説明

水性被覆液

【課題】本発明は、塗装時の塗り残し、ムラ、ハジキ等を防止する水性被覆液を得ることを目的とする。
【解決手段】(A)有機質樹脂、(B)退色性色素、(C)シリカゾルを含み、固形分重量比率で(A)有機質樹脂100重量部に対して、(B)退色性色素を0.01重量部以上5重量部以下、(C)シリカゾルを50重量部以上500重量部以下、固形分20重量%以下とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物や土木構造物等の保護に用いられる水性クリヤー塗料等として使用可能な水性被覆液に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、建築物や土木構造物等の保護のために、クリヤー塗料が塗付される場合がある。最近では、環境を配慮した水性タイプのものが多々提供されてきている。また、下地の意匠性を損なわない様に、通常の塗料よりも固形分を低く設定したものも提供されてきている。これら、水性タイプのものでは、基材によっては、ハジキが生じる場合が多く、塗りムラを生じる場合がある。そのため、水性タイプのものは、界面活性剤やアルコール等の水溶性の有機溶媒を添加し、ハジキを防止する方法が提案されている。また、透明な保護膜を形成する場合、退色または消色性色素を添加し、塗り残し、重複塗り、ムラを防止することが知られている。
具体的に、特許文献1には、樹脂エマルションと食用色素からなる退色性塗付用樹脂組成物が記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開2002−285098
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような水性クリヤー塗料組成物は、表面保護性能の付与とともに、下地の質感を保持しながら、均一に塗付可能であり、さらには環境負荷が小さい組成物であることが求められる。
しかしながら、前記のような水性タイプの組成物では、特に固形分が低い場合、ハジキが生じ、不均一な塗膜となる場合があった。ハジキを防止する為に、界面活性剤等を添加した場合、乾燥後の塗膜に界面活性剤が残存し、耐水性を低下させるおそれがあった。また、塗り残し、重複塗り、ムラ防止のために退色性色素を添加しても、ハジキを生じる場合は不均一な塗膜が形成され、膜厚が厚い部分で色素の色残りの問題が生じやすいものであった。また、水溶性の有機溶媒を添加する方法は、高いハジキ防止効果を発揮するが、有機溶媒を用いることでVOC規制に代表されるように、環境への負荷が大きくなるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述のような問題点に鑑みなされたものであり、水性クリヤー塗料等として使用可能な水性被覆液において、塗装時の塗り残し、ムラ、ハジキ等を防止し、均一な被覆層を得ることを目的とする。
【0006】
本発明者は、上記目的を達成するため、以下の水性被覆液に想到した。
【0007】
すなわち、本発明は以下の特徴を有するものである。
1.固形分20重量%以下の水性被覆液であって、(A)有機質樹脂、(B)退色性色素、(C)シリカゾルを含み、固形分重量比率で(A)有機質樹脂100重量部に対して、(B)退色性色素を0.01重量部以上5重量部以下、(C)シリカゾルを50重量部以上500重量部以下含むことを特徴とする水性被覆液。
【発明の効果】
【0008】
本発明の水性被覆液は、(A)有機質樹脂、(B)退色性色素、(C)シリカゾルを含むものであり、退色性色素を添加することにより、塗りムラを防止し、さらにシリカゾルを添加することにより、塗膜のハジキを防止できる。さらに、ハジキ防止性能の向上により、表面保護被覆層を均一に薄膜化することができ、下地の意匠性等の質感を保持することができる。また、退色性色素を添加した場合においても、均一な被覆層が形成できるため、色残りがなく、退色性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0010】
本発明の水性被覆液は、主に建築物や土木構造物の表面に薄膜被覆層を形成し、下地の意匠性等の質感を保持しつつ、耐水性、耐候性、耐汚染性等の表面保護性を高めることができるものである。
【0011】
