説明

水変色性玩具及びそれを用いた玩具セット

【課題】 鮮鋭な透視像を形成できると共に、耐水性、耐折り畳み強度を満たす水変色性玩具、及び前記玩具と水付着手段をセットにした玩具セットを提供する。
【解決手段】 微粒子状珪酸をバインダー樹脂に分散状態に固着させた多孔質層3を、目付け量30g/m〜1000g/mの範囲にある布帛からなる支持体2上に形成して、水変色性玩具1を構成する。更に、前記玩具1と水付着手段6をセットにし、水変色性玩具セットを構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水変色性玩具及びそれを用いた玩具セットに関する。更に詳細には、乾燥した状態と、水の付着手段を介して水を含浸した状態では異なる様相を示す水変色性玩具及びそれを用いた玩具セットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、支持体上に低屈折率顔料を含有する多孔質層を設け、前記多孔質層に液体を吸液させることにより透明化して、下層に設けた画像を現出させる加工紙や水像シートが開示されている(例えば、特許文献1、2参照)。
前記した提案の主たる応用分野として、従来より、書道練習、画像隠顕玩具等に適用されており、紙を支持体とするものが主体であり、耐久性に乏しかった。
【特許文献1】特公昭50−5097号公報
【特許文献2】特公平5−15389号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明らは、特定目付け量の織布、編物、不織布から選ばれる布帛を支持体として適用することにより、水吸収性が適正であり、鮮鋭な透視像を現出させることができると共に、前記した従来の耐久性不足を解消できることを見出し、この種の画像形成要素の商品性を更に高めようとするものである。
本発明は、シート自体を幼児等が上に乗って遊べる程度の大面積となし、幼児等が多様な像を落書き感覚で自在に形成可能であり、玩具性と持久性を満たす新たな水変色性玩具、及び水付着手段とセットにした水変色玩具セットを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明を図面について説明する(図1乃至図5参照)。
本発明は、微粒子状珪酸をバインダー樹脂に分散状態に固着させた多孔質層3を織布、編物、不織布から選ばれる支持体2表面に設け、吸液状態と非吸液状態で透明性を異にする水変色性玩具において、前記支持体2が、目付け量30g/m〜1000g/mの範囲にある布帛であり、前記微粒子状珪酸とバインダー樹脂の混合比率が微粒子状珪酸1重量部に対してバインダー樹脂固形分0.5〜2重量部である水変色性玩具1を要件とする。
更には、前記微粒子状珪酸の粒径が0.03〜10.0μmであること、前記多孔質層3の下層、上層、又は近傍には、着色層4が設けられてなること、前記布帛の背面に、水不浸透性のシート材5が貼着されてなること、前記水不浸透性のシート5は、軟質熱可塑性樹脂又は熱可塑性エラストマーから選ばれる、1μm〜3mmの厚みのシートであること等を要件とする。
更には、前記水変色性玩具1と、水付着手段6をセットにした水変色性玩具セットを要件とする。
更には、前記水付着手段6は、連続気孔を有するプラスチック多孔体又は繊維加工体、或いは前記プラスチック多孔体又は繊維加工体をペン先部材として適用した筆記又は塗布具形態の何れかより選ばれること等を要件とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明の水変色性玩具は、特定目付け量の織布、編物、不織布から選ばれる布帛を支持体とするものであるから、紙を支持体とする系に較べて、多孔質層からの水の浸透、保持性が適正であり、鮮鋭な透視像を速やかに形成して視覚させることができる上、吸水状態にあっても強度が低下することがない。又、耐水性、耐折り畳み強度に富み、繰り返しの実用性を満足させることができる。
更に、布帛の背面に水不浸透性のシート材を貼着させた系では、誤って若干量の水を玩具上で零したり、過飽和の水を布帛が吸収した状態にあっても、玩具背部に水が滲出、又は漏れだして、床や畳等の汚染を回避できる。
又、水付着手段と前記水変色性玩具をセットにすることにより、簡易に多様な像を現出させる玩具セットを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
前記微粒子状珪酸は、乾式法によるものであってもよいが、湿式法により製造される微粒子状珪酸(以下、湿式法微粒子状珪酸と称する)が特に効果的であり、実用性を満たす。
