであったら処理水循環による運転待機時間である所定時間Tc後に循環バルブ32を閉じ(ステップST15)、揚水ポンプ7を停止(OFF)し(ステップST16)、続いて紫外線殺菌処理装置(UV装置)6を停止(OFF)する。
【0046】
前記ステップST14で、YESの場合、即ち検出水位WLx>L2である場合、循環バルブ32を閉じ(ステップST18)、揚水ポンプ7の運転を水位計13による制御、即ち揚水ポンプの回転数を水位計13の検知水位により制御し(ステップST19)、通常運転となる。
【0047】
非常停止は、次の手順で行う。紫外線殺菌処理装置(UV装置)6に異常が発生(紫外線ランプの破損、保護管の破損)(ステップST21)すると、紫外線殺菌処理装置を停止し(OFF)、真空破壊弁16を開き、及び揚水ポンプ7を停止(OFF)とする(ステップST22)。
【0048】
図12は本発明に係る水処理装置の他の実施形態例を示す図である。図1に示す水処理装置と相違する点は、サイフォン管(バイパス管路19)において、紫外線殺菌処理装置6の下流側がサイフォン管の中で最も高くなるように工夫し、その最高部に真空破壊弁16を設置している。紫外線殺菌処理装置6は、図2に示すように、通例水銀を封入した紫外線ランプ17を石英ガラスなどの強固な中空円筒形の保護管18内に設置している。万一保護管18と紫外線ランプ17が破損した場合、処理水中に水銀や保護管18や紫外線ランプ17を形成するガラス等の破片が流出する恐れがあるため、保護管18や紫外線ランプ17の破損時には瞬時にこれらの流出防止対策をしなければならない。
【0049】
本発明では、紫外線殺菌処理装置6の紫外線ランプ17の破損や保護管18の破損などを電気的に検知し、その信号により、図示しない制御装置は、瞬時に低揚程の揚水ポンプ7の運転を停止し、真空破壊弁16を開くことによりサイフォンを破壊する。万一装置に異常があった場合にも、自然流下により水銀やガラス片が下流側開水路2へ流出することを防ぐことができる。本発明では、従来技術で採用されている自動弁や緊急遮断弁による方法と比較して遮断が迅速であり、より確実に水銀やガラス片の下流側開水路2への流出を防ぐことができる。
【0050】
上述のように洗浄工程などによって流量変動が生じた場合、従来例では水量が平均化されないため、平均水量より高めの流量設定が必要となる。このことは紫外線殺菌処理装置を配備する場合、本来の平均水量ではなく、水量変動を考慮した最大水量において規定の殺菌能力を発揮させるため、従来は紫外線殺菌処理装置を過大なものにしていた。本発明では従来の最大水量に対するものの60〜80%にすることが可能であり、紫外線殺菌処理装置の能力としても60〜80%のもので済むので、コストの低減化が図れる。
【0051】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明に係る水処理装置の概略構成例を示す図である。
【図2】紫外線殺菌処理装置の構成例を示す図である。
【図3】流量安定化兼用逆流防止機構の構成例を示す図である。
【図4】流量安定化兼用逆流防止機構の構成例を示す図である。
【図5】流量安定化兼用逆流防止機構の構成例を示す図である。
【図6】供給水量と水位の関係を示す図である。
【図7】時間経過と上流側開水路の水位変化を示す図である。
【図8】時間経過と流量の変化を示す図である。
【図9】図1の一部の詳細を示す図である。
【図10】流量制御にポンプの回転数制御を用いた場合のポンプ流量と揚程の変化を示す図である。
【図11】本発明に係る水処理装置の運転処理フローを示す図である。
【図12】本発明に係る水処理装置の概略構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0053】
1 上流側開水路
2 下流側開水路
3 仕切壁
4 吸込み管
5 排水管
6 紫外線殺菌処理装置
7 揚水ポンプ
8 サイフォンポッド
9 自動弁
10 水位検知器
11 流量安定化兼用逆流防止機構
13 水位計
16 真空破壊弁
17 紫外線ランプ
18 保護管
19 バイパス管路
20 照射槽
21 容器
22 管
25 容器
27 U字管
28 容器
30 天井壁
31 循環配管
32 循環バルブ
【技術分野】
【0001】
本発明は、浄水処理設備のろ過処理等の濁質除去を行った処理水を紫外線殺菌若しくは紫外線酸化処理を行うのに好適な水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