本発明の水性被覆液の固形分は、20重量%以下、好ましくは0.1重量%以上10重量%以下である。本発明における水性被覆液の固形分は、使用時における固形分であり、製造、保管、運搬時には高固形分とし、使用時に適宜希釈して前記固形分となるものを含む。さらに、固形分重量比率で(A)有機質樹脂100重量部に対して、(B)退色性色素を0.01重量部以上5.0重量部以下(好ましくは(B)0.05重量部以上5.0重量部以下、さらに好ましくは(B)0.1重量部以上3.0重量部以下)、(C)シリカゾルを50重量部以上500重量部以下(好ましくは(C)80重量部以上400重量部以下、さらに好ましくは(C)100重量部以上300重量部以下)である。このような範囲であれば、下地の質感保持が可能な被覆膜を形成することができる。
【0012】
上記の固形分比率において(B)退色性色素が0.01重量部未満の場合は、色素による発色性が乏しく、塗付したか否かの確認や塗付量の確認が難しくなる。一方、5.0重量部を超える場合は、貯蔵安定性が低下しやすく、また、退色に時間がかかる場合がある。
【0013】
また、上記の固形分比率において(C)シリカゾルが50重量部未満の場合は、ハジキ防止性の十分な効果を得ることができない。シリカゾルが500重量部を超える場合は、被覆層の固着性が不十分となり、また割れが生じやすくなる。
【0014】
(A)有機質樹脂は、主にシリカゾルを固定化する役割を担う成分である。有機質樹脂としては、例えば、セルロース、ポリビニルアルコール、バイオガム、ガラクトマンナン誘導体、アルギン酸誘導体、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アクリルシリコン樹脂、フッ素樹脂等、あるいはこれらの複合系等の水溶性樹脂及び/または水分散性樹脂(樹脂エマルション)が挙げられ、これらの1種または2種以上を使用することができる。これらは架橋反応性を有するものであってもよい。
【0015】
(B)退色性色素は、経時的に退色する色素であれば特に限定されないが、例えば、食用青色1号、食用赤色3号、食用赤色102号、食用赤色104号、食用赤色105号、食用赤色106号、食用緑色3号等の食用染料等があげられる。また、水に対する溶解度5g/100ml(25℃)以上であることが好ましい。水に対する溶解度が5g/100mlよりも小さい場合、色素が水中で凝集、不均一に分散された状態となり、塗膜を形成した時に、凝集物として残存してしまい、色残りが生じるおそれがある。
【0016】
(C)シリカゾルの平均一次粒子径は、通常1nm以上200nm以下、好ましくは5nm以上100nm以下である。この範囲内程度であれば、平均一次粒子径が異なる複数のシリカゾルを併用することもできる。シリカゾルの平均一次粒子径が200nmよりも大きい場合は、比表面積が小さくなり、単位重量当たりのシラノール基数が減るためハジキ防止性が不十分となるおそれがある。平均一次粒子径が1nmよりも小さい場合は、シリカゾル自体が不安定化するため、実用的でない。なお、ここに言う平均一次粒子径は、光散乱法によって測定される値である。
【0017】
シリカゾルとしては、pH5.0以上12以下、好ましくは6.0以上10以下の水分散性シリカゾルが好適である。このようなpHに調製されたシリカゾルは、その粒子表面の豊富なシラノール基によって、ハジキ防止効果を発揮することができる。さらに、作用機構は明らかでないが、上記のシリカゾルを含むことにより、退色性色素の退色速度を速くすることができる。
【0018】
このような中性〜塩基性タイプの水分散性シリカゾルは、例えば、珪酸ソーダ、シリケート化合物を原料として製造することができる。このうち、シリケート化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラn−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラn−ブトキシシラン、テトライソブトキシシラン、テトラsec−ブトキシシラン、テトラt−ブトキシシラン、テトラフェノキシシラン等、あるいはこれらの縮合物等が挙げられる。この他、上記シリケート化合物以外のアルコキシシラン化合物や、アルコール類、グリコール類、グルコールエーテル類、フッ素アルコール、シランカップリング剤、ポリオキシアルキレン基含有化合物等を併せて使用することもできる。また、これら水分散性シリカゾルの表面は多価金属化合物等により表面処理が施されていても良い。水分散性シリカゾルの媒体としては、水を主成分とし、必要に応じ水溶性溶剤を混合してもよい。
