説明

水噴射式飛翔玩具の発射装置

【課題】 圧力タンク内に水と圧縮空気が封入された状態で、圧力タンクに設けられた噴射口と発射装置の発射口とを係合解除することで、圧縮空気の圧力で水を前記噴射口から噴射し、水噴射の反作用で飛翔する水噴射式飛翔玩具の発射装置において、係合解除を行なうための遠隔操作装置を改良し、低コストでかつ安全性の高い水噴射式飛翔玩具の発射装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 発射口9に設けられたスライド装置17を移動させることにより噴射口2と発射口9とを係合解除する構成とし、スライド装置17に、遠隔操作装置70の操作線18を保持する保持手段78を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力タンクとこの圧力タンクの後端に取り付けられた噴射口とを備え、圧力タンク内に水と圧縮空気を封入し、圧縮空気の圧力で水を噴射口から噴射し、水噴射の反作用で飛翔する水噴射式飛翔玩具の発射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上述した水噴射式飛翔玩具としてペットボトルロケットと称されるものがある。
このペットボトルロケットは、「日本ペットボトルクラフト協会」の提唱による飛翔玩具であり、従来のペットボトルロケットの例としては、登録実用新案第3031989号に示されているものがある。
【0003】
なお、図15に示すように、ペットボトルロケット3は、炭酸飲料水収納用のペットボトルを圧力タンク1とし、水が噴射する連通孔とペットボトルの口に形成された雄ねじに嵌合する雌ねじ部とを形成した噴射口2を上記圧力タンク1としたペットボトルの口に取り付けることによって構成される。また、それらに加えて、圧力タンク1の先端側にペットボトルを加工して作成した延長ボディ101を取付けたり、更にその先端に柔らかい部材で構成したノーズコーン102を取り付けたり、圧力タンク1の下部にペットボトルを加工して作成したスカート103を取り付けこのスカートに安定板104を取り付けたりするなど、種々の付加構造を設けることが可能である。なお、これら101乃至104の取り付けは、ステープル、ビニールテープ、両面テープ等を適宜用いて行なう。
【0004】
そして、ペットボトルロケット3を発射するには発射台を使用する。
図12に示すように、発射台4は、発射台本体5と、この発射台本体5の下部に放射上に取り付けられた3本の脚部6と、発射台本体の上部に角度可変に取り付けられた発射ベース7と、発射ベース7に取り付けられた発射口9と、発射操作を行なう遠隔操作装置10とからなる。
【0005】
発射口9は、図13、図14に示すように、上記ペットボトルロケット3の噴射口2を取り付け係止して噴射口2を閉塞して取り付ける係合状態と、噴射口2の係合を解除して、噴射口2を開放し、水の噴射を可能な係合解除状態に設定できる他、上記係合状態で噴射口2を介して上記圧力タンク1内に空気を圧入する空気圧入口8を備えたものである。なお、空気圧入口8は、自転車のタイヤ用空気バルブなどが利用される。
【0006】
遠隔操作装置10は、操作ハンドル16と、上記摺動部材15に接続され上記摺動部材15を発射ベース7に対して摺動させるスライド装置17と、上記操作ハンドル16及びスライド装置17の間を接続し、上記操作ハンドル16の動作を上記スライド装置17に伝達する操作ワイヤ18とから構成される。
【0007】
操作ハンドル16は、グリップ部61とこのグリップ部61に軸支されたレバー62とからなる。なお、符号67は誤操作防止用のハンドルストッパであり、ハンドルストッパ67を、レバー62に当接させることにより、レバー62の握りこみを不能とし、誤操作を防止する。
【0008】
操作ワイヤ18は、ワイヤ64と被覆部材65からなり、被覆部材65の一端は上記グリップ部に、他端は上記発射ベース7に接続されている。又、ワイヤ64の一端は上記操作ハンドル16のレバー62に接続され、他端は上記スライド装置17に延設されワイヤストッパ部材63が固定されている。
スライド装置17は上記摺動部材15を取り巻いて取り付けられた環状の部材で、上記操作ワイヤ18のワイヤ64が挿入された先端のワイヤストッパ63が係止されるワイヤ係止部66が設けられる。
