説明

水性防炎・難燃剤

【課題】材料に塗布・含浸させると材料表面に粉ふきが生じて、化合物が木質系材料の表面に析出して表面に白粉しない、製造工程が簡単な優れた防炎・難燃剤とその製造方法を提供する。
【解決手段】硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム及びアンモニウムからなる化合物と、浸透剤と多価アルコール及び界面活性剤を含有することを特徴とする水性防炎・難燃化剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙や木材等の木質系材料の表面に成膜あるいは含浸させることにより該基材を防炎・難燃化する剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、難燃剤として既知のものとしては、硼素化合物を含む弱酸又は弱アルカリの金属塩水溶液に燐酸及びシランカップリング剤を加えて混合水溶液とし、該混合水溶液にポリフェノール系化合物を主成分とする植物抽出物を加えたことを特徴とする不燃処理液(特許3485914号)や難燃性硬化性組成物(例えば特開2004−115797号)など、防炎・難燃性を与える非常に多くの特許がある。
【0003】
しかしながら、これらの化合物の水溶液に木質系材料に浸漬して含浸させても、化合物が木質系材料の表面に析出して表面に白粉がふいた状態になり、防炎・難燃効果の早期低下や塗料や接着剤・粘着剤がつき難いと言った問題があった。
【0004】
特公昭51−35078号公報には、難燃化処理した木材等の表面に、用いた無機化合物が結晶として析出し諸特性を著しく低下させる問題を改善するために、ホウ酸等と金属イオン封鎖作用を有するポリリン酸との混合物を用いた木材の難燃化処理方法が開示されているが、未だ不充分である。
【特許文献1】特許3485914号
【特許文献2】特開2004−115797号
【特許文献3】特公昭51−35078号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、化合物が木質系材料の表面に析出して表面に白粉しない製造工程が簡単な優れた防炎・難燃剤とその製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、硫酸アンモニウム(A)とリン酸アンモニウム(B)を主材とし、アンモニウム(C)と浸透剤(D)と多価アルコール(E)と界面活性剤(F)を含有する水性防炎・難燃剤であって、質量比において(A):(B):(C):(D):(E)及び(F)=40〜50:30〜40:5〜10:1〜3:0.1〜0.5となる防炎・難燃剤。
【0007】
さらに、その製造方法としては、密閉容器内で、硫酸アンモニウム(A)とリン酸アンモニウム(B)を混合後、温度 度Cにてアンモニウム(C)と浸透剤(D)を攪拌混合し、室温まで冷却し、多価アルコール(E)と界面活性剤(F)混合する方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、木質系材料の表面に白粉しない製造工程が簡単な優れた防炎・難燃剤とその製造方法が提供でき、家屋内等生活環境空間での防炎・難燃化が図れる。
【実施例】
【0009】
質量比において硫酸アンモニウム52.0:りん酸アンモニウム41.6:アンモニア5.2:浸透剤等1.2の配合組成を持つ水性防炎・難燃剤をダンボール試験片(30cm×30cm)に含浸させ、該試験片を送風乾燥機で25度C、5時間乾燥させた。
【0010】
試験片表面の粉ふきを目視で観察・評価したが粉ふきは無かった。
【0011】
処理後のダンボール試験片及び未処理ダンボール片を45度傾け、ローソクの炎の2cm上にかざしたところ、未処理ダンボール試験片は90秒で燃え始めた。しかし、本発明の水性防炎・難燃剤で処理を行ったダンボール試験片は炎の当る面が黒く炭化するが、燃焼には至らなかった。





【特許請求の範囲】
【請求項1】
硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム及びアンモニウムからなる化合物と、浸透剤および多価アルコールと界面活性剤をを含有することを特徴とする水性防炎・難燃化剤。
【請求項2】
請求項1に記載の水性防炎・難燃化剤の製造方法。








【公開番号】特開2010−47694(P2010−47694A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−213439(P2008−213439)
【出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【出願人】(307015873)株式会社 グロー ケミカル (4)
【Fターム(参考)】