水転写シート
【課題】一品一様の高精細な画像が形成された水転写シートを得る。
【解決手段】支持体上に少なくとも最下層に水溶解性の剥離層と最上層に受像層を持つ転写シート、基材フィルム上に着色剤を含む熱溶融性インクを塗布した熱溶融性インクリボン、基材フィルム上に少なくとも水を含むことにより粘着性を発揮する離型層と最上層に接着層を有する接着層転写シートを用い、転写シートに熱溶融性インクリボンを用い溶融型熱転写プリンターにて画像を印刷したのち、その上に接着層転写シートを溶融型熱転写プリンターにて印刷して形成された水転写シートである。
【解決手段】支持体上に少なくとも最下層に水溶解性の剥離層と最上層に受像層を持つ転写シート、基材フィルム上に着色剤を含む熱溶融性インクを塗布した熱溶融性インクリボン、基材フィルム上に少なくとも水を含むことにより粘着性を発揮する離型層と最上層に接着層を有する接着層転写シートを用い、転写シートに熱溶融性インクリボンを用い溶融型熱転写プリンターにて画像を印刷したのち、その上に接着層転写シートを溶融型熱転写プリンターにて印刷して形成された水転写シートである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、各種被着体に画像を水転写する為の水転写シートに関し、特に肌に対し好適な水転写シートに関する。
【背景技術】
【０００２】
各種の転写シートは、有機溶剤転写タイプ、熱転写タイプ、粘着転写タイプ、水転写タイプ等のものがある。画像の転写に水を用いる水転写シートは、有機溶剤の使用を避けたい場合や、熱を加えることができないような場合に、好んで用いられる。
【０００３】
近年、大量生産による画一的な画像ではなく個性豊かな画像を好む傾向にある。ところが、従来の水転写シートは、印刷層の上にスクリーン印刷等で同一画像を多数枚印刷し、シートを作成する為、画一的な画像になってしまいがちであった。また、スクリーン印刷には、スクリーン印刷版（孔版）が必要でありかつ、画像に必要な色数の版が必要とされ、例えば、３色刷りの場合、３つの版が、５色刷りでは、５つの版が必要となる。このため一つの画像の作成に時間とコストが多大にかかり、画像を少量作成するには不向きであった。
また、これまでも上記問題点を解決すべく、水転写シートの印刷層に各種プリンターにより画像を形成する方法が提案されているが、水転写シートの表面が粗く高精細な画像が得られにくかった。
【０００４】
【特許文献１】特開２００１−１８５９５号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
本発明は、上記問題点を解決すべくなされたものであり、画一的な画像ではなく、個性的な画像を１枚ずつでも容易かつ高精細に印刷して転写できる水転写シートを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
第１発明は、支持体上に少なくとも最下層に水溶解性の剥離層と最上層に受像層を持つ転写シート、基材フィルム上に着色剤を含む熱溶融性インクを塗布した熱溶融性インクリボン、基材フィルム上に少なくとも水を含むことにより粘着性を発揮する離型層と最上層に接着層を有する接着層転写シートを用い、転写シートに熱溶融性インクリボンを用い溶融型熱転写プリンターにて画像を印刷したのち、その上に接着層転写シートを溶融型熱転写プリンターにて印刷して形成された水転写シートとする。第２発明は、前記離型層がポリビニルピロリドンまたは、ポリビニルイソブチルエーテルを主材とする接着層転写シートを用いて形成された第１発明の水転写シートとする。第３発明は、前記支持体が樹脂フィルムである第１、２発明の水転写シートとする。
【発明の効果】
【０００７】
転写シートに溶融型熱転写プリンタ−で画像を形成した上で、接着層転写シートで接着層を転写することにより、一品一様の水転写シートをつくることが出来、高精細な画像を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００８】
以下に本発明を詳細に説明する。まず本発明に用いる基材フィルム上に少なくとも最下層に水溶解性の剥離層と最上層に受像層を持つ転写シート図１、と溶融熱転写リボンを用意する。
