説明

水相中に抗原およびアジュバントを含むエマルジョンワクチン組成物

抗原およびアジュバントを水相中に含むエマルジョンワクチン処方物が、動物のワクチン接種のために使用され、ここで上記アジュバントは、アクリルポリマーおよび/もしくはジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド(DDA)である。これら処方物は、上記抗原およびアジュバントを含む水相と、油相とを乳化剤の存在下で混合することによって調製され得る。本発明の他の局面は、油中水型エマルジョンを含むワクチン組成物を作製するための方法を包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
(発明の分野)
本発明は、油中水型ワクチン処方物、上記処方物を作製するためのプロセスおよび動物のワクチン接種のためのこのような処方物の使用に関する。
【0002】
(背景技術)
多くの感染性疾患制御プログラムの基礎は、生の微生物もしくは不活性化微生物またはそれらの生成物のいずれかでのワクチン接種による、特異的免疫の誘導である。有効なワクチン接種手順は、ある抗原についての動物における免疫記憶の状態の発生を可能にし、上記抗原とのその後に接触した際に、上記動物における急激かつ強い免疫学的応答がもたらされる。しかし、いくつかの抗原は、ごくわずかに免疫原性である。このような抗原は、その後のチャレンジの際に上記動物に有効な防御を提供するに十分な免疫応答を誘導することができない可能性があるか、または免疫原性を増大させて、有効な防御を提供するさらなる因子との投与を要し得る。
【0003】
抗原の免疫原性は、アジュバントといわれる物質(アジュバントは、免疫系に直接作用するかまたは上記抗原の薬物動態的特徴を改変するかのいずれかによって、上記抗原に対する応答を増大し、それによって、抗原と、上記免疫系との間のその相互作用時間を増大させる)と混合した状態で抗原を投与することによって、増大させられ得る。
【0004】
水および油から作製されたエマルジョン(例えば、油中水型エマルジョン、水中油型エマルジョン、水中油中水型エマルジョン)は、ワクチン中のアジュバントとして使用され得る。油中水型エマルジョンは、動物ワクチン中(例えば、家禽用ワクチン中)のアジュバントとして一般に使用される。一般に、油中水型エマルジョンを作製するために、水相の抗原は、1種以上の乳化剤の存在下で、ミネラルオイルキャリアにゆっくりと添加され、油滴からなるミセルを生じ、上記油滴内に、上記水性抗原がある。上記油成分は、注射部位への免疫細胞の移動を誘導し、上記抗原から防御し、上記免疫細胞が上記抗原を処理する時間を延長させるようにも作用すると考えられている。この最終的な結果は、上記抗原自体を単に注射することと比較すると、上記免疫応答の増強である。
【0005】
アクリルポリマーからなるアジュバントは、ときおり、ワクチン処方物中の油ベースのエマルジョンの代替として使用される。例示的なアクリルポリマーは、カルボポルとしても公知であるポリアリルスクロースで架橋されたアクリル酸の水溶性ポリマーである。米国特許第5,026,546号は、例えば、ワクチンアジュバントとしてのジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド(DDA)の使用および水中のDDAの溶解度を改善するためのカルボポルの添加に言及している。
【0006】
油ベースのエマルジョンおよびアクリルポリマーはともに、ワクチン処方物中でアジュバントとして使用される場合、別個の利点を有する。しかし、アクリルポリマー(例えば、カルボポル)が油エマルジョンと会合して非常に反応性になると予測されているので、油中水型エマルジョンおよびアクリルポリマーを合わせることは妨げられている。例えば、米国特許第5,026,546号(上記で議論されている)は、カルボポルの使用に言及しているが、DDAおよび/もしくはカルボポルを、油中水型エマルジョンもしくは水中油型エマルジョン中で使用するという示唆を何ら提供していない。さらに、特定の種(例えば、家禽)のためのアジュバントに関しては、アクリルポリマーは、一般にそれらの認識されている高い反応性に起因して、回避されてきた。従って、ワクチン接種された動物において上記アクリルポリマーによって引き起こされる有害な反応性の欠点がない、アクリルポリマーおよび油中水型エマルジョンの合わされた利点を提供する新規なアジュバントが当該分野で必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要旨)
本発明は、油ベースのエマルジョンワクチン組成物を水相中のアクリルポリマー(例えば、カルボポル)と処方することは、アクリルポリマーを含まない油ベースのエマルジョンワクチン組成物と比較して、ワクチン組成物によって生成される免疫応答を顕著に増大させるという驚くべき発見に一部基づいている。さらに、油中水型エマルジョンの上記水相中のアクリルポリマーを処方することによって、上記動物におけるアクリルポリマーの予測される有害な反応性が回避された。
【0008】
従って、本発明は、油中水型エマルジョンを含むワクチン組成物を提供する。本発明の油中水型エマルジョンは、油成分および水性成分を含む。上記水性成分は、少なくとも1種の抗原、ならびにアクリルポリマーおよびジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド(DDA)からなる群より選択される少なくとも1種のアジュバントを含む。本発明はまた、動物にワクチン接種するための方法を包含し、上記方法は、本発明のワクチン組成物を動物に投与する工程を包含する。
【0009】
本発明の他の局面は、油中水型エマルジョンを含むワクチン組成物を作製するための方法を包含する。本発明の方法は、油成分を、水性成分と乳化する工程を包含し、ここで上記水性成分は、少なくとも1種の抗原、ならびにアクリルポリマーおよびジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド(DDA)からなる群より選択される少なくとも1種のアジュバントを含む。
【0010】
本発明の上記の特徴および多くの他の付随する利点は、添付の図面とともに理解される場合に、以下の詳細な説明を参照することによってさらに理解されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明のエマルジョンワクチン組成物を作製するための例示的方法を示すフローチャートである。
【図2】図2は、不活性化H5N3トリインフルエンザ抗原を含む油中水型エマルジョンワクチン処方物を接種したシチメンチョウ由来の血液のHI(赤血球凝集阻害)を示す。
【図3】図3は、コントロールシチメンチョウ、ならびに不活性化H5N3トリインフルエンザ抗原およびアジュバントなし、カルボポル(登録商標)、カルボポル(登録商標)+DDA、CMC、HPMC、もしくはAl(OH)(reHydragel(登録商標))を含む油中水型エマルジョンワクチンを接種したシチメンチョウ由来の血液のHI力価を示す。「前採血」と示された上記HI力価レベルは、3匹の非ワクチン接種シチメンチョウ由来のものであった。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(発明の詳細な説明)
本発明は、エマルジョンを含むワクチン組成物を提供する。上記エマルジョンは、油成分および水性成分を含む。上記水性成分は、少なくとも1種の抗原および少なくとも1種のアジュバントを含む。上記アジュバントは、アクリルポリマーおよび/もしくはDDAを含み得る。
【0013】
(エマルジョン)
種々のタイプの、ワクチン調製物において使用されるエマルジョンとしては、油中水型エマルジョン、水中油型エマルジョン、および水中油中水型エマルジョンが挙げられる。本発明の状況において使用するための異なるタイプのエマルジョンは、油中水型エマルジョンである。油中水型エマルジョンは、1種以上の油溶性界面活性剤、1種硫黄の水溶性界面活性剤、さらなるアジュバント、さらなる水相成分、エマルジョン安定化剤、もしくはこれらの組み合わせをさらに含み得る。油中水型エマルジョンを作製するための方法は、当該分野で公知であり、本明細書中の他の箇所で記載されている。
