説明

水溶性の陰イオンカルボキシレート含有界面活性添加剤を含有する固体の顔料調製物

実質的な成分として(A)少なくとも1つの顔料60〜95質量%、(B)付加的に酸官能基を含有しないビニルモノマーを重合導入して含有することができる、エチレン系不飽和モノカルボン酸および/またはエチレン系不飽和ジカルボン酸のホモポリマーおよびコポリマー、このホモポリマーおよびコポリマーのアルコキシル化生成物ならびにこのホモポリマーおよびコポリマーの塩、ならびにそのアルコキシル化生成物の群からの少なくとも1つの水溶性の陰イオン界面活性添加剤5〜40質量%および(C)ポリエーテルを基礎とする少なくとも1つの非イオン性界面活性添加剤0〜20質量%を含有する固体の顔料調製物、その製造法ならびに高分子量の有機材料および無機材料を着色するための方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実質的な成分として
(A)少なくとも1つの顔料60〜95質量%、
(B)付加的に酸官能基を含有しないビニルモノマーを重合導入して含有することができる、エチレン系不飽和モノカルボン酸および/またはエチレン系不飽和ジカルボン酸のホモポリマーおよびコポリマー、このホモポリマーおよびコポリマーのアルコキシル化生成物ならびにこのホモポリマーおよびコポリマーの塩、ならびにそのアルコキシル化生成物の群からの少なくとも1つの水溶性の陰イオン界面活性添加剤5〜40質量%および
(C)ポリエーテルを基礎とする少なくとも1つの非イオン性界面活性添加剤0〜20質量%を含有する固体の顔料調製物に関する。
【0002】
更に、本発明は、前記の顔料調製物の製造ならびに高分子量の有機材料および無機材料ならびにプラスチックを着色するための前記の顔料調製物の使用に関する。
【0003】
液状系、例えば塗料、ラッカー、分散液インキおよび印刷用インキに顔料添加するために、通常は、水、有機溶剤またはこれらの混合物を含有する顔料調製物が使用される。この顔料調製物には、陰イオン、陽イオン、非イオンまたは両性の分散剤と共に、一般に他の助剤、例えば乾燥防止剤、凍結安定性を上昇させるための薬剤、濃稠化剤および抗被膜剤が安定化のために添加されなければならない。
【0004】
液状調製物の着色特性および分散可能性において比較可能であるが、しかし、記載された添加剤を必要とせず、簡単に取り扱うことができる新規の顔料調製物が必要とされた。しかし、液状調製物が簡単に乾燥することによって、比較可能な使用特性を有する固体の顔料調製物を得ることができるものではない。
【0005】
プラスチックの着色は、最大の色の強さおよび色の作用を達成させるために、プラスチック中の顔料の完全な分散を必要とする。通常使用される粉末顔料の場合、このような分散には、相応するノウハウおよび剪断エネルギーの高い導入量が必要とされるが、このことは、安価である。プラスチック加工で前記ノウハウならびに必要とされる費用がかかりかつ高価な分散装置が使用されない場合には、着色されたプラスチックは、しばしば所謂顔料斑点を有し、即ち分散された顔料凝集物を有さず、この着色されたプラスチックの回転塗布可能性は、劣悪でありおよび/またはこの着色されたプラスチックは、高い圧力フィルター値を有する。従って、しばしば所謂マスターバッチが必要に迫られて使用される。このマスターバッチは、通常、室温で固体の溶融可能なプラスチックマトリックス中の濃縮された固体の顔料調製物であり、この場合このプラスチックマトリックス中には、粉末状の顔料が分散し、ひいては微粒状に分布しており、即ち粉末顔料の分散に必要とされるエネルギーは、既にマスターバッチの製造の際に調達されている。
【0006】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第3914384号明細書には、微粒状の顔料(少なくとも3.9質量%)と共に、塩基性の顔料誘導体およびポリエチレングリコールの燐酸エステルならびにオキソアルコールおよび脂肪アルコールへのアルキレンオキシド付加物の燐酸エステル(最大9.5質量%)を含有し、流動性の印刷用インキおよび原ペースト(Stammpaste)の製造に使用される顔料調製物が記載されている。
【0007】
欧州特許出願公開第1103173号明細書には、なかんずく陰イオン変性されたフェノール/スチレン−ポリグリコールエーテルが種物を着色する固体の顔料調製物のための分散剤として記載されている。しかし、明示して開示された顔料調製物は、水素化ヒマシ油と酸化エチレンとの反応生成物を基礎とする非イオン分散剤だけを含有する。
【0008】
欧州特許出願公開第10035494号明細書の記載から、堆積されたメラミンを有する金属錯体顔料の固体の調製物は、公知である。可能な分散剤としては、陰イオン、陽イオン、両性および非イオン性の分散剤が記載され、明らかに分散剤としては、硫酸塩処理されたエトキシル化脂肪アルコールが使用される。
【0009】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第19905269号明細書には、非イオン性に変性されたフェノール/スチレン−ポリグリコールエーテルまたはエトキシル化ヒマシ油と二次的量の前記エーテルまたはホスホン酸エステルとの混合物を基礎とする分散剤および付加的に絶えず場合によっては部分水素化されたポリビニルアルコールまたは陰イオンポリヒドロキシ化合物を基礎とする濃稠化剤を含有し、水溶性の使用媒体の顔料添加に使用される固体の顔料調製物が記載されている。
【0010】
欧州特許出願公開第256427号明細書の記載は、アルキルグリコールエーテルスルフェートならびに硫酸塩が常に過剰量で存在する、場合によってはオキシエチル化された脂肪アルコールの燐酸エステルを基礎とする陰イオン分散剤の混合物を含有する、化粧品のための顔料調製物に関する。
