説明

水性下塗り塗料組成物

【課題】上塗材との密着性と耐水後の密着性、旧塗膜又は、下地に対する密着性が良好である下塗り用水性塗料組成物を提供する。
【解決手段】(a)分子中にエポキシ基を含有し、重合可能な二重結合を有するエポキシ基含有不飽和単量体(b)分子中に水酸基を含有し、重合可能な二重結合を有する水酸基含有不飽和単量体(c)分子中にケトン基を含有し、重合可能な二重結合を有するケトン基含有不飽和単量体(d)その他単量体からなる単量体混合物の共重合によって得られた水分散体(A)と架橋剤(B)を含有することを特徴とする水性下塗り塗料組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
水性下塗り塗料組成物に関する、詳しくは塗膜防水材用下塗り塗料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ビルディングの屋上、廊下、ベランダ、屋外駐車場などのコンクリート構造物に防水性能を付与するために、トリレンジイソシアネート末端プレポリマーを主剤とし、これと、芳香族アミン、可塑剤、充填剤などを配合した硬化剤とを施工現場で混合して塗工する2液型常温硬化性ウレタン塗膜防水材が広く使用されている。これらコンクリートやモルタル下地に防水施工を行う場合には、この下地と防水材層との接着性を高め、かつ防水材層のふくれ現象を防止するために下地基材に対しあらかじめプライマー処理を行うことが必須とされている。
【0003】
プライマーとして、溶剤系と水系があり、溶剤系としては、ポリオキシプロピレンポリエーテルポリオールとトリレンジイソシアネートとの反応により得られるイソシアネート末端プレポリマーにキシレン、トルエン、もしくは酢酸エチルなどの溶剤を加えて希釈した溶液からなる1液溶剤型ウレタン系プライマー、又は、ビスフェノールA型のエポキシ樹脂溶液からなる主剤と脂肪酸ポリアミン溶液からなる硬化剤とからなる2液溶剤型エポキシ系プライマーが用いられているが、溶剤を使用しているため、環境問題、臭気、安全性の問題がある。
【0004】
水系としては、ウレタン樹脂系エマルジョン型水性プライマーとして、ポリオールを主成分とするエマルジョンからなる主剤とクルードMDI、カルボジイミド変成体などの液状MDIからなる硬化剤とからなる2液水性ウレタン系プライマー、又は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエマルジョンからなる主剤、脂肪酸ポリアミンのエマルジョンからなる硬化剤からなる2液水性エポキシ系プライマーがあげられる。
【0005】
ポリオール成分にカルボキシル基含有酸性モノマーを導入し、水に対する安定化が行われているが、カルボキシル基を多く含有すると、水酸基とカルボキシル基との反応が起きやすく、貯蔵性に課題がある(特許文献1)。
【0006】
エポキシ基含有単量体とカルボキシル基含有単量体及びその塩から選ばれる単量体とアミド基含有単量体とヒドロキシル基及びハロゲン原子含有単量体を必須構成単量体とした水性シーラー組成物が提案されているが、エポキシ基とカルボキシル基を含有しており、エポキシ基とカルボキシル基の反応性が高いため、重合中及び貯蔵中に粒子内で架橋が進み、粒子が硬くなり、成膜性が低下して、耐水性が不足しやすい問題がある(特許文献2)。
【特許文献1】特開平2−105879号公報
【特許文献2】特開平11−199825号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上塗材との密着性と耐水後の密着性、旧塗膜下地に対する密着性が良好である下塗り用水性塗料組成物を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の下塗り塗料組成物は、コンクリートやモルタル等の下地との密着性、上塗り塗料である防水材との密着性が優れている。また、旧塗膜との密着性も優れており旧塗膜上に直接塗装することもできる。また本組成物より得られる塗膜は耐水性にも優れており耐水試験後の密着性も高い。本組成物は水系であり従来の溶剤系よりも環境適合性が高い。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明は、
(I).
(a)分子中にエポキシ基を含有し、重合可能な二重結合を有するエポキシ基含有不飽和単量体
(b)分子中に水酸基を含有し、重合可能な二重結合を有する水酸基含有不飽和単量体
(c)分子中にケトン基を含有し、重合可能な二重結合を有するケトン基含有不飽和単量体
(d)その他単量体
からなる単量体混合物の共重合によって得られた水分散体(A)と架橋剤(B)を含有することを特徴とする水性下塗り塗料組成物、
(II).