浄水処理設備において、細菌、ウイルスや原生動物などを含む被処理水を消毒・殺菌する手段としては、従来から紫外線殺菌処理が実用化されている。近年では塩素耐性を持つ原虫類(例えばクリプトンポリジウム)の不活化等を目的として、水道分野においても普及している。代表的な浄水処理工程では凝集沈澱、急速ろ過など濁質を除去する工程を経た後に塩素消毒が行われている。このような浄水処理工程に紫外線処理を導入する場合、急速ろ過と塩素消毒の間に紫外線殺菌装置を設置して処理を行うことが望ましい。
【0003】
一方、紫外線殺菌をする方法としては、紫外線ランプを被処理水の開水路に浸漬させる方法と、紫外線ランプを耐圧製の紫外線殺菌処理装置内に配置し、管路に接続して処理水を通過させる方法がある。水道分野においては、作業者への安全性や装置の効率性の観点から後者の装置が一般的である。そのため、新たに設置する浄水場において紫外線処理を実施する場合、急速ろ過池と塩素混和池の間に紫外線殺菌処理装置を管路で接続し、被処理水を自然流下で流通することにより紫外線処理を行う方法がある(例えば、特許文献1)。
【0004】
一方、水路を上流側と下流側で二つに仕切り、配管で仕切りをまたいで上流側と下流側をつなぎ、その配管の途中に紫外線殺菌処理装置を設置する技術がある(特許文献2)。
【特許文献1】特開2004−209307号公報
【特許文献2】実公平7−21273号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記方法には下記のような課題がある。
先ず第1に、ろ過池、活性炭ろ過、膜ろ過などの浄水工程では、間欠的にろ過媒体を洗浄する必要がある。多くの場合洗浄水は自身のろ過工程で生成した処理水を使用するため(水道施設設計指針(2000)(社)日本水道協会)、洗浄工程時には後段に供給される処理水は減少するか或いは一旦停止する。このため後段に供給される処理水は周期的に変動するのが通常である。洗浄周期は、砂ろ過や活性炭ろ過では6〜72時間に1回、膜ろ過では15〜120分に1回が一般的である。ろ過装置は数基〜数十基程度の設備が1つの系列で設置され、それらは同時に洗浄を行うのではなく、数分〜数時間毎に順次1基ずつ行われるため、実際には数分〜数時間に1回程度の周期で洗浄が行なわれている。そのためこの周期で処理水の変動が生じることになる。
【0006】
第2にサイフォンにより被処理水を送水する場合、上流側と下流側の水位差が十分に確保されている必要がある。即ち、紫外線殺菌処理装置を含めた配管全体の圧力損失が、水位差よりも小さいことが必要となる。ところが一般的に砂ろ過池や活性炭ろ過池の後段に位置する処理水渠は、0.1〜0.3m程度の水位差で流れているが、これら紫外線装置を含むサイフォンは少なくとも1m以上の圧力損失をもつのが一般的であり、そのままサイフォンのみで自然流下により通水することはできない。また、上流側の水位変動によって上流側の水位が下流側より低下した場合は、例えばせっかく処理した下流側にある多量の処理水がサイフォンにより逆流することになる。この場合は処理水を再度紫外線殺菌処理等をしなければならず、非効率的な処理をするおそれがあった。
【0007】
ところで紫外線殺菌処理装置は、一定時間以上被処理水が流れないと紫外線ランプの放熱により装置内の温度が上昇するため、装置保護の観点から紫外線ランプを消灯しなければならないのが通常である。一方で紫外線ランプの消灯、点灯はランプの寿命を縮めることとなり、また、点灯直後の紫外線ランプから照射される紫外線は不安定であり、十分な殺菌効果を達成できない。これらのことから、ランプは極力連続点灯する必要が生じる。即ち、紫外線殺菌処理装置には、極力連続して被処理水を供給することが望ましい。特にサイフォン管により被処理水を流通する場合には、サイフォンが破壊すると紫外線殺菌処理装置内の水が流失するため、ランプを点灯し続けると放熱によってランプが重大な影響を受ける。そのため、サイフォンが破壊した場合に、直ちに紫外線ランプを消灯する必要があり、定常運転時においてサイフォンを維持することが必要であった。
【0008】
従って、紫外線殺菌処理装置をこのような砂ろ過、活性炭ろ過、膜ろ過などの後段に設置する場合、既存の技術では処理水の変動が大きく、紫外線ランプの消灯・点灯が生じる可能性があり、安定した紫外線処理とともに紫外線ランプの寿命が短くなることで維持管理コストが上昇するというといった課題があった。
【0009】
更に、洗浄工程などによって流量変動が生じる場合には低水量時の問題ばかりではなく、常時においては水量が平均化されていないため、平均水量より高めの水量設定が必要になる。このことは、紫外線殺菌処理装置を配備する場合、本来の平均水量ではなく、水量変動を考慮した最大水量において規定の能力を発揮できるような装置を選定しなければならなくなる。つまり、紫外線殺菌処理設備を過大なものにしなければならなくなる。
