説明

水蒸気の水成分と熱を利用した被処理物の水熱処理方法と酸化型亜臨界処理装置

【課題】水蒸気の水成分と熱を利用した水熱処理の処理期間の短縮化を図る。
【解決手段】酸化型亜臨界処理装置100にて水蒸気の水成分と熱を利用した被処理物の水熱処理を行うに当たり、中空の処理釜110に被処理物を投入した後に、水蒸気を加熱および加圧した上で処理釜110の内部に圧送しつつ、投入済みの被処理物を高温高圧の水蒸気が導入済みの処理釜110で攪拌して水熱処理する。こうした水熱処理の実行中に、処理釜110の内部に、酸化の誘因となり得る薬剤を導入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品残渣、木くず、紙くず、生ゴミ、食料残飯の他、プラスチック容器弁当やビニール包装オニギリの残飯等の被処理物を水蒸気の水成分と熱にて処理する水熱処理に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境保全や資源循環に対する意識が高まり、被処理物の焼却処理といった既存の処理手法に変わる水熱処理手法が種々提案されている(例えば、特許文献1)。この特許文献では、食品残渣、木くず、紙くず、生ゴミ、食料残飯等の一般廃棄物を被処理物とし、これを水蒸気の水成分と熱にて水熱処理して飼料や堆肥を製造している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−55285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、水蒸気の水成分と水蒸気の熱にて被処理物を水熱処理するに当たり、その水熱処理に先だって加圧エアーを処理釜に導入して、処理釜内を予め高圧環境としておき、水熱処理の処理環境の高圧化を図っている。ところで、被処理物は多種多様であって、食品残渣等の他、芳香族化合物や抗生物質等の難分解性物質を含むことも多い。こうした難分解性物質は、水蒸気の水成分と熱を利用した一種の熱分解反応である水熱処理にて分解できるものの、その分解に長時間を要するという問題点が指摘されるに到った。通常、水熱処理はある程度の期間に亘る処理(水熱処理)が必要ないわゆるバッチ処理であることから、バッチ処理ごとの処理能力向上の上から処理釜の大型化も求められている。しかしながら、釜の大型化に伴って被処理物が増える分、被処理物に含まれる難分解性物質も多くなり、水熱処理に要する処理期間がより長くなることが予想される。
【0005】
本発明は、処理釜における水蒸気の水成分と熱を利用した水熱処理を行うに際しての上記問題点を解決するためになされ、水熱処理の処理期間の短縮化を図ることをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した目的の少なくとも一部を達成するために、本発明では、以下の構成を採用した。
【0007】
[適用1:水熱処理方法]
水蒸気の水成分と熱を利用した被処理物の水熱処理方法であって、
中空の処理釜に、前記被処理物を投入する工程と、
水蒸気を加熱および加圧した上で前記処理釜の内部に圧送しつつ、前記投入済みの被処理物を前記水蒸気が導入済みの前記処理釜内で攪拌して水熱処理する工程と、
該水熱処理に際して、前記処理釜の内部に、酸化の誘因となり得る薬剤を導入する化合物導入工程とを備える
ことをその要旨とする。
【0008】
[適用2:水熱処理を図る酸化型亜臨界処理装置]
水蒸気の水成分と熱を利用して被処理物を水熱処理する酸化型亜臨界処理装置であって、
前記被処理物の投入口を有する中空の処理釜と、
水蒸気を加熱および加圧した上で前記処理釜の内部に圧送しつつ、投入済みの被処理物を前記水蒸気が導入済みの前記処理釜で攪拌して水熱処理する水熱処理手段と、
前記処理釜の内圧低下を抑制した上で、前記処理釜の内部に、酸化の誘因となり得る薬剤を導入する化合物導入手段とを備える
ことをその要旨とする。
【0009】
上記した構成を備える水熱処理方法と水熱処理を図る酸化型亜臨界処理装置では、中空の処理釜に、被処理物を投入口から投入し、この処理釜の内部に、水蒸気を加熱および加圧した上で圧送しつつ、投入済みの被処理物を水蒸気導入済みの処理釜で攪拌して水熱処理に処する。つまり、被処理物は、処理釜の内部で攪拌されつつ、その攪拌の過程で加熱・加圧済みの水蒸気に満遍なく触れ、水蒸気の持つ熱と水成分とが被処理物の水熱処理に利用され、水熱処理は進行する。
【0010】
こうした水熱処理に際して、上記した構成の水熱処理方法と酸化型亜臨界処理装置では、酸化の誘因となり得る薬剤を処理釜の内部に導入するので、処理釜内の被処理物は、この薬剤の存在下で水熱処理に処されることになる。よって、被処理物は、水蒸気の水成分と熱を利用した水熱処理に伴う分解に加え、薬剤が誘因となって起こる酸化分解をも受けることになり、その分解が促進される。この結果、上記した構成の水熱処理方法とその装置によれば、水熱処理の処理期間を短縮化できる。また、芳香族化合物や抗生物質等の難分解性物質についてもその分解を図ることができるので、水熱処理の対象物が多様化し、汎用性も高まる。
