説明

水系流体及び水系流体と共に用いられるシステム中の微生物濃度の増大を低減及び抑制するための方法及び配合物

【課題】本発明は、水系流体中の微生物濃度の増大を低減又は抑制するための方法及び配合物を提供する。
【解決手段】本発明の方法及び配合物は、オキサゾリジン化合物と、テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム塩、C1〜C3アルキル−及びアルケニルトリス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム塩、並びにトリス(ヒドロキシメチル)ホスフィンからなる群から選択されるヒドロキシメチル置換リン化合物とを使用する。本発明の方法及び配合物は、油田、天然ガス田、及びその他の工業的応用において好気性細菌又は嫌気性細菌で汚染された水の処理に有用であり得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2007年7月24日に提出された米国仮特許出願第60/951,614号に優先権を主張するものであり、その全体を参照により本明細書に援用する。
【0002】
本発明は一般に殺生物剤に関する。本発明はより具体的には、オキサゾリジン化合物及びヒドロキシメチル置換リン化合物の殺生物混合物並びにその使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(例えば圧入システム及び生産システムにおける)水系流体を微生物汚染から保護することは、石油又は天然ガスの生産操業の効率及び成功に必須である。微生物の代謝活性は、設備の金属表面の微生物腐食(MIC)を引き起こし、ポリマー添加剤の分解を生じさせることがある。好気性細菌及び嫌気性細菌の両方により形成されるバイオフィルムは、石油及びガスのパイプライン並びに浄水システムを物理的に塞ぎ、また、ポンプ及び伝熱システムの効率を低下させる。更に、硫酸塩還元細菌として知られるある種の嫌気性細菌は、硫酸塩を還元して硫化水素を生成し、硫化水素は石油及びガスをサワーにし、パイプライン及び貯蔵タンクを腐食し、硫化鉄を堆積させる。微生物汚染は油田及び天然ガス田のあらゆる場所、石油及びガスの生産操業中のあらゆる時点で起こり得る。例えば、多くの環境では好気性細菌及び嫌気性細菌が共存しているが、圧入水のトップサイド(すなわち表面近く)、生成水、並びに掘穿泥水、仕上げ流体又は改修流体、刺激流体、及びフラクチャリング流体等の機能性水系流体では好気性細菌がより多く見られる。一方、嫌気性細菌は、ダウンホール(すなわち地下)の石油又はガスの貯留層中、穴(bore)領域付近、生成流体中、脱気塔中、移送パイプライン中、並びに石油及びガスの貯蔵タンクの水底中に最も多く見られる。
【0004】
生物学的汚染は、その他多くの工業プロセス及び工業システムにおける大きな問題である。紙パルプ水(pulp and paper water)、(例えば冷却塔の)冷却水、ボイラー水、工業プロセス水、バラスト水、廃水、金属加工流体、水系スラリー、インク及びテープの接着化合物、水系の家庭用品及びパーソナルケア製品、ラテックス、塗料(paint)、コーティング、浄水システム及び水処理システム、並びにこれらの構成要素は、全て好気性細菌及び嫌気性細菌により汚染されやすい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
殺生物剤は、水溶液系(aqueous system)中の微生物の成長を制御するために一般的に使用されている。しかし、多くは、全種類の細菌の成長制御に完全に有効ではなく、一部は、他の水処理用添加剤と適合しない。本発明者らは、現行のシステムよりも効率の良い殺生物処理の方法及び配合物に対して依然としてニーズがあることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、水系流体又は水系流体と共に用いられるシステム中の微生物濃度の上昇を低減又は抑制する方法であって、水系流体又はシステムを、オキサゾリジン化合物と、テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム塩、C1〜C3アルキル−及びアルケニルトリス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム塩、並びにトリス(ヒドロキシメチル)ホスフィンからなる群から選択されるヒドロキシメチル置換リン化合物とに接触させる工程を含む、方法である。
【0007】
本発明の別の態様は、水系流体又は水系流体と共に用いられるシステム中の微生物濃度の上昇を低減又は抑制する配合物であって、オキサゾリジン化合物と、テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム塩、C1〜C3アルキル−及びアルケニルトリス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム塩、並びにトリス(ヒドロキシメチル)ホスフィンからなる群から選択されるヒドロキシメチル置換リン化合物とを含む配合物である。
【0008】
本発明は、先行技術に対する複数の利点を提供することができる。例えば、オキサゾリジン化合物及びヒドロキシメチル置換リン化合物の両方を使用することで、予想外にも、幅広い用途においてこれら2成分の相乗作用を最大化することができる。本発明の方法及び配合物は、殺生物剤ローディング、費用、臭い、作業者の暴露、及び環境的影響の比較的少ない使用が可能である。本発明のある実施形態では、殺生物処理は、第四アンモニウム塩非存在下で実施できるため、凝集及び精製のための陰イオン性ポリマーの使用を妨げない。本発明の更なる特徴及び利点は、以下の詳細な説明に記載され、その記載から当業者に容易に理解されるか、本願の明細書及び特許請求の範囲、並びに添付の図面に記載されているように本発明を実施することで理解されよう。
【0009】