水分散体(A)が、(a)成分0.1〜20重量部、(b)成分0.1〜40重量部、(c)成分0.1〜20重量部、(d)成分20〜99.7重量部からなる単量体混合物100重量部の共重合によって得られることを特徴とする(I)に記載の水性下塗り塗料組成物、
(III).
架橋剤(B)が、ポリイソシアネート系架橋剤である(I)または(II)に記載の水性下塗り塗料組成物、
(IV).
ポリイソシアネート系架橋剤が、水分散型ポリイソシアネート系架橋剤である(III)に記載の水性下塗り塗料組成物、
(V).
水分散体(A)に含有されるヒドロキシル基の総モル数と架橋剤(B)に含有されるイソシアネート基の総モル数の比が、1:0.5〜1:5.0である(III)もしくは(IV)に記載の水性下塗り塗料組成物、
(VI).
水分散体(A)に含有される共重合体のガラス転移温度が−40℃〜50℃である(I)〜(V)のいずれかに記載の水性下塗り塗料組成物、
(VII).
水分散体(A)が反応性乳化剤を用いて乳化重合することにより得られる共重合体水分散液である(I)〜(VI)のいずれかに記載の水性下塗り塗料組成物、
(VIII).
(I)〜(VII)のいずれかに記載の組成物を含有する塗膜防水材用下塗り塗料組成物、
(IX).
塗膜防水材がウレタン塗膜防水材であることを特徴とする(VIII)に記載の水性下塗り塗料組成物、
に関する。
【0010】
本発明者らは、前記の課題を解決するため、研究を重ねた結果、分子中にエポキシ基を含有し重合可能な二重結合を有するエポキシ基含有不飽和単量体と、分子中に水酸基を含有し重合可能な二重結合を有する水酸基含有不飽和単量体と、分子中にケトン基を含有し重合可能な二重結合を有するケトン基含有不飽和単量体、及びその他単量体からなる単量体混合物を共重合によって得られた水分散体(A)と、水分散型ポリイソシアネート系架橋剤(B)を含有することが特徴である。
【0011】
エポキシ基と水酸基とケトン基を共に含む水分散体(A)のエポキシ基、水酸基、ケトン基は上塗材との密着性の向上の寄与し、水分散型ポリイソシアネートとの架橋により、旧塗膜下地との密着性を向上させることができる。
【0012】
水分散体(A)のガラス転移温度(Tg)を−40℃〜50℃の範囲に調整することにより、塗膜の強度が増し、更に密着性の向上させることにより、効果が発現し、本発明を完成するに至った。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に本発明をさらに詳しく説明する。
【0014】
本発明における水分散体(A)の重合方法としては懸濁重合、塊状重合、乳化重合等のいずれかの方法によって重合されたものであってよく、好ましくは、乳化重合がよく、一般に用いられる重合方法が使用できる。
【0015】
エポキシ基含有不飽和単量体(a)は、分子中にエポキシ基を含有し重合可能な二重結合を有するエポキシ基含有不飽和単量体であり、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アリルグリシジルエーテル、グリシジルビニルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらから選択される1種以上を用いることができる。これらの中では、グリシジルメタクリレートが好ましい。(a)成分は、水分散体(A)に用いる単量体の合計量100重量部中に0.1〜20重量部用いられるのが好ましく、さらには、0.5〜15重量部、特には0.7〜12重量部用いられるのが好ましい。0.1重量部未満では、密着性向上効果が不足するため好ましくない。また20重量部を超えると耐久性が低下し、又、価格的に高価となるため好ましくない。本明細書中の「(メタ)アクリレート」という表現は、アクリレートおよび/またはメタアクリレートを表すこととする。
【0016】
水酸基含有不飽和単量体(b)は、分子中に水酸基を含有し重合可能な二重結合を有する水酸基含有不飽和単量体であり、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、東亜合成(株)製のアロニクス5700、4−ヒドロキシスチレン、日本触媒化学工業(株)製のHE−10、HE−20、HP−1およびHP−20(以上、いずれも末端に水酸基を有するアクリル酸エステルオリゴマー)、N−メチロール(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル類、水酸基含有化合物とε−カプロラクトンとの反応により得られるε−カプロラクトン変性ヒドロキシアルキルビニル系共重合体化合物Placcel FA−1、 Placcel FA−4、 Placcel FM−1、 Placcel FM−4(以上ダイセル化学工業(株)製)、TONE M−201(UCC社製)、ポリカーボネート含有ビニル系化合物(具体例としては、HEAC−1(ダイセル化学工業(株)製)などの水酸基を有するモノエチレン性不飽和モノマーを共重合モノマーとした1分子中に2以上の水酸基を有するアクリルポリオール等が挙げられる。