【0011】
そして、処理釜の内部への薬剤の導入を、処理釜の内圧低下を抑制した上で行うようにすれば、次の利点がある。水熱処理は、その導入される水蒸気の圧力と熱により高温高圧下で進行するが、薬剤の導入の際に処理釜の内圧低下が抑制されることから、薬剤の導入に際して、内圧低下に伴う水熱処理の進行阻害を招かないようにできる。このため、水熱処理の処理期間の短縮化に有益となる。
【0012】
処理釜の内部に導入する薬剤としては、過酸化水素水等が好適である。こうした薬剤は、ラジカルな水酸基を含むことから、被処理物の酸化の誘因となる。
【0013】
以上説明した構成を有する酸化型亜臨界処理装置は、次のような態様を採ることもできる。例えば、処理釜の内部の温度を計測する温度センサーの計測した釜内温度に基づいて、水熱処理の継続期間における薬剤の導入タイミングを決定するようにできる。水熱処理の進行状況は、投入された被処理物の種類や投入量に依存すると共に、その処理の進行状況は、釜内温度で推測が可能である。よって、上記態様によれば、釜内温度により水熱処理が緩慢と予想されるタイミングで薬剤を導入して処理の活性化を図ったり、水熱処理がほぼ平衡化していると予想されるタイミングで薬剤を導入して処理の活性化をより高めたりできる。このため、水熱処理の処理期間の短縮化の実効性を高めることができる。
【0014】
また、前記投入口に繋がる投入経路に、前記処理釜の側の第1バルブと、該バルブから離間した第2バルブを備えた上で、次のようにして薬剤を導入するようにできる。まず、前記薬剤の導入に際して、閉弁済みの前記第1バルブと前記第2バルブとの間のバルブ間経路に前記第2バルブを経て前記薬剤を導入する。こうして導入された薬剤は、閉弁状態の第1バルブと第2バルブとの間のバルブ間経路に貯まる。このため、バルブ間経路の薬剤は、前記第2バルブの閉弁制御に続く前記第1バルブの開弁制御により、処理釜内の水蒸気がこのバルブ間経路に高温高圧で入り込むことで、その水蒸気に拡散し、処理釜内の被処理物に触れることになる。こうすれば、処理釜の内圧低下を抑制した上で、処理釜の内部に薬剤を確実に導入できるので、それまでの水熱処理の処理効率を維持したまま、水熱処理に伴う分解に加え、被処理物を薬剤による酸化分解に処することができる。よって、水熱処理の処理期間の短縮化の実効性をより一層高めることができる。しかも、被処理物の投入口に繋がる投入経路を、被処理物の投入と薬剤の導入とに共用できることから、薬剤の導入に特化した経路が不要となり、構成の簡略化、延いてはコスト低減に寄与できる。
【0015】
また、前記水熱処理の処理期間において、前記水熱処理により前記処理釜に貯まった液体成分中に、酸素ガスまたは酸素含有ガスの加圧導入を図るようにできる。こうすれば、水熱処理や酸化処理の進行に伴い処理釜の液体成分が液中の酸素が不足して嫌気状態となっても、上記各処理の進行に伴い不足した酸素をこうした処理が進行している液体成分に直接補給して、液体成分を好気状態とできる。また、固形成分にあってもその物理的な隙間に酸素が入り込んだ酸素過多とできる。よって、被処理物の酸化分解の促進により、水熱処理の処理期間の短縮化をより高い実効性で達成できる。なお、処理釜内は高温高圧の水蒸気の充満環境であることから、上記したように好気状態の液体成分や酸素過多の固形成分は、処理完了後において、処理釜からほぼ無菌の状態で回収される。このため、処理釜からの回収後において、好気状態の液体成分や酸素過多の固形成分への菌(好気状態や酸素過多で発酵を活性化させる菌)の付着により、回収後の発酵分解の促進を期待でき、これによっても被処理物(詳しくは、回収後の液体・固形成分)の分解を進めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施例である酸化型亜臨界処理装置100の概略構成を示すブロック図である。
【図2】この水熱処理プロセスの工程を表す工程図である。
【図3】薬剤の継続導入処理を示すフローチャートである。
【図4】薬剤の継続投入の様子を説明するための説明図である。
【図5】酸素ガス補給処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づき説明する。図1は本発明の実施例である酸化型亜臨界処理装置100の概略構成を示すブロック図である。
【0018】
図示するように、本実施例の酸化型亜臨界処理装置100は、水蒸気の水成分と熱を利用して被処理物を水熱処理する水熱処理装置であり、処理釜110と、廃棄物投入系120と、処理物排出系130と、水蒸気供給系140と、酸素供給系150と、制御装置200とを備える。処理釜110は、本実施例における被処理物たる食品残渣等の一般廃棄物やプラスチック含有残飯、或いは芳香族化合物、洗剤、抗生物質等の難分解性物質を含む被処理物を水熱処理するための中空の処理釜であり、耐圧性と耐温性を備えた鋼製の或いはステンレス製の釜である。この処理釜110は、釜の上下に被処理物の投入口111と排出口112を備え、釜内部には複数の攪拌羽根113を回転自在に備えている。なお、処理釜110における図中の右方側は、水密・気密式の開閉扉とされ、この扉は、釜内の保守点検時に開閉される。
