説明

水溶液中のレバウディオサイドDの溶解限度を上昇させる方法

レバウディオサイドDを含む低pHの飲料製品が提供される。レバウディオサイドDを含む低pHの飲料製品を製造する方法が提供される。レバウディオサイドDを含むシロップを製造する方法が提供される。レバウディオサイドDの過飽和溶液を製造する方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【優先権の主張】
【0001】
本出願は、「水溶液中のレバウディオサイドDの溶解限度を上昇させる方法」と題する、2010年2月4日に出願された米国特許出願第12/700223号に優先権を主張するものであり、その全ての開示をここに引用する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、レバウディオサイドDの過飽和溶液を製造する方法、並びに必要に応じて過飽和溶液で提供される、レバウディオサイドDを含む、低pH飲料、低pH飲料に使用するためのシロップ、および低pH飲料濃縮物などの他の低pH飲料製品に関する。特に、本発明は、レバウディオサイドDを含む低pH飲料に関し、飲料における代替の栄養特徴または風味プロファイルの市場の需要を満たすのに適している。
【背景技術】
【0003】
様々な配合の飲料を製造することが長い間知られてきた。変化する市場の需要を満たすために、改良された新規の配合が望ましい。特に、例えば、代替カロリー含有量を含む代替栄養特徴を有する飲料の市場の需要が認められている。また、良好な味覚と口当たりを含む代替風味プロファイルを有する飲料の市場の需要が認められている。それに加え、その配合により、さらなる加工が限られたまたは行われない、天然成分、すなわち、収穫した植物および他の天然に生じる供給源から蒸留された、抽出された、濃縮された、または同じようにして得られた成分をより多く使用した、飲料および飲料濃縮物などの他の飲料製品に、消費者は関心を抱いている。
【0004】
新規の飲料配合物、例えば、代替甘味料、香味料、風味向上剤などを用いた新規の飲料配合物の開発にあたり、関連する苦味および/または他の異味に対処する難題が突きつけられる。その上、代替栄養および/または風味プロファイルのために開発された新規の飲料配合物で、そのような難題が一般に突きつけられる。また、栄養特徴、風味、賞味期限を含む目的、および他の目的の組合せを満足に満たすことのできる新規の飲料配合物が必要とされている。
【0005】
新規の飲料配合物の開発が障害に直面してきた。例えば、特許文献1には、サッカリンまたはステビア抽出物のアスパルテームとのブレンドを含有する炭酸飲料が、砂糖を含有する炭酸飲料よりも、官能的にそれほど心地よくない傾向があることが示唆されている。また、ある非常に強い甘味料は、溶解度が低いために、典型的な5対1の量で使用する(5-to-1 throw)飲料用シロップにおける甘味料として、例えば、唯一の甘味料として、使用するのには適していない。5対1の量で使用する飲料用シロップの所定の容積は、直ぐに飲める(ready to drink)飲料を製造するために、その容積の5倍の水または炭酸水で希釈される。それゆえ、そのシロップは、最終濃度、すなわち、直ぐに飲める飲料の濃度の6倍の濃度で飲料成分を有する。甘味料が、完成した飲料において所望の甘味レベルを提供するのにシロップ中の可溶性が不十分である場合、その甘味料をシロップに使用することは難しいかまたは不可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第4956191号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の課題は、飲料および他の飲料製品を提供することにある。本発明の少なくとも特定の実施の形態(すなわち、本発明の実施の形態の必ずしも全てではない)の課題は、所望の味覚特性を有する飲料および他の飲料製品を提供することにある。本発明の少なくとも特定の(すなわち、必ずしも全てではない)実施の形態の課題は、改良された配合を有する飲料および他の飲料製品を提供することにある。本発明の、または本発明の特定の実施の形態の、これらと他の課題、特徴および利点は、以下の開示および例示の実施の形態の説明から当業者には明らかであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、レバウディオサイドDの過飽和溶液を提供する方法に関する。本発明は、低pH飲料に使用するためのレバウディオサイドDを含むシロップを調製する方法にも関する。本発明はさらに、レバウディオサイドDを含む、直ぐに飲める低pH飲料製品を提供する方法に関する。
【0009】
第1の態様によれば、レバウディオサイドDの過飽和溶液を調製する方法であって、高温に加熱しながら水性液体中でレバウディオサイドDを混合して、少なくとも7.0のpHを有する加熱されたレバウディオサイドD溶液を形成し;このレバウディオサイドD溶液を冷却して、レバウディオサイドDの過飽和溶液を形成し;このレバウディオサイドDの過飽和溶液に少なくとも1種類の飲料成分を加えて、少なくとも7.0のpHを有する飲料製品前駆物質を形成し;この飲料製品前駆物質を4.0未満のpHに酸性化させる各工程を有してなる方法が提供される。
【0010】
特定の例示の実施の形態において、中性pHの液体は水である。特定の例示の実施の形態において、レバウディオサイドD溶液は少なくとも80℃である。特定の例示の実施の形態において、レバウディオサイドD溶液は約75℃と約90℃の間にある。特定の例示の実施の形態において、レバウディオサイドD溶液は約80℃と約85℃の間にある。特定の例示の実施の形態において、混合は、少なくとも一部は、加熱と同時に行われる。特定の例示の実施の形態において、混合は、高剪断撹拌である。特定の例示の実施の形態において、レバウディオサイドDの過飽和溶液中のレバウディオサイドDの濃度は、少なくとも約500質量百万分率(ppm)である。特定の例示の実施の形態において、レバウディオサイドDの過飽和溶液中のレバウディオサイドDの濃度は、少なくとも約3000ppmである。特定の例示の実施の形態において、レバウディオサイドDの濃度は、高温で水中におけるレバウディオサイドDの溶解限度の少なくとも約90%である。特定の例示の実施の形態において、飲料製品前駆物質を酸性化する工程は、少なくとも1種類の食用酸を飲料製品前駆物質に加える工程を含む。特定の例示の実施の形態において、少なくとも1種類の食用酸は、クエン酸、リン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、フマル酸、アスコルビン酸、グルコン酸、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、ケイ皮酸、グルタル酸およびそれらの内の任意のものの混合物の内の1つ以上を含む。特定の例示の実施の形態において、飲料製品前駆物質に炭酸を含ませる工程が提供される。特定の例示の実施の形態において、冷却する工程は、約5℃/時の速度で行われる。
【0011】
別の態様によれば、シロップを調製する方法であって、高温に加熱しながら水性液体中でレバウディオサイドDを混合して、少なくとも7.0のpHを有する加熱されたレバウディオサイドD溶液を形成し;このレバウディオサイドD溶液を冷却して、レバウディオサイドDの過飽和溶液を形成し;このレバウディオサイドDの過飽和溶液に少なくとも1種類のシロップ成分を加えて、少なくとも7.0のpHを有するシロップ前駆物質を形成し;このシロップ前駆物質を4.0未満のpHに酸性化する各工程を有してなる方法が提供される。
【0012】
特定の例示の実施の形態において、レバウディオサイドD溶液は少なくとも80℃である。特定の例示の実施の形態において、レバウディオサイドD溶液は約75℃と約90℃の間にある。特定の例示の実施の形態において、レバウディオサイドD溶液は約80℃と約85℃の間にある。特定の例示の実施の形態において、混合は、少なくとも一部は、加熱と同時に行われる。特定の例示の実施の形態において、混合は、高剪断撹拌を含む。特定の例示の実施の形態において、シロップ中のレバウディオサイドDの濃度は、少なくとも約3000ppmである。特定の例示の実施の形態において、シロップ前駆物質を酸性化する工程は、少なくとも1種類の食用酸をシロップ前駆物質に加える工程を含む。特定の例示の実施の形態において、少なくとも1種類の食用酸は、クエン酸、リン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、フマル酸、アスコルビン酸、グルコン酸、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、ケイ皮酸、グルタル酸およびそれらの内の任意のものの混合物の内の1つ以上を含む。特定の例示の実施の形態において、冷却する工程は、約5℃/時の速度で行われる。特定の例示の実施の形態において、少なくとも1種類のシロップ成分は、香味料、着色料、保存料およびそれらの内の任意のものの混合物からなる群より選択される。