【０００９】
次に転写シートと溶融熱転写リボンを用いて溶融型熱転写プリンターにて転写シート上に画像パターンを形成する。図２
次に基材フィルム上に少なくとも水を含むことにより粘着性を発揮する離型層と最上層に接着層を有する接着層転写シートを用意する。図３
この接着層転写シートを上記作製の画像パターン形成済みの転写シートを用いて溶融型熱転写プリンターにて転写シート上に接着インクを印刷し、画像パターンの形成された水転写シートを完成させる。図４ 接着層を熱転写する領域は、画像パターンの領域の上のみでもよいし、転写シートの全域へのベタ印刷としてもよい。
【００１０】
次にこの水転写シートを用いて肌へ水転写する方法は、まず水転写シートを水に浸け、水を十分にしみ込ませる。図５ 水転写シートを水に浸ける前に画像パターンの領域のみをカットしてからカット部分のみ水に浸けてもよい。接着層をベタ印刷した場合は、画像パターンの領域のみをカットして水に浸漬するとよい。
【００１１】
水に浸漬した水転写シートの最表面は粘着性を発生するため、この面を肌に貼りつける。図６
次に表面のフィルムを剥がし図７、表面の水溶解層成分を水洗する。図７
以上により、肌に高精細な画像パターンが形成できる。
【００１２】
さらに本発明に用いる転写シートについて更に詳しく説明する。本発明に用いる転写シートは、支持体上に、少なくとも最下層に水溶解性の剥離層、と最上層に受像層を持つ溶融熱転写画像記録用の転写シートである。
【００１３】
本発明に用いられる支持体は、紙や樹脂フィルムを用いることができる。紙としては、浸水性のよい上質紙やコート紙が好ましい。樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム（ＰＥＴフィルム）、ポリカーボネートフィルム、ポリアミドフィルム等が挙げられる。印刷画像の品質、耐久性、熱伝達性、コストの点から厚み９〜１００μｍのＰＥＴフィルムが好ましく使用できる。
【００１４】
本発明に用いられる剥離層は、水溶性材料よりなる。このような性能を持たす為、主剤としては、ポリビニルアルコール、デキストリン等の水溶性材が好ましく使用できる。また、基材への密着強度をコントロールする意味でポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、塩ビ酢ビ共重合樹脂等を加えても良い。また、保水効果を高める意味でＰＥＧ等を添加しても良い。剥離層の厚みとしては、熱感度と接着性の観点から、１〜２０μｍが好ましい。
【００１５】
次に本発明に用いられる受像層は、スチレン系樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等を用いる事が好ましい。また、必要に応じて接着性を高める意味で柔軟で接着性の高いウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、オレフィン系樹脂等を加えることができる。この他、ブロッキング、タック防止の意味で各種フィラを添加することが可能であり、たとえば、フッ素系粒子、メラミン樹脂粒子、シリコン系粒子、タルク、カオリン、炭酸マグネシュウム、炭酸カリウム、酸化チタン、シリカ、デンプン等があげられる。受像層の厚みとしては、受像性と熱感度の観点から、０．１〜５．０μｍが好ましい。
また、各層には、製膜助剤、塗液安定剤、レベリング剤、消泡剤等の添加剤を添加することもできる。
【００１６】
次に本発明のもう一つの特徴である接着層転写シートは、基材フィルム上に少なくとも水を含むことにより粘着性を発揮する離型層と最上層に接着層を有する熱溶融性インクリボンである。
【００１７】
本発明に用いられる基材フィルムは、従来の溶融型熱転写用基材フィルムとして公知の種々のフィルムが使用される。例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム（ＰＥＴフィルム）、ポリカーボネートフィルム、ポリアミドフィルム等が挙げられる。耐久性、熱伝達性、コストの点から厚み２〜１２μｍのＰＥＴフィルムが好ましく使用できる。