【0019】
攪拌羽根113は、処理釜110の外部のモーター114の回転軸から釜内に延び、モーター114の回転に伴って処理釜110の内部にて回転し、処理釜110の内部に投入済みの被処理物を攪拌する。後述するように、処理釜110の内部は、高温高圧の水蒸気が導入されて水蒸気で充満されていることから、攪拌羽根113は、回転して被処理物を攪拌することで、被処理物を満遍なく水蒸気に接触させつつ、被処理物へのより一律な熱の伝搬を図る。
【0020】
廃棄物投入系120は、処理釜110の投入口111に繋がる投入経路121を廃棄物投入ホッパ128に到るまで備え、当該経路に、第1バルブ122と第2バルブ123とを有し、両バルブの間をバルブ間経路124とする。第1、第2の両バルブにはバルブ駆動機器125、126がそれぞれ装着され、これら開閉機器が制御装置200の制御を受けて駆動することで、上記両バルブは、開閉する。つまり、後述の水熱処理サイクルに合致したタイミングの被処理物の投入時においては、第1、第2の両バルブは共に開口し、このバルブ状態において、廃棄物投入ホッパ128は、被処理物を搬送しつつ、投入口111に投入する。そして、水熱処理の継続期間において、両バルブは、通常、閉弁状態とされる。また、薬剤トレイ129に貯留済みの後述の薬剤は、水熱処理サイクルに合致したタイミングで投入経路121を経由して処理釜110に導入されるが、この薬剤導入タイミングおよびその際の両バルブの開閉制御については、後述する。なお、バルブ間経路124には、圧力開放弁127が装着されており、当該開放弁により、バルブ間経路124は大気開放される。この圧力開放弁127の駆動状況についても、上記のバルブ制御と関連付けて後述する。
【0021】
処理物排出系130は、排出口112に繋がる排出経路131を備え、当該経路に排出バルブ132を有する。この排出バルブ132は、そのバルブ駆動機器133が制御装置200の制御を受けて駆動することで開閉し、被処理物の処理(水熱処理)完了時において開口し、水熱処理の間に亘って閉鎖状態とされる。排出口112から排出された処理完了物、即ち後述する堆肥、飼料、燃料等の固形分とそれ以外の水液成分は、処理品回収機器134にて外部に搬送される。
【0022】
水蒸気供給系140は、水蒸気供給源141と、処理釜110に到る蒸気供給管路143と、当該管路の開閉バルブ144とを備える。水蒸気供給源141は、昇温昇圧機器群142を備え、当該機器群により、水蒸気を処理釜110における水熱処理に適した温度および圧力(例えば、200℃前後で2MPa程度の圧力)まで加熱および加圧する。こうした水蒸気の加熱と加圧を図る昇温昇圧機器群142は、ボイラーや蒸気過熱ヒーター、コンプレッサー等から構成される。昇温昇圧機器群142は、制御装置200の制御を受けて駆動することで、上記した高温高圧の水蒸気を生成し、水蒸気供給源141は、この高温高圧の水蒸気を、蒸気供給管路143を経て処理釜110の内部に水熱処理の間に亘って継続して圧送供給する。図1においては、蒸気供給管路143は単一管路として図示されているが、処理釜内への均一な水蒸気供給を図るため、本実施例では、蒸気供給管路143を分岐配管として、各分岐官の先端から処理釜内に高温高圧の水蒸気を供給している。よって、処理釜110の内部は、複数の分岐管のそれぞれに対応する噴出孔から同時に噴出された水蒸気により、速やかに、且つくまなく充満されることになる。
【0023】
酸素供給系150は、酸素ガスボンベ151と、ガス噴出ノズル152と、ガス管路153と、当該管路の開閉バルブ154とを備える。酸素ガスボンベ151は、上記した処理釜110の水熱処理時の内圧より高い圧力で酸素ガスを高圧充填し、制御装置200の制御を受けて駆動する開閉バルブ154の閉弁により、高圧の酸素ガスをガス噴出ノズル152に供給する。ガス噴出ノズル152は、その噴出口を処理釜110の底部に臨ませているので、酸素ガスは、処理釜110に貯まった液体成分中に高圧で噴出される。図1においては、処理釜110には一つのガス噴出ノズル152が装着されているが、ガス管路153を分岐配管として、複数のガス噴出ノズル152を釜底部に設けて、処理釜110に貯まった液体成分中に複数箇所から酸素ガスを噴出するようにすることもできる。なお、酸化型亜臨界処理装置100は、水熱処理の完了後に処理釜内の水蒸気を大気放出する排出系を備えるが、本発明の要旨と直接関係しないので、その図示および説明は省略する。
【0024】
この他、酸化型亜臨界処理装置100は、処理釜110の内部温度を検出する三つの釜温度センサー161〜163を備え、これらのセンサーは制御装置200に検出信号を出力する。第1の釜温度センサー161は、図示するように処理釜110の上部内壁に装着され、釜内の上部温度を検出する。第2の釜温度センサー162は、処理釜110の中央付近の内壁に装着され、釜内の中央付近、即ち釜内の液体成分の液面近傍の温度を検出する。第3の釜温度センサー163は、処理釜110の底部内壁に装着され、釜内の液体成分の温度(液温)を検出する。
