説明

永続的な化学的マーカーおよびポリマー中の情報の識別

本発明は、ポリマーおよびその添加物(エイジング添加物、熱安定剤添加物、光安定剤添加物、可塑剤添加物または難燃性添加物、ならびに染料および他の高価値添加物など)へ化学的標識を行う方法およびその標識された情報を識別する方法に関する。製造中にポリマーマトリックスに配合されて定着する化合物中の好適な元素の、規定の原子質量を有する同位体を使用することにより、標識が行われる。結果として、高濃度の異物質によるポリマー特性への悪影響がなく、全製品寿命にわたって読み取り可能な化学的コードが得られる。この方法により、ポリマーの供給源を追跡したり、他の生産者からの化学的に同一な生成物と混合されている可能性を検証したり、あるいは、添加物が特定の濃度で添加されているかどうかを後に明らかにできることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマーに永続的な化学標識を行う方法およびそのポリマー中の情報を識別する方法に関し、また、そのように標識されたポリマーにも関する。
【背景技術】
【0002】
希土類金属(元素57〜71)ならびにハフニウムおよびタンタルは、ポリマーやポリマー添加物の製造には工業的に関連がなく、セリウムおよびランタンのみが固相で結合されて、触媒として使用されているだけである。言及されている化合物の安定同位体または非常に長寿命の同位体は、139〜181amu(原子質量単位)の全範囲にわたることが知られている(Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry (5th edition), VCH1993, Volume A22, pp.607ff)。これらの元素はいずれも工業的ポリマーやポリマー添加物中では検出されないと考えることができる。前述の元素は広く分布しておらず、それらを分析しても試験研究室の作業環境によって、閾値までには至らないであろう。さらに、現代の分析方法、特にICPMSを使用すると、0.1μg/kgまでの希土類金属濃度を測定できることが知られている。
【0003】
ポリマーへ標識を行う試みは繰り返し行われている。早くも1969年には、米国特許第3,439,168号において、中性子放射化分析およびガンマ線分析を使用して、金、インジウムまたはランタンを含む添加物の測定に基づく方法が記載されている。
【0004】
特開2002−332414号公報は、ガリウムからラジウムまでの元素全てが標識可能な元素として記述された方法を開示している。この方法の動作範囲は0.1ppm〜1000ppmと非常に高いが、その理由は、分析物の電子殻との相互反応に基づく測定方法のみを利用しているからである。第一の課題は経済的なものである。元素のなかには極めて希少なものもあるため、標識にかかる費用は材料自体の費用と同等かまたはそれを超える場合さえあり得る。例として、例えば100,000トンのポリマーを10mg/kgのルテニウムで標識するには1000kgのルテニウムが必要であり、これは、全世界の年間生産量120kgの8倍に相当する。さらに、異物質を最大0.1%の高濃度で混入することが生成物の特性に悪影響を及ぼさないとは明言できない。
【0005】
国際公開WO2005/054132号には、不活性な希土類金属化合物を標識のために使用することが記載されている。これらの化合物は、懸濁した形態でポリマーマトリックスに配合される。この材料は、酸化物、硫化物、ホウ化物、ハロゲン化物、ケイ化物であり、特に、酢酸塩、炭酸塩、水酸化物、硝酸塩、シュウ酸塩、硫酸塩およびアルキル化合物が挙げられている。希土類金属のアルキル化合物の熱力学的安定性は、前述の元素の化学特性のために完全には満足いくものではない。要するに、ポリマーマトリックスに対して不活性である希土類金属粒子を包含させることを常に意図している。この手法は、特に低濃度ではマトリックス内での分散が不均一になるという危険を有している。動作範囲は1mg/kg〜20000mg/kgと非常に高く、この濃度範囲内にある化合物は、ポリマーの化学特性および物理特性に悪影響を及ぼし得る。また、経済的な課題もある。元素が極めて希少であるため、標識にかかる費用は材料自体の費用と同等かまたはそれを超える場合さえあり得る。例として、50mg/kgのユーロピウム(約17000ユーロ/kg)を添加すると、ポリマー1トンあたりの費用が約850ユーロ増大する。原料の利用可能性が非常に制限される場合もあり、十分には考慮されていない。その理由は、50mg/kgの濃度では、1kgのユーロピウムは、わずか20トンのポリマーにしか十分ではないからである。保護すべきポリマーの化学的多様性に基づいて、希土類金属化合物の移動挙動には十分な注意が払われていないと結論付けられる。さらに、電磁波、すなわち、希土類金属の電子殻と放射線との相互作用のみに基づく検出原理を使用すると、十分な感度が得られない。代替案としては、質量分析装置(ICPMS)で誘導結合プラズマを使用することである。
【0006】
国際公開WO01/27699号によれば、ランタニドキレートを添加することにより、紙幣偽造を防止することができるとされている。検出方法は、UV/VIS領域に関連する。しかしながら、この方法を用いてポリマー中の情報を保存することはできない。
【0007】
多数の刊行物(例えば、欧州特許第1356478号(米国特許第6,790,542 B2号)、欧州特許第1409997号(米国特許第6,514,617 B号)、欧州特許第1154990号または米国特許公開2005/095715など)が、物質の標識に関するものである。しかしながら、いずれの明細書にも、単に元素や化合物の量を増やすことよりも優れる、多層情報を符号化し得る方法、については記載がない。これらの手法は全て、単に希元素を添加するだけで偽造防止のための標識を実現できると仮定されている。ここでは、標的濃度範囲内では比色法または測光法などの実に単純な分析方法を使用することにより分析が可能であるという事実には、十分な注意が払われていない。それため、この保護は容易に回避し得る。さらに、情報の範囲があまりにも狭く、広範な化学生成物を保護することができない。所要範囲のデータおよび偽造防止は、数学的な符号化システムと化学添加物とを結び付けることによってのみ実現できる。これまでのところ、この結び付けについて詳述する刊行物はない。
