説明

水洗い可能なシルク素材の柔軟剤処理方法

【課題】水洗い可能なシルク素材の柔軟剤処理方法を提供する。
【解決手段】本発明は、異種の柔軟剤を配合して処理することによりシルク製品に平滑性を与え、白色度を低下させ、黄変を除去することができる水洗い可能なシルク素材の柔軟剤処理方法に関する。(a)製造されたシルク製品を、地下水または水道水を使用するが、15℃ないし25℃の温度を維持しつつ15ないし20分間浸漬させた後に脱水するステップと、(b)脱水を行った後、製品1kg当たりプロパンジオール、エタンアミニウム(Ethanaminium)、2−アミノ−N−硫酸ヒドロキシエチレン、プロパノール、1,3−ジオキサンからなる第1柔軟剤0.33gと、変性シリコンポリエーテルからなる第2柔軟剤1.30gと、氷酢酸である第3柔軟剤40gとをそれぞれ15リットルの水と混合投入して、回転槽で5ないし15分間回転させるステップと、(c)ステップ(b)を行った後、シルク製品を、地下水または水道水の温度を35℃ないし45℃に維持しつつ15ないし25分間浸漬させた後に脱水するステップと、(d)脱水を行った後、製品1kg当たりプロパンジオール、エタンアミニウム、2−アミノ−N−硫酸ヒドロキシエチレン、プロパノール、1,3−ジオキサンからなる第1柔軟剤0.67gと、変性シリコンポリエーテルからなる第2柔軟剤2.50gと、氷酢酸である第3柔軟剤60gとをそれぞれ15リットルの水と混合投入して、回転槽で5ないし15分間回転させるステップと、(e)脱水及び乾燥ステップと、を含む水洗い可能なシルク製品の柔軟剤処理方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異種の柔軟剤を配合して処理することによりシルク製品に平滑性を与え、白色度を低下させ、黄変を除去することができる水洗い可能なシルク素材の柔軟剤処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に纎維柔軟剤は、繊維の織り目を生かして布を柔らかくし、陰イオンである纎維に陽イオン界面活性剤を吸着させて中和させることにより精電気を防止する機能を行う。また、布の色が褪せることを防止し、洗剤の残渣を残さない役割を行う。最近、しわを防止できるリンクルフリー効果を加えた多機能纎維柔軟剤も市場に現れているが、その機能が単一機能性であるため、シルク製品には適合していない場合が多く、シルク素材の洗濯時にはシルク素材が損傷する場合が大部分である。
通常、シルク製品は、その織り目が非常に柔らかく、かつ敏感であり、実際に水洗いする場合にしわがついたりシルク纎維の表面を損傷させるため、クリーニング屋で蒸気洗濯またはオイル洗濯をしてもらわなければならず、シルク製品の維持管理にコストがかかるという問題点があった。さらに、たとえ柔軟剤を使用するとしても、特に洗濯機を使用して脱水処理を行う場合には布が損傷するという問題点が依然として存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明は、前述のような問題点を解決するために多くの特徴を有する多様な種類の柔軟剤、すなわち少なくとも3種の柔軟剤を適量配合し、適正時間浸漬及び脱水を繰り返す過程を経ることにより、水洗い可能なシルク製品の柔軟剤処理方法を提供することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、前記のような技術的課題を解決するために、(a)製造されたシルク製品を、地下水または水道水を使用するが、15℃ないし25℃の温度を維持しつつ15ないし20分間浸漬させた後に脱水するステップと、(b)前記脱水を行った後、シルク製品1kg当たりプロパンジオール、エタンアミニウム(Ethanaminium)、2−アミノ−N−硫酸ヒドロキシエチレン、プロパノール、1,3−ジオキサンからなる第1柔軟剤0.33gと、変性シリコンポリエーテルからなる第2柔軟剤1.30gと、氷酢酸である第3柔軟剤40gとをそれぞれ15リットルの水と混合投入して、回転槽で5ないし15分間回転させるステップと、(c)前記ステップ(b)を行った後、前記シルク製品を、地下水または水道水の温度を35℃ないし45℃に維持しつつ15ないし25分間浸漬させた後に脱水するステップと、(d)前記脱水を行った後、製品1kg当たりプロパンジオール、エタンアミニウム、2−アミノ−N−硫酸ヒドロキシエチレン、プロパノール、1,3−ジオキサンからなる第1柔軟剤0.67gと、変性シリコンポリエーテルからなる第2柔軟剤2.50gと、氷酢酸である第3柔軟剤60gとをそれぞれ15リットルの水と混合投入して、回転槽で5ないし15分間回転させるステップと、(e)脱水及び乾燥ステップと、を含む水洗い可能なシルク製品の柔軟剤処理方法を提供することを目的とする。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本発明でシルク製品に柔軟性を与えるために使用する3種の柔軟剤は、第1柔軟剤、第2柔軟剤及び第3柔軟剤で表示する。前記第1柔軟剤は、プロパンジオール、エタンアミニウム、2−アミノ−N−硫酸ヒドロキシエチレン、プロパノール、1,3−ジオキサンからなるものであって、バリソフト(商品名:VARI SOFT 222 LM90:ゴ−ルドシュミット社製)であり、第2柔軟剤は変性シリコンポリエーテルからなるソーラーエスアールエス(商品名:SOLA SRS:デボシバ社製)であり、第3柔軟剤は氷酢酸からなるものであることを明らかにする。
本発明では、通常製造されたシルク製品を、水を利用して浸漬させる過程を経るが、このときに使用される水の種類は制限されないが、地下水または水道水を使用することが好ましい。
また、水の浸漬時に使用される水の温度は5℃ないし30℃であることが好ましいが、最も好ましくは15℃ないし25℃を維持しつつ浸漬させることが好ましい。シルク製品の浸漬時間は通常10ないし30分間であるが、最も好ましくは15ないし20分間浸漬させた後に1次脱水を行うことが好ましい。
このようにシルク製品に1次脱水を行った後、シルク製品1kg当たりプロパンジオール、エタンアミニウム、2−アミノ−N−硫酸ヒドロキシエチレン、プロパノール、1,3−ジオキサンからなる第1柔軟剤0.33gと、変性シリコンポリエーテルからなる第2柔軟剤1.30gと、氷酢酸からなる第3柔軟剤40gとをそれぞれ15リットルの水と混合投入し、回転槽で回転させて2次脱水を行う過程を経る。このとき、脱水時間は通常3ないし20分間であるが、好ましくは5ないし15分間回転させて脱水させることが好ましい。
次いで、前記のように第1柔軟剤、第2柔軟剤及び第3柔軟剤と混合投入して2次脱水を行った後、前記シルク製品を再び30℃ないし48℃の地下水または水道水、最も好ましくは35℃ないし45℃の地下水または水道水に15ないし25分間浸漬させた後に3次脱水を行う過程を経る。
前記のようにシルク製品を3回脱水させた後、シルク製品1kg当たりプロパンジオール、エタンアミニウム、2−アミノ−N−硫酸ヒドロキシエチレン、プロパノール、1,3−ジオキサンからなる第1柔軟剤0.67gと、変性シリコンポリエーテルからなる第2柔軟剤2.50gと、氷酢酸からなる第3柔軟剤60gとをそれぞれ15リットルの水と混合投入して回転槽で5ないし15分間回転させ、最後に脱水させた後、シルク製品を通常の乾燥方法で乾燥させることにより柔軟剤の処理過程を終える。
前記のように多様な種類の柔軟剤(第1柔軟剤、第2柔軟剤及び第3柔軟剤)を適量混合し、適正温度の水に浸漬させ、脱水する過程を繰り返すことでシルク素材が柔軟に変化して、水洗いが可能となる。
さらに、本発明でシルク製品に柔軟性を与えるために使用する3種の柔軟剤は第1柔軟剤、第2柔軟剤及び第3柔軟剤で表示する。前記第1柔軟剤は、プロパンジオール、エタンアミニウム、2−アミノ−N−硫酸ヒドロキシエチレン、プロパノール、1,3−ジオキサンからなるものであって、バリソフト(商品名:VARI SOFT 222 LM90:ゴ−ルドシュミット社製)であり、コーティングされた織物の艶気を向上させる機能を行う。また、第2柔軟剤は、変性シリコンポリエーテルからなるソーラーエスアールエス(商品名:SOLA SRS:デボシバ社製)であり、柔軟コーティング処理が微細かつ堅固に行われるようにする機能を行う。また、第3柔軟剤としては氷酢酸を使用することを明らかにする。
引張強度の実験例
本発明による処理方法で処理されたシルクストッキングに対する引張強度を測定した。測定条件は、本発明による処理前の試料は試料1で表示し、本発明による柔軟剤処理方法で処理した試料は試料2で表示した。引張強度の実験はKS K0815:2006 カット・ストリング法に基づいて測定した。
測定結果は、試料1では22(N/3.0cm)であったが、試料2(本発明の処理試料)では26(N/3.0cm)であった。したがって、引張強度が処理前に比べて約18%向上したことを確認することができた。試験結果は下記表1の通りである。
【0006】
【表1】