【0010】
第3に、紫外線殺菌処理装置は、通常図2に示すように、水銀を封入した紫外線ランプ17を、石英ガラスなどの中空円筒形の保護管18内に設置して構成されている。万一保護管18と紫外線ランプ17が破損した場合、処理水中に水銀や保護管18や紫外線ランプ17を形成するガラス等の破片が流出する恐れがあるため、保護管18や紫外線ランプ17の破損時は瞬時にこれらの流出防止対策をしなければならない。特に人体に直接影響を及ぼす飲料水である水道分野においては、万一の事故にも安全を確保することが大命題であり、既存技術では紫外線ランプが破損した時、ランプのガラス破片や封入水銀にどが2次側に流出する危険を回避できないという問題があった。
【0011】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、水位差の充分でない砂ろ過池、活性炭ろ過池、膜ろ過設備等の後段の水路において、自然流下によって処理するのに十分な水位差がなく、且つ1次側に流入する処理水が周期的に変動する場合においても定量的、且つ効率的に紫外線殺菌処理装置を運転することができ、更に2次側への水銀等の有害物質の流出の危険性を防ぐことができる水処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため本発明は、第1水路と第2水路と、第1水路から前記第2水路をつなぐサイフォン配管と、サイフォン配管に設けた紫外線殺菌処理装置と、第1水路の水を前記サイフォン配管を通して第2水路に揚水する揚水ポンプと、サイフォン配管の第2水路への出口に設けた流量安定化兼逆流防止機構と、流量安定化兼逆流防止機構内の水面が第2水路の水面より高くするための堰と、第1水路の水位を測定する水位計と、水位計で検出した水位信号によって紫外線殺菌処理装置への水量を制御する制御装置と、を設けたことを特徴とする水処理装置にある。
【0013】
また、本発明は上記水処理装置において、揚水ポンプは全揚程が4m以下の低揚水型のポンプであることを特徴とする。
【0014】
また、本発明は上記水処理装置において、制御装置は、水位計の水位信号により、揚水ポンプの回転数を制御することを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、上記水処理装置において、サイフォン配管は、紫外線殺菌処理装置の下流側が最も高くなるサイフォン形状となっており、該サイフォン形状の頭頂部に真空破壊弁を設置したことを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、上記水処理装置において、制御装置は、紫外線殺菌処理装置のランプ破壊などの緊急信号によって真空破壊弁の開閉を制御し、サイフォン配管の真空破壊を制御することを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、上記水処理装置において、サイフォン配管の紫外線殺菌処理装置の下流側から、第1水路に水を循環させる循環配管を配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
発明によれば、下記の効果が得られる。
(1)水位差が充分にない第1水路と第2水路の間においても管水路型の紫外線殺菌処理装置が設置でき、常に安定した紫外線殺菌処理が可能である。
【0019】
(2)処理水量の変動する浄水装置の後段に紫外線殺菌処理装置を設置した場合でも、間欠運転を防止できるため紫外線殺菌処理装置の紫外線ランプのON−OFFを防止でき、紫外線ランプの寿命の延命化が図れる。
【0020】
(3)処理水量の変動する浄水装置の後段に紫外線殺菌処理装置を設置した場合でも、流量の安定化が図れるため処理水の最大値が小さくなり、紫外線殺菌処理装置の最大処理能力を低減することができる。
【0021】
(4)紫外線殺菌処理装置、揚水ポンプ、流量計等の機器を全て第1水路及び第2水路の上部床上に配置すること可能となるため、機器の設置が容易で且つ維持管理も容易となる。
【0022】
(5)機器の設置が簡単容易であるため、既設開水路へ新たな装置を設置する場合や、或いは装置を別の開水路へ移設する場合などに適している。
【0023】
(6)揚水ポンプの流量調整により、処理水流量を調節できるので、処理水流量の調整が容易で、且つ精度のよい流量調整が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態例を図面に基づいて説明する。図1は本発明に係る水処理装置の概略構成例を示す図である。本実施の形態例では、本発明に係る水処理装置を浄水設備の急速ろ過池100からの処理水の紫外線殺菌処理に適用する場合について説明するが、本発明に係る水処理装置は、急速ろ過池の処理水以外にも、活性炭吸着池ろ過水、膜ろ過設備のろ過水等の処理水の紫外線殺菌処理に適用できる。
