説明

水硬性組成物材料用パウチ容器の使用方法

【課題】モルタルの撹拌混合作業と充填作業を同一の容器で行い、粉塵の発生をほぼゼロに抑え、コテやヘラでは不得意としていた施工を簡便に行うことのできる、水硬性組成物材料用パウチ容器の使用方法を提供する。
【解決手段】水硬性組成物材料を構成する粉体と水とを別個に収納する収納部と、該パウチ容器を表及び裏側から挟み込んで該収納部同士を区画する仕切り具とを備えるパウチ容器を、混合時には粉体が収容されている収納部2を上部に、かつ、水が収納されている収納部3を下部の位置となるようにし、前記収納部2の上端部と前記収納部3の下端部とを引っ張ることにより、該収納部同士を区画する前記仕切り具がはずれて、収納部2の粉体が収納部3の水中に落下し、粉体と該水とが予備混合し、さらに該パウチ容器を外部より変形させて混合することにより水硬性組成物材料を調製することを特徴とする、水硬性組成物材料用パウチ容器の使用方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水硬性組成物材料用容器の使用方法に関し、特に水硬性組成物を構成する原料を区画する部分を有し、モルタル等の水硬性組成物材料を少量施工する際に簡便に用いることができる水硬性組成物材料用パウチ容器の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、水硬性組成物を調製する際には、水硬性組成物粉体と水とを一定の比率となるように計量して、ミキサー、練りさじやスコップ、或いは手練り等により撹拌混合して調製を行い、はけ、ヘラやコテ、或いはポンプ等で施工を行っていた。
【0003】
このような調製方法では、水とセメント等を計量する必要があるため、別途、混合容器を用意する必要があり、簡便な方法ではなかった。
また施工方法においても、目地等の細かい箇所への少量の施工は手間がかかり煩雑であり、特に上向き施工が難しく、均質に施工をすることは難しかった。
【0004】
一方、複数混合材料の区画密封構造体としては、特開2000−142821号公報(特許文献1)に、複数混合材料を各種類別に収納する収納部を有し、各収納部間に迂回路が設けられた密封袋と該密封袋の迂回路を挟持して隣り合う収納部を区画密封するクリップとから成る複数混合材料の区画密封構造体が開示されている。
しかし、水硬性組成物を調製するには、迂回路があるため、セメント等の水硬性粉体が詰まってしまったり、混合する際に時間がかかり、水硬性組成物材料の硬化反応が開始されてしまい、短時間に十分に混合することは不可能であった。
【0005】
また特開平5−319462号公報(特許文献2)には、混合吐出容器本体内には主剤が充填されていると同時に硬化剤が合成樹脂製袋中に入っているものも装填されており、更に容器本体内には中空な撹拌棒、撹拌羽根、摺動可能な底板を有し、一方合成樹脂製袋の一端には糸を固定し、糸は中空の撹拌棒内を通って、容器キャップに固定されていて、このキャップを引張り、撹拌棒、撹拌羽根を上下することによって合成樹脂製袋が破れ、両成分が短時間で均一に混合でき、底部から吐出されるような簡易混合吐出容器が開示されている。
しかし、かかる簡易吐出機は、撹拌棒を内部に備えるものであり、装置の構造が煩雑であり、従って高価なものとなってしまう。
【0006】
また、特開2002−144323号公報(特許文献3)には、仕切り具を使わずパウチ袋を剥離可能なチャック等で2成分を分離する方法が提案されている。この場合、撹拌するためにチャック部を剥離させる場合、水に圧力をかけ、チャック部を剥離させ、水を水硬性組成物側に移動させる方法となる。この場合も均一に混合するまでに時間がかかり、水硬性組成物材料の硬化反応が開始されてしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−142821号公報
【特許文献2】特開平5−319426号公報
