説明

水抜き管および水抜き管の埋設方法

【課題】 削岩機を用いて地中に埋設する場合でも、伸縮や捩れが生じ難く、埋設や接続作業が容易であり、破断や排水機能の低下を防止することができる水抜き管および水抜き管の埋設方法を提供する。
【解決手段】 ジャケット管1は、ロッド2の先端に設けられたロストビット3に接続され、ロッド2を介して伝達される削岩機8の回転掘削力が伝達されて掘進するロストビット3の掘進に伴って地中に埋設される。このジャケット管1は、パイプジャケット11を備え、その先端部および後端部に先端口金12と後端口金13が設けられている。先端口金12と後端口金13との間には、鋼線16が掛け渡されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネルの構築領域の地山などの地盤を掘削して水抜き管を埋設する水抜き管および水抜き管の埋設方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
山岳トンネルを構築する際、地山中における水圧や湧水を減少するために、地山の水抜きを行う、いわゆる水抜き工法が知られている。この水抜き工法は、有孔鋼管を地山に埋設することによって水抜きを行うものである(たとえば、特許文献1参照)。この水抜き工法では、水抜き管を地山に埋設するにあたり、ロッドの先端に設けられた削孔ビットに水抜き管を取り付け、このロッドに対して削岩機によって回転掘削力を付与することにより、削孔ビットに回転掘削力を伝達し、削孔ビットで地山を掘進する。その後、ロッドを除去して、有孔鋼管を地山に埋設した状態として、地山中における排水を促進するようにしている。また、ここでの水抜き管としては、有孔鋼管が用いられていた。
【0003】
また、地中内に埋設される長尺状であり、透水性を有するものとして、サンドドレーン工法において砂杭を保形するための長尺管状構造体が知られている(たとえば、特許文献2参照)
【特許文献1】特許第3198087号公報
【特許文献2】特許第3238845号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1に開示された水抜き工法においては、地盤に埋設する水抜き管として有孔鋼管が用いられている。このため、地盤における水抜きを行う際、地盤内の細粒分や砂分が流出して地盤内に空洞を生じさせたり、有孔鋼管における孔が細粒分や砂分によって目詰まりして水抜き効果が低減したりするという問題があった。また、地山からの土圧や地山の変形などにより、埋設した水抜き管が折れ曲がり、湧水の排出路が遮断されるという問題があった。
【0005】
この問題に対して、たとえば特許文献2に開示された長尺管状構造体を水抜き管として用いることが考えられる。しかしながら、この長尺管状構造体は、フレキシブルであり、可とう性を有するものである。このため、削孔中に地山孔壁と間に生じる摩擦や削岩機から伝達される削岩機のトルクによって、伸縮や捩れなどを症状が生じる可能性があった。このような伸長が水抜き管に生じると、水抜き管の接続作業が困難となったり、想定外の圧縮力が水抜き管に掛かかったりすることがあるという問題があった。
【0006】
また、水抜き管に収縮や捩れが生じると、孔壁と水抜き管とが強く接触し、削孔中の摩擦力が増大したり、長尺管状構造体の直線性が失われ、設置位置が予定位置からずれたりする可能性があるという問題があった。さらには、このような伸縮や捩れなどが生じると、長尺管状構造体が圧縮力を受けることで、座屈や捩れによる破断が生じる可能性があり、その結果に排水機能の低下を招くという問題があった。
【0007】
そこで、本発明の課題は、削岩機を用いて地中に埋設する場合でも、伸縮や捩れが生じ難く、埋設や接続作業が容易であり、破断や排水機能の低下を防止することができる水抜き管および水抜き管の埋設方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決した本発明に係る水抜き管は、ロッドの先端に設けられた削孔ビットに対して、ロッドを介して回転掘削力を付与することによって地盤を掘進し、削孔ビットに接続されて削孔ビットの掘進に伴って地中に埋設され、ロッドが内部に収容される水抜き管であって、フレキシブル筒状織物で形成された水抜き管本体を備え、水抜き管本体の先端部に先端接続継手が設けられ、水抜き管本体の後端部に、先端接続継手と接続可能とされた後端接続継手が設けられ、先端接続継手と後端接続継手との間に補強部材が掛け渡されていることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る水抜き管では、フレキシブル筒状織物を水抜き管本体として用いている。このため、水抜き管本体のみでは、削岩機を用いて地中に埋設する際に伸縮や捩れが生じ易くなる。この点、本発明に係る水抜き管では、先端接続継手と後端接続継手との間に補強部材が掛け渡されている。このため、水抜き管本体の伸縮や捩れを防止することができる。したがって、削岩機を用いて地中に埋設する場合でも、伸縮や捩れが生じ難く、埋設や接続作業が容易であり、破断や排水機能の低下を防止することができる。また、補強部材を設けることにより、水抜き管本体と孔壁との接触を少なくすることができるので、水抜き管本体の排水機能の低下や摩擦による水抜き管本体の破損を好適に防止することができる。
【0010】
ここで、補強部材は、先端接続部材および後端接続部材の外径線よりも内側位置に配置されている態様とすることができる。
【0011】