【0009】
この遠隔操作装置10によれば、操作ハンドル16のレバー62をグリップ側に引くと、ワイヤ64が引っ張られ、スライド部材17が発射ベース7側にスライドさせる。これにより、スライド部材17と共に発射口9の摺動部材15が移動して発射口9と噴射口2の係合を解除して係合解除状態とし、ペットボトルロケット3が発射される。
【0010】
従って、本実施の形態にかかる水噴射式飛翔玩具の発射台によれば、発射台の発射口を遠隔操作装置で係合解除状態とできるので水噴射式飛翔玩具が噴射する水がかからない場所から発射操作を行なうことができる。
【0011】
なお、上記従来例に係る発射台4を用いてペットボトルロケット3を発射するには、まず、発射台本体5に脚部6を取り付けて、発射台を組み立てる。
そして、ペットボトルロケット3の圧力タンク1内に噴射口2から適量の水を入れる。
【0012】
次に、ペットボトルロケット3の噴射口2の差口12を、発射台4の発射口9の受口11に挿入して接続し係合状態とする。そして、発射ベース5の角度を発射角度に調整する。この場合、まず締結手段の蝶ナット39をゆるめて、発射台本体5に設けた凹凸部21の適切な位置に発射ベース7に設けた嵌合部22を嵌合させて角度を設定する。角度を設定したら締結手段の蝶ナット39を締めて発射ベースの角度を固定する。
【0013】
そして、自転車用空気入れで発射口9の空気バルブ8から空気をペットボトルロケットの圧力タンク内に圧入する。
【0014】
その後、発射台4から離れ、ペットボトルロケット3からの噴射水がかからない個所で遠隔操作装置10の操作ハンドル16のレバー62を操作し、発射口9を係合解除状態として接続を解除して、ペットボトルロケット3を発射する。
【0015】
【特許文献1】登録実用新案第3031989号
【0016】
〔問題点〕
ところで、上述した従来の水噴射式飛翔玩具の発射台4にあっては、発射台と遠隔操作装置10のワイヤ64とを連結するために、ワイヤ64をワイヤストッパ63に挿入して係止し、ワイヤストッパ63をワイヤ係止部66に係止するという態様を取っている。
このため、ワイヤ係止構造が複雑化し、コスト高となっていた。
また、ワイヤ64をワイヤストッパ63に係止する際には、ワイヤストッパ63に設けたねじ孔にネジを挿入してワイヤ64をネジ止めする等していたが、ワイヤストッパ63が小さな別部材であったため、ネジ止め等を行う際に、ワイヤストッパ63を手に持ってワイヤストッパ63のねじ孔にネジを挿入する等の作業が行い難く、ペットボトルロケット発射装置を組み立てる際の組立性に問題があった。
【0017】
さらに、操作ハンドル16は、グリップ部61とこのグリップ部61に軸支されたレバー62とからなり、誤操作防止用のハンドルストッパ67を設けているが、ハンドルストッパ67はレバー62に当接しているのみであるためハンドルストッパ67が外れやすく、係止が外れた場合、意図せずペットボトルロケット3が発射されてしまったり、グリップ部61とレバー62との隙間に指などが挟まれてしまう可能性があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、従来の技術における前記問題点を解消するためのものであり、そのための課題は、低コストでかつ安全性の高い水噴射式飛翔玩具の発射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明における前記課題が効果的に解決される水噴射式飛翔玩具の発射装置を特定するために、必要と認める事項の全てが網羅され、具体的に構成された、課題解決手段を以下に示す。
【0020】