【0025】
制御装置200は、本実施例の酸化型亜臨界処理装置100の制御を統括的に行うものであり、論理演算を実行するCPUやプログラムやデータを記憶したROM、データの一時的な読み書きを可能とするRAM等を有するコンピュータで構成される。そして、制御装置200は、既述した種々のセンサーからの検出信号を入力し、こうした検出信号や図示しない操作盤からの運転条件設定パラメータに応じて、処理釜110のバルブ開閉制御、水蒸気供給系140の昇温昇圧機器群142や開閉バルブ144の駆動制御、酸素供給系150の開閉バルブ154等の駆動制御、モーター114の駆動制御等を実行する。こうした機器制御の様子については後述する。
【0026】
次に、本実施例の酸化型亜臨界処理装置100で行う水熱処理プロセスについて説明する。図2はこの水熱処理プロセスの工程を表す工程図である。水熱処理の説明に先立ち、この水熱処理を行うために酸化型亜臨界処理装置100が実行する処理について説明する。
【0027】
制御装置200は、第1の釜温度センサー161等のセンサー出力および図示しない釜内圧力センサー出力を入力し、水蒸気供給系140における昇温昇圧機器群142の運転状態(水蒸気生成量、圧送量、加熱温度等)を制御する。これにより、酸化型亜臨界処理装置100は、処理釜110が安定した温度・圧力(200℃/2MPa)の水蒸気で充満されるよう、水蒸気を圧送することが可能となる。そして、この高温高圧の水蒸気圧送は、水熱処理の期間に亘って、定常的に或いは間歇的に継続される。
【0028】
酸化型亜臨界処理装置100は、制御装置200にて上記した機器制御を実行しつつ、図2の水熱処理を行う。この水熱処理プロセスでは、まず、被処理物を廃棄物投入ホッパ128に投入する(ステップS100)。被処理物の導入に続き、制御装置200は、廃棄物投入ホッパ128に投入された被処理物を図示しない搬送路にて攪拌しつつ投入経路121の上端まで搬送する(ステップS110)。
【0029】
制御装置200は、ステップS110での搬送に続いて、もしくはこれと並行或いはこれに先だって、第1バルブ122と第2バルブ123の両バルブを開弁制御し、処理釜110に投入口111を経て廃棄物投入ホッパ128の被処理物を投入する(ステップS120)。このステップS120での被処理物投入に続いて、もしくはこれと並行或いは先だって、薬剤トレイ129の薬剤を投入経路121に導入(初期導入)する(ステップS130)。導入された薬剤は、被処理物と共に処理釜110の内部に導かれることになる。ここで、薬剤の初期導入と、被処理物に含まれる難分解性物質との関係について説明する。
【0030】
廃棄物投入ホッパ128を経て投入される被処理物が、芳香族化合物、洗剤、抗生物質等の難分解性物質を含む被処理物である場合、上記したステップS130では、被処理物に含まれる難分解性物質の酸化の誘因となる薬剤、例えば過酸化水素水を薬剤トレイ129に準備し、これを、投入経路121に導入する。この薬剤の初期導入の際の薬剤量は、後述の薬剤継続投入工程での追加投入を考慮して、難分解性物質の含有量やその性状から決定すればよい。本実施例では、例えば、今回の水熱処理に処される被処理物に含まれると予想される難分解性物質の総含有量の数%程度の液量の過酸化水素水を初期導入することとした。被処理物が難分解性物質をほとんど含有しない残滓等の有機性被処理物である場合には、ステップS130の薬剤投入をスキップすることができる。例えば、制御装置200に付属の操作盤に、被処理物の選択スイッチを設け、難分解性物質非含有の被処理物選択時には、ステップS130を省略し、難分解性物質含有の被処理物選択時には、ステップS130を実行するようにすることもできる。また、難分解性物質の種別(性質)や含有量についても選択スイッチを設け、そのスイッチ操作により、薬剤の初期導入液量を決定するようにすることもできる。
【0031】
制御装置200は、被処理物投入および薬剤初期投入に続いて、第1バルブ122と第2バルブ123の両バルブを閉弁制御した後、水蒸気供給系140における開閉バルブ144を開弁制御する。これにより、処理釜110には、昇温昇圧機器群142で生成した高温高圧(200℃/2MPa)の水蒸気が導入されるので、制御装置200は、処理釜内の攪拌羽根113をモーター114にて回転させて、投入済みの被処理物を高温高圧の水蒸気存在下で攪拌する(ステップS140)。こうした高温高圧の水蒸気導入により、処理釜110の内部では、投入済みの被処理物が高温高圧の水蒸気に触れ、水蒸気の持つ熱が被処理物の水熱処理に処される状態となる。そして、攪拌羽根113による被処理物攪拌により、投入済みの被処理物を満遍なく高温高圧の水蒸気に接触させつつ、被処理物へのより一律な熱の伝搬を図り、水熱処理を進行させる。しかも、こうして攪拌される処理釜110の内部の被処理物は、ステップS130により初期導入された薬剤の存在下で、当初から上記した水熱処理に処されることになる。初期導入された薬剤は、難分解性物質の酸化の誘因となる性質を有することから、難分解性物質は、水熱処理による分解に加え、酸化による分解にも、処理当初から処されることになる。