中でも、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが好ましい。これらから選択される1種以上を用いることができる。(b)成分は、単量体の合計量100重量部中に0.1〜40重量部用いられるのが好ましく、さらには、0.5〜30重量部、特には0.7〜20重量部が好ましい。0.1重量部未満では、イソシアネートとの架橋が不足し、架橋度が低下するため好ましくない。また40重量部を超えると水分散体の親水性が高くなり、耐水性の低下が起こるため好ましくない。
【0017】
ケトン基含有不飽和単量体(c)は、分子中にケトン基を含有し重合可能な二重結合を有するケトン基含有不飽和単量体であり、例えば、アクロレイン、ジアセトンアクリルアミド、ジアセトンメタクリルアミド、ホルミルスチロール、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソブチルケトン、ジアセトンアクリレート、ジアセトンメタクリレート、アセトニルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート−アセチルアセタート等が挙げられる。中でも、アクロレイン、ジアセトンアクリルアミドが好ましい。これらから選択される1種以上を用いることができる。ただし、カルボキシル基及びエステル基はケトン基ではなく、それらしか持たない不飽和単量体は(c)成分に含まないものとする。(c)成分は、単量体の合計量100重量部中に0.1〜20重量部用いられるのが好ましく、さらには、0.5〜15重量部、特には0.7〜12重量部が好ましい。0.1重量部未満では、密着性向上効果が不足するため好ましくない。また20重量部を超えると水分散体の親水性が高くなり、耐水性の低下があるため好ましくない。
【0018】
(d)重合可能な二重結合を有するその他単量体としては、公知のラジカル重合可能な単量体を用いることができる。例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、i−ブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、i−ノニルアクリレート、n−デシルアクリレート、n−ドデシルアクリレート、ラウリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ポリエチレングリコール等の単官能アクリレート及びそれらのメタアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート等の2官能アクリレート及びそれらのメタアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の多官能アクリレート及びそれらのメタアクリレート、スチレン、ビニルトルエン、メチルスチレン、クロルスチレン等の芳香族ビニル単量体等が挙げられる。これらから選択される1種以上を用いることができる。(d)成分は、単量体の合計量100重量部中に20〜99.7重量部用いられるのが好ましく、さらには、40〜98.5重量部、特には56〜97.5重量部が好ましい。水分散体(A)としては、(a)、(b)、(c)、(d)成分は併せて100重量部である。
【0019】
水分散体に含有される共重合体のガラス転移温度は−40〜50℃であることが好ましく、更には、0℃〜45℃が好ましい。−40℃より低くなると、塗膜が脆弱になり、耐水後の密着性が低下する傾向にある。50℃より高くなると、粒子を成膜するために必要な成膜助剤量が多量に必要になり、成膜助剤が耐水性、密着性を阻害するため好ましくない。
【0020】
本発明ではガラス転移温度は次の式により決定することとする。
1/Tg=Σ(Wi/Tgi)
Tg:水分散体のガラス転移温度(絶対温度表示)
Tgi:単量体i成分の単独重合体のガラス転移温度(絶対温度表示)
Wi:水分散体中のi成分の重量分率、
又、各単量体成分の単独重合体のガラス転移温度(Tgi)としては次に示す値を用いた。
メチルメタクリレート 105℃
2−エチルヘキシルメタクリレート −85℃
グリシジルメタクリレート 38℃
ヒドロキシエチルメタクリレート 55℃
ジアセトンアクリルアミド 77℃
