説明

水溶性重合体、その製造方法及び用途

【課題】 良好な親水性を有するとともに、吸着性や分散性、安全性に優れ、着色を充分に防止することができ、例えば、洗剤添加物用途に好適に使用することが可能な水溶性重合体及びその用途、並びに、このような水溶性重合体を効率的に製造することができる水溶性重合体の製造方法を提供する。
【解決手段】 ポリエーテル化合物(A)に、N−ビニルピロリドン(B)を含む単量体成分を重合してなる水溶性重合体であって、上記N−ビニルピロリドン(B)は、該ポリエーテル化合物(A)1重量部に対して0.01〜0.3重量部である水溶性重合体である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水溶性重合体、その製造方法及び用途に関する。より詳しくは、例えば、洗剤添加物、スケール防止剤、各種無機物や有機物の分散剤、増粘剤、粘着剤、接着剤、表面コーティング剤、架橋剤、保湿剤等の種々の用途に使用される水溶性重合体及びその製造方法、並びに、該水溶性重合体を使用した洗剤添加物及び洗浄剤に関する。
【背景技術】
【0002】
水溶性重合体は、その溶解性の点から、例えば、洗剤添加物、スケール防止剤、各種無機物や有機物の分散剤、増粘剤、粘着剤、接着剤、表面コーティング剤、架橋剤、保湿剤等の種々の用途に広く使用されている。このような水溶性重合体としては、従来、アクリル酸等の不飽和カルボン酸系単量体を重合して得られる重合体や他の単量体との共重合体、ポリエーテル化合物に、アクリル酸等の不飽和カルボン酸系単量体、酢酸ビニル又は(メタ)アクリル酸エステルをグラフト重合して得られるグラフト重合体等が汎用されており、更に近年では、当該グラフト重合体を改良したものとしてN−ビニルピロリドンをグラフト重合する試みもなされている。
【0003】
従来の水溶性重合体としては、ポリエーテル化合物に、N−ビニルピロリドンを必須とするグラフト成分が、該ポリエーテル化合物の1重量部に対して該グラフト成分が0.1〜1.2重量部となるようにグラフト重合されてなるグラフト重合体が開示されており(例えば、特許文献1参照。)、実施例において、数平均分子量10000のポリエチレングリコールに、N−ビニルピロリドン(ポリエチレンオキシド/N−ビニルピロリドン(重量比)=1/0.07〜0.05)を重合温度140〜150℃で反応させて得られるグラフト重合体が記載されている。このグラフト重合体は、良好な親水性を有するとともに、吸着性及び分散性に優れ、スケール防止剤や洗剤添加物に好適なものである。しかしながら、このグラフト重合体においては、重合体自身の着色が大きくなり、より優れた着色抑制能を付与又は向上させることにより、更に多くの用途に好適に用いることができるものとするための工夫の余地があった。
【0004】
また300〜100000の数平均分子量を有するポリアルキレンオキシドに、N−ビニルピロリドン及び1〜6個の炭素原子を有する飽和モノカルボン酸から誘導される少なくとも1種のビニルエステル及び/又はアクリル酸若しくはメタクリル酸のメチルエステルもしくはエチルエステルを、該ポリアルキレンオキシド:該N−ビニルピロリドン:該ビニルエステル及び/又はメチルエステル若しくはエチルエステル=1:0.3:1〜1:5:30の重量比でグラフト重合させてなるグラフト重合体が開示されており(例えば、特許文献2参照。)、実施例において、開始剤としてベンゾイルパーオキシドを用いて数平均分子量6000〜35000のポリエチレンオキシドに、N−ビニルピロリドン(ポリエチレンオキシド/N−ビニルピロリドン(重量比)=1/0.5〜4)を重合温度105℃で反応させて得られるグラフト重合体が記載されている。しかしながら、このグラフト重合体においては、ベンゾイルパーオキサイドは常温では固体であるため、溶媒に溶かして滴下を行うか、あるいは予め一括仕込みする等の重合方法に制限があり、更に、毒性の高いN−ビニルピロリドンの残存量が多くなる傾向にあるという問題があり、効率的かつ簡便にグラフト重合を行うことができるようにするとともに、疎水性汚れによる再汚染防止能を充分満足するものとして、例えば、洗剤添加物用途等に好適なものとするための工夫の余地があった。
【0005】
更にモノエチレン性不飽和単位を有さないポリマーのグラフトベースと、N−ビニルピロリドンのポリマー又はN−ビニルピロリドン及びN−ビニルイミダゾールのコポリマーの側鎖とを含有し、全重合体中の該側鎖の割合が35質量%以上に特定されたグラフト重合体が開示されており(例えば、特許文献3〜5参照。)、実施例では、水溶媒下、開始剤としてt−ブチルピバレートやt−ブチルヒドロペルオキシドを用い、ポリエチレングリコールに、N−ビニルピロリドンやN−ビニルイミダゾールを重合温度80〜110℃で反応させる手法が記載されている。しかしながら、このような手法では、単量体成分のグラフト効率が充分とはならず、また、N−ビニルピロリドンが分解して2−ピロリドンが多量に発生したり、あるいは、多量のN−ビニルピロリドンをグラフトさせているため、重合後に多量のN−ビニルピロリドンが残存しやすくなる傾向にあり、毒性の高い残存N−ビニルピロリドンを処理するための後処理工程が必要になり、反応時間に長時間を要したりすることがあるため、これらの点で改善すべき余地を有していた。
【特許文献1】特開2001−106743号公報(第2、8〜9頁)
【特許文献2】特許第2541617号公報(第1、4〜5頁)
【特許文献3】特表2005−509063号公報(第2、18〜19頁)
【特許文献4】特表2005−509064号公報(第2、14〜15頁)
【特許文献5】特表2005−509065号公報(第2、18〜21頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、良好な親水性を有するとともに、吸着性や分散性、安全性に優れ、着色を充分に防止することができ、例えば、洗剤添加物用途に好適に使用することが可能な水溶性重合体及びその用途、並びに、このような水溶性重合体を短時間で効率的に製造することができる水溶性重合体の製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、水溶性重合体について種々検討したところ、ポリエーテル化合物にN−ビニルピロリドンを含む単量体成分を重合してなるものとすると、該重合体中にピロリドン基が存在することに起因して、吸着能や分散能に優れたものとなることに着目し、N−ビニルピロリドンの使用量を一定量に特定すると、安全性に優れるとともに、着色の小さい重合体とすることができることを見いだした。そして、このような水溶性重合体を、例えば洗剤添加物用途に使用した場合には、疎水性汚れによる再汚染を防止して、高い洗浄力を発揮できることを見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到した。このように、本発明では、N−ビニルピロリドンを少量用いて上記重合体を得ることとなるが、使用量が少量であっても格段に優れた洗浄力を発揮できるため、洗剤添加物用途に特に好適に用いることが可能となる。また、120〜140℃で、脂肪族系有機過酸化物を含む開始剤を使用して重合を行うことにより、ポリエーテル化合物にN−ビニルピロリドンを含む単量体成分を重合してなる水溶性重合体を得ることとすると、短時間で効率的に重合を行うことができるとともに、得られる重合体中に残存するN−ビニルピロリドン量を充分に低減でき、着色防止能や疎水性汚れによる再汚染防止能等に優れた重合体が得られることを見いだし、本発明に到達したものである。
