説明

氷蓄熱式空気調和装置

【課題】氷蓄熱式空気調和装置において、蓄熱運転時のトータル効率の向上を図ること。
【解決手段】氷蓄熱式空気調和装置50は、冷媒を圧縮する複数台の圧縮機1と、圧縮された冷媒と室外空気との熱交換をする室外熱交換器4とを備えた室外ユニット30と、冷媒と室内空気との熱交換をする室内熱交換器10を備えた室内ユニット32と、冷媒と蓄熱槽内に貯留した水との熱交換をする蓄熱熱交換器6を備えた蓄熱ユニット6と、を冷媒配管で接続して構成されている。さらには、蓄熱槽8内に冷熱を蓄える蓄熱運転時に、蓄熱運転開始からの経過時間に基づいて、圧縮機1の複数台並列運転から運転台数を減少させた運転に切換える切換え手段を有する制御装置5を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、氷蓄熱式空気調和装置に係り、特に複数台の圧縮機で並列運転が行なわれる氷蓄熱式空気調和装置に好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来の氷蓄熱などの蓄冷装置としては、特開平6−137615号公報(特許文献1)に示されたものがある。この蓄冷装置は、低段圧縮機、中間冷却器、高段圧縮機、熱源側熱交換器、副絞り装置、中間冷却器、主絞り装置、および利用側熱交換器を直列に接続して冷凍サイクルを構成している。そして、高段圧縮機と中間冷却器との間の吸入配管に第1の制御弁を設け、低段圧縮機の吸入配管と高段圧縮機の吸入配管の第1の制御弁より下流側部分とを後者の側を順方向とする第1の逆止弁を介し接続し、低段圧縮機と中間冷却器との間の低段吐出配管に第2の制御弁を設け、低段吐出配管の第2の制御弁より上流側部分と高段圧縮機の高段吐出配管とを後者の側を順方向とする第2の逆止弁を介して接続してある。また、蓄熱槽内の水の温度を検出する温度センサが設けられている。
【0003】
係る蓄冷装置において、蓄熱槽内の水の温度が所定温度よりも高い場合に、第1、第2の各制御弁を閉じ、水の温度が所定温度よりも低い場合に、第1、第2の各制御弁を開くように制御される。すなわち、蓄冷の初期状態において蓄熱槽の温度が比較的高いときは、2台の圧縮機を並列に運転し、高能力で蓄熱槽内の水を冷却し、また、水の温度が低下すると、2台の圧縮機の直列接続による2段圧縮運転に切換えて高圧縮比の冷却運転を行なうように制御される。
【0004】
【特許文献1】特開平6−137615号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の蓄冷装置では、蓄冷運転時中に2台の圧縮機の並列運転から直列運転に切換えるものの、蓄冷運転が常に2台の圧縮機による大容量運転であるため、蓄冷運転時におけるトータル効率がよい運転とは言えなかった。
【0006】
また、2台の圧縮機の並列運転から直列運転への切換えが蓄熱槽内の水温に基づくものであるため、蓄冷運転時におけるトータル効率の向上を図るのに適切な切換え時期を選定することが難しいという問題があった。すなわち、蓄冷運転は、一般に、夜間の所定時間に所定量の蓄熱量を得るように行なわれる。このため、蓄冷運転時におけるトータル効率の向上を図るには、所定時間に所定量の蓄熱量を得ることを満足しつつ、トータル効率の向上を図るのに適切な切換え時期を選定することが必要である。しかし、蓄熱槽内の水温は、蓄冷運転の開始直後には急激に低下するが、その後の氷の生成開始以降には殆ど変化しない。このため、水温に基づいて圧縮機を並列運転から直列運転に切換えようとすると、蓄冷運転の開始直後に切換えることとなり、トータル効率の向上を図ることが困難であった。
【0007】