このように、補強部材が、先端接続部材および後端接続部材の外径線よりも内側位置に配置されていることにより、水抜き管を地中に埋設する際に、地中における補強部材の抵抗を小さくすることができる。その結果、水抜き管を埋設し易くすることができる。
【0012】
また、先端接続継手および後端接続継手における外径線を構成する部材に、補強部材を嵌め込む嵌め込み溝が形成されている態様とすることができる。
【0013】
このように、補強部材を嵌め込む嵌め込み溝が先端接続部材および後端接続部材における外径線を構成する部材に形成されていることにより、補強部材を先端接続部材および後端接続部材の外径線よりも内側位置に配置しやすくすることができる。
【0014】
さらに、補強部材は、複数の長尺状補強部材を備えており、複数の長尺状補強部材は、水抜き管本体における軸方向の周りに互いに離間して配置されている態様とすることができる。
【0015】
このように、先端接続継手と後端接続継手との間に複数の長尺状補強部材が掛け渡されており、複数の長尺状補強部材は、水抜き管本体における軸方向の周りに互いに離間して配置されていることにより、水抜き管本体の伸縮や捩れを防止することができる。
【0016】
あるいは、長尺状補強部材が、硬鋼線または板状長尺部材である態様とすることができる。
【0017】
このように、長尺状補強部材としては、硬鋼線または板状長尺部材を好適に用いることができる。このうち、ピアノ線などの硬鋼線を用いることにより、孔壁との抵抗を少なくしながら水抜き管本体の補強をすることができる。また、板状長尺部材を用いることにより、水抜き管本体を補強する際の強度を大きくすることができる。
【0018】
また、水抜き管本体における長手方向の途中位置に、複数の長尺状補強部材を接続する補強バンドが設けられている態様とすることができる。
【0019】
このような補強バンドが設けられていることにより、補強度合が低くなる長尺状補強部材における長手方向途中位置における強度を向上させることができる。
【0020】
さらに、補強部材は、水抜き管本体の軸を中心とするスパイラル状をなし、水抜き管本体を覆って配置されている態様とすることができる。
【0021】
このような水抜き管本体の軸周りに水抜き管本体を覆って配置されたスパイラル状の補強部材を用いることにより、水抜き管本体に生じる伸縮や捩れを好適に防止することができる。
【0022】
他方、上記課題を解決した本発明に係る水抜き管の埋設方法は、ロッドの先端に設けられた削孔ビットに対して、ロッドを介して回転掘削力を付与することによって地盤を掘進し、削孔ビットに、ロッドを内部に収容する水抜き管を接続して、削孔ビットの掘進に伴って水抜き管を地山に埋設するにあたり、水抜き管として、上記の水抜き管を用いることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る水抜き管および水抜き管の埋設方法によれば、削岩機を用いて地中に埋設する場合でも、伸縮や捩れが生じ難く、埋設や接続作業が容易であり、破断や排水機能の低下を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各実施形態において、同一の機能を有する部分については同一の符号を付し、重複する説明は省略することがある。図1は本発明の第1の実施形態に係るジャケット管を埋設する装置の側面図、図2はジャケット管を設けたトンネル周辺の模式的斜視図、図3はジャケット管の斜視図、図4はパイプジャケットの模式的斜視図、図5はジャケット管の正断面図、図6はジャケット管の中央部の側断面図、図7はジャケット管を埋設するシステム全体の側断面図である。また、図8は図7のVIII−VIII線断面図である。
【0025】
図1に示すように、水抜き工法などを行うにあたり、水抜き管であるジャケット管1が地中に埋設される。ジャケット管1は、図2に示すように、トンネル構築領域Xの周囲における所定の位置にある程度、たとえば30〜50m程度の間隔をおいて複数本埋設される。トンネル構築領域Xにトンネルを掘削する際に、このジャケット管1を複数埋設することにより、切羽の水圧や湧水の減少を図っている。
【0026】
ジャケット管1は、図3に示すように、水抜き管本体であるパイプジャケット11を備えている。このパイプジャケット11における先端部には先端接続継手である先端口金12が取り付けられ、後端部には後端接続継手である後端口金13が取り付けられている。先端口金12の内側面には、雌ネジ部が形成されており、後端口金13の外側面には雄ネジ部が形成されている。先端口金12の雌ネジ部に後端口金13の雄ネジ部をねじ込むことにより、ジャケット管1同士が連結可能とされている。
【0027】
ジャケット管1としては、これらの雄ネジ部と雌ネジ部とは、互いに入れ違えて配置した態様とすることもできる。また、先端口金12および後端口金13とパイプジャケット11との接続を強固にするために、接着剤を併用したり、各ネジ部をタケノコ状にしたりすることもできる。
【0028】
パイプジャケット11は、直径が75mmの可とう性を有するフレキシブル筒状織物からなり、図4に示すように、タテ糸14とヨコ糸15a,15bによって形成されている。タテ糸14はポリエステル繊維の紡績糸7090dtexからなり、ヨコ糸15a,15bはそれぞれ亜鉛めっき硬鋼線60Cφ1.6mm、ポリエステル樹脂からなる剛直なモノフィラメント糸φ1.6mmからなる。このフレキシブル筒状織物では、複数本のタテ糸14と、2種類のヨコ糸15a,15bが用いられている。この複数のタテ糸14に対して、ヨコ糸15a,15bがスパイラル(螺旋)状に織り込まれている。また、タテ糸14の本数は144本、ヨコ糸の打ち込み(長さ方向への込み具合)は4.0本/cmである。