【特許文献3】特開2002−144323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、上記問題点を解決し、少量の水硬性組成物を簡単に施工することができ、専門家でなくても必要なときに簡便にモルタルを迅速に調製することができ、モルタルの撹拌混合作業と充填作業を同一の容器で行い、撹拌混合作業中の粉塵の発生をほぼゼロに抑え、上向き施工、孔内充填施工を含む、コテやヘラでは不得意としていた施工を簡便に行うことのできる、水硬性組成物材料用容器、特にパウチ容器の使用方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の水硬性組成物用パウチ容器の使用方法は、水硬性組成物材料を構成する水硬性組成物粉体と水とを別個に収納する収納部と、該パウチ容器を表及び裏側から挟み込んで該収納部同士を区画する仕切り具とを備える水硬性組成物材料用パウチ容器を、混合時には水硬性組成物粉体が収容されている収納部2を上部に、かつ、水が収納されている収納部3を下部の位置となるようにし、前記収納部2の上端部と前記収納部3の下端部とを引っ張ることにより、該収納部同士を区画する前記仕切り具がはずれて、収納部2の水硬性組成物粉体が収納部3の水中に落下し、その衝撃で該水硬性組成物粉体と該水とが予備混合し、さらに該パウチ容器を外部より変形させて混合することにより水硬性組成物材料を調製することを特徴とする、水硬性組成物材料用パウチ容器の使用方法である。
【0010】
好適には、本発明の水硬性組成物材料用パウチ容器の使用方法において、前記水硬性組成物粉体と該水との混合は、パウチ容器を振って撹拌したり、該水硬性組成物材料用パウチ容器の外部から圧力をかけて該パウチ容器を変形させることで混合することを特徴とする、水硬性組成物材料用パウチ容器の使用方法である。
【0011】
更に好適には、本発明の水硬性組成物材料用パウチ容器の使用方法において、水硬性組成物材料を調製後、該水硬性組成物材料用パウチ容器の端部を切断することで該パウチ容器に吐出口を設け、調製された水硬性組成物材料を該吐出口から押出すことを特徴とする、水硬性組成物材料用パウチ容器の使用方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の水硬性組成物材料用パウチ容器の使用方法は、少量の水硬性組成物材料を施工したいときに、特別な容器等が必要なく、簡便に所望するモルタル等の水硬性組成物材料を調製することができ、専門家でなくても手軽にモルタル等の水硬性組成物材料を調製することができる。
モルタル等の水硬性組成物材料は密閉したパウチ容器中で混合撹拌されて、施工されるため、粉塵の発生がほとんど無く、通常の混合容器のように、混合中の粉塵や容器の汚れで施工現場を汚すこともない。
また、本発明においては、モルタルの撹拌混合作業と充填作業を同一の容器で行うことができ、撹拌混合作業中の粉塵の発生をほぼゼロに抑え、上向き施工、孔内充填施工を含む、コテやヘラでは不得意としていた施工を簡便に行うことができる。
また、本発明の水硬性組成物材料用パウチ容器の使用方法は、前記本発明の水硬性組成物用パウチ容器を用いて注入することにより、上向き施工、孔内充填施工を含め、コテやヘラでは不得意としていた施工を簡便に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に用いる水硬性組成物材料用パウチ容器の一形態を示す断面図である。
【図2】図1の水硬性組成物材料用パウチ容器の仕切り具の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に使用する水硬性組成物材料用パウチ容器の使用方法について以下に詳細に説明する。
本発明の水硬性組成物用パウチ容器の使用方法は、水硬性組成物材料を構成する水硬性組成物粉体と水とを別個に収納する収納部と、該パウチ容器を表及び裏側から挟み込んで該収納部同士を区画する仕切り具とを備える水硬性組成物材料用パウチ容器を、混合時には水硬性組成物粉体が収容されている収納部2を上部に、かつ、水が収納されている収納部3を下部の位置となるようにし、前記収納部2の上端部と前記収納部3の下端部とを引っ張ることにより、該収納部同士を区画する前記仕切り具がはずれて、収納部2の水硬性組成物粉体が収納部3の水中に落下し、その衝撃で該水硬性組成物粉体と該水とが予備混合し、さらに該パウチ容器を外部より変形させて混合することにより水硬性組成物材料を調製することを特徴とする、水硬性組成物材料用パウチ容器の使用方法である。
【0015】
図1は、本発明に用いる水硬性組成物材料用パウチ容器の一形態を示す断面図である。
本発明に用いる一例の水硬性組成物材料用パウチ容器は、図1に示すように、収納部2と収納部3とを備え、該収納部2及び収納部3には、それぞれ水硬性組成物粉体5及び水6とが収納され、両収納部は仕切り具4で区画されてなるものである。
【0016】
