説明

水栓装置

【課題】給水停止時に湯水が逆流によって気体供給路に浸入するのを抑制することのできる水栓装置を提供すること。
【解決手段】機能性を有する気体を生成する気体生成部11と、下流端7aが吐出口5に臨む給水路7とを備え、この給水路の途中の下流端側に、機能性を有する気体を湯水に混入させる気体導入部9が設けられ、この気体導入部に、気体生成部で生成した機能性を有する気体を供給する気体供給路16が接続され、この気体供給路の気体導入部への接続部に、機能性を有する気体が高い位置から低い位置に流れる下向き流路19が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸素富化空気やオゾンガスなどの機能性を有する気体の気泡を含有する湯水を吐出する水栓装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水廻り空間における殺菌へのニーズは、その対象が幅広い。たとえば、キッチンでは、手や食材の殺菌をはじめ、布巾、まな板の殺菌、排水口のぬめりの抑制、また、食材の脱臭なども見込まれている。このようなニーズは、洗面化粧台、トイレ、浴室などでも同様にある。
【0003】
殺菌は、一般に、オゾンガスを湯水中に溶存させた溶存オゾン水を用いて行われるが、オゾンガスの気泡を混入させた湯水を用いることも検討されている。オゾンガスは、残留性が少なく、環境に優しく、耐性菌を作りにくいという利点がある。また、オゾンガスの気泡は、溶存オゾン水に比べ生成エネルギーが小さく、安価であり、メンテナンスが容易なことに加え、機器のサイズがコンパクトに納まるなどの点において優位である。
【0004】
本出願人は、下記特許文献1においてマイクロバブル洗浄ノズルを提案している。このマイクロバブル洗浄ノズルは、ノズル本体に形成した洗浄水流路の流路中に気体混入部を設け、洗浄水流路の下流端に、マイクロバブル洗浄水を吐出するマイクロバブル吐水口を設けたものである。水道水が、洗浄水流路の上流部内に配置された絞り管を通過する際に、洗浄水流路の気体混入部の近傍で負圧が生じ、この負圧により気体混入部を通じて洗浄水流路内に外気が導入され、気泡を含有した洗浄水が生成される。
【0005】
このようなマイクロバブル洗浄ノズルは、空気ばかりでなく、酸素富化空気やオゾンガスなどの機能性を有する気体の気泡を含有する湯水の生成に応用が期待される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−7315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載したマイクロバブル洗浄ノズルでは、ノズル本体での水流により発生する負圧で気体を水中に引き込むため、給水を停止すると負圧がなくなり、気体導入部と洗浄水流路内の残水との位置関係によっては水が、気体導入部に逆流することが懸念される。気体導入部に酸素富化空気やオゾンガスなどの機能性を有する気体の気体供給路が接続されている場合には、そのように逆流する水が、気体供給路に浸入するおそれがある。
【0008】
本発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであり、給水停止時に湯水が逆流によって気体供給路に浸入するのを抑制することのできる水栓装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の水栓装置は、機能性を有する気体を生成する気体生成部と、下流端が吐出口に臨む給水路とを備え、この給水路の途中の下流端側に、機能性を有する気体を湯水に混入させる気体導入部が設けられ、この気体導入部に、前記気体生成部で生成した機能性を有する気体を供給する気体供給路が接続され、この気体供給路の気体導入部への接続部に、機能性を有する気体が高い位置から低い位置に流れる下向き流路が設けられていることを特徴とする。
【0010】
この水栓装置においては、気体導入部が、吐出口の近くに配置されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の水栓装置によれば、給水停止時に湯水が逆流によって気体供給路に浸入するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の水栓装置の第1実施形態を概略的に示した構成図である。
【図2】図1に示した水栓装置における気体導入部の一形態を示した断面図である。