【0013】
別の態様によれば、低pH飲料を調製する方法であって、高温に加熱しながら水性液体中でレバウディオサイドDを混合して、少なくとも7.0のpHを有する加熱されたレバウディオサイドD溶液を形成し;このレバウディオサイドD溶液を冷却して、レバウディオサイドDの過飽和溶液を形成し;このレバウディオサイドDの過飽和溶液に多数の飲料成分を加えて、少なくとも7.0のpHを有する飲料製品前駆物質を形成し;この飲料製品前駆物質を4.0未満のpHに酸性化し;飲料製品前駆物質を希釈して、直ぐに飲める低pH飲料を形成する各工程を有してなる方法が提供される。
【0014】
特定の例示の実施の形態において、レバウディオサイドD溶液は少なくとも80℃である。特定の例示の実施の形態において、レバウディオサイドD溶液は約75℃と約90℃の間にある。特定の例示の実施の形態において、レバウディオサイドD溶液は約80℃と約85℃の間にある。特定の例示の実施の形態において、混合は、少なくとも一部は、加熱と同時に行われる。特定の例示の実施の形態において、混合は、高剪断撹拌を含む。特定の例示の実施の形態において、直ぐに飲める低pH飲料中のレバウディオサイドDの濃度は、少なくとも約400ppmである。特定の例示の実施の形態において、直ぐに飲める低pH飲料中のレバウディオサイドDの濃度は、約450ppmと約500ppmの間である。特定の例示の実施の形態において、飲料製品前駆物質を酸性化する工程は、少なくとも1種類の食用酸を飲料製品前駆物質に加える工程を含む。特定の例示の実施の形態において、少なくとも1種類の食用酸は、クエン酸、リン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、フマル酸、アスコルビン酸、グルコン酸、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、ケイ皮酸、グルタル酸およびそれらの内の任意のものの混合物の内の1つ以上を含む。特定の例示の実施の形態において、前記方法は、低pH飲料に炭酸を含ませて、直ぐに飲める低pH炭酸飲料を製造する工程をさらに含む。特定の例示の実施の形態において、前記方法は、多数の容器に低pH飲料を充填する工程をさらに含む。特定の例示の実施の形態において、前記方法は、多数の容器に低pH炭酸飲料を充填する工程をさらに含む。特定の例示の実施の形態において、直ぐに飲める低pH飲料は、炭酸ソフトドリンク、非炭酸ソフトドリンクまたは飲料サーバー用ドリンクである。
【0015】
ここに開示された飲料および他の飲料製品の少なくとも特定の実施の形態の以下の説明の恩恵を受ければ、本発明の少なくとも特定の実施の形態は、所望の味覚プロファイル、栄養特徴などのを提供するのに適した改良されたまたは代わりの配合物を有することが当業者には認識されるであろう。本発明の、または本発明の特定の実施の形態のこれらと他の態様、特徴および利点は、例示の実施の形態の以下の説明から、当業者によりさらに理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明の先と他の特徴および利点は、添付の図面と共に解釈した説明の実施の形態の以下の詳細な説明からより完全に理解されるであろう。
【図1】レバウディオサイドDに関する示差走査熱量測定(DSC)による熱エネルギーグラフ
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の特定の態様は、レバウディオサイドDを水などの中性または高pH液体と組み合わせ、レバウディオサイドDおよび中性または高pH液体を撹拌しながら加熱し、レバウディオサイドDおよび中性または高pH液体をゆっくりと冷却して、レバウディオサイドDの過飽和溶液形成する方法によって、低pHを有するレバウディオサイドDの過飽和溶液を製造できるという意外な発見に基づく。
【0018】
ここに用いたように、「飽和」という用語は、ある物質の溶液(例えば、レバウディオサイドD溶液)がその物質をそれ以上溶解できない最高濃度点を称する。ある物質の飽和点は、その物質を中に溶解させるべき液体の温度、並びに関与する液体と物質(例えば、水および/またはレバウディオサイドD)の化学的性質に依存する。
【0019】
ここに用いたように、「過飽和」という用語は、飽和溶液よりも多く溶解材料(例えば、レバウディオサイドD)を含有する溶液を称する。過飽和溶液は一般に、例えば、温度、容積(例えば、蒸発により)、圧力などの、飽和溶液の1つ以上の条件が変化したときに得られる。ここに開示された方法の特定の例示の実施の形態は、高温(少なくとも70℃、75℃、80℃、85℃または90℃、95℃、100℃以上、もしくは約60℃と110℃の間、約65℃と100℃の間、約70℃と95℃の間、約75℃と95℃の間、約75℃と90℃の間、約80℃と90℃の間または約80℃と85℃の間)で、レバウディオサイドDの過飽和溶液を少なくとも約250質量百万分率(ppm)、少なくとも約500ppm、少なくとも約1000ppm、少なくとも約1500ppm、少なくとも約2000ppm、少なくとも約2500ppm、または少なくとも約3000ppmの濃度で形成する工程を含む。特定の例示の実施の形態において、レバウディオサイドDの濃度は、特定の高温で、特定の液体(例えば、水)中においてレバウディオサイドDの溶解限度の少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれより大きい。ここと添付の特許請求の範囲の両方で過飽和と称される溶液は、レバウディオサイドDの濃度が、加熱により達成される濃度より高く、加熱せずに溶解できる濃度より高い溶液である。
【0020】
ここに用いたように、「溶解限度」という用語は、特定の物理的パラメータ、例えば、特定の温度、容積、圧力などでの溶媒(例えば、水)中に溶解できる材料(例えば、レバウディオサイドD)の最高濃度を称する。
【0021】
ここに用いたように、「冷却された」および「ゆっくりと冷却された」という用語は、毎時約40℃未満、毎時約30℃未満、毎時約20℃未満、毎時約15℃未満または毎時約10℃未満の冷却速度を称する。特定の例示の実施の形態において、冷却速度は、毎時約40℃と毎時約2℃の間、毎時約30℃と毎時約3℃の間、または毎時約20℃と毎時約5℃の間である。特定の例示の実施の形態において、冷却速度は、毎時約1℃、毎時約2℃、毎時約3℃、毎時約4℃、毎時約5℃、毎時約6℃、毎時約7℃、毎時約8℃、毎時約9℃、毎時約10℃、毎時約11℃、毎時約12℃、毎時約13℃、毎時約14℃、毎時約15℃、毎時約16℃、毎時約17℃、毎時約18℃、毎時約19℃、または毎時約20℃である。
【0022】
pHは、溶液の酸性度または塩基性度の尺度である。ここに用いたように、「低pH」という用語は、約1未満から約6までの範囲の酸性pHを称する。特定の例示の実施の形態において、低pH溶液または低pH飲料製品は、約2.0から5.0、約2.5から4.0、約2.8から3.3、または約3.0から3.2の範囲にあるpHを有する。ここに用いたように、「高pH」という用語は、約8から約14の範囲にある塩基性pHを称する。ここに用いたように、「中性pH」という用語は、約7(例えば、約6.5から約7.5)のpHを称する。
【0023】
本発明の特定の態様は、ここに記載された液体、飲料、飲料製品および様々な他の成分に関する。「混合」という用語は、以下に限られないが、かき混ぜ(beating)、ブレンド(blending)、撹拌(stirring)、高剪断撹拌、低剪断撹拌、泡立て(whipping)、混ぜ入れ(folding in)、音波処理(sonicating)、篩い分け(sifting)、ピューレ(pureeing)などを含む。
【0024】
本開示による液体、飲料および他の飲料製品は、いくつの多数の異なる特定の配合物または成分を有してもよいことが理解されよう。本開示による飲料製品の配合物は、製品の意図する市場区分、所望の栄養特徴、風味プロファイルなどの要因に応じて、ある程度は変動してもよい。例えば、一般に、以下の記載される飲料配合物のいずれかを含む特定の飲料の実施の形態の配合物にさらに別の成分を加えることが、選択肢になるであろう。味覚、口当たり、栄養特徴を変えるために、追加の(すなわち、さらにおよび/または他の)甘味料を加えてもよく、一般に、香味料、電解質、ビタミン類、果汁または他の果物産物、味覚剤、マスキング剤など、風味向上剤、および/または炭酸を加えてもよい。一般に、本開示による飲料は、一般に、少なくとも水、甘味料、酸味料および香味料を含む。本開示による少なくとも特定の配合物に適しているであろう例示の香味料としては、コーラ香味料、柑橘系香味料、香辛料などが挙げられる。発泡のために、二酸化炭素の形態にある炭酸を加えてもよい。所望であれば、他の成分、生産技法、所望の賞味期限などに応じて、保存料を加えてもよい。必要に応じて、カフェインを加えてもよい。ここに開示された飲料の特定の例示の実施の形態は、炭酸水、甘味料、コーラナッツ抽出物および/または他の香味料、カラメル着色料、リン酸、および必要に応じて、他の成分を特徴的に含有するコーラ風味の炭酸飲料である。追加のまた代わりの適切な成分は、本開示の恩恵を受ければ、当業者により認識されるであろう。