該パウチ容器を構成する材料は、特に限定されないが、収容されている水硬性組成物粉体が硬化反応を呈することがないように、水を透過しない素材から構成される必要がある。
また、パウチ容器は、単層または積層されたフィルム素材で構成されることができ、収容されているセメント等の水硬性粉体5と水6との混合状態が目視で確認できるように、透明又は半透明であることが好ましい。
また、該パウチ容器の形状は、袋状になっていれば特に限定されないが、調製された水硬性組成物材料を容易に混合でき、容易に無駄なく押出すことができるような形状であればよい。
【0017】
収納部2の内部には、水硬性組成物粉体5が収納されている。
水硬性組成物粉体5としては、水硬性粉体のみ、水硬性粉体及び非水硬性粉体、更には、これらの粉体に増粘剤等を添加したものを使用することができる。
水硬性粉体とは、水と接触して硬化する粉体を意味し、好ましくはポルトランドセメント、珪酸カルシウム、カルシウムアルミネート、カルシウムフルオロアルミネート、カルシウムサルフォアルミネート、カルシウムアルミノフェライト、リン酸カルシウム、半水又は無水石膏及び自硬性を有する生石灰の粉体からなる群より選ばれた少なくとも一種類の粉体が含まれる。
前記水硬性粉体は、成形時の可使時間の点から平均粒径10〜50μm程度のものが好ましく、また、高強度を確保する点から、ブレーン比表面積が2500cm/g以上のものであることが好ましい。
【0018】
また、前記非水硬性粉体は、単体では水と接触しても硬化することがない粉体を意味するが、アルカリ性若しくは酸性状態、あるいは高圧蒸気雰囲気においてその成分が溶出し、他の既溶出成分と反応して生成物を形成する粉体も含む意である。
非水硬性粉体としては、水酸化カルシウム粉末、二水石膏粉末、炭酸カルシウム粉末、スラグ粉末、フライアッシュ粉末、珪石粉末、珪砂粉末、粘土粉末及びシリカフューム粉末からなる群より選ばれた少なくとも一種類の粉体が好ましい。
【0019】
さらに、本発明で用いる水硬性組成物粉体5には、公知の配合剤や添加剤、例えば増粘剤、減水材、凝結遅延剤、反応促進剤等の粉体を添加することができ、モルタルの練りあがり性状を施工に好ましい状態にさせることができる。増粘剤を加えると、モルタルの練り上がりの粘度を調整でき、パウチ容器から水硬性組成物材料が押出しやすくなり、また該パウチ容器を上向き施工に用いた場合にも、施工した水硬性組成物材料が垂れず、好ましい。
【0020】
また、収納部3内に収納されて、上記水硬性組成物粉体5と反応する該液体6の主成分は水であるが、必要に応じて、ポリマーや、凝結遅延剤等をあらかじめ混合しておくことも可能である。
【0021】
更に、必要に応じて、該パウチ容器にはその一端に予め吐出口(図示せず)を備えてもよく、調製された水硬性組成物材料を使用時に押出して適用するまで、該吐出口は封止されており、内部と外気とは遮断され、パウチ容器1内部に収容されている水硬性組成物粉体5が空気中に含まれる水分と接触することを回避する。
該吐出口の形状は、パウチ容器1の内部から調製した水硬性組成物材料を押出すことができるような形状であれば、任意の形状を採用することができる。
また、該吐出口を特に予めパウチ容器1に設けることなく、水硬性組成物材料を調製した後に該パウチ容器1の一端を切断することで、吐出口を設け、モルタル等の該水硬性組成物材料を押出してもよい。
【0022】
また、パウチ容器1内には、収容部2及び3にそれぞれ水硬性組成物粉体と水とが収容されているが、それぞれ収容部2、3内全体に充填されるものではなく、一定の空洞部を設けた状態で充填されている。これにより、パウチ容器の輸送時に、パウチ容器が破裂・破損することを防止することができる。
また、該パウチ容器1は、使用時に収容部2が収容部3の上部になるようにして使用されるものであるので、予め、収容部2または収容部3に表示を設けて、使用時における位置関係が明確になるようにすることが望ましい。
【0023】
該収容部2及び収容部3の容積は、特に限定されず、所望する水硬性組成物材料の適用目的に応じた粘性により、変動させることができる。即ち、粘性が高い水硬性組成物材料を所望する場合には、収容部3のほうが収容部2より若干大きいものとする。
水硬性組成物粉体5と反応する水等の液体6の容量は、水硬性組成物粉体5の成分や、得られる水硬性組成物の所望する粘性により変動するものであり、予め設定することができるものである。
