水栓
【課題】
本発明は、使用者が水栓装置を使用する際に、スパウトが洗浄等の作業に対して邪魔にならず、また洗浄する場所やスパウトの形状を変更させること無く、洗浄作業等を行うことが可能な水栓装置を提供すること。
【解決手段】
本発明の水栓装置は、少なくとも1つ以上の吐水口を備えた吐水部と、前記吐水口から吐水される水の着水位置を、前記吐水口から遠方にするために鉛直方向に連続して立ち上がる立位部と、給水口を有し、前記立位部と給水機構とを接続するための接続部と、を有する水栓であって、前記吐水部は、前記立位部に対し、屈曲部を介して、前記吐水口を全て備えた吐水口面側に傾斜して立ち上がっており、前記吐水部の鉛直方向への突出量は、水平方向への突出量よりも大きくした。
本発明は、使用者が水栓装置を使用する際に、スパウトが洗浄等の作業に対して邪魔にならず、また洗浄する場所やスパウトの形状を変更させること無く、洗浄作業等を行うことが可能な水栓装置を提供すること。
【解決手段】
本発明の水栓装置は、少なくとも1つ以上の吐水口を備えた吐水部と、前記吐水口から吐水される水の着水位置を、前記吐水口から遠方にするために鉛直方向に連続して立ち上がる立位部と、給水口を有し、前記立位部と給水機構とを接続するための接続部と、を有する水栓であって、前記吐水部は、前記立位部に対し、屈曲部を介して、前記吐水口を全て備えた吐水口面側に傾斜して立ち上がっており、前記吐水部の鉛直方向への突出量は、水平方向への突出量よりも大きくした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐水口を備えた吐水部が水平面方向に対して垂直方向に突出するように傾斜して斜め下方に水を供給可能な水栓に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、吐水口を有する水栓において、使用者の使い勝手を向上させるために、スパウトの形状を変更して、使用者の使用感を高める水栓があった。
【0003】
また、使用者がいる方向に吐水口から吐水をさせるために、スパウトを使用者側に突出させ、且つ上下方向に傾ける水栓があった(例えば、参考文献1参照)。
【0004】
また、水栓に可動部を複数個設け、可動部の可動範囲内で水栓の高さや水平面に対する突出量を調整可能な水栓があった(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2002−266396
【特許文献2】特開2000−144832
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のように、使用者側に対して水栓を突出させた場合には、使用者が水栓を使用する際に、吐水口が使用者の近傍に接近するが、水栓が使用者方向に突出しているため、洗浄を行う場所がスパウトによって視界を遮られてしまったり、吐水の軌跡上方にスパウトがあるために洗い作業等水を使う作業の際に邪魔になることがあった。
【0006】
また、特許文献2のように、可動部を設けて水栓の高さや水平方向に対する突出量が変化すると、水栓の形状によって吐水の軌跡が変化してしまい、使用する度、又は使用者が変わる度に使用者がスパウトの形状毎に洗う場所を変化させたり、また洗う場所を設定するためにスパウトの形状を変更させる必要があり、非常に調整が不便であった。
【0007】
そこで、本発明においては、使用者が水栓を使用する際に、スパウトが洗浄等の作業に対して邪魔にならず、また洗浄する場所やスパウトの形状を変更させること無く、洗浄作業等を行うことが可能な水栓を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
クレームを変更する場合はここを変える
前記目的達成のために、少なくとも1つ以上の吐水口を備えた吐水部と、前記吐水口から吐水される水の着水位置を、前記吐水口から遠方にするために鉛直方向に連続して立ち上がる立位部と、給水口を有し、前記立位部と給水機構とを接続するための接続部と、
を有する水栓であって、前記吐水部は、前記立位部に対し、屈曲部を介して、前記吐水口を全て備えた吐水口面側に傾斜して立ち上がっており、前記吐水部の鉛直方向への突出量は、水平方向への突出量よりも大きいことを特徴とする水栓。を提供出来る。
【0009】
また、本発明の一態様によれば、前記接続部は、前記吐水口面が使用者と対峙するように給水機構と接続することを特徴とする水栓を提供出来る。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、吐水口を有する吐水面が、水平方向の突出量よりも垂直方向の突出量が多くなるように傾斜することによって、水栓の水平方向における突出量を大幅に低減することが可能となるため、洗浄行為等の水栓を使用する場合において、水栓の水平方向の突出による視界の遮断や、洗浄する場所において水栓の存在により作業が邪魔になる
等の不具合を解消でき、広い空間を確保した状態で水栓を使用することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1に本発明の水栓の概略構成図を記載する。本発明の水栓は、少なくとも1つ以上の吐水口1を備えた吐水部3と、前記吐水口1から吐水される水の着水位置を、前記吐水口1から遠方にするために鉛直方向に連続して立ち上がる立位部4と、給水口を有し、前記立位部4と給水機構とを接続するための接続部2と、を有する水栓であって、前記吐水部3は、前記立位部4より屈曲部11を介して傾斜し、且つ上方に立ち上がっており、前記吐水口1は前記吐水部3の吐水口面14に全て設けられ、前記吐水口面14が、水平方向の突出量よりも垂直方向の突出量が大きくなるように傾斜して、斜め下方に水を供給するように構成となっている。
【0012】
図2に本発明の水栓の正面図、図3に本発明の水栓の側面図を示す。図2においては、吐水口1が全て設けられた吐水部3の吐水口面14と対峙する方向からを正面と定め、正面図を記載している。また、図3においては、前記吐水口面14と対峙する方向を正面と定めた場合の側面方向からの図面を記載したものである。
ここで、前記吐水口面14は、前記水栓10を側面視したとき、水平方向の突出量が、垂直方向の突出量よりも小さくなるように傾斜して、屈曲部11を介して前記上方に立ち上がった立位部4に連接されているため、水栓10は最上部に前記吐水口面14があり、斜め下方に向かって吐水可能なように上方へ立ち上がっているような形状になる。そのため、図3のように、水平面と吐水口面14との間に形成される角度αは、45°より大きく90°未満の角度を有することになる。このように、従来の水栓とは異なり、水平方向の突出量を低減させ、鉛直方向に突出するように傾けた構成にすることで、使用者に対する水栓の圧迫感や、水栓10で、特に吐水口面14より下方の作業スペースを確保することが可能となるため、水栓を使用する際に視界を遮る、洗い作業等を行う作業スペースに水栓10が存在する等を排除することが可能となるため、水栓を使用した作業を円滑に行うことが可能となる。
【0013】
次に吐水部3について詳細に記載する。図1、3に示すように、吐水部3は前記水栓10を側面視したとき、前記吐水口面14が水平方向の突出量が、鉛直方向の突出量よりも小さくなるように傾斜して、屈曲部11を介して前記立位部4に接続された構成されているため、吐水部3のある一面は下方に向かうように構成される。この吐水部3の下方に向かう一面に全ての吐水口を搭載し、吐水口面14としており、水平面とで形成される角度が鋭角となる。このような構成により、吐水口面14を使用者と対峙するように設置した場合には、水が水平方向に対するベクトルを持つように吐水されるため、使用者の方向に水が向かうような吐水となる。このため、従来のように水栓10を物理的に使用者側に伸ばすことなく、水のみで使用者側に吐水を供給することが可能となるため、水を用いた作業を行う空間に水栓10を存在させず、広い作業スペースを確保することが可能となる。
【0014】
ここで、本発明においては、吐水口面14の水平方向の突出量を鉛直方向の突出量よりも小さくすることで作業スペースの確保を行うものであるため、吐水口面14以外の吐水部3の形状は、図7のように吐水口面14が設けられた方向の、水平方向に対して突出する形状でない場合は本発明の効果を十分有するものである。吐水口面14を有する面に対してのみ、水平方向と鉛直方向の突出量の関係を設けることで、水栓の外観を様々な形状にすることが可能となり、作業空間、及び視界の確保が可能な使いやすさと外観とを両立させる水栓を提供することが可能となる。