上記の全般的な説明及び以下の詳細な説明は単に本発明を例示するものであり、主張される本発明の性質及び特徴を理解するための全体像又は枠組みを提供することを意図するものである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一態様は、水系流体又は水系流体と共に用いられるシステム中の微生物濃度の上昇を低減又は抑制する方法である。この方法は、水系流体又はシステムを、オキサゾリジン化合物と、テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム塩、C1〜C3アルキル−及びアルケニルトリス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム塩、並びにトリス(ヒドロキシメチル)ホスフィンからなる群から選択されるヒドロキシメチル置換リン化合物とに接触させる工程を含む。以下により具体的に記載するように、本発明者らは、ヒドロキシメチル置換リン化合物及びオキサゾリジン化合物を一緒に使用することでこれらの物質を単独で使用した場合よりも高い殺生物活性を提供できることを予期せずして見出した。
【0011】
本発明の方法を用いて処理可能な水系流体は多くの形態で見受けられる。例えば、水系流体は水又は水溶液として存在し得る。あるいは、水系流体は、スラリー又は懸濁液であってもよく、あるいは泥水、パルプ、又はその他の混合相系の液体画分であってもよい。当業者が理解するように、本発明に従って処理可能な水系流体は、ポリマー、解乳化剤、腐食防止剤、スケール防止剤、及び/又は界面活性剤等のその他の物質を含んでもよい。用途に応じて、水系流体は増粘剤(例えば、粘土、ポリマー)、塩、密度増大物質(density increasing substance)(例えば、重晶石)、滑沢剤、及び粘土調整剤等のその他の適切な物質を含んでもよい。同様に、水系流体と共に用いられるシステムも多くの形態を取り、例えば浄水、石油又は天然ガスの生産及び移送、紙及びパルプの製造、金属加工、加熱及び冷却、貯蔵、並びに洗浄及びすすぎのプロセスに使用されるシステムが含まれる。
【0012】
本発明の一実施形態では、オキサゾリジン化合物は、単環式オキサゾリジン、二環式オキサゾリジン、ビスオキサゾリジン、又はポリオキサゾリジンであり、これらのそれぞれは必要に応じてC1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、又はヒドロキシ(C1〜C6アルキル)で置換されていてもよい。
【0013】
一実施形態では、オキサゾリジン化合物は、4,4−ジメチルオキサゾリジン等の単環式オキサゾリジンである。4,4−ジメチルオキサゾリジンは、ダウ・ケミカル社(The Dow Chemical Company)からBIOBAN(商標)CS−1135として78質量%の水溶液で入手可能である。別の実施形態では、オキサゾリジン化合物は二環式オキサゾリジンである。例えば、オキサゾリジン化合物は、必要に応じてC1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、又はヒドロキシ(C1〜C6アルキル)で置換されていてもよい1−アザ−3,7−ビシクロ[3.3.0]オクタン、例えば、7−エチルビシクロオキサゾリジン(5−エチル−l−アザ−3,7−ジオキサビシクロ[3.3.0]オクタン)、5−ヒドロキシメトキシメチル−1−アザ−3,7−ジオキサビシクロ[3.3.0]オクタン、及び5−ヒドロキシメチル−1−アザ−3,7−ジオキサビシクロ[3.3.0]オクタンであってもよい。7−エチル−ビシクロオキサゾリジンは、ダウ・ケミカル社からBIOBAN(商標)CS−1246として純度97%(残りは水)で入手可能であり、5−ヒドロキシメチル−及び5−ヒドロキシヒドロキシメトキシメチル−1−アザ−3,7−ジオキサビシクロ[3.3.0]オクタンは、インターナショナル・スペシャルティー・プロダクツ社(International Specialty Products)からNUOSEPT(登録商標)95として混合物で入手可能である。本発明の別の実施形態では、オキサゾリジン化合物はビスオキサゾリジンである。例えば、ビスオキサゾリジンN,N−メチレンビス(5−メチル−オキサゾリジン)が、STARCIDE(登録商標)としてハリバートン社(Halliburton)から純度90〜100%で入手可能である。本発明の別の実施形態では、オキサゾリジン化合物はポリオキサゾリジンである。当然、本発明における使用のためにオキサゾリジン化合物を2種以上組み合わせてもよく、その場合、比率及び濃度は全オキサゾリジン化合物の総質量を用いて計算される。
【0014】
ヒドロキシメチル置換リン化合物も、非溶解形態又は水溶液のどちらでも一般的に入手可能である。本発明の一実施形態では、ヒドロキシメチル置換リン化合物は、テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム塩である。例えば、ヒドロキシメチル置換リン化合物は、テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウムスルファート(THPS)であってもよい。THPSはダウ・ケミカル社からAQUCAR(商標)THPS75として75質量%の水溶液で入手可能である。テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウムクロリド等のその他のテトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム塩を用いてもよい。本発明の別の実施形態では、ヒドロキシメチル置換リン化合物は、C1〜C3アルキル−及びアルケニルトリス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム塩又はトリス(ヒドロキシメチル)ホスフィンである。当然、本発明における使用のために、記載したヒドロキシメチル置換リン化合物を2種以上組み合わせてもよく、その場合、比率及び濃度は全ヒドロキシメチル置換リン化合物の総質量を用いて計算される。