本発明の請求項1に係る水噴射式飛翔玩具の発射台は、圧力タンクと、前記圧力タンクの後端に設けた噴射口と、前記噴射口と連結される発射口を備えた発射台と、前記噴射口と前記発射口とが連結された状態で前記圧力タンク内に圧縮空気を封入可能な空気圧入口とを有し、前記圧力タンク内に水と圧縮空気が封入された状態で前記噴射口と前記発射口とを係合解除することで、圧縮空気の圧力で水を前記噴射口から噴射し、水噴射の反作用で飛翔する水噴射式飛翔玩具の発射装置において、前記発射口は受口を有して構成され、前記噴射口はこの受口内に差し込まれる差口を有して構成され、発射口には、発射口の受口内に噴射口の差口を差し込んだとき、差口の係合部に係合して差口の抜け出しを阻止する抜止部材と、進退自在に取り付けられた摺動部材とを備え、この摺動部材を移動させることにより、上記抜止部材と差口との係合を解除するものとし、前記発射装置が、前記噴射口と前記発射口とを遠隔操作によって係合解除可能な遠隔操作装置を有し、前記遠隔操作装置が、少なくとも、軸方向に移動することで摺動部材を連動して移動させる操作線と、操作線を軸方向に移動させる遠隔操作部からなり、前記摺動部材に、前記操作線を保持する保持手段を設けたことを特徴とする。
【0021】
また、本発明の請求項2に係る発明は、請求項1にかかる水噴射式飛翔玩具の発射台において、前記遠隔操作装置が、前記操作線の動きに前記摺動部材を連動させる連動装置を有し、前記連動装置に前記操作線を保持する保持手段を設ける構成とすることを特徴とする。
【0022】
また、本発明の請求項3では、請求項1または2にかかる水噴射式飛翔玩具の発射台において、前記保持手段を、前記摺動部材または前記連動装置に係止され前記操作線を押圧する押圧部材によって構成することを特徴とする。
【0023】
さらに、本発明の請求項4にかかる発明では、請求項1乃至3にかかる水噴射式飛翔玩具の発射台において、前記保持手段を、前記押圧部材と、前記摺動部材または前記連動装置に設けた段差部とによって構成することを特徴とする。
【0024】
加えて、本発明の請求項5にかかる発明では、請求項1乃至4にかかる水噴射式飛翔玩具の発射台において、前記遠隔操作部が、本体と、本体に対して嵌入した状態で、本体内部に対してさらに回動嵌入可能な握り部と、本体側に設けられた操作部ストッパとからなり、握り部の握り動作によって前記噴射口と前記発射口とを係合解除可能な遠隔操作装置であって、
該操作部ストッパが、本体に設けた収納部に収納されて握り部の握り操作を可能とする第1の状態と、握り部に設けた係止部に係止されて握り部の握り操作を不能とする第2の状態とをとる構成とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
上記請求項1の構成によれば、摺動部材に、操作線を保持する保持手段を設けたため、摺動部材と操作線との連動に要する構成を簡素化し、組立性を向上させた水噴射式飛翔玩具の発射台を提供することができる。
【0026】
上記請求項2の構成によれば、遠隔操作装置および連動装置を付加するのみで、摺動部材と操作線との連動に要する構成を簡素化しつつ、既存の、遠隔操作装置を有しない水噴射式飛翔玩具に対して、遠隔操作機能を付加することが容易となる。
【0027】
上記請求項3または4の構成によれば、操作線と摺動部材とを効果的に保持し、より安全性の高い水噴射式飛翔玩具の発射台を提供することができる。
【0028】
上記請求項5の構成によれば、操作部ストッパが、握り部に設けた係止部にしっかりと係止されて遠隔操作部の誤操作を防止するため、操作部ストッパの係止が外れる心配が無い。また、万が一操作部ストッパの係止が外れたとしても、遠隔操作部の握り部が、常に本体内部に嵌入しているので、本体と握り部との間に隙間が生じる可能性が無く、指や小石などの異物が挟まれる心配が無い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下本発明に係る水噴射式飛翔玩具の発射台の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、本発明に係る水噴射式飛翔玩具の発射台のうち、遠隔操作装置を除いては従来例と同一の構造を採用可能であり、従来例と同一の構成要素については従来例と同一符号を用いて説明する。
【0030】
図1乃至図11は、本実施の形態に係る水噴射式飛翔玩具の発射台の例を示すものである。
この例において、水噴射式飛翔玩具であるペットボトルロケット3の構造は従来例で示したものと同様である。
【0031】
図1に示すように、本例に係る発射台4は、発射台本体5と、この発射台本体5の下部に放射上に取り付けられた3本の脚部6と、発射台本体の上部に角度可変に取り付けられた発射ベース7と、発射ベース7に取り付けられた発射口9と、発射操作を行なう遠隔操作装置70とからなる。