この点を以下に説明する。
微粒子状珪酸は非晶質の無定形珪酸として製造され、その製造方法により、四塩化ケイ素等のハロゲン化ケイ素の熱分解等の気相反応を用いる乾式法によるもの(以下、乾式法微粒子状珪酸と称する)と、ケイ酸ナトリウム等の酸による分解等の液相反応を用いる湿式法によるものとに大別されるが、本発明の意図する隠蔽性多孔質層として機能させるためには、湿式法微粒子状珪酸が最適である。これは、乾式法微粒子状珪酸と湿式法微粒子状珪酸とでは構造が異なり、前記乾式法微粒子状珪酸は以下に示されるような珪酸が密に結合した三次元構造を形成するのに対して、
【化1】

【0007】
湿式法微粒子状珪酸は、以下に示されるように、珪酸が縮合して長い分子配列を形成した、所謂、二次元構造部分を有している。従って、前記乾式法微粒子状珪酸と比較して分子構造が粗になるため、湿式法微粒子状珪酸を多孔質層に適用した場合、乾式法微粒子状珪酸を用いる系と比較して乾燥状態における光の乱反射性に優れ、よって、常態での隠蔽性が大きくなるものと推察される。
【化2】

【0008】
前記多孔質層3においては、水を吸液させるものであるから、湿式法微粒子状珪酸は乾式法微粒子状珪酸に比べて粒子表面にシラノール基として存在する水酸基が多く、親水性の度合いが大であり、好適に用いられる。
尚、前記多孔質層の常態での隠蔽性と吸液状態での透明性を調整するために、湿式法微粒子状珪酸と共に、他の汎用の低屈折率顔料を併用することもできる。
【0009】
前記多孔質層3中の湿式法微粒子状珪酸は、粒子径、比表面積、吸油量等の性状に左右されるが、常態での隠蔽性と吸液状態での透明性を共に満足するためには、塗布量が1g/m〜30g/mであることが好ましく、より好ましくは、5g/m〜20g/mである。1g/m未満では、常態で十分な隠蔽性を得ることが困難であり、又、30g/mを越えると吸液時に十分な透明性を得ることが困難である。
前記微粒子状珪酸の粒径は特に限定されるものではないが、0.03〜10.0μmのものが好適に用いられる。
前記微粒子状珪酸はバインダー樹脂を結合剤として含むビヒクル中に分散され、織布、編物、不織布から選ばれる支持体2に塗布した後、揮発分を乾燥させて多孔質層3を形成する。
前記バインダー樹脂としては、ウレタン系樹脂、ナイロン樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、アクリル酸エステル共重合樹脂、アクリルポリオール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、マレイン酸樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、スチレン共重合樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、スチレン−ブタジエン共重合樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合樹脂、メタクリル酸メチル−ブタジエン共重合樹脂、ブタジエン樹脂、クロロプレン樹脂、メラミン樹脂、及び前記各樹脂エマルジョン、カゼイン、澱粉、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール、尿素樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
前記微粒子状珪酸とこれらのバインダー樹脂の混合比率は、微粒子状珪酸の種類及び性状に左右されるが、好ましくは、微粒子状珪酸1重量部に対してバインダー樹脂固形分0.5〜2重量部であり、より好ましくは、0.8〜1.5重量部である。微粒子状珪酸1重量部に対してバインダー樹脂固形分が0.5重量部未満の場合には、前記多孔質層3の実用的な皮膜強度を得ることが困難であり、2重量部を越える場合には、前記多孔質層3内部への水の浸透性が悪くなる。
前記多孔質層3は、従来より公知の一般的な塗膜と比較して着色剤に対するバインダー樹脂の混合比率が小さいため、十分な皮膜強度が得られ難い。そこで、耐擦過強度を高めるために、前記のバインダー樹脂のうち、ナイロン樹脂又はウレタン系樹脂を用いるか、他の樹脂と併用すると効果的である。
前記ウレタン系樹脂としては、ポリエステル系ウレタン樹脂、ポリカーボネート系ウレタン樹脂、ポリエーテル系ウレタン樹脂等があり、2種以上を併用することもできる。又、前記樹脂が水に乳化分散したウレタン系エマルジョン樹脂や、イオン性を有するウレタン樹脂(ウレタンアイオノマー)自体のイオン基により乳化剤を必要とすることなく自己乳化して、水中に溶解乃至分散したコロイド分散型(アイオノマー型)ウレタン樹脂を用いることもできる。