本発明に用いられる離型層は、熱転写時基材から離型転写する性能のほか、水を含むと粘着性を発揮することが特徴である。このような性能を持たす為、主材としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルイソブチルエーテル等のポリビニルエーテル系樹脂、ポリアクリルアミド、ポリ（メタ）アクリル酸含有ポリマー、デキストリンが好ましく使用できる。より適正な粘着性を発揮するために、ポリビニルピロリドンまたは、ポリビニルイソブチルエーテルを主材とするとよい。基材への密着強度をコントロールする意味でポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、塩ビ酢ビ共重合樹脂等を加えても良い。また、保水効果を高める意味でＰＥＧ等を添加しても良い。離型層の厚みとしては、熱感度と接着性の観点から、１〜２０μｍが好ましい。
【００１８】
次に本発明に用いられる接着層は、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、オレフィン系樹脂等が好ましい。この他、ブロッキング、タック防止の意味で各種フィラを添加することが可能であり、たとえば、フッ素系粒子、メラミン樹脂粒子、シリコン系粒子、タルク、カオリン、炭酸マグネシュウム、炭酸カリウム、酸化チタン、シリカ、デンプン等があげられる。接着層の厚みとしては、受像性と熱感度の観点から、０．１〜５．０μｍが好ましい。さらに好ましくは、０．１〜２．０μｍの範囲とする。
【００１９】
本発明で用いる熱溶融性インクリボンは、従来使用されている基材フィルムの上に、少なくとも１層の熱溶融性インク層を設けたものである。基材としては、厚み２〜９μｍのＰＥＴフィルムを用いる。熱溶融性インク層は、熱可塑性樹脂、ワックス等のバインダーに顔料等の着色剤を配合したものである。基材の反対面には、耐熱処理層を設ける。
【００２０】
以下に、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【００２１】
（実施例１）
（１）転写シートの作製
片面コート紙のコート面に剥離層として以下のインクを乾燥後厚み５μｍにて塗布した。
剥離層インク
デキストリン ８
ＰＥＧ ２
蒸留水 ４０
メタノール ５０
計 １００重量部
上記、剥離層塗工シート上に以下の受像層インクを乾燥後厚み２μｍにて塗布し、転写シートを形成した。
受像層インク
エポキシ樹脂 ９
ポリエステル樹脂 １
メチルエチルケトン ９０
計 １００重量部
【００２２】
（２）熱溶融性インクリボンの作製
裏面に耐熱処理層を施した厚さ４．５μｍのＰＥＴフィルム上に以下のインクを乾燥後厚み０．６μｍにて塗布し、イエロー、マゼンタ、シアンの各顔料からなる３色のインクリボンを作製した。
熱溶融性インク
エポキシ樹脂 ４
ポリエステル樹脂 １
顔料 ４
分散剤 １
メチルエチルケトン ４０
計 ５０重量部
顔料は、イエロー、マゼンタ、シアンのそれぞれの顔料を使用。
【００２３】
（３）接着層転写シートの作製
厚さ６μｍのＰＥＴフィルム上に離型層として以下のインクを乾燥後厚み３μｍにて塗布した。
離型層インク
ポリビニルイソブチルエーテル８０％ミネラルスピリッツ溶液 １０
デキストリン １
ＰＥＧ １
蒸留水 ４０
メタノール ４８
計 １００重量部
上記、離型層塗工シート上に以下の接着層インクを乾燥後厚み０．５μｍにて塗布し、転写シートを形成した。
接着層インク
エポキシ樹脂 ５
ポリエステル樹脂 ５
メチルエチルケトン ９０
計 １００重量部
【００２４】
（４）転写シートへの溶融熱転写による画像パターンの形成
上記作製の転写シートと溶融熱転写リボンと下記溶融型熱転写プリンターを用いてフルカラー画像を転写シート上に形成した。
溶融型熱転写プリンター：テストプリンター、３００ｄｐｉエッジヘッド、剥離距離１０ｍｍ
画像パターン：ポートレート（ISO/DIS12640登録画像データ）
印刷速度：１インチ/秒
【００２５】
（５）接着層転写シートの溶融熱転写による印刷