【図3】(a)(b)(c)は、それぞれ、図2に示した気体導入部のA−A断面図、B−B断面図、C−C断面図である。
【図4】本発明の水栓装置の第2実施形態を概略的に示した構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明の水栓装置の第1実施形態を概略的に示した構成図である。
【0014】
水栓装置1は、流し台や洗面化粧台などの天面を形成するカウンターまたはシンクのフランジ2に取り付けられる、上方に垂設された中空の立ち上り管部3を備えている。また、水栓装置1は、立ち上り管部3の上端部に水平に接続され、立ち上り管部3と連通する中空な水平管部4を備えてもいる。水平管部4の先端部には、下端に吐出口5を有する中空な吐出端部6が垂直下方に接続され、吐出端部6は水平管部4と連通している。
【0015】
水栓装置1の内部には、カウンターまたはフランジ2を貫通して給水路7が導入され、給水路7は、立ち上り管部3、水平管部4および吐出端部6の内部を延びている。給水路7の下流端7aは、吐出端部6の吐出口5に臨んでいる。給水路7は、配管から形成することができ、水または湯と混合された所望温度の湯水8を供給可能としている。
【0016】
このような給水路7の途中の下流端7a側、すなわち、水平管部4の立ち上り管部3との接続部付近には、機能性を有する気体としてのオゾンガスを湯水8に混入させる気体導入部9が設けられ、気体導入部9は給水路7と連通している。気体導入部9は、水平方向に配置されている。気体導入部9は、オゾンガスを気泡として湯水8に混入させることができ、また、その気泡を圧壊および剪断することにより微細化し、湯水8中に気泡径が0.1−1000μm程度の微細気泡を発生させることができる。
【0017】
給水路7において立ち上り管部3の下端部内に位置する部分には、給水の開始および停止を行う開閉弁10が設けられている。開閉弁10には、手動弁または電動弁などを採用することができ、給水の手動式または自動式の操作が可能である。
【0018】
また、水栓装置1は、カウンターまたはフランジ2の下側に、気体生成部11としてのオゾンガス生成部11aを備えている。オゾンガス生成部11aは、放電電極12を備え、供給される原料である空気または酸素13から放電電極12への通電による無声放電などによってオゾンガスを生成させるものである。また、水栓装置1は、オゾンガス生成部11aの動作などを制御する制御手段14を、カウンターまたはフランジ2の下側においてオゾンガス生成部11aの付近に備えている。制御手段14は、家庭用電源のAC100Vや水力発電などによるDC12Vの他、電池、充電池、太陽電池などの電源15に接続可能である。
【0019】
オゾンガス生成部11aには、一端を気体導入部9に接続した管状の気体供給路16の他端が接続され、オゾンガス生成部11aは、気体供給路16を通じて気体導入部9に連通している。気体供給路16は、カウンターまたはフランジ2の下側から立ち上ってカウンターまたはフランジ2を貫通し、水栓装置1の立ち上り管部3の内部を気体導入部9まで延びている。オゾンガス生成部11aの作動および停止は、立ち上り管部3の側面に設けられたスイッチ17からのON/OFF信号の入力により行われ、スイッチ17は制御手段14に電気的に接続されている。
【0020】
また、水栓装置1では、空気または酸素13の供給方向に関し、オゾンガス生成部11aの上流側に乾燥部18が設けられている。乾燥部18は、たとえば、空気または酸素を取り込む通気孔が側面に多数形成された中空な箱体18aを備え、箱体18aの内部に乾燥剤としてシリカゲルが充填されている。シリカゲルは、空気または酸素中の水分を除去するために設けられており、その再生は可能である。乾燥剤についてはシリカゲル以外のものを採用することも可能である。
【0021】
スイッチ17がONとされると、その信号入力に基づいて制御手段14がオゾンガス生成部11aを作動させ、空気または酸素が、乾燥部18を通じて吸い込まれ、水分の除去が行われた後、オゾンガス生成部11aの放電電極12によってオゾンガスが生成する。オゾンガス生成部11aで生成したオゾンガスは、気体供給路16を通じて気体導入部9に供給され、気体導入部9において給水路7を通じて供給される湯水8中に気泡として混入される。気体導入部9では、オゾンガスの気泡の圧壊および剪断が行われ、気泡は微細化され、オゾンガスの微細気泡を含有する湯水は殺菌作用を持つ。オゾンガス含有の湯水8は、給水路7を通じて吐出口5から吐出される。
【0022】
