説明

水栓設備

【課題】長時間の消火活動を可能とし、迅速かつ正確に操作できる消火機能を備えた水栓設備を安価に提供すること。
【解決手段】水栓設備1は、住宅のシンク台50に設置される水栓設備1であって、吐水口12と把手部11とを備える吐水ヘッド10と、吐水ヘッド10における吐水又は止水の操作を行う水栓30と、一方の端部が吐水ヘッド10に接続されると共に、他方の端部が水を当該水栓設備1に供給する水道供給部に接続されたものであって、吐水ヘッド10を介してシンク台50から引き出し可能な引出ホース40と、シンク台50の近傍に設置され、引出ホース40を経由して吐水ヘッド10に消火剤を供給する消火剤供給部52と、を備え、消火剤供給部52は、消火剤を貯蔵する消火剤槽520と、消火剤槽520の内部を加圧する消火剤加圧用カートリッジ521と、消火剤加圧用カートリッジ521を起動する消火剤起動スイッチ522とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅に設置される水栓設備に関する。
【背景技術】
【0002】
火災の拡大による被害を最小限に抑えるためには、初期火災の段階で確実に消火を行うことが重要であり、迅速な初期消火のため火元近傍に消火器具を持ち運ぶことが必要となる。特に住宅用の消火器具については、性別や年齢を問わず取り扱いが容易であることから、このような利点を備えた手持ち式消火器が広く用いられている。また、高層マンションのような大型の住宅施設では、スプリンクラー設備や屋内消火栓設備等の消防設備も用いられている。
【0003】
消火器は容器に貯蔵した消火剤を圧力により放射して消火を行うように構成されている。また、スプリンクラー設備は、初期消火を自動的に行うことを目的とした固定式の消火設備であり、天井面に取付けられるスプリンクラーヘッドの一部が火災の熱にて溶融等すると、スプリンクラーヘッド本体が突出して火元及びその周辺に対して放水を行うように構成されている。また、屋内消火栓設備は、消火器では消火できない程度に拡大した火災に対して、大量に放水を行うことで消火作業を継続するための消火設備であり、起動ボタンを押す等して起動操作がなされると、高架水槽や給水ポンプから屋内消火栓設備に加圧水が供給され、屋内消火栓設備に設置されたホースを経由して、ホース先端に接続された放水ノズルから放水が行われる。
【0004】
また、上記のスプリンクラー設備や屋内消火栓設備と比較して狭い場所に設置することができ、消火器と比較して長時間使用可能であり、且つ、安価に設置可能な消火装置として、水道管に接続される消火装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この消火装置は水道管に接続される小型の消火栓設備とも言える装置であって、例えばシステムキッチンにおいて、シンク台の内部にホース及び放水口を非露出状に収容すると共に、このホースを、日常的に使用される水道系統に給水するための水道管に接続して構成されている。そして、火災発生時にはシンク台の上蓋を開放してホースを引き出すことにより、水道管から供給される水をホース先端の放水口から火元に対して放水できるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−290032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した消防設備や消火装置にはそれぞれ下記に示す問題があった。
(1)消火器
住宅用として用いられる消火器の場合、可搬型を重視して小型化されており、内蔵される消火剤の量に制約があるために消火剤の放出時間が短い。また、火災発生時に迅速かつ正確に消火器を操作するためには実際に消火器を用いた訓練が必要だが、その機会は現実にはほとんどない。従って、消火器の使用者が消火器に不慣れなため、消火剤を火元に向けて十分放射できず、消火しきれない可能性があった。
【0007】
(2)スプリンクラー設備
リビングルーム等の広い部屋に対しては、水を放出する複数のスプリンクラーヘッドが設置される。例えば、これらのスプリンクラーヘッドの設置位置に対する中間点で火災が発生した際には、全てのスプリンクラーヘッドが同時に作動することもあるが、住宅用スプリンクラーシステムへの給水は水道から直接行われるため、スプリンクラー設備全体に対する供給水量には限界があり、個々のスプリンクラーヘッドに対する供給水量が低下して、定格の放水能力を下回る可能性がある。この場合、スプリンクラーヘッドからの散水領域が狭くなり、火元に対する散水量が小さくなるため、消火能力が低減する可能性がある。また、スプリンクラー設備を設置する際には、スプリンクラーヘッドを天井面に設置するために水道配管の工事が必要となる。従って多額の費用が必要となるため、住宅用の消防設備としては広く普及するに至っていない。
【0008】
(3)屋内消火栓
主にビル用消防設備として用いられる屋内消火栓設備を住宅用として設置することも可能であるが、大量の水が必要になると共に、ある程度の設置スペースが必要なため、室内に設置するには制約がある。また、消火栓は火災発生時以外には使用されず、その内部には通常は水流が発生しないため、消火栓と水道管の接続部近傍等に滞留水が生じることで、変質した滞留水によって衛生上の問題が発生する可能性がある。さらに、消火器の場合と同様に、消火栓の操作に対する訓練を行う機会が少ないため、火災発生時に迅速且つ正確な操作ができない可能性があった。
【0009】
(4)消火装置
例えば、特許文献1に記載の消火装置は水道管に接続されるものであり、火災発生時以外には使用されないため、屋内消火栓の場合と同じく滞留水による衛生上の問題が発生する可能性がある。また、消火器や屋内消火栓の場合と同じく実際に操作する機会が少ないことから、火災発生時に迅速かつ正確な操作ができない可能性がある。
【0010】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、長時間の消火活動を可能とし、迅速かつ正確に操作できる消火機能を備えた水栓設備を安価に提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の水栓設備は、住宅のシンク台に設置される水栓設備であって、吐水口と把手部とを備える吐水ヘッドと、前記吐水ヘッドにおける吐水又は止水の操作を行う水栓と、水源と前記吐水ヘッドとに接続されたものであって、前記吐水ヘッドを介して前記シンク台から引き出し可能な引出ホースと、前記シンク台の近傍に設置され、前記引出ホースを経由して前記吐水ヘッドに消火剤を供給する消火剤供給手段と、を備え、前記消火剤供給手段は、消火剤を貯蔵する消火剤槽と、前記消火剤槽の内部を加圧する消火剤槽加圧手段と、前記消火剤槽加圧手段を起動する消火剤槽加圧起動手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
このように、請求項1に記載の水栓設備によれば、消火剤供給手段を水栓設備に設けているので、消火活動時に吐水口から消火剤を放出させることができ、水栓設備による消火能力を向上させることができる。また、地震や事故に起因して水道が断水状態となった場合でも、消火剤を放出させることができるので、断水時でも消火活動を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1に係る水栓設備の外観斜視図である。
【図2】図1に示した水栓設備の引出ホース伸長時の斜視図である。
【図3】図1に示した水栓設備の側断面図である。
【図4】図1に示した水栓設備の吐水ヘッドを示す図であり、(a)は吐水ヘッドの平面図、(b)は吐水ヘッドの側面図である。
【図5】図4(a)に示した吐水ヘッドのA−A断面図である。
【図6】閉状態における吐水ヘッドの先端部周辺の側面図である。
【図7】図6のB−B断面図である。
【図8】開状態における吐水ヘッドの先端部周辺の側面図である。
【図9】図8のC−C断面図である。
【図10】本発明の実施の形態2に係る水栓設備における吐水ヘッドを示す図であり、(a)は取り付け状態における側断面図、(b)は取り外し状態における側断面図である。
【図11】図10(b)のD−D断面図である。
【図12】本発明の実施の形態3に係る水栓設備における吐水ヘッドを示す図であり、(a)は吐水ヘッドの平面図、(b)は吐水ヘッドの側面図である。
【図13】図12に示した吐水ヘッドのE−E断面図である。
【図14】図12に示した吐水ヘッドのF−F断面図であり、(a)は閉状態の断面図、(b)は開状態の断面図である。
【図15】本発明の実施の形態4に係る水栓設備における吐水ヘッドを示す図であり、(a)吐水ヘッドの平面図、(b)は吐水ヘッドの側面図である。
【図16】図15に示した吐水ヘッドのG−G断面図であり、(a)は閉状態の断面図、(b)は開状態の断面図である。
【図17】本発明の実施の形態5に係る水栓設備が設置されたシンク台の開扉状態における内部正面図である。
【図18】本発明の実施の形態6に係る水栓設備が設置されたシンク台の開扉状態における内部正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る水栓設備の各実施の形態を詳細に説明する。まず、〔I〕各実施の形態に共通の基本的概念を説明した後、〔II〕各実施の形態の具体的内容について説明し、〔III〕最後に、各実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、各実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0015】
〔I〕各実施の形態に共通の基本的概念