【0032】
図2に示すように、発射台本体5は、合成樹脂で薄肉に一体成型されており、底部31と底部31の一端から円弧状に上方に立ち上がる立上部32とからなる。底部31は、外側の三方から放射状に上記脚部6の取付部33を設けている。この取付部33の上面には脚固定用の係合爪34を形成している。
【0033】
立上部32の内側には、図2及び図3に示すように、上記発射ベース7を取付けるため2列のリブ35を設けている。このリブ35には、発射ベース軸支用の孔36と、この孔36を中心とする円弧上に列をもって設けた断面が連続した山型の凹凸部21と、発射ベース7固定用のボルト38が貫通する円弧状の長孔37とを設けている。又、立上部32の上端には上記発射ベース7配置用の切欠き部を形成している。尚図3中符号39はこのボルト38に螺合する蝶ナットであり、このボルト38と蝶ナット39とで、締結手段24を構成する。
【0034】
脚部6は、合成樹脂で薄肉に一体成型され補強用のリブが適宜配置されており、上記発射装置本体5の取付部33が挿入される孔部41と、上記取付部の係合爪34が係合する係合孔部42とが形成され、発射台本体5に取り付け取り外しできる。
【0035】
発射ベース7は、合成樹脂で成型され、板部材44及び板部材44の両端に上記発射ベースのリブ35の内側に接する立上板部45を形成した取付べース部46と、この取付ベース部46に上記発射口9を取付ベース部46に取付けることにより取り付けられるランチャ部47とからなる。ランチャ部47は、合成樹脂で全体L字状に形成され、図1に示すように発射台にペットボトルロケット3が取り付けられたとき、ペットボトルロケット3の下側側面に接触して、ペットボトルロケットを支持する。
【0036】
上記取付ベース部46の2つの立上板部45には、それぞれ上記発射台本体4のリブ35に開設された孔36に挿入される軸19と、上記リブ35に設けられた凹凸部21に嵌合する嵌合部22と、上記ボルトが貫通する孔部48と、ボルトの頭が保持されるボルト保持部49とが形成される。上記嵌合部22は、上記凹凸部21のいずれかの位置の凹部に嵌合して、上記発射台本体5に対する発射ベース7の角度位置を位置決めする位置決め手段23を構成する。
この位置決め手段23と上記締結手段24とで固定手段20を構成している。
【0037】
発射ベース7には発射口9を取り付けている。
図2に示すとおり、発射口9は、上記水噴射式飛翔玩具3の噴射口2を取り付け係止して噴射口2を閉塞して取り付ける係合状態と、噴射口2の係合を解除して、噴射口2を開放し、水の噴射を可能な係合解除状態に設定できる他、上記係合状態で噴射口2を介して上記圧力タンク1内に空気を圧入する空気圧入口8を備えたものである。
【0038】
発射口9の構造を図3に示す。この発射口9は、ワンタッチ接続式のホース継手の受口側部材に空気圧入口8として自転車のタイヤ用の空気注入バルブを取付けて構成している
【0039】
発射口9は受口11を有しており、受口11には、この受口11内に噴射口2の差口12を差し込んだとき、差口12の係合部13に係合して差口12の抜け出しを阻止する抜止部材14を有しており、この抜止部材14は、受口の外側に進退自在に取り付けられた摺動部材15に接触している。
【0040】
この抜止部材は、図3に示すように通常受口に先端を出す爪部材51であり、この爪部材51は、噴射口2の受口12の挿入時には弾性的に変形し、受口12を射し込めるものとなり、噴射口2が発射口9に完全に差し込まれた状態で、係合部13に引っ掛かり、噴射口2が噴射口9から外れない係合状態となる。
【0041】
発射口9を構成する外側部材である環状の摺動部材15は上記スプリング52で常時噴射口側(図3中矢印Cの方向)に付勢され、爪部材51が上記係合部13に係合された状態を保ち、ペットボトルロケット3の噴射口2を取り付け係止して噴射口2を閉塞して取り付ける係合状態に保つ。
【0042】
この摺動部材15を遠隔操作装置70を用いて、付勢方向と反対の方向に移動させると、爪部材51は外側に向け開いて係合部13との係合が解除され、噴射口2の係合を解除して係合解除状態となり、噴射口2を開放し、ペットボトルロケット3は噴射口2から水を噴射して発射される。