【0011】
更に、公開されていないドイツ連邦共和国特許出願公開第10227657号明細書およびドイツ連邦共和国特許出願公開第10233081号明細書には、ポリエーテルの燐酸エステル、ホスホン酸エステル、硫酸エステルおよび/またはスルホン酸エステルおよびこれらの塩を基礎とする陰イオンの界面活性添加剤を含有する固体の顔料調製物、ならびに高分子量の有機材料および無機材料ならびにプラスチックを着色するための前記顔料調製物の使用が記載されている。
【0012】
最後に、欧州特許出願公開第58865号明細書の記載から、多価金属カチオンを有する陰イオンポリマーの非水溶性の塩を顔料粒子上に沈殿させることによって製造される顔料調製物は、公知である。
【0013】
本発明は、全体的に好ましい使用特性、殊に高い色の強さおよび多種多様の使用媒体中での特に簡単な分散可能性を示す固体の顔料調製物を提供するという課題に基づくものであった。
【0014】
それに応じて、実質的な成分として
(A)少なくとも1つの顔料60〜95質量%、
(B)付加的に酸官能基を含有しないビニルモノマーを重合導入して含有することができる、エチレン系不飽和モノカルボン酸および/またはエチレン系不飽和ジカルボン酸のホモポリマーおよびコポリマー、このホモポリマーおよびコポリマーのアルコキシル化生成物ならびにこのホモポリマーおよびコポリマーの塩、ならびにそのアルコキシル化生成物の群からの少なくとも1つの水溶性の陰イオン界面活性添加剤5〜40質量%および
(C)ポリエーテルを基礎とする少なくとも1つの非イオン性界面活性添加剤0〜20質量%を含有する固体の顔料調製物が見い出された。
【0015】
更に、顔料(A)を最初に添加剤(B)および場合によっては添加剤(C)の少なくとも一部分を含有する水性懸濁液中で湿式微粉砕し、次にこの懸濁液を場合によっては残存量の添加剤(B)および場合によっては(C)の添加後に乾燥することによって特徴付けられる、顔料調製物の製造法が見い出された。
【0016】
更に、前記の顔料調製物を前記の高分子量の有機材料および無機材料中に攪拌混入するかまたは振盪混入することによって搬入することによって特徴付けられる、高分子量の有機材料および無機材料の着色法が見い出された。
【0017】
最後に、前記の顔料調製物を押出、ロール塗布、混練または微粉砕によってプラスチック中に混入することによって特徴付けられる、プラスチックの着色法が見い出された。
【0018】
本発明による顔料調製物は、実質的な成分として顔料(A)および水溶性の陰イオン界面活性添加剤(B)ならびに望ましい場合には付加的に非イオン性添加剤(C)を含有する。
【0019】
成分(A)として、本発明による顔料調製物中には有機顔料または無機顔料が含有されていてよい。勿論、顔料調製物は、種々の有機顔料もしくは種々の無機顔料または有機顔料と無機顔料の混合物を含有することができる。
【0020】
顔料は、微粒状の形で存在する。それに応じて、顔料は、通常、0.1〜5μmの平均粒径を有する。
【0021】
有機顔料は、通常、有機彩色顔料および有機黒色顔料である。無機顔料は、同様に着色顔料(彩色顔料、黒色顔料および白色顔料)ならびに光沢顔料および通常充填剤として使用される無機顔料であってよい。
【0022】
以下、適当な有機着色顔料の例として次のものが挙げられる:
− モノアゾ顔料:カラーインデックス顔料ブラウン25;
カラーインデックス顔料オレンジ5、13、36、38、64および 67;
カラーインデックス顔料レッド1、2、3、4、5、8、9、12、 17、22、23、31、48:1、48:2、48:3、48:4 、49、49:1、51:1、52:1、52:2、53、53:1 、53:3、57:1、58:2、58:4、63、112、146 、148、170、175、184、185、187、191:1、 208、210、245、247および251;
カラーインデックス顔料イエロー1、3、62、65、73、74、 97、120、151、154、168、181、183および19 1;
カラーインデックス顔料バイオレット32;
− ジアゾ顔料: カラーインデックス顔料オレンジ16、34、44および72;
カラーインデックス顔料イエロー12、13、14、16、17、8 1、83、106、113、126、127、155、174、17 6、180および188;
− ジアゾ縮合
顔料: カラーインデックス顔料イエロー93、95および128;
カラーインデックス顔料レッド144、166、214、220、2 21、242および262;
カラーインデックス顔料ブラウン23および41;
− アンタントロン
顔料: カラーインデックス顔料レッド168;
− アントラキノン
顔料: カラーインデックス顔料イエロー147、177および199;
カラーインデックス顔料バイオレット31;
− アントラピリミ
ジン顔料: カラーインデックス顔料イエロー108:
− キナクリドン
顔料: カラーインデックス顔料オレンジ48および49;
カラーインデックス顔料レッド122、202、206および209 ;
カラーインデックス顔料バイオレット19;
− キノフタロン
顔料: カラーインデックス顔料イエロー138;
− ジケトピロロ
ピロール顔料:カラーインデックス顔料オレンジ71、73および81;
カラーインデックス顔料レッド254、255、264、270およ び272;
− ジオキサジン
顔料: カラーインデックス顔料バイオレット23および37;
カラーインデックス顔料ブルー80;
− フラバントロン
顔料: カラーインデックス顔料イエロー24;
− インダントロン
顔料: カラーインデックス顔料ブルー60および64;