【0019】
被覆層におけるシリカは、このようなシリカゾルの一次粒子が二次凝集したものであってもよい。シリカゾルの二次凝集により、下地(特に艶消し下地)の質感を保持することができる。シリカゾルの二次凝集は、被覆層を形成する被覆液の濃度、荷電状態等を適宜調整することにより進行させることができる。例えば、被覆液における固形分濃度を十分に低く設定しておけば、被覆液の乾燥過程においてシリカゾル同士が接近し、その相互作用により二次凝集体が生成される。このような理由から、被覆液の固形分濃度は、通常20重量%以下(好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下)に設定することが望ましい。さらに、被覆液を構成する有機質樹脂として、異なる2種以上の樹脂を併用することも、二次凝集体の生成には有効な手段である。一例としてアクリル樹脂とウレタン樹脂、アクリルシリコン樹脂とウレタン樹脂、アクリル樹脂とエポキシ樹脂、アクリルシリコン樹脂とエポキシ樹脂、アクリル樹脂とバイオガム、アクリルシリコン樹脂とバイオガムの組合せ等が挙げられる。2種の樹脂を組合せて使用する場合は、固形分重量比において、一方の樹脂が他方の樹脂の1/9未満となるように調整すればよい。
【0020】
被覆層を形成する被覆液には、(A)有機質樹脂、(B)退色性色素(C)シリカゾル以外に、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ru、Rh、Pd、Ag、Os、Ir、Pt、Auから選ばれる1種以上の金属元素を含む平均一次粒子径が1nm以上100nm以下(好ましくは3nm以上50nm以下)の金属粒子を混合することもできる。なお、ここにいう平均一次粒子径は、光散乱法によって測定される値である。
このような金属粒子を混合することによって、詳細は明らかではないが、退色性色素の退色速度を速める効果がある。
また、金属粒子は、Ru、Rh、Pd、Ag、Os、Ir、Pt、Auから選ばれる1種以上の金属元素を含むものが好ましく、特に、Ag、Pt、Auから選ばれる1種以上の金属元素を含む金属粒子を混合した場合は、抗菌効果、汚染防止効果等も発揮されるため好ましい。
金属粒子の混合比率は、本発明の効果を損なわない程度であれば特に限定されないが、固形分重量比率で(A)有機質樹脂100重量部に対して、金属粒子0.001重量部以上5.0重量部以下(好ましくは0.01重量部以上3.0重量部以下、さらには好ましくは0.05重量部以上1.0重量部以下)であればよい。
【0021】
被覆層を形成する被覆液には、(A)有機質樹脂、(B)退色性色素(C)シリカゾル、金属粒子以外の成分を適宜混合することができる。このような成分としては、例えば、増粘剤、レベリング剤、湿潤剤、可塑剤、造膜助剤、凍結防止剤、pH調整剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、抗菌剤、分散剤、消泡剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、触媒、光触媒、架橋剤、繊維等が挙げられる。本発明、水性被覆液は、以上の成分を常法により均一に混合して製造すれば良い。被覆液のpHは、被覆液の安定性の点でpH5.0以上11以下(好ましくは6.5以上8.0以下)とすることが望ましい。
【0022】
本発明の水性被覆液は、主に建築物や土木構造物等の表面被覆材として使用することができるものである。適用可能な基材としては、例えば、石膏ボード、合板、コンクリート、モルタル、スレート板、繊維混入セメント板、セメント珪酸カルシウム板、スラグセメントパーライト板、ALC板、サイディング板、自然石、人工石、押出成形板、金属、木材、ガラス、陶磁器、焼成タイル、磁器タイル、プラスチック板、合成樹脂等が挙げられる。これら基材の表面は、何らかの表面処理(例えば、シーラー、サーフェーサー、フィラー、パテ等)が施されたものでもよく、既に有機質塗膜が形成されたものや、壁紙、化粧シート材が貼り付けられたもの等であってもよい。特に、上記のような基材に有機質塗膜が形成された基材に有効である。
【0023】
有機質塗膜は、有機質樹脂を含む各種の有機系塗料、例えば、有機系下塗塗料、有機系中塗塗料、有機系上塗塗料等によって形成されるものである。