【0014】
(ワクチン組成物)
本明細書で使用される場合、「ワクチン組成物」とは、レシピエントにおける防御免疫を誘発するために使用され得る組成物である。従って、被験体に抗原をワクチン接種した後に、ワクチンは、非ワクチン接種被験体に対して、同じもしくは関連する抗原に曝された被験体における疾患を予防するか、遅延させるか、または上記疾患の発症の重篤度を軽減する。ワクチンによって提供される防御免疫は、液性(抗体媒介性)免疫もしくは細胞性免疫、またはその両方であり得る。ワクチン接種は、例えば、病原体もしくは感染細胞の負担を排除もしくは低下させ得るか、または任意の他の測定可能な感染の軽減を生じ得る。ワクチン接種はまた、免疫した(ワクチン接種した)被験体における腫瘍負荷を低下させ得る。
【0015】
用語「防御免疫」とは、本明細書で使用される場合、被験体が抗原に曝されて、上記被験体において免疫応答(活性/獲得もしくは受動/先天性、またはその両方)を生じ、不活性化および/もしくは抗原の負荷における低下ならびに免疫記憶の生成(例えば、記憶T細胞もしくは記憶B細胞)をもたらした場合に、抗原に対して獲得される免疫をいう。
【0016】
ワクチン接種によって提供される防御免疫は部分的であってもよいし、ワクチン接種した被験体の一部にのみ提供されてもよい。従って、ワクチンは、上記免疫した集団の一部において防御免疫を誘導し得る。なぜなら、いくらかの個体は、強い免疫応答もしくは防御免疫応答を上昇させることができない可能性があるか、またはいくつらかの場合には、いかなる免疫応答をも上昇させることができない可能性があるからである。この無能力は、上記個々の遺伝的バックグラウンドから、または免疫不全状態(後天性もしくは先天的のいずれか)もしくは免疫抑制(例えば、化学療法での処置もしくは免疫抑制剤の使用に起因する(例えば、器官拒絶を予防するかもしくは自己免疫状態を抑制するために))が原因で生じ得る。にも拘わらず、上記免疫した集団の一部に防御を提供するワクチンは、有用であり、有効であると考えられている。
【0017】
(アジュバント)
用語「アジュバント」とは、本明細書で使用される場合、抗原と共同して投与される場合に、その抗原に対する被験体の免疫応答を増強する化合物をいう。
【0018】
上記免疫応答のアジュバント媒介性の増強は、以下のうちの1つ以上が挙げられるが、それらに限定されない、当該分野で公知の任意の方法によって評価され得る:(i)上記抗原単独での免疫に応じて生成された抗体の数に対して、上記アジュバント/抗原組み合わせでの免疫に応じて生成された抗体の数の増加;(ii)上記抗原もしくは上記アジュバントを認識するT細胞の数の増加;(iii)1種以上のI型サイトカインのレベルの増加;ならびに(iv)生のチャレンジ後のインビボ防御。
【0019】
免疫応答は、抗原特異的免疫反応性(例えば、抗体力価もしくはT細胞生成)の任意の測定可能なパラメーターが、抗原単独でチャレンジした被験体と比較して、被験体が抗原およびアジュバントでチャレンジされた場合に、少なくとも10%増大すると、増大したと考えられている。本発明の特定の実施形態において、免疫応答は、抗原特異的眼年期反応性の任意の測定可能なパラメーターが、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも125%、少なくとも150%、少なくとも175%、少なくとも200%、少なくとも225%、少なくとも250%、少なくとも275%、少なくとも300%、少なくとも350%、少なくとも400%、少なくとも450%、少なくとも500%、もしくは少なくとも1000%増大した場合に、増強されている。
【0020】
上記アジュバントは、好ましくは、アクリルポリマー、ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド(DDA)、もしくはアクリルポリマーとDDAとの組み合わせである。上記アジュバントは、好ましくは、水溶性アジュバントもしくは水分散性アジュバントである。
【0021】
アクリルポリマーは、本明細書で使用される場合、アクリル部分を含むポリマーもしくはコポリマーである。例示的なアクリルポリマーとしては、例えば、ポリアクリル酸、メタクリル酸、メタクリレート、アクリルアミド、アクリレート、アクリルニトリル、およびポリアクリル酸のアルキルエステルが挙げられる。アクリルコポリマーの例としては、例えば、ポリ(アクリルアミド−コ ブチル,メタクリレート)、アクリル−メタクリル酸、アクリル−アクリルアミドおよびポリ(メタクリレート)が挙げられる。市販のアクリルポリマーの例としては、カルボポル(B.F.Goodrich Co.,Cleveland,Ohio)、カルボセット(B.F.Goodrich Co.,Cleveland,Ohio)、ネオクリル(Avecia,Inc.,Wilmington,Del.)、およびユードラジット(Rohm Tech,Inc.,Malden,Mass.)が挙げられる。本発明のエマルジョンにおける使用に特に有用なアクリルポリマーは、カルボポルであり、カルボポルはまた、ポリアリルスクロースで架橋されたアクリル酸の水溶性ポリマーと一般的にいわれ、当該分野で公知である。
【0022】
本発明の油中水型エマルジョンの水相において含まれ得る特定のアクリルポリマーとしては、米国特許第6,340,464号、およびそこで引用される参考文献に記載されるように、アルキル−ポリアクリル酸(「アルキル−PAA」)ポリマーが挙げられる。例示的なアルキル−PAAポリマーとしては、デシル−PAA(C10−PAA)、オクチル−PAA(C8−PAA)、ブチル−PAA(C4−PAA)、およびメチル−PAA(C1−PAA)が挙げられる(例えば、米国特許第6,340,464号、表Iを参照のこと)。オクチル−PAAは、あるいは、「オクチル−アルキル−PAA」もしくは「OA−PAA」といわれ得る。
【0023】
本発明の特定の実施形態において、上記水性成分はまた、レシチンを含む。本発明の状況において、上記レシチンは、リポソームを形成するために使用され得る任意のレシチン(例えば、レシチン脂質性物質(例えば、ホスファチジルコリン))であり得る。リン脂質、リゾリン脂質、糖脂質および中性脂質は、レシチンの代表的な組成を含む。レシチンは、完全に加水分解される場合に、脂肪酸が2分子、ならびにグリセロール、リン酸、および塩基性窒素含有化合物(これは、通常、コリンである)が各々1分子を生じる分子である。加水分解時にレシチンから得られる上記脂肪酸は、通常、オレイン酸、パルミチン酸およびステアリン酸であるが、これらに限定されない。上記リン酸は、α位もしくはβ位のいずれかでグリセロールに結合されて、それぞれ、α−グリセロリン酸もしくはβ−グリセロリン酸を形成し、αレシチンおよびβ−レシチンとして公知の対応する一連のレシチンを生成し得る。レシチンおよびアクリルポリマーを含むアジュバントの例は、例えば、米国特許第6,676,958号に記載される。
【0024】
本発明のワクチン組成物において、上記アクリルポリマーおよび/もしくはDDAは、1種以上のさらなるアジュバントとともに使用され得る。例示的なさらなるアジュバントとしては、完全フロイントアジュバント、不完全フロイントアジュバント、MF59、もしくはSAF;ミネラルゲル(例えば、水酸化アルミニウム(ミョウバン、例えば、Reheis,Berkley Heights,NJ)から市販されるAl(OH) reHydragel(登録商標))、アルミニウム塩(例えば、リン酸アルミニウム)またはカルシウム塩(例えば、リン酸カルシウム));微生物由来のアジュバント(例えば、コレラ毒素(CT)、百日咳毒素、Escherichia coli熱不安定性毒素(LT)、変異毒素(例えば、LTK63もしくはLTR72)、カルメット・ゲラン菌(BCG)、リポポリサッカリド(LPS)、ミコバクテリア、破傷風毒素、Corynebacterium parvum、DNA CpGモチーフ、ムラミルジペプチド、もしくはモノホスホリルリピドA;粒状アジュバント(例えば、免疫刺激複合体(ISCOM)、リポソーム、生体分解性マイクロスフェア、またはサポニン(例えば、QS−21);サイトカイン(例えば、IFN−γ、IL−2、IL−12もしくはGM−CSF);合成アジュバント(例えば、非イオン性ブロックコポリマーもしくは界面活性剤、ムラミルペプチドアナログ(例えば、N−アセチル−ムラミル−L−スレオニル−D−イソグルタミン[thr−MDP]、N−アセチル−ノル−ムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルダミニル−L−アラニン−2−[1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ]−エチルアミン)、ポリホスファゼン、合成ポリヌクレオチド、表面活性物質(例えば、リゾレシチン、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、炭化水素エマルジョン、あるいはキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)が挙げられるが、これらに限定されない。さらなるアジュバントとしては、CMC(カルボキシメチルセルロース)およびHPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)が挙げられる。