本発明の目的は、蓄熱運転時のトータル効率の向上を図ることができる氷蓄熱式空気調和装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明は、冷媒を圧縮する複数台の圧縮機と、圧縮された冷媒と室外空気との熱交換をする室外熱交換器とを備えた室外ユニットと、冷媒と室内空気との熱交換をする室内熱交換器を備えた少なくとも1台の室内ユニットと、冷媒と蓄熱槽内に貯留した水との熱交換をする蓄熱熱交換器を備えた蓄熱ユニットと、を冷媒配管で接続して構成される氷蓄熱式空気調和装置において、前記蓄熱槽内に冷熱を蓄える蓄熱運転時に、蓄熱運転開始からの経過時間に基づいて、前記圧縮機の複数台並列運転から運転台数を減少させた運転に切換える切換え手段を有する制御装置を備えた構成にしたことにある。
【0009】
係る本発明のより好ましい具体的な構成は次の通りである。
(1)前記切換え手段は、予め求められた前記圧縮機の2台並列運転と蓄熱量との関係及び予め求められた前記圧縮機の1台単独運転と蓄熱量との関係に基づいて、蓄熱運転する所定時間で蓄熱運転が終了するように前記圧縮機の2台並列運転から単独運転に切換えるものであること。
(2)前記切換え手段は、蓄熱運転を開始した時点の前記蓄熱槽内の水温に応じて前記切換え時期を補正するものである。
【0010】
また、前記目的を達成するために、本発明は、冷媒を圧縮する複数台の圧縮機と、圧縮された冷媒と室外空気との熱交換をする室外熱交換器とを備えた室外ユニットと、冷媒と室内空気との熱交換をする室内熱交換器を備えた少なくとも1台の室内ユニットと、冷媒と蓄熱槽内に貯留した水との熱交換をする蓄熱熱交換器を備えた蓄熱ユニットと、を冷媒配管で接続して構成される氷蓄熱式空気調和装置において、前記蓄熱槽内の水位を検出する水位センサを備え、前記蓄熱槽内に冷熱を蓄える蓄熱運転時に、前記水位センサによって検出された水位に基づいて、前記圧縮機の複数台並列運転から運転台数を減少させた運転に切換える切換え手段を有する制御装置を備えた構成にしたことにある。
【0011】
また、前記目的を達成するために、本発明は、冷媒を圧縮する複数台の圧縮機と、圧縮された冷媒と室外空気との熱交換をする室外熱交換器とを備えた室外ユニットと、冷媒と室内空気との熱交換をする室内熱交換器を備えた少なくとも1台の室内ユニットと、冷媒と蓄熱槽内に貯留した水との熱交換をする蓄熱熱交換器を備えた蓄熱ユニットと、を冷媒配管で接続して構成される氷蓄熱式空気調和装置において、前記圧縮機の吸入圧力または吐出圧力を検出する圧力センサを備え、前記蓄熱槽内に冷熱を蓄える蓄熱運転時に、前記圧力センサによって検出された吸入圧力または吐出圧力に基づいて、前記圧縮機の複数台並列運転から運転台数を減少させた運転に切換える切換え手段を有する制御装置を備えた構成にしたことにある。
【0012】
係る本発明におけるより好ましい具体的構成は次の通りである。
(1)前記切換え手段は、前記圧縮機の運転周波数と前記圧力センサによって検出された吸入圧力に基づいて、前記圧縮機の複数台並列運転から運転台数を減少させた運転に切換えるものであること。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、蓄熱運転時のトータル効率の向上を図ることができる氷蓄熱式空気調和装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の複数の実施例について図を用いて説明する。各実施例の図における同一符号は同一物または相当物を示す。
【0015】
まず、本発明の第1実施例の氷蓄熱式空気調和装置を図1及び図2を用いて説明する。図1は本発明の第1実施例の氷蓄熱式空気調和装置の構成を示す図、図2は図1の氷蓄熱式空気調和装置の運転時間に対する蓄熱量の特性図である。
【0016】
この空気調和装置50は、圧縮機1、四方弁3及び室外熱交換器4を備えた室外ユニット30と、室内熱交換器10を備えた室内ユニット32と、蓄熱熱交換器6を備えた蓄熱ユニット31とを冷媒配管で接続した冷凍サイクルを備えている。
【0017】