有機系塗料における有機質樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれであってもよく、例えば、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリルシリコン樹脂、ふっ素樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂等が挙げられる。
具体的には、例えば、JIS K5654「アクリル樹脂エナメル」、JASS18 M−207「非水分散形アクリル樹脂エナメル」、JIS K5656「建築用ポリウレタン樹脂塗料」、JASS18 M−404「アクリルシリコン樹脂塗料」、JIS K5658「建築用ふっ素樹脂塗料」、JIS K5660「つや有合成樹脂エマルションペイント」、JIS K5663「合成樹脂エマルションペイント」、JIS K5667「多彩模様塗料」、JIS K5668「合成樹脂エマルション模様塗料」、JIS A6909「建築用仕上塗材」の外装薄塗材E、可とう形外装薄塗材E、防水形外装薄塗材E、外装厚塗材E、複層塗材E、防水形複層塗材E、複層塗材RE、防水形複層塗材RE、複層塗材RS、防水形複層塗材RE等が挙げられる。
【0024】
このような基材の上に、被覆層を形成する際には、スプレー塗り、刷毛塗り、ローラー塗り、ウェス拭き等の塗装手段を適宜採用することができる。
水性被覆液の塗付量は、通常0.005〜0.5kg/m、好ましくは0.01〜0.3kg/m程度である。この範囲であれば、複数回重ね塗りしてもよい。水性被覆液の乾燥は通常、常温で行えばよい。
【実施例】
【0025】
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより明確にする。
【0026】
(実施例1)
表1に示す原材料を用いて、表2に示す配合により水性被覆液を作製した。この水性被覆液を水性白色艶消し塗料を塗付した基材上へ、塗付量0.15kg/mで刷毛にて塗付した。その塗膜は、ハジキ、色ムラもなく、均一な赤色の薄膜であった。また、塗付後、温度25℃の暗所にて48時間乾燥後、直射日光が当たらない北面屋内の窓内側にて、暴露を4日間行い、被覆液未塗付の下地との色差を測定した結果△E=0.5となり、目視でも確認できないほど退色し、質感も保持することが可能であった。
【0027】
(実施例2)
表1に示す原材料を用いて、表2に示す配合により水性被覆液を作製した。この水性被覆液を水性白色艶消し塗料を塗付した基材上へ、塗付量0.15kg/mで刷毛にて塗付した。その塗膜は、ハジキ、色ムラもなく、均一な青色の薄膜であった。また、塗付後、温度25℃の暗所にて48時間乾燥後、直射日光が当たらない北面屋内の窓内側にて、暴露を4日間行い、塗料未塗付の下地との色差を測定した結果△E=0.8となり、目視でも確認できないほど退色し、質感も保持することが可能であった。
【0028】
(実施例3)
表1に示す原材料を用いて、表2に示す配合により水性被覆液を作製した。この水性被覆液を水性白色艶消し塗料を塗付した基材上へ、塗付量0.15kg/mで刷毛にて塗付した。その塗膜は、ハジキ、色ムラもなく、均一な赤色の薄膜であった。また、塗付後、温度25℃の暗所にて48時間乾燥後、直射日光が当たらない北面屋内の窓内側にて、暴露を4日間行い、塗料未塗付の下地との色差を測定した結果△E=0.3となり、目視でも確認できないほど退色し、質感も保持することが可能であった。
【0029】
(実施例4)
表1に示す原材料を用いて、表2に示す配合により水性被覆液を作製した。この水性被覆液を水性白色艶消し塗料を塗付した基材上へ、塗付量0.15kg/mで刷毛にて塗付した。その塗膜は、ハジキ、色ムラもなく、均一な赤色の薄膜であった。また、塗付後、温度25℃の暗所にて48時間乾燥後、直射日光が当たらない北面屋内の窓内側にて、暴露を4日間行い、塗料未塗付の下地との色差を測定した結果△E=0.9となり、目視でも確認できないほど退色し、質感も保持することが可能であった。
【0030】
(実施例5)
表1に示す原材料を用いて、表2に示す配合により水性被覆液を作製した。この水性被覆液を水性白色艶消し塗料を塗付した基材上へ、塗付量0.15kg/mで刷毛にて塗付した。その塗膜は、ハジキ、色ムラがほとんどなく、ほぼ均一な青色の薄膜であった。また、塗付後、温度25℃の暗所にて48時間乾燥後、直射日光が当たらない北面屋内の窓内側にて、暴露を4日間行い、塗料未塗布の下地との色差を測定した結果△E=1.8となり、目視でもほぼ確認できないほど退色し、質感も保持することが可能であった。
