説明

水産養殖飼料の調製方法

本発明は、飼育水生動物に供給するためのペレット状水産養殖飼料を調製する方法であって、水をループ導管に循環させることと、水産養殖飼料ペレットを、前記ループ導管内を循環している水に投入することによって、前記ペレットを圧力変化にさらし、これにより前記ペレットに水を含浸させることと、水を含浸させた水産養殖飼料ペレットを前記ループ導管から回収することを含む方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飼育水生動物に供給するための水産養殖飼料の調製方法およびそれに使用する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水産養殖において、養殖種、通常、魚類または甲殻類には、大抵の場合、動物の成長および生存に必須のタンパク質および脂質を含むペレットが与えられる。飼料ペレットは、養殖種に与えられる前に、通常は押し出し成形による製造、包装、飼育者への輸送を経る必要がある。このような処理のため、前記ペレットには耐久性およびコンパクトさが要求される。このため、水生動物種の飼料中には炭水化物がほとんど必要ないにも関わらず、水産養殖飼料ペレットは、結合剤として、でんぷんまたは破砕した(例えば、粒子の粗い、ハンマー粉砕した)植物の種子等のでんぷん含有原料を含むことが慣例となっている。
【0003】
魚への給餌は、陸上動物または鳥類への給餌とは異なる。海産魚は、飼料と共に塩水も摂取する。海産魚のイオン平衡の維持のためには、前記飼料ペレットが、海水よりも低い塩分濃度の水を含むことが重要である。飼料ペレットが硬い場合、摂取後にペレットが十分に柔らかくなり崩壊するように、一般的に、魚は周囲の水も消費しなければならなくなる。したがって、供給前の飼料ペレットが比較的柔らかいことが重要である。これは、当然ながら、飼育者に配達されるまでに要求される、コンパクトさおよび耐久性とは相容れない。
【0004】
硬くてコンパクトな飼料ペレットのさらなる問題は、当然ながら、水産養殖用保持籠の底を通り抜けて沈み、無駄になる可能性があることである。さらに、硬くてコンパクトなペレットは、供給される際、不均一な水の吸収による影響を受ける可能性がある。つまり、ペレットの外側は柔らかくなる一方で、内側は硬いままになる。これによって、魚類はより多くの塩水を摂取しなくてはならなくなるか、あるいは、前述のような無駄を引き起こす場合がある。
【0005】
寒冷地での水産養殖は、魚の飼料特有のさらなる問題を引き起こす。飼料ペレットが保存される周囲温度は、保持籠内で水の凍結温度を下回ることがあり、冷たい飼料ペレットを水中に配置すると、前記ペレットの周りに氷の層が形成される可能性があるため、いくつかの点で有効性が低下する。このため、氷で覆われた硬いペレットが丸ごと飲み込まれ、消化されずに排せつされる場合がある。
【0006】
水産養殖飼料ペレットに関するこれらの問題へのひとつの対応としては、水産養殖の作業場において、前記ペレットに水を充填することがある。これは、例えば、特許文献1に記載されており、ペレットは、水中に配置され、負圧をかけて閉じ込められた空気を除去し、次に、加圧して前記ペレット中に可能な限り多量の水を運び込んだ後、供給可能とされている。
【0007】
この手法を、種子粉を結合剤として使用している水産養殖飼料ペレットに適用すると、前記ペレットの柔らかくなり膨張する能力、すなわち、淡水を吸収し、魚のイオン平衡の問題を軽減する能力が、例えば、破砕された種子を使用した場合と比べて、約5倍にまで著しく向上することが見出されている。(特許文献2参照)。
【0008】
特許文献1に記載された装置は、バッチ式でのみ動作でき、強力な吸引ポンプが必要なため、エネルギー効率が比較的悪い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第WO02/28199号パンフレット
【特許文献2】国際公開第WO2009/112820号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
我々は、飼料ペレットを水循環ループに投入し、前記水循環ループ内で、ペレットに水を含浸させる働きをする圧力変化にさらすことで、真空ポンプをあまり必要とすることなく、ペレット状水産養殖飼料に、連続的または半連続的に水を含浸させることが可能であることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0011】