【0043】
発射口9は、発射口9を構成する端部部材53を上記発射ベース7を挟んで発射口9の本体にねじ込むことにより、発射ベース7に取付ける。
【0044】
空気圧入口8は、自転車のタイヤ用空気バルブであり、図3に示すように5つの部材から構成される。図3において、55はバルブ本体、56は六角ナット、57は虫ゴム、58はプランジャ、59は袋ナットを示している。空気圧入口8が発射口9に組み込まれることにより、発射口9の後端は密閉され、空気圧入口8から空気を噴射口2側に圧入可能となる。
【0045】
図4に示すように、遠隔操作装置70は、グリップ本体71、握り部72からなる遠隔操作部73と、上記摺動部材15に接続され上記摺動部材15を発射ベース7に対して摺動させる連動装置74と、上記遠隔操作部73及び上記連動装置74の間を接続し、上記操作遠隔操作部73の動作を上記連動装置74に伝達する操作ワイヤ18とから構成される。
【0046】
図2および図4に示すように、操作ワイヤ18は、ワイヤ64と被覆部材65からなり、被覆部材65の一端は上記グリップ本体71に、他端は上記発射ベース7に接続されている。又、ワイヤ64の一端は上記遠隔操作部73の握り部72に接続され、他端は上記連動装置74のワイヤ保持部75に挿入され、後述する保持手段78によって保持されている。
【0047】
図5および図6に示すように、連動装置74は、上記摺動部材15を取り巻いて取り付けられた環状の部材で、摺動部材15に対して引っかかる連動部75が形成されている。
【0048】
また、連動装置74には、操作ワイヤ18のワイヤ64が保持される、孔形状のワイヤ保持部76と、ねじ孔77が形成され、押圧部材78aが挿入されている。また、ワイヤ保持部75の発射ベース7側の端部には、段差部78bが形成されている。
【0049】
保持手段78は、上記78aと78bからなり、その保持作用は以下のとおりである。
ワイヤ保持部75にワイヤ64を挿入した状態で、ねじ孔76に押圧部材78aを挿入することで、押圧部材78がワイヤ64を押圧し、図6に示すように、ワイヤ保持部75の内壁に押し当てる。押圧部材78aによって押圧される押圧作用による保持に加え、変形したワイヤが、段差部78bに引っかけられることにより保持され、二重に保持されている。
【0050】
このため、連動装置74が発射ベース7側、すなわち図3における矢印Cの方向とは反対側に軸方向移動すると、連動装置74の軸方向移動に連動して、摺動部材15が前記スプリング52の付勢力に抗して軸方向移動することになる。
【0051】
図7および図8に示すように、遠隔操作部73のグリップ本体71には、グリップ孔71aが設けられており、握り部72に設けられた握り回動軸72aが前記グリップ孔71aに係止され、握り部72が握り回動軸72aを中心に回動可能となっている。
【0052】
また、図9に示すように、握り部72の側面部72bは常にグリップ本体71側に嵌入しており、グリップ本体71と握り部72との間には指や小石などの異物がはさまれる隙間が生じないようになっている。
【0053】
さらに、遠隔操作部73には、操作部ストッパ79が設けられている。操作部ストッパ79にはストッパ回動軸79aが設けられており、グリップ本体71に設けたストッパ孔71bに係止され、図8に示すとおり、操作部ストッパ79はストッパ回動軸79aを中心に回動可能となっている。
【0054】
また、図8乃至図11に示すように、操作部ストッパ79には、グリップ本体側係止部79bと、握り部側係止部79cと、鍔79dが形成されている。グリップ本体71には収納部71cが、握り部72には係止凹部72cが形成されており、操作部ストッパ79は、グリップ本体側係止部79bが収納部71cに押し込まれて握り部72が回動可能となる収納状態(第一の状態)と、握り部側係止部79cが係止凹部72cに押し込まれて握り部72が回動不能となる係止状態(第二の状態)とを取ることができる。
【0055】
このため、遠隔操作部73の操作時は、操作部ストッパ79をグリップ本体側の収納部71cに収納しておき、遠隔操作部73の握り操作を不能としておきたいときは、鍔79dを持って操作部ストッパ79を持ち上げ、握り部側の係止凹部72cに係止することで、遠隔操作部73の誤操作を防止することができる。