本発明の水分散体(A)の好ましい重合法である乳化重合に用いる乳化剤としては、乳化重合に用いることが出来る一般の乳化剤を用いることが可能であるが、反応性乳化剤を用いると耐水性が向上するので好ましい。反応性乳化剤としては、1分子中に重合性二重結合を有するものがあげられ、具体例としては、ADEKA(株)製アデカリアソープER−10、ER−20、ER−30、ER−40、SR−10、SR−20、SR−1025、NE−10、NE−20、NE−30、NE−40、SE−10N、日本乳化剤(株)製Antox−MS−60、RMA−1120、RMA−564、RMA−568、RMA−506、第一工業製薬(株)製アクアロンKH−05、KH−10、RN−20、RN−30、RN−50、RN−2025、HS−10、HS−20、HS−1025、BC05、BC10、BC0515、BC1025、三洋化成工業(株)製エレミノールJS−2、エレミノールRS−30、花王(株)製ラテムルS−180、S−180A、PD−104、PD−420、PD−430などが挙げられる。これらの中ではアクアロンRN−20、RN−2025、BC10、BC1025が好ましい。
【0021】
乳化重合に際しては、これらの1種又は2種以上を混合してもよい。又、必要に応じて反応性のない乳化剤を併用することも可能である。反応性のない乳化剤としては、通常の乳化重合に用いられるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、イオン性、非イオン性の界面活性剤などがあげられる。
【0022】
アニオン性界面活性剤としては、オレイン酸ナトリウムのような脂肪酸塩、ラウリル硫酸ナトリウムのような高級アルコールの硫酸エステル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、イソオクチルベンゼンスルホン酸塩等のアルキルアリルスルホン酸塩、ホルマリン縮合ナフタレンスルホン酸塩、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等がある。カチオン性界面活性剤としては、イミダゾリンラウレート、アンモニウムハイドロオキサイド、ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウム、クロライド等が代表例としてあげられる。
【0023】
前記非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールモノオレエート、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等が代表例としてあげられる。
【0024】
これらの乳化剤は、単独または2種類以上組み合わせ使用することができる。反応性乳化剤の使用量は、単量体の合計量100重量部に対して、0.1〜10重量部が、更には、0.15〜8重量部が好ましい。10重量部を超える量で重合して得られるエマルジョンは塗膜の耐水性が悪くなる傾向があり好ましくない。又、0.1重量部未満では重合安定性が悪く、得られるエマルジョンが不安定になり凝集体を生じる傾向がある。このようなことから、乳化剤量としては、前記した範囲内で目的に応じた使用量にすることが好ましい。
【0025】
乳化重合に用いる水性媒体としては、水を必須成分として含有していればよく、他の有機溶剤を含有していても構わない。他の有機溶剤としては、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール系溶剤;プロピレングリコールなどのグリコール系溶剤;エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル系溶剤、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、(株)チッソ製CS−12などのエステル系溶剤があげられるが、エマルジョンの重合時の安定性や環境の観点から有機溶剤は含有しない方が好ましい。
【0026】
重合開始剤としては、特に限定されず、公知のものを使用することができ、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル、アゾビスアミジノプロパン塩酸塩等のアゾ系化合物、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジブチルパーオキサンド、ベンゾイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クミルパーオキシオクトエート、クミルパーオキシネオデカノエート、クメンハイドロパーオキサイド等の過酸化物が例示される。
【0027】
更に必要に応じて、酸性亜硫酸ナトリウム、ロンガリット、Bruggolite FF−6(Bruggamann Chemical US製)、L−アスコルビン酸、糖類、アミン類などの還元剤と、銅イオン、鉄イオン、コバルトイオン、ニッケルイオン等遷移金属イオン、または、それら遷移金属イオンとエチレンジアミン四酢酸二ナトリウムナトリウム塩等のキレート化剤とのキレート化合物を併用したレドックス開始剤も使用することができる。