まず、実施の形態の基本的概念について説明する。本実施の形態に係る水栓設備は、住宅で日常的に使用される水栓設備を利用して、長時間の消火活動を可能とし、迅速かつ正確に操作できる安価な消火設備を提供することを目的とする。
【0016】
本実施形態に係る水栓設備の設置対象は任意であり、例えば住宅の台所、洗面台、あるいは、オフィスビルの給湯室におけるシンク台に設置できる。また、キャンプ場や公園において屋外に設置されたシンク台にも適用可能である。
【0017】
本実施の形態に係る水栓設備の特徴の一つは、概略的に、シンク台に設置され、日常的に使用される水栓設備を、火災発生時の消火設備としても使用できるように構成した点にある。水栓設備は水道管に接続されており水源の制約がないため、長時間の消火活動に使用することができる。また、火災発生時以外でも日常的に使用され、滞留水が生じないことから、衛生上の問題を防止できる。さらに、日常的な使用を通して水栓設備の操作に習熟できるため、火災発生時に迅速かつ正確な操作が可能となる。
【0018】
また、本実施の形態に係る水栓設備は、引き出し自在な引出ホースを備えているので、消火活動の際は火元近傍まで吐水ヘッドを移動させることができる。さらに、水栓設備は、吐水ヘッドを備えており、この吐水ヘッドからの吐水方向を切り替えることができる。従って、日常では調理等の日常生活に適した吐水方向にて使用し、火災発生時には火災消火に適した方向で水等を吐水させることができる。また、本実施の形態に係る水栓設備は上述の如く簡易な構成となっており、その設置に際して大規模な水道配管工事を必要としないため、安価に設置することができる。
【0019】
〔II〕実施の形態の具体的内容
次に、本発明に係る各実施の形態の具体的内容について説明する。
【0020】
〔実施の形態1〕
まず実施の形態1について説明する。この形態は、吐水ヘッドに日常用と消火用の2種類の吐水口を設置した形態である。
【0021】
(水栓設備の構成)
図1は実施の形態1に係る水栓設備の外観斜視図、図2は図1に示した水栓設備の引出ホース伸長時の斜視図、図3は図1に示した水栓設備の側断面図、図4は図1に示した水栓設備の吐水ヘッドを示す図であり、(a)は吐水ヘッドの平面図、(b)は吐水ヘッドの側面図、図5は図4(a)に示した吐水ヘッドのA−A断面図である。
【0022】
図1、2に示すように、シンク台50に設置された水栓設備1は、吐水ヘッド10と、吐水ヘッド10における吐水及び止水の操作を行うための水栓30と、吐水ヘッド10に接続された引出ホース40とを備えている。
【0023】
(水栓設備の構成−吐水ヘッド10)
このうち、吐水ヘッド10は、水栓設備1における吐水を行う吐水手段又は放水手段であり、図4(b)に示すように、把手部11、吐水口12、水流路13、変向部14、及び、切替レバー15を備えている。把手部11は、吐水ヘッド10の本体部分であり、ユーザが吐水ヘッド10を保持する際の保持部分であって、人間の手によって把握しやすいように長円筒形状に形成されている。この把手部11の一端には吐水口12が形成され、この把手部11の他端には引出ホース40が接続されている。吐水口12は、水を吐水するための開口で、消火用吐水口12aと日常用吐水口12bとの2箇所の開口を有している。水流路13は、引出ホース40から吐水ヘッド10に供給された水を変向部14まで導水させる流路であり、把手部11の内部に設けられている。変向部14は、吐水ヘッド10から吐水させる口を消火用吐水口12aと日常用吐水口12bとのいずれかに選択的に切り替えるための切替機構であり、特許請求の範囲における変向手段及び選択手段に対応する。この変向部14は、把手部11の先端部に内蔵されている。また、切替レバー15は、吐水ヘッド10から吐水させる口を選択するためのもので、吐水口12の近傍に配置されており、その一部は、把手部11の内部に延出されて、変向部14に接続されている。なお、これら吐水口12、水流路13、変向部14、及び、切替レバー15のさらなる詳細については後述する。ここで、吐水ヘッド10を構成する材料は任意であり、例えば、溝形状や突起形状等の滑り止め加工を施した樹脂で把手部11を構成することで、消火活動時にも確実に把手部11を把握することができ、正確な消火活動が可能となる。
【0024】
(水栓設備の構成−水栓30)
水栓30は、吐水ヘッド10における吐水及び止水の操作を行うための吐水操作手段であり、図1及び図2に示すようにシンク台50上に設置されている。この水栓30は、図3に示すように、水栓本体31、弁機構32、操作ハンドル33、給水管34、通水管35、及び、ホルダ36を備える。水栓本体31は、略円筒状に形成されており、シンク台50上において、このシンク台50の天板面に対して略直交するように設置されている。この水栓本体31の内部には弁機構32が設けられており、この弁機構32の上部には操作ハンドル33が連結されている。そして、操作ハンドル33に対する操作に連動して弁機構32が動作し、弁機構32の内部を通過する水量が調整される。
【0025】
また、水栓本体31の内部空間には、この水栓本体31の直下においてシンク台50に穿設された穴を通して、給水管34、通水管35、及び、引出ホース40が挿通されている。給水管34は、水道水を弁機構32に供給するためのものであり、その一端(下端)が水道管100に接続されると共に、その他端(上端)が弁機構32に接続されている。通水管35は、弁機構32を通過した水を引出ホース40に供給するためのものであり、その一端(上端)が弁機構32に接続されると共に、その他端(下端)がシンク台50の下部において引出ホース40に接続されている。
【0026】
また、ホルダ36は、略円筒形状に形成されると共に、水栓本体31に対して上部傾斜方向に配置されている。このホルダ36には、その内部に引出ホース40が引き出し自在に挿通されると共に、その先端開口部に吐水ヘッド10が着脱自在に保持されている。
【0027】
このような構成において、操作ハンドル33を操作して弁機構32を開放すると、水道管100から給水管34に加圧供給された水が、弁機構32を通過して通水管35に至り、さらに引出ホース40へ流入し、吐水ヘッド10に到達して吐水口12から吐水される。
【0028】
(水栓設備の構成−引出ホース40)
引出ホース40は、図3に示すように、一方の端部が吐水ヘッド10に接続され、他方の端部はシンク台50の下部において通水管35と接続されている。この引出ホース40は、吐水ヘッド10を介してシンク台50から引き出すことができ、シンク台50から引き出されない余長部分はシンク台50の下部に収納されている。ここで、火災発生時には、火元がシンク台50から遠く離れた場所にあることも想定されるため、引出ホース40は火元の近傍まで吐水ヘッド10を移動させるのに十分な長さ(例えば十数m)を有することが望ましい。この引出ホース40の収納構造の詳細については後述する。なお、引出ホース40を構成する材料は任意であり、例えば、ポリエステル繊維やポリアミド繊維等の化学繊維によって補強した合成樹脂で構成することにより、消火活動時の激しい動作に対する耐久性を有した引出ホース40を実現できる。
【0029】
(水栓設備の構成−吐水口12の詳細の説明)
次に、上述した水栓設備1の各部の構成について、より詳細に説明する。まず、吐水口12は、図4に示すように、消火用吐水口12aと日常用吐水口12bとを備える。消火用吐水口12aは、消火活動時に吐水を行うための開口部であり、吐水ヘッド10の先端部に、把手部11の長軸方向に対して略直交する開口面として形成されている。従って、消火用吐水口12aからは、把手部11の長軸方向と略同一な方向(以下、第一の方向)に対して水が吐水される。このため、消火活動時において、把手部11を保持してその長手方向を火元に向けた状態で、消火用吐水口12aから火元に向けて水を放水し、消火を行うことができる。特に、ここでは、吐水ヘッド10の内部における水流路13の内径と比べて、消火用吐水口12aの開口径を小さくすることにより、吐水速度を増大させて吐水の到達距離を大きくしている。従って、消火活動時は、吐水した水を火元まで到達させることができる。
【0030】
一方、日常用吐水口12bは、日常使用の際に吐水を行うための開口部であり、吐水ヘッド10の先端部に、把手部11の長軸方向と略平行な開口面として形成されている。従って、日常用吐水口12bからは、把手部11の長軸方向に対して略直交する方向(以下、第二の方向:吐水ヘッド10をホルダ36にセットした状態においてシンク台50に向う方向)に水が吐水される。このため、日常生活において、日常用吐水口12bからシンク台50に向けて水を供給し、調理等を行うことができる。
【0031】
(水栓設備の構成−水流路13の詳細の説明)
水流路13は、吐水ヘッド10の内部において、引出ホース40との接続部と変向部14との間を結ぶ中空円筒管として形成されている。水流路13における変向部14側の端部は、把手部11の長軸方向に対して略直交するように屈曲されており、この屈曲状の端部は、変向部14が吐水ヘッド10の内部で回転する際の回転軸(回転ジョイント130)として機能する。
【0032】
具体的には、図5に示すように、回転ジョイント130は、当該回転ジョイント130から外部への漏水を防止するためのOリング131と、吐水ヘッド10に対して変向部14を固定するためのラッチ132とを備えている。Oリング131は、円筒状の回転ジョイント130の外周において周状に形成された溝に嵌込されている。ラッチ132は、回転ジョイント130の外側面においてOリング131の近傍に設置されており、ラッチ132と回転ジョイント130との間にはバネ133が嵌装されている。
【0033】
(水栓設備の構成−変向部14の詳細の説明)