− イソインドリン
顔料: カラーインデックス顔料オレンジ61および69;
カラーインデックス顔料レッド260;
カラーインデックス顔料イエロー139および185;
− イソインドリノン
顔料: カラーインデックス顔料イエロー109、110および173;
− イソビオラン
トロン顔料: カラーインデックス顔料バイオレット31;
− 金属錯体
顔料: カラーインデックス顔料レッド257;
カラーインデックス顔料イエロー117、129、150、153お よび177;
カラーインデックス顔料グリーン8;
− ペリノン顔料:カラーインデックス顔料オレンジ43;
カラーインデックス顔料レッド194;
− ペリレン顔料:カラーインデックス顔料ブラック31および32;
カラーインデックス顔料レッド123、149、178、179、1 90および224;
カラーインデックス顔料バイオレット29;
− フタロシアニン
顔料: カラーインデックス顔料ブルー15、15:1、15:2、15:3 、15:4、15:6および16;
カラーインデックス顔料グリーン7および36;
− ピラントロン
顔料: カラーインデックス顔料オレンジ51;
カラーインデックス顔料レッド216;
− ピラゾロキナゾロン
顔料: カラーインデックス顔料オレンジ67;
カラーインデックス顔料レッド251;
− チオインジゴ
顔料: カラーインデックス顔料レッド88および181;
カラーインデックス顔料バイオレット38;
− トリアリールカルボニウム
顔料: カラーインデックス顔料ブルー1、61および62;
カラーインデックス顔料グリーン1;
カラーインデックス顔料レッド81、81:1および169;
カラーインデックス顔料バイオレット1、2、3および27;
− カラーインデックス顔料ブラック1(アニリンブラック);
− カラーインデックス顔料イエロー101(アルダシンイエロー(Aldazingelb));
− カラーインデックス顔料ブラウン22。
【0023】
適当な無機顔料は、例えば次の通りである:
− 白色顔料: 二酸化チタン(カラーインデックス顔料ホワイト6)、亜鉛白、顔料 酸化亜鉛;硫化亜鉛、リトポン;
− 黒色顔料: 酸化鉄黒(カラーインデックス顔料ブラック11)、鉄−マンガン黒 、スピネル黒(カラーインデックス顔料ブラック27);カーボンブ ラック(カラーインデックス顔料ブラック7);
− 彩色顔料: 酸化クロム、酸化クロム水和物グリーン;クロムグリーン(カラーイ ンデックス顔料グリーン48);コバルトグリーン(カラーインデッ クス顔料グリーン50);ウルトラマリーングリーン;
コバルトブルー(カラーインデックス顔料ブルー28および36;カ ラーインデックス顔料ブルー72);
ウルトラマリーンブルー;マンガンブルー;
ウルトラマリンバイオレット;コバルトバイオレットおよびマンガン バイオレット;
酸化鉄赤(カラーインデックス顔料レッド101);カドミウムスル ホセレニド(カラーインデックス顔料レッド108);硫化セリウム (カラーインデックス顔料レッド265);モリブデン酸塩レッド( カラーインデックス顔料レッド104);ウルトラマリーンレッド;
酸化鉄ブラウン(カラーインデックス顔料ブラウン6および7)、混 合ブラウン、スピネル相およびコランダム相(カラーインデックス顔 料ブラウン29、31、33、34、35、37、39および40) 、クロムチタンイエロー(カラーインデックス顔料ブラウン24)、 クロムオレンジ;
硫化セリウム(カラーインデックス顔料オレンジ75);
酸化鉄黄(カラーインデックス顔料イエロー42);ニッケルチタンイエロー(カラーインデックス顔料イエロー53;カラーインデックス顔料157、158、159、160、161、163、164および189);クロムチタンイエロー;スピネル相(カラーインデックス顔料イエロー119);硫化カドミウムおよびカドミウム亜鉛スルフィド(カラーインデックス顔料イエロー37および35);クロムイエロー(カラーインデックス顔料イエロー34);バナジン酸ビスマス(カラーインデックス顔料イエロー184)。
【0024】
通常、充填剤として使用される無機顔料の例としては、透明な二酸化ケイ素、石英粉、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、天然雲母、天然白亜および沈降白亜ならびに硫酸バリウムが記載される。
【0025】
光沢顔料は、単相または多相に形成された小板状の顔料であり、この顔料の色の遊びは、干渉現象、反射現象および吸収現象の組み合わさった遊びによって顕著になる。例としては、アルミニウム小板ならびに1回または数回、殊に金属酸化物で被覆されたアルミニウム小板、酸化鉄小板および雲母小板が挙げられる。
【0026】
本発明による固体の顔料調製物は、成分(B)として付加的に酸官能基を含有しないビニルモノマーを重合導入して含有していてよい、エチレン系不飽和モノカルボン酸および/またはエチレン系不飽和ジカルボン酸のホモポリマーおよびコポリマー、これらのホモポリマーおよびコポリマーのアルコキシル化生成物ならびにこれらのホモポリマーおよびコポリマーの塩およびそのアルコキシル化生成物の群からの水溶性の陰イオン界面活性添加剤を含有する。
【0027】
カルボキシル基含有モノマーおよびビニルモノマーの例としては、次のものが挙げられる:
− アクリル酸、メタクリル酸およびクロトン酸;
− マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノエステル、マレイン酸モノアミド、アミノオキシド基含有誘導体に酸化されていてよい、マレイン酸とジアミンとの反応生成物およびフマル酸、この場合マレイン酸、無水マレイン酸およびマレイン酸モノアミドが好ましく;
