説明

水槽用濾過器のシャワー管清掃具

【課題】 濾過器からの清浄水を、複数のノズルを設けたシャワー管を通して水槽内にお戻すようにしたものにおいて、シャワー管を濾過器に連結したまま、シャワー管の内面を清掃できるようにした。
【解決手段】 水槽用濾過器のシャワー管清掃具であって、シャワー管5内に摺動自在に設けられる清掃子10に、シャワー管5内を通る操作棒11を連結し、この操作棒11の自由端に摘子12を固定し、摘子12の押圧、引張により清掃子10の往復摺動させシャワー管5内の異物を掻き取る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、観賞魚の飼育用水槽に設けられて、水槽内の未清浄水を濾過する濾過器に接続されるシャワー管清掃具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水槽内で、金魚、熱帯魚、海水魚などの観賞魚の飼育用水槽内の未浄化水を濾過するようにした濾過器において、その濾過器からの清浄水をシャワー管を通して水槽内に戻すようにしたものにおいて、シャワー管内に設けた清掃ブラシを摺動させて、シャワー管内を清掃するようにした清掃装置は公知である(後記特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−243257号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、前記特許文献1のものでは、シャワー管21の内部に清掃ブラシ55を、またその外部にスライダ56をそれぞれ摺動自在に設け、それらをシャワー管21の外に設けた左右の操作索条59,60により連結し、スライダ56を左右に往復摺動させることにより、左右の操作索条59,60を介して清掃ブラシ55を往復摺動させて、シャワー管21の内面をブラシング清掃するようにしているので、この従来の清掃装置は、基端が濾過器の吐出口に接続され、先端が端壁により閉じられたシャワー管には実施することができない上に、全体の構造が複雑でコスト高になり、また、シャワー管の外に設けられる操作索条の円滑な作動が妨げられたり、その切損を招いたりして、耐久性、信頼性に乏しいという課題があった。
【0004】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたもので、前記課題を解決した、新規な水槽用濾過装置のシャワー管清掃具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的達成のため、本請求項1の発明は、水槽内の未清浄水を濾過器内に吸引し、その濾過器で濾過した後の清浄水を、濾過器の吐出口に接続したシャワー管を通して水槽内に戻すようにした、水槽用濾過装置のシャワー管清掃装置であって、
基端が前記吐出口に接続され、先端が端壁により閉鎖された前記シャワー管内に摺動自在に設けられる清掃子と、清掃子に一端が連結されてシャワー管内を通り自由端がシャワー管の端壁を通って外部に突出される操作棒と、この操作棒の自由端に固定される摘子とよりなり、前記清掃子の往復摺動によりシャワー管内に付着する異物を掻き取るようにしたことを特徴としている。
【0006】
前記目的達成のため、本請求項2の発明は、前記請求項1のものにおいて、前記清掃子は、円筒体よりなり、その内径は、濾過器の吐出口とシャワー管とを接続するジョイント管の内径と略等しくしてあることを特徴としている。
【0007】
前記目的達成のため、本請求項3の発明は、前記請求項1または2記載のものにおいて、前記清掃子に連結される前記操作棒は、前記シャワー管内の中心軸線上を通り、シャワー管の端壁を貫通して前記摘子に連結され、この摘子と端壁との間には、それら間を水密に封緘するシールが設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
請求項各項の発明によれば、シャワー管を濾過器に連結したまま、摘子の押圧、引張をくりかえすだけでシャワー管内面の清掃ができる。清掃具は、清掃子、操作棒および摘子より構成され構造が簡単で低コストであり、シャワー管の外周には、可動部が存在しないので、耐久性、信頼性に優れている。
【0009】