変向部14は、図4に示すように筒体状に形成され、図5に示すようにジョイント軸受部140と、ラッチ嵌合穴141と、吐水路142とを備えて構成されている。
【0034】
ジョイント軸受部140は、筒体状の変向部14における端部の平面に設けられた円形の開口部であり、当該開口部の内周と、回転ジョイント130が備えるOリング131の外周とが密着するように開口径が決定されている。
【0035】
ラッチ嵌合穴141は、回転ジョイント130上に設置されているラッチ132を嵌込させるためのものであり、ジョイント軸受部140近傍における変向部14の外表面に、凹状の穴として設けられている。
【0036】
吐水路142は、水流路13から変向部14に流入した水を吐水口12(図5には吐水口12bのみを示す)へ流出させるための流路であり、変向部14の外周面における開口部として設けられている。吐水路142の開口面は変向部14の回転軸に対して略平行とされており、当該回転軸に対して略直交する方向に水が流れるように形成されている。また、吐水路142の開口径は、吐水ヘッド10の内側における日常用吐水口12b及び消火用吐水口12aの開口径と略同一となるように決定されている。
【0037】
(水栓設備の構成−切替レバー15の詳細の説明)
切替レバー15は、図5に示すように、軸体15a及び切替つまみ15bを備えている。このうち、軸体15aは、その一方の端部には切替つまみ15bが配置され、その他方の端部には変向部14が接続されており、吐水ヘッド10に穿設された穴に回動自在に設置されている。切替つまみ15bは、略平板状に形成されており、吐水ヘッド10の外部に露出するように設置されている。
【0038】
(水栓設備の構成−引出ホース40の収納構造の詳細)
次に、引出ホース40の収納構造について、より詳細に説明する。従来使用されてきた水栓設備における短い引出ホースについては、引出ホースの余長部分をシンク台50の内部に垂下させることで収納できるが、消火活動も考慮に入れた長い引出ホース40については、引出ホース40の余長部分を螺旋状に巻いてシンク台50の内部に収納することができる。あるいは、より好ましくは、図3に示すように、収納リール41をシンク台50の内部に設置し、引出ホース40の余長を巻き取り収納する。この収納リール41は、円筒形のドラム42を備えており、このドラム42の周面に引出ホース40の余長部分を巻き付けることで、引出ホース40を収納することができる。このドラム42は、図示しないスプリング等にて所定の巻取り方向に付勢されており、ドラム42を手動にて回転させることなく、余長部分が自動的に収容される。この他、変形自在かつ螺旋状の形状記憶性を有するカールホースを用いて引出ホース40を構成することにより、シンク台50から引出ホース40を引き出し可能にするとともに、引出ホース40の余長部分はシンク台50の内部に螺旋状に収納されるようにすることもできる。
【0039】
(水栓設備の作用)
次に、上述のような構成により得られる水栓設備1の作用について説明する。
【0040】
(水栓設備の作用−日常時)
本実施の形態1に係る水栓設備1は、日常的に使用することができる。すなわち、日常使用時には吐水ヘッド10をシンク台50上に固定し、日常用吐水口12bから吐水させる。この場合には、切替レバー15を図4に示す「日常」の位置とすることにより、変向部14における吐水路142と、吐水ヘッド10における日常用吐水口12bとが連接する。更に、回転ジョイント130に設けられたラッチ132が、変向部14に設けられたラッチ嵌合穴141に嵌込されているので、吐水ヘッド10と変向部14は互いに固定された状態となっている。この状態で水栓30を開放することにより、水栓30から吐水ヘッド10に供給された水が、水流路13を経て変向部14に流入し日常用吐水口12bから吐水される。
【0041】
ここで、図1に示すように、吐水ヘッド10がシンク台50上に固定される時は、把手部11の長軸方向がシンク台50の天板面と略平行となるように吐水ヘッド10が固定される。この時、日常用吐水口12bは把手部11の長軸方向に対して略直交する第二の方向に吐水できるように設置されているので、日常用吐水口12bから吐水させることにより、水はシンクに向けて吐水される。
【0042】
(水栓設備の作用−消火活動時)
また、本実施の形態1に係る水栓設備1を消火活動に対しても使用することができる。すなわち、消火活動時には吐水ヘッド10をシンク台50から火元近傍まで移動させ、消火用吐水口12aから吐水させることができる。この場合には、切替レバー15を図4に示す「消火」の位置まで回転さると、切替つまみ15bから軸体15aを通じて変向部14に回転動作が伝達される。変向部14に伝達された力が、ラッチ132をラッチ嵌合穴141に嵌込させているバネ133の弾性力を上回ると、変向部14が吐水ヘッド10に対して回転する。切替レバー15が「消火」の位置に到達すると、吐水路142の開口面が消火用吐水口12aに対して連接する。この状態で水栓30を開放することにより、水栓30から吐水ヘッド10に供給された水が、水流路13を経て変向部14に流入し消火用吐水口12aから吐水される。
【0043】
ここで、吐水ヘッド10から吐水をさせる時、吐水の水勢を強めるとその反動も大きくなる。従来使用されてきた水栓設備1における吐水ヘッド10は、把手部11の長軸方向に対して略直交する方向に吐水する構造となっており、吐水の反力によって把手部11に対する回転モーメントが発生し、吐水方向を安定させることができなかった。従って、消火活動時に火元のような目標物に向けて吐水をさせることは困難であった。これに対して、本実施の形態1に係る吐水ヘッド10に設けられた消火用吐水口12aは、把手部11の長軸方向に対して略同一な第一の方向に吐水できるように設けられているので、吐水により発生する反力の方向は第一の方向と一致しており、把手部11に対する回転モーメントが発生しないため、吐水方向を安定させることができる。
【0044】
(実施の形態1の変形例)
次に、実施の形態1の変形例について説明する。上記の水栓設備1においては、水栓30を吐水ヘッド10と別体に設けているが、水栓を吐水ヘッド10と一体に設けてもよい。例えば、切替レバーと水栓を相互に一体として構成した切替開閉機構16を吐水ヘッド10上に設置することもできる。図6〜9は、切替開閉機構を備えた吐水ヘッドの先端部周辺を示す図であり、図6は閉状態における吐水ヘッドの先端部周辺の側面図、図7は図6のB−B断面図、図8は開状態における吐水ヘッドの先端部周辺の側面図、図9は図8のC−C断面図である。
【0045】
この切替開閉機構16は、特許請求の範囲における水栓、選択手段、及び吐水口選択開閉手段に対応するものであり、切替開閉レバー160と、切替開閉レバー160に連結された弁機構161とを備えている。
【0046】
切替開閉レバー160は、軸体160a、切替つまみ160b、及び、雄ネジ部160cを備えており、変向部14に対して軸体160aを回転軸として転動自在に固定されている。軸体160aは、一方の端部には切替つまみ160b、他方の端部には雄ネジ部160cが接続されており、変向部14及び吐水ヘッド10に穿設された穴に回動自在に配置されている。切替つまみ160bは、略平板状に形成されており、吐水ヘッド10の外部に露出するように設置されている。雄ネジ部160cは、軸体160aの軸を中心軸とする雄ネジとして形成されており、軸体160aにおける切替つまみ160bとは反対側の端部に接続され、変向部14の内部に設置されている。
【0047】
一方、弁機構161は、変向部14の内部に設置されており、弁保持部162及び弁本体163を備えている。弁保持部162は、変向部14に対して弁本体163を変向部14の回転軸に沿う方向にのみ摺動可能とする案内構造を形成している。また、弁保持部162には、弁本体163の摺動可能範囲を決定するストッパー162aが設けられている。弁本体163は、雌ネジ部163aとパッキン163bとを備えており、雌ネジ部163aは、切替開閉レバー160の雄ネジ部160cと噛合するように形成されている。また、パッキン163bは弁本体163の先端に接合され、回転ジョイント130の端面と密着するように設置されている。
【0048】
なお、図示は省略するが、このように水栓を吐水ヘッド10と一体に設ける場合においては、給水管34をシンク台50の下部において引出ホース40に直接接続し、通水管35を省略することができる。
【0049】
(切替開閉機構16を備えた水栓設備の作用−日常使用時)
次に、切替開閉機構16を備えた水栓設備1の作用を説明する。切替開閉レバー160が図6、7に示す「閉」の位置にある時は、弁本体163が回転ジョイント130の端面に向かって突出し、パッキン163bが回転ジョイント130の端面に押し付けられているため、水は変向部14の内部には流入せず、吐水口12から吐水しない状態となる。
【0050】
次に、切替開閉レバー160を図8、9に示す「開」の位置まで回転させると、切替開閉レバー160の回転に伴って雄ネジ部160cが回転する。雄ネジ部160cの回転動作は、雄ネジ部160cに噛合している雌ネジ部163aに伝達される。ここで、雌ネジ部163aが形成されている弁本体163は、弁保持部162が形成する案内構造によって変向部14の回転軸に沿う方向にのみ摺動可能であることから、雄ネジ部160cの回転方向には回転しない。従って、雄ネジ部160cの回転動作は雌ネジ部163aを介して弁本体163の直動動作へと変換される。すなわち、弁本体163は、変向部14の回転軸に沿って、雄ネジ部160cの回転動作に対応する距離を直線移動する。この弁本体163の直動動作により、パッキン163bと回転ジョイント130の端面との間に間隙が生じるため、水が変向部14の内部に流入する。また、ここでは、吐水路142と日常用吐水口12bとが連接するように配置されており、更に、回転ジョイント130に設けられたラッチ132が、変向部14に設けられたラッチ嵌合穴141に嵌込されているので、吐水ヘッド10と変向部14は互いに固定された状態となっている。従って、変向部14の内部に流入した水が、吐水路142を経て日常用吐水口12bから吐水される。