【0025】
本明細書で提供される実施例に例示されるように、油中水型エマルジョンワクチンの水相におけるアジュバント(例えば、カルボポル、アルキル−PAA(例えば、OA−PAA)および/もしくはDDA)の使用は、驚くべきことに、アジュバントなしの伝統的な油中水型エマルジョンワクチンと比較して、上記ワクチンの抗原性を改善した。
【0026】
(抗原)
用語「抗原」とは、本明細書において使用される場合、被験体に導入される場合に、宿主の免疫系によって認識され、免疫応答を誘発することができかつ防御免疫を生成することができる薬剤をいう。抗原としては、病原体の表面もしくは感染細胞の表面、または腫瘍細胞の表面に天然に発現されている「表面抗原」が挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
本発明の特定の実施形態において、上記抗原は、感染性因子である。上記感染性因子は、生の感染性因子であってもよいし、死滅感染性因子もしくは不活性化感染性因子であってもよい。本発明のワクチン組成物において抗原として働き得る例示的な感染性因子としては、例えば、ウイルス、細菌、真菌、寄生体もしくは他の微生物が挙げられる。上記抗原はまた、ウイルス、細菌、真菌、寄生体もしくは他の微生物に由来する成分もしくは生成物であり得る。あるいは、上記抗原は、化学合成によって生成される生成物、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、ポリサッカリド、糖タンパク質、糖脂質、核酸、もしくはこれらの組み合わせであり得る。当業者は、核酸抗原が動物に導入される場合に、次に免疫応答を誘発する、例えば、ペプチドもしくはタンパク質の生成を最終的にもたらすことを理解する。
【0028】
被験体に投与される場合、抗原は、免疫系の抗原認識分子(例えば、免疫グロブリン(抗体)もしくはT細胞抗原レセプター(TCR))と特異的に相互作用して、免疫応答を誘発し、記憶細胞(例えば、記憶B細胞および記憶T細胞)および防御免疫の形成をもたらす。いくつかの抗原は、免疫応答を誘発するためにアジュバントもしくはキャリアとの同時投与を必要とする。
【0029】
ワクチンは、抗原に加えて、もしくは抗原の代わりに抗原を生成する成分(例えば、ベクター)を含み得る。用語「ベクター」、「クローニングベクター」および「発現ベクター」とは、宿主を形質転換し、そして抗原のその導入された配列の発現(例えば、転写および/もしくは翻訳)を促進するように、核酸配列(例えば、外来遺伝子)が宿主細胞に導入され得るビヒクルを意味する。ベクターとしては、プラスミド、ファージ、およびウイルス(例えば、RNAウイルス(例えば、レトロウイルスおよびレンチウイルス))が挙げられる。
【0030】
本発明の特定の実施形態において、上記抗原が感染性因子である場合、上記感染性因子は、動物に感染し得る因子であり得る。例えば、上記感染性因子は、ヒト、トリ(例えば、ニワトリ、シチメンチョウ、アヒル、鳩など)、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、もしくはウマ動物に感染し得る。
【0031】
抗原が防御免疫を誘発し得る疾患の病原体および/もしくは状態の非限定的例は、インフルエンザウイルス、ニューカッスル病ウイルス、感染性気管支炎ウイルス、ライノウイルス、パラインフルエンザウイルス、パルボウイルス(例えば、アヒルパルボウイルス)、アデノウイルス、Actinobaccilus pleuropneumoniae、Pasteurella multocida、Streptococcus pneumonia、Streptococcus pyogenes、トリ白血症、伝染性ファブリキウス嚢病、レオウイルス、水痘(pox)、咽頭気管支炎、マレック病、破傷風、B型肝炎、マラリア、肺炎球菌肺炎、ロタウイルス、パルボウイルス、コロナウイルス(caronavirus)、E.coli、Salmonella、Shigella、Yersinia、Campylobactor、Clostridium、VibrioおよびGiardia、Entamoeba、ならびにCryptosporidiumである。抗原はまた、悪性腫瘍(例えば、固形腫瘍もしくは血液腫瘍(例えば、肉腫、癌腫、神経膠腫、芽細胞腫、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、リンパ腫、白血病、および黒色腫)に対する防御免疫を誘発し得る。
【0032】
特定の実施形態において、上記抗原は、インフルエンザウイルス(例えば、不活性化インフルエンザウイルス)である。上記不活性化インフルエンザウイルスは、伝統的な方法もしくはいわゆる「逆遺伝学」技術によって得られ得る。本発明のワクチン組成物において使用するためのインフルエンザウイルス抗原を作製するために使用され得る例示的な逆遺伝学方法は、例えば、米国特許第6,951,754号、同第5,578,473号、同第5,820,871号、同第6,887,699号、同第6,544,785号、ならびに米国特許出願公開第2003/0035814号、同第2006/0134138号、同第2006/0057116号、同第2005/0037487号、同第2005/0003349号、同第2006/0166321号、および同第2004/0142003号で開示されている。前述の特許および特許出願公開の内容は、それらの全体が本明細書に参考として援用される。
【0033】
任意の不活性化インフルエンザウイルスは、本発明の状況において使用され得、任意の不活性化インフルエンザA型株(例えば、トリインフルエンザ株)が挙げられる。上記インフルエンザウイルスは、伝統的な卵ベースの方法もしくは本明細書中上記で言及した逆遺伝学技術によって生成される組換えインフルエンザウイルスであり得る。上記組換えウイルスは、ヘマグルチニン(HA)およびノイラミニダーゼ(NA)サブタイプの任意の組み合わせを有し得る。本発明の状況において抗原として使用され得る例示的不活性化インフルエンザウイルスとしては、H1、H5、H7もしくはH9のヘマグルチニンと、N1、N2、N3、N4、N5、N6、N7、N8もしくはN9のうちのいずれかとを組み合わせて有するウイルスが挙げられる。一般に、上記抗原のヘマグルチニンサブタイプは、循環する感染性インフルエンザ株によって示されるヘマグルチニンサブタイプに基づいて選択される。
【0034】