【0029】
さらに説明すると、ヨコ糸15a,15bは、いずれもスパイラル状をなしており、それぞれ交互に挿入された状態で配置されている。この2本のヨコ糸15a,15bに対して、タテ糸14が、ヨコ糸15a,15bが形成するスパイラルの軸方向に沿って配置されている。このとき、タテ糸14は、ヨコ糸15a,15bが形成するスパイラルの半径方向に振幅を有する波状をなしており、隣り合うタテ糸14とは、ヨコ糸15a,15bのうちのいずれか1本分の位相差を持って配置されている。
【0030】
このフレキシブル筒状織物は網目が細かいため、細粒分や砂分が流出しにくく、全周面で集水する構造であるため、有孔管に比べて目詰まりしにくい。しかしながら、透水係数は10−1〜10−3cm/sec程度と大きく、集水能力が高い水抜き管である。また、一方のヨコ糸15aとして硬鋼線を用いることにより、ジャケット管1を削孔に挿入した後、地山の土圧に対して扁平につぶれないだけの剛性を確保することができる。また、他方のヨコ糸15bとしてモノフィラメント糸を用いることにより、ジャケット管1の全体としての軽量化を図ることができる。
【0031】
ジャケット管1は、ロッド2によって回転させられるロストビット3の掘進によって地山に埋設されるが、タテ糸14に対してヨコ糸15a,15bがスパイラルに挿入される方向(スパイラル状の回転進行方向)は、削孔時におけるロッド2の回転方向とされている。スパイラル状をなすヨコ糸15a,15bの回転進行方向をロッド2の回転方向とすることにより、ロッド2の回転力がジャケット管1に影響を与えたとしても、ロッド2の回転によってヨコ糸15a,15bがタテ糸14に対して締め付けられる方向に対する回転が付与されることになる。したがって、タテ糸14に対するヨコ糸15a,15bの緩みを防止することができる。この結果、ジャケット管1の軸方向の剛性が損なわれることによるジャケット管1の蛇行を防止することができる。
【0032】
また図3および図5に示すように、ジャケット管1における先端口金12と後端口金13との間には、補強部材(長尺状補強部材)である4本の鋼線16が掛け渡されている。鋼線16は、パイプジャケット11における軸方向の周りに互いに離間して環状に配置されている。鋼線16としては、φ3.5mmのものが用いられており、各鋼線16同士の間は、互いに等間隔とされている。また、先端口金12と後端口金13には、それぞれ鋼線16を嵌め込むことができる嵌込溝12A,13Aがそれぞれ形成されている。鋼線16がこれらの嵌込溝12A,13Aに嵌め込まれていることにより、鋼線16は、先端口金12および後端口金13の外径線よりも内側位置に配置されている。
【0033】
さらに、鋼線16の長手方向途中位置には、補強バンドであるステンレスバンド17が配設されている。ステンレスバンド17は、鋼線16の長手方向略中央部分の1箇所に配設されており、正面視した形状が円形状をなしている。補強バンド17の外径は、先端口金12および後端口金13の外径と同一またはそれ未満とされている。また、ステンレスバンド17における切れ目箇所には、バックル部18が設けられている。このバックル部18によってステンレスバンド17を締め付けることにより、図5に示すように、鋼線16がジャケット管11に押し付けられるとともにステンレスバンド17が変形する。変形後のステンレスバンド17についても、その外径は、図5に破線で示す先端口金12および後端口金13の外径と同一またはそれ未満とされている。さらに、鋼線16とステンレスバンド17とは溶接固定されており、鋼板16に対するステンレスバンド17のずれを防止している。また、鋼線16とパイプジャケット11とは非接着状態とされている。
【0034】
また、図6および図7に示すように、ジャケット管1の内部にはロッド2が配設されており、ロッド2の先端には削孔ビットであるロストビット3が取り付けられている。また、ロストビット3とジャケット管1との間には、ケーシングトップ5が介在されており、ロストビット3とロッド2との間にはシャンクデバイス4が介在されている。さらに、ジャケット管1とロッド2との間には、ガイド管であるガイドチューブ6が配設されている。このように、水抜き管を埋設する装置は、ジャケット管1と、ガイドチューブ6と、ロッド2とのいわば三重管構造をなしている。
【0035】
ロッド2の後端部は、アダプタ部材7を介して削岩機8に回転可能に接続されている。また、ガイドチューブ6は、アダプタ部材7の先端位置に配置されており、削岩機8からの推進力を伝達可能とされている。削岩機8は、ロッド2を介してロストビット3に対して回転掘削力を付与している。なお、ここでの回転掘削力とは、回転力のほか、推進力や打撃力などを含んだ掘削力を意味するものである。また、ジャケット管1におけるもっとも削岩機8側に配設されたパイプジャケット11の後端口金13には、保護キャップ19がねじ込まれている。この保護キャップ19により、後端口金13のネジ山の損傷を防止している。
【0036】
ロッド2は、図5および図7に示すように、ガイドチューブ6よりも小径であり、ジャケット管1の軸方向に沿って配設されている。ロッド2は、その軸方向中央部におけるロッド中央部21と、ロッド先端部22と、ロッド後端部23とによって形成されている。また、ロッド2の軸方向に直交する断面中央位置には、流水通路24が形成されている。流水通路24は、ロッド後端部23からロッド中央部21を経てロッド先端部22までを貫いて形成されている。
【0037】