【0032】
こうして高温高圧の水蒸気導入と被処理物の攪拌とを伴う水熱処理が開始されると、制御装置200は、水熱処理が完了したか否かを判定し(ステップS150)、完了判定するまで、高温高圧の水蒸気導入と被処理物の攪拌を継続する。この判定は、例えば、投入した被処理物の全てが分解されたと実験的、或いは経験的に得られた時間が経過することで下すことができる。或いは、水熱処理による被処理物の分解が完了すれば、釜内の温度は、導入された水蒸気の温度に平衡化することから、釜内の既述した温度センサーの検出温度に基づいて、ステップS150で水熱処理完了を判定するようにすることもできる。
【0033】
被処理物の水熱処理が完了すると、制御装置200は、水蒸気供給系140における開閉バルブ144の閉弁制御とモーター114の停止制御を行った後、処理釜110の内部の残存水蒸気を外気放出し(ステップS160)、処理釜110の冷却を待機する(ステップS170)。処理釜110の冷却後に、制御装置200は、処理物排出系130における排出バルブ132を開弁制御して排出口112を開放し、処理完了物(水液成分と固形成分)を処理釜110から処理品回収機器134に排出する(ステップS180)。処理完了物が排出されると、制御装置200は、排出バルブ132を閉弁制御して排出口112を閉鎖し、次回の水熱処理に備える。
【0034】
制御装置200は、上記した水熱処理の実行期間において、薬剤の継続投入と酸素ガス補給とを実行する。図3は薬剤の継続導入処理を示すフローチャートである。図3の薬剤継続導入処理は、所定時間ごと、例えば、数分から十数分ごとに制御装置200にて繰り返し実行される。
【0035】
図3の薬剤継続導入処理では、まず、第1〜第3の釜温度センサー161〜163の検出値を入力し(ステップS200)、そのセンサー検出値に基づいて、薬剤の追加導入の要否を判定する(ステップS210)。既述したように難分解性物質を含有する被処理物を処理する場合、その難分解性物質の分解は、ステップS130(図2参照)での薬剤初期導入に伴う酸化による分解により、薬剤導入が無い場合より進行する。本実施例では、ステップS130の初期導入の際に、一度に薬剤を導入することなく、図3のステップS210での判定により追加導入するように構成した。
【0036】
つまり、ステップS210では、第1〜第3の釜温度センサー161〜163からのセンサー検出値により、処理釜110での水熱処理の進行状況を推測し、センサー検出値により水熱処理が緩慢と予想されるタイミング、或いは、水熱処理がほぼ平衡化していると予想されるタイミングで薬剤の追加導入を図ることにした。なお、センサー検出値に基づいた薬剤導入タイミングの決定に代え、水処理経過時間により薬剤導入タイミングを決定することもできる。
【0037】
ステップS210にて、センサー検出値により薬剤の追加導入タイミングではないと否定判定すると、それ以降の処理をすることなく、一旦、本ルーチンを終了する。その一方、センサー検出値により薬剤の追加導入タイミングであると肯定判定すると、薬剤の継続導入処理に移行する(ステップS220)。
【0038】
ステップS220の薬剤継続導入処理では、制御装置200は、まず、第1バルブ122を閉弁制御すると共に、第2バルブ123については、これを開弁制御する(ステップS222)。これにより、投入経路121における両バルブ間のバルブ間経路124は、処理釜110の側が経路閉鎖とされ、処理釜110の釜内状況(高温高圧状況)から遮断された上、経路末端の投入側では経路解放となる。次いで、制御装置200は、このバルブ間経路124に薬剤トレイ129から薬剤を追加導入し(ステップS224)、薬剤をバルブ間経路124に一時的に貯め置く。本実施例では、この薬剤追加導入を次のようにした。図4は薬剤の継続投入の様子を説明するための説明図である。
【0039】
処理釜110に投入された被処理物に含まれる難分解性物質をその酸化を経て分解する場合、図4に示すように、難分解性物質の含有量が多いほど、酸化の誘因となる薬剤の必要液量は、概ね増えることになる。よって、本実施例では、難分解性物質の含有量の増加に伴ってほぼ一律に、或いは段階的に追加薬剤の液量(総液量)を増やすことにし、この総液量を薬剤追加導入回数で等分した液量の薬剤を、ステップS224において薬剤トレイ129からバルブ間経路124に導入するようにした。この場合、薬剤追加導入回数は、実験的或いは経験的に定めることができるほか、予め定めた所定回数に設定することもできる。
【0040】