なお、従来の重合体では、重合させるN−ビニルピロリドン量が多く、これらは高価格であるため経済的に好ましくなかったが、本発明は、このような高価格であるN−ビニルピロリドン量を少なくして、洗剤添加物等としての性能を発揮できるようにもしたものである。
【0008】
すなわち本発明は、ポリエーテル化合物(A)に、N−ビニルピロリドン(B)を含む単量体成分を重合してなる水溶性重合体であって、上記N−ビニルピロリドン(B)は、該ポリエーテル化合物(A)1重量部に対して0.01〜0.3重量部である水溶性重合体である。
本発明はまた、上記水溶性重合体を含有する洗剤添加物でもある。
本発明は更に、上記洗剤添加物を含有する洗浄剤でもある。
以下に本発明を詳述する。
【0009】
本発明の水溶性重合体は、1種又は2種以上のポリエーテル化合物(A)に、N−ビニルピロリドン(B)を含む単量体成分を重合して得られるものである。なお、重合形態としては、後述するように、ポリエーテル化合物(A)に、N−ビニルピロリドン(B)を含む単量体成分をグラフト重合する形態であることが特に好ましく、このように上記水溶性重合体が水溶性グラフト重合体である形態は、本発明の好適な形態の1つである。
上記水溶性重合体において、ポリエーテル化合物(A)としては、エチレンオキサイドを含むアルキレンオキサイドを重合することにより得られるものであることが好適であり、これにより、良好な親水性を保持することができ、より充分な分散性を発揮することが可能となる。そのため、例えば洗剤添加物用途に使用した場合には、汚れが衣料等に付着することが充分に防止され、洗浄力が向上されることとなる。
上記ポリエーテル化合物(A)としてはまた、第1級アルコール及び/又は第2級アルコールに、アルキレンオキサイドを付加重合してなるものであることが好ましく、これにより、例えば洗剤添加物用途に使用した場合には、洗浄力をより強化することが可能となる。付加重合させるアルキレンオキサイドとしては、上述したようにエチレンオキサイドを含むものであることが好適である。
【0010】
上記ポリエーテル化合物(A)を得るために使用されるアルキレンオキサイドにおいて、エチレンオキサイドの含有量としては、全アルキレンオキサイド100モル%に対し、少なくとも50モル%であることが好ましい。すなわち、上記ポリエーテル化合物(A)は、少なくとも50モル%のエチレンオキサイドを含むアルキレンオキサイドを重合してなるものであることが好適である。50モル%未満であると、充分な親水性及び分散性を発揮できないおそれがある。より好ましくは70モル%以上であり、更に好ましくは80モル%以上である。
なお、上記アルキレンオキサイドとしては、必要に応じ、エチレンオキサイド以外のアルキレンオキサイドを含んでもよい。このようなアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイドと共重合可能なものであれば特に限定されず、例えば、プロピレンオキシド、n−ブチレンオキシド、イソブチレンオキシド、スチレンオキシド、エピクロロヒドリン、アリルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル等の1種又は2種以上を使用することができる。
【0011】
上記ポリエーテル化合物(A)としてはまた、数平均分子量が400〜5000であることが好適であり、これにより、効率的かつ簡便に重合を行うことが可能となり、また、充分な分散性を発揮できることとなる。数平均分子量が400未満であると、得られる水溶性重合体の分子量が充分とはならず、優れた分散性を発揮できないおそれがあり、5000を超えると、溶媒なしで重合を行う場合、重合時に充分に均一に撹拌することができないおそれがある。より好ましくは、下限が600、上限が4000であり、更に好ましくは、下限が800、上限が3500である。
上記数平均分子量としては、例えば、下記の条件下、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、ポリエチレングリコール換算により求めることができる。
<数平均分子量測定条件(GPC分析)>
装置:日立社製L−7000シリーズ
検出器:RI
カラム:昭和電工社製 SHODEX Asahipak GF−310−HQ、GF−710−HQ、GF−1G 7B
カラム温度:40℃
流速:0.5ml/分
検量線:ジーエルサイエンス社製 polyethylene oxide
溶離液:0.1N酢酸ナトリウム/アセトニトリル=3/1(重量比)
【0012】
上記ポリエーテル化合物(A)のより好ましい形態としては、少なくとも50モル%のエチレンオキサイドを含むアルキレンオキサイドを重合してなり、数平均分子量が400〜5000である形態である。
【0013】
上記ポリエーテル化合物(A)を得る方法としては特に限定されず、例えば、上記アルキレンオキシド成分を、重合の開始点となる被反応化合物の存在下、通常の方法で重合することにより得ることができる。
上記被反応化合物としては、環状エーテルの重合開始点となる化合物であれば特に限定されず、例えば、水、アルコール類、ハロゲン化水素類、アンモニア、アミン類、ヒドロキシルアミン類、カルボン酸類等が挙げられ、中でも、水、アルコール類、アミン類が好適である。アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール等の炭素数1〜22の1級脂肪族アルコール;フェノール、イソプロピルフェノール、オクチルフェノール、tert−ブチルフェノール、ノニルフェノール、ナフトール等の芳香族アルコール;イソプロピルアルコールやn−パラフィンを酸化して得られるアルコール等の炭素数3〜18の2級アルコール;tert−ブタノール等の3級アルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、プロピレングリコール等のジオール類;グリセリン、トリメチロールプロパン等のトリオール類;ソルビトール等のポリオール類等が挙げられ、アミン類としては、例えば、エチレンジアミン、ポリエチレンイミン等が挙げられる。なお、これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0014】
上記重合方法としては特に限定されず、例えば、(1)アルカリ金属の水酸化物、アルコラート等の強アルカリや、アルキルアミン等を塩基触媒として用いるアニオン重合方法、(2)金属又は半金属のハロゲン化物、鉱酸、酢酸等を触媒として用いるカチオン重合方法、(3)アルミニウム、鉄、亜鉛等の金属のアルコキシド、アルカリ土類化合物、ルイス酸等を組み合わせたものを用いる配位重合方法等を適宜選択すればよい。
【0015】