これにより、パウチ容器1内で得られる水硬性組成物材料の容量を可能な限り多くするとともに、導入した液体6と水硬性組成物粉体5とがスムースに撹拌混合することができる。
【0024】
更に、図1は、水硬性組成物用パウチ容器の使用形態の一実施例を示す模式図であり、上記水硬性組成物粉体5を収容する収容部2を上に、上記液体6を収容する収容部3を下にして、該仕切り具4を取り外すことにより、収容部2に収容されていた水硬性組成物粉体5が、水6に添加されるようにする。該収容部同士を区画する前記仕切り具がはずれることで、該容器内の区画が消失する。
【0025】
該仕切り具4は、例えば図2に一例が記載されているように、凸部8と凹部7とを備え、該凸部8と該凹部7との間にパウチ容器を構成する2枚のフィルム素材を挟んで収容部2と収容部3とに区画できるようなものを使用することができる。
図2(a)は、該仕切り具4を用いてパウチ容器1に区画を設ける前の状態、(b)は、該仕切り具4を用いてパウチ容器1に区画を設けた後の状態を示す。
具体的には、該仕切り具4の凹部7を凸部8にはめ込むことにより、その間に挟持されるパウチ容器を構成するフィルム素材が密閉されて、収容部2と収容部3とを構成する。
該仕切り具4は、パウチ容器1の収容部2の上端部と収容部3の下端部とを引っ張ることにより、例えば手で引っ張ることにより、一気に容易にはずすことができる。
仕切り具が取り付けられたパウチ袋を上下に引っ張るだけで容易に外れないと、水硬性組成物をすばやく一気に液体中に落下させることができず、混合に時間がかかってしまう。水硬性組成物粉体をすばやく一気に液体中に落下させることは、その衝撃により水硬性組成物と水を予備混合するためには重要であり、容易に外れない仕切り具や、その他の分離方法は本発明には適さない。
【0026】
本発明においては、水硬性組成物粉体と水等の液体は、粉状固体と液体との混合であり、硬化してしまうため、例えば粘性の高い接着剤とは異なり、特別の混合方法を必要とする。
即ち、該パウチ容器を使用する際に、収容部2を収容部3より上部に設けることにより水硬性組成物粉体を水中に落下させることにより短時間で混合することを可能にする。
【0027】
逆に水硬性組成物粉体を下側に、水を上側にして、水を上から水硬性組成物粉体中に落下させた場合、水は水硬性組成物粉体の上部にのみ浸透し、水硬性組成物粉体の下部には水は浸透しない。
このまま該パウチ容器を外部からの圧力、例えば手で揉むなどの方法で混合しようとすると、混合に時間がかかってしまう。特にパウチ袋内側の角部に混合できない水硬性組成物粉体が残り、この小さな部分を混合させるために、労力と時間を要し、簡便に混ぜられるという利点が十分に発揮できない。
【0028】
水硬性組成物粉体を水中に落下させる場合、水硬性組成物粉体はすべて水中に落下し該パウチ容器の角部に残ることは無く、水が入っている下側の角部も濡れているため乾いた水硬性組成物粉体が詰まることは無く、その結果、パウチ容器内部の角部に混合残りが出ることも無い。
水硬性組成物粉体を水中に落下させると、その衝撃による水の飛散も加わり、水硬性組成物粉体と水をこの落下工程だけでかなり効果的に混合することができる。落下工程でおおよそ水と水硬性組成物粉体が混合されているため、ダマ等練り残しができにくく、その後の混合工程を非常に短くすることができる。
水中に水硬性組成物を勢いよく落下させる方法は、通常のバケツのような、オープンな練り容器でモルタルを練る場合、水や水硬性組成物が容器外に飛び出し好ましくない。
また、本発明によるように、水中に水硬性組成物を落下させてその衝撃を利用して混合することができるのは、上記した本発明に用いる密閉容器の使用によって実現することができるものである。
【0029】
次いで、該パウチ容器1を外部から圧力をかけ、該容器を変形させることで混合することができる。
混合手段は手で揉んでも、人力によってパウチ容器を上下、左右等に振る方法や、機械を用いて振動を与える方法であってもよく、物理的に、水硬性組成物粉体5と液体6とが均質に混合される方法であれば採用することができる。
従って、水硬性組成物粉体5と液体6とを撹拌混合して、モルタル等の水硬性組成物材料を得るのに、特別な装置等を必要とせず、簡便に混合することが可能となる。
【0030】
調製された水硬性組成物材料は、該パウチ容器1の端部を切断することにより、または予め設けられたノズル等の吐出口を開放することにより得られるものである。
【0031】