尚、前記ウレタン系樹脂は水性ウレタン系樹脂又は油性ウレタン系樹脂のいずれを用いることもできるが、本発明においては水性ウレタン系樹脂、殊に、ウレタン系エマルジョン樹脂やコロイド分散型ウレタン系樹脂が好適に用いられる。
前記ウレタン系樹脂は単独で用いることもできるが、支持体の種類や皮膜に必要とされる性能に応じて、他のバインダー樹脂を併用することもできる。ウレタン系樹脂以外のバインダー樹脂を併用する場合、実用的な皮膜強度を得るためには、前記多孔質層のバインダー樹脂中にウレタン系樹脂を固形分重量比率で30%以上含有させることが好ましい。
前記バインダー樹脂において、架橋性のものは任意の架橋剤を添加して架橋させることにより、さらに皮膜強度を向上させることができる。
前記バインダー樹脂には、水との親和性に大小が存在するが、これらを組み合わせることにより、多孔質層3中への浸透時間、浸透度合い、浸透後の乾燥の遅速を調整することができる。更には、適宜分散剤を添加して前記調整をコントロールすることができる。
【0010】
尚、前記多孔質層3中には、従来より公知の二酸化チタン被覆雲母、酸化鉄−二酸化チタン被覆雲母、酸化鉄被覆雲母、グアニン、絹雲母、塩基性炭酸鉛、酸性砒酸鉛、オキシ塩化ビスマス等の金属光沢顔料を添加したり、一般染料や顔料、蛍光染料や蛍光顔料を混在させて色変化を多様化させることができる。
又、温度変化により可逆的に色変化する、従来より公知の可逆熱変色顔料を混在させて、環境温度や付着させる水温により色変化させることができる。
更には、前記多孔質層3の上層、下層、及び/又は近傍には着色層4を配設して様相変化を更に多様化させることができる。
尚、前記多孔質層3及び着色層4は、ベタ印刷状のものに限らず、文字、記号、図柄等の像であってもよい。
前記多孔質層3及び着色層4は、従来より公知の手段、例えば、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビヤ印刷、コーター、タンポ印刷、転写等の印刷手段、刷毛塗り、スプレー塗装、静電塗装、電着塗装、流し塗り、ローラー塗り、浸漬塗装、等により適宜、形成できる。
【0011】
前記支持体2として、織布、編物、不織布から選ばれる布帛の適用を要件とする。更に具体的には、目付け量30g/m〜1000g/mの範囲にある布帛を要件とする。前記目付け量が30g/m未満の系では、水の吸収性が不均質且つ不十分であり、鮮鋭な透視像を形成し難い。一方、1000g/mを超える系では、布帛の肉厚が必要以上に肉厚となり、シート自体が大面積の系にあっては、折り畳み保存性や軽量性を損なう上、非経済的である。
前記布帛のうち、多孔質層の均質な形成性の面から、平滑性に優れる織布が好適に用いられる。
前記布帛の適用により、従来の紙を支持体として適用する系に較べ、吸水性に富み、鮮鋭な透視像を速やかに形成し易い上、吸水時における強度の低下もなく、耐折り曲げ強度にも優れ、大面積のシートを構成した系にあっても、繰り返しの折り畳み保存性を満足させる。
前記玩具1の背面には、ポリオレフィン系樹脂、可塑剤をブレンドして得た塩化ビニル樹脂等の軟質化プラスチック、スチレン系、ウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、フッ素系等の熱可塑性エラストマーからなる、1μm〜3mm程度の厚みの水非浸透性シート材5を従来より汎用の手段により貼着させて、積層形態となすことができる。前記において、1μm未満の系では、持久性が不十分であり、一方、3mmを超える系では、折り畳み性に難がある。
前記玩具1を積層形態となしたことにより、誤って水を玩具表面に零したり、過飽和の水を吸収させた場合における、玩具背面よりの水漏れによる汚染を回避できると共に、滑り止め機能を果たすことができる。
斯くして、玩具自体を幼児等が上に乗って遊べる程度の大面積となし、幼児等が多様な像を落書き感覚で自在に形成できる上、水による汚染トラブルを回避でき安心して適用できる水変色性玩具1を構成できる。
【0012】
第2の発明は、前記水変色性玩具1と水付着手段6をセットにした水変色性玩具セットを要件とする。
前記水付着手段6は、連続気孔を有するプラスチック多孔体又は繊維加工体、或いは前記プラスチック多孔体又は繊維加工体をペン先部材として適用した筆記又は塗布具を挙げることができる。