【0025】
ここに開示された飲料製品は、飲料、すなわち、直ぐに飲める液体配合物、飲料濃縮物などを含む。ここに用いたように、「直ぐに飲める」は、そのまま摂取できる飲料を称する。すなわち、直ぐに飲める飲料は、消費者が摂取する前に、希釈や添加を必要としない。飲料製品の例としては、炭酸および非炭酸ソフトドリンク、飲料サーバ用飲料、フローズンタイプの直ぐに飲める飲料、コーヒー飲料、お茶飲料、乳製品飲料、粉末ソフトドリンク、並びに液体濃縮物、風味のある水、強化水(enhanced water)、果汁、果汁風味飲料、スポーツドリンク、およびアルコール製品が挙げられる。
【0026】
ここに開示された直ぐに飲める飲料の特定の例示の実施の形態において、甘味料は、少なくとも約100ppm、約200ppm、約300ppm、約400ppmまたは約500ppmのレバウディオサイドDを含む。ここに開示された直ぐに飲める飲料の特定の例示の実施の形態において、甘味料は、約300ppmと約700ppmの間、約350ppmと約650ppmの間、約400ppmと約600ppmの間、または約450ppmと約550ppmの間のレバウディオサイドDを含む。
【0027】
「飲料濃縮物」、「1回分の(throw)飲料用シロップ」および「シロップ」という用語は、本開示の全体に亘り交換可能に使用される。考えられる飲料濃縮物の少なくとも特定の例示の実施の形態は、追加の成分が加えられる水の初期容積により調製される。濃度100%の(single strength)の飲料組成物(すなわち、直ぐに飲める濃度の飲料組成物)が、飲料濃縮物またはシロップから、この濃縮物に別の容積の水を加えて、濃縮物を濃度100%に希釈することによって形成されるであろう。一般に、例えば、濃度100%の飲料は、約1部の濃縮物を約3から約7部の水と組み合わせることによって、濃縮物から調製されるであろう。特定の例示の実施の形態において、濃度100%の飲料は、1部の濃縮物を5部の水を組み合わせることによって調製される。特定の例示の実施の形態において、濃度100%の飲料を形成するために使用される追加の水は、炭酸水である。特定の他の実施の形態において、濃度100%の飲料は、濃縮物の形成とその後の希釈を行わずに、直接調製される。
【0028】
ここと添付の特許請求の範囲に用いたように、「甘味シロップ」は、甘味を備え、少なくとも1種類の甘味料を含むシロップと定義される。ここに開示された甘味シロップの特定の例示の実施の形態において、甘味料は少なくともレバウディオサイドDを含む。ここに開示された甘味シロップの特定の例示の実施の形態において、甘味料は、少なくとも約1000ppm、約1500ppm、約2000ppm、約2500ppm、約3000ppm、約3500ppm、約4000ppm、約4500ppmまたは約5000ppmのレバウディオサイドDを含む。
【0029】
ここに開示された飲料製品の天然の実施の形態は、通常は食品中に予期されないであろう人工または合成のもの(供給源にかかわらず、着色料を含む)を含有しないという点で天然である。したがって、ここに用いたように、「天然」飲料組成物は、以下の指針にしたがって定義される:天然成分の原料は天然に存在するまたは天然に由来する。発酵および酵素を含む生物学的合成は利用して差し支えないが、化学試薬による合成は使用されない。人工着色、保存料、および香味料は、天然成分と考えられない。成分は、少なくとも:物理的プロセス、発酵、および酵素性分解を含むある種の特定の技法により処理または精製されてもよい。適切なプロセスおよび精製技法は、少なくとも:吸収、吸着、凝集(agglomeration)、遠心分離、細切り、調理(ベーク、フライ、ボイル、ロースト)、冷却、切断、クロマトグラフィー、被覆、結晶化、消化、乾燥(噴霧、凍結乾燥、真空)、蒸発、蒸留、電気泳動、乳化、カプセル化、抽出、押出し、濾過、発酵、粉砕、注入、浸軟、微生物学的(レンネット、酵素)、混合、皮むき、浸透、冷蔵/冷凍、圧搾、浸漬、洗浄、加熱、混合、イオン交換、凍結乾燥、浸透、沈殿、塩析、昇華、超音波処理、濃縮、凝集(flocculation)、均質化、再構成、酵素性分解(天然に見つかる酵素を使用する)が挙げられる。加工助剤(清澄剤、触媒、凝集剤、濾過助剤、および結晶化阻害剤などを含む、食品成分の有用性または魅力を向上させるための製造助剤として使用される物質と現在定義される。米国連邦規則21条§170.3(o)(24)を参照)が、付随成分と考えられ、適切に除去されれば、使用してもよい。
【0030】
ここに開示された飲料製品の実質的に透明な実施の形態は、飲料が濁度を実質的に有さず、色を実質的に有さないという点で実質的に透明である。
【0031】
水は、ここに開示された飲料製品における基本成分であり、一般に、過飽和されたレバウディオサイドDがその中に提供され、かつ残りの成分がその中に溶解、乳化、懸濁または分散されるビヒクルまたは主要な液体部分である。ここに開示された飲料の特定の実施の形態の製造において精製水を使用して差し支えなく、飲料の味覚、臭気、または外観に悪影響を与えないように、標準的な飲料の品質の水を利用して差し支えない。水は、典型的に、透明、無色、好ましくないミネラル、味覚および臭気がなく、有機物質がなく、アルカリ度が低く、飲料の製造時点で適用される工業および政府の規格に基づいて許容される微生物学的品質のものである。特定の典型的な実施の形態において、水は、飲料の約80質量%から約99.9質量%のレベルで存在する。少なくとも特定の例示の実施の形態において、ここに開示された飲料および濃縮物に使用される水は「処理水」であり、これは、例えば、米国特許第7052725号明細書に開示されたようなカルシウムの、随意的な補給の前に、水の全溶解固形物を減少させるように処理された水を称する。処理水を製造する方法は、当業者に公知であり、特に、イオン化、蒸留、濾過および逆浸透(「r−o」)を含む。「処理水」、「精製水」、「脱塩水」、「蒸留水」および「r−o水」は、この議論において一般に同意語であると理解され、実質的に全てのミネラル含有量がそこから除去され、一般に、約500ppm超の全溶解固形物を含有しない、例えば、250ppmの全溶解固形物を含有する水を称する。
【0032】
ステビオールグリコシドは、例えば、レバウディオサイドDなどのレバウディオサイド、ステビオサイド、および甘味料のための関連化合物を含む。これらの化合物は、ステビア植物からの抽出などにより得られるであろう。ステビア(例えば、ステビア・レバウディアナ・ベルトニー(Stevia rebaudiana bertoni))は甘い味覚の植物である。葉は、天然の甘いジテルペングリコシドの複雑な混合物を含有する。ステビオールグリコシドおよびレバウディオサイドは、甘味に寄与するステビアの成分である。一般に、これらの化合物は、ステビオサイド(4〜13%乾燥質量)、ステビオールビオシド(微量)、レバウディオサイドA(2〜4%)、レバウディオサイドB(微量)、レバウディオサイドC(1〜2%)、レバウディオサイドD(微量)およびレバウディオサイドE(微量)を含むレバウディオサイド、およびズルコシドA(0.4〜0.7%)を含むことが分かった。以下の非甘味成分も、ステビア植物の葉内で特定されている:ラブダン、ジテルペン、トリテルペン、ステロール、フラボノイド、揮発性油成分、顔料、ガムおよび無機物質。一般に、ここに開示された飲料製品は、少なくとも1種類のステビオールグリコシド、例えば、レバウディオサイドA、レバウディオサイドB、レバウディオサイドC、レバウディオサイドD、レバウディオサイドE、ステビオサイド、ステビオールビオシド、ステビア・レバウディアナ抽出物であるズルコシドA、またはそれらの任意のものの混合物を含むであろう。
【0033】
ここに開示された飲料製品に使用される少なくとも1種類の食用酸は、例えば、飲料の味覚に酸味を与えること、美味しさを向上させること、喉の渇きを癒す効果を増大させること、甘味を改善すること、および穏やかな保存料として作用することを含むいくつかの機能の内の任意の1つ以上として働くであろう。適切な酸は、公知であり、本開示の恩恵を受ければ、当業者には明白になる。ここに開示された飲料製品のいくつかまたは全ての実施の形態に使用するのに適した例示の酸としては、リン酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、フマル酸、アスコルビン酸、グルコン酸、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、ケイ皮酸、グルタル酸、およびそれらの内の任意の混合物が挙げられる。典型的に、酸は、リン酸、クエン酸、リンゴ酸、またはリン酸とクエン酸などのそれらの組合せである。
【0034】