【0051】
(切替開閉機構16を備えた水栓設備の作用−消火活動時)
さらに、切替開閉レバー160を「消火」の位置まで回転させると、切替開閉レバー160の回転に伴って雄ネジ部160cが回転し、当該回転動作が雌ネジ部163aに伝達される。ここで、切替開閉レバー160を「開」の位置まで回転させた時点で、弁本体163がそれ以上は直動動作不可能となるように弁保持部162にストッパー162aを設けているため、弁本体163は直動動作しない。従って、雌ネジ部163aに伝達された回転動作は、弁本体163から弁保持部162を介して変向部14に伝達される。伝達された回転動作による力が、ラッチ132をラッチ嵌合穴141に嵌込させているバネ133の弾性力を上回ると、変向部14が吐水ヘッド10に対して回転ジョイント130を中心として回転する。切替開閉レバー160が「消火」の位置に到達すると、吐水路142の開口面が消火用吐水口12aに対して連接し、消火用吐水口12aから吐水される。
【0052】
このような変形例によれば、吐水ヘッド10を把握している使用者が手元で水栓の操作を行えるので、消火活動時における吐水ヘッド10の運搬及び放水操作を一人で実施することが可能となる。特に、切替開閉レバー160は日常的に使用され、使用者がその操作に習熟しているため、消火時にも正確な操作を行うことができる。
【0053】
(実施の形態1の効果)
このように実施の形態1によれば、吐水ヘッド10に接続される引出ホース40は、シンク台50の内部に収納され、且つ、シンク台50から引き出し自在に形成されているので、火災発生時には引出ホース40を引き出すことにより吐水ヘッド10を火元近傍まで移動させることができる。また、吐水ヘッド10上に、第一の方向に吐水する消火用吐水口12aと第二の方向に吐水する日常用吐水口12bとを設けるとともに、吐水口12を選択するための切替レバー15を設けたので、吐水方向を切替えることができる。従って、日常では調理等の日常生活に適した方向に日常用吐水口12bから吐水させることができ、火災発生時には切替レバー15を操作し消火用吐水口12aから吐水させることにより、火元に向けて安定して吐水を行うことができる。この様に、日常的に使用される水栓設備1を火災発生時の消火設備としても使用できるように構成したので、水源の制約がなく、長時間の消火活動に使用することができる。また、火災発生時以外でも日常的に使用され、滞留水が生じないことから、衛生上の問題を防止できる。さらに、日常的な使用を通して水栓設備1の操作に習熟できるため、火災発生時に迅速かつ正確な操作が可能となる。また、簡易に構成されているので、安価に設置することができる。
【0054】
〔実施の形態2〕
次に、実施の形態2について説明する。この形態は、引出ホースに接続された消火用吐水ヘッドと、消火用吐水ヘッドに接続された日常用吐水ヘッドとを、着脱自在とする着脱機構を吐水ヘッドに設けた形態である。
【0055】
図10、11は、実施の形態2に係る水栓設備における吐水ヘッド10を示す図であり、図10(a)は取り付け状態における側断面図、図10(b)は取り外し状態における側断面図、図11は図10(b)のD−D断面図である。なお、実施の形態2の構成は、特記する場合を除いて実施の形態1の構成と略同一であり、実施の形態1の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態1で用いたのと同一の符号及び/又は名称を必要に応じて付して、その説明を省略する。
【0056】
図10、11に示すように、吐水ヘッド10は、日常時及び消火活動時に使用される消火用吐水ヘッド18と、消火用吐水ヘッド18に接続されて日常時にのみ使用される日常用吐水ヘッド17とを備えている。次に、吐水ヘッド10を構成する各要素について説明する。
【0057】
(吐水ヘッド10の構成−消火用吐水ヘッド18)
消火用吐水ヘッド18は、略円筒形状にて形成され、把手部11、消火用吐水口12a、水栓185、及び、日常用吐水ヘッド17を当該消火用吐水ヘッド18に接続するための第一の接続部180を備えている。消火用吐水口12aは、消火用吐水ヘッド18の先端に形成され、把手部11の長軸方向に対して略直交する開口面として形成されている。従って、消火用吐水口12aから、把手部11の長軸方向と略同一な第一の方向に対して水が吐水される。水栓185は、消火用吐水口12aと把手部11との間に配置され、弁機構186と、弁機構186に連結した操作ハンドル187とを備えている。弁機構186は消火用吐水ヘッド18の内部に配置され、操作ハンドル187は消火用吐水ヘッド18の外部に配置されている。
【0058】
第一の接続部180は、消火用吐水ヘッド18における消火用吐水口12aと水栓185との間に位置し、Oリング181とバネラッチ嵌込溝182を備える。Oリング181は、日常用吐水ヘッド17を消火用吐水ヘッド18に接続して日常用吐水口12bから吐水させる際に、第一の接続部180からの漏水を防止するために設けられている。具体的には、略円筒形状を成す第一の接続部180の外周部に周状に設けられた溝にOリング181が嵌込されている。バネラッチ嵌込溝182は、日常用吐水ヘッド17を消火用吐水ヘッド18に接続する際に、日常用吐水ヘッド17に設けられた後述するバネラッチ171を嵌込させるための溝であり、Oリング181と消火用吐水口12aとの間において第一の接続部180の外周部に周状に設けられている。
【0059】
(吐水ヘッド10の構成−日常用吐水ヘッド17)
日常用吐水ヘッド17は、側面形状を略L字状とする中空管から形成され、日常用吐水口12b、及び、消火用吐水ヘッド18に当該日常用吐水ヘッド17を接続するための第二の接続部170を備えている。日常用吐水口12bは、日常用吐水ヘッド17を消火用吐水ヘッド18に接続した場合において、消火用吐水ヘッド18の把手部11の長軸方向と略平行な開口面を有し、把手部11の長軸方向に対して略直交する第二の方向に吐水するように設置されている。
【0060】
第二の接続部170は、日常用吐水ヘッド17における日常用吐水口12bとは反対側の端部に設けられている。第二の接続部170は略円筒状に形成されており、消火用吐水ヘッド18と接続した際に、第二の接続部170の内側面が第一の接続部180におけるOリング181の外周と密着するように、第二の接続部170の内径が決定されている。また、第二の接続部170はバネラッチ171を備えている。バネラッチ171は、日常用吐水ヘッド17と消火用吐水ヘッド18とを着脱するために用いられる。具体的には、第二の接続部170の内側面に周状に設けられた溝に、略円周状に形成されたバネラッチ171が嵌込されている。ここで、バネラッチ171と溝の間には、バネ172が嵌装されている。これら、第一の接続部180及び第二の接続部170は、特許請求の範囲における着脱機構に対応する。
【0061】
また、バネラッチ171の外周上において、バネ172に対してバネラッチ171の直径方向反対側の位置には、バネラッチ171の円周の中心から外周に向かう方向に伸長する取外しボタン171aが設けられている。取外しボタン171aは、日常用吐水ヘッド17に穿設された穴を貫通して日常用吐水ヘッド17の外部に突出するように設けられている。また、バネラッチ171の内径は、第一の接続部180における消火用吐水口12aからバネラッチ嵌込溝182に至る部分の最大外径に対してすきま嵌めを形成するように決定されている。
【0062】
(吐水ヘッド10の作用)
次に、上述のような構成により得られる吐水ヘッド10の作用を説明する。図10(a)に示すように、日常用吐水ヘッド17を消火用吐水ヘッド18に接続させる際は、第二の接続部170に対して第一の接続部180が差し込まれるように、日常用吐水ヘッド17を消火用吐水ヘッド18に対して押し込む。そして、バネラッチ171がバネラッチ嵌込溝182に達すると、バネ172の弾性力によってバネラッチ171がバネラッチ嵌込溝182の内部に押し込まれることにより、日常用吐水ヘッド17と消火用吐水ヘッド18とが互いに固定される。
【0063】
この時、第二の接続部170の内側面と、Oリング181の外周とが密着している。従って、日常用吐水ヘッド17が消火用吐水ヘッド18に接続された状態で操作ハンドル187を操作して水栓185を開放することにより、水栓185を通過した水は、接続部から外部に漏水することなく日常用吐水口12bから吐水される。
【0064】
また、日常用吐水ヘッド17が消火用吐水ヘッド18に接続された状態で取外しボタン171aを押圧すると、バネラッチ171がバネラッチ嵌込溝182から押し出されるため、日常用吐水ヘッド17が消火用吐水ヘッド18に対して移動自在となり、取外し可能となる。図10(b)に示すように、日常用吐水ヘッド17を取り外した状態で操作ハンドル187を操作して水栓185を開放すると、水栓185を通過した水は消火用吐水口12aから吐水されて、消火活動を行うことができる。
【0065】
(実施の形態2の効果)
このように実施の形態2によれば、実施の形態1と同様の効果に加えて、消火用吐水口12aを有する消火用吐水ヘッド18と、日常用吐水口12bを有する日常用吐水ヘッド17とを互いに着脱自在とするバネラッチ171を日常用吐水ヘッド17上に設けたので、日常使用時は日常用吐水口12bから吐水させることができ、消火活動時は簡易な操作で日常用吐水ヘッド17を取り外し、消火用吐水口12aから吐水させることができる。