上記抗原が不活性化インフルエンザウイルス(例えば、例えば、H5N3もしくはH5N9)である場合、上記ワクチン組成物中の抗原の量は、代表的には、赤血球凝集単位(HAU)/用量に関して表される。例えば、本発明の特定の実施形態において、上記抗原は、不活性化インフルエンザウイルスであり、上記ワクチン組成物中に、50〜1000HAU/用量の量で存在する。具体的な実施形態において、ワクチン組成物の各用量は、約50、約55、約60、約65、約70、約75、約80、約85、約90、約95、約100、約105、約110、約115、約120、約125、約130、約135、約140、約145、約150、約155、約160、約165、約170、約175、約180、約185、約190、約195、約200、約205、約210、約215、約220、約225、約230、約235、約240、約245、約250、約255、約260、約265、約270、約275、約280、約285、約290、約295、約300、約305、約310、約315、約320、約325、約330、約335、約340、約345、約350、約355、約360、約365、約370、約375、約380、約385、約390、約395、約400、約405、約410、約415、約420、約425、約430、約435、約440、約445、約450、約455、約460、約465、約470、約475、約480、約485、約490、約495、約500、約505、約510、約515、約520、約2525、約530、約535、約540、約545、約550、約555、約560、約565、約570、約575、約580、約585、約590、約595、約600、約605、約610、約615、約620、約625、約630、約635、約640、約645、約650、約655、約660、約665、約670、約675、約680、約685、約690、約695、約700、約705、約710、約715、約720、約725、約730、約735、約740、約745、約750、約755、約760、約765、約770、約775、約780、約785、約790、約795、約800、約805、約810、約815、約820、約825、約830、約835、約840、約845、約850、約855、約860、約865、約870、約875、約880、約885、約890、約895、約900、約905、約910、約915、約920、約925、約930、約935、約940、約945、約950、約955、約960、約965、約970、約975、約980、約985、約990、約995、または約1000HAUを含む。
【0035】
特定の他の実施形態において、ワクチン組成物の各用量は、約182HAU、256HAUもしくは512HAUを含む。
【0036】
(油成分)
本発明のワクチン組成物はまた、油成分を含む。上記油成分に含まれ得る油の例としては、テルペン油(例えば、スクアランおよびスクアレン);植物性油(例えば、ダイズ油、オリーブ油、コーン油、ホホバ油、ラッカセイ油、綿実油、ひまわり油、サフラワー油、ごま油、アプリコット油、アボカド油、小麦胚芽油、キャノーラ油、亜麻仁油、およびアーモンド油);魚油(例えば、鮫油、ヒウチ鯛油(orange roughy oil)、ニシン油(Menhaden oil)、および鱈肝油);動物性油(例えば、ミンク油、ラード油、および鶏脂油(chicken fat oil);ならびに合成油(例えば、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、Miglyol(登録商標) 840(Sasol North America Inc.,Houston,TX)、およびCaptex(登録商標) 300(Abitec Corp.,Columbus,Ohio)ならびにミネラルオイル(Sigma−Aldrich,St.Louis,MOから市販される)、トリグリセリド油、プロピレングリコール誘導体、およびプリスタンが挙げられるが、これらに限定されない。上記油相の好ましい油は、ミネラルオイルである。これら油の組み合わせはまた、使用され得る。
【0037】
(さらなる成分)
本発明の特定の実施形態において、上記ワクチン組成物は、1種以上のさらなる成分(例えば、界面活性剤、緩衝化剤および安定化化合物)を含み得る。
【0038】
油溶性界面活性剤としては、Arlacel(登録商標) 83(Uniquema,New Castle,DEから市販されるセスキオレイン酸ソルビタン)、Arlacel(登録商標) A(Uniquema,New Castle,DEから市販のモノオレイン酸マンニド(mannide monooleate))、Arlacel(登録商標) 80(Uniquema,New Castle,DEから市販されている)、Span(登録商標) 80(モノオレイン酸ソルビタン、Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)、L121ポロキサマー 401(Pluronic(登録商標) L121、BASF Corp.,Florham Park,NJ)が挙げられる。1つの好ましい油溶性界面活性剤は、Arlacel(登録商標) 83である。
【0039】
水溶性界面活性剤としては、Tween(登録商標) 80(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)が挙げられる。1つの好ましい水溶性界面活性剤は、Tween(登録商標) 80である。
【0040】
水相は、pH緩衝化成分(例えば、PBS(リン酸緩衝化生理食塩水)、保存剤(例えば、メチルもしくはプロピル−p−ヒドロキシ安息香酸またはソルビン酸)、矯味矯臭剤、着色剤および甘味剤が挙げられ得る。
【0041】
エマルジョンは、1種以上の安定化化合物を含めることによって、安定化され得る。安定化剤のクラスとしては、ポリマー性安定化剤および低分子量安定化剤が挙げられる。ポリマー性安定化剤は、バルク相においてゲルを、もしくは界面で他の構造を形成し、そして上記相もしくは界面のうちの1つ以上の粘性を増大する。ポリマー性安定化剤としては、タンパク質、デンプン、ガム、セルロース性物質(cellulosic)、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸およびポリビニルピロリドンが挙げられるが、これらに限定されない。これら物質は、共有結合によって、または静電気的相互作用および疎水性相互作用によって、界面に結合する。それらは、「界面複合体」を形成し、界面複合体は、上記バルク相のいずれにも存在しない関係において界面で2つ以上の表面活性分子との会合として定義される。低分子量安定化剤の例は、コレステロールおよび二価カチオンの脂肪酸塩(例えば、ステアリン酸アルミニウム)であるが、これらに限定されない。
【0042】
本発明のワクチン組成物を作製するための方法)
本発明はまた、ワクチン組成物を作製するための方法を包含する。一実施形態において、本発明の方法は、油成分を水性成分と乳化する工程を包含する。上記でより詳細に記載されるように、上記ワクチン組成物の水性成分は、少なくとも1種の抗原、ならびにアクリルポリマーおよびDDAからなる群より選択される少なくとも1種のアジュバントを含む。上記油成分、抗原、アジュバントおよび本明細書の他の箇所で記載されるこれらのバリエーションのうちのいずれかは、本発明の方法において使用され得る。
【0043】
具体的な実施形態において、ワクチン組成物を作製するための方法が提供され、ここで上記方法は、以下の工程を包含する:(a)抗原の水溶液と、アクリルポリマーおよびDDAからなる群より選択される少なくとも1種のアジュバントとを合わせて、抗原/アジュバント混合物を形成する工程;(b)(a)の上記抗原/アジュバント混合物と、油成分および乳化剤とを合わせて、抗原/アジュバント/油成分混合物を形成する工程;ならびに(c)(b)の上記抗原/アジュバント/油成分混合物を乳化して、油中水型エマルジョンを形成し、それによって、ワクチン組成物を形成する工程。
【0044】
本発明の方法は、油成分を、水性成分と乳化して、例えば、油中水型(WO)エマルジョンを形成する工程を包含する。ワクチン組成物のための油中水型エマルジョンを調製するための方法は、当該分野で周知である。例えば、米国特許第5,109,026号および同第5,744,137号を参照のこと。一般に、水相(必要に応じて、界面活性剤を含む)および油相(必要に応じて、界面活性剤を含む)は、調製および混合されて、油中水型エマルジョンを形成する。
【0045】
例えば、カルボポルもしくはカルボポル+DDAの油中水型エマルジョンは、以下のように調製され得る:水相は、1種以上の抗原および必要に応じて、カルボポル(登録商標)もしくはカルボポル(登録商標)+DDAを、逐次的にもしくは同時に水溶液中で混合して、均質な混合物を形成することによって、調製される。水溶性界面活性剤は、必要に応じて、上記抗原含有水性混合物と混合され得る。さらなるアジュバントを含むさらなる水性成分は、上記水相に添加され得る。本発明のワクチン処方物を調製するための1つの例示的方法を示すフローチャートは、図1に示される。