また、ロッド中央部21は軸方向に対して直交する断面の形状が略正六角形をなしており、ロッド先端部22およびロッド後端部23は、それぞれ軸方向に対して直交する断面の形状がロッド中央部21よりも小さい略円形状をなしている。なお、本実施形態では、ロッドの断面は略正六角形をなしているが、略円形の形態などとすることもできる。ロッド先端部22およびロッド後端部23は互いに同径とされており、カップリング25を介して接続可能とされている。カップリング25の内側断面形状は、ロッド先端部22およびロッド後端部23の断面外形状と同形状の断面内形状と略同一とされている。先行するロッド2におけるロッド後端部23と後続するロッド2におけるロッド先端部22とをカップリング25にねじ込むことにより、ロッド2同士がその軸方向に沿って接続される。
【0038】
最先に位置するロッド2の先端にはシャンクデバイス4が取り付けられ、シャンクデバイス4の先端部にはロストビット3が取り付けられている。ロストビット3は、図7に示すように、ヘッド部31を備えており、ヘッド部31の先端にカッタ32が取り付けられている。ヘッド部31は、先端が大径で後端が小径の回転体形状をなしている。ロストビット3は、ロッド2から伝達される回転掘削力により、地山を掘削しながら前進する。また、ロストビット3の後端部には、内側断面形状が円形のシャンクデバイス接続部33が形成されており、シャンクデバイス接続部33の先端部には、係止孔34が形成されている。さらに、ロストビット3には、土砂を掘削した際に、その土砂と混合してスライムを生成する水を供給する噴水口35が形成されている。さらに、ロストビット3は、側方が切り欠かれており、生成したスライムをケーシングトップ5側へ移送するための移送流路36が形成されている。
【0039】
ロストビット3のヘッド部31とロッド2との間には、シャンクデバイス4が設けられている。シャンクデバイス4の後端部には、ロッド接続部41が形成されている。ロッド接続部41の内側断面形状は、ロッド2におけるロッド先端部22の断面外形状とほぼ同形状とされており、ロッド2のロッド先端部22がシャンクデバイス4に嵌め込まれている。なお、本実施形態では、削孔ビットとしてロストビット3を用いているが、リングロストビットと回収インナービットを合わせた削孔ビットなど、適宜の削孔ビットを用いることができる。
【0040】
また、シャンクデバイス4の先端には、ロストビット接続軸42が設けられている。ロストビット接続軸42の外側断面形状は、ロストビット3に形成されたシャンクデバイス接続部33の内側断面形状とほぼ同形状をなしている。シャンクデバイス4におけるロッド接続部41は、ケーシングトップ5の後行管52の内径よりわずかに小さい外径を有し、ロストビット接続軸42との間に、前方に縮径するテーパ状の伝達面を形成する。ケーシングトップ5における先行管51の後端部は、前方が縮径するテーパ状の受け面を形成し、シャンクデバイス4の伝達面とケーシングトップ5の受け面とを当接させて削岩機8の打撃と推進をケーシングトップ5に伝達する態様としている。
【0041】
また、シャンクデバイス4の先端部には、軸方向に対して交差する方向に突出する嵌合突起43が設けられており、ロストビット3における係止孔34に挿入されている。嵌合突起43が係止孔34に挿入されていることにより、ロッド2の回転をロストビット3に対して確実に伝達することができる。
【0042】
さらに、シャンクデバイス4には、図7および図8に示すように、シャンクデバイス4の軸方向に沿った流水通路44が形成されている。流水通路44の後端は、ロッド2に形成されている流水通路24と連通する。また、流水通路44の途中位置には噴水口45が形成されている。さらに、シャンクデバイス4の側方は切り欠かれており、スライムをガイドチューブ6側へ移送するための移送流路46が形成されている。なお、噴水口45を形成しない態様とすることもできる。
【0043】
シャンクデバイス4の周囲には、ケーシングトップ5が設けられている。ケーシングトップ5は、先行管51と後行管52とを備えており、先行管51と後行管52とは溶接固定されている。なお、先行管51と後行管52とはネジ接続された態様とすることもできる。また、ケーシングトップ5の外径は、ロストビット3におけるヘッド部31の先端の外径よりもわずかに小さくされている。ケーシングトップ5の外径をロストビット3におけるヘッド部31の先端の外径よりも小さくすることにより、ケーシングトップ5およびケーシングトップ5に牽引されるジャケット管1の地山に対する挿入をスムーズにすることができる。また、ケーシングトップ5の先端にロストビット3におけるヘッド部31の後端が挿入されている。
【0044】
また、ロストビット3およびシャンクデバイス4は、ケーシングトップ5に対して相対的に回転可能とされている。このため、ロッド2が回転することにより、ロッド2の回転力がシャンクデバイス4に伝達される。シャンクデバイス4に伝達された回転力はロストビット3のヘッド部31に伝達され、ヘッド部31がケーシングトップ5に対して相対的に回転する。ここで、削岩機8からの回転掘削力は、ロッド2およびシャンクデバイス4を介してロストビット3に伝達するが、ケーシングトップ5には伝達しない設計構造とされている。
【0045】
ケーシングトップ5における後行管52の後端部外側面には、水抜き管接続部53が形成されている。水抜き管接続部53の外側面には、ジャケット管1における後端口金13の外側面に形成された雄ネジ部と同様の雄ネジ部が形成されている。この水抜き管接続部53における雄ネジ部にジャケット管1の先端口金12の雌ネジ部をねじ込むことにより、ケーシングトップ5における後行管52に対してジャケット管1が接続される。ケーシングトップ5にジャケット管1が取り付けられることにより、ケーシングトップ5に牽引されてジャケット管1が前進する。