【0066】
〔実施の形態3〕
次に、実施の形態3について説明する。この形態は、吐水方向を変向可能な吐水ヘッド可動部を吐水ヘッドに設けた形態である。
【0067】
図12は実施の形態3に係る水栓設備における吐水ヘッドを示す図であり、(a)は吐水ヘッドの平面図、(b)は吐水ヘッドの側面図、図13は図12に示した吐水ヘッドのE−E断面図、図14は図12に示した吐水ヘッドのF−F断面図であり、(a)は閉状態の断面図、(b)は開状態の断面図を示している。なお、実施の形態3の構成は、特記する場合を除いて実施の形態2の構成と略同一であり、実施の形態2の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態2で用いたのと同一の符号及び/又は名称を必要に応じて付して、その説明を省略する。
【0068】
図12に示すように、本実施の形態3に係る水栓設備1における吐水ヘッド10は、吐水ヘッド本体19と、吐水ヘッド10の先端部に位置する吐水ヘッド可動部20とを備えて構成されている。次に、吐水ヘッド10を構成する各要素について説明する。
【0069】
(吐水ヘッド10の構成−吐水ヘッド本体19)
吐水ヘッド本体19は、把手部11と、水流路190と、回転ジョイント191とを備えて構成されている。水流路190は、引出ホース40から吐水ヘッド10に供給された水を後述する吐水ヘッド可動部20まで通過させる流路である。具体的には、水流路190は、吐水ヘッド本体19の内部において、引出ホース40との接続部と吐水ヘッド可動部20との間を結ぶ中空管として形成されている。また、水流路190における吐水ヘッド可動部20側の端部は円筒状に形成され、且つ、当該円筒の軸が把手部11の長軸方向に対して略直交するように屈曲されており、この屈曲状の端部は、吐水ヘッド可動部20が吐水ヘッド本体19に対して回転する際の回転軸(回転ジョイント191)として機能する。
【0070】
具体的には、図13に示すように、回転ジョイント191は、回転ジョイント191から外部への漏水を防止するためのOリング131を備えている。Oリング131は、円筒状の回転ジョイント191の外周において周状に形成された溝に嵌込されている。
【0071】
(吐水ヘッド10の構成−吐水ヘッド可動部20)
図12、図13、及び、図14に示すように、吐水ヘッド可動部20は吐水ヘッド本体19を把手部11の長軸方向に延長した形状に形成され、ジョイント軸受部200と、吐水口12と、水栓201とを備えて構成されている。
【0072】
ジョイント軸受部200は、吐水ヘッド可動部20における吐水ヘッド本体19との接続部側面に設けられた円形の開口部であり、当該開口部の内周と、回転ジョイント191が備えるOリング131の外周とが密着するように開口径が決定されている。
【0073】
吐水口12は、吐水ヘッド可動部20の先端部に設けた開口部として形成される。吐水口12の開口面は吐水ヘッド可動部20の回転軸に対して略平行とし、当該回転軸に対して略直交する方向に吐水するように形成されている。
【0074】
水栓201は、吐水口12から吐水される水量を調整するためのものであり、操作ハンドル202と、操作ハンドル202に連結された弁機構203とを備えている。次に、操作ハンドル202及び弁機構203の詳細について次に述べる。
【0075】
(吐水ヘッド10の構成−操作ハンドル202の詳細の説明)
図14に示すように、操作ハンドル202は、軸体202a、操作つまみ202b、及び、雄ネジ部202cを備えており、吐水ヘッド可動部20に対して軸体202aを回転軸として転動自在に固定されている。軸体202aは、一方の端部には操作つまみ202b、他方の端部には雄ネジ部202cが接続されており、吐水ヘッド可動部20に穿設された穴を貫通して設置されている。操作つまみ202bは、略平板状に形成されており、吐水ヘッド可動部20の外部に露出するように設置されている。雄ネジ部202cは、軸体202aの軸を中心軸とする雄ネジとして形成されており、軸体202aにおける操作つまみ202bとは反対側の端部に接続され、吐水ヘッド可動部20の内部に設置されている。
【0076】
(吐水ヘッド10の構成−弁機構203の詳細の説明)
弁機構203は、吐水ヘッド可動部20の内部に設置されており、弁保持部204及び弁本体205を備えている。弁保持部204は、吐水ヘッド可動部20に対して弁本体205を吐水口12の開口面と直交する方向にのみ摺動可能とする案内構造を形成している。弁本体205は、雌ネジ部205aとパッキン205bとを備えており、雌ネジ部205aは、操作ハンドル202の雄ネジ部202cと噛合するように形成されている。また、パッキン205bは弁本体205の先端に接合され、吐水口12の周縁に密着するように設置されている。
【0077】
(吐水ヘッド10の作用)
次に、上述のような構成により得られる吐水ヘッド10の作用を説明する。操作ハンドル202が図12に示す「閉」の位置にある時は、図14(a)に示すように弁本体205が吐水口12に向かって突出し、パッキン205bが吐水口12の周縁に押し付けられているため、吐水口12から水が吐水されない状態となる。
【0078】
次に、操作ハンドル202を図12に示す「開」の位置まで回転させると、操作ハンドル202の回転に伴って雄ネジ部202cが回転する。雄ネジ部202cの回転動作は、雄ネジ部202cに噛合している雌ネジ部205aに伝達される。ここで、雌ネジ部205aが形成されている弁本体205は、弁保持部204が形成する案内構造によって吐水口12の開口面と直交する方向にのみ摺動可能であることから、雄ネジ部202cの回転方向には回転しない。従って、雄ネジ部202cの回転動作は雌ネジ部205aを介して弁本体205の直動動作へと変換される。すなわち、弁本体205は、吐水口12の開口面と直交する方向に沿って、雄ネジ部202cの回転動作に対応する距離を直線移動する。弁本体205の直動動作により、図14(b)に示すようにパッキン205bと吐水口12の周縁との間に間隙が生じるため、吐水口12から水が吐水される。
【0079】
ここで、図12に示す状態では、吐水口12の開口面は把手部11の長軸方向に対して略平行な方向に配置されているため、水は把手部11の長軸方向に対して略直交する方向に吐水され、日常生活時の給水を行うことができる。
【0080】
また、消火時には、吐水ヘッド可動部20を把持して、吐水ヘッド本体19に対して回転ジョイント191を軸として吐水ヘッド可動部20を回転させることで、吐水口12の開口面が把手部11の長軸方向に対して略直交する位置となる。この配置で操作ハンドル202を操作して水栓201を開放すると、把手部11の長軸方向と略同一な第一の方向に水が吐水され、消火活動を行うことができる。
【0081】
(実施の形態3の効果)
このように実施の形態3によれば、実施の形態2と同様の効果に加えて、吐水方向を変向可能な吐水ヘッド可動部20を吐水ヘッド10に設けているので、日常使用時は把手部11の長軸方向に対して略直交する第二の方向に吐水させることができ、消火活動時は吐水ヘッド可動部20を回転させることで把手部11の長軸方向と略同一な第一の方向に吐水させることができる。
【0082】
〔実施の形態4〕
次に、実施の形態4について説明する。この形態は、吐水ヘッド可動部を変向させる操作ハンドルを吐水ヘッドに設けた形態である。
【0083】
図15は実施の形態4に係る水栓設備における吐水ヘッドを示す図であり、(a)吐水ヘッドの平面図、(b)は吐水ヘッドの側面図、図16は図15に示した吐水ヘッドのG−G断面図であり、(a)は閉状態の断面図、(b)は開状態の断面図を示している。なお、実施の形態4の構成は、特記する場合を除いて実施の形態3の構成と略同一であり、実施の形態3の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態3で用いたのと同一の符号及び/又は名称を必要に応じて付して、その説明を省略する。
【0084】
図15に示すように、本実施の形態4に係る水栓設備1における吐水ヘッド10は、実施の形態3の吐水ヘッド10と同様に、吐水ヘッド本体21と、吐水ヘッド10の先端部に位置する吐水ヘッド可動部22とを備えて構成されている。次に、吐水ヘッド10を構成する各要素について説明する。
【0085】
(吐水ヘッド10の構成−吐水ヘッド本体21)
本実施の形態4に係る吐水ヘッド本体21は、実施の形態3の吐水ヘッド本体21と同様に、把手部11と、水流路190と、回転ジョイント210とを備えている。さらに、吐水ヘッド可動部22と吐水ヘッド本体21とを互いに固定するためのラッチ132を回転ジョイント210に備えている。ラッチ132は、回転ジョイント210の外側面においてOリング131の近傍に設置されており、ラッチ132と回転ジョイント210との間にはバネ133が嵌装されている。
【0086】
(吐水ヘッド10の構成−吐水ヘッド可動部22)
図15及び図16に示すように、吐水ヘッド可動部22は筒体状に形成され、ジョイント軸受部200と、ラッチ嵌合穴221と、吐水口12と、水栓222とを備えて構成されている。
【0087】
ジョイント軸受部200は、筒体状の吐水ヘッド可動部22における端部の平面に設けられた円形の開口部であり、当該開口部の内周と、回転ジョイント210が備えるOリング131の外周とが密着するように開口径が決定されている。
【0088】
ラッチ嵌合穴221は、回転ジョイント210上に設置されているラッチ132を嵌込させるためのものであり、ジョイント軸受部200近傍における吐水ヘッド可動部22の外表面に、凹状の穴として設けられている。
【0089】