したがって、一観点から見ると、本発明は、飼育水生動物に供給するためのペレット状水産養殖飼料を調製する方法であって、水をループ導管に循環させることと、水産養殖飼料ペレットを、前記ループ導管内を循環している水に投入することによって、前記ペレットを圧力変化にさらし、これにより前記ペレットに水を含浸させることと、水を含浸させた水産養殖飼料ペレットを前記ループ導管から回収することを含む方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、真空アプリケータ(vacuum applicator)を有する本発明の第一の装置の模式図である。
【図2】図2は、ループ回路の水平底部延長部を有する本発明の別の装置の模式図である。
【図3】図3はループ導管に対してらせん状構成部材を有する本発明の第三の装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の方法において、前記ループ導管を通過中の前記飼料ペレットは、前記ペレットへの急速な水の取り込みを容易にするために、比較的低い圧力(気体または水)および比較的高い水圧にさらされる。これは、様々な方法で実現しうる。その方法は、例えば、前記ループ導管の水深を比較的深くする方法(すなわち、前記導管全体における、最低水位から最高水位までを比較的大きくし、これにより、前記ペレットが、前記ループ導管内を循環する際に、比較的大きな高さ変化を受けるようにする方法)、前記飼料ペレットを、繰り返し、小さな高さ変化にさらす方法(例えば、実質的に水平ならせん軸を有するらせん状構成部材を有するループ導管を通過させる方法)、前記導管内の流れを制限し、前記ペレットに上昇水圧を受けさせる方法または前記ループ導管の高い位置にある上部スペースに吸引力を作用させる方法である。必要とされる圧力暴露は、使用する飼料ペレットや導管の正確な形によって異なるが、一般的には、飼料導入口から飼料導出口に至るまでに生じる圧力上昇の合計は、望ましくは0.5バール(bar)以上であり、好ましくは1バール以上、より好ましくは1.5バール以上、特に2バール以上、さらに特に2.5バール以上、とりわけ3バール以上と言うことができる。一般に、合計圧力上昇は、好ましくは10バール未満であり、特に5バール未満、具体的には4バール未満であるが、これは、この合計の上昇が大きいほど、前記ループ導管で水循環を駆動するためにより多くのエネルギーを必要とするためである。圧力低下は圧力上昇の合計には含まれないため、圧力上昇の合計は、圧力変化の合計でないと理解すべきである。いずれの所与の装置に関しても、圧力上昇の合計は、前記ループ導管を通る流れ軸、すなわち、水またはペレットの流れの中心線に対して算出すればよい。言い換えると、水中の前記ペレットが、飼料導入口から飼料導出口に至るまでに受ける圧力の、大気圧を超えて上昇している期間および上昇後の期間の時間積分(大気圧を0とする)は、好ましくは0.5バール.分以上であり、好ましくは1バール.分以上、より好ましくは1.5バール.分以上、特に2バール.分以上、さらに特に2.5バール.分以上、とりわけ3バール.分以上である。いずれにしても、前記ループ導管における水深は、好ましくは1m以上であり、とりわけ2m以上、特に5m以上、さらに特に10m以上、とりわけ15m以上である。
【0014】
前記水は、例えば、さまざまな公知手段で前記ループ内を循環させうる。その手段は、例えば、流れ方向に沿って水を前記ループに注入する方法、より好ましくは、前記ループの上昇流部の底部へ向けて、前記導管に気体を注入する方法(それによって、上昇流部の流体の総合密度が、下降流部と比較して低下する)である。前述のように、前記ループ導管の高い位置に吸引力を作用させる場合、これにより、前記導管中の循環を維持する、サイフォン作用が発生する可能性がある。二つ以上の上昇流部を備えたループ導管、例えば、水平ならせんまたは外装に収容された(invagenated)単一の垂直ループを使用する場合、このような気体注入は、前記ループの主上昇流部の底部に向けて行われるか、あるいは二つ以上の上昇流部の底部へ向けて行われてもよい。同様に、特に、負圧(例えば、適用された真空)を循環推進機構の構成要素として使用しない場合、ポンプまたはプロペラ推進機構は、前記ループ内の都合のよい位置に配置されてもよい。ポンプまたはプロペラ推進機構を用いる場合、それらは、前記ループの、水を含浸させたペレットが除去される(上流)部分と新しいペレットが前記ループ導管に投入される(下流)部分との間に、ペレットを導管内で損傷しないように設置することが好ましい。
【0015】