パウチ容器1内で該水硬性組成物粉体5と該液体6とが均質に混合されて得られた水硬性組成物材料を、上記該パウチ容器1の上記吐出口に移動させることで、押出して、所望する箇所に適用する。
このように、少量の水硬性組成物材料を簡便に、粉塵がほぼ発生せず、手軽に施工することができるとともに、本発明の水硬性組成物材料用パウチ容器を用いて、上向き施工、孔内充填施工を含め、ばらつきのない施工を簡便に実施することが可能となる。
【0032】
図1に記載したパウチ容器(低密度ポリエチレン製 150mm×320mm×0.15mm)1の収納部2に水硬性組成物粉体5である住友大阪セメント株式会社製の「シスイ115」を100g及び6号砂200g入れ、一方、収納部3に水道水を100g入れ、仕切り具として図2に示すクリップ(仕切り具)を設置して、本発明における水硬性組成物材料用パウチ容器を製造した。
次いで、該パウチ容器の収納部の上部と、一方の収納部の下部とを手で上下に引っ張ることにより該クリップを一気にはずして、水硬性組成物粉体5を水6に落下させて予備混合し、さらに手で混合して、水硬性組成物材料を調製した。
水硬性組成物は、その練り上がり状態となるまでの時間を測定して、その結果を表1に示す。練り上がり状態とは、ダマ等の不均一な部分がなく、モルタルが使用可能の状態となったことを指す。
なお、比較のために特開2002−144323号公報記載の容器を用いて、水硬性組成物材料を調製した。
それぞれの方法における練上がり時間を下記表1に示す。
【0033】
【表1】

【0034】
上記表1より、本件発明の使用方法は、セメント等の水硬性組成物材料を調製するのに、少ない労力で迅速に混合することができ、硬化開始までに、十分な作業時間を確保することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
以上のように、本発明の水硬性組成物用パウチ容器の使用方法によれば、水硬性組成物である接着系アンカー材、グラウト材、止水材、目地材、補修材等を少量施工する際に適用することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 水硬性組成物用パウチ容器
2 収容部
3 収容部
4 仕切り具
5 水硬性組成物粉体
6 液体
7 仕切り具凹部
8 仕切り具凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水硬性組成物材料を構成する水硬性組成物粉体と水とを別個に収納する収納部と、該パウチ容器を表及び裏側から挟み込んで該収納部同士を区画する仕切り具とを備える水硬性組成物材料用パウチ容器を、混合時には水硬性組成物粉体が収容されている収納部2を上部に、かつ、水が収納されている収納部3を下部の位置となるようにし、前記収納部2の上端部と前記収納部3の下端部とを引っ張ることにより、該収納部同士を区画する前記仕切り具がはずれて、収納部2の水硬性組成物粉体が収納部3の水中に落下し、その衝撃で該水硬性組成物粉体と該水とが予備混合し、さらに該パウチ容器を外部より変形させて混合することにより水硬性組成物材料を調製することを特徴とする、水硬性組成物材料用パウチ容器の使用方法。
【請求項2】
請求項1記載の水硬性組成物材料用容器の使用方法において、水硬性組成物粉体と該水との混合は、水硬性組成物を水中に落下させ、その衝撃で該水硬性組成物粉体と該水とを予備混合し、さらに該水硬性組成物用容器の外部から圧力をかけて該容器を変形させることで混合することを特徴とする、水硬性組成物材料用容器の使用方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の水硬性組成物材料用容器の使用方法において、水硬性組成物材料を調製後、該水硬性組成物用容器の端部を切断することで該容器に吐出口を設け、調製された水硬性組成物材料を該吐出口から押出すことを特徴とする、水硬性組成物材料用容器の使用方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−25424(P2011−25424A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−170809(P2009−170809)
【出願日】平成21年7月22日(2009.7.22)
【出願人】(000183266)住友大阪セメント株式会社 (1,342)
【Fターム(参考)】