このようにして得られるポリエーテル化合物は、そのままでも本発明のポリエーテル化合物(A)として用いることができるが、該ポリエーテル化合物から誘導された誘導体の形態で用いてもよい。このような誘導体としては、例えば、カルボキシル基、イソシアネート基、アミノ基、ハロゲン基等の基を複数有する架橋剤と上述したようにして得たポリエーテル化合物とを反応させて得られる架橋体等が挙げられる。
【0016】
上記水溶性重合体において、上記ポリエーテル化合物(A)に重合させる単量体成分としては、N−ビニルピロリドン(B)を必須とすることが適当である。これにより、得られる水溶性重合体中にピロリドン基が存在することとなるため、優れた分散能と吸着能とを付与することができ、例えば洗剤添加物に用いた場合には、繊維から水に溶けだした染料を吸着、分散させて他の繊維に移染するのを防止することが可能となる。
【0017】
上記N−ビニルピロリドン(B)の使用量としては、上記ポリエーテル化合物(A)1重量部に対し、0.01〜0.3重量部であることが適当である。0.01重量部未満であると、ピロリドン基に起因する分散能及び吸着能を充分に発揮できないおそれがある。0.3重量部を超えると、多量のN−ビニルピロリドン量が残存する、あるいは重合体が着色しやすくなるおそれがあり、また、N−ビニルピロリドンは高価格であるため、経済的に好ましくない。より好ましくは、下限が0.03重量部、上限が0.27重量部であり、更に好ましくは、下限が0.05重量部、上限が0.25重量部である。
なお、全単量体成分100質量%中のN−ビニルピロリドン(B)の含有量としては、例えば、15質量%以上となるようにすることが好適である。より好ましくは25質量%以上であり、更に好ましくは50質量%以上である。
【0018】
上記単量体成分としてはまた、必要に応じ、N−ビニルピロリドン(B)以外の他の単量体を含むことができる。他の単量体としては、例えば、モノエチレン性不飽和単量体が挙げられ、該単量体を重合に用いることにより、更に優れた分散能を付与することが可能となる。
上記モノエチレン性不飽和単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸系単量体(C)や、後述するその他の単量体等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。より好ましくは、少なくとも不飽和カルボン酸系単量体(C)を用いることである。なお、不飽和カルボン酸系単量体(C)としては、加水分解によりカルボン酸(塩)となる構造を有するものであってもよい。
【0019】
上記不飽和カルボン酸系単量体(C)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、アルキル−2−ヒドロキシメチルアクリレート、マレイン酸、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、無水マレイン酸、フマル酸、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジブチル等が挙げられ、中でも、アクリル酸又はそのエステル、マレイン酸、無水マレイン酸が好適である。
上記不飽和カルボン酸系単量体(C)の使用量としては、上記N−ビニルピロリドン(B)1重量部に対して5重量部以下であることが好ましい。5重量部を超えると、得られる水溶性重合体中に存在するピロリドン基量がより充分なものとはならず、吸着性や分散性をより充分に発揮できないおそれがある。より好ましくは3重量部以下である。
【0020】
このように、上記単量体成分が、更に不飽和カルボン酸系単量体(C)を含んでなり、該不飽和カルボン酸系単量体(C)が、上記N−ビニルピロリドン(B)1重量部に対して5重量部以下である形態もまた、本発明の好適な形態の1つである。
なお、重合させる単量体成分として不飽和カルボン酸系単量体(C)を使用する場合は、上述したように、上記ポリエーテル化合物(A)が、第1級アルコール及び/又は第2級アルコールに、アルキレンオキサイドを付加重合して得られるものであることが好ましい。これにより、重合時にポリエーテル化合物(A)末端と不飽和カルボン酸系単量体(C)とのエステル化反応が抑制されるため、重合中のゲル化あるいは洗剤添加物として用いた際のエステル結合の加水分解が充分に防止され、洗浄力をより強化することが可能となる。
【0021】
上記その他の単量体としては、特に限定されず、例えば、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルイミダゾール、ビニルピリジン、アルキルビニルエーテル、オレフィン類等の他、下記の単量体等の1種又は2種以上を使用することができる。
(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアセチルアミド等のアミド基含有単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニル等のビニルエステル類;エチレン、プロピレン等のアルケン類単量体;スチレン、スチレンスルホン酸等の芳香族ビニル系単量体;ビニルトリメトキシシラン、ビニルエトキシシラン等のトリアルキルオキシシリル基含有ビニル系単量体、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン等のケイ素含有ビニル系単量体;マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロへキシルマレイミド等のマレイミド誘導体;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル基含有ビニル系単量体;(メタ)アクロレイン等のアルデヒド基含有ビニル系単量体;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(塩)、(メタ)アリルスルホン酸(塩)、ビニルスルホン酸(塩)、スチレンスルホン酸(塩)、2−ヒドロキシ−3−ブテンスルホン酸(塩)、スルホエチル(メタ)アクリレート等のスルホン酸基含有単量体;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート化合物;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル;塩化ビニル、塩化ビニリデン、塩化アリル、アリルアルコール;3−メチル−3−ブテン−1−オール;3−メチル−2−ブテン−1−オール;2−メチル−3−ブテン−2−オールとそれらのアルコールのポリアルキレンオキサイド付加物;3−(メタ)アクリロキシ−1,2−ジヒドロキシプロパン;3−(メタ)アクリロキシ−1,2−ジ(ポリ)オキシエチレンエーテルプロパン;3−(メタ)アクリロキシ−1,2−ジ(ポリ)オキシプロピレンエーテルプロパン;3−(メタ)アクリロキシ−1,2−ジヒドロキシプロパンホスフェート及びその1価金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩、又は、炭素数1〜4のアルキル基のモノ若しくはジエステル;3−(メタ)アクリロキシ−1,2−ジヒドロキシプロパンサルフェート及びその1価金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩、又は、炭素数1〜4のアルキル基のエステル;3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸及びその1価金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩、又は、炭素数1〜4のアルキル基のエステル;3−(メタ)アクリロキシ−2−(ポリ)オキシエチレンエーテルプロパンスルホン酸及びその1価金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩、又は、炭素数1〜4のアルキル基のエステル;