【0046】
また、ケーシングトップ5の後行管52とロッド2との間には、スライムを移送するための移送流路56が形成されている。この移送流路56は、ケーシングトップ5の先行管51とシャンクデバイス4との間に形成された移送流路46と連通している。
【0047】
ガイドチューブ6は、剛性を有する鋼管であり、その外径がケーシングトップ5における後行管52の内径とほぼ同径であり、内径がロッド2よりも大径とされており、ジャケット管1の内側でジャケット管1とロッド2との間に配置されている。なお、ガイドチューブとしては塩ビ管などを用いることもできる。ガイドチューブ6は、互いの略同径のリード管60とチューブ本体61を備えている。チューブ本体61の先端部には先端継手部62が形成され、リード管60の後端部およびチューブ本体61の後端部には、それぞれ後端継手部63が形成されている。また、先端継手部62の内側面には雌ネジ部が形成されており、先行するガイドチューブ6の後端継手部63に後続するガイドチューブ6の先端継手部62をねじ込むことにより、ガイドチューブ6同士がその軸方向に沿って接続される。
【0048】
ガイドチューブ6は、もっともケーシングトップ5側にリード管60が配置されており、リード管60の後端継手部に63にチューブ本体61の先端継手部62がねじ込まれて、チューブ本体61がリード管60に接続される。このチューブ本体61の後端継手部63に後行するチューブ本体61の先端継手部62が接続される。こうして長尺のガイドチューブ6が形成される。さらに、ガイドチューブ6におけるもっとも削岩機8側の後端継手部63には、保護キャップ68がねじ込まれている。この保護キャップ68により、後端継手部63のネジ山の損傷を防止している。
【0049】
また、ガイドチューブ6とロッド2との間には、スライムを移送するための移送流路65が形成されている。この移送流路65は、ケーシングトップ5の後行管52とロッド2との間に形成された移送流路56と連通している。ガイドチューブ6の外径は、ケーシングトップ5における後行管52の内径とほぼ同径に近い径とされ、クリアランスを1mm程度とされている。さらに、ガイドチューブ6におけるリード管60とケーシングトップ5の後行管52との間には、図示しないOリングが介在されている。このため、ジャケット管1とガイドチューブ6との間にスライムが流入することを防止することができる。
【0050】
また、ガイドチューブ6の先端部は、シャンクデバイス4に対して、50cm程度離間した位置に配置される。さらに、ケーシングトップ5の後行管52と、リード管60のラップ長は50cm程度とされている。ラップ長を50cm程度設けることにより、ケーシングトップ5に対するガイドチューブ6の抜けを防止している。このラップ長は、長くすることにより、ガイドチューブ6がケーシングトップ5から抜けにくくなるが、その一方でケーシングトップ5の重量が嵩み、施工性等が低下する。これらの点を考慮して、ケーシングトップ5の後行管52と、リード管60のラップ長は、適宜の長さに設定することができる。
【0051】
アダプタ部材7は、フロントアダプタ70およびロッドアダプタ75を有しており、フロントアダプタ70は、ロッドアダプタ75よりもロストビット3側に配置されている。フロントアダプタ70における先端部には、ガイドチューブ6の後端部に取り付けられた保護キャップ68が挿入される挿入孔71が形成されている。この挿入孔71に保護キャップ68が挿入されることにより、削岩機8からの推進力をガイドチューブ6に伝達するとともに、ガイドチューブ6の後端部の上下左右方向における揺れを防止している。
【0052】
さらに、フロントアダプタ70には、その軸方向に沿ってロッド2を貫通させる貫通孔72が形成されている。ロッド2は、貫通孔72を貫通してフロントアダプタ70よりも削岩機8側に配置されたロッドアダプタ75まで到達している。また、フロントアダプタ70には、スライムを排出するためのスライム排出孔73が形成されている。
【0053】
ロッドアダプタ75は、ロッド接続軸76を備えている。ロッド接続軸76はフロントアダプタ70に形成された貫通孔72に貫通しており、フロントアダプタ70に対して相対的に回転可能とされている。
【0054】
ロッド接続軸76は、外断面形状がロッド2におけるロッド後端部23の外断面形状とほぼ同形状の棒状をなしている。ロッド2におけるロッド後端部23とロッドアダプタ75のロッド接続軸76とは、カップリング77によって接続されており、ロッド後端部23とロッドアダプタ75のロッド接続軸76とをそれぞれ前後方向からカップリング77にねじ込むことにより、ロッド2とロッドアダプタ75とがその軸方向に沿って接続される。ロッドアダプタ75の後端部には、削岩機8における出力軸81が嵌め込まれる削岩機接続部78が設けられている。削岩機接続部78は、ロッド接続軸76の後端部に形成されており、削岩機接続部78に付与された回転掘削力がロッド接続軸76を介してロッド2に伝達される。また、フロントアダプタ70とロッドアダプタ75の接続部には、緩衝リング79が介在されている。
【0055】
削岩機8は、出力軸81を備えており、出力軸81は、削岩機接続部78に接続されている。削岩機8では、ロッドアダプタ75におけるロッド接続軸76に接続されたロッド2を回転させるとともに、ロッド2を前後方向に移動させて推進力や打撃力(掘削力)を付与している。なお、ガイドチューブ6には回転力を付与せず、推進力を付与する設計構造とされている。
【0056】