【0015】
本発明の一実施形態では、ヒドロキシメチル置換リン化合物とオキサゾリジン化合物の質量比は約50:1〜約1:50の範囲内である。本発明のある実施形態では、ヒドロキシメチル置換リン化合物とオキサゾリジン化合物の質量比は約5:1〜約1:10の範囲内である。例えば、ヒドロキシメチル置換リン化合物とオキサゾリジン化合物の質量比は約5:1〜約1:1の範囲内又は約1:5〜約1:10の範囲内であり得る。特に記載のない限り、本明細書で議論する全ての比率は質量/質量である。本発明の方法は、油田及び天然ガス田の水及び機能性流体又は機能性流体(例えば掘穿泥水、仕上げ流体及び改修流体、刺激流体、充填流体(packing fluid)、フラクチャリング流体、水圧試験用流体(hydrotest fluid))の成分、紙パルプ水及び紙パルプスラリー、冷却水、ボイラー水、工業プロセス水、バラスト水、廃水、金属加工流体、炭化水素油及び炭化水素天然ガス、水系スラリー、インク及びテープの接着化合物、水系の家庭用品及びパーソナルケア製品、ラテックス、塗料及びコーティング等の多種多様な水系流体を処理するための種々の用途で使用することができる。本明細書において、「水系流体」は、関連する水相を有し得る炭化水素油及び炭化水素天然ガスを含む。本発明の方法は、油田及び天然ガス田の水及び機能性流体の処理、石油及びガスの移送及び貯蔵システムに特に有用であり得る。本発明の方法はまた、加熱、冷却、石油及び天然ガスの生産、紙の生産に使用されるもの等、水系流体と共に用いられる種々のシステムにおいて使用することができる。本発明の方法はまた、逆浸透膜、精密ろ過膜、又は限外ろ過膜を用いたもの、並びに砂ろ過、多層ろ過、活性炭ろ過、イオン交換、及び電気脱イオンを用いたもの等の浄水システム中での細菌の制御及び生物付着の防止のためにも使用することができる。
【0016】
本発明の一実施形態では、微生物は好気性細菌である。本発明のある実施形態では、質量比が約50:1〜約1:50の範囲内のヒドロキシメチル置換リン化合物とオキサゾリジン化合物を用いて好気性細菌を処理する。この比率は、トップサイド又は表面の油田及び天然ガス田の水、油田及びガス田の掘穿泥水の成分、水系の仕上げ流体及び改修流体、刺激流体、充填流体、水系のフラクチャリング流体、水圧試験用流体、炭化水素油及び炭化水素ガス、水系スラリー、インク及びテープの接着化合物、水系家庭用品及びパーソナルケア製品、ラテックス、塗料、コーティング、金属加工流体及びシステム、バラスト水、冷却水、ボイラー水、パルプ又は紙加工システム又はそれに関連する水系流体、工業プロセス水、並びにその他の開放系及びその中の水系流体等の、好気性細菌が優勢な水系流体及びシステム中の微生物濃度を低下及び/又は維持するのに有用であり得る。
【0017】
本発明の別の実施形態では、微生物は嫌気性細菌である。本発明のある実施形態では、質量比約50:1〜約1:50の範囲内のヒドロキシメチル置換リン化合物とオキサゾリジン化合物を用いて嫌気性細菌を処理する。この比率は、石油及び天然ガスの貯留層中の圧入水及び圧入流体、石油及びガスの生産操業で生成する水及び流体、石油若しくはガスの貯蔵タンク又はその中の水系流体、脱気塔又はその中の水系流体、移送パイプライン又はその中の水系流体、パルプ又は紙加工システム又はそれに関連する水系流体、バラスト水、廃水処理システム及びその中の水系流体、並びに閉鎖系及び開放系下部並びにその中の水系流体等の、嫌気性細菌が優勢な水系流体及びシステム中の微生物濃度を低下及び/又は維持するのに有用であり得る。
【0018】
当業者は、所望の抗微生物効果を得るために必要なオキサゾリジン化合物及びヒドロキシメチル置換リン化合物の最終作用濃度を選択することができる。例えば、本発明の一実施形態によれば、水系流体又はシステム中のオキサゾリジン化合物及びヒドロキシメチル置換リン化合物を合わせた濃度は、約5〜約3500ppmの範囲内である。水系流体又はシステム中のオキサゾリジン化合物及びヒドロキシメチル置換リン化合物を合わせた濃度は、約10〜約500ppmの範囲内であってもよい。本発明のある実施形態では、水系流体又はシステム中のオキサゾリジン化合物及びヒドロキシメチル置換リン化合物を合わせた濃度は、約50〜約200ppmの範囲内又は約10〜約100ppmの範囲内である。本発明の別の実施形態では、水系流体又はシステム中のオキサゾリジン化合物及びヒドロキシメチル置換リン化合物を合わせた濃度は、約1〜約20000ppmの範囲内であってもよい。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、接触工程中、水系流体又はシステムは第四アンモニウム化合物を実質的に含まない。例えば、水系流体又はシステムに含まれるのは100ppm未満、25ppm未満、5ppm未満、更には1ppm未満であってもよい。本発明者らは、第四アンモニウム化合物を使用せずに殺生物効果を得るヒドロキシメチル置換リン化合物とオキサゾリジン化合物の比を見出した。したがって、本発明のこの実施形態では、水系流体は、第四アンモニウム種が存在することによる効力の低下(例えば沈殿による)を伴わずに、少なくとも1つのポリマー(陰イオン性、陽イオン性、又は非イオン性)、解乳化剤、腐食防止剤、スケール防止剤、及び/又は界面活性剤を含み得る。
【0020】
本発明のある実施形態では、接触工程中、水系流体又はシステムは、ホルムアルデヒドとC2〜C6脂肪族グリコール又はC2〜C6脂肪族グリコールモノC1〜C4アルキルエーテルとの付加体を実質的に含まない。例えば、水系流体に含まれるホルムアルデヒドとC2〜C6脂肪族グリコール又はC2〜C6脂肪族グリコールモノC1〜C4アルキルエーテルとの付加体の濃度は、約100ppm未満、25ppm未満、5ppm未満、更には1ppm未満であってもよい。
【0021】