また、室外ユニット30には、氷蓄熱式空気調和装置50の運転を制御する制御装置5が設けられている。制御装置5は、蓄熱槽8内に冷熱を蓄える蓄熱運転時に、蓄熱運転開始からの経過時間に基づいて、圧縮機1の複数台並列運転から運転台数を減少させた運転に切換えるための切換え手段を有している。これによって、蓄冷運転時におけるトータル効率を向上することができる。
【0018】
室外ユニット30は、冷媒を圧縮する複数台の圧縮機1と、冷媒の流れを切換える四方弁3と、圧縮された冷媒と室外空気との熱交換をする室外熱交換器4とを備えて構成されている。本実施例では、圧縮機1は、2台1a、1bで構成されており、蓄熱運転時に2台の圧縮機1a、1bの並列運転と1台の圧縮機1aの単独運転とに切換えられる。四方弁3は、冷房運転、暖房運転及び蓄熱運転を切換える際に、その運転に対応した冷媒の流れとなるように切換えられる。
【0019】
室内ユニット32は、冷媒と室内空気との熱交換をする室内熱交換器10と、冷媒を減圧する膨張弁24とを備えて構成されている。氷蓄熱式空気調和装置50は、少なくとも1台の室内ユニット32を備えている。室内熱交換器10で熱交換された空気によって室内が冷房または暖房される。
【0020】
蓄熱ユニット31は、内部に水を貯留した蓄熱槽8と、冷媒と蓄熱槽8内に貯留した水7との熱交換をするための蓄熱熱交換器6と、蓄熱槽8内の水の温度を検出する水温センサ9とを備えて構成されている。蓄熱熱交換器6は、室内ユニット32に対してバイパスする配管路に設けられている。このバイパス配管路の室外熱交換器4側に膨張弁23が設けられ、四方弁3側(換言すれば、圧縮機1a、1b側)に弁22が設けられている。蓄熱熱交換器6の弁22側と膨張弁23の室外熱交換器4側との間に、室外熱交換器4側からの冷媒を蓄熱熱交換器6の弁22側から流入させるための配管路が接続されている。この配管路には弁21が設けられている。弁21が設けられた配管路と室外熱交換器4からの配管路との接続点より、膨張弁23側及び膨張弁24側の配管路に弁20が設けられている。
【0021】
通常の冷房運転(蓄熱槽8を利用しない冷房運転)では、四方弁3が実線のように切換えられ、圧縮機1が2台並列または1台単独の運転が行なわれると共に、弁20が開路され、弁21、膨張弁23及び弁22が閉路される。圧縮機1で圧縮された冷媒は、四方弁3を経て、室外熱交換器4で室外空気と熱交換され放熱して凝縮し、膨張弁24で減圧されて低温・低圧となり、室内熱交換器10で室内空気と熱交換され吸熱して蒸発し、低温のガス状態となって圧縮機1に戻される。
【0022】
通常の暖房運転(蓄熱槽8を利用しない暖房運転)では、四方弁3が点線のように切換えられ、圧縮機1が2台並列または1台単独の運転が行なわれると共に、弁20が開路され、弁21、膨張弁23及び弁22が閉路される。圧縮機1で圧縮された冷媒は、四方弁3を経て、室内熱交換器10で室内空気と熱交換され放熱して凝縮し、膨張弁24で減圧されて低温・低圧となり、室外熱交換器4で室外空気と熱交換され吸熱して蒸発し、低温のガス状態となって圧縮機1に戻される。
【0023】
夜間に製氷を行なう蓄熱運転では、四方弁3が実線のように切換えられ、圧縮機1が2台並列から1台単独の運転に切換えられると共に、弁21、室内膨張弁24が閉じられ、弁20、22が開けられる。所定の周波数にて運転される圧縮機1により圧縮された冷媒は、四方弁3を通ってから室外熱交換器4で凝縮した後、膨張弁23により減圧され低温・低圧となる。そして、この冷媒は、蓄熱用熱交換器6において蓄熱槽8内の水7と熱交換され吸熱して蒸発した後、圧縮機1へ戻る。蓄熱槽8内の水7の温度が十分に低下すると蓄熱用熱交換器6の表面に氷が生成され、所定量の氷が生成されると蓄熱運転を終える。
【0024】