【0025】
上水処理設備には、一つの系列に急速ろ過池100が数基〜数条基程度配置されており、流入する流入水は流入渠101に流入し、該流入渠101から各急速ろ過池100に均等に配分されるようになっている。流入渠101から急速ろ過池100に流入した水は流入サイフォン102を通って濾層103に流入し、該濾層103でろ過され、一旦浄水渠104に貯留され、その後流出堰105を越流して、本水処理装置の上流側開水路1に流入する。急速ろ過池100は、濾層103の洗浄水として浄水渠104に貯留された処理水を利用するため、洗浄工程に入ると浄水渠104の水位は通常より低くなる。従って、洗浄中は流出堰105を越流して上流側開水路1に流入する水は減るか、殆どなくなる。一方、洗浄が終了すると浄水渠104の水位が上昇し、流出堰105を越流する水も回復する。
【0026】
上流側開水路1と下流側開水路2は仕切り壁3により隔てられている。上流側開水路1には吸込み管4、下流側開水路2には排水管(吐出し管)5が設置されており、上流側開水路1と下流側開水路2の上方で吸込み管4と排水管5を管で連結してバイパス管路19を形成している。このバイパス管路19の途中、即ち吸込管4と排水管5の間には管内通水式の紫外線殺菌処理装置6、揚水ポンプ7、サイフォンポッド8等を設置している。これらは一体となってサイフォンを形成している。この紫外線殺菌処理装置6、揚水ポンプ7、及びサイフォンポッド8の配置順序は問わないが、下記の理由により、揚水ポンプ7、管内通水式の紫外線殺菌処理装置6、及びサイフォンポッド8の順に配備することが望ましい。なお、上流側開水路1及び下流側開水路2の上部は天井壁30で覆われている。
【0027】
最上流側に揚水ポンプ7を配置するのが望ましい。その理由は、吸込み揚程を小さくして、運転立ち上げを円滑に行うためである。ここで、揚水ポンプ7は陸上型でも上流側開水路1内に配備する水中型(図示せず)でもどちらでも良い。しかし、上水道設備の場合のように、製品である「処理水」を汚染する可能性のある物体は極力処理水に接水しない方が好ましい。また、後に説明するようにポンプ揚程が4m程度以下で十分である本発明に係る水処理装置においては陸上型の低揚程が適している。
【0028】
更に、サイフォンポッド8の取付け位置に関しては、紫外線殺菌処理装置6の後段にあることが望ましい。図2に示す構成の管内通水式の紫外線殺菌処理装置6では、紫外線ランプ17が破損した場合にサイフォンポッド8が後段にあった方が破損物は下流側開水路2に流入しにくい。
【0029】
吸込み管4のある上流側開水路1の水位は排水管5のある下流側開水路2の水位より高いのが通常であるが、揚水ポンプ7の全揚程からサイフォン全体の圧力損失を差し引いた水頭を超えなければ、下流側開水路2の水位が上流側開水路1と同じか若しくは高くても良く、揚水ポンプ7の作用により水を紫外線殺菌処理装置6に供給することが可能で、紫外線殺菌処理を安定して継続することができる。
【0030】
下流側開水路2の水位低下がサイフォン形成に影響を与えず、且つ揚水ポンプ7の停止時に下流側開水路2の水位が上流側開水路1の水位よりも上昇した場合、下流側開水路2の水が逆流して水位差分の水量全てを上流側に移送してしまうのを防ぐため、流量安定化兼用逆流防止機構11が必要である。上流側開水路1及び下流側開水路2は、一般的には水深2〜4m程度である。上流側開水路1の水位は吸込み管4の下端より高い位置にあればよい。このような流量安定化兼用逆流防止機構11によって上流側に逆流した水を再度多量に紫外線殺菌処理しなくてもよくなる。
【0031】
流量安定化兼用逆流防止機構11は単に下流側開水路2から上流側開水路1への水の逆流を防止するためだけではなく、下流側開水路2の水位を一定に保つ作用を有することから、揚水ポンプ7の流量を安定化し、紫外線殺菌処理装置6が安定して紫外線殺菌処理を行うという観点から極めて効果的である。図2に示す構成の管内通水式の紫外線殺菌処理装置6において、紫外線照射量は紫外線ランプ17により処理水Waに照射される紫外線量率と、照射槽20における処理水Waの滞留時間の積で表される。ここで紫外線量率とは、紫外線ランプから照射される面の単位面積あたりに入射する紫外線出力である。照射槽20の容積は一定であるから滞留時間を一定化させるためには照射槽20を通過する処理水Waの流量の一定化がそのまま紫外線照射量の安定化に繋がり、安定した紫外線殺菌処理が行われるためには処理水Waの流量の一定化が必要となる。
【0032】