【0028】
前記重合開始剤の使用量は、単量体100重量部に対して0.01〜10重量部あるいは、0.015〜8重量部が好ましく、0.01重量部未満では重合の進行が遅くなる傾向があり、また10重量部を超える場合、分子量低下や、塗膜形成時も耐水性等の低下する傾向があり好ましくない。
【0029】
本発明における乳化重合温度や時間は適宜調整すれば良く、例えば重合温度は、30℃〜95℃、反応時間は、2〜20時間が実用上好ましい。
【0030】
水分散体(A)の固形分濃度は、10〜70重量%が好ましく、さらに好ましくは30〜60重量%となるように調整する。かかる樹脂固形分濃度が70重量%を超える場合には、系の粘度が著しく上昇するため、重合反応に伴なう発熱を除去することが困難になったり、重合器からの取り出しに長時間を要するようになる傾向がある。また、樹脂固形分濃度が10重量%未満である場合には、重合操作の面では何ら問題は生じないものの、1回の重合操作によって生じる樹脂量が少なく、経済面で不利となるとともに、得られる塗膜の膜厚が薄くなるなど、塗装作業性、塗膜性能低下の点で不利となる。
【0031】
架橋剤(B)としては、公知のポリイソシアネート架橋剤を用いることができる。具体的には一般に使用される水分散型ポリイソシアネート系架橋剤が使用できる。水分散性ポリイソシアナート系架橋剤は、ポリイソシアネートポリマーに親水基を導入したものであり、水に添加・攪拌すると、微粒子として水中に分散することが可能である。
【0032】
水分散性ポリイソシアネートを構成するポリイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート;トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,4−ナフタレンジイソシアネート、4,4'−トルイジンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルエーテルイソシアネート、(m−もしくはp−)フェニレンジイソシアネート、4,4'−ビフェニレンジイソシアネート、3,3'−ジメチル−4,4'−ビフェニレンジイソシアネート、ビス(4−イソシアナトフェニル)スルホン、イソプロピリデンビス(4−フェニルイソシアネート)等の芳香族ポリイソシアネート;水添キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4'−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサン−2,4−(又は−2,6−)ジイソシアネート、1,3−(又は1,4−)ジ(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,2−シクロヘキサンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート化合物が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。かかるポリイソシアネート化合物としては、イソシアヌレート構造、ウレタン構造、ビウレット構造、アロファネート構造、ウレトジオン構造、三量体構造等を有するポリイソシアネート化合物を用いることもできる。
【0033】
具体例としては、住友バイエルウレタン(株)社製品、バイヒジュール3100、VP2319、VPLS2336、旭化成ケミカルズ(株)製品、デュラネートWE50−100、WB40−100、WT30−100、T20−100、三井化学ポリウレタン(株)社製品、タケラックWD−720、WD−723、WD−725、WD−730、WB−700、WB−820、WB−920、日本ポリウレタン(株)社製品AQ−130Dなどが挙げられる。
【0034】
架橋剤(B)の使用量としては、架橋剤(B)中のイソシアネート基と水分散体(A)中のヒドロキシル基のモル当量比(NCO:OH)が、0.5:1〜5:1、好ましくは0.7:1〜2:1の比を与えるように選択されるのが好ましい。
【0035】
本発明の下塗り用塗料組成物は、上塗り用途以外に用いるものであり、基材に直接塗布する場合、又はその他塗膜の上に塗布し、更に塗膜を設ける場合、下地と上塗り塗膜との密着性を向上させるための下塗り剤として用いるものである。塗膜防水材用プライマー、下塗り塗料、中塗り塗料に使用できる。更には、塗膜防水材用水性2液プライマー組成物に有用である。
【0036】