蓄熱槽8内に生成された氷を利用して昼間に冷房運転をおこなう際には、四方弁3が実線のように切換えられ、圧縮機1が2台並列または1台単独の運転が行なわれると共に、弁20、22が閉じられ、弁21、膨張弁23が開路される。圧縮機1にて圧縮された冷媒は、四方弁3を通ってから室外熱交換器4で凝縮した後、弁21を通って蓄熱熱交換器6内に入る。蓄熱熱交換器6内にて蓄冷熱との熱交換により過冷却状態となった冷媒は、室内ユニット32へ搬送され、膨張弁24で減圧され低温・低圧となり、室内熱交換器10で蒸発することによって室内空気を冷却し冷房を行なう。その後、冷媒は、室外ユニット30の圧縮機1へ戻され、再度圧縮機1で圧縮される。
【0025】
次に、蓄熱運転時において、圧縮機1の複数台並列運転から運転台数を減少させた運転に切換えることに関して、図1及び図2を参照しながら説明する。本実施例では、製氷運転時である蓄熱運転における圧縮機運転台数を2台から1台へ低減した場合について示す。
【0026】
圧縮機1は、圧縮機1a(インバータ圧縮機)と圧縮機1b(一定速圧縮機)の2台から構成されている。圧縮機1aを最も効率の良い周波数(例えば50Hz)で運転することを考えると、圧縮機1aと圧縮機1bの2台運転と、圧縮機1aのみの1台運転とを切換えることが考えられる。そこで、本実施例では、図2に示すように、所定の時間で2台運転から1台運転へと圧縮機運転容量を切換えることによって、圧縮機1aを常に効率の良い周波数で運転することができ、かつ必要な蓄熱量を所定時間に確保することができるようになっている。
【0027】
この切換えるタイミングは、図2に示す蓄熱量の傾きを事前に把握しておくことで決定することができる。すなわち、制御装置5の切換え手段は、予め求められた圧縮機1の2台並列運転と蓄熱量との関係及び予め求められた圧縮機1の1台単独運転と蓄熱量との関係に基づいて、蓄熱運転する所定時間で蓄熱運転が終了するように圧縮機1の2台並列運転から単独運転に切換えるものである。本実施例では、蓄熱運転開始から4時間経過した時点で蓄熱量が切換える既定量に達したと判断して、制御装置5からの指令により圧縮機1bを停止し、圧縮機1aの1台運転とすることで、圧縮機の運転効率を高めている。なお、本実施例では1台運転時と2台運転時で同一の運転周波数としたが、運転周波数は必ずしも同一である必要はない。
【0028】
蓄熱運転時間の経過に対する水温及び蓄熱量の変化は、図2に示す通りである。すなわち、蓄熱槽8内の水温は、蓄冷運転の開始直後には急激に低下するが、その後の氷の生成開始以降には殆ど変化せず、2台並列運転から1台単独運転に切換える4時間後の時点では、水温に殆ど変化が見られず、水温による制御は困難であることが理解できる。
【0029】
また、本実施例では、蓄熱槽8内に水温センサ9を設けているので、蓄熱運転開始時に水温を検知しておくことで、蓄熱運転を開始した時点の蓄熱槽8内の水温に応じて上述した切換え時期を補正することができる。これによって、2台並列運転から1台単独運転に切換えるタイミングを変更することが可能となる。この場合、切換え時点における蓄熱量を常に一定とすることができ、運転開始時の初期水温に制約されることなく、常に運転効率を高く保つことができる。
【0030】
次に、本発明の第2実施例について図3及び図4を用いて説明する。図3は本発明の第2実施例の氷蓄熱式空気調和装置の蓄熱槽8部分の構成図、図4は図3の氷蓄熱式空気調和装置の運転時間に対する蓄熱量の特性図である。この第2実施例は、次に述べる点で第1実施例と相違するものであり、その他の点については第1実施例と基本的には同一である。
【0031】
この第2実施例では、蓄熱槽8内の水位を検出する水位センサ11を備える。この水位センサ11は、蓄熱槽8内の水位が所定の水位になったことを検知できるフロートスイッチで構成されている。制御装置5の切換え手段は、蓄熱槽8内に冷熱を蓄える蓄熱運転時に、水位センサ11によって検出された水位に基づいて、圧縮機1の複数台並列運転から運転台数を減少させた運転に切換えるものである。
【0032】