また、請求項2の発明によれば、清掃子とジョイント管との内径を略等しくしてあるので、シャワー管を流れる水の流動抵抗を低減できる。
【0010】
さらに、請求項3の発明によれば、摘子とシャワー管の端壁との間には、それら間を水密に封緘するシールが設けられるので、シャワー管からの水漏れがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0012】
図1は、本発明シャワー管清掃具を備えた濾過装置を水槽内にセットした状態を示す斜視図、図2は、図1の2矢視拡大図、図3は、図2の3矢視図、図4は、図3の4−4線に沿う断面図、図5は、清掃具を引張した状態の図4と同じ断面図、図6は、清掃具の作用を示す図である。
【0013】
まず、図1〜3を参照して、本発明にかかる清掃具の設けられる濾過器Fについて説明すると、この濾過器Fは、基本的には従来のものと同じ構造を備えており、横断面三角形状の上下方向に長い三角筒状に形成されていて、2つ割りの濾過ケース1を備え、その上部に水中ポンプ2が設けられ、水槽V内のコーナー部に吸盤Aにより着脱可能に取り付けられる。濾過器Fの下部には、水中ポンプ2の吸込側に連通されて水槽V内に開口する吸込口3が設けられ、またその上部に、水中ポンプ2の吐出側に連通する吐出口4が設けられ、その吐出口4には、放水管6が、鉛直軸回りに回動可能に接続されており、この放水管6にジョイント管7を介してシャワー管5が着脱可能に接続される。前記濾過ケース1の濾過室内には濾材が収容されている。そして、前記水中ポンプ2の駆動によれば、水槽V内の未清浄水は、吸込口3より濾過器F内に入り、濾材を通って濾過されたのち、吐出口4よりシャワー管5を通って水槽V内に戻される。
【0014】
つぎに、図1〜3に、図4,5を参照して本発明にかかるシャワー管の清掃具の構造について説明する。
【0015】
シャワー管5は、透明な硬質合成樹脂材により中空の円筒状に形成されており、その基端が開口されてジョイント管7を介して放水管6に着脱可能に連結され、またその先端は端壁8により閉じられている。図3の最も明瞭に示すように、シャワー管5には、そのシャワー管5内に連通する複数のノズル9…が、その長手方向に沿い略等間隔をあけて列設されており、これらのノズル9のシャワー管5への接続端は、シャワー管5の内面に対して直角とされている。シャワー管5内には、清掃子10が往復摺動自在に嵌合されている。この清掃子10は、硬質の合成樹脂材により中空の短円筒状に形成されており、その両端面はその外周面に対して直角であって、その周縁に断面直角な、異物を掻き落とすためのエッジEが形成されている。またこの清掃子10の内径は、前記ジョイント管7の内径と略等しくされていて、放水管6を流れる水が抵抗少なくシャワー管5へ流れるようにされている。
【0016】
清掃子10の内面には、操作棒11の一端が固定されている。この操作棒11は、その固定端より屈曲されて前記シャワー管5内をその中心線に沿うようにストレートに延長されており、前記端壁8の中心孔8Bを貫通してその自由端が、シャワー管5より外部に延出され、そこに球状の摘子12が固定されている。この摘子12を、シャワー管5に向けて押圧すれば、図3,5に示すように、操作棒11は、シャワー管5内を、その中心線上に沿って内方に移動して清掃子10を内方に向けて摺動させることができ、またシャワー管5から離れるように引張すれば、図5に示すように、シャワー管5内を、その中心線上に沿って外方に移動して清掃子10を外方に向けて摺動させることができ。端壁8の外端には環状の凹部8Aが形成され、一方、摘子12の内端には、前記凹部8Aに水密に嵌合し得る環状の突部12Aが形成されていて、図4に示すように、清掃子10が最も内方に押し込まれたとき、すなわち清掃具Cが格納されたとき、突部12Aは、凹部8Aに水密に嵌合して、シャワー管5内の水が外部に漏出しないようにされ、前記凹部8Aと突部12Aとで、シールSが形成される。
【0017】
つぎに、図6を参照して、清掃具Cの作用について説明する。
【0018】