【0022】
3−(メタ)アクリロキシ−2−(ポリ)オキシプロピレンエーテルプロパンスルホン酸及びその1価金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩、又は、炭素数1〜4のアルキル基のエステル;3−アリロキシプロパン−1,2−ジオール;3−アリロキシプロパン−1,2−ジオールホスフェート;3−アリロキシプロパン−1,2−ジオールスルホネート;3−アリロキシプロパン−1,2−ジオールサルフェート;3−アリロキシ−1,2−ジ(ポリ)オキシエチレンエ−テルプロパン;3−アリロキシ−1,2−ジ(ポリ)オキシエチレンエーテルプロパンホスフェート;3−アリロキシ−1,2一ジ(ポリ)オキシエチレンエーテルプロパンスルホネート;3−アリロキシ−1,2−ジ(ポリ)オキシプロピレンエーテルプロパン;3−アリロキシ−1,2−ジ(ポリ)オキシプロピレンエーテルプロパンホスフェート;3−アリロキシ−1,2−ジ(ポリ)オキシプロピレンエーテルプロパンスルホネート;6−アリロキシへキサン−1,2,3,4,5−ペンタオール;6−アリロキシヘキサン−1,2,3,4,5−ペンタオールホスフェート;6−アリロキシヘキサン−1,2,3,4,5−ペンタオールスルホネート;6−アリロキシヘキサン−1,2,3,4,5−ペンタ(ポリ)オキシエチレンエーテルヘキサン;6−アリロキシへキサン−1,2,3,4,5−ペンタ(ポリ)オキシプロピレンエーテルヘキサン;3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸及びその1価金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩、若しくは、有機アミン塩、又は、これらの化合物のリン酸エステル若しくは硫酸エステル及びそれらの1価金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩、又は、有機アミン塩;3−アリロキシ−2−(ポリ)オキシエチレンプロパンスルホン酸及びその1価金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩、若しくは、有機アミン塩、又は、これらの化合物のリン酸エステル若しくは硫酸エステル及びそれらの1価金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩、又は、有機アミン塩;3−アリロキシ−2−(ポリ)オキシプロピレンプロパンスルホン酸及びその1価金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩、若しくは、有機アミン塩、又は、これらの化合物のリン酸エステル若しくは硫酸エステル及びそれらの1価金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩、又は、有機アミン塩等のその他の官能基含有単量体類等。
上記その他の単量体の使用量としては、得られる水溶性重合体の用途や求める性能等に応じて適宜設定すればよい。
【0023】
本発明の水溶性重合体は、該重合体中の残存N−ビニルピロリドン量が4000ppm以下であることが好ましい。4000ppmを超えると、安全性に優れた重合体とすることができないおそれがあり、様々な用途に好適に使用することができないおそれがある。より好ましくは2000ppm以下であり、更に好ましくは1000ppm以下であり、特に好ましくは500ppm以下である。
上記残存N−ビニルピロリドン量は、固形分換算値であり、例えば、液体クロマトグラフィーを使用して下記条件下で求めることができる。
<残存N−ビニルピロリドン量の測定方法>
液体クロマトグラフィー使用
カラム:資生堂社製 CAPCELL PAC C18 TYPE UG120 5μm、1.5mmΦ×250mm
溶離液:メタノール/水=1/24(1−ヘプタンスルホン酸ナトリウム0.4質量%含有)
流量:100μL/min
カラムオーブン:20℃
注入量:10μL
UV検出器:235nm
【0024】
上記水溶性重合体はまた、固形分50質量%水溶液としたときのb値(黄色度)が15.0以下であることが好ましい。15.0を超えると、重合体が着色し易くなるおそれがあり、様々な用途、特に洗剤添加物用途に有用なものとすることができないおそれがある。より好ましくは10.0以下であり、更に好ましくは8.0以下である。
上記b値としては、例えば、以下のように求めることができる。
<b値の測定方法>
重合体(又は重合体水溶液)を純水で希釈又は濃縮し、重合体濃度が50質量%濃度になるように調製する。日本電色工業杜製の測色色差計SE−2000を用い、調製した水溶液の透過測定を行うことでb値の値を測定する。
なお、b値は、正の数の方向で大きいほど水溶液の黄色が濃くなる。
【0025】
上記水溶性重合体の特に好適な形態は、残存N−ビニルピロリドン量が4000ppm以下であり、かつ固形分50質量%水溶液としたときのb値(黄色度)が15.0以下である形態である。
【0026】
上記水溶性重合体は更に、再汚染防止率(再汚染防止能)が73.0%以上であることが好適であり、これにより、洗剤添加物用途に使用した場合により強力な洗浄力を発揮することが可能となる。より好ましくは75.0%以上であり、更に好ましくは76.0%以上である。
なお、再汚染防止率とは、カーボンブラック汚れによる再汚染を防止する性能を示す指標となるものであり、例えば、以下のように求めることができる。
【0027】
<再汚染防止率測定方法>
(1)4cm×4cmのTest fabric社製の綿布(460U unbleached cotton、interlock)10枚を準備し、各布の白度(Z値)を測色色差計(日本電色工業社製、SE2000)を用いて反射率にて測定し、その平均値を(A0)とする。なお、白度を測定するときは、測定を行う布の上に(測定面と反対側の面に)残りの9枚を重ね、更にその上に綿白布(財団法人洗濯科学協会製)10枚を重ねて測定を行うこととする。
(2)塩化カルシウム二水和物2.21gに純水を加えて15kgとし、硬水を調製した後、この硬水を25℃の恒温槽につけておく。