【0015】
なお、吐水口面14に吐水口1を設置する際に、吐水口1の開口方向によって吐水の軌跡が変化することについて記載する。図4は、吐水口面14に整流吐水が可能な整流吐水口5を設置した構成図を記載する。ここで、整流吐水口5の吐水口面14への搭載場所であるが、整流吐水を使用する代表的な行為としては、被洗浄体の洗浄、容器への水汲み等がある。洗浄作業においては、後述するシャワー吐水でも達成可能であるが、容器への水汲み、特に容器周囲を濡らさずに水を溜める行為や水を入れる口が小さい場合に関しては、広範囲への吐水が可能なシャワー吐水よりも、流線として局所的に吐水される整流吐水が好ましい。そこで、整流吐水口5の位置を吐水口面14の最上方とすることで、水が高い位置からの落下する運動となるため、重力による下向きの力が働き、水汲みを行う地点においては略鉛直方向の吐水軌跡に変化するため、水汲み作業に適した吐水を提供することが可能となる。
【0016】
図4(A)においては、整流吐水口5からの吐水方向が、吐水口面14と略直交となる形態について記載している。吐水口面14に対して略直交に吐水を行うと、吐水は水平方向と垂直方向のベクトルを持った状態で吐水が可能となるため、斜め下方にほぼ直線方向に吐水することが可能となる。これにより、本発明の水栓を使用者に対峙する場所に設置した場合、使用者に向かうように吐水が行われるため、水平方向の突出量が小さな水栓10においても、使用者の方向に対して吐水を供給することが可能となる。よって、水栓10近傍の作業空間内に、水栓10を存在させることなく、広い作業空間を確保しながら使用者が使用しやすい場所に吐水を供給することが可能となるため、使用者が手を伸ばす等の身体への負荷無く吐水を使用することが可能となる。なお、吐水口面14に対して略直交方向に吐水を行うためには、例えば整流吐水口5を吐水口面14に対して略平行に設置する方法がある。この方法であれば、整流吐水口5の開口面も吐水口面14と略平行になるため、整流吐水口5から吐出する吐水に対して、整流吐水口5の一部が抵抗となって吐水が減速することなく吐水が可能であるため、吐水が乱れたり、失速することなく使用者側に水を供給することが可能となる。
【0017】
また、図4(B)においては、整流吐水口5からの吐水方向が水平面に対して略平行となる形態について記載している。水平面に対して略平行に吐水を行うと水平方向のベクトルを持って吐水を行うことが可能となるため、例えばスパウト10を使用者と対峙するように設置した場合、吐水が使用者方向に吐水される。そのため、水栓10の水平方向の突出量は小さいが、吐水が水平方向のベクトルを十分に保持しているため、使用者の近傍にまで吐水を行うことが可能となるので、水栓10が存在しないことによる作業スペースの確保が可能となり、吐水を用いた作業を行う際に水栓10を気にせずに容易に作業を行うことが可能となる。また、水平方向のベクトルのみを持った吐水は、重力による自然落下により鉛直方向のベクトルを持って放物線を描く吐水軌跡となるために、使用者に吐水がかかるような吐水状態を避けることが可能となる。但し、水栓を設置する場所によっては、水圧が高いために多量の水が吐水される場所もある。そこで、吐水口1までの流路上に定流量弁のような一定流量を供給できる機構を設けることにより、使用者に対して吐水がかかる等の不具合を確実に解消することが可能となる。
【0018】
また、図4(C)に、整流吐水口5からの吐水方向が鉛直方向下向きとなる形態について記載している。この方式であれば、水栓10の水平方向の突出量は小さくなるが、吐水が水栓10近傍に落下するため、例えば使用者と対峙するように設置した場合においては、使用者が手を大きく伸ばす等の使用者への負荷が大きくなることが考えられる。そこで、吐水方向が鉛直方向下向きとなる形態については、例えば、小型の洗面器用水栓や、単身用住宅に設置されている小型シンクに搭載される水栓のように使用者の立ち位置近傍に設置する水栓として使用することで、水を受ける受水部上方の狭い空間に対して、水栓の水平方向の突出量が低減するため、水を用いた作業を行う作業スペースを確保することが可能となる。
【0019】
また、図4(D)に整流吐水口5からの吐水方向が斜め上方の形態について記載している。この方式で吐水する場合には、吐水は放物線を描いて落下するような軌跡で供給されることになる。斜め上方への吐水のため、水平方向のベクトルを持っているため、水栓10の水平方向の突出量が少なくとも水栓10と対峙する方向への吐水が可能となるため、例えば、水栓10を使用者と対峙するように設置した場合においても、使用者の近傍に吐水を供給することが可能となるため、使用者が手を伸ばす等の身体への負荷無く吐水を使用することが可能となる。また、放物線上に吐水を供給するため、吐水を演出として使用することが可能であるため、例えば公共施設で、エンターテイメントを必要とする場所においては、演出も可能となるため最適である。
【0020】
次に、吐水口面14に、シャワー吐水が可能な散水板6を備えた水栓10の概略構成図及び散水板6の構成を図5に示す。
図5(A)に散水板6を吐水口面14に備えた水栓10の概略構成図を示す。ここで、散水板6の吐水口面14への設置位置であるが、吐水部3と立位部4との境界面近傍(吐水部3と立位部4の間に存在する屈曲部11のすぐ上方)に散水板6の下方が位置するように設置する。散水板6は細かい孔(散水孔9)を介して吐水するため、洗浄を行う際の吐水面積を確保しようとすると散水板6自身の面積を大きくして吐水面積を確保する必要があるため、ある程度の面積を有してしまう。面積を有するものを吐水口面14の上部に設置すると、吐水口面14の長さが必要となり、吐水部3の長さも必要となる。そのため、吐水口面14の水平方向の突出量が増大してしまうので、使用者が水を用いた作業を行う作業スペースが狭くなってしまう。そこで、面積を有する散水板6を斜めに傾斜した吐水口面14の下方に設置することで、散水板6上方の吐水口面14の長さ、いわゆる吐水部3を短くすることが可能となるため、使用者の作業を行う作業スペースを十分に確保することも可能となる。ここで、図4で説明した整流吐水口5と散水板6を吐水口面14に設ける場合には、吐水口面14の最上方に整流吐水口5を有し、整流吐水口5の下方で且つ、吐水口面14の最下方(屈曲部11上方)に散水板6を設けることにより、整流吐水口5からの整流吐水が使用者が使用する範囲近傍において重力による落下により鉛直方向の軌跡を描くため、水汲み等の作業を容易に行うことが出来ると共に、散水板6上方の吐水口面14の面積、及び吐水部3の大きさを低減することが出来、るため、水平方向の突出量を大幅に低減しつつ、整流とシャワーの両方の吐水を供給可能となるため、使用者に広い作業スペースで且つ作業に応じた吐水形態を提供可能となる。
【0021】
ここで、散水板6からの吐水方向について記載する。図5(B)に散水板6からの吐水方向が、吐水口面14に対して略直交方向になる構成について記載する。散水板6からの吐水を吐水口面14に対して略垂直方向に吐出させるためには、散水板6に設けた複数の孔である散水孔9を、散水板6に対して略直交するように構成することで吐水可能となる。ここで、吐水口面14に対して略直交方向に吐水を行うことで、吐水は水平方向と鉛直方向のベクトルを有して吐水を行うことが可能となるため、水平方向に対して距離を有するように吐水の軌跡を描く。そのため、水栓10を使用者と対峙するように設置した場合においても、吐水が使用者の方向に向かって吐水されるため、使用者が大きく手を伸ばして水を使用することを抑制することが可能となるため、使用者の身体の負荷を低減して使用することが可能となる。また水栓10の水平方向の突出量が小さいため、水を使う場所の上方における作業スペースを確保して使用することも可能となる。更に、散水板6に設けられた散水孔9は、孔径が小さなものであるため、散水孔9からの吐水は流速が速く、重力による自然落下を行うことなく、ほぼ直線状の軌跡で斜め下方に吐水される。この吐水の軌跡は、水栓を側面視した際に、散水板6から吐水を受ける受水部まで、斜め下方に向けて直線状に形成されているため、例えば身長が高い使用者は、腰を曲げたり等の身体の負荷をかけずに水を利用するために、散水板6近傍の受水部から高い位置で且つ水平方向では散水板6に近い位置において水を使用することとなる。それに対し身長が低い人は、背伸び等の身体への負荷をかけずに水を利用するためには、受水部近傍の低い位置にて水を使うことが可能となる。これにより、吐水軌跡は同じであるが、異なる体格の使用者に対して身体の負荷無く水栓を利用出来る吐水が可能なため、使用者が吐水軌跡に対して手の挿入方法等を変化させることなく水栓を利用することが可能となる。また、斜め下方に吐水を行うため受水部の大きさや水圧によっては、吐水が受水部から漏れ出すような吐水が起こる可能性もある。そこで、水栓10までの配管経路上に吐水流量を一定にする定流量弁のような流量調整機構を設けることにより、吐水を受水部内に着水させることが可能となるため、使用者に対する使い勝手を保持した吐水を供給することが可能となる。