本発明のある実施形態では、方法は、水系流体又はシステムを少なくとも1つの更なる殺生物剤と接触させる工程を含む。当業者であれば、想定される特定の用途に基づいて更なる殺生物剤の特定及び濃度の選択が可能である。好適な更なる殺生物剤としては、例えば、2,2−ジブロモ−2−ニトリロプロピオンアミド(DBNPA)、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−l,3−ジオール(ブロノポール)、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(MIT)、トリス(ヒドロキシメチル)ニトロメタン、1−(3−クロロアリル)−3,5,7−トリアザ−1−アゾニア−アダマンタンクロリド、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2,6−ジメチル−m−ジオキサン−4−オールアセタート、及びo−フタルアルデヒドが含まれる。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態では、水系流体又はシステムを、2種類以上の比率のオキサゾリジン化合物及びヒドロキシメチル置換リン化合物と接触させる。例えば本発明の一実施形態では、水系流体を、約50:1〜約1:50の範囲内の第1の比率のヒドロキシメチル置換リン化合物とオキサゾリジン化合物に接触させ、約50:1〜約1:50の範囲内の第2の比率のヒドロキシメチル置換リン化合物とオキサゾリジン化合物にも接触させ、ここで第1の比率と第2の比率は異なる。第1の比率での接触は、第2の比率での接触前に実施されてよい。あるいは、第2の比率での接触を第1の比率での接触前に実施してもよい。本発明のこれらの実施形態に係る方法を用いて、長期にわたって水系流体又はシステム中の微生物汚染を低減又は防止することができる。当業者が理解するように、水系流体がシステム又はプロセス中で移動するにつれて、又はシステム中で起こっているプロセスが進むにつれて、さまざまな種類の微生物による汚染に曝され得る。例えば、水系流体又はシステムが好気性微生物による汚染の危険がある位置又は時間で、約50:1〜約1:50の範囲内の第1の比率で接触させてよい。同様に、システム又はプロセス中で水系流体が嫌気性微生物による汚染の危険がある位置又は時間で、約50:1〜約1:50の範囲内の第2の比率で接触させてもよい。例えば、水又は機能性流体は、油井又はガス井の生産性を高めるために、油井又はガス井へのダウンホールにしばしば圧入される。水又は機能性流体は、好気性微生物をより良く制御するために最初に第1の比率で接触される。その後、例えば新たな水(fresh water)が脱気塔に入る時及び/又は水若しくは機能性流体がダウンホールに圧入される直前に、脱気塔及び/又はダウンホール領域中での嫌気性微生物のより良い制御を得る又は維持するために、第2の比率で接触される。サワー化した坑井(souring well)では、生成流体は、嫌気性硫酸塩還元細菌及び硫化水素を減少させるために、ある比率のヒドロキシメチル置換リン化合物とオキサゾリジン化合物で最初に処理され得る。石油/ガス/水の分離後、生成した水は、好気性微生物をより良く制御するために、放出又は再圧入の前に、別の比率のヒドロキシメチル置換リン化合物とオキサゾリジン化合物で処理され得る。
【0023】
接触は、処理される水系流体又はシステムの種類及び石油若しくはガスの生産中又はその他の工業システム若しくはプロセス中でのその位置等の要素に応じて、多くの異なる方法で実施可能である。例えば、オキサゾリジン化合物及びヒドロキシメチル置換リン化合物は、水系流体又はシステムに実質的に同時に添加することができる。例えば、オキサゾリジン化合物及びヒドロキシメチル置換リン化合物は、所望の比率の混合物として提供されて、水系流体又はシステムに添加されてもよい。あるいは、オキサゾリジン化合物は、添加の間にほとんど間を置かず(すなわち3分以下)逐次添加することで、実質的に同時に水系流体又はシステムに添加されてもよい。本発明の別の実施形態では、オキサゾリジン化合物及びヒドロキシメチル置換リン化合物は、異なる時点(すなわち3分を超える遅れ)で水系流体又はシステムに添加される。本発明のこれらの実施形態では、オキサゾリジン化合物及びヒドロキシメチル置換リン化合物成分は、添加後に水系流体又はシステム中で所望の終濃度及び比率となるように添加される。オキサゾリジン化合物及びヒドロキシメチル置換リン化合物は、パイプライン、貯留層、又はシステムのその他の部分に単回投与(又は「スラグ」)で添加されてもよく、複数のスラグで一緒に添加されてもよい。あるいは、オキサゾリジン化合物及びヒドロキシメチル置換リン化合物は、成分の所望の終濃度及び比率を維持するために水系流体又はシステムに連続的に添加されてもよい。方法をシステムと共に用いる場合、システムの構成要素は、組み立てられた状態及び/又は稼働状態でオキサゾリジン化合物及びヒドロキシメチル置換リン化合物と接触されてもよい。システムの構成要素はまた、別々の浴(bath)又は流体循環システム中でオキサゾリジン化合物及びヒドロキシメチル置換リン化合物と接触されてもよい。例えば、浄水システムを処理するために用いられる本発明の方法では、オキサゾリジン化合物及びヒドロキシメチル置換リン化合物は、(例えばシステムが稼働(on-line)中にフィード水にこれらを添加することで)システム全体に通してもよい。単一システム構成要素(例えば膜)は、取り外した後、フィードタンカー中でオキサゾリジン化合物及びヒドロキシメチル置換リン化合物で別個にオフラインで処理してもよい。
【0024】