（４）項で作製した画像形成済み転写シートと（３）項で作製した接着層転写シートと（４）項で用いた溶融型熱転写プリンターを用いてカラー画像上に接着層を画像領域に対してカバーする範囲に接着層を熱転写した。これにより、水転写シートが完成した。さらに画像領域部分をカットした。
【００２６】
（６）肌への水転写
上記作製のカットした水転写シートを水に浸漬して、画像部分を剥がし、粘着性をおびた離型層を肌に貼り付けて画像を転写した。結果、肌に追従した良好な精細画像が形成できた。
【００２７】
（実施例２）
実施例１の転写シートの支持体を厚さ１６μｍのＰＥＴフィルムにかえた以外は、実施例１と同様の方法で水転写シートを作製した。この水転写シートを実施例１と同じように肌に転写した。その結果、実施例１よりも良好な高精細画像が形成できた。
【図面の簡単な説明】
【００２８】
【図１】転写シート
【図２】転写シートへの溶融熱転写による画像パターンの形成
【図３】接着層転写シート
【図４】水転写シート
【図５】水転写シートの浸漬
【図６】水転写シートの肌への転写
【図７】転写後の仕上げ
【符号の説明】
【００２９】
１支持体
２水溶解性の剥離層
３受像層
４熱溶融性インクリボン
５サーマルヘッド
６転写シート
７プラテンロール
８プリントされた画像パターン
９基材フィルム
１０水を含むことにより粘着性を発揮する離型層
１１接着層
１２水
１３肌
【技術分野】
【０００１】
本発明は、各種被着体に画像を水転写する為の水転写シートに関し、特に肌に対し好適な水転写シートに関する。
【背景技術】
【０００２】
各種の転写シートは、有機溶剤転写タイプ、熱転写タイプ、粘着転写タイプ、水転写タイプ等のものがある。画像の転写に水を用いる水転写シートは、有機溶剤の使用を避けたい場合や、熱を加えることができないような場合に、好んで用いられる。
【０００３】
近年、大量生産による画一的な画像ではなく個性豊かな画像を好む傾向にある。ところが、従来の水転写シートは、印刷層の上にスクリーン印刷等で同一画像を多数枚印刷し、シートを作成する為、画一的な画像になってしまいがちであった。また、スクリーン印刷には、スクリーン印刷版（孔版）が必要でありかつ、画像に必要な色数の版が必要とされ、例えば、３色刷りの場合、３つの版が、５色刷りでは、５つの版が必要となる。このため一つの画像の作成に時間とコストが多大にかかり、画像を少量作成するには不向きであった。
また、これまでも上記問題点を解決すべく、水転写シートの印刷層に各種プリンターにより画像を形成する方法が提案されているが、水転写シートの表面が粗く高精細な画像が得られにくかった。
【０００４】
【特許文献１】特開２００１−１８５９５号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
本発明は、上記問題点を解決すべくなされたものであり、画一的な画像ではなく、個性的な画像を１枚ずつでも容易かつ高精細に印刷して転写できる水転写シートを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
第１発明は、支持体上に少なくとも最下層に水溶解性の剥離層と最上層に受像層を持つ転写シート、基材フィルム上に着色剤を含む熱溶融性インクを塗布した熱溶融性インクリボン、基材フィルム上に少なくとも水を含むことにより粘着性を発揮する離型層と最上層に接着層を有する接着層転写シートを用い、転写シートに熱溶融性インクリボンを用い溶融型熱転写プリンターにて画像を印刷したのち、その上に接着層転写シートを溶融型熱転写プリンターにて印刷して形成された水転写シートとする。第２発明は、前記離型層がポリビニルピロリドンまたは、ポリビニルイソブチルエーテルを主材とする接着層転写シートを用いて形成された第１発明の水転写シートとする。第３発明は、前記支持体が樹脂フィルムである第１、２発明の水転写シートとする。
【発明の効果】
【０００７】
転写シートに溶融型熱転写プリンタ−で画像を形成した上で、接着層転写シートで接着層を転写することにより、一品一様の水転写シートをつくることが出来、高精細な画像を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００８】