流量安定化兼用逆流防止機構11の必要な設計について説明する。下流側開水路2の水位は、流量安定化兼用逆流防止機構11を取り付けることにより、水位の下限を設ける必要がなくなる。但し逆流防止の観点から下流側開水路2の上限水位L3(図9参照)は流量安定化兼用逆流防止機構11の堰11aのレベルL5より低い必要がある。また、立ち上げ当初のサイフォン形成時に必要な水を貯留する必要がある。従って、図9に示すVaの体積(流量安定化兼用逆流防止機構11のL5からL4までの体積からL5からL4の間の排出管5の外周に囲まれた内側部分の体積を除いた体積)が、Vbの体積(逆U字管のL5より上部で且つaの線(サイフォン頂部中心を通る線)より右側までの部分の体積)より大きくなるように設計する必要がある。なお、図9は図1の一部の詳細を示す図である。このような流量安定化兼用逆流防止機構11によって逆流する水量を堰11aに溜まる水量以下の量に抑えることができる。
【0033】
また、揚水ポンプ7の停止時(1次側と2次側の水位が同等になった場合)のサイフォン破壊を防止するため、上流側開水路1の最低水位L2は下流側開水路2の排水管5の吐出口レベルL4よりも高い必要がある(L2>L4)。また、万一紫外線ランプ17が破損した時の、ガラスや水銀などの異物回収としての機能も奏することが可能となる。
【0034】
上記流量安定化兼用逆流防止機構11の構成例を図3〜図5に示す。図3に示す流量安定化兼用逆流防止機構11は、下流側開水路2の天井壁30の下面に所定の体積Vaを有する容器21のフランジを固定し、該容器21の内部に排水管5の下端を挿入した構成である。図4に示す流量安定化兼用逆流防止機構11は、容器21内に管22を配置して取付けた構成であり、この管22の上端をフランジ24を介して排水管5の下端に接続している。これにより排水管5の下端は管22の下端となる。また、図5に示す流量安定化兼用逆流防止機構11は、排水管5の下端にU字状管27を介して上部が開口した漏斗状の容器28を接続した構成である。
【0035】
流量安定化兼用逆流防止機構11としては、維持管理の面から水渠の水を抜くことなく上部から取り外しが出来る構造が望ましい。図3〜図5に示す流量安定化兼用逆流防止機構11のうち、図5に示すものは、シンプルで且つ経済的で維持管理が容易であり、本発明に係る水処理装置に用いるのに最も適している。なお、材質はステンレスなど耐食性があり、長期間の使用に耐える材質が望ましい。
【0036】
揚水ポンプ7は、必要な水量及び揚程を満足していれば型式は問わないが、維持管理が容易に行うことができるよう、上流側開水路1の上部に設置されているか、若しくは上部に引き上げられる構造であるこことが望ましい。例としては横軸軸流ポンプ若しくは立軸軸流ポンプが適している。渦巻ポンプは陸上ポンプとして水道分野に限らず一般的によく使われているが、より高揚程(例えば5m以上)に使われているため省エネルギーの観点からは本発明に係る水処理装置に適しているとは言えない。
【0037】
次に、サイフォンポッド8の作用について述べる。本水処理装置運転時に、真空源(図示せず)に繋がったサイフォンポッド8の自動弁9を開き、サイフォン内を負圧にすることにより、吸込管4及び排水管5から水を吸い上げサイフォンを形成する。サイフォン管が満杯になったことはサイフォンポッド8に設けられた水位検知器10等で確認する。サイフォン形成を確認後、自動弁9を閉じ、揚水ポンプ7を運転して必要な処理水を通水させる。真空源としては、エジェクタによる負圧の生成や、真空ポンプによる方法などがある。既設設備として真空タンク等で充分な真空源が確保されている場合はそれを利用することもできる。
【0038】
なお、構造的にポンプ羽根が上流側開水路1の水面WL1より下方にある場合は、真空源がなくてもサイフォン管(バイパス管路19)を満杯にすることは可能であるが、以下の理由により真空源によりサイフォン形成を行うべきである。即ち、紫外線殺菌処理装置6は発熱を伴うことから、装置の紫外線ランプの点灯はサイフォン形成後に行うべきである。その際、揚水ポンプ7を利用して立ち上げると未処理水が2次側に流出することになる。真空源によりサイフォンを形成する場合、処理水は上流側開水路1から下流側開水路2には流れることはなく安全にサイフォン管を満杯にすることができる。
【0039】
上流側開水路1に連続的に水面WL1の水位を測定する水位計13を設置し、その検出水位から必要な供給水量を計算し、揚水ポンプ7の回転数を制御する制御装置(図示せず)を設ける。この制御装置により、上流側開水路1の水位が低下した場合には供給水量を減らし、且つ紫外線殺菌処理装置6に途切れることなく連続して処理水Waを送るように揚水ポンプ7の回転数を制御する。そして最大処理水量の低減化と流量の連続化を図ることにより、先に述べた通り紫外線殺菌処理装置6の能力を最大水量で規定能力を発揮するように設定する必要がなくなり、後述するように適正な能力のものに選定できる。