【0056】
このため、本発明にかかる遠隔操作装置70によれば、握り部72を握ると、握り部72が回動してグリップ本体71側に押し込まれるとともに、握り部72に接続されたワイヤ64が図3中のC方向とは反対側に軸方向移動し、ワイヤ64の他端が接続されている連動装置74および摺動部材15が同方向に軸方向移動することとなる。これにより、発射口9と噴射口2の係合を解除して係合解除状態とし、ペットボトルロケット3が発射される。
【0057】
なお、本例に係る発射台4を用いてペットボトルロケット3を発射する際の手順は、以下のとおりである。
【0058】
まず、発射台本体5に脚部6を取付発射台を組み立てる。
そして、ペットボトルロケット3の圧力タンク1内に噴射口2から適量の水を入れる。
【0059】
次に、ペットボトルロケット3の噴射口2の差口12を、発射台4の発射口9の受口11に挿入して接続し係合状態とする。そして、発射ベース5の角度を発射角度に調整する。この場合、まず締結手段の蝶ナット39をゆるめて、発射台本体5に設けた凹凸部21の適切な位置に発射ベース7に設けた嵌合部22を嵌合させて角度を設定する。角度を設定したら締結手段の蝶ナット39を締めて発射ベースの角度を固定する。
【0060】
そして、自転車用空気入で発射口9の空気バルブ8から空気をペットボトルロケットの圧力タンク内に圧入する。その際、操作部ストッパ79を係止状態としておき、遠隔操作部72の誤操作を防止しておくことが望ましい。
【0061】
その後、発射台4から離れ、ペットボトルロケット3からの噴射水がかからない個所で遠隔操作装置70の操作部ストッパ79の係止状態を解除し、握り部72を操作し、発射口9を係合解除状態として接続を解除して、ペットボトルロケット3を発射する。
【0062】
〔別態様〕
上記実施例では、連動装置74を、発射口9の摺動部材15とは別体で構成し、連動装置74を介して摺動部材15を摺動させる構成としたが、摺動部材15に直接ワイヤ64を接続して、ワイヤ64の軸方向移動による操作力を、摺動部材15に直接伝えることも可能である。
【0063】
〔別態様2〕
また上記実施例では、保持手段78として押圧部材78aと段差部78bとを併用する構成としたが、操作線の保持手段としては、他に、連動装置74のワイヤ保持部75の表面形状を、摩擦係数の高い形状とすることとしたり、摩擦係数の大きな素材を用いたりしてもよい。また、ワイヤ保持部75に段差部などの特殊な形状を設けず、単に押圧部材78aの押圧力のみによってワイヤ64の保持を行なうこととしてもよい。また、上記実施例では、ワイヤ保持部75を孔形状としてねじ孔76を設け、上部から押圧部材を押し当てる形式によってワイヤ64を保持しているが、ワイヤ保持部75の形状としては、例えば、ワイヤ保持部75を孔形状とはせず、ワイヤ保持部75にワイヤ64を配置した後周囲からリング状部材等で締結したり、スナップフィット部材などを差し込んで固定することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施の形態に係る水噴射式飛翔玩具の発射台を示す斜視図である。
【図2】図1に示した水噴射式飛翔玩具の発射台の側面図である。
【図3】図2に示した発射台のA―A断面図である。
【図4】図1に示した水噴射式飛翔玩具の発射口の部品図である。
【図5】図4に示した発射口の中央断面図である。
【図6】図5の一部拡大断面図である。
【図7】図1に示した水噴射式飛翔玩具の遠隔操作部の分解図である。
【図8】図7に示した遠隔操作部を組み立てた図である。
【図9】図8に示した遠隔操作部の中央断面図である。
【図10】遠隔操作部の握り操作を可能とした状態の図である。
【図11】遠隔操作部の握り操作を不能とした状態の図である。
【図12】従来の水噴射式飛翔玩具の発射台の構成を水噴射式飛翔玩具の構成と共に示す斜視図である。
【図13】従来の水噴射式飛翔玩具の発射台の平面図である。
【図14】図13中のB−B線に沿う拡大断面図である。
【図15】水噴射式飛翔玩具において使用されるペットボトルロケットの正面図である。
【符号の説明】
【0065】