以下に本発明を詳細に説明する。まず本発明に用いる基材フィルム上に少なくとも最下層に水溶解性の剥離層と最上層に受像層を持つ転写シート図１、と溶融熱転写リボンを用意する。
【０００９】
次に転写シートと溶融熱転写リボンを用いて溶融型熱転写プリンターにて転写シート上に画像パターンを形成する。図２
次に基材フィルム上に少なくとも水を含むことにより粘着性を発揮する離型層と最上層に接着層を有する接着層転写シートを用意する。図３
この接着層転写シートを上記作製の画像パターン形成済みの転写シートを用いて溶融型熱転写プリンターにて転写シート上に接着インクを印刷し、画像パターンの形成された水転写シートを完成させる。図４ 接着層を熱転写する領域は、画像パターンの領域の上のみでもよいし、転写シートの全域へのベタ印刷としてもよい。
【００１０】
次にこの水転写シートを用いて肌へ水転写する方法は、まず水転写シートを水に浸け、水を十分にしみ込ませる。図５ 水転写シートを水に浸ける前に画像パターンの領域のみをカットしてからカット部分のみ水に浸けてもよい。接着層をベタ印刷した場合は、画像パターンの領域のみをカットして水に浸漬するとよい。
【００１１】
水に浸漬した水転写シートの最表面は粘着性を発生するため、この面を肌に貼りつける。図６
次に表面のフィルムを剥がし図７、表面の水溶解層成分を水洗する。図７
以上により、肌に高精細な画像パターンが形成できる。
【００１２】
さらに本発明に用いる転写シートについて更に詳しく説明する。本発明に用いる転写シートは、支持体上に、少なくとも最下層に水溶解性の剥離層、と最上層に受像層を持つ溶融熱転写画像記録用の転写シートである。
【００１３】
本発明に用いられる支持体は、紙や樹脂フィルムを用いることができる。紙としては、浸水性のよい上質紙やコート紙が好ましい。樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム（ＰＥＴフィルム）、ポリカーボネートフィルム、ポリアミドフィルム等が挙げられる。印刷画像の品質、耐久性、熱伝達性、コストの点から厚み９〜１００μｍのＰＥＴフィルムが好ましく使用できる。
【００１４】
本発明に用いられる剥離層は、水溶性材料よりなる。このような性能を持たす為、主剤としては、ポリビニルアルコール、デキストリン等の水溶性材が好ましく使用できる。また、基材への密着強度をコントロールする意味でポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、塩ビ酢ビ共重合樹脂等を加えても良い。また、保水効果を高める意味でＰＥＧ等を添加しても良い。剥離層の厚みとしては、熱感度と接着性の観点から、１〜２０μｍが好ましい。
【００１５】
次に本発明に用いられる受像層は、スチレン系樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等を用いる事が好ましい。また、必要に応じて接着性を高める意味で柔軟で接着性の高いウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、オレフィン系樹脂等を加えることができる。この他、ブロッキング、タック防止の意味で各種フィラを添加することが可能であり、たとえば、フッ素系粒子、メラミン樹脂粒子、シリコン系粒子、タルク、カオリン、炭酸マグネシュウム、炭酸カリウム、酸化チタン、シリカ、デンプン等があげられる。受像層の厚みとしては、受像性と熱感度の観点から、０．１〜５．０μｍが好ましい。
また、各層には、製膜助剤、塗液安定剤、レベリング剤、消泡剤等の添加剤を添加することもできる。
【００１６】
次に本発明のもう一つの特徴である接着層転写シートは、基材フィルム上に少なくとも水を含むことにより粘着性を発揮する離型層と最上層に接着層を有する熱溶融性インクリボンである。
【００１７】
本発明に用いられる基材フィルムは、従来の溶融型熱転写用基材フィルムとして公知の種々のフィルムが使用される。例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム（ＰＥＴフィルム）、ポリカーボネートフィルム、ポリアミドフィルム等が挙げられる。耐久性、熱伝達性、コストの点から厚み２〜１２μｍのＰＥＴフィルムが好ましく使用できる。