本発明の水性樹脂組成物は通常のエマルジョン塗料組成物と同様に必要に応じて、酸化チタン等の顔料、炭酸カルシウム等の充填材、或いは消泡剤、水溶性高分子、防腐剤、pH調整剤、成膜助剤、可塑剤、難燃剤等を添加することもでき、下地に対する浸透性を上げるため、水溶性樹脂を添加するのが効果的である。水溶性樹脂としては、特に限定はされず、耐水性を低下させない量の添加が好ましく、水性樹脂組成物の固形分に対し5%〜25%の添加が好ましい。又、旧塗膜に対するハジキを防止するため、濡れ剤の使用が効果的である。濡れ剤としては、たとえば、サーフィノール104、サーフィノール420,サーフィノール440、サーフィノール465、サーフィノールSE、サーフィノールSEF,サーフィノール504、オルフィンEXP4001、オルフィンEXP4036、オルフィンEXP4051(日信化学工業(株)社製)、ディスコートN−14、ネオコールP、ネオコールSW−C(第一工業製薬(株)社製)、ノプコ1338、ノプコ2272−R−SN、ノプコウェット50、ノプコウェットSN−20T、SNウェット125、SNウェット366、SNウェット970(サンノプコ(株)社製)、ネオペレックスGS、ネオペレックスG−15、ペレックスNB−L、ペレックスOT−P、エマルゲン106、エマルゲン707(花王(株)社製)が挙げられる。
【実施例】
【0037】
次に、本発明の水性下塗り塗料組成物を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0038】
(合成例1)エマルジョン−1
攪拌機、還流冷却器、滴下ロートを付けたセパラブルフラスコに、純水78重量部、Bruggolite FF−6(Bruggamann Chemical US製)、0.4重量部、硫酸第1鉄0.013重量部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.013重量部、アクアロンHS−10を0.22重量部、アクアロンRN−20を0.22重量部を加え、攪拌しながら、窒素気流中で60℃に調節する。別の容器にメチルメタクリレート46重量部、2−エチルヘキシルメタクリレート19重量部、グリシジルメタクリレート9重量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート17重量部、ジアセトンアクリルアミド9重量部、乳化剤として、アクアロンHS−10を2.03重量部、アクアロンRN−20を2.03重量部、クメンハイドロパーオキサイドを0.8重量部、純水を44.2重量部を混合し、攪拌して、乳化液を作製した。セパラブルフラスコ内を3時間にわたり内温を60℃に維持し、上記混合物を滴下ロートからセパラブルフラスコ内に一定速度で連続追加した。追加終了後2時間60℃を維持し反応を終え、純水27.7重量部を加え、固形分40重量%のエマルジョン−1を得た。
【0039】
(合成例2〜7)エマルジョン−2〜7
合成例1に示した装置と同様の重合装置に表1に記載した原料を使用し、合成例1と同様に重合を行い、エマルジョン−2〜7を得た。
【0040】
【表1】

(実施例1)
合成例1で得られたエマルジョン−1を使用し、100重量部に対して、純水90重量部、テキサノール10重量部を添加し、固形分20%に調整し、架橋剤として、ハイヒジュール3100を13重量部添加し、濡れ剤として、オレフィンEXP4036を2.2重量部添加し、ホモジナイザーにて1000rpmにて3分攪拌し、配合物1を得た。この配合物1を使用し、試験片1,2を作製し、2液型ウレタン系塗膜防水サラセーヌC(旭硝子ポリウレタン建材(株)社製)を使用した初期密着性、耐水密着性、温水密着性及び、旧塗膜密着性を評価した。結果は表2に示す。ウレタン塗膜防水材を使用した初期密着性、耐水密着性、温水密着性は良好であった。旧塗膜に対する密着性についても良好であった。
【0041】
【表2】

(実施例2)
合成例1で得られたエマルジョン−1を使用し、100重量部に対して、純水90重量部、テキサノール10重量部を添加し、固形分20%に調整し、架橋剤として、タケネートWD−720を13.8重量部添加し、濡れ剤として、オレフィンEXP4036を2.2重量部添加し、ホモジナイザーにて1000rpmにて3分攪拌し、配合物2を得た。この配合物2を使用し、試験片1,2を作製し、2液型ウレタン系塗膜防水サラセーヌC(旭硝子ポリウレタン建材(株)社製)を使用した初期密着性、耐水密着性、温水密着性及び、旧塗膜密着性を評価した。結果は表2に示す。ウレタン塗膜防水材を使用した初期密着性、耐水密着性、温水密着性は良好であった。旧塗膜に対する密着性についても良好であった。
【0042】
(実施例3〜5)
使用エマルジョン及び、テキサノール、純水、架橋剤、濡れ剤を表2に示すように変更し、配合物3〜5を作製し、実施例1と同様にして試験片1,2を作製し、評価実施した。結果は表2に示す。ウレタン塗膜防水材サラセーヌC(旭硝子ポリウレタン建材(株)社製)を使用した初期密着性、耐水密着性、温水密着性は良好であった。旧塗膜に対する密着性についても良好であった。
【0043】
(実施例6)
