説明

水栓および水栓装置

【課題】外部に設けられた弁を作動させる操作部を備えた水栓であって、該操作部の操作性が良い水栓を提供する。
【解決手段】略管状の水栓本体と、水栓本体の途中から分岐した吐水管2と、該吐水管2と連通する流路に設けられた弁を作動させる操作部3を備えた水栓であって、水栓本体の上部に操作部3が設けられており、弁は水栓本体の外部に設けられ、弁と操作部3とは信号配線(配線部材32)で接続されており、吐水管2が、操作部3から独立して、水栓本体の周方向に回動可能である水栓。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水栓の外部に設けられた弁を操作する機構を備えた水栓、および該水栓と水処理手段を備えた水栓装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば下記特許文献1には、管路の開閉を電磁弁で行う機構を備えた給水管に浄水器が接続されており、該浄水器を経た浄水を吐出するための専用水栓が流し台上に設けられた構成が記載されている。電磁弁は流し台の下に設けられている。ここに記載されている実施態様では、専用水栓の基部に操作表示部が設けられており、該操作表示部に、電磁弁による通水・止水を操作する通水ボタン(操作手段)が設けられている。
【0003】
下記特許文献2には、使用者による操作を人体検知により検知して吐止水を行う機構と、浄水吐水機能を有する浄水機能付きの自動水栓が開示されている。ここに記載されている実施形態において、吐水管はその管軸方向の途中の部位から先端部に向って下向きに湾曲した形状をなし、該湾曲形状部分に人体検知センサが設けられており、該人体検知センサに手をかざすことにより、浄水の吐止水を行えるようになっている。
【特許文献1】特開2001−32340号公報
【特許文献2】特開2007−154512号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されている構成では、専用水栓の基部に通水ボタン(操作手段)を備えた操作表示部が設けられているため、表示が見にくい、ボタン操作がしにくい等の不満がある。
特許文献2に記載されている構成では、吐止水を行うための人体検知センサが吐水管に設けられているため、吐水管を動かすと人体検知センサもこれと一体的に動くため、操作性が良くないという問題がある。
【0005】
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、外部に設けられた弁を作動させる操作部を備えた水栓であって、該操作部の操作性が良い水栓およびこれを備えた水栓装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の水栓は、略管状の水栓本体と、水栓本体の途中から分岐した吐水管と、該吐水管と連通する流路に設けられた弁を作動させる操作部を備えた水栓であって、該水栓本体の上部に前記操作部が設けられており、前記弁は前記水栓本体の外部に設けられ、該弁と前記操作部とは配線で接続されており、前記吐水管が、前記操作部から独立して、前記水栓本体の周方向に回動可能であることを特徴とする。
前記吐水管の回動範囲が、前記水栓本体の周方向の一部に限られていることが好ましい。
前記水栓の外壁を構成する外部ケーシングが、上から順に、前記操作部を覆う上部ケーシング部、中間部ケーシング部及び下部ケーシング部で構成され、前記中間部ケーシング部が前記吐水管と一体に成形されていることが好ましい。
前記上部ケーシング部が、前記中間部ケーシング部と独立に周方向に回動する構成にできる。
また本発明は、本発明の水栓と、前記吐水管より上流に設けられた水処理手段とを有する水栓装置を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、外部に設けられた弁を作動させる操作部の操作性が良い水栓が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1〜4は本発明の水栓の一実施形態を示したもので、図1は縦断面図、図2は上面図、図3は図1中のC−C線に沿う横断面図、図4は図1中のD−D線に沿う横断面図である。図5は図1〜4に示す水栓と水処理手段を備えた水栓装置の一実施形態を示す概略構成図である。本実施形態では水処理手段として浄水器を例に挙げて説明する。
本実施形態の水栓は、図4に示すように、基台50上に立設された水栓本体1と、水栓本体1の途中から分岐している吐水管2と、水栓本体1の上部に設けられた操作部3と、該操作部3によって開閉操作される開閉弁4とから概略構成されている。開閉弁4は給水管5の途中に設けられている。図中符号8は操作部3から開閉弁4に電気信号を送る信号配線を示し、図中符号9は電源10から操作部3へ電力を供給する電力配線を示す。基台50は例えば流し台である。開閉弁4としては公知の電磁弁を用いることができる。
本実施形態の水栓装置は、かかる構成の水栓を備えたもので、吐水管2より上流であって、開閉弁4よりも下流において、給水管5が浄水器6に接続されており、該浄水器6で処理された浄水が浄水路7および水栓本体1の内部を経て吐水管2から吐出されるように構成されている。
【0009】