【0022】
次に、図5(C)に散水板6からの吐水方向が、略水平方向となる構成について記載する。散水板6からの吐水が略水平方向となるようにするには、散水板6に設けた複数の散水孔9を略水平方向に開口させる構成とすることで可能となり、吐水は水平方向のベクトルのみを持って吐出される。しかし、上述したように、散水板6からの吐水は流速が速いため、吐水は重力による自由落下を行うことなく吐水軌跡を描くので、水栓10を使用者と対峙する方向に設置した場合には、水圧条件や受水部の大きさに応じて使用者に吐水がかかる可能性がある。そこで、散水板6からの吐水を、重力による自由落下を行わせるために、流速を低減させる方法を取ることが必要となる。達成する構成としては、例えば、水栓10までの配管に散水板6からの吐水流量を調整する定流量弁のような流量調整機構を設け、流量を減少させることにより散水孔9における流速を低減させる構成とするのが望ましい。また流量に制限を設けることなく散水孔9の孔径を大きくする方法もあり、散水孔9からの吐水の流速を下げる方法を達成できる構成によって、上記課題を解決することが可能となる。
【0023】
次に接続部2について詳細を記載する。接続部2は、立位部4と給水機構を接続するものであり、給水機構の設置場所や形状に応じて、接続部2の形状を変化させるものである。図6に、給水機構の設置場所や形状に応じた接続部2の構成について記載する。図6(A)は、給水機構が水平面に設置された場合における接続部2の設置、及び形状に関して記載している。給水機構が水平面に対して設けられているため、接続部2を鉛直方向に延在する形状とすることで、吐水口面14が使用者方向に突出するような水平方向の突出量を低減することが好ましい。特に接続部2を鉛直方向のみに延在する構成によって、水平方向の突出量をほとんど無くすことが可能となるため、視界や操作範囲内に水栓10が存在しないことよる、広い作業スペースの確保が可能となる。また、吐水口1へ洗浄水を供給する配管を水栓10内部に配置する際に、接続部2の水平方向の変動が少ないと、水栓内部に設置する配管を曲げる等の作業が不要になり、水栓を設置する際の施工が容易になる。
【0024】
また、図6(B)に、給水機構が鉛直面に設置された場合における接続部2の設置、及び形状に関して記載している。ここで、給水機構が鉛直面に設置された場合とは、吐水を受ける受水部の側壁に給水機構が設置された場合や、受水部上方に設置された壁面に給水機構が設置された場合がある。この場合、図6(A)と同様に、吐水口面14が使用者に接近するのを防止するように、接続部2は水平方向の突出量を低減するような形状が望ましい。本実施例においては、立位部4を鉛直方向に延在する構成にしているため、接続部2を上方に屈曲させ立位部4と接続するように構成している。ここで、水平方向の突出量を低減するために、接続部2の使用者方向に対する水平方向の延在量を無くすことが望ましい。本実施例の構成において、洗浄水を供給する配管を水栓10内部に配設する場合に、接続部2から立位部4に向かう経路中で急な配管の曲げを設ける必要があるが、この急な曲げにより圧力損失の増加や、施工の際に配管を設置するのが困難になる等の不具合が発生する可能性がある。そこで、接続部2の水平方向の延在量を、配管を設置する際に必要な曲げ量確保出来るように確保することで、急な曲げにより圧力損失の増加や、施工の際に配管を設置するのが困難になる等の不具合を解消しつつ、水栓10の水平面の突出量を低減することが可能となるため、視界や操作範囲内に水栓10が存在しないことより、水栓を使用する場合の作業スペースを広く確保することが出来る。
【0025】
更に、図6(C)に給水機構が傾斜面に設置された場合における接続部2の設置、及び構造に関して記載している。この場合、傾斜面に接続部2を設けるため、水平方向の突出量を低減しつつ、傾斜角度に合うように接続部2の形状を決定することが必要である。また、図6(B)と同様に、内部の配管の曲げによる圧力損失も考慮して、接続部2の水平方向の延在量を設定するのが望ましい。本実施例のように、傾斜面に対して水栓を設置することで、受水部内部に水栓を突出させる量を低減することが出来、且つ水栓を水平面に設置する場合に発生する水平面への水溜り等を抑制し、受水部に確実に水を流すことが可能なため、上記に記載したように、水栓近傍における作業スペースの確保、及び視界の確保だけでなく、清掃性の向上も達成することが可能となる。
【0026】
次に立位部4について説明する。立位部4は、吐水口面14の水平方向の突出量を小さくした吐水部3と、給水機構との接続を行う接続部2とを結合させる部材であるので、立位部4の水平方向の突出量を低減することで、水栓10全体の水平方向の突出量も低減するため、空間の確保においては重要な構成ととなる。基本的に、立位部4は、図1から図6に記載のように、鉛直方向に対して延在する構成が望ましい。これにより、接続部2、及び吐水部1の水平方向の突出量のみが、水栓10の水平方向の突出量となるので、水栓10の使用者方向への突出を低減することが可能となる。更に、立位部4の鉛直方向の高さによって、吐水口面14からの吐水の水平方向の飛距離を調整することが可能となる。本発明の水栓からの吐水は、吐水口面14より斜め下方に行われるため、吐水口面14の高さが高くなると吐水口面14よりも遠方に吐水が可能となり、低くなると吐水口面14に近い位置に吐水が可能となる。本発明においては、吐水口面14からの吐水が使用者近傍に着水させることで、身長差のある使用者に対しても身体の負荷無く吐水を使用できる水栓を提供するものであるため、立位部4は、受水部から吐水が外れない程度の高さを有することが望ましいと考えられる。更に、場所においては、吐水口面14の位置が高い場所にあるほうが水栓を使用しやすい(例えば、キッチンの水栓においては、高さのある鍋を洗浄する際に、吐水口面14が上方のほうが、鍋を回転させる等の作業をした場合においても水栓に衝突しない)ため、場所に応じた立位部4の高さを設定することが望ましい。
【0027】
ここで、水栓が搭載される場所においては、吐水が空間を通過する場所を定めることにより、使用者が洗い動作等を行いやすいことが多い。例えば、キッチンの水栓や、洗面化粧台の水栓のように、ある一定の場所で洗わせることが可能であれば使用者は容易に洗浄行為等を行うことが可能であるが、水栓からの吐水を受ける受水部(キッチンではシンク、洗面化粧台では洗面器)の形状が異なるため、一定の洗浄場所を確保するためには、その受水部に合致した水栓を作成する必要があった。本発明の水栓においては、接続部2の形状を変更することによって、吐水部3、及び立位部4の形状を変更することなく上記のような一定の洗浄場所に吐水を供給することが可能である。一定の洗浄場所に吐水供給可能とする接続部2の構成について図8に記載する。
【0028】
図8では水栓を取り付ける給水機構が、水平面、垂直面、傾斜面にある場合について記載している。給水機構が設置される場所が異なった場合においても、吐水部3及び立位部4は同様の形状とし、接続部2のみの形状を変化させて、ような面に対しても取付け可能とし、更に吐水位置を一定に保つように吐水口面14の位置を水平方向、及び鉛直方向に対して調整している。このような構成にすることで、接続部2のみを入れ替えることにより、水栓を様々な場所や機器に容易に設置可能であるため、水栓を構成する各部を様々な種類作成することなく、同一の場所に吐水を供給可能で、且つ作業空間や視界を確保出来る水栓を提供することが可能となる。
【0029】