合成例1で得られたエマルジョン−1を使用し、100重量部に対して、純水90重量部、テキサノール10重量部を添加し、固形分20%に調整し、架橋剤として、ディラネートWE50−100を19.4重量部添加し、濡れ剤として、オレフィンEXP4036を2.2重量部添加し、ホモジナイザーにて1000rpmにて3分攪拌し、配合物6を得た。この配合物6を使用し、試験片1,2を作製し、2液型ウレタン系塗膜防水サラセーヌC(旭硝子ポリウレタン建材(株)社製)を使用した初期密着性、耐水密着性、温水密着性及び、旧塗膜密着性を評価した。結果は表2に示す。ウレタン塗膜防水材を使用した初期密着性、耐水密着性、温水密着性は良好であった。旧塗膜に対する密着性についても良好であった。
【0044】
(比較例1)
合成例3で得られたエマルジョン−3を使用し、100重量部に対して、純水100重量部を添加し、固形分20%に調整し、架橋剤を使用せず、濡れ剤として、オレフィンEXP4036を2.2重量部添加し、ホモジナイザーにて1000rpmにて3分攪拌し、配合物7を得た。この配合物7を使用し、試験片1,2を作製し、2液型ウレタン系塗膜防水材サラセーヌC(旭硝子ポリウレタン建材(株)社製)を使用した初期密着性、耐水密着性、温水密着性及び、旧塗膜密着性を評価した。結果は表2に示す。架橋剤が含まれていないため、温水密着性、旧塗膜に対する密着性が低下した。
【0045】
(比較例2)
合成例4で得られたエマルジョン−4を使用し、100重量部に対して、純水90重量部、テキサノール10重量部を添加し、固形分20%に調整し、架橋剤として、ハイヒジュール3100を6.9重量部添加し、濡れ剤として、オレフィンEXP4036を2.2重量部添加し、ホモジナイザーにて1000rpmにて3分攪拌し、配合物8を得た。この配合物8を使用し、試験片1,2を作製し、2液型ウレタン系塗膜防水サラセーヌC(旭硝子ポリウレタン建材(株)社製)を使用した初期密着性、耐水密着性、温水密着性及び、旧塗膜密着性を評価した。結果は表2に示す。GMAを使用していないため、密着性が低下した。
【0046】
(比較例3)
合成例5で得られたエマルジョン−5を使用し、100重量部に対して、純水90重量部、テキサノール10重量部を添加し、固形分20%に調整し、架橋剤として、ハイヒジュール3100を6.9重量部添加し、濡れ剤として、オレフィンEXP4036を2.2重量部添加し、ホモジナイザーにて1000rpmにて3分攪拌し、配合物9を得た。この配合物9を使用し、試験片1,2を作製し、2液型ウレタン系塗膜防水サラセーヌC(旭硝子ポリウレタン建材(株)社製)を使用した初期密着性、耐水密着性、温水密着性及び、旧塗膜密着性を評価した。結果は表2に示す。DAAMを使用していないため、温水密着性が低下した。
【0047】
(比較例4)
合成例6で得られたエマルジョン−6を使用し、100重量部に対して、純水80重量部、テキサノール20重量部を添加し、固形分20%に調整し、架橋剤として、ハイヒジュール3100を13重量部添加し、濡れ剤として、オレフィンEXP4036を2.2重量部添加し、ホモジナイザーにて1000rpmにて3分攪拌し、配合物10を得た。この配合物10を使用し、試験片1,2を作製し、2液型ウレタン系塗膜防水サラセーヌC(旭硝子ポリウレタン建材(株)社製)を使用した初期密着性、耐水密着性、温水密着性及び、旧塗膜密着性を評価した。結果は表2に示す。成膜助剤が多く含まれるため、密着性が低下した。
【0048】
(比較例5)
合成例7で得られたエマルジョン−7を使用し、100重量部に対して、純水100重量部を添加し、固形分20%に調整し、架橋剤として、ハイヒジュール3100を13重量部添加し、濡れ剤として、オレフィンEXP4036を2.2重量部添加し、ホモジナイザーにて1000rpmにて3分攪拌し、配合物11を得た。この配合物11を使用し、試験片1,2を作製し、2液型ウレタン系塗膜防水サラセーヌC(旭硝子ポリウレタン建材(株)社製)を使用した初期密着性、耐水密着性、温水密着性及び、旧塗膜密着性を評価した。結果は表2に示す。ガラス転移温度が低いため、温水密着性が低下した。
【0049】
(比較例6)
合成例3で得られたエマルジョン−3を使用し、100重量部に対して、純水100重量部を添加し、固形分20%に調整し、架橋剤として、アジピン酸ジヒドラジドを4.6重量部添加し、濡れ剤として、オレフィンEXP4036を2.2重量部添加し、ホモジナイザーにて1000rpmにて3分攪拌し、配合物12を得た。この配合物12を使用し、試験片1,2を作製し、2液型ウレタン系塗膜防水サラセーヌC(旭硝子ポリウレタン建材(株)社製)を使用した初期密着性、耐水密着性、温水密着性及び、旧塗膜密着性を評価した。結果は表2に示す。耐水密着性、温水密着性、旧塗膜に対する密着性についても低下した。
【0050】
(試験片1の作製)