【0031】
(実施例6)
表1に示す原材料を用いて、表2に示す配合により水性被覆液を作製した。この水性被覆液を水性白色艶消し塗料を塗付した基材上へ、塗付量0.15kg/mで刷毛にて塗付した。その塗膜は、ハジキ、色ムラもなく、均一な赤色の薄膜であった。また、塗付後、温度25℃の暗所にて48時間乾燥後、直射日光が当たらない北面屋内の窓内側にて、暴露を4日間行い、被覆液未塗付の下地との色差を測定した結果△E=0.4となり、目視でも確認できないほど退色し、質感も保持することが可能であった。
【0032】
(実施例7)
表1に示す原材料を用いて、表2に示す配合により水性被覆液を作製した。この水性被覆液を水性白色艶消し塗料を塗付した基材上へ、塗付量0.15kg/mで刷毛にて塗付した。その塗膜は、ハジキ、色ムラもなく、均一な赤色の薄膜であった。また、塗付後、温度25℃の暗所にて48時間乾燥後、直射日光が当たらない北面屋内の窓内側にて、暴露を4日間行い、被覆液未塗付の下地との色差を測定した結果△E=0.8となり、目視でも確認できないほど退色し、質感も保持することが可能であった。
【0033】
(実施例8)
表1に示す原材料を用いて、表2に示す配合により水性被覆液を作製した。この水性被覆液を水性白色艶消し塗料を塗付した基材上へ、塗付量0.15kg/mで刷毛にて塗付した。その塗膜は、ハジキ、色ムラもなく、均一な赤色の薄膜であった。また、塗付後、温度25℃の暗所にて48時間乾燥後、直射日光が当たらない北面屋内の窓内側にて、暴露を4日間行い、被覆液未塗付の下地との色差を測定した結果△E=0.4となり、目視でも確認できないほど退色し、質感も保持することが可能であった。
【0034】
(実施例9)
表1に示す原材料を用いて、表2に示す配合により水性被覆液を作製した。この水性被覆液を水性白色艶消し塗料を塗付した基材上へ、塗付量0.15kg/mで刷毛にて塗付した。その塗膜は、ハジキ、色ムラもなく、均一な赤色の薄膜であった。また、塗付後、温度25℃の暗所にて48時間乾燥後、直射日光が当たらない北面屋内の窓内側にて、暴露を4日間行い、被覆液未塗付の下地との色差を測定した結果△E=0.2となり、目視でも確認できないほど退色し、質感も保持することが可能であった。
【0035】
(実施例10)
表1に示す原材料を用いて、表2に示す配合により水性被覆液を作製した。この水性被覆液を水性白色艶消し塗料を塗付した基材上へ、塗付量0.15kg/mで刷毛にて塗付した。その塗膜は、ハジキ、色ムラもなく、均一な赤色の薄膜であった。また、塗付後、温度25℃の暗所にて48時間乾燥後、直射日光が当たらない北面屋内の窓内側にて、暴露を4日間行い、被覆液未塗付の下地との色差を測定した結果△E=0.3となり、目視でも確認できないほど退色し、質感も保持することが可能であった。
【0036】
(実施例11)
表1に示す原材料を用いて、表2に示す配合により水性被覆液を作製した。この水性被覆液を水性白色艶消し塗料を塗付した基材上へ、塗付量0.15kg/mで刷毛にて塗付した。その塗膜は、ハジキ、色ムラもなく、均一な赤色の薄膜であった。また、塗付後、温度25℃の暗所にて48時間乾燥後、直射日光が当たらない北面屋内の窓内側にて、暴露を4日間行い、被覆液未塗付の下地との色差を測定した結果△E=0.6となり、目視でも確認できないほど退色し、質感も保持することが可能であった。
【0037】
(実施例12)
表1に示す原材料を用いて、表2に示す配合により水性被覆液を作製した。この水性被覆液を水性白色艶消し塗料を塗付した基材上へ、塗付量0.15kg/mで刷毛にて塗付した。その塗膜は、ハジキ、色ムラもなく、均一な赤色の薄膜であった。また、塗付後、温度25℃の暗所にて48時間乾燥後、直射日光が当たらない北面屋内の窓内側にて、暴露を4日間行い、被覆液未塗付の下地との色差を測定した結果△E=0.3となり、目視でも確認できないほど退色し、質感も保持することが可能であった。
【0038】
(実施例13)