スイッチ17がOFFにされると、その信号入力に基づいて制御手段14がオゾンガス生成部11aの作動を停止させる。オゾンガス生成部11aにおけるオゾンガスの生成が停止する。このようなスイッチ17によるON/OFF制御に加え、制御手段14には、スイッチ17がONにされたときから一定時間オゾンガス生成部11aを作動させ、一定時間後、自動的にオゾンガス生成部11aの作動を停止させるタイマーを組み込むことも可能である。
【0023】
そして、水栓装置1では、気体供給路16の気体導入部9への接続部に、機能性を有する気体としてのオゾンガスが、高い位置から低い位置に流れる下向き流路19が設けられている。下向き流路19は、オゾンガスが気体導入部9に向かって下側に流れるように配置され、気体導入部9の直上に位置し、気体導入部9に対して垂直に接続されている。このため、開閉弁10の操作によって給水路7が閉じられ、湯水8の給水が停止されるとき、給水路7に残る湯水8の位置よりも常に上側に下向き流路19が位置する。したがって、給水停止によって湯水8が気体導入部9においてたとえ逆流することがあっても、湯水8が気体供給路16に浸入するのが抑制される。給水停止時の湯水8の逆流による気体供給路16への浸入は、逆止弁を設けることによっても可能であると考えられるが、この場合、逆止弁に比較的高い逆止性能が要求されることになり、水栓装置1の構造や動作制御などが複雑になることが懸念される。下向き流路19は、そのような懸念がほとんどなく、給水停止時の湯水8の逆流による気体供給路16への浸入を比較的容易に実現することができる。
【0024】
このような下向き流路19による気体供給路16への湯水8の浸入は、気体導入部9が、吐出口5の近くに配置されていることにより確実性が高まる。これは、水栓装置1において気体導入部9に下向き流路19を接続しやすくなり、また、給水停止時に湯水8が気体導入部9よりも上流側の給水路7で残りやすくなることなどによる。
【0025】
図2は、図1に示した水栓装置における気体導入部の一形態を示した断面図である。図3(a)(b)(c)は、それぞれ、図2に示した気体導入部のA−A断面図、B−B断面図、C−C断面図である。
【0026】
気体導入部9は、1本のベンチュリ管20を内部に有する第1圧壊ノズル21と、7本のベンチュリ管22を内部に有する第2圧壊ノズル23と、37本のベンチュリ管24を内部に有する第3圧壊ノズル25とから形成されている。
【0027】
第1圧壊ノズル21は、略円筒状の形状を有し、ベンチュリ管20の入口26と同一面上に配置された入口27側に、ベンチュリ管20のくびれ部28が配置されている。ベンチュリ管20では、入口26からくびれ部28に向かって管径が次第に縮小し、くびれ部28から出口29に向かって管径が次第に拡大している。入口27に図1に示した給水路7が接続される。第1圧壊ノズル21の出口30は、ベンチュリ管20の出口29と同一面上に配置されている。
【0028】
また、第1圧壊ノズル21では、ベンチュリ管20においてくびれ部28に近い出口29側の部分に、バイパス流路31の一端が接続され、バイパス流路31は、ベンチュリ管20と同軸上でかつその外側に配置されている。バイパス流路31は、図3(a)に示したように、断面が略1/4円の弧状の形状を有し、ベンチュリ管20の断面形状の円と同心円上に配置され、4つに分割されている。
【0029】
バイパス流路31の一端がベンチュリ管20に接続される部分には、第1圧壊ノズル21の軸に直交する方向にスライド自在とされた流路切替板32が設けられている。
【0030】
また、図1に示したように、第1圧壊ノズル21では、ベンチュリ管20のくびれ部28に一端において連通し、他端において、図1に示した気体供給路16の下向き流路19が接続される気体導入路33が設けられている。空気導入路33の断面形状は円形とされている。第1圧壊ノズル21において湯水8が入口27から出口30に向かってベンチュリ管20を流れるとき、くびれ部28において湯水8の流速が増加し、これにともなって低圧が発生し、オゾンガスが気体導入路33を通ってベンチュリ管20に吸い込まれる。このように吸い込まれるオゾンガスは、湯水8中に気泡となって混入するが、湯水8がベンチュリ管20を出口29に向かって流れるにしたがって圧力が増加することにより、気泡は砕かれ、気泡径は次第に小さくなっていく。
【0031】
