説明

水性塗材

【課題】骨材本来の質感を活かし、自然な風合を表出することが可能な新規装飾性塗材を提供する。
【解決手段】(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来するアクリル樹脂、及び環状シロキサン化合物に由来するシリコーン樹脂が99:1〜30:70の重量比率でエマルション粒子内に混在する合成樹脂エマルション(A)、自然石の粉砕物、陶磁器の粉砕物、及び着色骨材から選ばれる少なくとも一種の骨材(B)を必須成分とし、前記合成樹脂エマルション(A)の固形分100重量部に対し、前記骨材(B)を100〜2000重量部含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の内外壁面等に適用可能な装飾性水性塗材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、建築物の内外壁面等を装飾するための材料として、合成樹脂エマルション等の結合材に天然骨材や人工骨材が配合された塗材が多く用いられている。例えば、特公平2−40702号公報(特許文献1)には、御影石等の天然石の模様を形成することができる塗材として、無色透明な被膜を形成する結合材と着色骨材と透明骨材とを組み合わせた塗材が記載されている。特開平11−130980号公報(特許文献2)には、0.05〜5mmの粒径を有する骨材と、シリコン原子を樹脂骨格中に含むアクリル樹脂エマルジョンを含有する骨材発色塗装組成物が記載されている。特開2000−15999号公報(特許文献3)には、10〜1000μmの範囲内において粒径の均一さを備えた2種類以上の色彩の着色粒子が、無色透明なバインダーに混合分散されてなる塗材が記載されている。また、特開2001−240807号公報(特許文献4)には、ビヒクル中に互いに色の異なる小粒径(0.5〜10μm)の着色粒子と大粒径(10〜150μm)の着色粒子とが分散された塗材が記載されている。
【0003】
【特許文献1】特公平2−40702号公報
【特許文献2】特開平11−130980号公報
【特許文献3】特開2000−15999号公報
【特許文献4】特開2001−240807号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献は、いずれも形成塗膜における深み感付与を目的としており、骨材が樹脂に覆われた状態、すなわち樹脂層の奥に骨材が見える状態の塗膜が形成される。そのため、いずれの特許文献においても、骨材が樹脂によってやや黒っぽく濡れたような状態で見え、骨材そのものが有する質感とは異なる仕上がりとなり、人工的な外観を呈するおそれもある。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みなされたものであり、骨材本来の質感を活かし、自然な風合を表出することが可能な新規装飾性塗材を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
これらの課題を解決するため本発明者は鋭意検討を行い、結合材として特定組成のアクリルシリコーンエマルションを採用することに想到し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の特徴を有するものである。
【0007】
1.(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来するアクリル樹脂、及び環状シロキサン化合物に由来するシリコーン樹脂が99:1〜30:70の重量比率でエマルション粒子内に混在する合成樹脂エマルション(A)、
自然石の粉砕物、陶磁器の粉砕物、及び着色骨材から選ばれる少なくとも一種の骨材(B)を必須成分とし、
前記合成樹脂エマルション(A)の固形分100重量部に対し、前記骨材(B)を100〜2000重量部含むことを特徴とする水性塗材。
2.(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来するアクリル樹脂、及び環状シロキサン化合物に由来するシリコーン樹脂が99:1〜30:70の重量比率でエマルション粒子内に混在する合成樹脂エマルションであって、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来するアクリル樹脂、及び環状シロキサン化合物に由来するシリコーン樹脂が混在する外層と、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来するアクリル樹脂を含む内層を有する多層構造型合成樹脂エマルション(A−1)、