ここで、図8のように、接続部2を入れ替えて様々な場所や機器に搭載可能な構成にした場合には、接続部2と立位部4との間で水栓10が分離する構成にすることも可能となる。このような場合、例えば接続部2と立位部4とを、接続面7で立位部4より上方の水栓10が回動可能な構成にすることにより、接続部2と立位部4との間の接続面4が、接続部2と立位部4とを接続するための面と、水栓10が回動するための面と2つの機能を有することになる。よって、水栓に分割面をを複数有することなく、接続部2と立位部4との接続、及び立位部4より上方の回動、と複数の機能を有することが可能となるため、外観を大きく損なうことなく、水栓の施工の容易さ、清掃性の向上、及び水栓10の機能の追加を容易に行うことが可能となる。
【0030】
また、上記のような立位部4と接続部2との間に発生する接続面7を利用した構成としては、配管をホースで構成し、接続部2と立位部4で水栓10を分離して、立位部4より上方の水栓10をハンドシャワーとして使用する構成とし、その分離する面を上記立位部4と接続部2との間に発生する接続面7とすることによって、ハンドシャワーの構成を設けた場合においても、複数の接続面7を設けることなく構成可能なため、外観を損なうことなく水栓の施工の容易さ、及び水栓10の機能の追加を行うことも可能となる。
【0031】
本発明の水栓が、上記に示したハンドシャワーの機能を有する場合の吐水部3と立位部4との関係を示す。水栓10の上方をハンドシャワーとして使用する構成の場合、上記のように立位部4より上方の水栓10がハンドシャワーとなるような構成とすると、ハンドシャワーが大きく、且つ重くなるため、使用者が使いづらくなる可能性が高い。そこで、吐水部3と立位部4との間でで分離し、吐水部3をハンドシャワーとして使用可能な構成について図9に記載する。
【0032】
図9(A)では、吐水部3が、吐水部3と立位部4との間の屈曲部11上方から水平面に対して略平行に分離する構成について記載している。屈曲部11上方とが水平面に対して略平行に分離するように吐水部3と立位部4との間に分離面を設けているため、分離面にて吐水部3が回動可能としても、回動した場所毎の水平面に対する吐水の角度は変化しないため、使用者が予期出来ない上下方向への吐水を防止して安定した吐水角度を確保することが可能となる。また、吐水部3のみをハンドシャワーとして使用可能なため、大きさや重さを低減したハンドシャワーを使用者に提供することが可能となる。
【0033】
また、図9(B)では、吐水部3が、屈曲部11の上方で、且つ吐水部3の吐水口面14と略垂直に分離する構成について記載する。吐水部3の吐水口面14と略垂直に分離させることにより、吐水部3を切り離した後、立位部4と結合させる際に、分離面と吐水部3の挿入方向とが略直交となるため、吐水部3上方から力を加えることで確実に水栓本体と結合することが可能となる。また、上記のような分離面で水栓本体と結合させた場合に、吐水口面14が上下左右に様々な方向に向く可能なため、吐水に関しても様々な方向を向き、使用者が予期しない方向へ吐水が行われる可能性がある。特に、本発明の水栓においては、吐水口面14が、略鉛直方向を向いていないため、吐水は吐水口面14に対峙する方向、すなわち水平方向のベクトルを持って吐水されることとなり、吐水口面14が略鉛直方向からずれた場合には、水栓使用者や、その周囲に対して吐水を飛散させる恐れがあった。そこで、本実施例においては、分離面に勘合部13を設け、その勘合部13によって、ある特定の方向でしか結合出来ないようにすることにより、上記のような吐水口1が様々な方向を向いて、吐水が予期しない方向に向くことを防止することが可能となる。勘合部に関しては、例えば分離面を形成する面に凹凸形状を設けた勘合部を作成する方法があり、凹凸形状をどちらの面に設置しても良い。吐水口面14のぐらつきを抑制するためには、凸形状の突起部高さを高くすることにより、吐水口面14のぐらつきを抑制することが出来、吐水が予期しない方向に吐出するのを防止することが可能となる。更に、勘合部を吐水口面14に対して略平行に設けることにより、更に吐水口面14のぐらつきを抑制することも可能となる。
【0034】
また、分離面において吐水部3が回動可能とする場合には、上記勘合部13を図9(C)のように、勘合部の凸形状を勘合部の凹形状よりも小さくすることで、凸形状と凹形状の大きさの違いによって発生した隙間によって、所定の範囲内で吐水部3が回動可能とすることも可能である。このような構成にすることにより、吐水部3が回動可能で、且つ吐水部3と立位部4を結合した場合に、予期しない方向への吐水の飛散を防止することも可能となる。更に、勘合部13を設けることにより、吐水部3と立位部4との結合の際に結合時に発生するぐらつき等を抑制することが可能となるため、吐水が予期せぬ方向に飛散することも抑制することが可能となる。
【0035】
なお、本実施例においては、吐水部3の途中で、且つ屈曲部11上方において分割可能なように分割面を設け、分割面に対して勘合部を設けた例について記載したが、上述したように立位部4と接続部との境界面である接続面7を分割面とし、ハンドシャワーとして使用することも可能であり、この接続面7に勘合部を設けた場合においても、吐水部3に設けた分割面に勘合部を設けたときと同様の効果を得ることが可能となる。また、立位部4の途中に分割面を設け、分割面より上方をハンドシャワーにした場合においても、吐水口面14に設置している吐水口1が様々な方向を向いてしまい、使用者が予期しない方向へ吐水飛散することも抑制することが可能となる。
【0036】
次に、本実施例における吐水部3と立位部4との関係について記載する。図10に本発明の水栓で吐水部3と連結部4の関係を図示する。吐水部3は上述したように、吐水口1を有した吐水口面14が、水平方向の突出量が鉛直方向の突出量よりも小さくなるように傾きを持って、斜め下方に吐水が可能なように構成されているものである。また、立位部4は吐水口面14からの吐水を吐水口面14より遠方に吐出するために、鉛直方向に延在し、その最上方に屈曲部11を設け吐水部3と接続するものである。よって、吐水部3は、吐水口面14が水平面に対して形成する角度が一定となる部分までを吐水部3とし、それよりも下方は屈曲部11とする。また、立位部4も吐水口面14を有する側で、且つ水平方向に突出量を有さない部分までが立位部4であり、水平方向の突出量を有し始める場所より上方を屈曲部11とするものである。但し、上記区分方法は、吐水口面14を有する側においての分離であり、それ以外の側における明確な境界は無い。また吐水口面14以外の側に境界を設けずとも、吐水口面14側に境界を設けることで、本発明の効果である、洗浄空間や視界の確保等を十分に達成することが可能である。
【0037】
以上の構成により、スパウト10の吐水部3を水平面に対し平行な方向の長さが水平面に対し垂直な方向の長さよりも短くなることにより、スパウト10の水平面に対し平行な方向の長さを低減することが可能となるため、視界や操作範囲内にスパウト10が存在しないことより、水栓を使用する際に洗い動作等を行う作業スペースを広く確保することが出来る。また、吐水部3から吐出される洗浄水に関しても、設置場所に応じて吐水口1の形態を変化させることにより、使用者が大きく手を伸ばす等の身体の負荷をかけずに、使用者の近傍に吐水を供給することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の水栓の概略構成図
【図2】本発明の水栓の正面図
【図3】本発明の水栓の側面図
【図4】吐水部の吐水口面に整流吐水吐水口を備えた概略構成図
【図5】吐水部の吐水口面に散水板を備えた概略構成図及び散水板の構成図
【図6】給水機構の設置場所や形状に応じた接続部の概略構成図
【図7】吐水口面の角度を確保した水栓の外観構成図
【図8】水栓を取り付ける給水機構の場所に応じた構成図
【図9】吐水部をハンドシャワーとして使用する場合の概略構成図
【図10】本発明の水栓で吐水部と立位部との関係図
【符号の説明】
【0039】
1…吐水口、2…接続部、3…吐水部、4…立位部、5…整流吐水口、6…散水板、7…接続面、8…吐水口からの吐出方向、9…散水孔、10…水栓、11…屈曲部、12…ホース配管、13…勘合部、14…吐水口面、