表1に示す原材料を用いて、表2に示す配合により水性被覆液を作製した。この水性被覆液を水性白色艶消し塗料を塗付した基材上へ、塗付量0.15kg/mで刷毛にて塗付した。その塗膜は、ハジキ、色ムラもなく、均一な赤色の薄膜であった。また、塗付後、温度25℃の暗所にて48時間乾燥後、直射日光が当たらない北面屋内の窓内側にて、暴露を4日間行い、被覆液未塗付の下地との色差を測定した結果△E=0.6となり、目視でも確認できないほど退色し、質感も保持することが可能であった。
【0039】
(実施例14)
表1に示す原材料を用いて、表3に示す配合により水性被覆液を作製した。この水性被覆液を水性白色艶消し塗料を塗付した基材上へ、塗付量0.15kg/mで刷毛にて塗付した。その塗膜は、ハジキ、色ムラがほとんどなく、ほぼ均一な青色の薄膜であった。また、塗付後、温度25℃の暗所にて48時間乾燥後、直射日光が当たらない北面屋内の窓内側にて、暴露を4日間行い、被覆液未塗付の下地との色差を測定した結果△E=1.2となり、目視でも確認できないほど退色し、質感も保持することが可能であった。
【0040】
(実施例15)
表1に示す原材料を用いて、表3に示す配合により水性被覆液を作製した。この水性被覆液を水性白色艶消し塗料を塗付した基材上へ、塗付量0.15kg/mで刷毛にて塗付した。その塗膜は、ハジキ、色ムラもなく、均一な赤色の薄膜であった。また、塗付後、温度25℃の暗所にて48時間乾燥後、直射日光が当たらない北面屋内の窓内側にて、暴露を4日間行い、被覆液未塗付の下地との色差を測定した結果△E=0.3となり、目視でも確認できないほど退色し、質感も保持することが可能であった。
【0041】
(実施例16)
表1に示す原材料を用いて、表3に示す配合により水性被覆液を作製した。この水性被覆液を水性白色艶消し塗料を塗付した基材上へ、塗付量0.15kg/mで刷毛にて塗付した。その塗膜は、ハジキ、色ムラもなく、均一な赤色の薄膜であった。また、塗付後、温度25℃の暗所にて48時間乾燥後、直射日光が当たらない北面屋内の窓内側にて、暴露を4日間行い、被覆液未塗付の下地との色差を測定した結果△E=0.9となり、目視でも確認できないほど退色し、質感も保持することが可能であった。
【0042】
(実施例17)
表1に示す原材料を用いて、表3に示す配合により水性被覆液を作製した。この水性被覆液を水性白色艶消し塗料を塗付した基材上へ、塗付量0.15kg/mで刷毛にて塗付した。その塗膜は、ハジキ、色ムラもなく、均一な赤色の薄膜であった。また、塗付後、温度25℃の暗所にて48時間乾燥後、直射日光が当たらない北面屋内の窓内側にて、暴露を4日間行い、被覆液未塗付の下地との色差を測定した結果△E=0.3となり、目視でも確認できないほど退色し、質感も保持することが可能であった。
【0043】
(実施例18)
表1に示す原材料を用いて、表3に示す配合により水性被覆液を作製した。この水性被覆液を水性白色艶消し塗料を塗付した基材上へ、塗付量0.15kg/mで刷毛にて塗付した。その塗膜は、ハジキ、色ムラもなく、均一な薄い赤色の薄膜であった。また、塗付後、温度25℃の暗所にて48時間乾燥後、直射日光が当たらない北面屋内の窓内側にて、暴露を4日間行い、被覆液未塗付の下地との色差を測定した結果△E=0.5となり、目視でも確認できないほど退色し、質感も保持することが可能であった。
【0044】
(実施例19)
表1に示す原材料を用いて、表3に示す配合により水性被覆液を作製した。この水性被覆液を水性白色艶消し塗料を塗付した基材上へ、塗付量0.15kg/mで刷毛にて塗付した。その塗膜は、ハジキ、色ムラもなく、均一な赤色の薄膜であった。また、塗付後、温度25℃の暗所にて48時間乾燥後、直射日光が当たらない北面屋内の窓内側にて、暴露を4日間行い、被覆液未塗付の下地との色差を測定した結果△E=1.5となり、目視でもほぼ確認できないほど退色し、質感も保持することが可能であった。
【0045】
(実施例20)
表1に示す原材料を用いて、表3に示す配合により水性被覆液を作製した。この水性被覆液を水性白色艶消し塗料を塗付した基材上へ、塗付量0.15kg/mで刷毛にて塗付した。その塗膜は、ハジキ、色ムラもなく、均一な赤色の薄膜であった。また、塗付後、温度25℃の暗所にて48時間乾燥後、直射日光が当たらない北面屋内の窓内側にて、暴露を4日間行い、被覆液未塗付の下地との色差を測定した結果△E=0.3となり、目視でも確認できないほど退色し、質感も保持することが可能であった。
【0046】
(実施例21)