自然石の粉砕物、陶磁器の粉砕物、及び着色骨材から選ばれる少なくとも一種の骨材(B)を必須成分とし、
前記合成樹脂エマルション(A)の固形分100重量部に対し、前記骨材(B)を100〜2000重量部含むことを特徴とする水性塗材。
【発明の効果】
【0008】
本発明の水性塗材では、骨材本来の質感を活かした自然な風合を有する塗膜が形成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0010】
本発明の水性塗材における合成樹脂エマルション(A)(以下「(A)成分」という)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来するアクリル樹脂、及び環状シロキサン化合物に由来するシリコーン樹脂がエマルション粒子内に混在するものである。(A)成分におけるアクリル樹脂とシリコーン樹脂の形態は特に限定されず、均一に混ざり合った形態であってもよいが、海島構造等により相互に分離した形態が好適である。
(A)成分におけるアクリル樹脂とシリコーン樹脂の重量比率は、通常99:1〜30:70、好ましくは97:3〜40:60である。このような比率で両成分が混在することにより、骨材本来の質感を表出することが可能となる。また、耐水性、耐候性、防火性等の各物性においても有利な効果を得ることができる。
【0011】
本発明では、このように(A)成分粒子内にアクリル樹脂及びシリコーン樹脂が混在することによって、骨材本来の質感を活かし、自然な風合を表出することが可能となるものである。その理由は明確ではないが、アクリル樹脂とシリコーン樹脂が互いに非相溶であること、アクリル樹脂とシリコーン樹脂の屈折率が適度に異なること等が効果的に作用しているものと推測される。
【0012】
(A)成分を構成するアクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とする重合体であり、必要に応じその他のモノマーを共重合したものである。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。このような(メタ)アクリル酸アルキルエステルの使用量は、(A)成分を構成する全モノマーに対し、通常30重量%以上、好ましくは40〜99.9重量%、より好ましくは50〜99.5重量%である。
【0013】
その他のモノマーとしては、例えばカルボキシル基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、ピリジン系モノマー、水酸基含有モノマー、ニトリル基含有モノマー、アミド基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、カルボニル基含有モノマー、アルコキシシリル基含有モノマー、芳香族モノマー等が挙げられる。これらモノマーの使用量は、(A)成分を構成する全モノマーに対し、通常0.1〜60重量%、好ましくは0.5〜50重量%である。
【0014】
このうち、カルボキシル基含有モノマーを共重合して、カルボキシル基含有アクリル樹脂とした場合には、(A)成分の安定性を高めることができ、さらにカルボキシル基と反応可能な化合物を別途添加することにより、塗膜の諸物性向上を図ることができる。カルボキシル基含有モノマーとしては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸またはそのモノアルキルエステル、イタコン酸またはそのモノアルキルエステル、フマル酸またはそのモノアルキルエステル等が挙げられる。このうち、特にアクリル酸、メタクリル酸から選ばれる1種以上が好適である。カルボキシル基含有モノマーの使用量は、(A)成分を構成する全モノマーに対し、通常0.1〜40重量%、好ましくは0.5〜20重量%である。
【0015】
(A)成分におけるシリコーン樹脂は、環状シロキサン化合物を重合して得られるものである。環状シロキサン化合物としては、例えばヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等が挙げられる。このような環状シロキサン化合物を重合する際には、直鎖状シロキサン化合物、分岐状シロキサン化合物、アルコキシシラン化合物等を用いることもできる。このうち、アルコキシシラン化合物としては、分子中に1個以上のアルコキシル基を有するシラン化合物が使用でき、例えばテトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン等の他、ビニルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤等が使用できる。シリコーン樹脂の平均分子量は、通常10000以上、好ましくは50000以上である。