削岩機8から付与された回転掘削力は、ロッド2を介してロストビット3に伝達される。ロストビット3は、付与された回転掘削力により地山を掘削するとともに前進する。また、ロッド2における流水通路24には、図示しない給水装置から水が供給される。
【0057】
続いて、本実施形態に係る水抜き工法の手順について説明する。
【0058】
本実施形態に係る水抜き管を用いた水抜き工法では、まず、削岩機8によってロッド2を介してロストビット3を回転させ、ロストビット3の回転掘削力によって地山Tの掘削を始める。このとき、ロストビット3の後端部には、ケーシングトップ5を介してジャケット管1が取り付けられており、ロストビット3の地山T内への進入により、ジャケット管1も地山内に進入する。
【0059】
ここで、ジャケット管1には、先端口金12と後端口金13との間に鋼線16が掛け渡されている。パイプジャケット11はフレキシブル筒状織物からなり、伸縮や捩れが生じ易い材質のものであるが、先端口金12と後端口金13との間に掛け渡された鋼線16によってパイプジャケット11の伸縮や捩れを防止している。このため、パイプジャケット11の伸縮や捩れを防止することができるので、削岩機8を用いてジャケット管1を地中に埋設する場合でも、ジャケット管1の伸縮や捩れを生じ難くすることができる。
【0060】
さらに鋼線16を用いることによる補強効果について具体的に説明すると、複数、本実施形態では4本の鋼線16を設けることによって引張耐力、捩り耐力、および圧縮耐力が向上する。引張耐力が向上することにより削孔中のパイプジャケット11の伸長を防止する。捩り耐力が向上することにより、削孔中のパイプジャケット11の捩れを防止することができる。さらに、圧縮耐力が向上することにより、後方からの押込や打撃によるパイプジャケット11の圧縮や座屈を抑制することができる。
【0061】
また、複数本の鋼線16が環状に配設されていることにより、鋼線16がパイプジャケット11の外環となる。そのため、パイプジャケット11と孔壁との接触を少なくすることができ、パイプジャケット11の排水機能の低下や摩擦による水抜き管本体の破損を防止することができる。
【0062】
さらに、先端口金12と後端口金13との間に鋼線16が掛け渡されていることにより、ジャケット管1の剛性および直線性が向上する。ジャケット管1の剛性が向上することにより、直線性を有する部材としてジャケット管1を取り扱うことができ、運搬や削孔作業中のジャケット管1同士の接続作業を容易に行うことができるようになる。しかも、直線性が向上することにより、ジャケット管1の孔曲がりを防止することができる。このため、ジャケット管1と孔壁との間の摩擦力を低減することができ、ジャケット管1の設置長さを増加させることができる。その結果、長さ当りの作業時間を短縮することができ、工期の短縮に寄与することができる。
【0063】
また、鋼線16が先端口金12と後端口金13との間に掛け渡されていることから、パイプジャケット11と孔壁との間には鋼線16が介在されることになる。このため、パイプジャケット11と孔壁とが直接接触することが少なくなる。したがって、パイプジャケット11が孔壁に接触した際に生じる摩擦が小さくなるので、摩擦によるパイプジャケット11の損傷を防止することができる。
【0064】
さらに、鋼線16は、先端口金12および後端口金13には、鋼線16が嵌め込まれる嵌込溝12A,13Aがそれぞれ形成されている。鋼線16はこれらの嵌込溝12A,13Aに嵌め込まれ、先端口金12および後端口金13の外径線よりも内側に配置されている。したがって、ジャケット管1を地中に埋設する際に、地中における鋼線16の抵抗を小さくすることができる。その結果、水抜き管を埋設し易くすることができる。また、鋼線16とパイプジャケット11とは非接着状態とされている。このため、パイプジャケット11の排水機能を阻害しないようにすることができる。
【0065】
ジャケット管1の地山への進入を開始したら、続けて、ロストビット3による掘進を継続する。その後、ジャケット管1のほぼ全体が地山T内に進入したら、ジャケット管1の後端部に後続のジャケット管1を接続する。それから、削岩機8を駆動して、ロストビット3による掘進をさらに継続する。
【0066】
このとき、ロッド2における流水通路24に給水装置から水が供給される。流水通路24に供給された水は、ロッド2における流水通路24およびロストビット3における噴水口35から噴水される。ロストビット3の先端部では、カッタ32によって地山Tの掘削が行われ、この掘削に伴って土砂が排出される。この土砂が噴水口35から噴水される水と混合されスライムとなる。
【0067】
スライムは、移送流路36を通じてガイドチューブ6の後端部から排出される。ここで、ガイドチューブ6の外径がケーシングトップ5における後行管52の内径とほぼ同径とされ、ガイドチューブ6とジャケット管1との間には、ほとんど隙間がなくされていることにより、ガイドチューブ6とロッド2との間に移送流路65が形成され、ガイドチューブ6とジャケット管1との間にスライムが流入することを防止している。
【0068】
こうしてロストビット3による掘進を継続し、後続するジャケット管1のほぼ全体が地山に進入したら、さらに後続するジャケット管1を接続して掘進を継続する。その後、所定の長さ分のジャケット管1が地山Tに進入したら、ジャケット管1からロッド2およびガイドチューブ6を引き抜く。
【0069】
それから、削岩機8を取り除いて、ジャケット管1の埋設を完了する。なお、ロストビット3およびケーシングトップ5は、ジャケット管1とともにそのまま地山Tに埋め残す。そして、ジャケット管1が埋設された後は、トンネルを構築する際の水抜き管として用いられる。