表1に示す原材料を用いて、表3に示す配合により水性被覆液を作製した。この水性被覆液を水性白色艶消し塗料を塗付した基材上へ、塗付量0.15kg/mで刷毛にて塗付した。その塗膜は、ハジキ、色ムラもなく、均一な赤色の薄膜であった。また、塗付後、温度25℃の暗所にて48時間乾燥後、直射日光が当たらない北面屋内の窓内側にて、暴露を4日間行い、被覆液未塗付の下地との色差を測定した結果△E=0.3となり、目視でも確認できないほど退色し、質感も保持することが可能であった。
【0047】
(実施例22)
表1に示す原材料を用いて、表3に示す配合により水性被覆液を作製した。この水性被覆液を水性白色艶消し塗料を塗付した基材上へ、塗付量0.15kg/mで刷毛にて塗付した。その塗膜は、ハジキ、色ムラもなく、均一な赤色の薄膜であった。また、塗付後、温度25℃の暗所にて48時間乾燥後、直射日光が当たらない北面屋内の窓内側にて、暴露を4日間行い、被覆液未塗付の下地との色差を測定した結果△E=0.5となり、目視でも確認できないほど退色し、質感も保持することが可能であった。
【0048】
(実施例23)
表1に示す原材料を用いて、表3に示す配合により水性被覆液を作製した。この水性被覆液を水性白色艶消し塗料を塗付した基材上へ、塗付量0.15kg/mで刷毛にて塗付した。その塗膜は、ハジキ、色ムラもなく、均一な赤色の薄膜であった。また、塗付後、温度25℃の暗所にて48時間乾燥後、直射日光が当たらない北面屋内の窓内側にて、暴露を4日間行い、被覆液未塗付の下地との色差を測定した結果△E=0.2となり、目視でも確認できないほど退色し、質感も保持することが可能であった。
【0049】
(比較例1)
表1に示す原材料を用いて、表3に示す配合により水性被覆液を作製した。この水性被覆液を水性白色艶消し塗料を塗付した基材上へ、塗付量0.15kg/mで刷毛にて塗付した。その塗膜は、ハジキが生じ、赤色の色ムラが斑点状に形成した。また、塗付後、温度25℃の暗所にて48時間乾燥後、直射日光が当たらない北面屋内の窓内側にて、暴露を4日間行い、塗料未塗布の下地との色差を測定した結果△E=2.8となり、赤色斑点状が確認された。
【0050】
(比較例2)
表1に示す原材料を用いて、表3に示す配合により水性被覆液を作製した。この水性被覆液を水性白色艶消し塗料を塗付した基材上へ、塗付量0.15kg/mで刷毛にて塗付した。その塗膜は、ハジキはなく、均一な赤色の薄膜であった。また、塗付後、温度25℃の暗所にて48時間乾燥後、直射日光が当たらない北面屋内の窓内側にて、暴露を4日間行い、塗料未塗布の下地との色差を測定した結果△E=4.0となり、明確に赤色が確認され、退色せず、質感を保持できなかった。
【0051】
(比較例3)
表1に示す原材料を用いて、表3に示す配合により水性被覆液を作製した。この水性被覆液を水性白色艶消し塗料を塗付した基材上へ、塗付量0.15kg/mで刷毛にて塗付した。その塗膜は、ハジキはなかったが、塗付後、温度25℃の暗所にて48時間乾燥後、塗膜に割れが生じた。
【0052】
(比較例4)
表1に示す原材料を用いて、表3に示す配合により水性被覆液を作製した。この水性被覆液を水性白色艶消し塗料を塗付した基材上へ、塗付量0.15kg/mで刷毛にて塗付した。その塗膜は、ハジキはなく、均一な赤色の薄膜であった。また、塗付後、温度25℃の暗所にて48時間乾燥後、直射日光が当たらない北面屋内の窓内側にて、暴露を4日間行い、塗料未塗布の下地との色差を測定した結果△E=6.0となり、明確に赤色が確認され、退色せず、質感を保持できなかった。
【0053】
【表1】

【0054】
【表2】

【0055】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形分20重量%以下の水性被覆液であって、(A)有機質樹脂、(B)退色性色素、(C)シリカゾルを含み、固形分重量比率で(A)有機質樹脂100重量部に対して、(B)退色性色素を0.01重量部以上5重量部以下、(C)シリカゾルを50重量部以上500重量部以下含むことを特徴とする水性被覆液。




【公開番号】特開2008−208338(P2008−208338A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−337418(P2007−337418)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(599071496)ベック株式会社 (98)
【Fターム(参考)】