【0046】
ワクチン組成物の各用量の全体の容積は、例えば、0.05mL〜2.0mLであり得る。例えば、特定の実施形態において、上記ワクチン組成物の用量の容積は、約0.05mL、約0.10mL、約0.15mL、約0.20mL、約0.25mL、約0.30mL、約0.35mL、約0.40mL、約0.45mL、約0.50mL、約0.55mL、約0.60mL、約0.65mL、約0.70mL、約0.75mL、約0.80mL、約0.85mL、約0.90mL、約0.95mLもしくは約1.0mLである。
【0047】
本発明のワクチン組成物を調製することにおいて、油成分に対する水性成分(例えば、アジュバントと合わせた水溶液中の抗原)の種々の割合が、以下の表1に示されるように、使用され得る:
【0048】
【表1】

油中水型エマルジョンを調製するための一方法は、上記水相を上記油相に添加することである。次いで、この混合物は、15〜20秒間手動で振盪され、高剪断プローブ(Brinkmanホモジナイザー,Brinkman Instruments,Westbury,N.Y.) Polytron 10/35を使用して20秒間乳化するか、ボルテックスするか、または当業者が精通している技術を使用して同様に混合される。
【0049】
界面活性剤組成物含有油中水型エマルジョンワクチンの工業的調製について、上記油および界面活性剤含有水相は、Silversonホモジナイザーで混合され得る。
【0050】
当業者は、上記抗原を含む水相、上記油相、および上記界面活性剤の相対量が、粘性の特定の望ましい特性を有するエマルジョンを達成するために調節され得ることを認識し得る。
【0051】
(動物をワクチン接種するための方法)
本発明はまた、動物をワクチン接種するための方法を包含する。本発明の方法は、動物に、本明細書中の他の箇所で記載されるワクチン組成物のうちのいずれかを投与する工程を包含する。
【0052】
本発明のワクチン組成物は、任意の動物(例えば、ヒト、トリ、イヌ、ネコ、ウシ、ブタもしくはウマ動物が挙げられる)に投与され得る。例示的なトリ動物としては、例えば、トリ動物(飼い慣らされていようと、野生であろうと)、および特に、食肉もしくは卵の生成のために商業的に飼育されているものが挙げられる。これらに限定されないが、例示的なトリとしては、ニワトリ、シチメンチョウ、ガチョウ、アヒル、キジなどが挙げられる。
【0053】
ワクチン処方物は、限定されないが、経皮送達によって、または経粘膜投与(経口経路、口内経路、鼻内経路、眼科的経路、膣経路、直腸経路、大脳内経路、皮内経路、筋肉内経路、腹腔内経路、静脈内経路、皮下経路が挙げられるが、これらに限定されない)によって、切皮法(scarification)(例えば、二股の鍼(bifurcated needle)を使用して、皮膚の最上層を引っ掻くこと)を介して、吸入(inhalation)(肺の)もしくは吸入(insufflation)(口もしくは鼻のいずれかを介して)によって、またはエキソビボでの抗原提示細胞(例えば、樹状細胞(DC)への投与、続いて、上記細胞の被験体への投与によって、または任意の他の標準的な免疫経路によって投与され得る。
【0054】
好ましくは、本発明のワクチン組成物は、非経口的に、すなわち、静脈内(i.v.)投与、皮下(s.c.)投与、腹腔内(i.p.)投与、筋肉内(i.m.)投与、皮下(subdermal)(s.d.)投与、もしくは皮内(i.d.)投与によって、例えば、ボーラス注射、連続注入、もしくは遺伝子銃を介して(例えば、被験体にベクターワクチン(例えば、裸のDNAもしくはRNA)を投与するために)直接注射によって、送達され得る。注射用の処方物は、単位投与形態において(例えば、アンプルもしくは保存料を添加した複数用量の容器において)示され得る。
【0055】
吸入による投与について、本発明に従う治療剤は、適切なプロペラント(例えば、ジクロロジフルオロ−メタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素もしくは他の適切なガス)を使用して、加圧パックもしくはネブライザからのエアロゾルスプレー提示の形態で便利に投与され得る。加圧エアロゾルの場合、上記投与単位は、計量した量を送達するためのバルブを提供することによって、決定され得る。吸入器(inhaler)もしくは吸入器(insufflator)における使用のための、例えば、ゼラチンのカプセルおよびカートリッジが、処方され得、上記化合物および適切な粉末基剤(例えば、ラクトースもしくはデンプン)の粉末ミックスを含む。
【0056】
本発明の組成物はまた、直腸用組成物(例えば、坐剤もしくは保持浣腸剤)において処方され得る。
【0057】
本発明の方法によれば、本明細書に記載されるワクチン組成物は、被験体に治療上有効な用量で、好ましくは、最小限の毒性で投与される。
【0058】
用語、用量もしくは量に対して適用される用語「治療上有効な」とは、化合物、薬学的組成物もしくはワクチンが必要な動物に投与した際に、望ましい活性を生じるに十分な上記化合物もしくは薬学的組成物もしくはワクチンの量をいう。アジュバント含有組成物もしくは組成物および抗原含有組成物もしくはワクチンに関して本明細書で使用される場合、用語「治療上有効な量/用量」は、用語「免疫原性的に有効な量/用量」と交換可能に使用され、動物に投与された際に、有効な免疫応答を生じるに十分な化合物(例えば、抗原および/もしくはアジュバント)または薬学的組成物またはワクチンの量/用量をいう。
【0059】
語句「薬学的に受容可能な」とは、ヒトに投与される場合に生理学的に許容可能でありかつ代表的には、不適切な反応を生じない、このような組成物の分子実体および他の成分をいう。好ましくは、本明細書で使用される場合、用語「薬学的に受容可能な」とは、連邦政府もしくは州政府の規制当局によって承認されているか、または動物、およびより具体的にはヒトにおいて使用するために、米国局方もしくは他の一般に認識されている局方に列挙されていることを意味する。
【0060】
治療上有効な用量は、当該分野で周知の方法を使用して、用量−応答曲線から決定され得る。用量−応答曲線の例は、限定されることなく、以下の実施例4に記載される。
【0061】
ワクチン組成物中のアジュバント、抗原および他の成分の用量は、連続してもしくは周期的に投与される抗原の用量が、試験動物および被験体の個々の状態における結果を考慮して、特定の量を超えないような量であるべきである。
【0062】
特定の投与レジメンは、投与手順、患者もしくは被験体動物の条件(例えば、年齢、体重、性別、感受性、食事、投与期間、組み合わせて使用される薬物、疾患の重篤度)に依存して変動する。特定の条件下での適切な容量および投与時間は、各患者の状況に従って、および標準的な臨床技術に従って、担当医によって決定され得る。
【0063】
アジュバント含有免疫原性組成物の毒性および治療的効力は、実験動物における標準的薬学的手順によって、例えば、LD50(集団の50%に対して致死的な用量)およびED50(集団の50%において治療上有効である用量)を決定することによって、決定され得る。毒性効果と治療効果との間の用量比は、治療指数であり、比率LD50/ED50として表され得る。大きな治療指数を示す組成物が好ましい。毒性副作用を示す治療剤が使用され得る(例えば、癌もしくは生命を脅かす感染の重篤な形態を処置する場合に)一方で、他の組織および器官への潜在的な損傷を最少にし、それによって、副作用を軽減するために、このような免疫原性組成物を特定の部位(例えば、免疫応答を媒介するリンパ組織、腫瘍もしくは感染性因子の複製を支援している器官)を標的とする送達系を設計する配慮がなされるべきである。
【0064】
(ワクチン組成物を作製するための成分を含むキット)