【0016】
本発明における(A)成分としては、特に、上述の如きアクリル樹脂とシリコーン樹脂が混在する合成樹脂エマルションであって、アクリル樹脂及びシリコーン樹脂が混在する外層と、アクリル樹脂を含む内層を有する多層構造型合成樹脂エマルション(A−1)(以下「(A−1)成分」という)が好適である。このような(A−1)成分を使用すれば、本発明の効果をより確実に得ることができる。(A−1)成分における外層と内層の重量比率は、通常80:20〜20:80、好ましくは70:30〜30:70である。
【0017】
このような(A−1)成分は、例えば、内層を構成するアクリル樹脂を乳化重合により合成した後、外層を構成するアクリル樹脂及びシリコーン樹脂を乳化重合により合成する方法等によって得ることができる。(A−1)成分においては、内層を構成する樹脂として上述の如きシリコーン樹脂が含まれていてもよい。内層にシリコーン樹脂が含まれることにより、ひび割れ防止性等を高めることができる。
【0018】
(A−1)成分としては、外層におけるアクリル樹脂のガラス転移温度よりも内層におけるアクリル樹脂のガラス転移温度が低く設定されたものが好適である。このようなガラス転移温度(以下「Tg」という)に設定された多層構造型合成樹脂エマルションを使用することにより、塗膜のひび割れ防止性等を高めることができる。また、通常の合成樹脂エマルションを使用する場合に比べ、より少ない樹脂量で同等以上の可とう性、密着性等の諸物性を具備する塗材が設計できるため、骨材の質感向上の点においても有利である。
ここで、内層を構成するアクリル樹脂のTgは、通常−60〜20℃(好ましくは−50〜10℃)に設定すればよい。外層のTgは、通常20〜100℃(好ましくは30〜90℃)である。各層のアクリル樹脂のTgがこのような範囲内であれば、上述の如き効果を安定して得ることができる。なお、本発明におけるTgは、Foxの計算式により求められる値である。
【0019】
本発明では、(A)成分にカルボキシル基含有アクリル樹脂が含まれる場合、カルボキシル基と反応可能な化合物を別途配合することにより、膨れ防止性、剥れ防止性等の効果を高めることができる。さらに、塗膜表面の粘着性が軽減され、耐汚染性が高まる。このような化合物としては、例えば、カルボジイミド基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基等から選ばれる1種以上の官能基を有する化合物が挙げられる。このうち、本発明では特にエポキシ基を有する反応性化合物が好適である。
【0020】
エポキシ基を有する反応性化合物としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ジヒドロキシアルカンポリグリシジルエーテル、ポリヒドロキシアルカンポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル等が挙げられる。この他、エポキシ基含有モノマーの重合体(ホモポリマーまたはコポリマー)からなる水溶性樹脂やエマルションを使用することもできる。このような化合物の混合量は、通常(A)成分の樹脂固形分100重量部に対し0.1〜50重量部、好ましくは0.3〜20重量部である。
【0021】
本発明では、上記(A)成分を結合材として使用するが、必要に応じ(A)成分以外の結合材を(A)成分と併用することもできる。
【0022】
本発明では上述の(A)成分に加え、自然石の粉砕物、陶磁器の粉砕物、及び着色骨材から選ばれる少なくとも一種の骨材(B)(以下「(B)成分」という)を必須成分とする。この(B)成分は、装飾性を付与する成分である。具体的には、例えば、大理石、御影石、蛇紋岩、花崗岩、蛍石、寒水石、長石、珪石、珪砂等の粉砕物、陶磁器粉砕物、セラミック粉砕物、ガラス粉砕物、ガラスビーズ、樹脂粉砕物、樹脂ビーズ、金属粒等や、それらの表面を着色コーティングしたもの等が挙げられる。
(B)成分の粒径は、0.01mm〜5.0mmであることが望ましい。粒径が0.01mm未満では骨材による自然石調の多彩感が低下し、5.0mm超では塗装時の作業性が低下する傾向となる。
【0023】
(B)成分の配合量は、(A)成分の固形分100重量部に対し、通常100〜2000重量部、好ましくは300〜1500重量部である。(B)成分が100重量部より少ない場合は、骨材による質感が得られず、また形成塗膜の隠ぺい性が確保できなくなる。2000重量部より多い場合は、耐汚染性、耐水性、ひび割れ防止性等が低下し、実用的でない。