【0040】
図6は供給水量Qと上流側開水路の水位WL1の関係を示す図である。また、図7、図8は時間経過と水位及び供給水量の変動を示す。図7及び図8の横軸に時間経過順に「ろ過」、「洗浄」、「ろ過」、「洗浄」と区分して示すのは、上流側開水路1の前段にある急速ろ過池100の各工程の切り替えが行われることを示したものであり、両図の区分される時点において工程が同時に切り替わることを意味する。いずれの図も水位計13の検出水位により制御を行わない従来技術の場合(破線B)と、水位計13の検出水位による制御を行った本発明の場合(実線A)を示す。図7の破線Bのa〜fの各記号は従来の紫外線による殺菌処理において水位が変化する時点を示しており、aは水位が一定の状態から低下に転じる時点を、bは水位が低下する状態から最低水位に達する時点を、cは水位が最低水位から上昇に転じる時点を、dは水位が上昇する状態から上限水位に達する時点をそれぞれ指す。e、fはそれぞれa、bと同様であり時間経過とともにこのような変動を繰り返す。そして図7のa及びeは、ろ過工程から洗浄工程に転じる時点であり、cは洗浄工程からろ過工程に転じる時点である。図8のb、d及びfの記号は図7における同一記号と同じ時点を意味し、図8においてb及びfは揚水ポンプ7が水量一定(Qmax)の運転状態からポンプ停止状態に転じる時点、dはポンプ7の停止状態から水量一定の運転状態に転じる時点を示している。
【0041】
このように、図7の破線Bで示すように処理流量の制御を行わない従来技術では、上流側開水路1の水位WL1が周期的に低下し、装置を停止する必要が生じる。一方本発明では、洗浄による周期的に変動する前段ろ過池100等の処理水量に対し、上流側開水路1の水位WL1の低下時には紫外線殺菌処理装置6への処理水供給量を減らし、水位WL1の上昇時には処理水の供給量を増やすことで、水位WL1の変動を抑え、結果的に安定した運転ができる。また、図10は流量制御ポンプにポンプの回転数制御を用いた場合のポンプの水量Qと揚程Hの関係を示す図である。
【0042】
また、図8の実線Aで示す本発明と破線Bで示す従来例とを比較すると、本発明では最大処理水量は小さくなり、紫外線殺菌処理装置6に小さい処理能力の装置を選定することができる。また、本発明では水位変動による装置停止も伴わないため、装置停止を頻繁に行う従来技術に比較して、例えば1日5〜10回、紫外線殺菌処理装置6の紫外線ランプ17を停止した場合に比べてランプ寿命は50〜100%伸びることになる。一般に、低圧紫外線ランプでは発熱量が少なく、処理停止時にランプを停止することは不要であるが、中圧紫外線ランプの場合、発熱量が多いため処理停止時に紫外線ランプも同時に停止するのが一般的である。
【0043】
なお、紫外線殺菌処理装置6に供給する水量を変動させる手段としては、揚水ポンプ7の回転数制御が望ましいが、バルブによる流量調節も可能である。万一水位低下が生じた場合は、図1に示すように、循環バルブ32を備えた循環配管31を設置し、通常処理水よりも小さく、紫外線殺菌処理装置6の温度上昇を回避する必要最小限の処理水量を排水管5から上流側開水路1に戻すことにより、紫外線ランプを消灯することなく連続運転が可能である。
【0044】
図11は本発明に係る水処理装置の運転処理フロー示す図で、図11(a)は運転開始処理フローを、図11(b)は停止処理フローを、図11(c)は非常停止処理フローをそれぞれ示す。運転開始は次の手順で行う。先ず、運転信号が発せられると(ステップST1)、水位検知器10が満水、即ちサイフォン管が満杯状態にあることを検知しているか否かを判断する(ステップST2)。満水検知でない場合は真空弁(自動弁9)を開いて(ステップST3)満水を待ち、満水検知している場合は、紫外線殺菌処理装置(UV装置)6をONにする(ステップST4)。UV装置のスタートアップタイムである所定時間Ta(数分〜数十分)後、揚水ポンプ7の運転を開始し(図10の最小流量Qmin)(ステップST5)、続いて水位計13の検出水位による揚水ポンプ7の回転数制御を行い(ステップST6)、通常運転となる。
【0045】
運転停止は次の下記の手順で行う。水位計13の検出水位Lx=L2で揚水ポンプ7が図10の最小流量Qminにて運転状態である場合(ステップST11)、紫外線殺菌処理装置6(UV装置)が通水なしの運転限界時間である所定時間Tb後に、循環配管31の循環バルブ32を開いて排水管5の処理水を上流側開水路1に循環させ(ステップST12)、揚水ポンプ7の回転数fx=f1とする(ステップST13)。水位計13の検出水位WLx>L2であるか否かを判断し(ステップST14)、NOであったら処理水循環による運転待機時間である所定時間Tc後に循環バルブ32を閉じ(ステップST15)、揚水ポンプ7を停止(OFF)し(ステップST16)、続いて紫外線殺菌処理装置(UV装置)6を停止(OFF)する。