1 圧力タンク
101 延長ボディ
102 ノーズコーン
103 スカート
104 安定板
2 噴射口
3 ペットボトルロケット
4 発射台
5 発射台本体
6 脚部
7 発射ベース
8 空気圧入口
9 発射口
10 遠隔操作装置
11 受口
12 差口
13 係合部
14 抜止部材
15 摺動部材
16 操作ハンドル
17 スライド装置
18 操作ワイヤ
19 軸
20 固定手段
21 凹凸部
22 嵌合部
23 位置決め手段
24 締結手段
31 底部
32 立上部
33 取付部
34 係合爪
35 リブ
36 孔
37 凹凸部
38 ボルト
39 蝶ナット
41 孔部
42 係合孔部
44 板部材
45 立上板部
46 取付ベース部
47 ランチャ部
51 爪部材
52 スプリング
55 バルブ本体
56 六角ナット
57 虫ゴム
58 プランジャ
59 袋ナット
61 グリップ部
62 レバー
63 ワイヤストッパ
64 ワイヤ
65 被覆部材
66 ワイヤ係止部
67 ハンドルストッパ
70 遠隔操作装置
71 グリップ本体
71a グリップ孔
71b ストッパ孔
71c 収納部
72 握り部
72a 握り回動軸
72b 側面部
72c 係止凹部
73 遠隔操作部
74 連動装置
75 連動部
76 ワイヤ保持部
77 ねじ孔
78 保持手段
78a 押圧部材
78b 段差部
79 操作部ストッパ
79a ストッパ回動軸
79b グリップ本体側係止部
79c 握り部側係止部
79d 鍔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力タンクと、前記圧力タンクの後端に設けた噴射口と、
前記噴射口と連結される発射口を備えた発射台と、
前記噴射口と前記発射口とが連結された状態で前記圧力タンク内に圧縮空気を封入可能な空気圧入口とを有し、
前記圧力タンク内に水と圧縮空気が封入された状態で前記噴射口と前記発射口とを係合解除することで、圧縮空気の圧力で水を前記噴射口から噴射し、水噴射の反作用で飛翔する水噴射式飛翔玩具の発射装置において、
前記発射口は受口を有して構成され、前記噴射口はこの受口内に差し込まれる差口を有して構成され、発射口には、発射口の受口内に噴射口の差口を差し込んだとき、差口の係合部に係合して差口の抜け出しを阻止する抜止部材と、進退自在に取り付けられた摺動部材とを備え、この摺動部材を移動させることにより、上記抜止部材と差口との係合を解除するものとし、
前記発射装置が、前記噴射口と前記発射口とを遠隔操作によって係合解除可能な遠隔操作装置を有し、
前記遠隔操作装置が、少なくとも、
軸方向に移動することで摺動部材を連動して移動させる操作線と、
操作線を軸方向に移動させる遠隔操作部とからなり、
前記摺動部材に、前記操作線を保持する保持手段を設けた
ことを特徴とする水噴射式飛翔玩具の発射装置。
【請求項2】
前記遠隔操作装置が、前記操作線の動きに前記摺動部材を連動させる連動装置を有し、前記連動装置に前記操作線を保持する保持手段を設けたことを特徴とする、請求項1記載の水噴射式飛翔玩具の発射装置。
【請求項3】
前記保持手段が、前記摺動部材または前記連動装置に係止され前記操作線を押圧する押圧部材によって構成される、請求項1又は2記載の水噴射式飛翔玩具の発射装置。
【請求項4】
前記保持手段が、前記押圧部材と、前記摺動部材または前記連動装置に設けた段差部とによって構成される、請求項1乃至3記載の水噴射式飛翔玩具の発射装置。
【請求項5】
前記遠隔操作部が、本体と、本体に対して嵌入した状態で、本体内部に対してさらに回動嵌入可能な握り部と、本体側に設けられた操作部ストッパとからなり、握り部の握り動作によって前記噴射口と前記発射口とを係合解除可能な遠隔操作装置であって、
該操作部ストッパが、本体に設けた収納部に収納されて握り部の握り操作を可能とする第1の状態と、握り部に設けた係止部に係止されて握り部の握り操作を不能とする第2の状態とをとる、請求項1乃至4記載の水噴射式飛翔玩具の発射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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