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐水口を備えた吐水部が水平面方向に対して垂直方向に突出するように傾斜して斜め下方に水を供給可能な水栓に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、吐水口を有する水栓において、使用者の使い勝手を向上させるために、スパウトの形状を変更して、使用者の使用感を高める水栓があった。
【0003】
また、使用者がいる方向に吐水口から吐水をさせるために、スパウトを使用者側に突出させ、且つ上下方向に傾ける水栓があった(例えば、参考文献1参照)。
【0004】
また、水栓に可動部を複数個設け、可動部の可動範囲内で水栓の高さや水平面に対する突出量を調整可能な水栓があった(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2002−266396
【特許文献2】特開2000−144832
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のように、使用者側に対して水栓を突出させた場合には、使用者が水栓を使用する際に、吐水口が使用者の近傍に接近するが、水栓が使用者方向に突出しているため、洗浄を行う場所がスパウトによって視界を遮られてしまったり、吐水の軌跡上方にスパウトがあるために洗い作業等水を使う作業の際に邪魔になることがあった。
【0006】
また、特許文献2のように、可動部を設けて水栓の高さや水平方向に対する突出量が変化すると、水栓の形状によって吐水の軌跡が変化してしまい、使用する度、又は使用者が変わる度に使用者がスパウトの形状毎に洗う場所を変化させたり、また洗う場所を設定するためにスパウトの形状を変更させる必要があり、非常に調整が不便であった。
【0007】
そこで、本発明においては、使用者が水栓を使用する際に、スパウトが洗浄等の作業に対して邪魔にならず、また洗浄する場所やスパウトの形状を変更させること無く、洗浄作業等を行うことが可能な水栓を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
クレームを変更する場合はここを変える
前記目的達成のために、少なくとも1つ以上の吐水口を備えた吐水部と、前記吐水口から吐水される水の着水位置を、前記吐水口から遠方にするために鉛直方向に連続して立ち上がる立位部と、給水口を有し、前記立位部と給水機構とを接続するための接続部と、
を有する水栓であって、前記吐水部は、前記立位部に対し、屈曲部を介して、前記吐水口を全て備えた吐水口面側に傾斜して立ち上がっており、前記吐水部の鉛直方向への突出量は、水平方向への突出量よりも大きいことを特徴とする水栓。を提供出来る。
【0009】
また、本発明の一態様によれば、前記接続部は、前記吐水口面が使用者と対峙するように給水機構と接続することを特徴とする水栓を提供出来る。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、吐水口を有する吐水面が、水平方向の突出量よりも垂直方向の突出量が多くなるように傾斜することによって、水栓の水平方向における突出量を大幅に低減することが可能となるため、洗浄行為等の水栓を使用する場合において、水栓の水平方向の突出による視界の遮断や、洗浄する場所において水栓の存在により作業が邪魔になる
等の不具合を解消でき、広い空間を確保した状態で水栓を使用することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1に本発明の水栓の概略構成図を記載する。本発明の水栓は、少なくとも1つ以上の吐水口1を備えた吐水部3と、前記吐水口1から吐水される水の着水位置を、前記吐水口1から遠方にするために鉛直方向に連続して立ち上がる立位部4と、給水口を有し、前記立位部4と給水機構とを接続するための接続部2と、を有する水栓であって、前記吐水部3は、前記立位部4より屈曲部11を介して傾斜し、且つ上方に立ち上がっており、前記吐水口1は前記吐水部3の吐水口面14に全て設けられ、前記吐水口面14が、水平方向の突出量よりも垂直方向の突出量が大きくなるように傾斜して、斜め下方に水を供給するように構成となっている。
【0012】
図2に本発明の水栓の正面図、図3に本発明の水栓の側面図を示す。図2においては、吐水口1が全て設けられた吐水部3の吐水口面14と対峙する方向からを正面と定め、正面図を記載している。また、図3においては、前記吐水口面14と対峙する方向を正面と定めた場合の側面方向からの図面を記載したものである。
ここで、前記吐水口面14は、前記水栓10を側面視したとき、水平方向の突出量が、垂直方向の突出量よりも小さくなるように傾斜して、屈曲部11を介して前記上方に立ち上がった立位部4に連接されているため、水栓10は最上部に前記吐水口面14があり、斜め下方に向かって吐水可能なように上方へ立ち上がっているような形状になる。そのため、図3のように、水平面と吐水口面14との間に形成される角度αは、45°より大きく90°未満の角度を有することになる。このように、従来の水栓とは異なり、水平方向の突出量を低減させ、鉛直方向に突出するように傾けた構成にすることで、使用者に対する水栓の圧迫感や、水栓10で、特に吐水口面14より下方の作業スペースを確保することが可能となるため、水栓を使用する際に視界を遮る、洗い作業等を行う作業スペースに水栓10が存在する等を排除することが可能となるため、水栓を使用した作業を円滑に行うことが可能となる。
【0013】
次に吐水部3について詳細に記載する。図1、3に示すように、吐水部3は前記水栓10を側面視したとき、前記吐水口面14が水平方向の突出量が、鉛直方向の突出量よりも小さくなるように傾斜して、屈曲部11を介して前記立位部4に接続された構成されているため、吐水部3のある一面は下方に向かうように構成される。この吐水部3の下方に向かう一面に全ての吐水口を搭載し、吐水口面14としており、水平面とで形成される角度が鋭角となる。このような構成により、吐水口面14を使用者と対峙するように設置した場合には、水が水平方向に対するベクトルを持つように吐水されるため、使用者の方向に水が向かうような吐水となる。このため、従来のように水栓10を物理的に使用者側に伸ばすことなく、水のみで使用者側に吐水を供給することが可能となるため、水を用いた作業を行う空間に水栓10を存在させず、広い作業スペースを確保することが可能となる。
【0014】
ここで、本発明においては、吐水口面14の水平方向の突出量を鉛直方向の突出量よりも小さくすることで作業スペースの確保を行うものであるため、吐水口面14以外の吐水部3の形状は、図7のように吐水口面14が設けられた方向の、水平方向に対して突出する形状でない場合は本発明の効果を十分有するものである。吐水口面14を有する面に対してのみ、水平方向と鉛直方向の突出量の関係を設けることで、水栓の外観を様々な形状にすることが可能となり、作業空間、及び視界の確保が可能な使いやすさと外観とを両立させる水栓を提供することが可能となる。
【0015】
なお、吐水口面14に吐水口1を設置する際に、吐水口1の開口方向によって吐水の軌跡が変化することについて記載する。図4は、吐水口面14に整流吐水が可能な整流吐水口5を設置した構成図を記載する。ここで、整流吐水口5の吐水口面14への搭載場所であるが、整流吐水を使用する代表的な行為としては、被洗浄体の洗浄、容器への水汲み等がある。洗浄作業においては、後述するシャワー吐水でも達成可能であるが、容器への水汲み、特に容器周囲を濡らさずに水を溜める行為や水を入れる口が小さい場合に関しては、広範囲への吐水が可能なシャワー吐水よりも、流線として局所的に吐水される整流吐水が好ましい。そこで、整流吐水口5の位置を吐水口面14の最上方とすることで、水が高い位置からの落下する運動となるため、重力による下向きの力が働き、水汲みを行う地点においては略鉛直方向の吐水軌跡に変化するため、水汲み作業に適した吐水を提供することが可能となる。
【0016】