図1に示すように、水栓本体1は、内部ケーシング11と外部ケーシング12を備えており、外部ケーシング12は、上部ケーシング12aと中間部ケーシング12bと下部ケーシング12cとからなっている。内部ケーシング11と外部ケーシング12との接合部はOリング17で液密にシールされている。
【0010】
中間部ケーシング12bは、斜め上方に開口する管状の突出部12dを有する。該突出部12dの開口は吐水管2と液密に接続されており、これによって吐水管2と中間部ケーシング12bの内部とが連通されている。
外部ケーシング12のうち、上部ケーシング12aおよび下部ケーシング12cは内部ケーシング11に固定されている。中間部ケーシング12bは内部ケーシング11に固定されておらず、上部ケーシング12aおよび下部ケーシング12cから独立した別部材として、水栓本体1の周方向に回動可能となっている。
【0011】
操作部3は、上部ケーシング12aの上端面を覆う操作面3aと、上部ケーシング12a内に収容された基盤(図示略)を有する。操作部3の外側は、上部ケーシング12aによって覆われている。操作面3aには開閉弁4の開閉を制御するスイッチまたはボタン等(図示略)が設けられている。図中符号32は配線部材を示す。配線部材32には、基盤と開閉弁4とを電気的に接続する信号配線、および基盤と電源10とを電気的に接続する電力配線等が含まれる。上部ケーシング12aは、内部ケーシング11の上端に螺合されており、上部ケーシング12aと操作部3との接合部はOリング31で液密にシールされている。
なお、本実施形態においては、操作部3は、水栓本体1の周方向に回動できないように固定されており、上部ケーシング12aも内部ケーシング11に固定されているが、上部ケーシング12aが中間部ケーシング12bと独立して、水栓本体1の周方向に回動可能となっていてもよい。この際、操作部3が上部ケーシング12aと一体的に回動するように構成してもよい。さらに、操作面3aの内面側にマグネットセンサ(図示せず)を設けてもよい。このマグネットセンサは、例えば、上部ケーシング12aと一体となった操作部3の回動を感知して、弁に付設した流量計のリセットスイッチとすることもできる。
【0012】
内部ケーシング11は上端および下端が開口している。内部ケーシング11内は長さ方向に貫通する内部空間11aとなっている。内部ケーシング11の外壁は、内部ケーシング11の上部および下部では略円筒状であり、中間部ケーシング12bの突出部12dの近傍では、図3に示すように断面略半円状になっている。
あわせて、内部ケーシング11の外面と中間部ケーシング12bの内面との間に断面略半円状の貯水部11bが設けられている。該貯水部11bは吐水管2と連通している。
該貯水部11bを設けることで吐水管2から吐出される水を一旦該貯水部に溜めておき、一定量となった時点で吐水管からの吐出させることができるため、吐水圧を適度に調整することができる。
貯水部11bの底面11cをなす内部ケーシング11には管状の継ぎ手21が液密に挿入されている。該継ぎ手21の下端は導水管7に接続されており、上端は貯水部11bに開放されている。すなわち、貯水部11bは該継ぎ手21を介して、水栓内部に貫装された導水管7と連通している。図中符号22はOリングを示す。
内部ケーシング11の内部空間11a内には、内部ケーシング11を長さ方向に貫通する配線部材32が収容されるとともに、貯水部11bの下方には導水管7が収容されている。
【0013】
内部ケーシング11の下端は、基台50に固定された環状部材13のナット部15に(螺合されており、内部ケーシング11の下部、環状部材13の上部、およびナット部15の外面を一体的に覆うように金属製の補強部材14が設けられており、該補強部材14の外側に下部ケーシング12cが設けられている。補強部材14と下部ケーシング12cとの接合部はOリング18で液密にシールされている。また下部ケーシング12cの下端部、内部ケーシング11の下端部及び該補強部材14の下端部は、いずれも、ボルト16によって環状部材13に固定されている。
【0014】
中間部ケーシング12bの上端部において、図4に示すように、該中間部ケーシング12bの内面に突起12eが形成されている。該突起12eは、上方から見たときに突出部12dの中心と対向する位置に設けられている。また内部ケーシング11の外面には該突起12eと係合する溝部11dが設けられている。
該溝部11dは内部ケーシング11の周方向に沿って所定の長さで形成されており、中間部ケーシング12bを周方向に回動させると、それに伴って突起12eが溝部11d内を、溝部11dの長さ方向に沿って移動する。そして、溝部11dの長さ方向の端面11eに突起12eが突き当たると、それ以上、中間部ケーシング12bを回動させることができなくなる。すなわち、溝部11dの長さに応じて、中間部ケーシング12bが回動できる範囲が限定される。図4に示す実施形態では、中間部ケーシング12bの中心Oに対して120°の範囲で、中間部ケーシング12bを周方向に回動できるようになっている。すなわち、吐水管2の回動範囲が、水栓本体1の周方向のうちの120°の範囲に限られている。
【0015】
浄水器6内には浄水手段(水処理手段)が着脱可能に装着されている。浄水手段は、例えば、原水中の残留塩素や総トリハロメタンなどを除去、吸着する濾材と、一般細菌や不純物を取り除く中空糸膜等とを備えた浄水カートリッジ等である。