上昇流部の底部へ向けての気体注入を利用する場合、一般的に、前記上昇流部の上端またはその付近に、気体排気孔が必要となる。気体注入が一つの上昇流部(例えば、単一のループ中の前記主上昇流部)に対してのみ行われる場合、このような排気は、一般的に、大気中に行うことができる。しかしながら、気体注入が複数の上昇流部、例えば、前記ループ導管の水平らせん状部の複数のループ中で行われる場合、循環を維持するために、このような上昇流部の上端で、単に大気中に排気するのではなく、吸引を行うことが望ましい。
【0016】
上昇流部の底部へ向けての気体注入を利用する場合、前記気体は、加圧された気体、具体的には、圧縮器からの圧縮空気であり、前記圧縮器は、概して、約10バールの圧力で動作する。
【0017】
本発明の特に好ましい実施形態において、真空圧(例えば、吸引力)は、前記ループ導管における新しいペレットの投入部より下流における上部スペース、好ましくは、前記ループ導管の主下降流部の上端で適用される。このようにして、前記飼料ペレットが下降し、前記ループの導管の底部を通りすぎるにしたがって水が前記ペレット中に押し込まれる前に、気体は前記飼料ペレットから除去される。この上部スペース内の気体圧力は、ほぼ真空から大気圧まで、すなわち、0〜1バールであってもよいが、実用上は、0.01〜0.90バールの圧力、特に0.05〜0.5バールの圧力、とりわけ0.08〜0.2バールの圧力が好まれる。このような真空圧を適用することによる影響として、前記主下降流部における水位が、前記主上昇流部における水位と比べて上昇することも挙げられ、これにより、前記導管中の水を循環させるためおよび前記導管の底部における圧力を低下させるために使用するシステムの必要性が高まる。100%の真空が適用される場合、それを相殺するシステム(例えば、前述のような気体または水の注入)が存在しなければ、約10mの水位差が生じる。上部スペースに真空圧が適用される場合、前記ループ中の水深は5m以上であり、具体的には10m以上、より具体的には20m以上、特に25m以上、とりわけ約30メートルである。前記ループ内の水深はさらに深くてもよいが、結果的に生じるエネルギーの所要量は増加する一方、前記ペレットに含浸される水の量はほとんど増えない。したがって、前記水深は、好ましくは100メートル未満であり、例えば、85メートル未満、特に60メートル未満、特に好ましくは50メートル未満、とりわけ40メートル未満である。
【0018】
前記ループの、新しい飼料ペレットが添加される部分は、前記ループの上端またはその付近、例えば、真空圧が適用される任意の下流上部スペースから垂直下方に10m以内であることが好ましい。このようにして、飼料添加が行われる前記ループ内の圧力が、大気圧またはその付近となり、これにより、前記ペレットがほとんどエネルギーを必要とすることなく挿入できるようになり、特に、前記ペレットを、非加圧の槽から挿入できるようになる。前記飼料ペレットは、ポンプで水に投入してもよいし、気体圧下での送風により投入してもよい。しかしながら、前記飼料ペレットは、少なくとも部分的に垂直な側柱内の、任意でペレット槽またはホッパーに関連付けられた回転スクリューを使用して運び込むことができることが、特に好適である。
【0019】
前記飼料ペレットが前記ループの加圧部分、例えば、流れが制限されている部分の上流側に投入される場合、投入は、例えば、浸水可能で加圧可能なホッパーから、連続的に行われてもよく、より好ましくはバッチ式で行われる。
【0020】
前記ループ導管の、ペレットが添加される部分の上流が、水を含浸させたペレットが除去される部分となる。再度述べるが、ペレット除去は多くの方法で実施しうる。しかし、ペレット含有水を、水を含浸させたペレットを留めることのできる篩または網に通すことが最も簡便である。このような篩または網は、傾けることが好ましい。また、激しく動かして、循環している水流から、留まっているペレットを運び出すことも好ましい。前記ループが、この位置で大気に対して開口していることが最も簡便である。必要に応じて、前記水を含浸させたペレットで水の流れを一部除去し、前記ペレットを流し出し、水生動物に給餌してもよい。しかしながら、周囲水、例えば、海水をこの目的のために使用することが好ましい。
【0021】
別の簡便な実施形態において、前記ペレット含有循環水は、傾斜させた多孔質コンベアベルトを通してもよい。前記多孔質コンベアベルトは、後に続く飼育水生動物への給餌のために、水を含浸させたペレットを水流から引き上げる。これは、例えば、前記ループの上端付近の開口部で行われてもよい。