濾過器Fの通常の使用時には、図6(A)に示すように、摘子12は、シャワー管5の先端に水密に嵌合されて清掃具Cは、シャワー管5内の格納されている。水中ポンプの駆動により濾過器Fが運転されると、濾過器Fにより濾過された清浄水は、放水管6よりジョイント管7と通ってシャワー管5内に入り、そこから複数のノズル9…を通って水槽V内に噴射される。このとき、放水管6を回動させ、あるいはシャワー管5自体をジョイント管7回りに回動させることでノズル9…の噴口位置を変更することができる。
【0019】
ところで、濾過器Fの運転継続により、シャワー管5を流れる水の中に混入している苔、藻、ゴミや、シャワー管5が透明なことからその内部に繁殖した苔、藻などの異物がシャワー管5の内部に次第に付着、堆積して複数のノズル9…からの円滑な噴出が妨げられ、あるいはシャワー管5が前記異物により汚損されたときは、図6(B)(C)に示すように、摘子12を把持して清掃具Cをシャワー管5に対して押圧、引張をくりかえせば、清掃子10は、シャワー管5内を往復摺動して、そのエッジEによりシャワー管5の内面に付着、堆積する異物を掻き取って、取り除くことができる。そして掻き取られて微細化した異物は、ノズル9…を通って外部に排出される。
【0020】
以上の清掃操作が終わったら、清掃具Cは、図6(A)に示す格納位置に戻す。
【0021】
以上本発明の実施例について説明したが、本発明はその実施例に限定されることなく、本発明の範囲内で種々の実施例が可能である。
【0022】
たとえば、前記実施例では、水槽内のコーナに取り付けられる内部式濾過器に本発明を実施した場合を説明したが、本発明を他の濾過装置にも実施できることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明シャワー管清掃具を備えた濾過装置を水槽内にセットした状態を示す斜視図
【図2】図1の2矢視拡大図
【図3】図2の3矢視図
【図4】図3の4−4線に沿う断面図
【図5】清掃具を引張した状態の図4と同じ断面図
【図6】清掃具の作用を示す図
【符号の説明】
【0024】
4・・・・・・・・・・・吐出口
5・・・・・・・・・・・シャワー管
7・・・・・・・・・・・ジョイント管
8・・・・・・・・・・・端壁
10・・・・・・・・・・・清掃子
11・・・・・・・・・・・操作棒
12・・・・・・・・・・・摘子
F・・・・・・・・・・・濾過器
S・・・・・・・・・・・シール
V・・・・・・・・・・・水槽

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水槽(V)内の未清浄水を濾過器(F)内に吸引し、その濾過器(F)で濾過した後の清浄水を、濾過器(F)の吐出口(4)に接続したシャワー管(5)を通して水槽(V)内に戻すようにした、水槽用濾過器のシャワー管清掃具であって、
基端が前記吐出口(4)に接続され、先端が端壁(8)により閉鎖された前記シャワー管(5)内に摺動自在に設けられる清掃子(10)と、清掃子(10)に一端が連結されてシャワー管(5)内を通り自由端がシャワー管(5)の端壁(8)を通って外部に突出される操作棒(11)と、この操作棒(11)の自由端に固定される摘子(12)とよりなり、前記清掃子(10)の往復摺動によりシャワー管(5)内に付着する異物を掻き取るようにしたことを特徴とする、水槽用濾過器のシャワー管清掃具。
【請求項2】
前記清掃子(10)は、円筒体よりなり、その内径は、濾過器(F)の吐出口(4)とシャワー管(5)とを接続するジョイント管(7)の内径と略等しくしてあることを特徴とする、前記請求項1記載の水槽用濾過器のシャワー管清掃具。
【請求項3】
前記清掃子(10)に連結される前記操作棒(11)は、前記シャワー管(5)内の中心軸線上を通り、シャワー管(5)の端壁(8)を貫通して前記摘子(12)に連結され、この摘子(12)と端壁(8)との間には、それら間を水密に封緘するシール(S)が設けられていることを特徴とする、前記請求項1 または2記載の水槽用濾過器のシャワー管清掃具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−22229(P2010−22229A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−184849(P2008−184849)
【出願日】平成20年7月16日(2008.7.16)
【出願人】(592011457)
【Fターム(参考)】