本発明に用いられる離型層は、熱転写時基材から離型転写する性能のほか、水を含むと粘着性を発揮することが特徴である。このような性能を持たす為、主材としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルイソブチルエーテル等のポリビニルエーテル系樹脂、ポリアクリルアミド、ポリ（メタ）アクリル酸含有ポリマー、デキストリンが好ましく使用できる。より適正な粘着性を発揮するために、ポリビニルピロリドンまたは、ポリビニルイソブチルエーテルを主材とするとよい。基材への密着強度をコントロールする意味でポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、塩ビ酢ビ共重合樹脂等を加えても良い。また、保水効果を高める意味でＰＥＧ等を添加しても良い。離型層の厚みとしては、熱感度と接着性の観点から、１〜２０μｍが好ましい。
【００１８】
次に本発明に用いられる接着層は、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、オレフィン系樹脂等が好ましい。この他、ブロッキング、タック防止の意味で各種フィラを添加することが可能であり、たとえば、フッ素系粒子、メラミン樹脂粒子、シリコン系粒子、タルク、カオリン、炭酸マグネシュウム、炭酸カリウム、酸化チタン、シリカ、デンプン等があげられる。接着層の厚みとしては、受像性と熱感度の観点から、０．１〜５．０μｍが好ましい。さらに好ましくは、０．１〜２．０μｍの範囲とする。
【００１９】
本発明で用いる熱溶融性インクリボンは、従来使用されている基材フィルムの上に、少なくとも１層の熱溶融性インク層を設けたものである。基材としては、厚み２〜９μｍのＰＥＴフィルムを用いる。熱溶融性インク層は、熱可塑性樹脂、ワックス等のバインダーに顔料等の着色剤を配合したものである。基材の反対面には、耐熱処理層を設ける。
【００２０】
以下に、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【００２１】
（実施例１）
（１）転写シートの作製
片面コート紙のコート面に剥離層として以下のインクを乾燥後厚み５μｍにて塗布した。
剥離層インク
デキストリン ８
ＰＥＧ ２
蒸留水 ４０
メタノール ５０
計 １００重量部
上記、剥離層塗工シート上に以下の受像層インクを乾燥後厚み２μｍにて塗布し、転写シートを形成した。
受像層インク
エポキシ樹脂 ９
ポリエステル樹脂 １
メチルエチルケトン ９０
計 １００重量部
【００２２】
（２）熱溶融性インクリボンの作製
裏面に耐熱処理層を施した厚さ４．５μｍのＰＥＴフィルム上に以下のインクを乾燥後厚み０．６μｍにて塗布し、イエロー、マゼンタ、シアンの各顔料からなる３色のインクリボンを作製した。
熱溶融性インク
エポキシ樹脂 ４
ポリエステル樹脂 １
顔料 ４
分散剤 １
メチルエチルケトン ４０
計 ５０重量部
顔料は、イエロー、マゼンタ、シアンのそれぞれの顔料を使用。
【００２３】
（３）接着層転写シートの作製
厚さ６μｍのＰＥＴフィルム上に離型層として以下のインクを乾燥後厚み３μｍにて塗布した。
離型層インク
ポリビニルイソブチルエーテル８０％ミネラルスピリッツ溶液 １０
デキストリン １
ＰＥＧ １
蒸留水 ４０
メタノール ４８
計 １００重量部
上記、離型層塗工シート上に以下の接着層インクを乾燥後厚み０．５μｍにて塗布し、転写シートを形成した。
接着層インク
エポキシ樹脂 ５
ポリエステル樹脂 ５
メチルエチルケトン ９０
計 １００重量部
【００２４】
（４）転写シートへの溶融熱転写による画像パターンの形成
上記作製の転写シートと溶融熱転写リボンと下記溶融型熱転写プリンターを用いてフルカラー画像を転写シート上に形成した。
溶融型熱転写プリンター：テストプリンター、３００ｄｐｉエッジヘッド、剥離距離１０ｍｍ
画像パターン：ポートレート（ISO/DIS12640登録画像データ）
印刷速度：１インチ/秒
【００２５】
（５）接着層転写シートの溶融熱転写による印刷