【0022】
気体上昇手段(gas uplift)を前記導管内に水を循環させるために利用する場合、主上昇流部の上端またはその付近に、気体排気孔が必要となる。使用する気体は空気でもよく、気体は、単に大気中に排気されてもよい。
【0023】
水をポンプで前記ループに投入し、前記ループ中で循環させない限り、水を含浸させたペレットの除去によって、前記ループの水含有量が低下するので、例えば、連続的または不定期に、水を添加することが必要になる。よって、水は、前記ループのペレット除去部とペレット添加部との間で添加することが簡便である。添加される水は、淡水であることが好ましく、前記ペレットに含浸させるさらなる材料、例えば、着色剤、ビタミン、ミネラル、脂質、タンパク質、医薬品、ワクチン等を任意で注入してもよい。添加割合は、望ましい注入レベルに従って選択されてもよい。水添加の速度は、前記ループ中、好ましくは、ペレット除去部とペレット添加部との間に水位センサーを配置することで制御してもよい。
【0024】
したがって、本発明の方法において、飼料ペレットへの水の含浸に必要な圧力変化は、下記のいずれか一つの方法(またはそれらの組合せ)によって実現できる。その方法は、高い水位を使用する方法、低い高さを繰り返し使用する方法、高圧での滞留時間を延長する方法、前記ループ導管内の通過の初期段階で吸引力をかけ、前記ペレットから脱気する方法および前記ループ中の水頭によるもの以外の圧力上昇にさらす方法である。前記ループに入ってくる飼料ペレットから脱気する目的で、および/または前記循環の推進力の一部として、真空を使用することで、高さの要件(または、らせん状機構内のループ数)を上げることができる。そして、単一のループ、任意ではあるが好ましくは、外装に収容された垂直ループにおいて、ループの全高は、一般的に、5〜100mの範囲であり、例えば、5〜35mの範囲である。ある設備においては、前記ループを、地面または海水面から5メートル以上垂直延長することは、問題にならないが、他の設備においては、ループ高さの大部分が地面または海水面より下であることが望まれる。このようにすれば、前記ループに水を供給する際、あるいは海水を供給して水を含浸させたペレットを飼育動物のもとに流す際のエネルギー消費が低減し得るのと同様に、飼料ペレットを飼料ペレット導入口に供給する際のエネルギー消費も低減し得る。
【0025】
好適な一実施形態において、外装に収容された垂直ループとしての前記ループは、流れ方向に沿って、主下降流部と、底部移行部と、気体投入口を下部(例えば、底部付近)に有する主上昇流部と、排気孔と、ペレット除去部、水導入口および液面センサーを順に含む副下降流部と、ペレット添加口を含む上部移行部と、副上昇流部と、真空適用口を含む上部スペースとを、この順で備えている。一般に、前記ループ内の(最大)水深は、前記底部移行部と前記主上昇流部の上端との間である。すなわち、前記主上昇流部の上端と前記底部移行部内の最下地点との間の垂直方向の変位は、一般的に、1〜100mであり、好ましくは10m以上である。
【0026】
真空適用口を備えた上部スペースが設けられている場合、前記真空適用口は、上部移行部上の10メートル以下の位置にあることが好ましい。すると、比較的低い動力の吸引ポンプでも、水を逆流させて前記真空適用部を通し、そして、水が運んでいる前記ペレットとともに、前記主下降流部に下降させることができる。
【0027】
特に、真空が適用されない場合、前記ループの底部を屈曲させ、実質的に水平な部分、すなわち、主下降流部の底と主上昇流部の底との間の最短距離より長い部分としてもよい。このようにすると、最大水圧での前記ペレットの滞留時間が延び、水の含浸を向上し得る。
【0028】
一般に、前記飼料導入口から前記飼料導出口までの流れ時間は、好ましくは30〜120秒である。流速は、好ましくは0.5〜2m/sである。それゆえに、概して、飼料導入口と飼料導出口の間の導管長さは、20〜200mであり、例えば、20〜100m、特に30〜75mである。飼料導出口と飼料導入口との間の導管の長さは、当然、飼料導入口と飼料導出口の間の導管の形式による。必要に応じて、飼料導出口と飼料導入口との間の導管は、ほぼ、ポンプが設けられている戻りパイプ(好ましくは、さらに、飼料導出口で除去されるペレットが吸収した水を補うため、前記導管に水を補給するための水導入口)程度であってもよい。
【0029】
別の観点から見ると、本発明は、水産養殖飼料用含浸装置であって、循環水の流れを含むことが可能なループ導管と、飼料ペレット投入口と、水循環推進機構と、飼料ペレット回収器と、水投入口とを含み、前記ループは、前記ループを通って水中を移動するペレットが、水の取り込みを促進する圧力変化にさらされるようなループである装置を提供する。