図4(A)においては、整流吐水口5からの吐水方向が、吐水口面14と略直交となる形態について記載している。吐水口面14に対して略直交に吐水を行うと、吐水は水平方向と垂直方向のベクトルを持った状態で吐水が可能となるため、斜め下方にほぼ直線方向に吐水することが可能となる。これにより、本発明の水栓を使用者に対峙する場所に設置した場合、使用者に向かうように吐水が行われるため、水平方向の突出量が小さな水栓10においても、使用者の方向に対して吐水を供給することが可能となる。よって、水栓10近傍の作業空間内に、水栓10を存在させることなく、広い作業空間を確保しながら使用者が使用しやすい場所に吐水を供給することが可能となるため、使用者が手を伸ばす等の身体への負荷無く吐水を使用することが可能となる。なお、吐水口面14に対して略直交方向に吐水を行うためには、例えば整流吐水口5を吐水口面14に対して略平行に設置する方法がある。この方法であれば、整流吐水口5の開口面も吐水口面14と略平行になるため、整流吐水口5から吐出する吐水に対して、整流吐水口5の一部が抵抗となって吐水が減速することなく吐水が可能であるため、吐水が乱れたり、失速することなく使用者側に水を供給することが可能となる。
【0017】
また、図4(B)においては、整流吐水口5からの吐水方向が水平面に対して略平行となる形態について記載している。水平面に対して略平行に吐水を行うと水平方向のベクトルを持って吐水を行うことが可能となるため、例えばスパウト10を使用者と対峙するように設置した場合、吐水が使用者方向に吐水される。そのため、水栓10の水平方向の突出量は小さいが、吐水が水平方向のベクトルを十分に保持しているため、使用者の近傍にまで吐水を行うことが可能となるので、水栓10が存在しないことによる作業スペースの確保が可能となり、吐水を用いた作業を行う際に水栓10を気にせずに容易に作業を行うことが可能となる。また、水平方向のベクトルのみを持った吐水は、重力による自然落下により鉛直方向のベクトルを持って放物線を描く吐水軌跡となるために、使用者に吐水がかかるような吐水状態を避けることが可能となる。但し、水栓を設置する場所によっては、水圧が高いために多量の水が吐水される場所もある。そこで、吐水口1までの流路上に定流量弁のような一定流量を供給できる機構を設けることにより、使用者に対して吐水がかかる等の不具合を確実に解消することが可能となる。
【0018】
また、図4(C)に、整流吐水口5からの吐水方向が鉛直方向下向きとなる形態について記載している。この方式であれば、水栓10の水平方向の突出量は小さくなるが、吐水が水栓10近傍に落下するため、例えば使用者と対峙するように設置した場合においては、使用者が手を大きく伸ばす等の使用者への負荷が大きくなることが考えられる。そこで、吐水方向が鉛直方向下向きとなる形態については、例えば、小型の洗面器用水栓や、単身用住宅に設置されている小型シンクに搭載される水栓のように使用者の立ち位置近傍に設置する水栓として使用することで、水を受ける受水部上方の狭い空間に対して、水栓の水平方向の突出量が低減するため、水を用いた作業を行う作業スペースを確保することが可能となる。
【0019】
また、図4(D)に整流吐水口5からの吐水方向が斜め上方の形態について記載している。この方式で吐水する場合には、吐水は放物線を描いて落下するような軌跡で供給されることになる。斜め上方への吐水のため、水平方向のベクトルを持っているため、水栓10の水平方向の突出量が少なくとも水栓10と対峙する方向への吐水が可能となるため、例えば、水栓10を使用者と対峙するように設置した場合においても、使用者の近傍に吐水を供給することが可能となるため、使用者が手を伸ばす等の身体への負荷無く吐水を使用することが可能となる。また、放物線上に吐水を供給するため、吐水を演出として使用することが可能であるため、例えば公共施設で、エンターテイメントを必要とする場所においては、演出も可能となるため最適である。
【0020】
次に、吐水口面14に、シャワー吐水が可能な散水板6を備えた水栓10の概略構成図及び散水板6の構成を図5に示す。
図5(A)に散水板6を吐水口面14に備えた水栓10の概略構成図を示す。ここで、散水板6の吐水口面14への設置位置であるが、吐水部3と立位部4との境界面近傍(吐水部3と立位部4の間に存在する屈曲部11のすぐ上方)に散水板6の下方が位置するように設置する。散水板6は細かい孔(散水孔9)を介して吐水するため、洗浄を行う際の吐水面積を確保しようとすると散水板6自身の面積を大きくして吐水面積を確保する必要があるため、ある程度の面積を有してしまう。面積を有するものを吐水口面14の上部に設置すると、吐水口面14の長さが必要となり、吐水部3の長さも必要となる。そのため、吐水口面14の水平方向の突出量が増大してしまうので、使用者が水を用いた作業を行う作業スペースが狭くなってしまう。そこで、面積を有する散水板6を斜めに傾斜した吐水口面14の下方に設置することで、散水板6上方の吐水口面14の長さ、いわゆる吐水部3を短くすることが可能となるため、使用者の作業を行う作業スペースを十分に確保することも可能となる。ここで、図4で説明した整流吐水口5と散水板6を吐水口面14に設ける場合には、吐水口面14の最上方に整流吐水口5を有し、整流吐水口5の下方で且つ、吐水口面14の最下方(屈曲部11上方)に散水板6を設けることにより、整流吐水口5からの整流吐水が使用者が使用する範囲近傍において重力による落下により鉛直方向の軌跡を描くため、水汲み等の作業を容易に行うことが出来ると共に、散水板6上方の吐水口面14の面積、及び吐水部3の大きさを低減することが出来、るため、水平方向の突出量を大幅に低減しつつ、整流とシャワーの両方の吐水を供給可能となるため、使用者に広い作業スペースで且つ作業に応じた吐水形態を提供可能となる。
【0021】
ここで、散水板6からの吐水方向について記載する。図5(B)に散水板6からの吐水方向が、吐水口面14に対して略直交方向になる構成について記載する。散水板6からの吐水を吐水口面14に対して略垂直方向に吐出させるためには、散水板6に設けた複数の孔である散水孔9を、散水板6に対して略直交するように構成することで吐水可能となる。ここで、吐水口面14に対して略直交方向に吐水を行うことで、吐水は水平方向と鉛直方向のベクトルを有して吐水を行うことが可能となるため、水平方向に対して距離を有するように吐水の軌跡を描く。そのため、水栓10を使用者と対峙するように設置した場合においても、吐水が使用者の方向に向かって吐水されるため、使用者が大きく手を伸ばして水を使用することを抑制することが可能となるため、使用者の身体の負荷を低減して使用することが可能となる。また水栓10の水平方向の突出量が小さいため、水を使う場所の上方における作業スペースを確保して使用することも可能となる。更に、散水板6に設けられた散水孔9は、孔径が小さなものであるため、散水孔9からの吐水は流速が速く、重力による自然落下を行うことなく、ほぼ直線状の軌跡で斜め下方に吐水される。この吐水の軌跡は、水栓を側面視した際に、散水板6から吐水を受ける受水部まで、斜め下方に向けて直線状に形成されているため、例えば身長が高い使用者は、腰を曲げたり等の身体の負荷をかけずに水を利用するために、散水板6近傍の受水部から高い位置で且つ水平方向では散水板6に近い位置において水を使用することとなる。それに対し身長が低い人は、背伸び等の身体への負荷をかけずに水を利用するためには、受水部近傍の低い位置にて水を使うことが可能となる。これにより、吐水軌跡は同じであるが、異なる体格の使用者に対して身体の負荷無く水栓を利用出来る吐水が可能なため、使用者が吐水軌跡に対して手の挿入方法等を変化させることなく水栓を利用することが可能となる。また、斜め下方に吐水を行うため受水部の大きさや水圧によっては、吐水が受水部から漏れ出すような吐水が起こる可能性もある。そこで、水栓10までの配管経路上に吐水流量を一定にする定流量弁のような流量調整機構を設けることにより、吐水を受水部内に着水させることが可能となるため、使用者に対する使い勝手を保持した吐水を供給することが可能となる。
【0022】
次に、図5(C)に散水板6からの吐水方向が、略水平方向となる構成について記載する。散水板6からの吐水が略水平方向となるようにするには、散水板6に設けた複数の散水孔9を略水平方向に開口させる構成とすることで可能となり、吐水は水平方向のベクトルのみを持って吐出される。しかし、上述したように、散水板6からの吐水は流速が速いため、吐水は重力による自由落下を行うことなく吐水軌跡を描くので、水栓10を使用者と対峙する方向に設置した場合には、水圧条件や受水部の大きさに応じて使用者に吐水がかかる可能性がある。そこで、散水板6からの吐水を、重力による自由落下を行わせるために、流速を低減させる方法を取ることが必要となる。達成する構成としては、例えば、水栓10までの配管に散水板6からの吐水流量を調整する定流量弁のような流量調整機構を設け、流量を減少させることにより散水孔9における流速を低減させる構成とするのが望ましい。また流量に制限を設けることなく散水孔9の孔径を大きくする方法もあり、散水孔9からの吐水の流速を下げる方法を達成できる構成によって、上記課題を解決することが可能となる。