（４）項で作製した画像形成済み転写シートと（３）項で作製した接着層転写シートと（４）項で用いた溶融型熱転写プリンターを用いてカラー画像上に接着層を画像領域に対してカバーする範囲に接着層を熱転写した。これにより、水転写シートが完成した。さらに画像領域部分をカットした。
【００２６】
（６）肌への水転写
上記作製のカットした水転写シートを水に浸漬して、画像部分を剥がし、粘着性をおびた離型層を肌に貼り付けて画像を転写した。結果、肌に追従した良好な精細画像が形成できた。
【００２７】
（実施例２）
実施例１の転写シートの支持体を厚さ１６μｍのＰＥＴフィルムにかえた以外は、実施例１と同様の方法で水転写シートを作製した。この水転写シートを実施例１と同じように肌に転写した。その結果、実施例１よりも良好な高精細画像が形成できた。
【図面の簡単な説明】
【００２８】
【図１】転写シート
【図２】転写シートへの溶融熱転写による画像パターンの形成
【図３】接着層転写シート
【図４】水転写シート
【図５】水転写シートの浸漬
【図６】水転写シートの肌への転写
【図７】転写後の仕上げ
【符号の説明】
【００２９】
１支持体
２水溶解性の剥離層
３受像層
４熱溶融性インクリボン
５サーマルヘッド
６転写シート
７プラテンロール
８プリントされた画像パターン
９基材フィルム
１０水を含むことにより粘着性を発揮する離型層
１１接着層
１２水
１３肌
【特許請求の範囲】
【請求項１】
支持体上に少なくとも最下層に水溶解性の剥離層と最上層に受像層を持つ転写シート、基材フィルム上に着色剤を含む熱溶融性インクを塗布した熱溶融性インクリボン、基材フィルム上に少なくとも水を含むことにより粘着性を発揮する離型層と最上層に接着層を有する接着層転写シートを用い、転写シートに熱溶融性インクリボンを用い溶融型熱転写プリンターにて画像を印刷したのち、その上に接着層転写シートを溶融型熱転写プリンターにて印刷して形成されたことを特徴とする水転写シート。
【請求項２】
前記離型層がポリビニルピロリドンまたは、ポリビニルイソブチルエーテルを主材とする接着層転写シートを用いて形成されたことを特徴とする請求項１記載の水転写シート。
【請求項３】
前記支持体が樹脂フィルムであることを特徴とする請求項１、２記載の水転写シート。
【請求項１】
支持体上に少なくとも最下層に水溶解性の剥離層と最上層に受像層を持つ転写シート、基材フィルム上に着色剤を含む熱溶融性インクを塗布した熱溶融性インクリボン、基材フィルム上に少なくとも水を含むことにより粘着性を発揮する離型層と最上層に接着層を有する接着層転写シートを用い、転写シートに熱溶融性インクリボンを用い溶融型熱転写プリンターにて画像を印刷したのち、その上に接着層転写シートを溶融型熱転写プリンターにて印刷して形成されたことを特徴とする水転写シート。
【請求項２】
前記離型層がポリビニルピロリドンまたは、ポリビニルイソブチルエーテルを主材とする接着層転写シートを用いて形成されたことを特徴とする請求項１記載の水転写シート。
【請求項３】
前記支持体が樹脂フィルムであることを特徴とする請求項１、２記載の水転写シート。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【公開番号】特開２００９−２０８３７１（Ｐ２００９−２０８３７１Ａ）
【公開日】平成２１年９月１７日（２００９．９．１７）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００８−５４２８８（Ｐ２００８−５４２８８）
【出願日】平成２０年３月５日（２００８．３．５）
【出願人】（０００２３７２３７）フジコピアン株式会社 (130)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２１年９月１７日（２００９．９．１７）
【国際特許分類】
【出願日】平成２０年３月５日（２００８．３．５）
【出願人】（０００２３７２３７）フジコピアン株式会社 (130)
【Ｆターム（参考）】
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