【0007】
本発明によるシルク製品の柔軟剤処理方法によれば、シルク素材の織り目同士が纏わりつくガムアップ(gum−up)現象が除去され、素材の表面に優れた平滑性を提供するとともに、乾燥時に白色度が低下し、黄変が発生しない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)製造されたシルク製品を、地下水または水道水を使用するが、15℃ないし25℃の温度を維持しつつ15ないし20分間浸漬させた後に脱水するステップと、
(b)前記脱水を行った後、製品1kg当たりプロパンジオール、エタンアミニウム(Ethanaminium)、2−アミノ−N−硫酸ヒドロキシエチレン、プロパノール、1,3−ジオキサンからなる第1柔軟剤0.33gと、変性シリコンポリエーテルからなる第2柔軟剤1.30gと、氷酢酸である第3柔軟剤40gとをそれぞれ15リットルの水と混合投入して、回転槽で5ないし15分間回転させるステップと、
(c)前記ステップ(b)を行った後、前記シルク製品を、地下水または水道水の温度を35℃ないし45℃に維持しつつ15ないし25分間浸漬させた後に脱水するステップと、
(d)前記脱水を行った後、製品1kg当たりプロパンジオール、エタンアミニウム、2−アミノ−N−硫酸ヒドロキシエチレン、プロパノール、1,3−ジオキサンからなる第1柔軟剤0.67gと、変性シリコンポリエーテルからなる第2柔軟剤2.50gと、氷酢酸である第3柔軟剤60gとをそれぞれ15リットルの水と混合投入して、回転槽で5ないし15分間回転させるステップと、
(e)脱水及び乾燥ステップと、を含む水洗い可能なシルク製品の柔軟剤処理方法。

【公表番号】特表2012−506957(P2012−506957A)
【公表日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−533087(P2011−533087)
【出願日】平成20年10月27日(2008.10.27)
【国際出願番号】PCT/KR2008/006325
【国際公開番号】WO2010/050629
【国際公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【出願人】(511104705)
【Fターム(参考)】