滴定酸度は、飲料製品の全酸度の指標である。滴定酸度は、所定の容積の飲料の酸を中和するのに必要なアルカリの量を測定する。滴定酸度は、ポテンシオメーターにより100mlの飲料をpH8.75の終点に滴定するのに必要な0.1NのNaOHのミリメートルである。レバウディオサイドA、エリトリトール、および少なくとも1種類の酸を含む飲料製品の滴定酸度は、典型的に、約8.75から約10.5、または約9から約10である。適切な滴定酸度の例としては、約9、9.25、9.5、9.75、10、または10.25が挙げられる。
【0035】
酸は、例えば、溶液形態で、飲料の所望のpHを提供するのに十分な量で使用してよい。選択される特定の酸および使用される量は、一部には、他の成分、飲料製品の所望の賞味期限、並びに飲料のpHへの影響、滴定酸度、および味覚に依存する。典型的に、例えば、酸味料の1種類以上の酸は、使用される酸味料、所望のpH、使用される他の成分などに応じて、合計で、飲料の約0.01質量%から約1.0質量%、例えば、約0.01質量%から約0.5質量%、約0.05質量%から約0.5質量%、約0.05質量%から約0.25質量%、約0.1質量%から約0.25質量%の量で使用される。ここに開示された飲料の少なくとも特定の例示の実施の形態のpHは、約2.0から5.0、約2.5から4.0、約2.8から3.3または約3.0から3.2の範囲内の値、例えば、3.1であってよい。特定の例示の実施の形態における酸は、飲料の風味を向上させる。酸が多すぎると、飲料の風味が損なわれ、酸味または他の異味が生じるのに対し、酸が少なすぎると、飲料の味覚が単調になるであろう。
【0036】
当業者には、本開示の恩恵を受ければ、アスパルテームなどのペプチド系の人工甘味料などのステビオールグリコシドに加えて甘味料を含有する飲料製品を調製する場合、その結果得られた飲料組成物は、人工甘味料の甘味効果を維持するために特定のpH未満で維持すべきである。カルシウムを補給した飲料の形成において、カルシウム塩の存在により、pHが上昇し、これには、塩の溶解を助け、かつ人工甘味料の安定性のために所望のpHを維持するために追加の酸が必要である。飲料組成物の滴定酸度を増加させる、その組成物中の追加の酸の存在により、結果として得られる飲料がより酸味のきつい、すなわち酸っぱい味覚になってしまう。ここに開示された飲料製品の任意の特定の実施の形態の酸味料成分に関する適切な酸または酸の組合せおよびそのような酸の量を選択することは、本開示の恩恵を受ければ、当業者の能力の範囲内であろう。
【0037】
レバウディオサイドDに加えて、ここに開示された飲料製品に必要に応じて追加の甘味料を使用してもよい。レバウディオサイドDを含む飲料製品の様々な例示の実施の形態に使用するのに適したそのような随意的な追加の甘味料は、天然甘味料および人工すなわち合成の甘味料を含む。適切な甘味料および甘味料の組合せは、所望の栄養特徴、飲料に関する味覚プロファイル、口当たりおよび他の官能要因のために選択される。ここに用いたように、「味覚(taste)」は、甘味の知覚、甘味の知覚の一時的効果、すなわち、開始と期間、異味、例えば、苦味と金気、残留知覚(後味)および触覚、例えば、こくやとろみの組合せを称する。ここに用いたように、「フルカロリー」飲料配合物は、栄養性甘味料により完全に甘くされたものである。「栄養性甘味料」という用語は、一般に、典型的な使用量でかなりのカロリー含有量、例えば、8オンス(約240ml)の飲料1人分当たり約5カロリー超を提供する甘味料を称する。ここに用いたように、「強い甘味料」は、砂糖の少なくとも2倍甘い甘味料、すなわち、質量基準で、同等の甘味を達成するのに砂糖の質量の半分以下しか必要ない甘味料を意味する。例えば、強い甘味料は、砂糖で10度のブリックス(Brix)のレベルまで甘くされた飲料において同等の甘味を達成するのに砂糖の質量の半分未満しか必要ないであろう。強い甘味料は、栄養性甘味料(例えば、ラカンカ果汁濃縮物)と非栄養甘味料(例えば、典型的にラカンカ粉末)の両方を含む。その上、強い甘味料は、強い天然甘味料(例えば、ステビオールグリコシド、ラカンカなど)および強い人工甘味料(例えば、ネオテームなど)の両方を含む。しかしながら、ここに開示された天然飲料製品について、天然の強い甘味料のみが使用される。特定の強い甘味料に関する一般に受け入れられている効力のデータとしては、例えば:
チクロ 砂糖の30倍甘い
ステビオサイド 砂糖の100〜250倍甘い
モグロサイドV 砂糖の100〜300倍甘い
レバウディオサイドA 砂糖の150〜300倍甘い
レバウディオサイドD 砂糖の150〜300倍甘い
アセスルファムK 砂糖の200倍甘い
アスパルテーム 砂糖の200倍甘い
サッカリン 砂糖の300倍甘い
ネオヘスペリジンジヒドロカルコン 砂糖の300倍甘い
スクラロース 砂糖の600倍甘い
ネオテーム 砂糖の8,000倍甘い
が挙げられる。
【0038】
少なくとも特定の実施の形態に適した甘味料の例としては、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、ラクチトール、イソマルト、およびマリトールなどの糖アルコールが挙げられる。他の甘味料としては、タガトース、例えば、D−タガトース、およびタガトースと糖アルコールであるエリトリトールとの組合せが挙げられる。
【0039】
以下にさらに論じるように、ここに開示された飲料製品のいくつかまたは全ての実施の形態に適した例示の天然栄養性甘味料としては、結晶質または液体ショ糖、果糖、ブドウ糖、右旋性ブドウ糖、麦芽糖、トレハロース、フラクトオリゴ糖、リンゴやチコリやハチミツなどの天然供給源からのブドウ糖果糖シロップ、例えば、高果糖コーンシロップ、転化糖などおよびそれらの内の任意のものの混合物が挙げられる;ここに開示された飲料のいくつかのまたは全ての実施の形態に適した例示の人工甘味料としては、サッカリン、チクロ、アスパルテーム、他のジペプチド、アセスルファムカリウム、および他のそのような強い甘味料、およびそれらの内の任意のものの混合物が挙げられる;ここに開示されたレバウディオサイドDを含む飲料のいくつかのまたは全ての実施の形態に適した例示の天然の非栄養性の強い甘味料としては、ステビオールグリコシド(例えば、ステビオサイド、ステビオールビオシド、ズルコシドA、レバウディオサイドA、レバウディオサイドB、レバウディオサイドC、レバウディオサイドE、それらの内の任意のものの混合物など)およびラカンカと関連化合物、およびそれらの内の任意のものの混合物が挙げられる。ラカンカは、天然の栄養性または天然の非栄養性甘味料として提供できる強い甘味料である。例えば、ラカンカ果汁濃縮物は栄養性甘味料であろうし、ラカンカ粉末は非栄養性甘味料であろう。また、ここに開示された飲料の少なくとも特定の例示の実施の形態において、甘味および所望の味覚プロファイルと栄養特徴の他の態様を提供するために、1種類以上の天然の栄養性甘味料、1種類以上の人口甘味料および/または1種類以上の天然の非栄養性甘味料の組合せが使用される。そのような甘味料のあるものは、ここに開示された飲料の様々な実施の形態において、例えば、問題の飲料におけるその(またはそれらの)甘味知覚閾値未満の量で使用される場合、加えてまたは代わりにのいずれかで、味覚剤、マスキング剤などとして働くことも認識すべきである。
【0040】
ここに開示された飲料製品の配合物に含まれる甘味料は、摂取するのに、また飲料に使用するのに適した食用消耗品である。「食用消耗品」により、ヒトまたは動物が摂取するための食品や飲料または食品や飲料の成分を意味する。ここと、特許請求の範囲に使用される甘味料または甘味剤は、飲料に甘味を提供する、すなわち、味覚により甘いと知覚される、栄養性または非栄養性の、天然または合成の飲料成分または添加物(またはそれらの混合物)であってよい。香味料および甘味剤の知覚は、要素の相互関係にある程度依存するであろう。風味と甘味も、別々に知覚されるであろう、すなわち、風味と甘味の知覚は、互いに依存することも、互いに関係ないこともあるであろう。例えば、香味料が多量に使用される場合、少量の甘味剤は容易に知覚されるであろうし、逆もまた同様であろう。それゆえ、香味料と甘味剤との間の経口および嗅覚の相互作用は、要素の相互関係を含むであろう。
【0041】
レバウディオサイドA、エリトリトール、およびここに開示された少なくとも1種類の酸を含む飲料製品の少なくとも特定の例示の実施の形態において、甘味料成分は、随意的な追加の甘味料として、ショ糖、液体ショ糖、果糖、液体果糖、ブドウ糖、液体ブドウ糖などの栄養性の天然の結晶質または液体甘味料、リンゴやチコリやハチミツなどの天然の供給源からのブドウ糖果糖シロップ、高果糖コーンシロップ、転化糖、メープルシロップ、カエデ糖、ハチミツ、黒糖糖蜜、例えば、マイルドモラセス、ダークモラセス、廃糖蜜、および甜菜糖蜜などのサトウキビ糖蜜、サトウモロコシシロップ、および/または他のものを含んでもよい。そのような甘味料は、少なくとも特定の例示の実施の形態において、飲料の甘味料の所望のレベルに応じて、約6質量%から約16質量%までなどの、飲料の約0.1質量%から約20質量%の量で存在する。ここに開示された天然の飲料製品の特定の例示の実施の形態において、所望の飲料の均質性、きめおよび味覚を達成するために、飲料業界で一般に使用されている規格化された液糖を使用して差し支えない。典型的に、そのような規格化された甘味料は、飲料の風味、色または粘稠度に悪影響を及ぼし得る非糖固形物を微量も含まない。