【0046】
前記ステップST14で、YESの場合、即ち検出水位WLx>L2である場合、循環バルブ32を閉じ(ステップST18)、揚水ポンプ7の運転を水位計13による制御、即ち揚水ポンプの回転数を水位計13の検知水位により制御し(ステップST19)、通常運転となる。
【0047】
非常停止は、次の手順で行う。紫外線殺菌処理装置(UV装置)6に異常が発生(紫外線ランプの破損、保護管の破損)(ステップST21)すると、紫外線殺菌処理装置を停止し(OFF)、真空破壊弁16を開き、及び揚水ポンプ7を停止(OFF)とする(ステップST22)。
【0048】
図12は本発明に係る水処理装置の他の実施形態例を示す図である。図1に示す水処理装置と相違する点は、サイフォン管(バイパス管路19)において、紫外線殺菌処理装置6の下流側がサイフォン管の中で最も高くなるように工夫し、その最高部に真空破壊弁16を設置している。紫外線殺菌処理装置6は、図2に示すように、通例水銀を封入した紫外線ランプ17を石英ガラスなどの強固な中空円筒形の保護管18内に設置している。万一保護管18と紫外線ランプ17が破損した場合、処理水中に水銀や保護管18や紫外線ランプ17を形成するガラス等の破片が流出する恐れがあるため、保護管18や紫外線ランプ17の破損時には瞬時にこれらの流出防止対策をしなければならない。
【0049】
本発明では、紫外線殺菌処理装置6の紫外線ランプ17の破損や保護管18の破損などを電気的に検知し、その信号により、図示しない制御装置は、瞬時に低揚程の揚水ポンプ7の運転を停止し、真空破壊弁16を開くことによりサイフォンを破壊する。万一装置に異常があった場合にも、自然流下により水銀やガラス片が下流側開水路2へ流出することを防ぐことができる。本発明では、従来技術で採用されている自動弁や緊急遮断弁による方法と比較して遮断が迅速であり、より確実に水銀やガラス片の下流側開水路2への流出を防ぐことができる。
【0050】
上述のように洗浄工程などによって流量変動が生じた場合、従来例では水量が平均化されないため、平均水量より高めの流量設定が必要となる。このことは紫外線殺菌処理装置を配備する場合、本来の平均水量ではなく、水量変動を考慮した最大水量において規定の殺菌能力を発揮させるため、従来は紫外線殺菌処理装置を過大なものにしていた。本発明では従来の最大水量に対するものの60〜80%にすることが可能であり、紫外線殺菌処理装置の能力としても60〜80%のもので済むので、コストの低減化が図れる。
【0051】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明に係る水処理装置の概略構成例を示す図である。
【図2】紫外線殺菌処理装置の構成例を示す図である。
【図3】流量安定化兼用逆流防止機構の構成例を示す図である。
【図4】流量安定化兼用逆流防止機構の構成例を示す図である。
【図5】流量安定化兼用逆流防止機構の構成例を示す図である。
【図6】供給水量と水位の関係を示す図である。
【図7】時間経過と上流側開水路の水位変化を示す図である。
【図8】時間経過と流量の変化を示す図である。
【図9】図1の一部の詳細を示す図である。
【図10】流量制御にポンプの回転数制御を用いた場合のポンプ流量と揚程の変化を示す図である。
【図11】本発明に係る水処理装置の運転処理フローを示す図である。
【図12】本発明に係る水処理装置の概略構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0053】
1 上流側開水路
2 下流側開水路
3 仕切壁
4 吸込み管
5 排水管
6 紫外線殺菌処理装置
7 揚水ポンプ
8 サイフォンポッド
9 自動弁
10 水位検知器
11 流量安定化兼用逆流防止機構
13 水位計
16 真空破壊弁
17 紫外線ランプ
18 保護管
19 バイパス管路
20 照射槽
21 容器
22 管
25 容器
27 U字管
28 容器
30 天井壁
31 循環配管
32 循環バルブ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1水路と第2水路と、
前記第1水路から前記第2水路をつなぐサイフォン配管と、
前記サイフォン配管に設けた紫外線殺菌処理装置と、
前記第1水路の水を前記サイフォン配管を通して前記第2水路に揚水する揚水ポンプと、