また、第1圧壊ノズル21では、出口30側の外周部に、図3(a)に示したように、平面視略ひし形状の形状を有するフランジ34が設けられている。フランジ34は、第1圧壊ノズル21の外周外側に突出し、対角位置に当たる上下の端部のそれぞれに円形のボルト穴35が形成されている。
【0032】
また、第1圧壊ノズル21においてフランジ34よりも出口30側の端部には、Oリング36が第1圧壊ノズル21の外周部に設けられている。
【0033】
第2圧壊ノズル23は、第1圧壊ノズル21と同様に、略円筒状の形状を有する一方、ベンチュリ管22の入口37側の端部に、第1圧壊ノズル21の出口30側の端部の外径に一致する内径を有する第1凹部38が形成されている。第2圧壊ノズル23は、第1凹部38の内側に第1圧壊ノズル21の出口30側の端部を嵌め込むことによって、第1圧壊ノズル21に直列に接続されている。Oリング36は、第1凹部38の内周面に密着し、水密性を高めている。
【0034】
図3(b)に示したように、第2圧壊ノズル23の入口側の端縁部には、第1圧壊ノズル21のフランジ34に重なり合う、平面視略ひし形状の形状を有するフランジ39が設けられている。フランジ39は、第2圧壊ノズル23の外周外側に突出し、対角位置に当たる上下の端部のそれぞれに円形状のボルト穴40が形成されている。ボルト穴40は、ボルト穴35と一致し、両ボルト穴35、40は連通している。
【0035】
また、第2圧壊ノズル23では、その中央部にベンチュリ管22が1本配置されるとともに、中央部に配置されたベンチュリ管22を中心としてその外側に等距離で6本のベンチュリ管22が配置され、6本のベンチュリ管22は等間隔で配置されている。こうして、計7本のベンチュリ管22が、第2圧壊ノズル23に並列に配置されている。また、全てのベンチュリ管22では、入口37から出口41に向かって中間のくびれ部までは管径が次第に縮小し、くびれ部からは管径が次第に拡大している。
【0036】
なお、第2圧壊ノズル23の第1圧壊ノズル21との直列接続によって、ベンチュリ管22は、第1圧壊ノズル21のベンチュリ管20と連通する。
【0037】
また、第2圧壊ノズル23では、図2に示したように、ベンチュリ管22の出口41側の端部に、外側に配置された6本のベンチュリ管22の外側からさらに外側に向かって管径が拡大された空間である第2凹部42が形成されている。
【0038】
また、第2圧壊ノズル23では、バイパス流路43が形成されている。バイパス流路43の入口は、外側に配置された6本のベンチュリ管22の外側に配置され、第2圧壊ノズル23の出口44に向かって延び、バイパス流路43の出口は、第2凹部42の外側に配置されている。バイパス流路43は、図3(b)に示したように、バイパス流路31と同様に、断面が略1/4円の弧状の形状を有し、ベンチュリ管22と同心円上に配置され、4つに分割されている。第2圧壊ノズル23の第1圧壊ノズル21との直列接続によって、バイパス流路43は、第1圧壊ノズル21に形成されたバイパス流路31と連通する。
【0039】
そして、第2圧壊ノズル23では、出口44側の外周部に、外径が入口側の端部よりも小さい段部45が形成され、段部45には、出口44側の外周部にOリング46が設けられている。
【0040】
第3圧壊ノズル25は、第2圧壊ノズル23と同様に、略円筒状の形状を有し、ベンチュリ管24の入口47側の端部に、第2圧壊ノズル23の段部45の外径に一致する内径を有する凹部48が形成されている。第3圧壊ノズル25は、凹部48の内側に第2圧壊ノズル23の段部45を嵌め込むことによって、第2圧壊ノズル23に直列に接続され、第1圧壊ノズル21にも直列に配置されている。Oリング46は、凹部48の内周面に密着し、水密性を高めている。
【0041】
第3圧壊ノズル25の入口側の端縁部には、第2圧壊ノズル23のフランジ39に対向して配置される、平面視略ひし形状の形状を有するフランジ49が設けられている。フランジ49は、第3圧壊ノズル25の外周外側に突出し、対角位置に当たる上下の端部のそれぞれに円形状のボルト穴50が形成されている。ボルト穴50は、第2圧壊ノズル23のフランジ39に形成されたボルト穴40に対向して配置される。
【0042】
なお、フランジ49は、第2圧壊ノズル23の段部45側の端面に当接することにより、第3圧壊ノズル25を第2圧壊ノズル23に嵌め込む際の位置決めを可能としている。
【0043】