【0042】
「栄養性甘味料」という用語は、一般に、典型的な使用量、例えば、飲料一人分8オンス(約240ml)当たり約5カロリーより多い、かなりのカロリー量を提供する甘味料を称する。ここに用いたように、「フルカロリー」飲料配合物は、栄養性甘味料により完全に甘くされたものである。ここに用いたように、「非栄養甘味料」は、典型的な使用量においてかなりのカロリー量は提供しない甘味料、すなわち、砂糖の10ブリックスと同等の甘味を達成するのに飲料一人分8オンス(約240ml)当たり約5カロリー未満しか与えない甘味料を称する。ここに用いたように、「減カロリーの飲料」は、フルカロリーのもの、典型的に、以前に市販されたフルカロリーのものと比較して、飲料一人分8オンス(約240ml)当たりのカロリーが少なくとも25%減少した飲料を意味する。ここに用いたように、「低カロリー飲料」は、飲料一人分8オンス(約240ml)当たり40カロリー未満である。ここに用いたように、「ゼロカロリーの飲料」または「ダイエット飲料」は、飲料一人分、例えば、8オンス(約240ml)当たり5カロリー未満であることを意味する。
【0043】
人工および天然の非栄養性の強い甘味料は、少なくとも1種類のステビオールグリコシドおよび少なくとも1種類のここに開示された酸を含む飲料の少なくとも特定の例示の実施の形態に使用するのに適している。そのような強い人工甘味料としては、ペプチド系甘味料、例えば、アスパルテーム、ネオテーム、およびアリテーム、並びに非ペプチド系甘味料、例えば、サッカリンナトリウム、サッカリンカルシウム、アセスルファムカリウム、ナトリウムチクロ、カルシウムチクロ、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、およびスクラロースが挙げられる。アリテームは、それが沈殿物を形成することが知られているカラメル含有飲料にとってはそれほど望ましくないであろう。特定の例示の実施の形態において、飲料製品は、単独で、または他の甘味料と共に、甘味料としてアスパルテームを使用する。特定の他の例示の実施の形態において、甘味料はアスパルテームおよびアセスルファムカリウムを含む。天然の非栄養性の強い甘味料の例としては、以下にさらに論じるように、ステビオールグリコシド(例えば、ステビオサイド、ステビオールビオシド、ズルコシドA、レバウディオサイドA、レバウディオサイドB、レバウディオサイドC、レバウディオサイドD、レバウディオサイドE、それらの内の任意のものの混合物など)およびラカンカと関連化合物が挙げられる。非栄養性の非常に強い甘味料は、典型的に、甘味力、飲料を市場に出すべき国の任意の適用される規制条項、飲料の甘味料の所望のレベルなどにしたがって、飲料の液量オンス(約30ml)当たり数ミリグラムのレベルで使用される。ここに開示された飲料製品の様々な実施の形態に使用するための適切な追加のまたは代わりの甘味料を選択することは、本開示の恩恵を受ければ、当業者の能力の範囲内であろう。
【0044】
甘味料のラカンカは、様々な異なる綴りと発音を有し、ウリ科(family Cucurbitaceae)、Jollifieae連、Thladianthinae亜連、ラカンカ属(genus Siraitia)の植物の果実から得られる。ラカンカは、しばしば、属/種S. grosvenorii、S.siamensis、S.silomaradjae、S.sikkimensis、S.africana、S.borneensis、およびS.taiwanianaから得られる。適切な果物は、羅漢果果実と呼ばれることも多い、属/種S.grosvenoriiのものを含む。ラカンカは、トリテルペングリコシドまたはモグロサイドを含有し、これらの成分はラカンカ甘味料として使用してよい。ラカンカは、果汁または果汁濃縮物、粉末などとして使用してよい。LHG果汁濃縮物は、モグロサイドV、モグロサイドIV、(11−オキソ−モグロサイドV)、シアメノシドおよびそれらの混合物などのモグロサイドを約3質量%から約12質量%、例えば、約6質量%含有するであろう。ラカンカは、例えば、米国特許第5411755号明細書に論じられているように、産生しても差し支えない。他の果物、野菜または植物からの甘味料を、ここに開示された飲料の少なくとも特定の例示の実施の形態において、天然または加工された甘味料または甘味向上剤として使用してもよい。
【0045】
他の例示の甘味料としては、グリシルリジン、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、乳糖、キシロース、アラビノースおよびリボース、並びにタウマチン、モナチン、モネリン、ブラゼイン、L−アラニンおよびグリシンなどの強い甘味料が挙げられる。
【0046】
ここに開示された飲料製品の特定の例示の実施の形態は、pHを調節するために、少量のアルカリ化剤も含有してもよい。そのようなアルカリ化剤の例としては、クエン酸カリウムおよびクエン酸ナトリウムが挙げられる。例えば、アルカリ化剤の水酸化カリウムは、約0.005質量%から約0.02質量%(飲料の質量で)の量で使用してもよく、約0.01質量%の量が特定の飲料に典型的である。その量は、もちろん、アルカリ化剤の種類およびpHを調節すべき程度に依存する。
【0047】
ここに開示された飲料製品は、必要に応じて、香味料組成物、例えば、天然および合成の果物香味料、植物香味料、他の香味料、およびそれらの混合物を含有する。ここに用いたように、「果実香味料」という用語は、概して、種子植物の食用の生殖部分由来の香味料を称する。甘い果肉が種子に関連するもの、例えば、バナナ、トマト、クランベリーなどと、小さい果肉質のベリー類を有するものの両方が含まれる。ベリーという用語は、集合果、すなわち、「真の」ベリーだけでなく、そのように一般に受け入れられている果物を含むためにここに使用される。また、「果実香味料」という用語には、天然供給源由来の果実香味料に似せて作られた合成香味料も含まれる。適切な果実またはベリーの供給源の例としては、ベリー全体またはその部分、ベリー汁、ベリー汁濃縮物、ベリーピューレおよびそのブレンド、乾燥ベリー粉末、乾燥ベリー汁粉末などが挙げられる。
【0048】
例示の果実香味料の例としては、柑橘香味料、例えば、オレンジ、レモン、ライム、グレープフルーツ、タンジェリン、マンダリンオレンジ、タンジェロ、およびザボン、並びにリンゴ、ブドウ、チェリー、およびパイナップル香味料などの香味料、並びにそれらの混合物が挙げられる。特定の例示の実施の形態において、飲料濃縮物および飲料は、果実香味料成分、例えば、果汁濃縮物または果汁を含む。ここに用いたように、「植物香味料」という用語は、果実以外の、植物の部分由来の香味料を称する。それゆえ、植物香味料は、木の実、樹皮、根および葉の精油および抽出物由来の香味料を含み得る。また、天然供給源由来の植物香味料に似せて作られた合成香味料も「植物香味料」という用語に含まれる。そのような植物香味料の例としては、コーラ香味料、お茶香味料など、およびそれらの混合物が挙げられる。香味料成分は、上述した香味料の様々なもののブレンドをさらに含んでよい。前記飲料濃縮物および飲料の特定の例示の実施の形態において、コーラ香味料成分および/またはお茶香味料成分が使用される。本発明の飲料に風味特徴を与えるために有用な香味料成分の特定の量は、選択される風味、所望の風味の印象、および香味料成分の形態による。当業者には、本開示の恩恵を受ければ、所望の風味の印象を達成するのに用いられる任意の特定の香味料成分の量を容易に決定することができるであろう。
【0049】
ここに開示された飲料製品の少なくとも特定の例示の実施の形態に使用するのに適した汁は、例えば、果物、野菜およびベリーの汁を含む。汁は、濃縮物、ピューレ、濃度100%の汁の形態、または他の適切な形態で本発明に使用してよい。「汁(juice)」という用語は、濃度100%の果物、ベリー、または野菜の汁、並びに、並びに濃縮物、ピューレ、ミルク、および他の形態を含む。所望の風味を有する飲料を生成するために、多数の異なる果汁、野菜汁および/またはベリー汁を、必要に応じて、他の香味料と共に組み合わせてよい。適切な汁供給源の例としては、プラム、プルーン、ナツメヤシ、スグリ、イチジクブドウ、干しブドウ、クランベリー、パイナップル、桃、バナナ、リンゴ、西洋梨、グアバ、アプリコット、サスカトゥーンベリー、ブルーベリー、プレインズベリー(plaines berry)、プレイリーベリー、マルベリー、ニワトコの実、バルバドスチェリー(アセロラチェリー)、チョークチェリー、ナツメヤシ、ココナッツ、オリーブ、ラズベリー、イチゴ、ハックルベリー、ローガンベリー、スグリ、デューベリー、ボイゼンベリー、キウイ、チェリー、ブラックベリー、マルメロ、クロウメモドキ、パッションフルーツ、リンボク、ナナカマド、西洋スグリ、ザクロ、柿、マンゴ、大黄、パパイヤ、ライチ、レモン、オレンジ、ライム、タンジェリン、マンダリンオレンジおよびグレープフルーツなどが挙げられる。本開示の恩恵を受ければ、少なくとも特定の例示の実施の形態に使用するのに適した多数の追加のおよび代わりの汁が、当業者に明らかであろう。汁を使用した本発明の飲料において、汁は、例えば、飲料の少なくとも約0.2質量%のレベルで使用してよい。特定の例示の実施の形態において、汁は、飲料の約0.2質量%から約40質量%までのレベルで使用される。典型的に、汁は、仮にそうすると、約1質量%から約20質量%の量で使用してよい。