本発明の別の態様は、水系流体又は水系流体と共に用いられるシステム中の微生物濃度の上昇を低減又は抑制する配合物である。配合物は、オキサゾリジン化合物と、テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム塩、C1〜C3アルキル−及びアルケニルトリス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム塩、及びトリス(ヒドロキシメチル)ホスフィンからなる群から選択されるヒドロキシメチル置換リン化合物とを含む。ヒドロキシメチル置換リン化合物とオキサゾリジン化合物の質量比は約50:1〜約1:50の範囲内である。例えば、本発明の方法に関して上述したように、ヒドロキシメチル置換リン化合物とオキサゾリジン化合物の質量比は約10:1〜約1:20の範囲内又は約1:1〜約1:5の範囲内であってもよい。オキサゾリジン化合物が4,4−ジメチルオキサゾリジンである場合、ヒドロキシメチル置換リン化合物の質量比は、例えば約1:1〜約1:5の範囲内であってもよい。オキサゾリジン化合物が7−エチルビシクロオキサゾリジンである場合、ヒドロキシメチル置換リン化合物の質量比は、例えば約2:1〜約1:15の範囲内であってもよい。
【0025】
配合物のオキサゾリジン化合物及びヒドロキシメチル置換リン化合物の全体的な濃度は幅広く変わり得る。本発明のある実施形態では、配合物中のオキサゾリジン化合物及びヒドロキシメチル置換リン化合物の総濃度は、約0.1〜約99質量%の範囲内である。例えば、配合物中のオキサゾリジン化合物及びヒドロキシメチル置換リン化合物の総濃度は、約0.1〜約98質量%の範囲内又は約15〜約90質量%の範囲内であってもよい。処理される水溶液系への投与中に、特定の用途により適した最終使用濃度に使用者が濃縮配合物を希釈してもよい(例えば約1〜約3500ppmの範囲内、5〜約1500ppm、約10〜約500ppmの範囲内、約50〜約200ppmの範囲内、又は約10〜約100ppmの範囲内)。
【0026】
本発明のある実施形態では、配合物は水も含む。例えば、配合物の水濃度は約1〜約99質量%の範囲内、約5〜約95質量%の範囲内、又は約50〜約85質量%の範囲内であってもよい。当然、水に加えて、又は水の代わりに、低級アルコール、グリコール、グリコールのエーテル及びエステル、並びにジメチルホルムアミド等のその他の溶媒を本発明の配合物中に用いてもよい。
【0027】
本発明の配合物は、配合技術分野で標準的な方法を用いて製造してよい。例えば、所望の比率を得るのに適した割合で市販の濃縮水溶液(例えばオキサゾリジン化合物はBIOBAN(商標)CS−1135又はBIOBAN(商標)CS−1246溶液、ヒドロキシメチル置換リン化合物はAQUCAR(商標)THPS75)を単にブレンドすることがしばしば簡便である。配合物を更に希釈して所望の総濃度にするために、その他の添加剤を所望するように添加してもよく、水(及び/又はその他の溶媒)を添加してもよい。
【0028】
本発明の一実施形態では、ヒドロキシメチル置換リン化合物はテトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム塩である。例えば、ヒドロキシメチル置換リン化合物は、テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウムスルファートであってもよい。当然、テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウムクロリド等のその他のテトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム塩を使用してもよい。
【0029】
本発明のある実施形態では、配合物は少なくとも1つの更なる殺生物剤を含む。当業者であれば、想定される特定の用途に基づいて更なる殺生物剤の特定及び濃度の選択が可能である。好適な更なる殺生物剤としては、例えば、2,2−ジブロモ−2−ニトリロプロピオンアミド(DBNPA)、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−l,3−ジオール(ブロノポール)、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(MIT)、トリス(ヒドロキシメチル)ニトロメタン、1−(3−クロロアリル)−3,5,7−トリアザ−l−アゾニア−アダマンタンクロリド、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2,6−ジメチル−m−ジオキサン−4−オールアセタート、及びo−フタルアルデヒドが含まれる。
【0030】
本発明のある実施形態では、配合物は第四アンモニウム化合物を含まないか、実質的に含まない。例えば、配合物に含まれる第四アンモニウム化合物は、10質量%未満、1質量%未満、更には0.25質量%未満であってもよい。上述のように、第四アンモニウム化合物は、陰イオン性ポリマー、解乳化剤、腐食防止剤、及び/又は界面活性剤等の添加剤が使用される時には好ましくない。したがって、本発明のこの実施形態では、配合物は、少なくとも1つの帯電ポリマー又は非帯電ポリマー、解乳化剤、腐食防止剤、スケール防止剤、及び/又は界面活性剤を含み得る。当然、本発明の別の実施形態では、配合物は第四アンモニウム化合物を含んでもよい。
【0031】
本発明のある実施形態では、配合物は、ホルムアルデヒドとC2〜C6脂肪族グリコール又はC2〜C6脂肪族グリコール(モノC1〜C4アルキルエーテル)との付加体を含まないか、実質的に含まない。例えば、配合物に含まれるホルムアルデヒドとC2〜C6脂肪族グリコール又はC2〜C6脂肪族グリコール(モノC1〜C4アルキルエーテル)との付加体は、10質量%未満、1質量%未満、更には0.25質量%未満であってもよい。
【0032】
本発明の配合物は、最終用途に応じてその他の物質を含んでもよい。しかし、本発明の一実施形態では、配合物は、オキサゾリジン化合物、ヒドロキシメチル置換リン化合物、及び水から本質的になる。
【0033】
本発明のその他の態様は、上述の実施形態の1又は複数から相反する態様を組み合わせた実施形態を含む。例えば、上述の一実施形態では、ヒドロキシメチル置換リン化合物としてTHPSを使用し、上述の別の実施形態では、処理されるシステムは第四アンモニウム化合物を含まない。したがって、本発明の更に別の実施形態では、ヒドロキシメチル置換リン化合物はTHPSであり、処理されるシステムは第四アンモニウム化合物を含まない。