浄水手段としては、有害成分を除去する本来の濾過機能の他、水を美味しくしたり健康上でよいとされる成分を放出したりするようにしてもよい。
また給水管5には、浄水器6に供給される原水の流量を一定に制御する定流量弁(図示略)が設けられている。
【0016】
操作部3の操作面3aには、吐水管2からの吐水と止水と切り替える吐水・止水スイッチ(図示略)が設けられており、該吐水・止水スイッチを操作すると、開閉弁4に電気信号が送られ、これによって開閉弁4の開閉が制御されるようになっている。開閉弁4が閉じられているとき吐水管2からの吐水が停止され、開閉弁4が開放されると吐水管2から吐水される。
また操作部3には、浄水手段の交換時期を知らせる報知手段としてのカートリッジ交換サイン(図示略)を設けてもよい。
【0017】
本実施形態の水栓は、電気信号に基づいて開閉する開閉弁4を備えており、該開閉弁4の操作部3が水栓本体1の上部に設けられているため、開閉弁4の開閉を制御するスイッチやボタンの操作がしやすく、操作部3の表示も見やすい。また、かかる操作のしやすさや、表示の見やすさが、水栓本体1の取り付け方向や、取り付け場所の周囲の構造に左右されにくい。
また吐水管2が水栓本体1の周方向に回動可能であるため、吐水位置を移動させることができる。吐水管2の回動は操作部3とは独立しており、吐水管2を回動させても、それに伴って操作部3が動くことはないので、操作部3における操作のしやすさや、表示の見やすさが維持されるほか、操作部3に接続されている配線部材32が捩れない。
また吐水管2の回動範囲が、水栓本体1の周方向の全部(360°)ではなく一部に限られているため、シンクの周囲の天板部に誤って吐水するのを防止できる。特に、本発明における「一部」とは、水栓本体1の周方向のうちの120°以下の範囲の回動に限定されていると、本発明に係る水栓が、使用者から見て通常シンクの奥側に配されることを考慮すれば好ましい。
【0018】
なお、本実施形態における水処理手段は浄水手段であるが、これに限らず他の水処理手段であってもよい。例えば浄水器6に代えてアルカリイオン整水器を用いてもよい。
また、本実施形態においては、弁の例として開閉弁4を用いて説明したが、単なる開閉弁に代えて、水処理手段(浄水手段等)により処理させた浄水の吐水、原水の吐水および止水の機能を兼ねた流路切換弁を用いてもよい。
また本実施形態では、開閉弁4として電磁弁を用い、操作部3の基盤と開閉弁4とが信号配線により電気的に接続されている構成としたが、弁は電磁弁でなくてもよく、弁と操作部とを接続する配線は電気的な配線でなくてもよい。例えば水栓本体の外部に設けられた弁がプラグ弁で、該プラグ弁と操作部とがワイヤで接続されている構成とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の水栓の一実施形態を示す縦断面図である。
【図2】図1に示す水栓の上面図である。
【図3】図1中のC−C線に沿う横断面図である。
【図4】図1中のD−D線に沿う横断面図である。
【図5】本発明の水栓装置の一実施形態を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0020】
1 水栓本体
2 吐水管
3 操作部
3a 操作面
4 開閉弁
5 給水管
6 浄水器
7 導水管
8 信号配線
9 電力配線
10 電源
11 内部ケーシング
11a 内部空間
11b 貯水部
11c 底面
11d 溝部
11e 端面
12 外部ケーシング
12a 上部ケーシング(上部ケーシング部)
12b 中間部ケーシング(中間部ケーシング部)
12c 下部ケーシング(下部ケーシング部)
12d 突出部
12e 突起
21 継ぎ手
32 配線部材
50 基台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略管状の水栓本体と、
水栓本体の途中から分岐した吐水管と、
該吐水管と連通する流路に設けられた弁を作動させる操作部を備えた水栓であって、
該水栓本体の上部に前記操作部が設けられており、
前記弁は前記水栓本体の外部に設けられ、該弁と前記操作部とは配線で接続されており、
前記吐水管が、前記操作部から独立して、前記水栓本体の周方向に回動可能であることを特徴とする水栓。
【請求項2】
前記吐水管の回動範囲が、前記水栓本体の周方向の一部に限られている、請求項1記載の水栓。
【請求項3】
前記水栓の外壁を構成する外部ケーシングが、上から順に、前記操作部を覆う上部ケーシング部、中間部ケーシング部及び下部ケーシング部で構成され、前記中間部ケーシング部が前記吐水管と一体に成形されている請求項1または2に記載の水栓。
【請求項4】
前記上部ケーシング部が、前記中間部ケーシング部と独立に周方向に回動することを特徴とする請求項1〜3いずれか一項に記載の水栓。
【請求項5】
請求項1〜4いずれか一項に記載の水栓と、前記吐水管より上流に設けられた水処理手段とを有する水栓装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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