実施例で配合した配合物を使用し、フレキシブル板(150×70×3mm)に塗布量100g/m2を刷毛塗りした。常温で24時間乾燥後、フレキシブル板の半分(75×70mm)に布粘着テープNO.102N(ニチバン(株)社製品)を貼付け、2液型ウレタン系塗膜防水材サラセーヌC(旭硝子ポリウレタン建材(株)社製)を1〜2mmの厚さに塗布し、常温で7日養生し、試験片1とした。
【0051】
(試験片2の作製)
溶剤系1液ウレタンプライマーサラセーヌP(旭硝子ポリウレタン建材(株)社製)を使用し、フレキシブル板(150×70×3mm)に塗布量100g/m2を刷毛塗りした。常温で24時間乾燥後、2液型ウレタン系塗膜防水材サラセーヌC(旭硝子ポリウレタン建材(株)社製)を1〜2mmの厚さに塗布し、常温で1日養生した。更に、2液溶剤系ウレタン塗料サラセーヌT(旭硝子ポリウレタン建材(株)社製)を100g/m2を刷毛塗りし、常温24時間養生後、50℃で7日間焼付けを行った。この基材に実施例で配合した配合物を使用し、塗布量100g/m2を刷毛塗りした。常温で24時間養生後、フレキシブル板の半分(75×70mm)に布粘着テープNO.102N(ニチバン(株)社製品)を貼付け2液型ウレタン系塗膜防水材サラセーヌC(旭硝子ポリウレタン建材(株)社製)を1〜2mmの厚さに塗布し、常温で7日養生し、試験片2とした。
【0052】
(密着性試験)
(A)初期密着性
試験片1を使用し、JIS K6854−2に準じて180度ピール試験を行った。
(B)耐水密着性
試験片1を使用し、サイドシール、バックシールを行わずに、常温で純水に完全浸漬させ、7日放置後、純水より取り出し、塗膜表面の水分を拭き取った。初期密着性試験と同様に評価し、耐水密着性評価とした。
(C)温水密着性
試験片1を使用し、サイドシール、バックシールを行わずに、50℃温水に完全浸漬させ、7日放置後、温水より取り出し、塗膜表面の水分を拭き取った。初期密着性試験と同様に評価し、温水密着性評価とした。
(D)旧塗膜初期密着性
試験片2を使用し、JIS K6854−2に準じて180度ピール試験を行った。
(E)旧塗膜温水密着性
試験片2を使用し、サイドシール、バックシールを行わずに、50℃温水に完全浸漬させ、7日放置後、温水より取り出し、塗膜表面の水分を拭き取った。旧塗膜初期密着性試験と同様に評価し、旧塗膜温水密着性評価とした。
(ピール試験評価)
評価基準 ○:防水材凝集破壊したもの。△:一部界面剥離したもの。×:プライマーと防水材の界面がすべて剥離したもの。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)分子中にエポキシ基を含有し、重合可能な二重結合を有するエポキシ基含有不飽和単量体
(b)分子中に水酸基を含有し、重合可能な二重結合を有する水酸基含有不飽和単量体
(c)分子中にケトン基を含有し、重合可能な二重結合を有するケトン基含有不飽和単量体
(d)その他単量体
からなる単量体混合物の共重合によって得られた水分散体(A)と架橋剤(B)を含有することを特徴とする水性下塗り塗料組成物。
【請求項2】
水分散体(A)が、(a)成分0.1〜20重量部、(b)成分0.1〜40重量部、(c)成分0.1〜20重量部、(d)成分20〜99.7重量部からなる単量体混合物100重量部の共重合によって得られることを特徴とする請求項1に記載の水性下塗り塗料組成物。
【請求項3】
架橋剤(B)が、ポリイソシアネート系架橋剤である請求項1もしくは2に記載の水性下塗り塗料組成物。
【請求項4】
ポリイソシアネート系架橋剤が、水分散型ポリイソシアネート系架橋剤である請求項3に記載の水性下塗り塗料組成物。
【請求項5】
水分散体(A)に含有されるヒドロキシル基の総モル数と架橋剤(B)に含有されるイソシアネート基の総モル数の比が、1:0.5〜1:5.0である請求項3もしくは4に記載の水性下塗り塗料組成物。
【請求項6】
水分散体(A)に含有される共重合体のガラス転移温度が−40℃〜50℃である請求項1〜5のいずれかに記載の水性下塗り塗料組成物。
【請求項7】
水分散体(A)が反応性乳化剤を用いて乳化重合することにより得られる共重合体水分散液である請求項1〜6のいずれかに記載の水性下塗り塗料組成物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の組成物を含有する塗膜防水材用下塗り塗料組成物。
【請求項9】
塗膜防水材がウレタン塗膜防水材であることを特徴とする請求項8に記載の水性下塗り塗料組成物。

【公開番号】特開2010−6891(P2010−6891A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−165457(P2008−165457)
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】