バルブ間経路124への薬剤の追加導入が完了すると、制御装置200は、それまで開弁していた第2バルブ123を閉弁制御すると共に、これに続いて、それまで閉弁していた第1バルブ122を開弁制御する(ステップS226)。これにより、バルブ間経路124は、第2バルブ123にて経路末端側で閉鎖された状態で、処理釜110と繋がることになるので、バルブ間経路124には、釜内の高温高圧の水蒸気が入り込む。よって、バルブ間経路124に貯め置かれていた薬剤(追加導入薬剤)は、バルブ間経路124に入り込んだ高温高圧の水蒸気に拡散し、処理釜110の内部で攪拌されつつある被処理物に触れることになる。しかも、この際、上記した手順でのバルブ開閉により、処理釜110の水蒸気を投入経路121を経て釜外に出さないので、処理釜110の内圧低下を抑制した上で、処理釜110の内部に薬剤を確実に導入できる。なお、制御装置200は、薬剤トレイ129の駆動完了信号等からバルブ間経路124への薬剤追加導入の完了を検知でき、ステップS226のバルブ制御をシーケンシャルに支障なく実行できる。
【0041】
ステップS226に続き、制御装置200は、第1バルブ122を閉弁制御すると共に、第2バルブ123については、閉弁制御を継続する(ステップS228)。これにより、バルブ間経路124は、改めて処理釜110の釜内状況(高温高圧状況)から遮断される。次いで、制御装置200は、圧力開放弁127を大気解放側に駆動制御して(ステップS230)、処理釜110の釜内状況(高温高圧状況)から遮断済みのバルブ間経路124を大気圧下とする。これにより、次回の薬剤継続導入の準備が整う。
【0042】
次に、酸素ガス補給処理について説明する。図5は酸素ガス補給処理を示すフローチャートである。図5の酸素ガス補給処理にあっては、処理釜110での水熱処理の進行に伴って消費された酸素を補給するものであることから、図2で説明した水熱処理が開始してから所定時間、例えば十数分から二十数分経過後に開始され、その後、所定時間ごと、例えば、数分から十数分ごとに制御装置200にて繰り返し実行される。
【0043】
図5の酸素ガス補給処理では、まず、第1〜第3の釜温度センサー161〜163の検出値を入力し(ステップS300)、そのセンサー検出値に基づいて、酸素補給の要否を判定する(ステップS310)。既述したように難分解性物質を含有する被処理物を処理する場合、その難分解性物質の分解は、ステップS130(図2参照)での薬剤初期導入や図3で説明した薬剤の追加導入に伴う酸化による分解により進行し、分解が進行するほど、多くの酸素が酸化に消費される。これにより、処理釜110の液体成分は、液中の酸素が不足した嫌気状態となりがちとなり、固形成分にあってもその物理的な隙間に入り込む酸素は減る。その一方、第1〜第3の釜温度センサー161〜163からのセンサー検出値により、処理釜110での水熱処理や酸化の進行状況を推測し、センサー検出値により液体成分が嫌気状態に推移したと予想されるタイミングで酸素補給を図ることにした。なお、センサー検出値に基づいた酸素補給タイミングの決定に代え、水処理経過時間により酸素補給タイミングを決定することもできる。
【0044】
ステップS310にて、センサー検出値により酸素補給タイミングではないと否定判定すると、それ以降の処理をすることなく、一旦、本ルーチンを終了する。その一方、センサー検出値により酸素補給タイミングであると肯定判定すると、制御装置200は、酸素供給系150における酸素ガスボンベ151のガス放出制御と開閉バルブ154の開弁制御とを行い(ステップS320)、処理釜110の液体成分中に、ガス噴出ノズル152から酸素を噴出する。これにより、酸素ガスは、処理釜110に貯まった液体成分中に高圧で噴出され、ガス中の酸素が液体成分に溶解して、液体成分を好気状態とすることができる。また、固形成分にあってもその物理的な隙間に酸素が入り込んだ酸素過多とできる。なお、ステップS320での酸素ガス噴射(酸素補給)は、投入された被処理物の総重量等に応じて予め定めた所定期間、例えば、数分程度に亘って継続され、その後、ボンベ閉鎖、バルブ閉弁を経て、本ルーチンを終了する。
【0045】
以上説明した本実施例の酸化型亜臨界処理装置100では、難分解性物質を含有することのある被処理物を分解するに当たり、その被処理物を中空の処理釜110に投入し、この処理釜110の内部に、加熱および加圧済みの高温高圧水蒸気を圧送しつつ、投入済み被処理物を水蒸気導入済みの処理釜110で攪拌して水熱処理に処する。これにより、処理釜110に投入済みの被処理物は、処理釜110の内部で攪拌されつつ、その攪拌の過程で高温高圧の水蒸気に満遍なく触れ、水蒸気の持つ熱と水成分とが被処理物の水熱処理に利用され、水熱処理は進行する。
【0046】
以上説明したように、本実施例の酸化型亜臨界処理装置100では、高温高圧の水蒸気による水熱処理の実行に際し、被処理物の酸化の誘因となり得る薬剤(本実施例では過酸化水素水)を処理釜110の内部に導入する(ステップS130、ステップS220)。このため、処理釜110内の被処理物は、この薬剤の存在下で水熱処理に処されることになるので、被処理物は、水蒸気の水成分と熱を利用した水熱処理に伴う分解に加え、薬剤が誘因となって起こる酸化分解をも受けることになり、その分解が促進される。特に、釜内環境が高温高圧であることから、導入薬剤により誘発される酸化分解は、活発に進行することになる。この結果、本実施例の酸化型亜臨界処理装置100によれば、被処理物の分解をなす水熱処理の処理期間を短縮化できる。また、被処理物に含有されることのある芳香族化合物や抗生物質等の難分解性物質についても、酸化分解によりその分解を図ることができるので、水熱処理の対象物が多様化し、汎用性も高まる。