吐水口12は、吐水ヘッド可動部22の外周面に開口部を設けることにより形成される。吐水口12の開口面は吐水ヘッド可動部22の回転軸に対して略平行とし、当該回転軸に対して略直交する方向に吐水するように形成されている。
【0090】
水栓222は、吐水ヘッド本体21から吐水ヘッド可動部22に供給される水量を調整するためのものであり、操作ハンドル202と、操作ハンドル202に連結された弁機構161とを備えている。次に、操作ハンドル202及び弁機構161の詳細について次に述べる。
【0091】
(吐水ヘッド10の構成−操作ハンドル202の詳細の説明)
操作ハンドル202は、軸体202a、操作つまみ202b、及び、雄ネジ部202cを備えており、吐水ヘッド可動部22に対して軸体202aを回転軸として転動自在に固定されている。軸体202aは、一方の端部には操作つまみ202b、他方の端部には雄ネジ部202cが接続されており、吐水ヘッド可動部22及び吐水ヘッド本体21に穿設された穴に回動自在に配置されている。操作つまみ202bは、略平板状に形成されており、吐水ヘッド本体21の外部に露出するように設置されている。雄ネジ部202cは、軸体202aの軸を中心軸とする雄ネジとして形成されており、軸体202aにおける操作つまみ202bとは反対側の端部に接続され、吐水ヘッド可動部22の内部に設置されている。
【0092】
(吐水ヘッド10の構成−弁機構161の詳細の説明)
弁機構161は、吐水ヘッド可動部22の内部に設置されており、弁保持部162及び弁本体163を備えている。弁保持部162は、吐水ヘッド可動部22に対して弁本体163を吐水ヘッド可動部22の回転軸に沿う方向にのみ摺動可能とする案内構造を形成している。また、弁保持部162には、弁本体163の摺動可能範囲を決定するストッパー162aが設けられている。弁本体163は、雌ネジ部163aとパッキン163bとを備えており、雌ネジ部163aは、操作ハンドル202の雄ネジ部202cと噛合するように形成されている。また、パッキン163bは弁本体163の先端に接合され、回転ジョイント210の端面と密着するように設置されている。
【0093】
(吐水ヘッド10の作用)
次に、上述のような構成により得られる吐水ヘッド10の作用を説明する。操作ハンドル202が図15に示す「閉」の位置にある時は、図16(a)に示すように弁本体163が回転ジョイント210の端面に向かって突出し、パッキン163bが回転ジョイント210の端面に押し付けられているため、水は吐水ヘッド可動部22の内部には流入せず、吐水口12から吐水しない状態となる。また、吐水口12の開口面は把手部11の長軸方向に対して略平行な方向に配置されている。更に、回転ジョイント210に設けられたラッチ132が、吐水ヘッド可動部22に設けられたラッチ嵌合穴221に嵌込されているので、吐水ヘッド本体21と吐水ヘッド可動部22は互いに固定された状態となっている。
【0094】
次に、操作ハンドル202を図15に示す「開」の位置まで回転させると、操作ハンドル202の回転に伴って雄ネジ部202cが回転する。雄ネジ部202cの回転動作は、雄ネジ部202cに噛合している雌ネジ部163aに伝達される。ここで、雌ネジ部163aが形成されている弁本体163は、弁保持部162が形成する案内構造によって吐水ヘッド可動部22の回転軸に沿う方向にのみ摺動可能であることから、雄ネジ部202cの回転方向には回転しない。従って、雄ネジ部202cの回転動作は雌ネジ部163aを介して弁本体163の直動動作へと変換される。すなわち、弁本体163は、吐水ヘッド可動部22の回転軸に沿って、雄ネジ部202cの回転動作に対応する距離を直線移動する。弁本体163の直動動作により、図16(b)に示すようにパッキン163bと回転ジョイント210の端面との間に間隙が生じるため、水が吐水ヘッド可動部22の内部に流入し、吐水口12から吐水される。上述の通り吐水口12の開口面は把手部11の長軸方向に対して略平行な方向に配置されているため、水は把手部11の長軸方向に対して略直交する方向に吐水される。
【0095】
さらに、操作ハンドル202を図15に示す「消火」の位置まで回転させると、操作ハンドル202の回転に伴って雄ネジ部202cが回転し、当該回転動作が雌ネジ部163aに伝達される。ここで、操作ハンドル202を「開」の位置まで回転させた時点で、弁本体163がそれ以上は直動動作不可能となるように弁保持部162にストッパー162aを設けているため、弁本体163は直動動作しない。従って、雌ネジ部163aに伝達された回転動作は、弁本体163から弁保持部162を介して吐水ヘッド可動部22に伝達される。伝達された回転動作による力が、ラッチ132をラッチ嵌合穴221に嵌込させているバネ133の弾性力を上回ると、吐水ヘッド可動部22が吐水ヘッド本体21に対して回転する。操作ハンドル202が「消火」の位置に到達すると、吐水口12の開口面が把手部11の長軸方向に対して略直交する位置となり、把手部11の長軸方向と略同一な第一の方向に吐水される。
【0096】
(実施の形態4の効果)
このように実施の形態4によれば、実施の形態3と同様の効果に加えて、吐水方向を変向可能な吐水ヘッド可動部22を吐水ヘッド10に設けているので、日常使用時は把手部11の長軸方向に対して略直交する第二の方向に吐水させることができ、消火活動時は吐水ヘッド可動部22を回転させることで把手部11の長軸方向と略同一な第一の方向に吐水させることができる。また、消火活動時に吐水ヘッド可動部22を回転させる操作を、日常的に使用する操作ハンドル202によって行うので、迅速かつ正確な操作ができる。
【0097】
〔実施の形態5〕
次に、実施の形態5について説明する。この形態は、貯水供給手段を設けた形態である。
【0098】
図17は、実施の形態5に係る水栓設備が設置されたシンク台50の開扉状態における内部正面図を示している。なお、実施の形態5の構成は、特記する場合を除いて実施の形態4の構成と略同一であり、実施の形態4の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態4で用いたのと同一の符号及び/又は名称を必要に応じて付して、その説明を省略する。
【0099】
図17に示すように、本実施の形態5に係る水栓設備1は、シンク台50の内部に貯水供給部51を備えている。この貯水供給部51は、水を貯水する貯水槽510と、貯水槽510の内部を加圧する加圧用カートリッジ511と、加圧用カートリッジ511を起動する起動スイッチ512とを備えている。次に、貯水供給部51を構成する各要素について説明する。
【0100】
(貯水供給部51の構成−貯水槽510)
貯水槽510は水を貯蔵する貯水手段であり、シンク台50の内部に収納されている。この貯水槽510には水道管100と給水管34とが接続されており、貯水槽510と水道管100との間には逆止弁513が設置されている。なお、貯水槽510の形状や、貯水槽510を構成する材料は任意であるが、貯水槽510は後述する加圧用カートリッジ511によって加圧されるため、例えば、アルミニウムやステンレス等の金属や繊維強化プラスチック等の高強度の材料を使用して、高圧に耐えうる容器とすることが望ましい。また、貯水槽510の内部で水が滞留することで衛生上の問題が発生することを防ぐため、例えば、貯水槽510の内部における水道管100の出口を貯水槽510の内壁面に向けて、貯水槽510の内部に供給された水を貯水槽510の内壁面に沿って対流させたり、あるいは、貯水槽510の内部における対流を促進する整流板を設けることにより、貯水槽510の内部に滞留水を生じさせないことが望ましい。
【0101】
(貯水供給部51の構成−加圧用カートリッジ511)
加圧用カートリッジ511は、貯水槽510の内部を加圧するためのものであり、特許請求の範囲における貯水槽加圧手段に対応する。加圧用カートリッジ511の内部には高圧の気体、例えば高圧窒素が封入されており、貯水槽510の近傍に設置されている。また、加圧用カートリッジ511は逆止弁513を介して貯水槽510に接続されている。
【0102】
(貯水供給部51の構成−起動用スイッチ)
起動スイッチ512は加圧用カートリッジ511を起動させるためのものであり、特許請求の範囲における貯水槽加圧起動手段に対応する。起動スイッチ512はユーザが容易に操作可能な位置、例えば、シンク台50の天板近傍に設置されており、電気的又は機械的に加圧用カートリッジ511に接続されている。
【0103】
(貯水供給部51の作用)
次に、貯水供給部51の作用について説明する。外部から水道管100に水圧が加えられ、貯水槽510に対して水道管100から水道水が供給される通常時は、貯水槽510の内部に水が貯蔵される。水道管100と貯水槽510の間には逆止弁513を設置しているため、貯水槽510から水道管100に対して水が流出することはない。この状態で水栓30を開放すると、外部から加えられている水圧によって貯水槽510の内部の水が給水管34に供給され、給水管34から引出ホース40を経由して吐水ヘッド10まで水
が到達し、吐水口12から吐水される。
【0104】
ここで、地震の発生や水道の事故等に伴って断水状態になると、水道管100に対する水圧がなくなるため、水栓30を開放しても吐水ヘッド10まで水が供給されず吐水が不可能となる。このような断水状態において起動スイッチ512を操作して加圧用カートリッジ511を起動すると、加圧用カートリッジ511の内部に封入されていた高圧気体が加圧用カートリッジ511から放出され、貯水槽510の内部を加圧する。
【0105】