− ビニル芳香族化合物、例えばスチレン、メチルスチレンおよびビニルトルエン;エチレン、プロピレン、イソブテン、ジイソブテンおよびブタジエン;ビニルエーテル、例えばポリエチレングリコールモノビニルエーテル;直鎖状または分枝鎖状のモノカルボン酸のビニルエステル、例えば酢酸ビニルおよびプロピオン酸ビニル;エチレン系不飽和モノカルボン酸のアルキルエステルおよびアリールエステル、殊にアクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートおよびヒドロキシエチル(メタ)アクリレートならびにフェニル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレートおよびベンジル(メタ)アクリレート;エチレン系不飽和ジカルボン酸のジアルキルエステル、例えばジメチルマレエート、ジエチルマレエート、ジプロピルマレエート、ジイソプロピルマレエート、ジブチルマレエート、ジペンチルマレエート、ジヘキシルマレエート、ジ−2−エチルヘキシルマレエート、ジノニルマレエート、ジラウリルマレエートおよびジ−2−ヒドロキシエチルマレエートならびにジメチルフマレート、ジエチルフマレート、ジプロピルフマレート、ジイソプロピルフマレート、ジブチルフマレート、ジペンチルフマレート、ジヘキシルフマレート、ジ−2−エチルヘキシルフマレート、ジノニルフマレート、ジラウリルフマレートおよびジ−2−ヒドロキシエチルフマレート;ビニルピロリドン;アクリルニトリルおよびメタクリルニトリル、この場合スチレン、イソブテン、ジイソブテン、アクリル酸エステルおよびポリエチレングリコールモノビニルエーテルが好ましい。
【0028】
前記モノマーの好ましいホモポリマーの例としては、殊にポリアクリル酸を挙げることができる。記載されたモノマーのコポリマーは、2個またはそれ以上、殊に3個の異なるモノマーから形成されていてよい。ランダムなコポリマー、交互のコポリマー、ブロックコポリマーおよびグラフトコポリマーが存在することができる。好ましいコポリマーとしては、それぞれ付加的なモノマー成分としてアクリル酸エステルおよび/またはマレイン酸エステルを含有することができる、スチレン/アクリル酸コポリマー、アクリル酸/マレイン酸コポリマー、アクリル酸/メタクリル酸コポリマー、ブタジエン/アクリル酸コポリマー、イソブテン/マレイン酸コポリマー、ジイソブテン/マレイン酸コポリマーおよびスチレン/マレイン酸コポリマーが挙げられる。
【0029】
特に、アルコキシル化されていないホモポリマーおよびコポリマーのカルボキシル基は、少なくとも部分的に塩の形で存在し、水溶性を保証する。適当なのは、例えばアルカリ金属塩、例えばナトリウム塩およびカリウム塩ならびにアンモニウム塩である。
【0030】
通常、アルコキシル化されていない高分子量添加剤(B)は、900〜250000の平均分子量Mを有する。勿論、個々のポリマーにとって特に好適な分子量範囲は、個々のポリマーの組成に依存する。以下、種々のポリマーに関して、例示的に分子量が記載される:ポリアクリル酸:900〜250000のM;スチレン/アクリル酸コポリマー:1000〜50000のM;アクリル酸/メタクリル酸コポリマー:1000〜250000のM;アクリル酸/マレイン酸コポリマー:2000〜70000のM
【0031】
また、カルボキシル基含有ポリマーそれ自体と共に、そのアルコキシル化生成物も添加剤(B)として特に重要である。
【0032】
これは、本発明によれば、なかんずく一部分ないし(可能である限り)完全にポリエーテルアルコールでエステル化されたポリマーを含む。一般に、このポリマーのエステル化度は、30〜80モル%である。
【0033】
エステル化に適しているのは、殊にポリエーテルアルコールそれ自体、特にポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコール、ならびにこれらの片側が末端基封鎖された誘導体、なかんずく相応するモノエーテル、例えばモノアリールエーテル、例えばモノフェニルエーテルおよび殊にモノ−C〜C26−アルキルエーテル、例えば脂肪アルコールでエーテル化されたエチレングリコールおよびプロピレングリコール、ならびに例えば相応するポリエーテルアルコールの末端OH基の変換または特に第1脂肪族アミンへのアルキレンオキシドの重付加によって製造可能であるポリエーテルアミンである。この場合、好ましいのは、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールモノエーテルおよびポリエーテルアミンである。使用されるポリエーテルアルコールおよびその誘導体の平均分子量Mは、通常、200〜10000である。
【0034】
添加剤(B)の界面活性の性質は、極性基と非極性基との比を制御することによって意図的に調節することができる。
【0035】
この種の陰イオン界面活性添加剤(B)は、同様に公知であり、市場で、例えばSokalan(登録商標)(BASF)、Joncryl(登録商標)(Johnson Polymer)、Alcosperse(登録商標)(ALco)、Geropon(登録商標)(Rhodia)、Good-Rite(登録商標)(Goodrich)、Neoresin(登録商標)(Avecia)、Orotan(登録商標)およびMorez(登録商標)(Rohm & Haas)、Disperbyk(登録商標)(Byk)ならびにTegosperse(登録商標)(Goldschmidt)の名称で得ることができる。
【0036】
本発明による顔料調製物は、付加的になおポリエーテルを基礎とする非イオン性の界面活性添加剤を成分(C)として含有することができる。
【0037】