【0034】
本発明の方法及び配合物は、多くの応用における使用に適用することができる。例えば、本発明の方法及び配合物は、石油又は天然ガスの生産、移送、及び貯蔵の多くの段階において、トップサイド及びダウンホールの両方、例えば脱気塔、貯蔵タンク、圧入水、生産水、ピグ作業工程、掘穿泥水、仕上げ流体又は改修流体、刺激流体、充填流体、フラクチャリング流体、及び水圧試験用流体で使用することができる。方法及び配合物は、例えば付着物の付きやすい膜及びその他のシステム構成要素を処理するために、水処理及び浄水のプロセス又はシステム中で使用してもよい。方法及び配合物はまた、紙及びパルプの製造、バラスト水の殺菌、及びその他の工業プロセス中で使用してもよい。方法及び配合物は、冷却及び加熱プロセスで使用される水系流体及びシステムの微生物汚染の防止を促進し得る。方法及び配合物はまた、水系スラリー、インク及びテープの接着化合物、水系の家庭用品及びパーソナルケア製品、ラテックス、塗料、及びコーティングの微生物汚染を防止するために使用してもよい。当然、本発明の方法及び配合物は、本明細書で具体的に言及していないその他のプロセス及び装置でも使用してよい。
【実施例】
【0035】
実施例1
種々の細菌に対する4,4−ジメチルオキサゾリジン及びTHPSの活性
滅菌0.85%NaCl溶液に細菌の終濃度約107CFU/mLで細菌を接種する。ゼロ日目に、オキサゾリジン化合物(水中78%の4,4−ジメチルオキサゾリジンであるダウ・ケミカル社製のBIOBAN(商標)CS−1135又は水中97.5%の7−エチルビシクロオキサゾリジンであるダウ・ケミカル社製のBIOBAN(商標)CS−1246)、THPS(水中75%のTHPSであるダウ・ケミカル社製のAQUCAR(商標)THPS75)、又はオキサゾリジン化合物とTHPSの組合せのいずれかを添加し、所望の終濃度が得られるまで溶液を十分に混合する。次いでこの溶液を37℃で3時間インキュベートする。処理3時間後の溶液中の生細菌数を段階希釈法で求める。
【0036】
上記の試験プロトコールを、標準的な菌種である黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)ATCC6538、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)ATCC8308、枯草菌(Bacillus subtillus)ATCC8473、大腸菌ATCC11229に対して用いる。表1に、4種類の細菌を1時間で少なくとも1000分の1に減少(3 log reduction)させるのに必要な平均濃度を示す(処理は、単独又は比率1:1のTHPSと4,4−ジメチルオキサゾリジンである)。
【0037】
【表1】

【0038】
油田/ガス田から単離される硫酸塩還元細菌(SRB)に対する試験に用いるプロトコールは、上記の通り実施するが、嫌気性環境下(Bactron III嫌気性チャンバー)で、0.85%NaCl溶液の代わりに脱気した滅菌塩溶液(水1L中に、1.2490gのNaCl、2.9290gのNaHCO3、0.1910gのNa2CO3、0.0060gのNa2SO4、0.033gのCaCl2、及び0.0590gのMgCl2・6H2O)を用いる。表2に、油田/ガス田から単離される硫酸塩還元細菌を1時間で少なくとも1000分の1に減少させるのに必要な平均濃度を示す(処理は、単独又は比率1:2及び1:5のTHPS及び4,4−ジメチル−オキサゾリジンである)。
【0039】
【表2】

【0040】
実施例2
種々の細菌に対する7−エチル−ビシクロオキサゾリジン及びTHPSの活性
好気性細菌及び嫌気性硫酸塩還元細菌について、実施例1に記載の試験プロトコールを用いる。表3に、標準的な好気性細菌及び油田/ガス田から単離される硫酸塩還元細菌を1時間で少なくとも1000分の1に減少させるのに必要な平均濃度を示す(処理は、THPS/7−エチル−ビシクロオキサゾリジンブレンド、THPS単独、又は7−エチル−ビシクロオキサゾリジン単独である)。
【0041】
【表3】

【0042】
本発明の範囲から逸脱することなく本発明に種々の修正及び変更が可能であることは当業者に明らかである。したがって、添付の特許請求の範囲及びその均等物の範囲内である限り、本発明の修正及び変更も本発明に包含されることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水系流体中の微生物濃度の増大を低減又は抑制する方法であって、
前記水系流体を、
オキサゾリジン化合物と、
テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム塩、C1〜C3アルキル−及びアルケニルトリス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム塩、並びにトリス(ヒドロキシメチル)ホスフィンからなる群から選択されるヒドロキシメチル置換リン化合物と
に接触させる工程を含む、方法。
【請求項2】