ここで、加圧用カートリッジ511と貯水槽510との間には逆止弁513が設置されているので、貯水槽510から加圧用カートリッジ511に対して水が逆流することはない。また、水道管100と貯水槽510の間にも逆止弁513を設置しているため、貯水槽510から水道管100に対しても水が流出することはない。従って、この状態で水栓30を開放すると、高圧気体から加えられた圧力によって貯水槽510の内部の水が給水管34に供給され、給水管34から引出ホース40を経由して吐水ヘッド10まで水が到達し、吐水口12から吐水される。
【0106】
なお、起動スイッチ512を操作したときに加圧用カートリッジ511の高圧気体を利用してコンロのガス供給を遮断するようにしても良い。具体的には、加圧用カートリッジ511からの加圧気体の放出経路を2系統に分岐し、1系統は貯水槽510に接続し、他の系統は図示しないガス供給弁に接続する。このガス供給弁はシンク台50に併設された図示しないガスコンロに対するガス供給系統に設置されるもので、加圧用カートリッジ511からの加圧気体にて駆動され、公知の構造にてガス供給を遮断する。このことにより、地震等の災害時にガスを迅速かつ確実に遮断でき、防災性能を向上させることができる。
【0107】
(実施の形態5の効果)
このように実施の形態5によれば、実施の形態1〜4と同様の効果に加えて、貯水供給部51を水栓設備1に設けているので、地震や事故に起因して水道が断水状態となった場合でも、貯水した水を吐水させることができる。従って、断水時でも消火活動を行うことができると共に、生活用水の供給手段としても水栓設備1を利用することができる。
【0108】
〔実施の形態6〕
次に、実施の形態6について説明する。この形態は、消火剤供給手段を設けた形態である。
【0109】
図18は、実施の形態6に係る水栓設備が設置されたシンク台の開扉状態における内部正面図を示している。なお、実施の形態6の構成は、特記する場合を除いて実施の形態5の構成と略同一であり、実施の形態5の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態5で用いたのと同一の符号及び/又は名称を必要に応じて付して、その説明を省略する。
【0110】
図18に示すように、本実施の形態6に係る水栓設備1は、当該水栓設備1が設置されているシンク台50の内部に消火剤供給部52を備えており、消火剤供給部52は、消火剤を貯蔵する消火剤槽520と、消火剤槽520の内部を加圧する消火剤加圧用カートリッジ521と、消火剤加圧用カートリッジ521を起動する消火剤起動スイッチ522とを備えている。次に、消火剤供給部52を構成する各要素について説明する。
【0111】
(消火剤供給部52の構成−消火剤槽520)
消火剤槽520は消火剤を貯蔵するためのものであり、シンク台50の内部に収納されている。消火剤槽520には給水管34が接続されており、消火剤槽520と給水管34との間には逆止弁513が設けられている。さらに、消火剤槽520に対する給水管34の接続部近傍における水道管100側にも逆止弁513が設けられている。
【0112】
(消火剤供給部52の構成−消火剤加圧用カートリッジ521)
消火剤加圧用カートリッジ521は、消火剤槽520の内部を加圧するためのものであり、特許請求の範囲における消火剤槽加圧手段に対応する。消火剤加圧用カートリッジ521の内部には高圧の気体、例えば高圧窒素や高圧二酸化炭素が封入されており、消火剤槽520の近傍に設置されている。また、消火剤加圧用カートリッジ521は逆止弁513を介して消火剤槽520に接続されている。
【0113】
(消火剤供給部52の構成−消火剤起動スイッチ522)
消火剤起動スイッチ522は消火剤加圧用カートリッジ521を起動させるためのものであり、特許請求の範囲における消火剤槽加圧起動手段に対応する。消火剤起動スイッチ522はシンク台50の天板近傍に設置されており、電気的又は機械的に消火剤加圧用カートリッジ521に接続されている。
【0114】
(消火剤供給部52の作用)
次に、消火剤供給部52の作用について説明する。日常使用時には、外部から加圧された水が給水管34の内部に存在するが、給水管34と消火剤槽520との間に逆止弁513が設置されているので、水が消火剤槽520の内部に逆流することはない。この状態で水栓30を開放すると、給水管34から引出ホース40を経由して吐水ヘッド10まで到達した水が、吐水口12から吐水される。
【0115】
火災発生時に水栓30を開放すると共に消火剤起動スイッチ522を操作して消火剤加圧用カートリッジ521を起動すると、消火剤加圧用カートリッジ521内部に封入されている高圧気体が消火剤加圧用カートリッジ521から放出され、消火剤槽520の内部を加圧する。ここで、消火剤加圧用カートリッジ521と消火剤槽520との間には逆止弁513が設置されているので、消火剤槽520から消火剤加圧用カートリッジ521に対して消火剤が逆流することはない。従って、加圧された消火剤槽520の内部から、消火剤が給水管34へと供給される。さらに、給水管34と消火剤槽520との接続部における水道管100側には逆止弁513が設けられており、消火剤加圧用カートリッジ521によって消火剤槽520に印加される圧力は水道管100の圧力を上回っているため、給水管34に供給された消火剤は水道管100側に逆流することはない。従って、消火剤は引出ホース40を経由して吐水ヘッド10まで到達し、吐水口12から放出される。
【0116】
(実施の形態6の効果)
このように実施の形態6によれば、実施の形態1〜4と同様の効果に加えて、消火剤供給部52を水栓設備1に設けているので、消火活動時に吐水口12から消火剤を放出させることができ、水栓設備1による消火能力を向上させることができる。また、地震や事故に起因して水道が断水状態となった場合でも、消火剤を放出させることができるので、断水時でも消火活動を行うことができる。
【0117】
〔III〕各実施の形態に対する変形例
以上、本発明に係る各実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0118】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
【0119】
(各実施の形態の相互の関係について)
上記説明した各実施の形態は、任意の組み合わせで相互に組み合わせることができる。例えば、実施の形態5の貯水供給部51を、実施の形態6のシンク台50の内部にさらに設けることにより、貯水供給部51と消火剤供給部52との両方を備えた水栓設備を構成してもよい。
【0120】
(散水パターンの切替について)
上記説明した実施の形態では、吐水ヘッドに供給された水は吐水口から直接吐水されていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、散水パターン切替機構を吐水口に設けることもできる。具体的には、吐水口の開口径と同程度の第一の穴と、細穴の集合体とを穿設した板体を、板体面と吐水口の開口面とが平行になるように、吐水口に対して外側から密着させる。この時、板体は吐水口の開口面と平行な面内において回動自在に設置されている。また、前記の第一の穴と細穴の集合体とは、板体を回動させることにより、それぞれ吐水口に連接するような位置に設けられている。以上の構成により、吐水口と第一の穴とを連接させた場合は吐水口から棒状吐水をさせることができ、細穴の集合体と吐水口とを連接させた場合は吐水口からシャワー状吐水をさせることができる。また、板体に穿設する穴の形状や大きさを変更することによって、例えば霧状の散水パターンで吐水させたり、板体に3種類以上のパターンの穴を穿設することにより、散水パターンの切替数を増大させたりすることも可能である。
【0121】
(整流体について)
上記説明した実施の形態では、吐水ヘッドに供給された水は吐水口から直接吐水されていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、吐水ヘッド内部において、引出ホースとの接続部と吐水口との間に整流体を設けてもよい。整流体の構成は任意であるが、例えば、略円柱体の長軸方向に複数の穴を穿設した整流筒を、穴の長軸方向と水流方向が平行となるように設置してもよい。あるいは、水流方向と平行となるように複数の整流板を設けてもよい。
【0122】
(引出ホースと吐水ヘッドとの接続部について)
上記説明した実施の形態では、引出ホースと吐水ヘッドが直接接続されていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、引出ホースと吐水ヘッドとの間に回動自在なジョイントを挟んで接続してもよい。
【0123】
(吐水ヘッドの形状について)
吐水ヘッドは根本から吐水口まで直線形状に限らず、消火操作が行いやすい、少し曲ったくの字形状などであっても良い。また、手で持ちやすいように吐水ヘッドの途中がくびれていても良い。
【産業上の利用可能性】
【0124】
この発明に係る水栓設備は、住宅に設置され日常的に使用される水栓設備に適用でき、特に住宅のシンク台における水栓設備に適用されて当該水栓設備に操作が容易かつ長時間使用可能な消火機能を安価に付与することに有用である。
【0125】
(付記)
付記1に記載の水栓設備は、住宅のシンク台に設置される水栓設備であって、吐水口と把手部とを備える吐水ヘッドと、前記吐水ヘッドにおける吐水又は止水の操作を行う水栓と、水源と前記吐水ヘッドとに接続されたものであって、前記吐水ヘッドを介して前記シンク台から引き出し可能な引出ホースとを備え、前記吐水ヘッドは、前記把手部の長軸方向と略同一の第一の方向と、前記把手部の長軸方向に対して略直交する第二の方向との間で、吐水方向を変向させる変向手段を備えること、を特徴とする。
【0126】
また、付記2に記載の水栓設備は、付記1に記載の水栓設備において、前記引出ホースの余長部分を前記シンク台の内部にて巻取り収納するための収納リールを備えること、を特徴とする。