【0050】
色が薄いそのような汁のあるものを、飲料の色を濃くせずに、飲料の汁含有量を増加させるためおよび/または風味を調節するために、特定の例示の実施の形態の配合物に含ませてもよい。そのような汁の例としては、リンゴ、西洋梨、パイナップル、桃、レモン、ライム、オレンジ、アプリコット、グレープフルーツ、タンジェリン、大黄、カシス、マルメロ、パッションフルーツ、パパイヤ、マンゴ、グアバ、ライチ、キウイ、マンダリン、ココナッツ、およびバナナが挙げられる。所望であれば、風味を抜いた脱色した汁を用いてもよい。
【0051】
ここに開示された飲料製品の少なくとも特定の例示の実施の形態に使用するのに適した他の香味料の例としては、桂皮、クローヴ、シナモン、コショウ、生姜、バニラスパイス香味料、カルダモン、コリアンダー、ルートビア、サッサフラス、朝鮮人参などのスパイス香味料が挙げられる。少なくとも特定の例示の実施の形態に使用するのに適した数多くの追加のおよび代わりの香味料が、本開示の恩恵を受ければ、当業者には明白であろう。香味料は、抽出物、含油樹脂、汁濃縮物、瓶詰め業者のベース、または当該技術分野において公知の他の形態にあってよい。少なくとも特定の例示の実施の形態において、そのようなスパイスまたは他の香味料は、汁または汁の組合せの香味料を引き立たせる。
【0052】
1種類以上の香味料をエマルションの形態で使用してよい。香味料エマルションは、香味料のいくつかまたは全てを、必要に応じて飲料の他の成分と共に、乳化剤と混合することによって調製してよい。この乳化剤は、香味料を一緒に混合するときにまたはその後に加えてもよい。特定の例示の実施の形態において、乳化剤は水溶性である。例示の適した乳化剤としては、アラビアゴム、加工デンプン、カルボキシメチルセルロース、トラガカント、ガティガム(gum ghatti)および他の適切なゴムが挙げられる。追加の適切な乳化剤は、本開示の恩恵を受ければ、飲料配合物の当業者にとって明白であろう。例示の実施の形態における乳化剤は、香味料および乳化剤の混合物の約3%超を構成する。特定の例示の実施の形態において、乳化剤は、混合物の約5%から約30%である。
【0053】
ここに開示された飲料の特定の例示の実施の形態に泡立ちを与えるために、二酸化炭素が使用される。飲料に炭酸を含ませるための当該技術分野に公知の技法および炭酸化装置のいずれのものを使用してもよい。二酸化炭素は、飲料の味覚と外観を向上させ、好ましくない細菌を抑制し破壊することによって、飲料の純度を守るのに役立つであろう。特定の実施の形態において、例えば、飲料は、約4.0体積までの二酸化炭素のCO2レベルを有する。典型的な実施の形態は、例えば、約0.5から5.0体積の二酸化炭素を有するであろう。ここと、独立請求項に用いられるように、1体積の二酸化炭素は、60°F(16℃)および大気圧で、任意の所定の量の液体、例えば、水により吸収される二酸化炭素の量として定義される。気体の体積は、その気体が溶解する液体が占めるのと同じ空間を占める。二酸化炭素含量は、泡立ちの所望のレベルおよび飲料の味覚または口当たりへの二酸化炭素の影響に基づいて、当業者によって選択されるであろう。炭酸化は、天然であっても、合成であってもよい。
【0054】
必要に応じて、ここに開示された飲料の様々な実施の形態にカフェインを加えてもよい。加えるカフェインの量は、所望の飲料の性質、飲料を市場に出すべき国の任意の適用される規制条項などにより決まる。特定の例示の実施の形態において、カフェインは、飲料の0.02質量パーセント以下のレベルで含まれる。カフェインは、食品および飲料に使用するために許容される純度のものでなければならない。カフェインは、起源が天然であっても、合成されたものであってもよい。
【0055】
ここに開示された飲料濃縮物および飲料は、一般に、飲料配合物中に典型的に見つかるもののいずれも含む、追加の成分を含有してもよい。これらの追加の成分は、例えば、安定化された飲料濃縮物に典型的に加えられるであろう。そのような追加の成分の例としては、以下に限られないが、カフェイン、カラメルおよび他の着色剤または染料、消泡剤、ガム、乳化剤、お茶固形物、お茶抽出物、濁り成分、およびミネラルと非ミネラルの栄養補給物質が挙げられる。非ミネラルの栄養補給成分の例は、当業者に知られており、その例としては、ビタミンA、D、E(トコフェロール)、C(アスコルビン酸)、B1(チアミン)、B2(リボフラビン)、B6、B12、およびK、ナイアシン、葉酸、ビオチン、並びにそれらの組合せが挙げられる。随意的な非ミネラルの補給物質は、典型的に、良好な製造慣例の下で一般に許容される量で存在する。RDVが確立されている場合には、例示の量は、約1%から約100%のRDVの間である。特定の実施の形態において、非ミネラルの栄養補給成分は、確立されている場合、約5%から約20%のRDVの量で存在する。
【0056】
ここに開示された飲料の少なくとも特定の実施の形態において、保存料を用いてもよい。すなわち、少なくとも特定の例示の実施の形態は、随意的な溶解した保存料系を含有する。4.0未満のpHを有する溶液、特に、3.0未満のpHの溶液は、典型的に、「微生物安定性(microstable)」である。すなわち、それらの溶液は、微生物の増殖を阻害し、それゆえ、さらに保存料を必要とせずに、摂取前に長期間の貯蔵に適している。しかしながら、所望であれば、追加の保存料系を用いてもよい。保存料系が用いられる場合、製造中の任意の適切なときに、例えば、ある場合には、甘味料の添加前に、飲料製品の加えてもよい。ここに用いたように、「保存料系」または「保存料」という用語は、制限を意図するものではなく、安息香酸塩、例えば、安息香酸ナトリウム、安息香酸カルシウムおよび安息香酸カリウム、ソルビン酸塩、例えば、ソルビン酸ナトリウム、ソルビン酸カルシウム、およびソルビン酸カリウム、クエン酸塩、例えば、クエン酸ナトリウムおよびクエン酸カリウム、ポリリン酸塩、例えば、ヘキサメタリン酸ナトリウム(SHMP)、およびそれらの混合物などの公知の化学保存料、並びにアスコルビン酸、EDTA、BHA、BHT、TBHQ、デヒドロ酢酸、炭酸ジメチル、エトキシキン、ヘプチルパラベン、およびそれらの任意の組合せなどの酸化防止剤を含む、食品および飲料の組成物に使用するのに認可された全ての適切な保存料を含む。保存料は、適用される法律および規則の下で指定された最大レベルを超えない量で使用される。使用される保存料のレベルは、典型的に、計画された最終製品のpH、並びに特定の飲料配合物の微生物学的腐敗可能性(spoilage potential)の評価にしたがって、調節される。利用される最大レベルは典型的に、飲料の約0.05質量%である。本開示の恩恵を受ければ、本開示による飲料に関する適切な保存料または保存料の組合せを選択することは、当業者の能力の範囲内であろう。
【0057】
ここに開示された飲料製品の少なくとも特定の例示の実施の形態に適した飲料保存の他の方法としては、例えば、高温充填およびトンネル滅菌などの、無菌充填および/または熱処理または熱加工処理工程が挙げられる。そのような工程は、飲料製品における酵母、カビおよび微生物の増殖を低減させるために使用することができる。例えば、ブラウム(Braum)等の米国特許第4830862号明細書には、果汁飲料の製造における滅菌の使用、並びに炭酸飲料における適切な保存料の使用が開示されている。カスティン(Kastin)の米国特許第4925686号明細書には、安息香酸ナトリウムおよびソルビン酸カリウムを含有する熱滅菌された冷凍可能な果汁組成物が開示されている。一般に、熱処理としては、典型的に、短時間に亘り高温を使用した、例えば、10秒間に亘り約190°F(約88℃)を使用した高温充填法、典型的に、長時間に亘る低温を使用した、例えば、10〜15分間に亘り約160°F(約71℃)を使用したトンネル滅菌法、および典型的に、高圧、すなわち、1気圧超の圧力で、3〜5分間に亘り約250°F(約121℃)を使用したレトルト法が挙げられる。
【0058】
以下の実施例は、本発明の特別な実施の形態であって、本発明を制限することを意図したものではない。
【実施例】
【0059】
実施例I
レバウディオサイドDの物理的性質
示差走査熱量計(DSC)を使用して、レバウディオサイドDを加熱したときに、その中で相変化が生じたか否かを決定した。レバウディオサイドDのサンプルを、制御された環境中で加熱し、温度の関数として熱利得または熱損失を測定した。図1に示されるように、レバウディオサイドDのDSC分析は、10℃/分の加熱により、40℃〜300℃の間で行った。その結果は、約80℃で始まり、約104℃で終わる熱エネルギー変化(すなわち、吸熱事象)を示しており、この変化は、科学理論により拘束することを意図するものではなく、その温度でのレバウディオサイドDの溶解度の劇的な増加に関連する。