【0047】
図2のステップS130(薬剤初期導入)と図3の薬剤継続導入処理とを省略して水熱処理を行った場合と、上記の本実施例の酸化型亜臨界処理装置100による水処理を行った場合とで、同一の被処理物(芳香族化合物含有の被処理物)の分解に要する時間を比較したところ、処理時間の短縮化を図ることが確認された。
【0048】
また、本実施例の酸化型亜臨界処理装置100では、水熱処理の実行中に行う薬剤の継続導入を行うに当たり、投入経路121に設けた第1バルブ122と第2バルブ123の両バルブのシーケンシャル制御を行うことで(ステップS222〜228)、処理釜110の内圧低下が起きないようにした。このため、薬剤の継続導入の都度において、処理釜110を高圧環境に維持したままとできるので、内圧低下に伴う水熱処理の進行を阻害しないことから、水熱処理の処理期間を高い実効性で短縮化できる。
【0049】
上記したように薬剤の継続導入を図るに当たり、本実施例の酸化型亜臨界処理装置100では、難分解性物質の含有量が多いほど薬剤の継続導入の総量を増やすことにしたので、難分解性物質の酸化分解の実効性も高まり、水熱処理時間の短縮化に有益である。この場合、難分解性物質の物性(分解の難易度)に応じて薬剤の継続導入の総量を増やすようにすることもできる。
【0050】
しかも、本実施例の酸化型亜臨界処理装置100では、上記したバルブのシーケンシャル制御を経て薬剤を処理釜110に継続導入を図るに当たり、薬剤を処理釜110の高圧環境から遮断されたバルブ間経路124に一旦留め置く。そして、その後に、バルブ間経路124を処理釜110に対して解放して、バルブ間経路124に処理釜110の高温高圧の水蒸気を入り込ませ、この入り込んだ水蒸気に薬剤を拡散して、薬剤を微細な水滴様の形態で処理釜110の内部に隅々まで行き渡らせる。よって、導入された薬剤が処理釜110の被処理物に満遍なく触れることになり、酸化分解の進行の促進に寄与し、水熱処理の処理期間の短縮化の実効性をより一層高めることができる。しかも、被処理物の投入口111に繋がる投入経路121を、被処理物の投入と薬剤の導入とに共用できることから、薬剤の導入に特化した経路が不要となり、構成の簡略化、延いてはコスト低減を図ることができる。
【0051】
また、本実施例の酸化型亜臨界処理装置100では、第1〜第3の釜温度センサー161〜163からのセンサー検出値により、処理釜110での水熱処理の進行状況を推測し、センサー検出値により水熱処理が緩慢と予想されるタイミング、或いは、水熱処理がほぼ平衡化していると予想されるタイミングで薬剤の追加導入を図ることにした。このため、水熱処理が緩慢と予想されるタイミングで薬剤を導入して処理の活性化を図ったり、水熱処理がほぼ平衡化していると予想されるタイミングで薬剤を導入して処理の活性化をより高めたりできるので、水熱処理の処理期間の短縮化の実効性を高めることができる。
【0052】
また、本実施例の酸化型亜臨界処理装置100では、図2に示す水熱処理の処理期間において、処理釜110に貯まった液体成分中に、酸素供給系150から酸素ガスを加圧導入する(ステップS320)。このため、水熱処理や酸化処理の進行に伴い処理釜110の液体成分が液中の酸素不足の嫌気状態となっても、上記各処理の進行に伴い不足した酸素をこうした処理が進行している液体成分に直接補給して、液体成分を好気状態とできる。また、固形成分にあってもその物理的な隙間に酸素が入り込んだ酸素過多とできる。よって、本実施例の酸化型亜臨界処理装置100によれば、被処理物の酸化分解の促進により、水熱処理の処理期間の短縮化をより高い実効性で達成できる。この場合、処理釜110は高温高圧の水蒸気の充満環境であることから、上記したように好気状態の液体成分や酸素過多の固形成分は、処理完了後において、処理釜110からほぼ無菌の状態で回収される。このため、処理釜からの回収後において、好気状態の液体成分や酸素過多の固形成分への菌(好気状態や酸素過多で発酵を活性化させる菌)の付着により、処理品回収機器134での回収作業中の発酵分解の促進を図ることができ、これによっても被処理物(詳しくは、回収後の液体・固形成分)の分解を進めることが可能となる。そして、処理品回収機器134において、その回収した固形成分と液体成分に、好気状態や酸素過多で発酵を活性化させる菌を付着するようにすれば、より確実に、回収作業中の発酵分解を促進させることで、被処理物(詳しくは、回収後の液体・固形成分)の分解を進めることができる。
【0053】