(3)ターゴットメーターを25℃にセットし、硬水500ml、及び、以下の組成の洗剤1.25g、固形分換算で0.32質量%の試料ポリマー(重合体)水溶液5g、カーボンブラック(財団法人洗濯科学協会製)0.5gを上記ポットに入れ、70rpmで1分間攪拌する。次いで、綿布1枚を入れ、70rpmで10分間攪拌する。
(4)ピンセットで綿布を取り出し、ポットを洗浄し、25℃に保った硬水500mlと綿布とをポットに入れ、70rpmで2分間攪拌する。これを2回行う。
(5)綿布にそれぞれ当て布をしてアイロンでしわを伸ばしながら、乾燥させた後、各綿布の白度(Z値)を上記測色色差計を用い、再度、反射率にて測定し、その値を(A1)とする。
(6)以上のようにして得られる(A0)及び(A1)から、次式;
再汚染防止能(再汚染防止率)(%)=(A1)/(A0)×100
により、再汚染防止率を求める。なお、得られる数値が高いほど再汚染防止率に優れることを示す。
なお、上記(3)で使用した洗剤の組成を下記表1に示す。
【0028】
【表1】

【0029】
本発明の水溶性重合体としては、重合開始剤の存在下、ポリエーテル化合物(A)に、N−ビニルピロリドン(B)を含む単量体成分を重合することにより得ることができる。なお、重合形態としては、ポリエーテル化合物(A)に、N−ビニルピロリドン(B)を含む単量体成分をグラフト重合する形態であることが特に好適であり、これにより、得られる水溶性重合体の再汚染防止能を更に向上することが可能となる。
上記重合工程において、重合反応方法は特に限定されず、例えば、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、沈殿重合等の通常の重合方法によって行うことができる。
なお、ポリエーテル化合物(A)は、初期一括仕込みしてもよく、逐次添加してもよいが、反応時間の短縮化や生産性向上等の観点から、初期一括仕込みとする方が好適である。また、N−ビニルピロリドン(B)等の単量体成分は、反応制御等の点を考慮すると、逐次添加する方が好ましいが、これに限定されるものではなく、初期に一括仕込みすることもできる。また、N−ビニルピロリドン(B)等の単量体成分は、予め、後述する溶媒に希釈して添加してもよい。
【0030】
上記重合工程において、重合開始剤としては特に限定されないが、有機過酸化物が好適である。有機過酸化物としては、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類;tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、2−(4−メチルシクロヘキシル)−プロパンハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類;ジ−tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(tert−ブチルパーオキシ)p−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(tert−ブチルパーオキシ)p−イソプロピルヘキシン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等のジアルキルパーオキサイド類;
【0031】
tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシラウレート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−tert−ブチルパーオキシイソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、tert−ブチルパーオキシイソブチレート、tert−ブチルパーオキシビバレート、tert−ブチルパーオキシネオデカノエート、クミルパーオキシネオデカノエート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルシクロヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシマレイン酸、クミルパーオキシオクトエート、tert−ヘキシルパーオキシビバレート、tert−ヘキシルパーオキシネオヘキサノエート、クミルパーオキシネオヘキサノエート等のパーオキシエステル類;n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バレエート、2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)オクタン等のパーオキシケタール類;
【0032】
アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノイルパーオキサイド、サクシニックアシッドパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、m−トルイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ビス−(4−tert−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジミリスチルパーオキシジカーボネート、ジ−メトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、ジ−アリルパーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート類;アセチルシクロヘキシルスルファニルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシアリルカーボネート等のその他の有機過酸化物等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0033】
これらの重合開始剤の中でも、本発明では、少なくとも脂肪族を含む有機過酸化物を使用することが好適であり、これにより、例えば、グラフト効率が充分に向上され、効率的に上記水溶性重合体を得ることが可能となる。中でも、重合工程における反応温度や、保存時の温度管理の点等を考慮すると、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチル−パーオキシ−iso−プロピルモノカーボネート及び/又はtert−ブチル−パーオキシ−ベンゾエートを用いることが特に好適である。
なお、上記少なくとも脂肪族を含む有機過酸化物に、他の重合開始剤(例えば、芳香族を含む有機過酸化物等)や連鎖移動剤、還元剤を併用することもできるが、この場合、他の重合開始剤や連鎖移動剤、還元剤の使用量としては、上記少なくとも脂肪族を含む有機過酸化物100重量部に対して、300重量部以下とすることが好適である。より好ましくは、100重量部以下である。
【0034】
上記重合開始剤の使用量は特に限定されないが、例えば、重合に使用する全単量体成分100重量部に対して0.1〜30重量部とすることが好ましい。0.1重量部未満であると、ポリエーテル化合物(A)への重合率が充分とはならないおそれがあり、30重量部を超えると、例えば重合開始剤として有機過酸化物を用いる場合には、経済性に優れた製法とすることができないおそれがある。より好ましくは0.5〜20重量部である。