また、第3圧壊ノズル25では、その中央部にベンチュリ管24が1本配置されるとともに、中央部に配置されたこのベンチュリ管24を中心としてその外側に等距離で6本のベンチュリ管24が配置され、6本のベンチュリ管24は等間隔で配置されている。また、これら6本のベンチュリ管24の外側に、中央部に配置されたベンチュリ管24を中心として等距離で12本のベンチュリ管24が配置され、12本のベンチュリ管24も等間隔で配置されている。さらに、これら12本のベンチュリ管24の外側に、同じく中央部に配置されたベンチュリ管24を中心として等距離で18本のベンチュリ管24が配置され、18本のベンチュリ管24も等間隔で配置されている。こうして、計31本のベンチュリ管24が、第3圧壊ノズル25に並列に配置されている。全てのベンチュリ管24では、入口47から出口51に向かって中間のくびれ部までは管径が次第に縮小し、くびれ部からは管径が次第に拡大している。第3圧壊ノズル25の第2圧壊ノズル23との直列接続によって、ベンチュリ管24は、第2圧壊ノズル23のベンチュリ管22と連通するとともに、第1圧壊ノズル21のベンチュリ管20とも連通する。
【0044】
また、第3圧壊ノズル25では、ベンチュリ管24の出口51側の端部に、最外部に配置された18本のベンチュリ管24の外側からさらに外側に向かって管径が拡大された、凹状形状を有する吐出口52が形成されている。
【0045】
また、第3圧壊ノズル25では、バイパス流路53が形成されている。バイパス流路53の入口は、最外部に配置された18本のベンチュリ管24のさらにその外側に配置され、第3圧壊ノズル25の吐出口52に向かって延び、バイパス流路53の出口54は、吐出口52の外側に配置されている。バイパス流路53もまた、図3(c)に示したように、他のバイパス流路31、43と同様に、断面が略1/4円の弧状の形状を有し、ベンチュリ管24と同心円上に配置され、4つに分割されている。第3圧壊ノズル25の第2圧壊ノズル23との直列接続によって、バイパス流路53は、第2圧壊ノズル23に形成されたバイパス流路43と連通するとともに、第1圧壊ノズル21に形成されたバイパス流路31とも連通する。
【0046】
また、第3圧壊ノズル25では、吐出口52側の端部の外周部に、図3(c)に示したように、フランジ49と同一の形状を有するフランジ55が設けられ、フランジ55は、フランジ49に対向して配置されている。フランジ55にもフランジ49と同様にボルト穴56が形成され、ボルト穴56は、ボルト穴50に対向して配置されている。このようにして対向して配置されたフランジ34、39、49、55のボルト穴35、40、50、56に、ボルト57が、フランジ55側からねじ込まれ、直列に接続された第1圧壊ノズル21、第2圧壊ノズル23および第3圧壊ノズル25は、しっかりと連結され、気体導入部9として一体とされている。
【0047】
このような気体導入部9では、第1圧壊ノズル21の出口30と、第2圧壊ノズル23の第1凹部38の端面との間に、平面視円形の整流板58が設けられている。整流板58は、第1圧壊ノズル21のベンチュリ管20の出口29に対向して配置されている。また、整流板58は、第2圧壊ノズル23の出口44と、第3圧壊ノズル25の凹部48の端面との間にも設けられ、第2圧壊ノズル23の各ベンチュリ管22の出口41および第2凹部42に対向して配置されている。これらの整流板58は、ボルト57による上記のとおりの連結によって、第1圧壊ノズル21と第2圧壊ノズル23により挟持され、また、第2圧壊ノズル23と第3圧壊ノズル25により挟持される。このような整流板58を湯水8が通過するとき、整流され、流れの乱れが抑制される。そして、湯水8中のオゾンガスの気泡は、その合一が抑制される。
【0048】
また、整流板58は、第3圧壊ノズル25の吐出口52側にも設けられ、第3圧壊ノズル25の各ベンチュリ管24の出口51に対向して配置されている。吐出口52側に設けられた整流板58は、その外周縁部が、第3圧壊ノズル25の吐出口52側の内周部に設けられる溝状の凹部に嵌め込まれて第3圧壊ノズル25に取り付けられ、固定されている。
【0049】
気体導入部9では、第1圧壊ノズル21を通過したオゾンガスの気泡を含んだ湯水8は、第2圧壊ノズル23に流入し、並列に配置された各ベンチュリ管22を入口37から出口41に向かって流れる。湯水8中の気泡は、ベンチュリ管22を流れるにしたがって圧力が、一旦減圧された後、増加することにより、さらに砕かれ、気泡径はさらに小さくなる。
【0050】