しかも、こうした酸素導入を、水熱処理を開始してから所定時間の経過後に開始したので、液体成分が嫌気状態に到っていないと予想される水熱処理の開始当初においては、酸素導入を実施しない。よって、不用意な酸素導入を行わないようにできる。
【0054】
以上本発明の実施例について説明したが、本発明は上記の実施例や実施形態になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得ることは勿論である。例えば、上記の実施例では、ラジカルな水酸基を含む過酸化水素水を酸化誘因の薬剤として用いたが、ラジカルな水酸基或いはラジカルな他の官能基を含む薬剤を用いるようにすることもできる。
【0055】
また、上記の実施例では、被処理物が難分解性物質を含有することを想定したが、次のようにすることもできる。例えば、既述したように、制御装置200に付属の操作盤に、被処理物の選択スイッチを設け、難分解性物質含有の被処理物処理(第1処理)と、難分解性物質の非含有の被処理物処理(第2処理)とを選択可能にする。その上で、第1処理であれば、図3や図5で説明した薬剤継続導入や酸素補給を行い、第2処理であれば、これら処理を省略するようにする。こうすれば、被処理物の性状に応じて、処理の簡便化を図ることができる。
【0056】
また、上記実施例の酸化型亜臨界処理装置100では、薬剤継続導入と酸素補給を制御装置200によるバルブ制御を経て実行するようにしたが、例えば、ステップS210において薬剤追加導入が必要と判断した場合に、処理従事者にその旨を報知して、いわゆるマニュアル操作にて薬剤追加導入を図るようにすることもできる。この場合には、第2バルブ123についてその開閉をマニュアル操作することになる。酸素補給の場合は、ステップS310において酸素が必要と判断した場合に、処理従事者にその旨を報知して、マニュアル操作にて酸素ガスボンベ151のガス放出と開閉バルブ154の開閉弁操作を行うことになる。
【符号の説明】
【0057】
100…酸化型亜臨界処理装置
110…処理釜
111…投入口
112…排出口
113…攪拌羽根
114…モーター
120…廃棄物投入系
121…投入経路
122…第1バルブ
123…第2バルブ
124…バルブ間経路
125…バルブ駆動機器
127…圧力開放弁
128…廃棄物投入ホッパ
129…薬剤トレイ
130…処理物排出系
131…排出経路
132…排出バルブ
133…バルブ駆動機器
134…処理品回収機器
140…水蒸気供給系
141…水蒸気供給源
142…昇温昇圧機器群
143…蒸気供給管路
144…開閉バルブ
150…酸素供給系
151…酸素ガスボンベ
152…ガス噴出ノズル
153…ガス管路
154…開閉バルブ
161〜163…第1〜第3の釜温度センサー
200…制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水蒸気の水成分と熱を利用した被処理物の水熱処理方法であって、
中空の処理釜に、前記被処理物を投入する工程と、
水蒸気を加熱および加圧した上で前記処理釜の内部に圧送しつつ、前記投入済みの被処理物を前記水蒸気が導入済みの前記処理釜内で攪拌して水熱処理する工程と、
該水熱処理に際して、前記処理釜の内部に、酸化の誘因となり得る薬剤を導入する化合物導入工程とを備える
水熱処理方法。
【請求項2】
水蒸気の水成分と熱を利用して被処理物を水熱処理する酸化型亜臨界処理装置であって、
前記被処理物の投入口を有する中空の処理釜と、
水蒸気を加熱および加圧した上で前記処理釜の内部に圧送しつつ、投入済みの被処理物を前記水蒸気が導入済みの前記処理釜で攪拌して水熱処理する水熱処理手段と、
前記処理釜の内圧低下を抑制した上で、前記処理釜の内部に、酸化の誘因となり得る薬剤を導入する化合物導入手段とを備える
酸化型亜臨界処理装置。
【請求項3】
前記化合物導入手段は、
前記処理釜の内部の温度を計測する温度センサーの計測した釜内温度に基づいて、前記水熱処理の継続期間における前記薬剤の導入タイミングを決定する請求項2に記載の酸化型亜臨界処理装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の酸化型亜臨界処理装置であって、
前記化合物導入手段は、
前記投入口に繋がる投入経路に、前記処理釜の側の第1バルブと、該バルブから離間した第2バルブを備え、
前記薬剤の導入に際して、閉弁済み前記第1バルブと前記第2バルブとの間のバルブ間経路に前記第2バルブを経て前記薬剤が導入されると、前記第2バルブの閉弁制御に続いて、前記第1バルブを開弁制御する
酸化型亜臨界処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−230059(P2011−230059A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−102890(P2010−102890)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(510119577)フジムラインベント株式会社 (2)
【Fターム(参考)】