【0023】
次に接続部2について詳細を記載する。接続部2は、立位部4と給水機構を接続するものであり、給水機構の設置場所や形状に応じて、接続部2の形状を変化させるものである。図6に、給水機構の設置場所や形状に応じた接続部2の構成について記載する。図6(A)は、給水機構が水平面に設置された場合における接続部2の設置、及び形状に関して記載している。給水機構が水平面に対して設けられているため、接続部2を鉛直方向に延在する形状とすることで、吐水口面14が使用者方向に突出するような水平方向の突出量を低減することが好ましい。特に接続部2を鉛直方向のみに延在する構成によって、水平方向の突出量をほとんど無くすことが可能となるため、視界や操作範囲内に水栓10が存在しないことよる、広い作業スペースの確保が可能となる。また、吐水口1へ洗浄水を供給する配管を水栓10内部に配置する際に、接続部2の水平方向の変動が少ないと、水栓内部に設置する配管を曲げる等の作業が不要になり、水栓を設置する際の施工が容易になる。
【0024】
また、図6(B)に、給水機構が鉛直面に設置された場合における接続部2の設置、及び形状に関して記載している。ここで、給水機構が鉛直面に設置された場合とは、吐水を受ける受水部の側壁に給水機構が設置された場合や、受水部上方に設置された壁面に給水機構が設置された場合がある。この場合、図6(A)と同様に、吐水口面14が使用者に接近するのを防止するように、接続部2は水平方向の突出量を低減するような形状が望ましい。本実施例においては、立位部4を鉛直方向に延在する構成にしているため、接続部2を上方に屈曲させ立位部4と接続するように構成している。ここで、水平方向の突出量を低減するために、接続部2の使用者方向に対する水平方向の延在量を無くすことが望ましい。本実施例の構成において、洗浄水を供給する配管を水栓10内部に配設する場合に、接続部2から立位部4に向かう経路中で急な配管の曲げを設ける必要があるが、この急な曲げにより圧力損失の増加や、施工の際に配管を設置するのが困難になる等の不具合が発生する可能性がある。そこで、接続部2の水平方向の延在量を、配管を設置する際に必要な曲げ量確保出来るように確保することで、急な曲げにより圧力損失の増加や、施工の際に配管を設置するのが困難になる等の不具合を解消しつつ、水栓10の水平面の突出量を低減することが可能となるため、視界や操作範囲内に水栓10が存在しないことより、水栓を使用する場合の作業スペースを広く確保することが出来る。
【0025】
更に、図6(C)に給水機構が傾斜面に設置された場合における接続部2の設置、及び構造に関して記載している。この場合、傾斜面に接続部2を設けるため、水平方向の突出量を低減しつつ、傾斜角度に合うように接続部2の形状を決定することが必要である。また、図6(B)と同様に、内部の配管の曲げによる圧力損失も考慮して、接続部2の水平方向の延在量を設定するのが望ましい。本実施例のように、傾斜面に対して水栓を設置することで、受水部内部に水栓を突出させる量を低減することが出来、且つ水栓を水平面に設置する場合に発生する水平面への水溜り等を抑制し、受水部に確実に水を流すことが可能なため、上記に記載したように、水栓近傍における作業スペースの確保、及び視界の確保だけでなく、清掃性の向上も達成することが可能となる。
【0026】
次に立位部4について説明する。立位部4は、吐水口面14の水平方向の突出量を小さくした吐水部3と、給水機構との接続を行う接続部2とを結合させる部材であるので、立位部4の水平方向の突出量を低減することで、水栓10全体の水平方向の突出量も低減するため、空間の確保においては重要な構成ととなる。基本的に、立位部4は、図1から図6に記載のように、鉛直方向に対して延在する構成が望ましい。これにより、接続部2、及び吐水部1の水平方向の突出量のみが、水栓10の水平方向の突出量となるので、水栓10の使用者方向への突出を低減することが可能となる。更に、立位部4の鉛直方向の高さによって、吐水口面14からの吐水の水平方向の飛距離を調整することが可能となる。本発明の水栓からの吐水は、吐水口面14より斜め下方に行われるため、吐水口面14の高さが高くなると吐水口面14よりも遠方に吐水が可能となり、低くなると吐水口面14に近い位置に吐水が可能となる。本発明においては、吐水口面14からの吐水が使用者近傍に着水させることで、身長差のある使用者に対しても身体の負荷無く吐水を使用できる水栓を提供するものであるため、立位部4は、受水部から吐水が外れない程度の高さを有することが望ましいと考えられる。更に、場所においては、吐水口面14の位置が高い場所にあるほうが水栓を使用しやすい(例えば、キッチンの水栓においては、高さのある鍋を洗浄する際に、吐水口面14が上方のほうが、鍋を回転させる等の作業をした場合においても水栓に衝突しない)ため、場所に応じた立位部4の高さを設定することが望ましい。
【0027】
ここで、水栓が搭載される場所においては、吐水が空間を通過する場所を定めることにより、使用者が洗い動作等を行いやすいことが多い。例えば、キッチンの水栓や、洗面化粧台の水栓のように、ある一定の場所で洗わせることが可能であれば使用者は容易に洗浄行為等を行うことが可能であるが、水栓からの吐水を受ける受水部(キッチンではシンク、洗面化粧台では洗面器)の形状が異なるため、一定の洗浄場所を確保するためには、その受水部に合致した水栓を作成する必要があった。本発明の水栓においては、接続部2の形状を変更することによって、吐水部3、及び立位部4の形状を変更することなく上記のような一定の洗浄場所に吐水を供給することが可能である。一定の洗浄場所に吐水供給可能とする接続部2の構成について図8に記載する。
【0028】
図8では水栓を取り付ける給水機構が、水平面、垂直面、傾斜面にある場合について記載している。給水機構が設置される場所が異なった場合においても、吐水部3及び立位部4は同様の形状とし、接続部2のみの形状を変化させて、ような面に対しても取付け可能とし、更に吐水位置を一定に保つように吐水口面14の位置を水平方向、及び鉛直方向に対して調整している。このような構成にすることで、接続部2のみを入れ替えることにより、水栓を様々な場所や機器に容易に設置可能であるため、水栓を構成する各部を様々な種類作成することなく、同一の場所に吐水を供給可能で、且つ作業空間や視界を確保出来る水栓を提供することが可能となる。
【0029】
ここで、図8のように、接続部2を入れ替えて様々な場所や機器に搭載可能な構成にした場合には、接続部2と立位部4との間で水栓10が分離する構成にすることも可能となる。このような場合、例えば接続部2と立位部4とを、接続面7で立位部4より上方の水栓10が回動可能な構成にすることにより、接続部2と立位部4との間の接続面4が、接続部2と立位部4とを接続するための面と、水栓10が回動するための面と2つの機能を有することになる。よって、水栓に分割面をを複数有することなく、接続部2と立位部4との接続、及び立位部4より上方の回動、と複数の機能を有することが可能となるため、外観を大きく損なうことなく、水栓の施工の容易さ、清掃性の向上、及び水栓10の機能の追加を容易に行うことが可能となる。
【0030】
また、上記のような立位部4と接続部2との間に発生する接続面7を利用した構成としては、配管をホースで構成し、接続部2と立位部4で水栓10を分離して、立位部4より上方の水栓10をハンドシャワーとして使用する構成とし、その分離する面を上記立位部4と接続部2との間に発生する接続面7とすることによって、ハンドシャワーの構成を設けた場合においても、複数の接続面7を設けることなく構成可能なため、外観を損なうことなく水栓の施工の容易さ、及び水栓10の機能の追加を行うことも可能となる。
【0031】
本発明の水栓が、上記に示したハンドシャワーの機能を有する場合の吐水部3と立位部4との関係を示す。水栓10の上方をハンドシャワーとして使用する構成の場合、上記のように立位部4より上方の水栓10がハンドシャワーとなるような構成とすると、ハンドシャワーが大きく、且つ重くなるため、使用者が使いづらくなる可能性が高い。そこで、吐水部3と立位部4との間でで分離し、吐水部3をハンドシャワーとして使用可能な構成について図9に記載する。