【0070】
このようにして埋設されたジャケット管1は、パイプジャケット11がフレキシブル筒状織物で形成されている。このため、水抜き管として用いられる際に、細粒分や砂分が流出しにくい。また、全周面で集水する構造であるため、有孔管に比べて目詰まりしにくい。しかしながら、透水係数は10−1〜10−3cm/sec程度と大きい。このため、高い集水能力を発揮することができる。したがって、目詰まりによる水抜き効果の低減を防止することができ、水抜き管として好適に用いることができる。
【0071】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態は、上記実施形態と比較して水抜き管の態様が異なっている。図9は本実施形態に係るジャケット管の斜視図、図10(a)は本実施形態に係るジャケット管の正断面図、(b)はその変形例の正断面図である。
【0072】
図9に示すように、本実施形態に係るジャケット管90は、上記ジャケット管1と同様、パイプジャケット11を備えており、パイプジャケット11の先端部には先端口金12が取り付けられ、後端部には後端口金13が取り付けられている。また、先端口金12と後端口金13との間には、図10(a)に示すように、板状長尺部材である4枚の補強平板91が設けられている。ただし、図10(b)に示すように、6枚の補強平板91が設けられている態様とすることもできる。補強平板91は、パイプジャケット11における軸方向の周りに互いに離間して環状に配置されている。補強平板91としては、断面形状が3mm×13mmの長方形状のものが用いられており、補強平板91同士の間は、互いに等間隔とされている。また、先端口金12と後端口金13には、それぞれ補強平板91を嵌め込むことができる嵌込溝12B,13Bがそれぞれ形成されている。補強平板91がこれらの嵌込溝12B,13Bに嵌め込まれていることにより、補強平板91は、先端口金12および後端口金13の外径線よりも内側位置に配置されている。
【0073】
さらに、補強平板91の長手方向途中位置には、補強バンドであるステンレスバンド92が配設されている。ステンレスバンド92は、補強平板91の長手方向略中央部分の1箇所に配設されており、正面視した形状が円形状をなしている。また、ステンレスバンド92における切れ目箇所には、バックル部93が設けられている。このバックル部93によってステンレスバンド92を締め付けることにより、図10(a)に示すように、補強平板91がジャケット管11に押し付けられるとともにステンレスバンド93が変形する。変形後のステンレスバンド93の外径は、先端口金12および後端口金13の外径と同一またはそれ未満とされている。さらに、補強平板91とステンレスバンド92とは溶接固定されており、補強平板91に対するステンレスバンド92のずれを防止している。また、補強平板91とパイプジャケット11とは非接着状態とされている。
【0074】
このように長尺状補強部材として補強平板91を用いた場合でも、上記第1の実施形態と同様、パイプジャケット11の伸縮や捩れを防止することができるので、削岩機8を用いてジャケット管90を地中に埋設する場合でも、パイプジャケット11に伸縮や捩れが生じ難く、埋設や接続作業が容易であり、破断や排水機能の低下を防止することができる。また、補強平板91を設けることにより、パイプジャケット11と孔壁との接触を少なくすることができるので、パイプジャケット11の排水機能の低下や摩擦による水抜き管本体の破損を防止することができる。また、補強平板91は、鋼線16を用いる場合よりも水抜き管本体を補強する際の強度を大きくすることができる。
【0075】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。たとえば、上記第1の実施形態では硬鋼線として鋼線16を用いているが硬鋼線としてピアノ線などを用いることができる。この際のピアノ線としては、φ4.5mm程度のものを好適に用いることができる。
【0076】
また、上記実施形態では、鋼線16または補強平板91を4本(4枚)設けているが、3本(3枚)や5本(5枚)以上とすることもできる。また、上記実施形態では複数の鋼線16または補強平板91を等間隔に配置しているが等間隔以外の間隔をもって配置することもできる。
【0077】
さらに、上記実施形態では、補強部材として鋼線16または補強平板91といった長尺状補強部材を用いているが、補強部材としては、先端口金12と後端口金13との間に掛け渡され、パイプジャケット11を覆って配置されたスパイラル状の補強部材を用いることもできる。この補強部材としては、たとえば先端口金12と後端口金13との間に針金をスパイラル状に巻きつけるものや、予め製造されたスプリングを先端口金12と後端口金13との間に掛け渡すものなどを用いることができる。
【0078】
また、上記実施形態では、補強バンドとしてステンレスバンドを用いているが、ステンレス以外の素材のものを用いることもできる。さらに、上記実施形態では、先端口金12および後端口金13に鋼線16や補強平板91を取り付けるために、嵌込溝12A,12B,13A,13Bを設けたが、嵌込溝を設ける代わりに、パイプジャケット11に向かうにつれて縮径するテーパを先端口金12および後端口金13に形成する態様とすることもできる。もちろん、このようなテーパを付けた先端口金12および後端口金13に嵌込溝を形成する態様とすることもできる。さらには、先端口金12と後端口金13とにおける補強部材の取付態様が異なるようにすることもできる。