気泡径が細かくされたオゾンガスの気泡を含む湯水8は、一旦、第2凹部42に流出した後、第2圧壊ノズル23の出口44と、第3圧壊ノズル25の凹部48の端面との間に設けられた整流板58を通過する。このときにも、オゾンガスの気泡を含んだ湯水8は、整流され、流れの乱れが抑制される。そして、湯水8中の気泡は、その合一が抑制される。
【0051】
次いで、オゾンガスの気泡を含んだ湯水8は、第3圧壊ノズル25に流入し、並列に配置された各ベンチュリ管24を入口47から出口51に向かって流れる。湯水8中のオゾンガスの気泡は、ベンチュリ管24を流れるにしたがって圧力が、一旦減圧された後、増加することにより、さらにまた砕かれて微細化され、0.1−1000μm程度の微細気泡が生成する。
【0052】
そして、オゾンガスの微細気泡を含んだ湯水8は、第3圧壊ノズル25の吐出口52側に設けられた整流板58を通過し、吐出口52から吐出する。湯水8は、さらに整流され、流れの乱れが抑制され、吐出する湯水8中のオゾンガスの微細気泡は、その合一が十分に抑制され、上記のとおりの微小な気泡径を維持する。
【0053】
なお、気体導入部9では、流路切替板32を第1圧壊ノズル21の軸に直交する方向にスライドさせることによって、ベンチュリ管20を閉鎖することができ、湯水8の流路をバイパス流路31、43、53に切り替えることができる。必ずしもオゾンガスの微細気泡を含んだ液体が必要とされないときなどの場合、バイパス流路31、43、53に切り替えることによって、気体導入部9は、気泡の混入の少ない湯水8を吐出することができる。
【0054】
図4は、本発明の水栓装置の第2実施形態を概略的に示した構成図である。第2実施形態に関し、図1に示した第1実施形態と共通する部分には同一の符号を付し、以下においてその説明を省略する。
【0055】
水栓装置59では、給水路7の下流端7aに、図2および図3に例示されるなどの気体導入部9が設けられ、気体導入部9における湯水8の吐出側も吐出端部6の吐出口5に臨んでいる。下向き流路60は、水栓装置1の下向き流路19と同様に、気体供給路16の気体導入部9への接続部に、機能性を有する気体としてのオゾンガスが、高い位置から低い位置に流れるように設けられている。水栓装置59では、気体導入部9が上下方向に配置されているので、下向き流路60も気体導入部9に沿って上下方向に延び、その途中において気体導入部9の側面部に向かって略L字状に折れ曲がり、気体導入部9に対して垂直に接続されている。
【0056】
このような水栓装置59では、開閉弁10の操作によって給水路7が閉じられ、湯水8の給水が停止されるとき、湯水8が気体導入部9においてたとえ逆流することがあっても、湯水8は、下向き流路60を下側から上側には流れにくく、気体供給路16へ浸入するのが抑制される。また、気体導入部9が吐出口5の近くに配置されているので、気体導入部9に下向き流路60を接続しやすくなり、しかも、給水停止時に湯水8が気体導入部9よりも上流側の給水路7で残りやすくなる。このため、下向き流路60による気体供給路16への湯水8の浸入抑制の確実性が高まる。
【0057】
本発明は、以上の実施形態によって制限されるものではない。気体生成部で生成する機能性を有する気体の種類、気体生成部および気体導入部の構成、下向き流路の配置形態などの細部については、様々な態様が可能である。
【符号の説明】
【0058】
1、59 水栓装置
5 吐出口
7 給水路
7a 下流端
9 気体導入部
11 気体生成部
16 気体供給路
19、60 下向き流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能性を有する気体を生成する気体生成部と、下流端が吐出口に臨む給水路とを備え、この給水路の途中の下流端側に、機能性を有する気体を湯水に混入させる気体導入部が設けられ、この気体導入部に、前記気体生成部で生成した機能性を有する気体を供給する気体供給路が接続され、この気体供給路の気体導入部への接続部に、機能性を有する気体が高い位置から低い位置に流れる下向き流路が設けられていることを特徴とする水栓装置。
【請求項2】
前記気体導入部が、前記吐出口の近くに配置されていることを特徴とする請求項1に記載の水栓装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−241441(P2012−241441A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−113378(P2011−113378)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】