【0032】
図9(A)では、吐水部3が、吐水部3と立位部4との間の屈曲部11上方から水平面に対して略平行に分離する構成について記載している。屈曲部11上方とが水平面に対して略平行に分離するように吐水部3と立位部4との間に分離面を設けているため、分離面にて吐水部3が回動可能としても、回動した場所毎の水平面に対する吐水の角度は変化しないため、使用者が予期出来ない上下方向への吐水を防止して安定した吐水角度を確保することが可能となる。また、吐水部3のみをハンドシャワーとして使用可能なため、大きさや重さを低減したハンドシャワーを使用者に提供することが可能となる。
【0033】
また、図9(B)では、吐水部3が、屈曲部11の上方で、且つ吐水部3の吐水口面14と略垂直に分離する構成について記載する。吐水部3の吐水口面14と略垂直に分離させることにより、吐水部3を切り離した後、立位部4と結合させる際に、分離面と吐水部3の挿入方向とが略直交となるため、吐水部3上方から力を加えることで確実に水栓本体と結合することが可能となる。また、上記のような分離面で水栓本体と結合させた場合に、吐水口面14が上下左右に様々な方向に向く可能なため、吐水に関しても様々な方向を向き、使用者が予期しない方向へ吐水が行われる可能性がある。特に、本発明の水栓においては、吐水口面14が、略鉛直方向を向いていないため、吐水は吐水口面14に対峙する方向、すなわち水平方向のベクトルを持って吐水されることとなり、吐水口面14が略鉛直方向からずれた場合には、水栓使用者や、その周囲に対して吐水を飛散させる恐れがあった。そこで、本実施例においては、分離面に勘合部13を設け、その勘合部13によって、ある特定の方向でしか結合出来ないようにすることにより、上記のような吐水口1が様々な方向を向いて、吐水が予期しない方向に向くことを防止することが可能となる。勘合部に関しては、例えば分離面を形成する面に凹凸形状を設けた勘合部を作成する方法があり、凹凸形状をどちらの面に設置しても良い。吐水口面14のぐらつきを抑制するためには、凸形状の突起部高さを高くすることにより、吐水口面14のぐらつきを抑制することが出来、吐水が予期しない方向に吐出するのを防止することが可能となる。更に、勘合部を吐水口面14に対して略平行に設けることにより、更に吐水口面14のぐらつきを抑制することも可能となる。
【0034】
また、分離面において吐水部3が回動可能とする場合には、上記勘合部13を図9(C)のように、勘合部の凸形状を勘合部の凹形状よりも小さくすることで、凸形状と凹形状の大きさの違いによって発生した隙間によって、所定の範囲内で吐水部3が回動可能とすることも可能である。このような構成にすることにより、吐水部3が回動可能で、且つ吐水部3と立位部4を結合した場合に、予期しない方向への吐水の飛散を防止することも可能となる。更に、勘合部13を設けることにより、吐水部3と立位部4との結合の際に結合時に発生するぐらつき等を抑制することが可能となるため、吐水が予期せぬ方向に飛散することも抑制することが可能となる。
【0035】
なお、本実施例においては、吐水部3の途中で、且つ屈曲部11上方において分割可能なように分割面を設け、分割面に対して勘合部を設けた例について記載したが、上述したように立位部4と接続部との境界面である接続面7を分割面とし、ハンドシャワーとして使用することも可能であり、この接続面7に勘合部を設けた場合においても、吐水部3に設けた分割面に勘合部を設けたときと同様の効果を得ることが可能となる。また、立位部4の途中に分割面を設け、分割面より上方をハンドシャワーにした場合においても、吐水口面14に設置している吐水口1が様々な方向を向いてしまい、使用者が予期しない方向へ吐水飛散することも抑制することが可能となる。
【0036】
次に、本実施例における吐水部3と立位部4との関係について記載する。図10に本発明の水栓で吐水部3と連結部4の関係を図示する。吐水部3は上述したように、吐水口1を有した吐水口面14が、水平方向の突出量が鉛直方向の突出量よりも小さくなるように傾きを持って、斜め下方に吐水が可能なように構成されているものである。また、立位部4は吐水口面14からの吐水を吐水口面14より遠方に吐出するために、鉛直方向に延在し、その最上方に屈曲部11を設け吐水部3と接続するものである。よって、吐水部3は、吐水口面14が水平面に対して形成する角度が一定となる部分までを吐水部3とし、それよりも下方は屈曲部11とする。また、立位部4も吐水口面14を有する側で、且つ水平方向に突出量を有さない部分までが立位部4であり、水平方向の突出量を有し始める場所より上方を屈曲部11とするものである。但し、上記区分方法は、吐水口面14を有する側においての分離であり、それ以外の側における明確な境界は無い。また吐水口面14以外の側に境界を設けずとも、吐水口面14側に境界を設けることで、本発明の効果である、洗浄空間や視界の確保等を十分に達成することが可能である。
【0037】
以上の構成により、スパウト10の吐水部3を水平面に対し平行な方向の長さが水平面に対し垂直な方向の長さよりも短くなることにより、スパウト10の水平面に対し平行な方向の長さを低減することが可能となるため、視界や操作範囲内にスパウト10が存在しないことより、水栓を使用する際に洗い動作等を行う作業スペースを広く確保することが出来る。また、吐水部3から吐出される洗浄水に関しても、設置場所に応じて吐水口1の形態を変化させることにより、使用者が大きく手を伸ばす等の身体の負荷をかけずに、使用者の近傍に吐水を供給することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の水栓の概略構成図
【図2】本発明の水栓の正面図
【図3】本発明の水栓の側面図
【図4】吐水部の吐水口面に整流吐水吐水口を備えた概略構成図
【図5】吐水部の吐水口面に散水板を備えた概略構成図及び散水板の構成図
【図6】給水機構の設置場所や形状に応じた接続部の概略構成図
【図7】吐水口面の角度を確保した水栓の外観構成図
【図8】水栓を取り付ける給水機構の場所に応じた構成図
【図9】吐水部をハンドシャワーとして使用する場合の概略構成図
【図10】本発明の水栓で吐水部と立位部との関係図
【符号の説明】
【0039】
1…吐水口、2…接続部、3…吐水部、4…立位部、5…整流吐水口、6…散水板、7…接続面、8…吐水口からの吐出方向、9…散水孔、10…水栓、11…屈曲部、12…ホース配管、13…勘合部、14…吐水口面、
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つ以上の吐水口を備えた吐水部と、
前記吐水口から吐水される水の着水位置を、前記吐水口から遠方にするために鉛直方向に連続して立ち上がる立位部と、
給水口を有し、前記立位部と給水機構とを接続するための接続部と、
を有する水栓であって、
前記吐水部は、前記立位部に対し、屈曲部を介して、前記吐水口を全て備えた吐水口面側に傾斜して立ち上がっており、
前記吐水部の鉛直方向への突出量は、水平方向への突出量よりも大きいことを特徴とする
水栓。
【請求項1】
少なくとも1つ以上の吐水口を備えた吐水部と、
前記吐水口から吐水される水の着水位置を、前記吐水口から遠方にするために鉛直方向に連続して立ち上がる立位部と、
給水口を有し、前記立位部と給水機構とを接続するための接続部と、
を有する水栓であって、
前記吐水部は、前記立位部に対し、屈曲部を介して、前記吐水口を全て備えた吐水口面側に傾斜して立ち上がっており、
前記吐水部の鉛直方向への突出量は、水平方向への突出量よりも大きいことを特徴とする
水栓。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2010−37710(P2010−37710A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−189861(P2008−189861)
【出願日】平成20年7月23日(2008.7.23)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月23日(2008.7.23)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】
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