【0024】
本発明塗材においては、本発明の効果を著しく損なわない限り、通常塗料に使用可能な成分を含むこともできる。このような成分としては、例えば、増粘剤、造膜助剤、レベリング剤、湿潤剤、可塑剤、凍結防止剤、pH調整剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、抗菌剤、分散剤、消泡剤、吸着剤、着色顔料、体質顔料、繊維、撥水剤、架橋剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、触媒等が挙げられる。本発明塗材は、以上のような成分を常法により均一に混合することで製造することができる。
【0025】
本発明塗材は、主に建築物や土木構造物等の塗装に使用することができるものである。適用可能な基材としては、例えば、石膏ボード、合板、コンクリート、モルタル、磁器タイル、繊維混入セメント板、セメント珪酸カルシウム板、スラグセメントパーライト板、ALC板、サイディング板、押出成形板、鋼板、プラスチック板等が挙げられる。これら基材の表面は、何らかの表面処理(例えば、シーラー、サーフェーサー、フィラー、パテ等)が施されたものでもよく、既に塗膜が形成されたもの等であってもよい。
【0026】
本発明塗材の塗装方法としては、公知の方法を採用することができ、例えば、スプレー塗り、ローラー塗り、コテ塗り、刷毛塗り等が可能である。乾式建材を工場内で塗装する場合は、ロールコーター、フローコーター等によって塗装することも可能である。
【0027】
本発明塗材を塗装する際の塗付量は、塗料の種類や用途により適宜選択すればよいが、通常は0.5〜10kg/m程度、好ましくは0.8〜8kg/m程度である。本発明塗材では、このような塗付量で比較的厚膜の塗膜を形成することができる。塗付時には、水等で希釈することによって、塗料の粘性を適宜調整することもできる。希釈割合は、通常0〜20重量%程度である。本発明塗材を塗装した後の乾燥は通常、常温で行えばよいが、加熱することも可能である。
【実施例】
【0028】
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより明確にする。
【0029】
(水性塗材の製造)
表1に示す配合に従い、各原料を常法により混合・攪拌することによって水性塗材を製造した。原料としては下記のものを使用した。
【0030】
・樹脂1:多層構造型合成樹脂エマルション
外層;アクリル樹脂(Tg45℃、構成成分;t−ブチルメタクリレート,n−ブチルメタクリレート,n−ブチルアクリレート,2−エチルヘキシルアクリレート,メタクリル酸;カルボキシル基含有モノマー5重量%)、シリコーン樹脂(構成成分;ヘキサメチルシクロトリシロキサン,オクタメチルシクロテトラシロキサン,デカメチルシクロペンタシロキサン)、外層アクリル樹脂とシリコーン樹脂との重量比80:20、
内層;アクリル樹脂(Tg−50℃、構成成分;n−ブチルメタクリレート,n−ブチルアクリレート,2−エチルヘキシルアクリレート)、外層と内層の重量比45:55、固形分50重量%
【0031】
・樹脂2:多層構造型合成樹脂エマルション
外層;アクリル樹脂(Tg45℃、構成成分;t−ブチルメタクリレート,n−ブチルメタクリレート,n−ブチルアクリレート,2−エチルヘキシルアクリレート,メタクリル酸;カルボキシル基含有モノマー5重量%)、シリコーン樹脂(構成成分;ヘキサメチルシクロトリシロキサン,オクタメチルシクロテトラシロキサン,デカメチルシクロペンタシロキサン)、外層アクリル樹脂と外層シリコーン樹脂との重量比80:20、
内層;アクリル樹脂(Tg−50℃、構成成分;n−ブチルメタクリレート,n−ブチルアクリレート,2−エチルヘキシルアクリレート)、シリコーン樹脂(構成成分;ヘキサメチルシクロトリシロキサン,オクタメチルシクロテトラシロキサン,デカメチルシクロペンタシロキサン)、内層アクリル樹脂と内層シリコーン樹脂との重量比80:20、
外層と内層の重量比45:55、固形分50重量%
【0032】
・樹脂3:多層構造型合成樹脂エマルション
外層;アクリル樹脂(Tg45℃、構成成分;t−ブチルメタクリレート,n−ブチルメタクリレート,n−ブチルアクリレート,2−エチルヘキシルアクリレート,メタクリル酸;カルボキシル基含有モノマー5重量%)、
内層;シリコーン樹脂(構成成分;ヘキサメチルシクロトリシロキサン,オクタメチルシクロテトラシロキサン,デカメチルシクロペンタシロキサン)、