上記重合開始剤の添加方法としては特に限定されず、初期一括仕込みしてもよいし、滴下、分割投入等の連続投入方法によることとしてもよいが、常温で液状である開始剤が、溶媒を用いずとも滴下が可能であり、添加方法の制限を受けにくいため、好ましい。また、重合開始剤を単独で反応容器へ導入してもよく、ポリエーテル化合物(A)や単量体成分、溶媒等と予め混合しておいてもよい。
【0035】
上記重合では、溶媒を使用してもよいが、水は、N−ビニルピロリドンを分解させ、2−ピロリドンを発生させるので好ましくない。その他、溶媒としては、例えば、原料として使用される単量体の溶媒への連鎖移動定数ができるだけ小さいものが好ましい。このような溶媒としては、例えば、イソブチルアルコール、n−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル等のアルコール類;エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル等のジエーテル類;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノアルキルエーテルの酢酸エステル、プロピレングリコールモノアルキルエーテルの酢酸エステル等の酢酸系化合物等が挙げられ、これらを単独で使用してもよいし、2種以上を併用して使用してもよい。なお、上記アルコール類及びジエーテル類中のアルキル基としては特に限定されず、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。
【0036】
上記溶媒の使用量は特に限定されないが、例えば、反応系全体を100重量部とすると、20重量部以下とすることが好ましい。20重量部を超えると、例えば、上記単量体成分のグラフト効率を充分なものとすることができないおそれがある。より好ましくは0重量部、すなわち実質的に無溶媒とすることであり、これにより、例えば、グラフト効率を格段に高めることが可能となり、各種性能により優れた重合体が得られることとなる。このように、上記重合工程が、無溶媒下で行うものである形態もまた、本発明の好適な形態の1つである。
なお、上記溶媒は、初期一括仕込みしてもよく、逐次添加してもよい。
【0037】
上記重合時の反応温度としては特に限定されないが、120〜140℃とすることが好適である。120℃未満であると、得られる水溶性重合体中に残存するN−ビニルピロリドン量をより充分に低減することができず、安全性により優れた重合体とすることができないおそれがある。140℃を超えると、重合体の着色を防止することができず、例えば、洗剤添加物用途により好適なものとすることができないおそれがあり、また、ポリエーテル化合物(A)や得られる水溶性重合体の熱分解が発生するおそれもある。より好ましくは125〜140℃であり、更に好ましくは130〜140℃である。
上記重合時の反応圧力としては特に限定されず、例えば、常圧(大気圧)下、減圧下、加圧下のいずれであってもよい。なお、簡便かつ低コストに重合を行うことができる点で、常圧(大気圧)下とすることが好適である。
また上記重合は、例えば、窒素ガス、アルゴンガス、二酸化炭素ガス等の不活性ガスの雰囲気下で行うことが好ましいが、これらに限定されるものではない。
【0038】
本発明はまた、ポリエーテル化合物(A)に、N−ビニルピロリドン(B)を含む単量体成分を重合してなる水溶性重合体を製造する方法であって、上記製造方法は、120〜140℃で、開始剤として少なくとも脂肪族を含む有機過酸化物を使用して重合を行う工程を含む水溶性重合体の製造方法でもある。
このような製造方法においては、120〜140℃下で重合を行うことにより、得られる水溶性重合体中に残存するN−ビニルピロリドン量を短時間で充分に低減することができるため、安全性に優れた重合体とすることが可能となり、様々な用途に好適に用いることができることとなる。また、開始剤(重合開始剤)として少なくとも脂肪族を含む有機過酸化物を使用することにより、例えば、グラフト効率を充分に向上させることができることとなる。上記製造方法においては、このように温度及び重合開始剤を特定することによって、それぞれの奏する作用効果が相乗され、種々の性能に優れた水溶性重合体を効率的に得ることが可能となるため、工業的に非常に有用な製法となり得る。
なお、上記重合工程における好適な形態や種々の条件等については、上述したとおりである。特に好適な形態としては、上述したように、開始剤として少なくともジ−tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチル−パーオキシ−iso−プロピルモノカーボネート及び/又はtert−ブチル−パーオキシ−ベンゾエートを用いる形態や、また、上記重合工程が、無溶媒下で行うものである形態等である。
【0039】
上記製造方法に使用されるポリエーテル化合物(A)としては、通常使用されるものの1種又は2種以上を使用することができ、その好適な形態としては、上述したとおりである。
また上記単量体成分において、N−ビニルピロリドン(B)の使用量としては、上述したように設定することが好ましい。また、上記単量体成分は、N−ビニルピロリドン(B)以外の他の単量体を含んでもよく、他の単量体及びその使用量等についての好適な形態もまた、上述したとおりである。
このように上記製造方法は、上述した本発明の水溶性重合体の製造方法としても好適である。すなわち、上述した本発明の水溶性重合体を製造する方法であって、該製造方法は、120〜140℃で、開始剤として少なくとも脂肪族を含む有機過酸化物を使用して重合を行う工程を含む水溶性重合体の製造方法もまた、本発明の好適な形態の1つである。
【0040】
本発明の水溶性重合体及び本発明の製造方法により得られる水溶性重合体としては、良好な親水性を有するとともに、吸着性や分散性、安全性に優れ、着色を充分に防止することができ、種々の性能に優れることから、例えば、洗剤添加物、スケール防止剤、各種無機物や有機物の分散剤、増粘剤、粘着剤、接着剤、表面コーティング剤、架橋剤、保湿剤等の種々の用途に使用することができる。より具体的には、洗剤用再汚染防止剤、洗剤用移染防止剤、洗剤用ビルダー、シリカ系スケール防止剤、染色助剤、染料定着剤、泡安定剤、乳化安定剤、インク染料分散剤、水性インク安定剤、塗料用顔料分散剤、塗料用シックナー、化粧品用シックナー、化粧品用分散剤、化粧品用バインダー、化粧品用保湿剤、化粧料調剤添加剤、整髪料助剤、ヘアスプレー添加剤、リンス添加剤、サンスクリーン組成物添加剤、樹脂用フィラー分散剤、記録紙用コーティング剤、インクジェット紙用表面処理剤、感光性樹脂用分散剤、帯電防止剤、保湿剤、吸水性樹脂用原料、肥料用バインダー、高分子架橋剤、樹脂相溶化剤、写真薬添加剤、感圧接着剤、紙用接着剤、医療用接着剤、貼付剤用粘着剤、スティック糊、泥土分散剤、重金属捕捉剤、金属表面処理剤等の用途に好適に用いられる。中でも、洗剤添加物に用いることが好ましく、このような上記水溶性重合体を含有する洗剤添加物もまた、本発明の1つである。