この第2実施例によれば、図4の水位の変化に示すように氷の成長に伴う水位上昇を検知することができるので、運転時間や水温から推測する場合に比べて、より正確に蓄熱量を検知することが可能となる。したがって、蓄熱量の推定誤差が少なくなり、2台並列運転から1台単独運転に切換えるタイミングを正確に判定することができ、蓄熱運転の効率をより一層高めることが可能となる。
【0033】
次に、本発明の第3実施例について図5及び図6を用いて説明する。図5は本発明の第3実施例の氷蓄熱式空気調和装置の構成図、図6は図5の氷蓄熱式空気調和装置の運転時間に対する圧縮機吸入圧力の特性図である。この第3実施例は、次に述べる点で第1実施例と相違するものであり、その他の点については第1実施例と基本的には同一である。
【0034】
この第3実施例では、圧縮機1の吸入圧力を検出する圧力センサ12a及び吐出圧力を検出する圧力センサ12bからなる圧力センサ12を備えている。制御装置5の切換え手段は、蓄熱槽8内に冷熱を蓄える蓄熱運転時に、圧力センサ12aによって検出された吸入圧力に基づいて、圧縮機1の複数台並列運転から運転台数を減少させた運転に切換えるものである。なお、圧力センサ12bによって検出する吐出圧力に基づいて切換えるようにしてもよく、さらには、圧力センサ12aで検出する吸入圧力及び圧力センサ12bで検出する吐出圧力の両方に基づいて切換えるようにしてもよい。
【0035】
この第3実施例では、圧縮機1の吸入圧力を検出する圧力センサ12a及び吐出圧力を検出する圧力センサ12bからなる圧力センサ12を備えている。制御装置5の切換え手段は、蓄熱槽8内に冷熱を蓄える蓄熱運転時に、圧力センサ12によって検出された吸入圧力及び吐出圧力に基づいて、圧縮機1の複数台並列運転から運転台数を減少させた運転に切換えるものである。なお、圧力センサ12によって検出する圧力は、必要に応じて、圧力センサ12aで検出する吸入圧力または圧力センサ12bで検出する吐出圧力の何れか一方を用いるようにしてもよい。
【0036】
この第3実施例によれば、図6の実線に示すように氷の成長に伴う圧縮機吸入圧力の低下を検知することができるので、水温から推測する場合に比べて、より正確に蓄熱量を検知することが可能となる。したがって、2台並列運転から1台単独運転に切換えるタイミングを正確に判定することができ、蓄熱運転の効率を高めることが可能となる。圧力センサ12a及び圧力センサ12bは、他の制御のために設置されている圧力センサを共用することができ、その場合には安価なものとすることができる。
【0037】
この第3実施例の場合、実線Aのような吸入圧力変化となり、氷が成長し、蓄熱熱交換器の熱交換性能が低下した後における吸入圧力の過剰な低下を防止でき、圧縮機1を効率の高い状態で運転することが可能となる。なお、点線Bの吸入圧力変化は2台並列運転を継続した場合のものであり、吸入圧力が過剰に低下するため、効率の低下を招くものである。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第1実施例の氷蓄熱式空気調和装置の構成を示す図である。
【図2】図1の氷蓄熱式空気調和装置の運転時間の経過に対する蓄熱量の特性図である。
【図3】本発明の第2実施例の氷蓄熱式空気調和装置の蓄熱槽部分の構成図である。
【図4】図3の氷蓄熱式空気調和装置の運転時間の経過に対する蓄熱量の特性図である。
【図5】本発明の第3実施例の氷蓄熱式空気調和装置の構成図である。
【図6】図5の氷蓄熱式空気調和装置の運転時間の経過に対する圧縮機吸入圧力の特性図である。
【符号の説明】
【0039】
1、1a、1b…圧縮機、3…四方弁、4…室外熱交換器、5…制御装置、6…蓄熱熱交換器、7…水、8…蓄熱槽、9…水温センサ、10…室内熱交換器、11…水位センサ、12、12a、12b…圧力センサ、20〜22…弁、23、24…膨張弁、30…室外ユニット、31…蓄熱ユニット、32…室内ユニット、50…氷蓄熱式空気調和装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を圧縮する複数台の圧縮機と、圧縮された冷媒と室外空気との熱交換をする室外熱交換器とを備えた室外ユニットと、