外層と内層の重量比70:30、固形分50重量%
【0033】
・樹脂4:多層構造型合成樹脂エマルション
外層;アクリル樹脂(Tg45℃、構成成分;t−ブチルメタクリレート,n−ブチルメタクリレート,n−ブチルアクリレート,2−エチルヘキシルアクリレート,メタクリル酸;カルボキシル基含有モノマー5重量%)、
内層;アクリル樹脂(Tg−50℃、構成成分;n−ブチルメタクリレート,n−ブチルアクリレート,2−エチルヘキシルアクリレート)、
外層と内層の重量比50:50、固形分50重量%
【0034】
・樹脂5:アクリル樹脂エマルション(Tg12℃、構成成分;t−ブチルメタクリレート,n−ブチルメタクリレート,n−ブチルアクリレート,2−エチルヘキシルアクリレート,メタクリル酸;固形分50重量%)
【0035】
・造膜助剤:2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート
・増粘剤:ヒドロキシエチルセルロース粉
・消泡剤:シリコン系消泡剤(固形分50重量%)
・骨材:粒子径0.1〜2mmの着色骨材混合物(白色:淡黄色=1:2)
【0036】
(試験方法)
(1)仕上外観
900×900×3mmのスレート板に、エポキシ樹脂系プライマーを塗付量0.1kg/mでスプレー塗装し、標準状態で8時間乾燥した後、各水性塗材を塗付量2kg/mでスプレー塗装したときの表面状態を確認した。評価基準は、着色骨材の質感が活かされていたのもを「◎」、着色骨材が黒っぽく変色した状態となっていたものを「×」とする4段階(◎>○>△>×)とした。
【0037】
(2)耐湿潤冷熱繰返し性
150×70×3mmのスレート板に、エポキシ樹脂系プライマーを塗付量0.1kg/mでスプレー塗装し、標準状態で8時間乾燥した後、各水性塗材を塗付量2kg/mでスプレー塗装し、14日間養生したものを試験体とした。この試験体を23℃の水中に18時間浸した後、直ちに−20℃に保った恒温槽にて3時間冷却し、次に50℃に保った別の恒温槽で3時間加温した。この操作を10回繰り返した後、標準状態に約1時間置いて、塗膜表面の状態を目視にて観察した。評価基準は、異常発生(割れ・膨れ・剥れ)の程度を確認することにより行い、異常が全く発生しなかったものを「◎」、異常がほとんど発生しなかったものを「○」、異常が部分的に発生したものを「△」、異常が著しく発生したものを「×」とした。
【0038】
(試験結果)
試験結果を表2に示す。試験例1〜3では、いずれの試験においても良好な結果を得ることができた。
【0039】
【表1】

【0040】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来するアクリル樹脂、及び環状シロキサン化合物に由来するシリコーン樹脂が99:1〜30:70の重量比率でエマルション粒子内に混在する合成樹脂エマルション(A)、
自然石の粉砕物、陶磁器の粉砕物、及び着色骨材から選ばれる少なくとも一種の骨材(B)を必須成分とし、
前記合成樹脂エマルション(A)の固形分100重量部に対し、前記骨材(B)を100〜2000重量部含むことを特徴とする水性塗材。
【請求項2】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来するアクリル樹脂、及び環状シロキサン化合物に由来するシリコーン樹脂が99:1〜30:70の重量比率でエマルション粒子内に混在する合成樹脂エマルションであって、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来するアクリル樹脂、及び環状シロキサン化合物に由来するシリコーン樹脂が混在する外層と、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来するアクリル樹脂を含む内層を有する多層構造型合成樹脂エマルション(A−1)、
自然石の粉砕物、陶磁器の粉砕物、及び着色骨材から選ばれる少なくとも一種の骨材(B)を必須成分とし、
前記合成樹脂エマルション(A)の固形分100重量部に対し、前記骨材(B)を100〜2000重量部含むことを特徴とする水性塗材。

【公開番号】特開2008−94953(P2008−94953A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−278072(P2006−278072)
【出願日】平成18年10月11日(2006.10.11)
【出願人】(000180287)エスケー化研株式会社 (227)
【Fターム(参考)】