【0030】
本発明の装置はさらに、前記ループの上昇流部と下降流部との間の移行点に真空適用口を含むことが好ましい。好ましくは、本発明の装置はさらに、前記ループの下降流部に、水位センサー、特に、前記ループへの水の注入を、例えば、前記ループ内の水量を実質的に一定に保つように制御するコンピューターにシグナルを供給するセンサーを含む飼育水生動物に供給するためのペレット状水産養殖飼料を調製する方法であって、水をループ導管に循環させることと、水産養殖飼料ペレットを、前記ループ導管内を循環している水に導入することによって、前記ペレットを圧力変化にさらし、これにより前記ペレットに水を含浸させることと、水を含浸させた水産養殖飼料ペレットを前記ループ導管から回収することを含む方法。
【0031】
前記装置において、前記水循環推進機構は、前記ループの主上昇流部の底部の方に位置し、例えば、空気圧縮器等の圧縮気体供給源に接続されている気体注入口であることが好ましい。
【0032】
本発明の方法および装置の好ましい実施形態を添付の図を参照して下記に説明する。
【0033】
図1を参照すると、水産養殖飼料ペレットに水を含浸させる装置1が示されている。装置1は、ループ導管2を有し、ループ導管2は、流れ方向に沿って、主下降流部3、底部移行部4、主上昇流部5、第一上部移行部6、副下降流部7、第二上部移行部8、副上昇流部9および第三上部移行部10をこの順で有している。
【0034】
前記第三上部移行部10には、吸引ポンプ(図示せず)に取り付けられた真空口12を有する上部スペース11がある。主上昇流部5の底部付近には、空気圧縮器(図示せず)に取り付けられた注入口13がある。主上昇流部5の上端には、気体を大気中に排気することのできる排気口14がある。第一上部移行部6の開口部には、モーター(図示せず)で駆動する多孔質コンベアベルト15が配置されており、前記多孔質コンベアベルト15は、水を含浸させた飼料ペレットを前記ループ導管から引き上げて、ホッパー16に置く。周囲水をポンプ17で汲み上げてホッパー16に供給し、前記ペレットを、導管18を下って魚囲い(図示せず)まで流す。
【0035】
副下降流部7には、ビタミン、着色剤等を任意に添加した淡水を貯蔵槽20および21から導入するための導入口19がある。前記副下降流部7内には、さらに、導入口19を介した水の添加を制御するコンピューター(図示せず)に連結された水位センサー22がある。
【0036】
第二上部移行部8には、飼料ホッパー24に通じ、任意で、モーター(図示せず)によって駆動されるスクリュー駆動機構25を含む垂直な側柱23がある。
【0037】
主上昇流部5の先端から底までの垂直高さは、30メートルである。第二上部移行部の底部から第三上部移行部の底部までの垂直高さは、10メートル未満であり、例えば、8メートルである。
【0038】
前記ループ回路の内径は、前記第二上部移行部から前記底部移行部までは約60mmであり、前記主上昇流部では約80mmである。
【0039】
前記ループ導管は、例えば、ポリエチレン等のプラスチック製であることが好ましい。動作中、前記ループ導管は、導入口19を介して(さらに任意で、主上昇流部および下降流部の先端に対する追加の導入口を介して)淡水で満たされる。次いで、圧縮空気が投入口13を介して供給され、0.1バールの真空圧が真空口12を介して供給される。水循環が安定すると、スクリュー駆動機構25が回転し、ホッパー24から前記ループ導管への飼料ペレットの添加が開始される。
【0040】
動作中、前記ループを通る流速は、好ましくは0.5〜2.0m/sの範囲であり、特に約1m/sである。
【0041】
動作を終わらせるには、飼料の添加を止め、水を含浸させた飼料ペレットがコンベアベルト15で除去されなくなると、気体注入、水注入および真圧供給を停止させればよい。
【0042】
図2を参照すると、前記装置と同様の構成部材には同様の番号を付してある。しかしながら、第三上部移行部には、真空圧供給口ではなく気体排気孔26がある。前記気体排気孔は、装置起動中に、ここから空気が排気されるのを可能にするものであり、これを補助するために真空ポンプに取り付けられていてもよい。前記ループ導管の底部において、前記底部移行部は、水平方向への延長部27を有し、最大水圧下でのペレットの滞留時間を延長する。
【0043】