前記ヒドロキシメチル置換リン化合物がテトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ヒドロキシメチル置換リン化合物がテトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウムスルファートである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記オキサゾリジン化合物が、それぞれ必要に応じて置換されていてもよい、単環式オキサゾリジン、二環式オキサゾリジン、ビスオキサゾリジン、又はポリオキサゾリジンである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記オキサゾリジン化合物が、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、又はヒドロキシ(C1〜C6アルキル)で必要に応じて置換されていてもよい単環式オキサゾリジンである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記オキサゾリジン化合物が4,4−ジメチル−オキサゾリジンである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記ヒドロキシメチル置換リン化合物及びオキサゾリジン化合物が、約1:1〜約1:5の範囲内の質量比で存在する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記オキサゾリジン化合物が、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、又はヒドロキシ(C1〜C6アルキル)で必要に応じて置換されていてもよい二環式オキサゾリジンである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記オキサゾリジン化合物が、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、又はヒドロキシ(C1〜C6アルキル)で必要に応じて置換されていてもよい1−アザ−3,7−ジオキサビシクロ[3.3.0]オクタンである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記オキサゾリジン化合物が、7−エチル−ビシクロオキサゾリジンである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ヒドロキシメチル置換リン化合物及び前記7−エチル−ビシクロオキサゾリジンが、約2:1〜約1:15の範囲内質量比で存在する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ヒドロキシメチル置換リン化合物及びオキサゾリジン化合物が、約50:1〜約1:50の範囲内質量比で存在する、請求項1〜6又は8〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
ヒドロキシメチル置換リン化合物とオキサゾリジン化合物の質量比が約5:1〜約1:10の範囲内である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
ヒドロキシメチル置換リン化合物とオキサゾリジン化合物の質量比が約1:1〜約1:5の範囲内である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記微生物が好気性細菌である、請求項1〜14のいずれか1項に記載に記載の方法。
【請求項16】
前記水系流体が、トップサイド又は表面の油田又はガス田の水;掘穿泥水、水系の仕上げ流体若しくは改修流体、刺激流体、充填流体、フラクチャリング流体等の油田又はガス田の機能性流体あるいは油田及びガス田の機能性流体の成分;金属加工流体、水系スラリー、インク又はテープの接着化合物、水系の家庭用品又はパーソナルケア製品、水系の紙パルプ流体、ボイラー水、工業プロセス水、バラスト水、廃水、塗料、ラテックス、コーティング、又は開放系若しくはその中の水系流体である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記微生物が嫌気性細菌である、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記水系流体又はシステムが、油田又はガス田の、圧入水若しくは生産水又は圧入流体若しくは生産流体、油田又は天然ガス田の生産操業で用いられる機能性流体、炭化水素油若しくは炭化水素ガスの貯蔵タンク又はその中の炭化水素油若しくは炭化水素ガス、脱気塔又はその中の水系流体、移送パイプライン又はその中の水系流体、パルプ又は紙の加工システム又はそれに関連する水系流体、バラスト水、冷却水、金属加工流体及び金属加工システム、浄水システム、廃水及び処理システム、ラテックス、塗料、コーティング、水系スラリー、インク又はテープの接着化合物、水系の家庭用品又はパーソナルケア製品、又は閉鎖系若しくは開放系下部又はその中の水系流体である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記水系流体が、油田又は天然ガス田の水又は流体、炭化水素油及び炭化水素ガス、紙パルプ水又は紙パルプスラリー、冷却水、ボイラー水、工業プロセス水、バラスト水、廃水、金属加工流体、水系スラリー、インク又はテープの接着化合物、水系の家庭用品又はパーソナルケア製品、ラテックス、塗料、コーティング、又はこれらと共に用いられるシステムである、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記水系流体が油田又はガス田の水又はフラクチャリング流体である、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記水系流体中のオキサゾリジン化合物及びヒドロキシメチル置換リン化合物を合わせた濃度が約5〜約3500ppmの範囲内である、請求項1〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記水系流体中のオキサゾリジン化合物及びヒドロキシメチル置換リン化合物を合わせた濃度が約10〜約500ppmの範囲内である、請求項1〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
オキサゾリジン化合物及びヒドロキシメチル置換リン化合物を合わせた濃度が約50〜200ppmの範囲内である、請求項1〜20のいずれか1項の方法。
【請求項24】
オキサゾリジン化合物及びヒドロキシメチル置換リン化合物を合わせた濃度が約10〜約100ppmの範囲内である、請求項1〜20のいずれか1項の方法。