【0060】
意外なことに、水中のレバウディオサイドDの溶解度の著しい、すなわち、約20倍の増加が約80℃で生じると判断された。20℃では、レバウディオサイドDは、水中に約0.03%(w/w)の溶解度を有し、その溶解度は60℃と70℃の間で徐々に増加すると判断された。しかしながら、約80℃で、溶解度の著しい急上昇が生じた。この温度で、レバウディオサイドDは、水中の0.6%(w/w)の溶解度を有した。
【0061】
レバウディオサイドDは、より低い温度での溶解度に対して、80℃で水中にはるかに可溶性であるという発見は、様々な利点を提供する。そのような利点の1つは、既存の工業飲料製造および/またはボトル詰めプラントを使用して、レバウディオサイドDを含む飲料製品を製造することができ、このとき、そのようなプラントに加熱ユニットしか加える必要がないことである。別の利点は、レバウディオサイドDを、ここに記載した飲料製品に有用な濃度で可溶性にするために、レバウディオサイドDを沸騰するまで加熱する必要がないという事実を考えると、エネルギーの節約が達成されるはずであることである。本開示の恩恵を受ければ、当業者に他の利点が容易に明白になるであろう。
【0062】
実施例II
レバウディオサイドDの溶解度研究
目的
異なる濃度でレバウディオサイドDの溶解度を試験し、溶解限度を決定する。具体的には、周囲温度で異なる濃度でのレバウディオサイドDの溶解度を試験し;レバウディオサイドDの溶解度が熱により増加するか否かを決定し;レバウディオサイドDの溶解限度を決定し;周囲温度まで冷めた後に飽和溶液を観察し、結晶化を待ち;溶解度が高剪断混合により増加するか否かを決定する。
【0063】
器具
レバウディオサイドD、精密天秤、逆浸透水、100mlビーカー、4Lビーカー、混合ミキサ、Rotosolver分散機、ヒーター・スターラー、磁気撹拌子、温度計、秤量用ボート(weigh boat)、ステンレス鋼製スパチュラ、タイマー
【0064】
実験の説明
いくつかの異なる実験構成を使用して、レバウディオサイドDの溶解度を決定した。
【0065】
実験1
この甘味料を周囲温度の逆浸透水に加えた(0.03%で始まり、0.10%で終わる異なる濃度で(約20℃))。磁気撹拌子を使用して、溶液を撹拌して、撹拌による甘味料の溶解度を最初に観察し;45分間の時間枠内で甘味料が溶解しなかった場合、撹拌を停止した。溶液を3日間に亘り周囲温度で放置して、溶解した甘味料の潜在的な再結晶化を観察した。
【0066】
低濃度では、甘味料の全質量を水に加えた。高濃度では、甘味料は時間の経過と共に部分的に加えた。
【0067】
実験2
第2の実験で熱を導入した。より高い濃度を試験した。溶液を80℃に加熱し、磁気撹拌子を使用して、撹拌した。この温度での溶解限度も試験した。再結晶化を観察するために、別の試験を行った。甘味料が溶解した後、溶液を室温まで冷まさせ、3日間に亘り観察した。もしあれば、再結晶化を観察した。
【0068】
実験3
850rpmに設定した高剪断ミキサを使用して、第3の実験を行った。周囲温度で、Rotosolver分散機を備えたAdmix高剪断ミキサを使用して、30分間に亘り0.60%の溶液を剪断した。別の0.60%の溶液を最初に80℃に加熱し、熱を加えずに45分間に亘り剪断した。
【0069】
結果と議論
実験1
【表1】

【0070】
0.03%では、レバウディオサイドDは、撹拌により完全に溶解し、合計で3日間の時間枠に亘り溶液のままであった。0.05%では、この甘味料は、撹拌によりほとんどが溶解し、未溶解の甘味料濃度は、3日間の時間枠内で一定のままであった。0.07%と0.10%では、極少量のレバウディオサイドDが、撹拌により溶解し、未溶解の甘味料濃度は、3日間の時間枠内で一定のままであった。
【0071】
実験2
【表2】

【表3】

【0072】
溶液を加熱すると、溶解し得る甘味料の量が大幅に増加した。0.20%未満の濃度では、溶解した甘味料は、3日間の時間枠に亘り溶液のままであった。0.20%では、2日目に再結晶化が生じ、時間の経過と共に増加した。
【0073】
意外なことに、80℃以上の温度で、0.60%のレバウディオサイドD溶液が得られることが発見された。0.60%に関する再結晶化時間が、1時間未満であることが分かった。それより低い濃度の溶液は、再結晶化するまでにそれより長い時間がかかった。0.60%溶液から調製した0.30%の甘味料溶液は、約9時間の沈殿時間を有した。
【0074】
実験3
周囲温度溶液は、固相のままであった。甘味料は、熱により溶解したが、熱が除かれた後には、高剪断混合にもかかわらず、溶液は再結晶化した。
【0075】
結論
最初の撹拌による周囲温度では、甘味料は、0.05%と0.10%の間の濃度で低い溶解度を有した。0.05%未満では、溶解度は増加した。
【0076】
混合物を加熱することにより、溶解度は増加したが、溶解度はまだいくぶん低いままであった。溶解度は、80℃超の温度で大幅に増加した。80℃の温度を維持しながら、0.60%の濃度が得られた。しかしながら、この濃度で溶液が再結晶化する時間は1時間未満であった。濃度が減少するにつれて、再結晶化時間が増加した。
【0077】
一定の加熱を行わない、高濃度での高剪断混合には、ほとんどまたは全く効果がないことが実証された。
【0078】
HPLC分析
一連の3種類の異なるレバウディオサイドDの溶液について行った2種類の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析の結果が以下に記載されている。二組の三重のサンプルを異なる時間で提出した。
【0079】
一組目のサンプルを以下のように調製した:
A. 周囲温度で水により調製した0.03%のレバウディオサイドD(対照)
B. 希釈水性H3PO4(pH3)中に調製した0.03%のレバウディオサイドD
C. 加熱により0.60%で最初に調製し、水で1:20に希釈した0.03%のレバウディオサイドD
【0080】
結果

【0081】
二組目のサンプルを以下のように調製した:
A. 周囲温度で水により調製した0.03%のレバウディオサイドD(対照)
B. 希釈水性H3PO4(pH2.6)中に調製した0.03%のレバウディオサイドD
C. 加熱により0.60%で最初に調製し、水で1:20に希釈した0.03%のレバウディオサイドD
【0082】

【0083】
当業者には、便宜上、いくつかの成分は、特定の場合、飲料製品を配合または製造する際に使用される成分の元の形態を参照することによって、記載されているのが理解されよう。成分のそのような元の形態は、その成分が完成した飲料製品中に見つかる形態とは異なるかもしれない。それゆえ、例えば、本開示による飲料製品の特定の例示の実施の形態において、ショ糖および液体ショ糖は、典型的に、飲料中に実質的に均質に溶解し、分散しているであろう。同様に、固体、濃縮物(例えば、汁濃縮物)などとして特定された他の成分は、典型的に、それらの元の形態のままであるのではなく、飲料全体に亘り、または飲料濃縮物全体に亘り、均質に分散しているであろう。それゆえ、飲料製品配合物の成分の形態への言及は、飲料製品中の成分の形態への限定と解釈すべきではなく、むしろ、製品配合物の単離成分としてその成分を記載する都合の良い手段として解釈すべきである。
【0084】
本開示と例示の実施の形態の記載の恩恵を受ければ、ここに開示された本発明の一般原理と調和を保ちながら様々な代わりの異なる実施の形態が可能であることが当業者には明白であろう。当業者には、そのような様々な改変および代わりの実施の形態の全てが、本発明の真の範囲と精神に含まれることが理解されよう。添付の特許請求の範囲は、そのような改変と代わりの実施の形態の全てを包含することが意図されている。本開示および以下の特許請求の範囲の単数形の対象は、特別な例において、その用語がその特別な例において具体的に1つおよびたった1つを意味することが文脈から明白ではない限り、「少なくとも1つ」を意味する特許における伝統的な手法に従うことが理解されよう。同様に、「含む」という用語は、限定を設定するものではなく、追加の項目、特徴、成分などを排除するものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レバウディオサイドDの過飽和溶液を調製する方法であって、
a) 高温に加熱しながら水性液体中でレバウディオサイドDを混合して、少なくとも7.0のpHを有する加熱されたレバウディオサイドD溶液を形成し;
b) 前記レバウディオサイドD溶液を冷却して、レバウディオサイドDの過飽和溶液を形成し;
c) 前記レバウディオサイドDの過飽和溶液に少なくとも1種類の飲料成分を加えて、少なくとも7.0のpHを有する飲料製品前駆物質を形成し;
d) 前記飲料製品前駆物質を4.0未満のpHに酸性化させる;
各工程を有してなる方法。
【請求項2】
工程(a)における前記加熱されたレバウディオサイドD溶液が少なくとも80℃にあることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