【0079】
他方、上記実施形態では、ロストビット3を埋め残す態様としているが、他の態様の削孔ビットを用いる場合、削孔ビットをも取り除く態様とすることができる。また、上記実施形態におけるジャケット管のタテ糸14やヨコ糸15a,15bのピッチ、径、材質などを自由に設計することにより、地山の状況に応じたジャケット管を形成することができる。
【0080】
また、上記実施形態では、トンネル構築領域Xの周囲に水抜き管を埋設する水抜き工法を例に説明したが、水抜き管の埋設位置は、トンネル構築領域Xの周囲に限られず、たとえば、法面であったり、地表面であったりする態様とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】第1の実施形態に係るジャケット管を埋設する装置の側面図である。
【図2】ジャケット管を設けたトンネル周辺の模式的斜視図である。
【図3】ジャケット管の斜視図である。
【図4】パイプジャケットの模式的斜視図である。
【図5】ジャケット管の正断面図である。
【図6】ジャケット管の中央部の側断面図である。
【図7】ジャケット管を埋設するシステム全体の側断面図である。
【図8】図7のVIII−VIII線断面図である。
【図9】第2の実施形態に係るジャケット管の斜視図である。
【図10】(a)は第2の実施形態に係るジャケット管の正断面図、(b)はその変形例の正断面図である。
【符号の説明】
【0082】
1…ジャケット管
2…ロッド
3…ロストビット
4…シャンクデバイス
5…ケーシングトップ
6…ガイドチューブ
7…アダプタ部材
8…削岩機
11…パイプジャケット
12…先端口金
13…後端口金
12A,12B,13A,13B…嵌込溝
14…タテ糸
15a,15b…ヨコ糸
16…鋼線
17…ステンレスバンド
18…バックル部
19…保護キャップ
21…ロッド中央部
22…ロッド先端部
23…ロッド後端部
24…流水通路
25…カップリング
31…ヘッド部
32…カッタ
33…シャンクデバイス接続部
34…係止孔
35…噴水口
36…移送流路
41…ロッド接続部
42…ロストビット接続軸
43…嵌合突起
44…流水通路
45…噴水口
46…移送流路
51…先行管
52…後行管
53…管接続部
56…移送流路
60…リード管
61…チューブ本体
62…先端継手部
63…後端継手部
65…移送流路
68…保護キャップ
70…フロントアダプタ
71…挿入孔
72…貫通孔
73…スライム排出孔
75…ロッドアダプタ
76…ロッド接続軸
77…カップリング
78…削岩機接続部
79…緩衝リング
81…出力軸
90…ジャケット管
91…補強平板
92…ステンレスバンド
93…バックル部
T…地山
X…トンネル構築領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロッドの先端に設けられた削孔ビットに対して、前記ロッドを介して回転掘削力を付与することによって地盤を掘進し、前記削孔ビットに接続されて前記削孔ビットの掘進に伴って地中に埋設され、前記ロッドが内部に収容される水抜き管であって、
フレキシブル筒状織物で形成された水抜き管本体を備え、
前記水抜き管本体の先端部に先端接続継手が設けられ、
前記水抜き管本体の後端部に、前記先端接続継手と接続可能とされた後端接続継手が設けられ、
前記先端接続継手と前記後端接続継手との間に補強部材が掛け渡されていることを特徴とする水抜き管。
【請求項2】
前記補強部材は、前記先端接続部材および後端接続部材の外径線よりも内側位置に配置されている請求項1に記載の水抜き管。
【請求項3】
前記先端接続継手および前記後端接続継手における外径線を構成する部材に、前記補強部材を嵌め込む嵌め込み溝が形成されている請求項2に記載の水抜き管。
【請求項4】
前記補強部材は、複数の長尺状補強部材を備えており、
前記複数の長尺状補強部材は、前記水抜き管本体における軸方向の周りに互いに離間して配置されている請求項1〜請求項3のうちのいずれか1項に記載の水抜き管。
【請求項5】
前記長尺状補強部材が、硬鋼線または板状長尺部材である請求項1〜請求項3のうちのいずれか1項に記載の水抜き管。
【請求項6】
前記水抜き管本体における長手方向の途中位置に、前記複数の長尺状補強部材を接続する補強バンドが設けられている請求項4または請求項5に記載の水抜き管。
【請求項7】
前記補強部材は、前記水抜き管本体の軸を中心とするスパイラル状をなし、前記水抜き管本体を覆って配置されている請求項1〜請求項3のうちのいずれか1項に記載の水抜き管。
【請求項8】
ロッドの先端に設けられた削孔ビットに対して、前記ロッドを介して回転掘削力を付与することによって地盤を掘進し、
前記削孔ビットに、前記ロッドを内部に収容する水抜き管を接続して、前記削孔ビットの掘進に伴って前記水抜き管を前記地山に埋設するにあたり、
前記水抜き管として、請求項1〜請求項7のうちのいずれか1項に記載の水抜き管を用いることを特徴とする水抜き管の埋設方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−1675(P2010−1675A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−162268(P2008−162268)
【出願日】平成20年6月20日(2008.6.20)
【出願人】(000001373)鹿島建設株式会社 (1,387)
【出願人】(000117135)芦森工業株式会社 (447)
【出願人】(000006264)三菱マテリアル株式会社 (4,417)
【Fターム(参考)】