前記における連続気孔を有するプラスチック多孔体又は繊維加工体は、水を適宜量、吸収し、吐出させるものであればよく、従来より汎用のポリオレフィン系、ポリウレタン系、その他各種プラスチックの連続気孔体や繊維を集束させた毛筆状のもの、繊維の樹脂加工又は熱溶着加工によるもの、フェルト、不織布形態のものを挙げることができ、形状、寸法は目的に応じて任意に設定できる。
更に、前記した各種材料をペン先部材として適用し、水収容容器の先端に取り付けた筆記具又は塗布具形態のものが有効である。
前記水付着手段6をセットにすることにより、任意の透視像を自在に簡便に形成でき、玩具性を更に高めることができる。
【実施例】
【0013】
本発明の水変色性玩具は、書道用紙程度の大きさのものから、幼児等が上に乗って遊べる程度の大きさのものまで、適宜大きさのものが適用される。
前記水変色性玩具と水付着手段をセットにすることにより携帯性の水変色性玩具セットが構成される。
以下に実施例を示すが、本発明は実施例に限定されない。尚、実施例中の部は重量部を示す。
【0014】
実施例1
支持体2としてピンク色の目付け量90g/mのポリエステルサテン生地上の全面に、湿式法微粉末シリカ〔商品名:ニップシールE−200、日本シリカ工業(株)製〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランHW−930、大日本インキ化学工業(株)製、固形分50%〕30部、水50部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、ブロックイソシアネート系架橋剤3部を均一に混合、攪拌してなる白色スクリーン印刷用インキを用いて、80メッシュのスクリーン版にてベタ印刷し、130℃で5分間乾燥硬化させて多孔質層3を形成して水変色性玩具1を得た(図1参照)。
前記水変色性玩具1は、常態では支持体2のピンク色は隠蔽状態にあり、全面が白色の多孔質層3として視覚される。
前記水変色性玩具1上に、水で湿らせた手のひらを押しつけると、その部分の多孔質層3が透明化して、ピンク色の手のひらの像7を視覚させる。
前記ピンク色の像は、水が未乾燥状態では保持されており、水が乾燥すると元の白色に復し、像は不可視状態となる。
【0015】
実施例2(図2参照)
支持体2として白色の目付け量45g/mのナイロンタフタ生地上の全面に、緑色顔料〔商品名:サンダイスーパーグリーンLXB、山陽色素(株)社製〕5部、アクリル酸エステルエマルジョン〔商品名:モビニール763、ヘキスト合成(株)社製、固形分48%〕50部、水性インキ増粘剤3部、レベリング剤0.5部、消泡剤0.3部、エポキシ系架橋剤5部を均一に混合攪拌してなる緑色スクリーン印刷用インキを用いて、180メッシュのスクリーン版にてベタ印刷し、100℃で3分間乾燥硬化させて着色層4を形成した。
次に、前記着色層4上の全面に、湿式法微粉末シリカ〔商品名:ニップシールE−220、日本シリカ工業(株)製〕15部、黄色顔料〔商品名:サンダイスーパーイエロー10GS、山陽色素(株)社製〕1部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランAP−20、大日本インキ化学工業(株)社製、固形分30%〕45部、水40部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、ブロックイソシアネート系架橋剤3部を均一に攪拌混合して得た黄色スクリーン印刷用インキを用いて、100メッシュのスクリーン版にてベタ印刷し、130℃で5分間乾燥硬化させて多孔質層3を形成して水変色性玩具1を得た。
前記水変色性玩具1は、常態では黄色の多孔質層3が視覚され、緑色の着色層4は隠蔽状態にある。
前記水変色性玩具1に、毛筆に水を付着させて、文字を描くと、その部分の多孔質層3が透明化して、緑色の文字が視覚される。
前記文字は、水が未乾燥状態では保持されており、水が乾燥すると前記文字は不可視状態となり、元の黄色の様相を呈する。
【0016】
実施例3