図3を参照すると、矢印33で示す流れ方向を有するループ導管32を含む別の装置31が示されている。前記導管は、飼料ホッパー35に接続されている飼料導入口34を有する。飼料導入口34の下流には、前記導管の水平らせん状部36があり、これに続いて飼料導出口37が設けられている。前記飼料導入口および飼料導出口は、実質的に、図1および2に関して記載されている通りであってもよい。前記導管もまた、導入口39を介した水の添加を制御する働きをする水位センサー38を備えている。前記水導入口は、図1および2に関して記載されている通りであってもよい。前記導管内で水循環を駆動させるために、前記導管の戻り部40には、ポンプ41が設けられている。前記らせん状部の第一のコイル42の少なくとも上部には、管路43および吸引ポンプ44を介して吸引力を作用させる上部スペースが設けられていることが好ましい。前記らせん状部の各コイルの各上昇流部には、管路45および圧縮器46を介した、気体上昇手段が設けられてもよい。これらを備えた場合には、しかしながら、これらのコイルの上部を管路43およびポンプ44を介して排気することが好ましい。導管の直径が、図1および2と同様であれば、らせん状部分の垂直高さは、概して、1〜3mであってもよく、その軸長さは、3〜6mであってもよい。必要に応じて、前記らせんは、その断面が実質的に長方形であり、縦長であってもよい。
【0044】
本発明の装置において、従来の飼料ペレットを使用してもよい。しかしながら、特許文献2に記載されている、植物粉を含むペレットを使用することが好ましい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飼育水生動物に供給するためのペレット状水産養殖飼料を調製する方法であって、水をループ導管に循環させることと、水産養殖飼料ペレットを、前記ループ導管内を循環している水に投入することによって、前記ペレットを圧力変化にさらし、これにより前記ペレットに水を含浸させることと、水を含浸させた水産養殖飼料ペレットを前記ループ導管から回収することを含む方法。
【請求項2】
前記ループ導管の上昇流部に気体を注入し、前記ループ導管内の水循環を容易にする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ループ導管の下降流部の上端で吸引を行い、水を下降流部に吸い上げる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記水を含浸させたペレットは、前記上昇流部と前記下降流部との間で、前記ループ導管から回収され、飼料ペレットは、ペレット回収位置と前記下降流部との間で前記ループ導管に投入される、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記ループ導管における水深が10メートル以上である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
水産養殖飼料用含浸装置であって、循環水の流れを含むことが可能なループ導管と、飼料ペレット注入口と、水循環推進機構と、飼料ペレット回収器と、水注入口とを含み、前記ループは、前記ループを通って水中を移動するペレットが、水の取り込みを促進する圧力変化にさらされるようなループである装置。
【請求項7】
前記ループ導管が、流れ方向に沿って、主下降流部と、底部移行部と、気体注入口を下部に備えた主上昇流部と、排気孔と、ペレット回収器、水導入口および液面センサーを流れ方向に沿ってこの順に備えた副下降流部と、飼料ペレット注入口を備えた上部移行部と、副上昇流部と、吸引口を備えた上部スペースとを含む、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記主上昇流部の上端の、前記底部移行部内の最下点からの垂直変位が、10メートル以上である、請求項7に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−511271(P2013−511271A)
【公表日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−539410(P2012−539410)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【国際出願番号】PCT/GB2010/002169
【国際公開番号】WO2011/064538
【国際公開日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(510243609)
【Fターム(参考)】