【請求項25】
前記接触工程中、前記水系流体が、少なくとも1つの帯電ポリマー又は非帯電ポリマー、解乳化剤、腐食防止剤、スケール防止剤、及び/又は界面活性剤を含む、請求項1〜24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記水系流体を少なくとも1つの更なる殺生物剤と接触させる工程を更に含む、請求項1〜25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記少なくとも1つの更なる殺生物剤が、DBNPA、ブロノポール、MIT、トリス(ヒドロキシメチル)ニトロメタン、1−(3−クロロアリル)−3,5,7−トリアザ−1−アゾニア−アダマンタンクロリド、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2,6−ジメチル−m−ジオキサン−4−オールアセタート、及びo−フタルアルデヒドからなる群から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記オキサゾリジン化合物及びヒドロキシメチル置換リン化合物が前記水系流体に実質的に同時に添加される、請求項1〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記オキサゾリジン化合物及びヒドロキシメチル置換リン化合物が前記水系流体に異なる時点で添加される、請求項1〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記接触工程が、
前記水系流体を、ヒドロキシメチル置換リン化合物とオキサゾリジン化合物が約50:1〜約1:50の第1の範囲内である比率のオキサゾリジン化合物及びヒドロキシメチル置換リン化合物と接触させる工程;並びに
前記水系流体を、ヒドロキシメチル置換リン化合物とオキサゾリジン化合物が約50:1〜約1:50の範囲内である第2の比率のオキサゾリジン化合物及びヒドロキシメチル置換リン化合物と接触させる工程
を含み、前記第1の比率と前記第2の比率が異なる、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
水系流体又は水系流体と共に用いられるシステム中の微生物濃度の増大を低減又は抑制するための配合物であって、
オキサゾリジン化合物と、
テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム塩、C1〜C3アルキル−及びアルケニルトリス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム塩、並びにトリス(ヒドロキシメチル)ホスフィンからなる群から選択されるヒドロキシメチル置換リン化合物と
を含む、配合物。
【請求項32】
前記ヒドロキシメチル置換リン化合物及びオキサゾリジン化合物が約50:1〜約1:50の範囲内の比率で存在する、請求項31に記載の配合物。
【請求項33】
前記オキサゾリジン化合物の濃度が約0.1〜約98質量%の範囲内であり;
前記ヒドロキシメチル置換リン化合物の濃度が約0.1〜約98質量%の範囲内である、
請求項31に記載の配合物。
【請求項34】
水を更に含む、請求項32又は33に記載の配合物。
【請求項35】
水の濃度が約1〜約99質量%の範囲内である、請求項39に記載の配合物。
【請求項36】
前記ヒドロキシメチル置換リン化合物がテトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム塩である、請求項31〜35のいずれか1項に記載の配合物。
【請求項37】
前記ヒドロキシメチル置換リン化合物がテトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウムスルファートである、請求項31〜36のいずれか1項に記載の配合物。
【請求項38】
前記オキサゾリジン化合物が4,4−ジメチルオキサゾリジンである、請求項31〜37のいずれか1項に記載の配合物。
【請求項39】
前記オキサゾリジン化合物が7−エチル−ビシクロオキサゾリジンである、請求項31〜37のいずれか1項に記載の配合物。
【請求項40】
ヒドロキシメチル置換リン化合物とオキサゾリジン化合物の比率が約10:1〜約1:20の範囲内である、請求項31〜39のいずれか1項に記載の配合物。
【請求項41】
ヒドロキシメチル置換リン化合物とオキサゾリジン化合物の比率が約1:1〜約1:5の範囲内である、請求項31〜39のいずれか1項に記載の配合物。
【請求項42】
少なくとも1つの帯電ポリマー又は非帯電ポリマー、解乳化剤、腐食防止剤、スケール防止剤、及び/又は界面活性剤を更に含む請求項31〜41のいずれか1項に記載の配合物。
【請求項43】
少なくとも1つの更なる殺生物剤を含む、請求項31〜41のいずれか1項に記載の配合物。
【請求項44】
前記少なくとも1つの更なる殺生物剤が、DBNPA、ブロノポール、MIT、トリス(ヒドロキシメチル)ニトロメタン、1−(3−クロロアリル)−3,5,7−トリアザ−1−アゾニア−アダマンタンクロリド、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2,6−ジメチル−m−ジオキサン−4−オールアセタート、及びo−フタルアルデヒドからなる群から選択される、請求項43に記載の配合物。

【公表番号】特表2010−534666(P2010−534666A)
【公表日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−518320(P2010−518320)
【出願日】平成20年7月21日(2008.7.21)
【国際出願番号】PCT/US2008/070651
【国際公開番号】WO2009/015088
【国際公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】