支持体2として、1m×1mの大きさに裁断され、背面に厚さ3μmのウレタンエラストマーシートが貼着されてなる、目付け量130g/mの白色の綿サテン生地上に微粉末蛍光ピンク色顔料〔商品名:エポカラーFP−112、日本触媒(株)製〕5部、アクリル酸エステルエマルジョン〔商品名:モビニール763、ヘキスト合成(株)製、固形分48%〕50部、水性インキ増粘剤3部、レベリング剤0.5部、消泡剤0.3部、エポキシ系架橋剤5部を均一に混合攪拌してなる蛍光ピンク色インキを用いて、180メッシュのスクリーン版にてベタ印刷し、100℃で3分間乾燥硬化させて着色層4を形成した後、前記着色層4上に、湿式法微粉末シリカ〔商品名:ニップシールE−200、日本シリカ工業(株)製〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランHW−930、大日本インキ化学工業(株)製、固形分50%〕30部、水50部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、ブロックイソシアネート系架橋剤3部を均一に混合攪拌してなる白色スクリーン印刷用インキを80メッシュのスクリーン版を用いて、全面にベタ印刷し、130℃で5分間乾燥固化させて、白色の多孔質層3を形成し、水変色性玩具1を得た(図3参照)。
尚、前記玩具の多孔質層3の近傍には、文字、メッセージ、図柄等の一般印刷インキによる表示を配設し、商品性、意匠性を付与することができる。
前記水変色性玩具1は、常態では全面が白色状態であるが、繊維加工ペン体を装着したマーカー、或いは、玩具形象に裁断したスポンジ等の水付着手段6の適用により、ピンク色の任意の透視像を形成して視覚させることができる。
【0017】
実施例4
前記実施例3の白色の綿サテン生地の背面に厚さ3μmのウレタン樹脂シートを貼着してなる支持体2を適用し、前記布帛の表面の一部に、実施例3の蛍光ピンク色インキにより着色層4を形成すると共に、一般印刷インキによる図柄からなる着色層4を配設し、水変色性玩具1を得た(図4参照)。
前記玩具1は、若干量の水を誤って零したり、布帛に水が過飽和状態になっても、シート背部から水が侵出、或いは漏れ出して、床や畳等を汚染させることが回避された。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の水変色性玩具の一実施例の拡大縦断面説明図である。
【図2】本発明の水変色性玩具の他の実施例の拡大縦断面説明図である。
【図3】本発明の水変色性玩具の他の実施例の拡大縦断面説明図である。
【図4】本発明の水変色性玩具の他の実施例の拡大縦断面説明図である。
【図5】本発明の水変色性玩具セットの使用状態の説明図である。
【符号の説明】
【0019】
1 水変色性玩具
2 支持体
3 多孔質層
4 着色層
5 水不浸透性シート材
6 水付着手段
7 透視像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微粒子状珪酸をバインダー樹脂に分散状態に固着させた多孔質層を織布、編物、不織布から選ばれる支持体表面に設け、吸液状態と非吸液状態で透明性を異にする水変色性玩具において、前記支持体が、目付け量30g/m〜1000g/mの範囲にある布帛であり、前記微粒子状珪酸とバインダー樹脂の混合比率が微粒子状珪酸1重量部に対してバインダー樹脂固形分0.5〜2重量部である水変色性玩具。
【請求項2】
前記微粒子状珪酸の粒径が0.03〜10.0μmである請求項1記載の水変色性玩具。
【請求項3】
前記多孔質層の下層、上層、又は近傍には、着色層が設けられてなる請求項1又は2記載の水変色性玩具。
【請求項4】
前記布帛の背面に、水不浸透性のシート材が貼着されてなる請求項1乃至3の何れか1項に記載の水変色性玩具。
【請求項5】
前記水不浸透性のシートは、軟質熱可塑性樹脂又は熱可塑性エラストマーから選ばれる、1μm〜3mmの厚みのシートである請求項4記載の水変色性玩具。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1項に記載の水変色性玩具と、水付着手段をセットにした水変色性玩具セット。
【請求項7】
前記水付着手段は、連続気孔を有するプラスチック多孔体又は繊維加工体、或いは、前記プラスチック多孔体又は繊維加工体をペン先部材として適用した筆記又は塗布具形態の何れかより選ばれる請求項6記載の水変色性玩具セット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−78175(P2009−78175A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−332150(P2008−332150)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【分割の表示】特願2005−29527(P2005−29527)の分割
【原出願日】平成11年10月5日(1999.10.5)
【出願人】(000111890)パイロットインキ株式会社 (832)
【Fターム(参考)】