冷媒と室内空気との熱交換をする室内熱交換器を備えた少なくとも1台の室内ユニットと、
冷媒と蓄熱槽内に貯留した水との熱交換をする蓄熱熱交換器を備えた蓄熱ユニットと、を冷媒配管で接続して構成される氷蓄熱式空気調和装置において、
前記蓄熱槽内に冷熱を蓄える蓄熱運転時に、蓄熱運転開始からの経過時間に基づいて、前記圧縮機の複数台並列運転から運転台数を減少させた運転に切換える切換え手段を有する制御装置を備えたことを特徴とする氷蓄熱式空気調和装置。
【請求項2】
請求項1記載の氷蓄熱式空気調和装置において、前記切換え手段は、予め求められた前記圧縮機の2台並列運転と蓄熱量との関係及び予め求められた前記圧縮機の1台単独運転と蓄熱量との関係に基づいて、蓄熱運転する所定時間で蓄熱運転が終了するように前記圧縮機の2台並列運転から単独運転に切換えるものであることを特徴とする氷蓄熱式空気調和装置。
【請求項3】
請求項1記載の氷蓄熱式空気調和装置において、前記切換え手段は、蓄熱運転を開始した時点の前記蓄熱槽内の水温に応じて前記切換え時期を補正するものであることを特徴とする氷蓄熱式空気調和装置。
【請求項4】
冷媒を圧縮する複数台の圧縮機と、圧縮された冷媒と室外空気との熱交換をする室外熱交換器とを備えた室外ユニットと、
冷媒と室内空気との熱交換をする室内熱交換器を備えた少なくとも1台の室内ユニットと、
冷媒と蓄熱槽内に貯留した水との熱交換をする蓄熱熱交換器を備えた蓄熱ユニットと、を冷媒配管で接続して構成される氷蓄熱式空気調和装置において、
前記蓄熱槽内の水位を検出する水位センサを備え、
前記蓄熱槽内に冷熱を蓄える蓄熱運転時に、前記水位センサによって検出された水位に基づいて、前記圧縮機の複数台並列運転から運転台数を減少させた運転に切換える切換え手段を有する制御装置を備えたことを特徴とする氷蓄熱式空気調和装置。
【請求項5】
冷媒を圧縮する複数台の圧縮機と、圧縮された冷媒と室外空気との熱交換をする室外熱交換器とを備えた室外ユニットと、
冷媒と室内空気との熱交換をする室内熱交換器を備えた少なくとも1台の室内ユニットと、
冷媒と蓄熱槽内に貯留した水との熱交換をする蓄熱熱交換器を備えた蓄熱ユニットと、を冷媒配管で接続して構成される氷蓄熱式空気調和装置において、
前記圧縮機の吸入圧力または吐出圧力を検出する圧力センサを備え、
前記蓄熱槽内に冷熱を蓄える蓄熱運転時に、前記圧力センサによって検出された吸入圧力または吐出圧力に基づいて、前記圧縮機の複数台並列運転から運転台数を減少させた運転に切換える切換え手段を有する制御装置を備えたことを特徴とする氷蓄熱式空気調和装置。
【請求項6】
請求項5記載の氷蓄熱式空気調和装置において、前記切換え手段は、前記圧縮機の運転周波数と前記圧力センサによって検出された吸入圧力に基づいて、前記圧縮機の複数台並列運転から運転台数を減少させた運転に切換えるものであることを特徴とする氷蓄熱式空気調和装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−38276(P2006−38276A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−215475(P2004−215475)
【出願日】平成16年7月23日(2004.7.23)
【出願人】(399048917)株式会社日立空調システム (3,043)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【出願人】(000213297)中部電力株式会社 (811)
【出願人】(000156938)関西電力株式会社 (1,442)
【Fターム(参考)】