【0127】
また、付記3に記載の水栓設備は、付記1に記載の水栓設備において、前記引出ホースは螺旋状の形状記憶性を有すると共に、略直線状に弾性変形自在に形成され、前記シンク台の内部にて螺旋状に収納されることを特徴とする。
【0128】
また、付記4に記載の水栓設備は、付記1から3のいずれかに記載の水栓設備において、前記吐水口は、前記第一の方向に吐水する消火用吐水口と、前記第二の方向に吐水する日常用吐水口と、を有し、前記変向手段は、前記消火用吐水口又は前記日常用吐水口を選択する選択手段であることを特徴とする。
【0129】
また、付記5に記載の水栓設備は、付記4に記載の水栓設備において、前記水栓と前記選択手段とを相互に一体化して吐水口選択開閉手段としたことを特徴とする。
【0130】
また、付記6に記載の水栓設備は、付記4に記載の水栓設備において、前記吐水ヘッドは、前記引出ホースに接続され、前記把手部と前記消火用吐水口とを備える消火用吐水ヘッドと、前記日常用吐水口を備える日常用吐水ヘッドと、を有し、前記選択手段を、前記消火用吐水ヘッドに対して前記日常用吐水ヘッドを着脱自在とする着脱機構として構成したことを特徴とする。
【0131】
また、付記7に記載の水栓設備は、付記1から3のいずれかに記載の水栓設備において、前記変向手段は、前記吐水口を有すると共に前記把手部に対して可動自在に設けられたものであって、前記第一の方向と前記第二の方向との間で吐水方向を変向させる吐水ヘッド可動部であることを特徴とする。
【0132】
また、付記8に記載の水栓設備は、付記1から7のいずれかに記載の水栓設備において、前記シンク台の近傍に設置され、水を貯水するとともに前記引出ホースを経由して前記吐水ヘッドに水を供給する貯水供給手段を備え、前記貯水供給手段は、前記水源から供給された水を貯水する貯水槽と、前記貯水槽の内部を加圧する貯水槽加圧手段と、前記貯水槽加圧手段を起動する貯水槽加圧起動手段と、を備えることを特徴とする。
【0133】
また、付記9に記載の水栓設備は、付記1から8のいずれかに記載の水栓設備において、前記シンク台の近傍に設置され、前記引出ホースを経由して前記吐水ヘッドに消火剤を供給する消火剤供給手段を備え、前記消火剤供給手段は、消火剤を貯蔵する消火剤槽と、前記消火剤槽の内部を加圧する消火剤槽加圧手段と、前記消火剤槽加圧手段を起動する消火剤槽加圧起動手段と、を備えることを特徴とする。
【0134】
付記に係る水栓設備は、吐水ヘッドに接続される引出ホースは、シンク台内部に収納され、且つ、シンク台から引き出し自在に形成されているので、火災発生時には引出ホースを引き出すことにより吐水ヘッドを火元近傍まで移動させることができる。また、吐水ヘッド上に変向手段を設けたので、把手部の長軸方向と略同一の第一の方向と、把手部の長軸方向に対して略直交する第二の方向との間で、吐水方向を変向させることができる。従って、日常では調理等の日常生活に適した第二の方向に吐水させて使用することができ、火災発生時には、消火活動に適した第一の方向に吐水させることにより、火元に向けて安定して吐水を行うことができる。この様に、日常的に使用される水栓設備を火災発生時の消火設備としても使用できるように構成したので、水源の制約がなく、長時間の消火活動に使用することができる。また、火災発生時以外でも日常的に使用され、滞留水が生じないことから、衛生上の問題を防止できる。さらに、日常的な使用を通して水栓設備の操作に習熟できるため、火災発生時に迅速かつ正確な操作が可能となる。また、簡易に構成されているので、安価に設置することができる。
【0135】
また、付記に係る水栓設備は、収納リールをシンク台内部に設置しているので、シンク台から引出ホースを引き出すことができ、引出ホースの余長部分を収納リールに多重に巻き付けることで、引出ホースを収納することができる。
【0136】
また、付記に係る水栓設備は、引出ホースは螺旋状の形状記憶性を有すると共に、略直線状に弾性変形自在に形成されているので、シンク台から引出ホースを引き出すことができ、引出ホースの余長部分はシンク台内部に螺旋状に収納することができる。
【0137】
また、付記に係る水栓設備は、吐水ヘッド上に、第一の方向に吐水する消火用吐水口と第二の方向に吐水する日常用吐水口とを設けるとともに、吐水口を選択するための選択手段を設けたので、消火活動時には選択手段によって消火用吐水口を選択し、消火用吐水口から吐水させることにより、火元に向けて安定して吐水を行うことができる。
【0138】
また、付記に係る水栓設備は、水栓と選択手段とを、吐水口選択開閉手段として相互に一体に構成したことにより、吐水ヘッドを把握している使用者が手元で水栓の操作を行えるので、消火活動時における吐水ヘッドの運搬及び放水操作を一人で実施することが可能となる。特に、吐水口選択開閉手段は日常的に使用され、使用者がその操作に習熟しているため、消火時にも正確な操作を行うことができる。
【0139】
また、付記に係る水栓設備は、消火用吐水口を有する消火用吐水ヘッドと、日常用吐水口を有する日常用吐水ヘッドとを互いに着脱自在とする着脱機構を吐水ヘッドに設けたので、日常使用時は日常用吐水口から吐水させることができ、消火活動時は簡易な操作で日常用吐水ヘッドを取り外し、消火用吐水口から吐水させることができる。
【0140】
また、付記に係る水栓設備は、吐水方向を変向可能な吐水ヘッド可動部を吐水ヘッドに設けているので、日常使用時は把手部の長軸方向に対して略直交する第二の方向に吐水させることができ、消火活動時は吐水ヘッド可動部を回転させることで、把手部の長軸方向と略同一であり消火活動に適した第一の方向に吐水させることができる。
【0141】
また、付記に係る水栓設備は、貯水供給手段を水栓設備に設けているので、地震や事故に起因して水道が断水状態となった場合でも、貯水した水を吐水させることができる。従って、断水時でも消火活動を行うことができ、生活用水の供給手段としても水栓設備を利用することができる。
【0142】
また、付記に係る水栓設備は、消火剤供給手段を水栓設備に設けているので、消火活動時に吐水口から消火剤を放出させることができ、水栓設備による消火能力を向上させることができる。また、地震や事故に起因して水道が断水状態となった場合でも、消火剤を放出させることができるので、断水時でも消火活動を行うことができる。
【符号の説明】
【0143】
1 水栓設備
10 吐水ヘッド
11 把手部
12 吐水口
12a 消火用吐水口
12b 日常用吐水口
13 水流路
130 回転ジョイント
131 Oリング
132 ラッチ
133 バネ
14 変向部
140 ジョイント軸受部
141 ラッチ嵌合穴
142 吐水路
15 切替レバー
15a 軸体
15b 切替つまみ
16 切替開閉機構
160 切替開閉レバー
160a 軸体
160b 切替つまみ
160c 雄ネジ部
161 弁機構
162 弁保持部
162a ストッパー
163 弁本体
163a 雌ネジ部
163b パッキン
17 日常用吐水ヘッド
170 第二の接続部
171 バネラッチ
171a 取外しボタン
172 バネ
18 消火用吐水ヘッド
180 第一の接続部
181 Oリング
182 バネラッチ嵌込溝
185 水栓
186 弁機構
187 操作ハンドル
19 吐水ヘッド本体
190 水流路
191 回転ジョイント
20 吐水ヘッド可動部
200 ジョイント軸受部
201 水栓
202 操作ハンドル
202a 軸体
202b 操作つまみ
202c 雄ネジ部
203 弁機構
204 弁保持部
205 弁本体
205a 雌ネジ部
205b パッキン
21 吐水ヘッド本体
210 回転ジョイント
22 吐水ヘッド可動部
221 ラッチ嵌合穴
222 水栓
30 水栓
31 水栓本体
32 弁機構
33 操作ハンドル
34 給水管
35 通水管
36 ホルダ
40 引出ホース
41 収納リール
42 ドラム
50 シンク台
51 貯水供給部
510 貯水槽
511 加圧用カートリッジ
512 起動スイッチ
513 逆止弁
52 消火剤供給部
520 消火剤槽
521 消火剤加圧用カートリッジ
522 消火剤起動スイッチ
100 水道管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
住宅のシンク台に設置される水栓設備であって、
吐水口と把手部とを備える吐水ヘッドと、
前記吐水ヘッドにおける吐水又は止水の操作を行う水栓と、
水源と前記吐水ヘッドとに接続されたものであって、前記吐水ヘッドを介して前記シンク台から引き出し可能な引出ホースと、
前記シンク台の近傍に設置され、前記引出ホースを経由して前記吐水ヘッドに消火剤を供給する消火剤供給手段と、を備え、
前記消火剤供給手段は、
消火剤を貯蔵する消火剤槽と、
前記消火剤槽の内部を加圧する消火剤槽加圧手段と、
前記消火剤槽加圧手段を起動する消火剤槽加圧起動手段と、
を備えること、
を特徴とする水栓設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−31723(P2012−31723A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−211746(P2011−211746)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【分割の表示】特願2006−293519(P2006−293519)の分割
【原出願日】平成18年10月30日(2006.10.30)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【Fターム(参考)】