特定の実施形態において、本発明は、免疫原性処方物の1種以上の成分を充填した1つ以上の容器を含む薬学的パックもしくはキットを提供する。好ましい実施形態において、薬学的組成物もしくはワクチン組成物の調製のためのキットは、少なくとも1種の抗原、アジュバント(例えば、カルボポル(登録商標)もしくはカルボポル(登録商標)+DDA)、油相、および水相を含み、上記キットは、異なる容器に上記成分を含み、そして必要に応じて、上記成分を混合するために、および/もしくは上記組成物の投与のために説明書を含む。上記キットの各容器はまた、必要に応じて、1種以上の生理学的に受容可能なキャリアおよび/もしくは賦形剤および/もしくは補助物質を含み得る。製造、製薬製品もしくは生物製品の使用もしくは販売を規制する政府当局によって規定された形態の注意書きは、このような容器と関連づけられ得、この注意書きは、製造、ヒト投与のための使用もしくは販売の当局による承認を示す。
【0065】
ワクチン組成物は、望ましい場合、活性成分(すなわち、抗原および/もしくはアジュバント)を含む1つ以上の単位投与形態を含み得るパックもしくはディスペンサーデバイス中に提示され得る。上記パックは、例えば、金属ホイルもしくはプラスチックホイル(例えば、ブリスターパック)を含み得る。上記パックもしくはディスペンサーデバイスには、投与のための説明書が付随し得る。適合性の薬学的キャリア中に処方された組成物がまた、調製され得、適切な容器中に入れられ得、そして示される病原体および/もしくは状態に対してワクチン接種するために表示され得る。
【0066】
(分子生物学の定義)
本発明によれば、当該分野の技術班以内の従来の分子生物学、微生物学、および組換えDNA技術が使用され得る。このような技術は周知であり、参考文献中に十分に説明されている。例えば、Sambrook,Fritsch and Maniatis,Molecular Cloning: A Laboratory Manual,Second Edition(1989)Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New York;DNA Cloning: A Practical Approach,Volumes I and II(D.N.Glover ed.1985);Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait ed.1984);Nucleic Acid Hybridization[B.D.Hames & S.J.Higgins eds.(1985)];Transcription And Translation [B.D. Hames & S.J. Higgins, eds. (1984)];Animal Cell Culture[R.I.Freshney,ed.(1986)];Immobilized Cells And Enzymes[IRL Press,(1986)];B.Perbal, A Practical Guide To Molecular Cloning (1984);およびF.M. Ausubelら(eds.),Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,Inc.(1994)を参照のこと。
【0067】
「核酸分子」(もしくは代わりに「核酸」)とは、一本鎖形態、もしくは二本鎖形態のいずれかのリボヌクレオシド(アデノシン、グアノシン、ウリジンもしくはシチジン:「RNA分子」)もしくはデオキシリボヌクレオシド(デオキシアデノシン、デオキシグアノシン、デオキシチミジン、もしくはデオキシシチジン):「DNA分子」)のリン酸エステルポリマー形態、またはその任意のホスホエステルアナログ(例えば、ホスホロチオエートおよびチオエステル)をいう。オリゴヌクレオチド(100ヌクレオチドより少ない構成要素単位を有する)もしくはポリヌクレオチドは、定義された用語内に含まれ、ならびに二本鎖のDNA−DNAヘリックス、DNA−RNAヘリックス、およびRNA−RNAヘリックスを含む。この用語は、例えば、特に、直線状(例えば、制限フラグメント)もしくは環状のDNA分子、プラスミド、および染色体において見いだされる二本鎖DNAを含む。特定の二本鎖のDNA分子の構造を議論するにあたって、配列は、5’方向から3’方向で、DNAの転写されない鎖(すなわち、mRNAに相同な配列を有する鎖)とともに、配列のみを与えるという通常の慣習に従って、本明細書で記載され得る。「組換えDNA分子」は、分子生物学的操作を行ったDNA分子である。
【0068】
本明細書で使用される場合、用語「ポリペプチド」とは、アミノ酸ベースのポリマーであって、核酸によってコードされ得るかもしくは合成によって調製され得るものをいう。ポリペプチドは、タンパク質、タンパク質フラグメント、キメラタンパク質などであり得る。一般に、用語「タンパク質」とは、細胞チュで内因的に発現されるポリペプチドをいう。一般に、特定のタンパク質もしくは酵素をコードするDNA配列は、対応するmRNA配列へと「転写」される。上記mRNA配列は、続いて、タンパク質を形成するアミノ酸の配列へと「翻訳」される。「アミノ酸配列」は、2つ以上のアミノ酸の任意の鎖である。用語「ペプチド」とは、通常、100個未満のアミノ酸構成要素単位を有するアミノ酸ベースのポリマーについて使用されるのに対して、用語「ポリペプチド」とは、少なくとも100個のこのような単位を有するポリマーを指定する。しかし、本明細書において、「ポリペプチド」は、総称的な用語である。
【0069】
以下の実施例は、本発明の方法および組成物の例示であって、限定ではない。種々の条件およびパラメーターの他の適切な改変および適合は、通常、本開示に鑑みれば、当業者にとって明らかな分子生物学および化学の範囲内で遭遇することになり、本発明の趣旨および範囲内である。
【実施例】
【0070】
(実施例1:コントロール油中水型エマルジョンワクチン処方物の調製)
不活性化逆遺伝学H5N3トリインフルエンザ(Liuら,Virology 314:580−590(2003))を、滅菌生理食塩水に添加した。上記混合物を攪拌して、均質な混合物を形成した。Tween(登録商標) 80(7.2mL)を上記混合物に添加して、続いて、混合して、均質な水性混合物を形成した。
【0071】
上記水性混合物が全容積の40%であり、上記油混合物が全容積の60%であるように、上記水性混合物をミネラルオイル/Arlacel(登録商標) 83V混合物(720mL)にゆっくりと添加して、油中水型エマルジョンを形成した。
【0072】
(実施例2:水相中にアジュバントを含む油中水型エマルジョンワクチンの調製)
水相にアジュバントを含む油中水型エマルジョンを、本質的に実施例1に記載されるように調製した。不活性化H5N3トリインフルエンザおよび表2の5種のアジュバントのうちの1種を、滅菌生理食塩水に添加して、全容積197mLにした。上記混合物を攪拌して、均質な混合物を形成した。Tween(登録商標) 80(3.0mL)を上記混合物に添加して、続いて、混合して、均質な水性混合物を形成した。
【0073】
上記水性混合物が全容積の40%であり、上記油混合物が全容積の60%であるように、上記水性混合物をミネラルオイル/Arlacel(登録商標) 83V混合物(300mL)にゆっくりと添加して、油中水型エマルジョンを形成した。従って、5種のエマルジョンワクチンを、5種の異なるアジュバントを使用して調製した。
【0074】
【表2】

(実施例3:シチメンチョウの接種についての投与量決定)
シチメンチョウを、128HAU、256HAU、もしくは512HAU(赤血球阻害単位)/0.5mLのアジュバントなしのワクチン(実施例1に記載されるとおり)を接種した。上記接種したシチメンチョウに由来する血液のHI(赤血球凝集阻害)力価を、接種の3週間後、6週間後、および9週間後に測定した。上記サンプルを、赤血球凝集阻害(HI)アッセイ(動物インフルエンザの診断およびサーベイランスに関する世界保健機関マニュアル、WHO/CDS/CSR/NCS/2002.5)で試験した。結果を図2に示す。各投与量は、合理的に良好な血清学的応答を最初に与えるが、上記HI力価は、その後すぐに劇的に低下した。
【0075】
(実施例4:水相中にアジュバントを含む油中水型エマルジョンワクチンのシチメンチョウへの接種)