混合されていないポリアルキレンオキシド、有利にC〜C−アルキレンオキシドおよびフェニル置換されたC〜C−アルキレンオキシド、殊にポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドおよびポリ(フェニルエチレンオキシド)と共に、なかんずくブロックコポリマー、殊にポリプロピレンオキシドブロックおよびポリエチレンオキシドブロックを有するポリマーまたはポリ(フェニルエチレンオキシド)ブロックおよびポリエチレンオキシドブロックを有するポリマーならびに前記のアルキレンオキシドのランダムなコポリマーが適している。
【0038】
前記のポリアルキレンオキシドは、アルキレンオキシドを、それぞれアルキル、殊にC〜C12−アルキル、有利にC〜C12−アルキルまたはC〜C−アルキルによって置換されていてよい、開始剤分子、例えば飽和または不飽和の脂肪族アルコールおよび芳香族アルコール、フェノールまたはナフトール、飽和または不飽和の脂肪族アミンおよび芳香族アミン、飽和または不飽和の脂肪族カルボン酸およびカルボン酸アミドに重付加することによって得ることができる。通常、開始剤分子1モル当たりアルキレンオキシド1〜300モル、有利に3〜150モルが使用される。
【0039】
この場合、適当な脂肪族アルコールは、一般に6〜26個のC原子、有利に8〜18個のC原子を有し、非分枝鎖状、分枝鎖状または環状に形成されていてよい。例としては、オクタノール、ノナノール、デカノール、イソデカノール、ウンデカノール、ドデカノール、2−ブチルオクタノール、トリデカノール、イソトリデカノール、テトラデカノール、ペンタデカノール、ヘキサデカノール(セチルアルコール)、2−ヘキシルデカノール、ヘプタデカノール、オクタデカノール(ステアリルアルコール)、2−ヘプチルウンデカノール、2−オクチルデカノール、2−ノニルトリデカノール、2−デシルテトラデカノール、オレイルアルコールおよび9−オクタデセノールならびに前記アルコール、例えばC/C10−アルコール、C13/C15−アルコールおよびC16/C18−アルコールの混合物、ならびにシクロペンタノールおよびシクロヘキサノールが挙げられる。特に重要であるのは、天然の原料から脂肪分解および還元によって取得される飽和脂肪アルコールおよび不飽和脂肪アルコール、ならびにオキソ合成からの合成脂肪アルコールである。前記アルコールへのアルキレンオキシド付加物は、通常、200〜5000の平均分子量Mを有する。
【0040】
上記の芳香族アルコールの例としては、非置換のフェノールならびにα−ナフトールおよびβ−ナフトールと共に、ヘキシルフェノール、ヘプチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、イソノニルフェノール、ウンデシルフェノール、ドデシルフェノール、ジブチルフェノールおよびトリブチルフェノールならびにジノニルフェノールが挙げられる。
【0041】
適当な脂肪族アミンは、上記の脂肪族アルコールに相当する。また、この場合、有利に14〜20個のC原子を有する飽和脂肪アミンおよび不飽和脂肪アミンは、特に重要である。芳香族アミンとしては、例えばアニリンおよびその誘導体が挙げられる。
【0042】
脂肪族カルボン酸としては、殊に有利に14〜20個のC原子を有する飽和脂肪酸および不飽和脂肪酸、および水素化された樹脂酸、部分水素化された樹脂酸および水素化されていない樹脂酸ならびに多価カルボン酸、例えばジカルボン酸、例えばマレイン酸が適している。
【0043】
適当なカルボン酸アミドは、前記カルボン酸に由来する。
【0044】
1価のアミンおよびアルコールへのアルキレンオキシド付加物と共に、少なくとも2官能価アミンおよびアルコールへのアルキレンオキシド付加物は、特に重要である。
【0045】
少なくとも2官能価のアミンとしては、殊に式HN−(R−NR−H(R:C〜C−アルキレン;R:水素またはC〜C−アルキル;n:1〜5)に相当する2価ないし5価のアミンが好ましい。詳細には、例示的に次のものが挙げられる:エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、プロピレンジアミン−1,3、ジプロピレントリアミン、3−アミノ−1−エチレンアミノプロパン、ヘキサメチレンジアミン、ジヘキサメチレントリアミン、1,6−ビス−(3−アミノプロピルアミン)−ヘキサンおよびN−メチルジプロピレントリアミン、この場合ヘキサメチレンジアミンおよびジエチレントリアミンは、特に好ましく、エチレンジアミンは、殊に好ましい。
【0046】
有利に、前記アミンは、最初にプロピレンオキシドと反応され、引続きエチレンオキシドと反応される。エチレンオキシドに対するブロックコポリマーの含量は、通常、約10〜90質量%である。
【0047】
多価アミンを基礎とするブロックコポリマーは、一般に1000〜40000、有利に1500〜30000の平均分子量Mnを有する。
【0048】
少なくとも2官能価のアルコールとしては、2価ないし5価のアルコールが好ましい。例えば、C2〜C6−アルキレングリコールおよび相応するジアルキレングリコールおよびポリアルキレングリコール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール−1,2およびプロピレングリコール−1,3、ブチレングリコール−1,2およびブチレングリコール−1,4、ヘキシレングリコール−1,6、ジプロピレングリコールおよびポリエチレングリコール、グリセリンおよびペンタエリトリットが挙げられ、この場合エチレングリコールおよびポリエチレングリコールは、特に好ましく、プロピレングリコールおよびジプロピレングリコールは、殊に好ましい。
【0049】