【0041】
上記洗剤添加物は、上述した本発明の水溶性重合体を含有するものであるが、該水溶性重合体が有するピロリドン基と、好ましくはオキシエチレン鎖とが、洗浄により繊維から水に溶けだした染料を吸着、分散するため、他の繊維への移染を効果的に防止することができる他、上述したように疎水性汚れによる再汚染や着色をも充分に防止することができ、高い洗浄力を充分に発揮できることとなる。
このような洗剤添加物において、本発明の水溶性重合体の含有割合としては、洗剤添加物の固形分100質量%中、1〜100質量%であることが好適であり、より好ましくは20〜100質量%である。
【0042】
本発明の洗剤添加物としては、例えば、家庭用粉末洗剤、液体洗剤、柔軟剤、工業用洗浄剤、繊維処理剤等に配合して用いることができるが、この場合の洗剤添加物の配合量としては特に限定されず、例えば、家庭用粉末洗剤、液体洗剤、柔軟剤、工業用洗浄剤、繊維処理剤等100質量%中、0.05〜20質量%となるように設定することが好適であり、より好ましくは0.1〜10質量%である。
なお、家庭用粉末洗剤、液体洗剤、柔軟剤、工業用洗浄剤、繊維処理剤等の各種配合基材には、通常洗剤添加物として使用されているアクリル酸重合体やアクリル酸/マレイン酸共重合体等が配合されていてもよい。
【0043】
上記洗剤添加物の特に好適な形態としては、洗浄剤に配合して用いることであり、これにより、移染や疎水性汚れによる再汚染、着色を充分に防止して高い洗浄力を発揮するという本発明の作用効果が充分に発揮されることとなる。このように、上記洗剤添加物を含有する洗浄剤(洗剤組成物)もまた、本発明の1つである。
上記洗浄剤において、本発明の洗剤添加物の含有割合としては、例えば、洗浄剤100質量%中、上記水溶性重合体が0.1〜40質量%となるように設定することが好適である。0.1質量%未満であると、充分な洗剤性能を発揮できないおそれがあり、40質量%を超えると、経済性に優れたものとすることができないおそれがある。より好ましくは0.2〜30質量%である。
なお、上記洗浄剤の形態としては特に限定されず、粉末状であってもよいし、液体状であってもよい。
【0044】
上記洗浄剤としてはまた、上記洗剤添加物の他に、界面活性剤を含有することが好ましく、例えば、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤及び両性界面活性剤等の1種又は2種以上を使用することができる。
上記アニオン系界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル又はアルケニルエーテル硫酸塩、アルキル又はアルケニル硫酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸又はエステル塩、アルカンスルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、アミノ酸型界面活性剤、N−アシルアミノ酸型界面活性剤、アルキル又はアルケニルリン酸エステル又はその塩等が挙げられる。なお、これらのアニオン系界面活性剤のアルキル基、アルケニル基の中間にメチル基等のアルキル基が分枝していてもよい。
【0045】
上記ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、高級脂肪酸アルカノールアミド又はそのアルキレンオキサイド付加物、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグリコキシド、脂肪酸グリセリンモノエステル、アルキルアミンオキサイド等が挙げられる。なお、これらのノニオン系界面活性剤のアルキル基、アルケニル基の中間にメチル基等のアルキル基が分枝していてもよい。
上記カチオン系界面活性剤としては、例えば、第4級アンモニウム塩等が挙げられる。
上記両性界面活性剤としては、例えば、カルボキシル型又はスルホベタイン型両性界面活性剤等が挙げられる。
【0046】
上記洗浄剤において、界面活性剤の含有割合としては、例えば、洗浄剤100質量%中、1〜70質量%であることが好適である。1質量%未満であると、充分な洗剤性能を発揮できないおそれがあり、60質量%を超えると、経済性に優れたものとすることができないおそれがある。より好ましくは15〜60質量%である。
【0047】
上記洗浄剤としてはまた、洗剤ビルダーを含有するものであることが好適であり、この場合の洗剤ビルダーの含有割合としては、例えば、洗浄剤100質量%中、0.1〜60質量%であることが好適である。より好ましくは、本発明の洗浄剤が液状で供給される場合には1〜10質量%、粉末状で供給される場合には1〜50質量%とすることである。
上記洗剤ビルダーとしては特に限定されず、例えば、各種のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、置換アンモニウムポリ酢酸塩、カルボン酸塩、ポリカルボン酸塩、ポリヒドロキシスルホン酸塩等の有機ビルダー;ケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、ホウ酸塩、炭酸塩等の無機ビルダー等の1種又は2種以上を使用することができる。
上記有機ビルダーにおいて、ポリ酢酸塩又はポリカルボン酸塩としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、オキシニコハク酸、メリット酸、グリコール酸、ベンゼンポリカルボン酸、クエン酸のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、置換アンモニウム塩が挙げられる。
上記無機ビルダーとしては、炭酸、重炭酸、ケイ酸のナトリウム塩、カリウム塩又はゼオライト等のアルミノケイ酸塩であることが特に好適である。
【0048】
上記洗浄剤としては更に、色移り防止剤、蛍光増白剤、起泡剤、気泡抑制剤、腐食防止剤、防錆剤、汚れ懸濁剤、汚れ放出剤、pH調整剤、殺菌剤、キレート化剤、粘度調整剤、酵素、酵素安定剤、香料、繊維軟化剤、過酸化物、過酸化物安定剤、蛍光剤、着色剤、起泡剤、泡安定剤、つや出し剤、漂白剤、酵素、染料等の通常使用される添加剤や、溶媒等の1種又は2種以上を含有してもよく、その含有量は、求める性能等に応じて適宜設定すればよい。
【発明の効果】
【0049】
本発明の水溶性重合体は、上述のような構成からなり、良好な親水性を有するとともに、吸着性や分散性、安全性に優れ、着色を充分に防止することができることから、例えば、洗剤添加物;各種無機物や有機物の分散剤;スケール防止剤等の他、種々の用途に好適に用いることが可能なものであり、特に洗剤添加物用途に使用した場合には、移染や疎水性汚れによる再汚染、着色等を充分に防止して、高い洗浄力を発揮できることとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0051】
実施例1