工程(a)における前記加熱されたレバウディオサイドD溶液が75℃と90℃の間にあることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
工程(a)における前記加熱されたレバウディオサイドD溶液が80℃と85℃の間にあることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記混合が少なくとも一部は前記加熱と同時に行われることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記混合が高剪断撹拌を含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記レバウディオサイドDの過飽和溶液中のレバウディオサイドDの濃度が少なくとも500ppmであることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記レバウディオサイドDの過飽和溶液中のレバウディオサイドDの濃度が少なくとも3000ppmであることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記加熱されたレバウディオサイドD溶液中のレバウディオサイドDの濃度が、前記高温での水中のレバウディオサイドDの溶解限度の少なくとも90%であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記飲料製品前駆物質を酸性化させる工程が、少なくとも1種類の食用酸を前記飲料製品前駆物質に加える工程を含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1種類の食用酸が、クエン酸、リン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、フマル酸、アスコルビン酸、グルコン酸、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、ケイ皮酸、グルタル酸およびそれらの内の任意のものの混合物からなる群より選択されることを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記飲料製品前駆物質に炭酸を含ませる工程をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記冷却工程が5℃/時の速度で行われることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項14】
シロップを調製する方法であって、
a) 高温に加熱しながら水性液体中でレバウディオサイドDを混合して、少なくとも7.0のpHを有する加熱されたレバウディオサイドD溶液を形成し;
b) 前記レバウディオサイドD溶液を冷却して、レバウディオサイドDの過飽和溶液を形成し;
c) 前記レバウディオサイドDの過飽和溶液に少なくとも1種類のシロップ成分を加えて、少なくとも7.0のpHを有するシロップ前駆物質を形成し;
d) 前記シロップ前駆物質を4.0未満のpHに酸性化させる;
各工程を有してなる方法。
【請求項15】
工程(a)における前記加熱されたレバウディオサイドD溶液が少なくとも80℃にあることを特徴とする請求項14記載の方法。
【請求項16】
工程(a)における前記加熱されたレバウディオサイドD溶液が75℃と90℃の間にあることを特徴とする請求項14記載の方法。
【請求項17】
工程(a)における前記加熱されたレバウディオサイドD溶液が80℃と85℃の間にあることを特徴とする請求項14記載の方法。
【請求項18】
前記混合が少なくとも一部は前記加熱と同時に行われることを特徴とする請求項14記載の方法。
【請求項19】
前記混合が高剪断撹拌を含むことを特徴とする請求項14記載の方法。
【請求項20】
前記シロップ中のレバウディオサイドDの濃度が少なくとも3000ppmであることを特徴とする請求項14記載の方法。
【請求項21】
前記シロップ前駆物質を酸性化させる工程が、少なくとも1種類の食用酸を前記飲料製品前駆物質に加える工程を含むことを特徴とする請求項14記載の方法。
【請求項22】
前記少なくとも1種類の食用酸が、クエン酸、リン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、フマル酸、アスコルビン酸、グルコン酸、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、ケイ皮酸、グルタル酸およびそれらの内の任意のものの混合物からなる群より選択されることを特徴とする請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記冷却工程が5℃/時の速度で行われることを特徴とする請求項14記載の方法。
【請求項24】
前記少なくとも1種類のシロップ成分が、香味料、着色料、保存料およびそれらの内の任意のものの混合物からなる群より選択されることを特徴とする請求項14記載の方法。
【請求項25】
直ぐに飲める低pH飲料を調製する方法であって、
a) 高温に加熱しながら水性液体中でレバウディオサイドDを混合して、少なくとも7.0のpHを有する加熱されたレバウディオサイドD溶液を形成し;
b) 前記レバウディオサイドD溶液を冷却して、レバウディオサイドDの過飽和溶液を形成し;
c) 前記レバウディオサイドDの過飽和溶液に多数の飲料成分を加えて、少なくとも7.0のpHを有する飲料製品前駆物質を形成し;
d) 前記飲料製品前駆物質を4.0未満のpHに酸性化させ;
d) 前記飲料製品前駆物質を希釈して、直ぐに飲める低pH飲料を形成する;
各工程を有してなる方法。
【請求項26】
工程(a)における前記加熱されたレバウディオサイドD溶液が少なくとも80℃にあることを特徴とする請求項25記載の方法。
【請求項27】
工程(a)における前記加熱されたレバウディオサイドD溶液が75℃と90℃の間にあることを特徴とする請求項25記載の方法。
【請求項28】
工程(a)における前記加熱されたレバウディオサイドD溶液が80℃と85℃の間にあることを特徴とする請求項25記載の方法。
【請求項29】
前記混合が少なくとも一部は前記加熱と同時に行われることを特徴とする請求項25記載の方法。
【請求項30】
前記混合が高剪断撹拌を含むことを特徴とする請求項25記載の方法。
【請求項31】
前記直ぐに飲める低pH飲料中のレバウディオサイドDの濃度が少なくとも400ppmであることを特徴とする請求項25記載の方法。
【請求項32】
前記直ぐに飲める低pH飲料中のレバウディオサイドDの濃度が450ppmと500ppmの間にあることを特徴とする請求項25記載の方法。
【請求項33】
前記飲料製品前駆物質を酸性化させる工程が、少なくとも1種類の食用酸を前記飲料製品前駆物質に加える工程を含むことを特徴とする請求項25記載の方法。
【請求項34】
前記少なくとも1種類の食用酸が、クエン酸、リン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、フマル酸、アスコルビン酸、グルコン酸、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、ケイ皮酸、グルタル酸およびそれらの内の任意のものの混合物からなる群より選択されることを特徴とする請求項33記載の方法。
【請求項35】
前記冷却工程が5℃/時の速度で行われることを特徴とする請求項25記載の方法。
【請求項36】
f) 前記低pH飲料に炭酸を含ませて、直ぐに飲める低pH炭酸飲料を製造する工程をさらに含むことを特徴とする請求項25記載の方法。
【請求項37】
f) 多数の容器に前記低pH飲料を充填する工程をさらに含むことを特徴とする請求項25記載の方法。
【請求項38】
g) 多数の容器に前記低pH炭酸飲料を充填する工程をさらに含むことを特徴とする請求項36記載の方法。
【請求項39】
前記直ぐに飲める低pH飲料が、炭酸ソフトドリンク、非炭酸ソフトドリンクおよび飲料サーバー用ドリンクからなる群より選択されることを特徴とする請求項25記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2013−518593(P2013−518593A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−552078(P2012−552078)
【出願日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際出願番号】PCT/US2011/023574
【国際公開番号】WO2011/097359
【国際公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(593203701)ペプシコ,インコーポレイテッド (28)
【氏名又は名称原語表記】PepsiCo Inc.
【Fターム(参考)】