少なくとも2官能価のアルコールへの特に好ましいアルキレンオキシド付加物は、中心のポリプロピレンオキシドブロックを有し、即ちプロピレングリコールまたはポリプロピレングリコールから出発し、このプロピレングリコールまたはポリプロピレングリコールは、最初に他のプロピレンオキシドと反応され、次にエチレンオキシドと反応される。エチレンオキシドに対するブロックコポリマーの含量は、通常、10〜90質量%である。
【0050】
多価アルコールを基礎とするブロックコポリマーは、一般に1000〜20000、有利に1000〜15000の平均分子量Mnを有する
この種のアルキレンオキシドブロックコポリマーは、公知であり、市場で、例えばTetronic(登録商標)およびPluronic(登録商標)(BASF)の名称で入手することができる。
【0051】
本発明による顔料調製物は、成分(A)60〜95質量%、成分(B)5〜40質量%および成分(C)0〜20質量%を含有する。
【0052】
本発明による含量調製物は、非イオン性添加剤(C)を含有せず、したがって含有されている顔料の種類に応じて、次の組成が好ましい:
有機顔料(A)70〜90質量%、殊に70〜85質量%および添加剤(B)10〜30質量%、殊に15〜30質量%;
透明な酸化鉄顔料(A)60〜80質量%、殊に60〜75質量%および添加剤(B)20〜40質量%、殊に25〜40質量%;
無機顔料(A)70〜95質量%、殊に75〜95質量%(透明な酸化鉄顔料を除外する)および添加剤(B)5〜30質量%、殊に5〜25質量%。
【0053】
非イオン性の添加剤(C)が含有されている場合には、本発明による顔料調製物の組成は、有利に顔料(A)60〜85質量%、陰イオン添加剤(B)5〜20質量%および非イオン性添加剤(C)5〜15質量%である。
【0054】
本発明による顔料調製物は、有利に同様に本発明による製造方法により、顔料(A)を最初に添加剤(B)の少なくとも一部分および場合によっては添加剤(C)の少なくとも一部分を含有する水性懸濁液中で湿式微粉砕し、次にこの懸濁液を場合によっては残存量の添加剤(B)および場合によっては(C)の添加後に乾燥することにより得ることができる。
【0055】
顔料(A)は、本発明による方法の場合には、乾燥粉末として使用されてもよいし、プレスケーキの形で使用されてもよい。
【0056】
使用される顔料(A)は、特に仕上げ加工された製品であり、即ち顔料の一次粒径は、既に使用に望ましい値に調節されている。この顔料の仕上げ加工は、殊に有機顔料の場合に推奨される。それというのも、顔料の合成の際に生じる粗製製品は、一般に直接には使用に不適当であるからである。無機顔料、例えば酸化物顔料およびバナジン酸ビスマス顔料の場合、一次粒径は、顔料の合成の際にも調節され、したがって生じる顔料懸濁液は、本発明による方法の場合には、直接に使用されてよい。
【0057】
仕上げ加工された顔料(A)は、乾燥の際に通常再び再凝集するかまたは濾過装置上で通常再び再凝集するので、この仕上げ加工された顔料(A)は、水性懸濁液中で湿式微粉砕され、例えば撹拌機ボールミル中で微粉砕される。
【0058】
湿式微粉砕の場合、完成した顔料調製物中に含有されている添加剤(Bおよび場合によってはC)の少なくとも一部分が存在しているべきであり、有利には、全体量の添加剤(Bおよび場合によってはC)が湿式微粉砕前に添加される。
【0059】
選択された乾燥の種類−噴霧造粒および渦動層乾燥、噴霧乾燥、パドル型乾燥器中での乾燥、蒸発および引続く微粉砕−に依存して、本発明による顔料調製物の粒径は、意図的に調節されることができる。
【0060】
噴霧造粒および渦動層造粒の場合には、50〜5000μm、殊に100〜1000μmの平均粒径を有する粗粒状の顆粒を得ることができる。通常、20μm未満の平均粒径を有する顆粒は、噴霧乾燥によって得ることができる。微粒状の調製物は、パドル型乾燥器中での乾燥の場合ならびに蒸発および引続く微粉砕の場合に得ることができる。しかし、本発明による顔料調製物は、好ましくは顆粒の形で存在する。
【0061】
噴霧造粒は、有利に一物質ノズルを備えた噴霧塔中で実施される。この場合、懸濁液は、大きな液滴の形で噴霧され、その際水が蒸発する。添加剤は、乾燥温度で溶融し、こうして特に平滑な表面を有する、十分に球状の顆粒が形成される(一般に15m/g以下、殊に10m/g以下のBET値)。
【0062】
噴霧塔中でのガス入口温度は、一般に180〜300℃、有利に150〜300℃である。ガス出口温度は、一般に70〜150℃、有利に70〜130℃である。
【0063】
得られた顆粒状顔料の残留湿分は、有利に2質量%未満である。
【0064】
本発明による顔料調製物は、液相を有する使用媒体中への使用の際に液状顔料調製物と比較可能な卓越した彩色特性、殊に色の強さおよび輝き、色調および印刷能力、なかんずく作用のかき混ぜ(Stir-in-Verhalten)を示し、即ち本発明による顔料調製物は、極めて僅かなエネルギーを搬入することで簡単な攪拌混入または振盪混入によって使用媒体中に分布させることができる。これは、本発明による顔料調製物の好ましい実施態様である粗粒状の顆粒状顔料に当てはまる。
【0065】
その上、本発明による顔料調製物は、液状の顔料調製物と比較して次の利点を有する:本発明による顔料調製物は、よりいっそう高い顔料含量を有する。液状調製物は、貯蔵の際に粘度変化の傾向を有し、保存剤および凍結安定性および/または乾燥安定性を上昇させる薬剤を添加しなければならず、一方、本発明による顔料調製物は、極めて良好な貯蔵安定性を示す。この本発明による顔料調製物は、包装、貯蔵および輸送に関連して経済的および生態学的に有利である。本発明による顔料調製物は、溶剤を含有していないので、この本発明による顔料調製物は、使用の際によりいっそう高い柔軟性を有する。