シチメンチョウに、水相中にアジュバントを含むワクチン(実施例2に記載されるとおり)を接種した。10羽の1週齡のシチメンチョウに、0.5mLの上記ワクチン(256HAU/用量)をワクチン接種した。コントロールとして、10羽のシチメンチョウに、実施例1に記載される処方物を接種し、10羽のシチメンチョウには、接種しなかった。接種したシチメンチョウを、最初のワクチン接種の3週間後に、0.5mLのワクチン(256HAU/用量)の第2のワクチンブースターを与えた。上記シチメンチョウ由来の血清サンプルを、4週齡、7週齡、および10週齡で採取し、実施例4に使用される同じ赤血球凝集阻害アッセイを使用して試験した。表3は、上記に記載されるような実験プロトコルの表の記載を提供する。
【0076】
【表3】

コントロールおよび実験的ワクチン接種の結果を、表4および図3に示す。上記結果は、上記カルボポル(登録商標)もしくはカルボポル(登録商標)+DDAアジュバントを含むワクチンの有効性を実証する。
【0077】
【表4】

(実施例5:カルボポルおよびDDAを含む油中水型ワクチン組成物を使用して得られるシチメンチョウにおける増強された免疫応答)
本実施例において、カルボポルもしくはカルボポル+DDAありもしくはなしの油中水型エマルジョン中にトリインフルエンザ抗原を含むワクチン組成物を使用して、シチメンチョウにワクチン接種し、上記インフルエンザ抗原に対する免疫応答を評価した。
【0078】
本実施例において使用されるワクチン組成物を、図1に概説される一般的方法を本質的に使用して調製した。簡潔には、トリインフルエンザH5N9不活性化ウイルスを含む水溶液を、0.2% カルボポルもしくは0.2% カルボポル+0.5g/mL DDAありまたはなしで、乳化剤と合わせた。上記得られた混合物を、ミネラルオイルにゆっくりと添加し、次いで、乳化/均質化に供して、「標準的エマルジョン」(カルボポルおよびDDAを欠いている)もしくは「カルボポルエマルジョン」もしくは「カルボポル+DDAエマルジョン」のいずれかを生成した。最終的なエマルジョン中の不活性化H5N9の量は、0.5mL用量あたり512HAU(不活性化前ウイルスストックに対して試験することによって測定した場合)であった。
【0079】
4群のシチメンチョウを、実施例において使用し、各群は、20羽の1週齢の市販の白色シチメンチョウからなった。実験設計を、以下の表5にまとめる:
【0080】
【表5】

群1、群2および群3におけるトリに、1週間後に対応するワクチン組成物を投与し、続いて、4週齢でブースターワクチン接種を行った。血液サンプルを最初のワクチン接種時、およびブースターワクチン接種時およびその後3週間の間隔を空けて(すなわち、7週齡、10週齡、13週齡、16週齡および19週齡で)回収した。上記サンプルを、赤血球凝集阻害(HI)アッセイ(動物インフルエンザの診断およびサーベイランスに関する世界保健機関マニュアル、WHO/CDS/CSR/NCS/2002.5)で試験した。上記HIアッセイを、β−プロピオラクトン(BPL)不活性化H5N9抗原ストックを使用して行った。
【0081】
上記HIアッセイの結果(幾何平均力価(GMT)に関して表した)を、以下の表6に示す:
【0082】
【表6】

H5N9抗原+カルボポルエマルジョン(群2)もしくはH5N9抗原+カルボポル+DDAエマルジョン(群3)をワクチン接種したシチメンチョウは、H5N9抗原のみの標準的エマルジョンをワクチン接種したトリ(群1)と比較して、より高いHI GMTを示した。さらに、カルボポルを含むエマルジョンを投与したシチメンチョウにおける血清学的応答のより高いレベルは、ブースターワクチン接種の15週間後(19週齢のシチメンチョウ)に対する研究の期間にわたって持続した。
【0083】
本実施例において、血清学的応答の一般的増強は、カルボポルもしくはカルボポル+DDAを水相中に含む油中水型ワクチンエマルジョンを投与したシチメンチョウにおけるトリインフルエンザに対して観察された。この増強は、逆遺伝学起源の低病原性H5N3単離株(実施例4)を利用して観察された結果と同様に、従来の低病原性H5N9単離株で生じた。従って、上記増強された免疫応答は、上記アジュバントに帰する可能性があり、そして種々の抗原に対して明らかに適用可能である。
【0084】
(実施例6:カルボポルを含む油中水型ワクチン組成物を使用して得られた、アヒルにおける増強された免疫応答)
本実施例において、水相中にカルボポルありまたはなしで、トリインフルエンザ抗原を油中水型エマルジョン中に含むワクチン組成物を使用して、異なる4品種のアヒルにワクチン接種し、上記インフルエンザ抗原に対する免疫応答を評価した。
【0085】
本実施例において使用されるワクチン組成物を、図1に概説される一般的方法を本質的に使用して、調製した。簡潔には、逆遺伝学トリインフルエンザH5N3不活性化ウイルス(「rg−H5N3」、実施例1を参照のこと)を含む水溶液を、0.2% カルボポルありまたはなしで、乳化剤と合わせた。上記得られた混合物を、ミネラルオイルにゆっくりと添加し、次いで、乳化/均質化に供して、「標準的エマルジョン」(カルボポルを欠いている)もしくは「カルボポルエマルジョン」(0.2% カルボポルを水相中に含む)のいずれかを生成した。最終的なエマルジョン中のrg−H5N3の量は、0.5mL用量あたり256HAUであった。
【0086】
本実施例において、異なる4品種のアヒル:Pekin、Mallard、Khaki CampbellおよびGolden Hybrid 300を使用した。各品種のアヒルを、以下の表7に示されるように、3つの異なる処置群にさらに分けた:
【0087】
【表7】

処置群1および2におけるアヒルに、日齢のうちに(1〜6日齢の間)0.2mL全容積のその対応するエマルジョンワクチン組成物を首の後ろの皮下にワクチン接種した(「最初のワクチン接種」)。3週齢のときに、上記アヒルに、0.5mLの同じワクチンを首の後ろの皮下にブーストした。
【0088】
血液サンプルを、最初のワクチン接種時およびその後3週間の間隔を空けて(すなわち、最初のワクチン接種の3週間後に(「3 WPV1」))、ならびに上記ブースターワクチン接種の3週間後、6週間後、9週間後および12週間後(「3 WPV2」、「6 WPV2」、「9 WPV2」、および「12 WPV2」)に、回収した。上記サンプルを、赤血球凝集阻害(HI)アッセイ(動物インフルエンザの診断およびサーベイランスに関する世界保健機関マニュアル、WHO/CDS/CSR/NCS/2002.5)で試験した。上記HIアッセイを、β−プロピオラクトン(BPL)活性化H5N3抗原ストックを使用して行った。
【0089】
日齢のうち(ワクチン接種前)での各品種の代表的アヒルから回収した血清は、トリインフルエンザに対するHI検出可能抗体を含んでいなかった(データは示さず)。上記HIアッセイの残りの時点での結果(幾何平均力価(GMT)に関して表した)を、以下の表8に示す:
【0090】
【表8】

上記に示した結果は、カルボポルを水相中に処方した油中水型ワクチン組成物が、カルボポルを水相中に含まないで処方された油中水型ワクチン組成物と比較して、試験したアヒルの大部分の品種で、有意により大きな免疫応答を生じたことを示す。これらの結果は、アクリルポリマー(例えば、カルボポル)を水相中に含む油中水型ワクチン組成物が、従来の油中水型ワクチン組成物と比較して、優れた免疫応答を提供することをさらに確認する。
【0091】
前述の発明は、理解を明確にする目的で、例示および実施例によって幾分詳細に記載されてきたが、本発明は、特定の開示された実施形態に限定されないが、特許請求の範囲によって定義されるように、発明の趣旨および範囲内にある全ての変更および改変を網羅することが意図される。
【0092】
本明細書において言及される全ての刊行物および特許は、本発明が属する分野の当業者のレベルを示す。全ての刊行物および特許は、各個々の刊行物および特許出願が、具体的にかつ個々に参考として援用されることが示されるのと同程度まで、本明細書に参考として援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油中水型エマルジョンを含むワクチン組成物であって、
ここで該エマルジョンは、油成分および水性成分を含み;そして