冷却管、窒素導入ライン、温度計を設置した重合容器に、数平均分子量1000のポリエチレングリコール(和光純薬工業社製)400重量部を加え、窒素を導入して窒素雰囲気とした。重合容器をオイルバスで加熱し内温を135℃とした後、攪拌しながら、N−ビニルピロリドン100重量部及びジ−t−ブチルパーオキシド(化薬アクゾ社製、商品名「カヤブチルD」)5重量部をそれぞれ連続的に1時間かけて滴下した。更に135℃で加熱攪拌を1時間続けてポリマー1を得た。
得られたポリマー1について、残存N−ビニルピロリドン量、b値及び再汚染防止率を上述した方法にて測定した。結果を表2に示す。
【0052】
実施例2
数平均分子量1000のポリエチレングリコール(和光純薬工業社製)に代えて、数平均分子量3000のポリエチレングリコール(和光純薬工業社製)を用いた以外は、実施例1と同様にしてポリマー2を得た。
得られたポリマー2について、残存N−ビニルピロリドン量、b値及び再汚染防止率を上述した方法にて測定した。結果を表2に示す。
【0053】
実施例3
数平均分子量1000のポリエチレングリコール(和光純薬工業社製)に代えて、エチレンオキサイドを50モル付加した第2級ドデカノールを用いた以外は、実施例1と同様にしてポリマー3を得た。
得られたポリマー3について、残存N−ビニルピロリドン量、b値及び再汚染防止率を上述した方法にて測定した。結果を表2に示す。
【0054】
実施例4
冷却管、窒素導入ライン、温度計を設置した重合容器に、数平均分子量3000のポリエチレングリコール(和光純薬工業社製)400重量部及びN−ビニルピロリドン100重量部を加え、窒素を導入して窒素雰囲気とした。重合容器をオイルバスで加熱し内温を135℃とした後、攪拌しながら、ジ−t−ブチルパーオキシド(化薬アクゾ社製、商品名「カヤブチルD」)2.25重量部を加えた。更に135℃で加熱攪拌を1時間続けてポリマー4を得た。
得られたポリマー4について、残存N−ビニルピロリドン量、b値及び再汚染防止率を上述した方法にて測定した。結果を表2に示す。
【0055】
実施例5
冷却管、窒素導入ライン、温度計を設置した重合容器に、エチレンオキサイドを50モル付加した第2級ドデカノール315重量部を加え、窒素を導入して窒素雰囲気とした。重合容器をオイルバスで加熱し内温を135℃とした後、攪拌しながら、N−ビニルピロリドン35重量部及びジ−t−ブチルパーオキシド(化薬アクゾ社製、商品名「カヤブチルD」)1.75重量部をそれぞれ連続的に1時間かけて滴下した。更に135℃で加熱攪拌を1時間続けてポリマー5を得た。
得られたポリマー5について、残存N−ビニルピロリドン量、b値及び再汚染防止率を上述した方法にて測定した。結果を表2に示す。
【0056】
比較例1
冷却管、窒素導入ライン、温度計を設置した重合容器に、エチレンオキサイドを50モル付加した第2級ドデカノール400重量部を加え、窒素を導入して窒素雰囲気とした。重合容器をオイルバスで加熱し内温を105℃とした後、攪拌しながら、N−ビニルピロリドン100重量部及びジ−t−ブチルパーオキシド(化薬アクゾ社製、商品名「カヤブチルD」)5重量部をそれぞれ連続的に1時間かけて滴下した。更に105℃で加熱攪拌を1時間続けてポリマー6を得た。
得られたポリマー6について、残存N−ビニルピロリドン量、b値及び再汚染防止率を上述した方法にて測定した。結果を表3に示す。
【0057】
比較例2
反応温度を150℃とした以外は比較例1と同様にしてポリマー7を得た。
得られたポリマー7について、残存N−ビニルピロリドン量、b値及び再汚染防止率を上述した方法にて測定した。結果を表3に示す。
【0058】
比較例3
冷却管、窒素導入ライン、温度計を設置した重合容器に、数平均分子量3000のポリエチレングリコール(和光純薬工業社製)400重量部、N−ビニルピロリドン100重量部及びジベンゾイルパーオキシド(和光純薬工業社製)2.25重量部を加え、窒素を導入して窒素雰囲気とした。重合容器をオイルバスで加熱し内温を105℃とした後、1時間攪拌し、ポリマー8を得た。
得られたポリマー8について、残存N−ビニルピロリドン量、b値及び再汚染防止率を上述した方法にて測定した。結果を表3に示す。
【0059】
【表2】

【0060】
【表3】

【0061】
上記表2〜3中の記載は、以下の通りである。
「PEG1000(又は3000)」:数平均分子量1000(又は3000)のポリエチレングリコール
「第2級ドデカノールEO50モル付加物」:エチレンオキサイドを50モル付加した第2級ドデカノール
「N−VP」:N−ビニルピロリドン
「DTBP」:ジ−t−ブチルパーオキシド
「BPO」:ジベンゾイルパーオキシド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエーテル化合物(A)に、N−ビニルピロリドン(B)を含む単量体成分を重合してなる水溶性重合体であって、
該N−ビニルピロリドン(B)は、該ポリエーテル化合物(A)1重量部に対して0.01〜0.3重量部であることを特徴とする水溶性重合体。
【請求項2】
前記水溶性重合体は、残存N−ビニルピロリドン量が4000ppm以下であり、かつ固形分50質量%水溶液としたときのb値(黄色度)が15.0以下であることを特徴とする水溶性重合体。
【請求項3】
前記ポリエーテル化合物(A)は、少なくとも50モル%のエチレンオキサイドを含むアルキレンオキサイドを重合してなり、数平均分子量が400〜5000であることを特徴とする請求項1に記載の水溶性重合体。
【請求項4】
前記単量体成分は、更に不飽和カルボン酸系単量体(C)を含んでなり、
該不飽和カルボン酸系単量体(C)は、前記N−ビニルピロリドン(B)1重量部に対して5重量部以下であることを特徴とする請求項1〜3に記載の水溶性重合体。
【請求項5】
前記ポリエーテル化合物(A)は、第1級アルコール及び/又は第2級アルコールに、アルキレンオキサイドを付加重合してなるものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の水溶性重合体。
【請求項6】
前記水溶性重合体は、再汚染防止率が73.0%以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の水溶性重合体。
【請求項7】
ポリエーテル化合物(A)に、N−ビニルピロリドン(B)を含む単量体成分を重合してなる水溶性重合体を製造する方法であって、
該製造方法は、120〜140℃で、開始剤として少なくとも脂肪族を含む有機過酸化物を使用して重合を行う工程を含むことを特徴とする水溶性重合体の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれかに記載の水溶性重合体を含有することを特徴とする洗剤添加物。
【請求項9】
請求項8に記載の洗剤添加物を含有することを特徴とする洗浄剤。

【公開番号】特開2006−336000(P2006−336000A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−165997(P2005−165997)
【出願日】平成17年6月6日(2005.6.6)
【出願人】(000004628)株式会社日本触媒 (2,292)
【Fターム(参考)】