【0066】
顆粒の形の本発明による顔料調製物は、顕著な摩滅強さ、僅かなコンパクト化傾向または団塊化傾向、均一な粒子分布、良好な堆積能力、良好な細流能力および良好な計量供給能力ならびに取扱いおよび塗布の際の良好なダスト自由度を示す。
【0067】
本発明による顔料調製物は、全ての種類の高分子量有機材料および高分子無機材料の着色に卓越して好適である。この場合、液状の使用媒体は、純粋に水性であることができ、水と有機溶剤、例えばアルコールとの混合物を含有するができるかまたは有機溶剤、例えばアルコール、グリコールエーテル、ケトン、例えばメチルエチルケトン、アミド、例えばN−メチルピロリドンおよびジメチルホルムアミド、エステル、例えば酢酸エチルエステルおよび酢酸ブチルエステルならびにメトキシプロピルアセテート、芳香族炭化水素または脂肪族炭化水素、例えばキシレン、鉱油およびガソリンに基づくものであるにすぎない。
【0068】
望ましい場合には、前記調製物は、最初にそれぞれの使用媒体と相容性の溶剤中に攪拌混入されることができ、このことは、再び極めて僅かなエネルギー搬入量で可能であり、さらに前記使用媒体中に搬入されることができる。即ち、例えば水性系に合わせた顔料調製物を炭化水素を基礎とする系またはニトロセルロースを基礎とする系と相容性にするために、グリコール中または塗料工業で通常の他の溶剤、例えばメトキシプロピルアセテート中の顔料調製物の懸濁液を使用することができる。
【0069】
本発明による顔料調製物で着色することができる材料の例としては、次のものが挙げられる:塗料、例えば家庭用塗料、工業用塗料、車両用塗料、放射線硬化可能な塗料;エクステリアの範囲ならびにインテリアの範囲のための塗料、例えば木材用塗料、漆喰塗り、洗浄できない水性塗料、エマルションペイント;印刷用インキ、例えばオフセット印刷用インキ、フレキソ印刷用インキ、トルエングラビアインキ、繊維製品印刷用インキ、放射硬化可能な印刷用インキ;インキ、インキジェット印刷用インキ;カラーフィルター;建築材料(通常、建築材料および顆粒状顔料を乾式混合した後に初めて水を添加する)、例えば珪酸塩漆喰系、セメント、コンクリート、モルタル、石膏;アスファルト、パッキン材料;セルロース含有材料、例えば紙、ボール紙、厚紙、木材および塗装されていてもよいし、別の方法で被覆されていてもよい組立材木製品;接着剤;例えば製薬工業で使用されるような皮膜形成性高分子量保護コロイド;化粧製品;洗剤。
【0070】
また、本発明による顔料調製物は、顕著にプラスチックの着色に好適である。この場合、例示的に次のプラスチックの種類およびプラスチックの型が挙げられる:
− 一部変化を加えた天然材料:
熱硬化性プラスチック、例えばカゼイン−プラスチック;熱可塑性樹脂、例えば硝酸セルロース、酢酸セルロース、セルロース混合エステルおよびセルロースエーテル;
− 合成プラスチック:
重縮合物:熱硬化性樹脂、例えばフェノール樹脂、尿素樹脂、チオ尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アリル樹脂、シリコーン、ポリイミドおよびポリベンズイミダゾール;
熱可塑性樹脂、例えばポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホンおよびポリビニルアセテート;
ポリマー:熱可塑性樹脂、例えばポリオレフィン、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテンおよびポリ−4−メチル−1−ペンテン、イオノマー、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリルニトリル、ポリスチレン、ポリアセタール、弗素化プラスチック、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテートおよびポリ−p−キシリレンならびにコポリマー、例えばエチレン/ビニルアセテートコポリマー、スチレン/アクリルニトリルコポリマー、アクリルニトリル/ブタジエン/スチレンコポリマー、ポリエチレングリコールテレフタレートおよびポリブチレングリコールテレフタレート;
重付加物:熱硬化性樹脂、例えばエポキシ樹脂および架橋性ポリウレタン;熱可塑性樹脂、例えば直鎖状ポリウレタンおよび塩素化ポリエーテル。
【0071】
プラスチックは、有利に僅かなエネルギー搬入下に、例えば共通の押出(特に、一軸押出機または二軸押出機)、ロール塗布、混練および微粉砕によって本発明による顔料調製物で着色されることができる。この場合、このプラスチックは、プラスチック材料または溶融液として存在することができ、プラスチック形成体、フィルムおよび繊維に加工されることができる。
【0072】
本発明による顔料調製物は、プラスチックの着色の場合にも全体的に好ましい使用特性、なかんずく良好な彩色特性、殊に色の濃い強さおよび高い輝き、ならびに本発明による顔料調製物で着色されたプラスチックの良好なレオロジー特性、殊に低い圧力フィルター値(高いフィルター可使時間)および良好な紡糸可能性を示す。
【0073】
実施例
本発明による顔料調製物の製造および試験
水150g中の仕上げ加工された顔料(A) xg、添加剤(B) ygおよび場合によっては添加剤(C) zgの懸濁液(7未満のpH値の際に、25質量%の苛性ソーダ液の添加によってpH値を7に調節した)をボールミル中で1μm未満のd50値に微粉砕し、次に実験室用噴霧塔(MIni Spray Dryer B-191, Buechi社;ガス入口温度170℃、ガス出口温度70℃)中で噴霧乾燥した。
【0074】