ここで該水性成分は、少なくとも1種の抗原、ならびにアクリルポリマーおよびジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド(DDA)からなる群より選択される少なくとも1種のアジュバントを含む、
ワクチン組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1種のアジュバントはアクリルポリマーである、請求項1に記載のワクチン組成物。
【請求項3】
前記アクリルポリマーは、ポリアリルスクロースで架橋されたアクリル酸のポリマーである、請求項2に記載のワクチン組成物。
【請求項4】
前記アクリルポリマーは、アルキル−ポリアクリル酸(「アルキル−PAA」)アジュバントである、請求項2に記載のワクチン組成物。
【請求項5】
前記アルキル−PAAアジュバントは、デシル−PAA、オクチル−PAA、ブチル−PAAおよびメチル−PAAからなる群より選択される、請求項4に記載のワクチン組成物。
【請求項6】
前記アルキル−PAAアジュバントは、オクチル−PAAである、請求項5に記載のワクチン組成物。
【請求項7】
前記少なくとも1種のアジュバントは、ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド(DDA)である、請求項1に記載のワクチン組成物。
【請求項8】
前記水性成分は、アクリルポリマーおよびジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド(DDA)の両方を含む、請求項1に記載のワクチン組成物。
【請求項9】
前記アクリルポリマーは、ポリアリルスクロースで架橋されたアクリル酸のポリマーである、請求項7に記載のワクチン組成物。
【請求項10】
前記少なくとも1種の抗原は、感染性因子である、請求項1に記載のワクチン組成物。
【請求項11】
前記感染性因子は、生の感染性因子である、請求項10に記載のワクチン組成物。
【請求項12】
前記感染性因子は、死滅感染性因子もしくは不活性化感染性因子である、請求項10に記載のワクチン組成物。
【請求項13】
前記感染性因子は、ウイルス、細菌、真菌、もしくは寄生体である、請求項10に記載のワクチン組成物。
【請求項14】
前記少なくとも1種の抗原は、ペプチド、ポリペプチド、もしくは核酸である、請求項1に記載のワクチン組成物。
【請求項15】
前記感染性因子はウイルスである、請求項10に記載のワクチン組成物。
【請求項16】
前記感染性因子は、トリ、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、もしくはウマ動物に感染することができる因子である、請求項10に記載のワクチン組成物。
【請求項17】
前記感染性因子は、トリ動物に感染することができる因子である、請求項16に記載のワクチン組成物。
【請求項18】
前記ウイルスは、インフルエンザウイルスである、請求項15に記載のワクチン組成物。
【請求項19】
前記油成分は、ミネラルオイルを含む、請求項1に記載のワクチン組成物。
【請求項20】
前記組成物は、1種以上の乳化剤をさらに含む、請求項1に記載のワクチン組成物。
【請求項21】
前記水性成分はレシチンをさらに含む、請求項1に記載のワクチン組成物。
【請求項22】
動物にワクチン接種するための方法であって、該方法は、該動物に、請求項1に記載のワクチン組成物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項23】
前記動物は、トリ、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、もしくはウマ動物である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
ワクチン組成物を作製するための方法であって、該方法は、油成分と、水性成分とを乳化する工程を包含し、
ここで該水性成分は、少なくとも1種の抗原、ならびにアクリルポリマーおよびジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド(DDA)からなる群より選択される少なくとも1種のアジュバントを含む、
方法。
【請求項25】
前記少なくとも1種のアジュバントはアクリルポリマーである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記アクリルポリマーは、ポリアリルスクロースで架橋されたアクリル酸のポリマーである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記少なくとも1種のアジュバントは、ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド(DDA)である、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記水性成分は、アクリルポリマーおよびジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド(DDA)の両方を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
前記アクリルポリマーは、ポリアリルスクロースで架橋されたアクリル酸のポリマーである、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
ワクチン組成物を作製するための方法であって、該方法は、
(a)抗原の水溶液と、アクリルポリマーおよびジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド(DDA)からなる群より選択される少なくとも1種のアジュバントとを合わせて、抗原/アジュバント混合物を形成する工程;
(b)(a)の抗原/アジュバント混合物と、油成分および乳化剤とを合わせて、抗原/アジュバント/油成分混合物を形成する工程;ならびに
(c)(b)の抗原/アジュバント/油成分混合物を乳化して、油中水型エマルジョンを形成し、それによって、ワクチン組成物を形成する工程、
を包含する、方法。
【請求項31】
前記少なくとも1種のアジュバントはアクリルポリマーである、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記アクリルポリマーは、ポリアリルスクロースで架橋されたアクリル酸のポリマーである、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記少なくとも1種のアジュバントは、ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド(DDA)である、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
(a)において、前記抗原の水溶液は、アクリルポリマーおよびジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド(DDA)の両方と合わされている、請求項30に記載の方法。
【請求項35】
前記アクリルポリマーは、ポリアリルスクロースで架橋されたアクリル酸のポリマーである、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記油成分はミネラルオイルを含む、請求項30に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−530877(P2010−530877A)
【公表日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−513396(P2010−513396)
【出願日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際出願番号】PCT/US2008/067433
【国際公開番号】WO2008/157659
【国際公開日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(309040701)ワイス・エルエルシー (181)
【Fターム(参考)】