前記サイフォン配管の前記第2水路への出口に設けた流量安定化兼逆流防止機構と、
前記流量安定化兼逆流防止機構内の水面が前記第2水路の水面より高くするための堰と、
前記第1水路の水位を測定する水位計と、
前記水位計で検出した水位信号によって前記紫外線殺菌処理装置への水量を制御する制御装置と、を設けたことを特徴とする水処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の水処理装置において、
前記揚水ポンプは全揚程が4m以下の低揚水型のポンプであることを特徴とする水処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の水処理装置において、
前記制御装置は、前記水位計の水位信号により、前記揚水ポンプの回転数を制御することを特徴とする水処理装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の水処理装置において、
前記サイフォン配管は、前記紫外線殺菌処理装置の下流側が最も高くなるサイフォン形状となっており、該サイフォン形状の頭頂部に真空破壊弁を設置したことを特徴とする水処理装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の水処理装置において、
前記制御装置は、前記紫外線殺菌処理装置のランプ破壊などの緊急信号によって真空破壊弁の開閉を制御し、前記サイフォン配管の真空破壊を制御することを特徴とする水処理装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の水処理装置において、
前記サイフォン配管の前記紫外線殺菌処理装置の下流側から、前記第1水路に水を循環させる循環配管を配置したことを特徴とする水処理装置。
【請求項1】
第1水路と第2水路と、
前記第1水路から前記第2水路をつなぐサイフォン配管と、
前記サイフォン配管に設けた紫外線殺菌処理装置と、
前記第1水路の水を前記サイフォン配管を通して前記第2水路に揚水する揚水ポンプと、
前記サイフォン配管の前記第2水路への出口に設けた流量安定化兼逆流防止機構と、
前記流量安定化兼逆流防止機構内の水面が前記第2水路の水面より高くするための堰と、
前記第1水路の水位を測定する水位計と、
前記水位計で検出した水位信号によって前記紫外線殺菌処理装置への水量を制御する制御装置と、を設けたことを特徴とする水処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の水処理装置において、
前記揚水ポンプは全揚程が4m以下の低揚水型のポンプであることを特徴とする水処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の水処理装置において、
前記制御装置は、前記水位計の水位信号により、前記揚水ポンプの回転数を制御することを特徴とする水処理装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の水処理装置において、
前記サイフォン配管は、前記紫外線殺菌処理装置の下流側が最も高くなるサイフォン形状となっており、該サイフォン形状の頭頂部に真空破壊弁を設置したことを特徴とする水処理装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の水処理装置において、
前記制御装置は、前記紫外線殺菌処理装置のランプ破壊などの緊急信号によって真空破壊弁の開閉を制御し、前記サイフォン配管の真空破壊を制御することを特徴とする水処理装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の水処理装置において、
前記サイフォン配管の前記紫外線殺菌処理装置の下流側から、前記第1水路に水を循環させる循環配管を配置したことを特徴とする水処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−12439(P2010−12439A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−176503(P2008−176503)
【出願日】平成20年7月7日(2008.7.7)
【出願人】(308024395)荏原環境プラント株式会社 (8)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月7日(2008.7.7)
【出願人】(308024395)荏原環境プラント株式会社 (8)
【Fターム(参考)】
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