前記顔料調製物の色の強さを比色法で白色力(Weissaufhellung)(色当量(Faerbeaequivalente)FAEの記載、DIN55986)について水性エマルションペイント中で測定した。そのために、それぞれ顔料調製物1.25gおよび16.4質量%の白色顔料含量を有するスチレン/アクリレートを基礎とする水性の試験結合剤50g(TiO、Kronos 2043)(試験結合剤00−1067, BASF)の混合物を高速撹拌機を備えた150mlのプラスチック容器中で1500r.p.m.で3分間均質化した。次に、得られた着色剤を100μmの螺旋形のナイフ(Spiralrakel)で白/黒の試験厚紙上に塗布し、30分間乾燥させた。
【0075】
この場合、本発明による顔料調製物は、顔料のそれぞれ同様の市販の水性調製物と比較可能な色の強さを示した。
【0076】
次表中には、製造された顔料調製物の組成が記載されている。この場合、添加剤(B)および(C)の含量は、ポリマーが溶液で使用される場合に、溶解されたポリマーそれ自体に対するものである。添加剤(B)および(C)としては、次のものが使用された:
B1:無水マレイン酸50質量%とジイソブテン50質量%とからなるコポリマーの水溶液(固体含量:25%;pH値:10;M:12000)
B2:ポリアクリル酸の水溶液(固体含量:45%;pH値:8.5;M:4000)
B3:メタクリル酸70質量%とアクリル酸30質量%とからなるコポリマーの水溶液(固体含量:25%;pH値:2;M:20000)
B4:アクリル酸70質量%と無水マレイン酸30質量%とからなるコポリマーの水溶液(固体含量:90%;pH値:8;M:70000)
B5:無水マレイン酸50質量%とエトキシル化されたC12/C14−脂肪アルコール(7 EO/モル アルコール)と反応されたイソブテン50質量%とからなるコポリマーの水溶液(固体含量:45%;pH値:7.5;M:3000)
B6:ポリエチレングリコール(M)と反応されたポリメタクリル酸の水溶液(固体含量:40%;pH値:7;M:20000)
B7:イソブテン30質量%と無水マレイン酸70質量%とからなるコポリマーの水溶液(固体含量:44%;pH値:7.5;M:4000)
B8:ポリアクリル酸の水溶液(固体含量:45%;pH値:8;M:1000)
B9:ポリアクリル酸の水溶液(固体含量:45%;pH値:8;M:30000)
B10:スチレン50質量%とポリエチレングリコール(M500)と反応された無水マレイン酸50質量%とからなるコポリマーの水溶液(固体含量:43%;pH値:8;M:10000)
B11:無水マレイン酸50モル%とビニルポリエチレンオキシド50モル%とからなるコポリマーの水溶液(固体含量:40%;pH値:7;M:20000)
B12:イソブテン40モル%とマレイン酸47モル%とC18−オレフィン3モル%とからなるコポリマーの水溶液(固体含量:25%;pH値:8;M:10000)
C:40質量%のエチレンオキシド含量および12000の平均分子量Mを有するエチレンジアミン/プロピレンオキシド/エチレンオキシドを基礎とするブロックコポリマー。

【0077】
【表1】

【0078】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体の顔料調製物において、実質的な成分として
(A)少なくとも1つの顔料60〜95質量%、
(B)付加的に酸官能基を含有しないビニルモノマーを重合導入して含有することができる、エチレン系不飽和モノカルボン酸および/またはエチレン系不飽和ジカルボン酸のホモポリマーおよびコポリマー、このホモポリマーおよびコポリマーのアルコキシル化生成物ならびにこのホモポリマーおよびコポリマーの塩、ならびにそのアルコキシル化生成物の群からの少なくとも1つの水溶性の陰イオン界面活性添加剤5〜40質量%および
(C)ポリエーテルを基礎とする少なくとも1つの非イオン性界面活性添加剤0〜20質量%を含有する固体の顔料調製物。
【請求項2】
50〜5000μmの平均粒径および15m/g以下のBET表面積を有する顆粒の形で存在する、請求項1記載の顔料調製物。
【請求項3】
請求項1または2記載の顔料調製物の製造法において、顔料(A)を最初に添加剤(B)および場合によっては添加剤(C)の少なくとも一部分を含有する水性懸濁液中で湿式微粉砕し、次にこの懸濁液を場合によっては残存量の添加剤(B)および場合によっては(C)の添加後に乾燥することを特徴とする、請求項1または2記載の顔料調製物の製造法。
【請求項4】
高分子量の有機材料および無機材料の着色法において、請求項1または2記載の顔料調製物を前記の高分子量の有機材料および無機材料中に攪拌混入するかまたは振盪混入することによって搬入することを特徴とする、高分子量の有機材料および無機材料の着色法。
【請求項5】
液相として水、有機溶剤または水と有機溶剤との混合物を含有するラッカー、塗料、印刷用インキ、インキおよび被覆系を着色する、請求項4記載の方法。
【請求項6】
プラスチックの着色法において、請求項1または2記載の顔料調製物を押出、ロール塗布、混練または微粉砕によってプラスチック中に混入することを特徴とする、プラスチックの着色法。

【公表番号】特表2006−506489(P2006−506489A)
【公表日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−552555(P2004−552555)
【出願日】平成15年11月11日(2003.11.11)
【国際出願番号】PCT/EP2003/012554
【国際公開番号】WO2004/046251
【国際公開日】平成16年6月3日(2004.6.3)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【Fターム(参考)】