【0008】
スイス国特許公開第586255号には、鉛およびランタンからなる混合物を0.001ppm〜10ppmの量にてポリエステルに添加する標識方法が記載されている。標識されたポリエステルは、中性子放射化分析および原子吸光分光法のそれぞれによりランタンおよび鉛を検出することによって識別される。
【0009】
スイス国特許公開第586733 A5号には、ポリアミドの標識方法およびそれから製造される成形品が開示されている。ここでは、製造中、ランタン化合物、鉛化合物および亜鉛化合物の混合物が、ポリアミドに添加される。鉛含有量は1ppm〜30ppmであり、亜鉛含有量は2ppm〜50ppmであり、ランタン含有量は0.1ppm〜30ppmである。ポリアミド中に存在する鉛、亜鉛およびランタンの比率は、原子吸光分光法または中性子放射化分析により測定される。
【発明の概要】
【0010】
本発明の目的は、ポリマーおよびそれらの添加物(例えば、エイジング添加物、熱安定剤添加物、光安定剤添加物、可塑剤添加物もしくは難燃剤添加物、その他染料および他の高機能添加剤)中に情報を保存することにより、他の製造者からの化学的に同一なポリマーおよびポリマー添加物と、それらを明確に区別することができる経済効率のよい方法を開発することであった。高濃度の異物質を含有することによるポリマー特性への悪影響もなく、ポリマーの全製品寿命にわたって読み取り可能な化学的符号化システムを見出すことを意図していた。前述の方法により、ポリマーの供給源を追跡したり、他の生産者からの化学的に同一な生成物と混合されている可能性を検証したり、あるいは、添加物が特定の濃度で添加されているかどうかを後に明らかにできることを意図していた。
【0011】
本発明の目的は、ポリマーに永続的な化学標識を行う方法およびその識別方法により達成され、この方法は、以下の工程:
ポリマーに、89、93、103、107、115、127、133、139〜181、193、197、205、209および238amu(原子質量単位)の原子量を有する天然または合成の安定同位体からなる群から選択される少なくとも三種の異なる同位体を、同位体ごとに、ポリマーの総重量に対して50μg/kg以下、好ましくは20μg/kg以下、特に好ましくは0.1μg/kg〜3μg/kgまたは6μg/kg〜20μg/kgの規定量比で添加する、符号化工程、および
溶液化学を用いて材料を変性させ、誘導結合プラズマ質量分析(ICPMS)を用いて、ポリマー中に存在する同位体を定量する、識別工程、
を備える。
【0012】
これは、製造者からの情報を暗号コードに変換し、このコードを様々な化学同位体のコードと結び付けることを意味し、これらの同位体には、種々の濃度範囲を割り当てることができる。このために、数学的コード中の1つの場所が化学元素の選択された同位体に割り当てられる。標識方法のためのコードは少なくとも3つの場所を有し、89、93、103、107、115、127、133、139〜181、193、197、205、209または238amuの原子量がこれらの場所の各々に対して明確に割り当てられており、この原子量を有する同位体のポリマーへの添加量が、その場所を占有する文字値(value of character)から算出される。
【0013】
前述の同位体は、種々の問題を回避するのに特に有効である。これら同位体は、コード内でのそれらの位置を表す数字を昇順で備えている。すなわち、1−89amu、2−93amu、3−103amu、4−107amu、5−115amu、6−127amu、7−133amu、8−139amu、...、50−181amu、51−193amu、52−197amu、53−205amu、54−209amuおよび55−238amuである。55の場所により、コード内の場所の規定された配列を利用して、グローバルコードを使用して広範なサブシステム(ライセンス)を導き出すことが可能となる。
【0014】
また、濃度レベルにより情報を符号化することもできる。数学的な三進法により、ゼロ−低い−高いという濃度範囲への割り当てを用いて符号化することができる。三進法において、例えば、レベルAは0.1μg/kg未満の濃度に対応し、レベルBは1μg/kgの濃度に対応し、レベルCは10μg/kgの濃度に対応し得る。溶液化学によりポリマーを変性させて、ICPMSによって測定することにより、0.1μg/kgより高い濃度範囲の検出が可能になる。濃度レベルの利点は、検出限界付近で増加する測定誤差に配慮できることである。その結果、解釈を誤る可能性が著しく低下する。以下の要因、すなわち、55の場所からなるコード、同位体のもとになる元素の数およびこれら元素の利用可能性、ならびに同位体比(天然同位体とイオン分別などの同位体の濃縮によって人工的に変性されたものとの比)によって、第三者が試験分析の評価をしたり、他の製造者が生成物を模倣したりすることが、困難になる。
【0015】
さらに、同位体のレベルを利用して、製造者の署名だけでなく、生産データ(例えば、生産プラント、生産が行われた四半期(quarter)、簡単なバッチ識別子など)も符号化することができる。
【0016】
グローバルコード内で、システムは様々なセキュリティレベルを提供する。例として、容易に利用可能な同位体を合計で12μg/kg用いた署名は、標準的なポリマーの場合でさえ経済的に許容できる。その理由は、12gの同位体であっても理論的には1000トンに対して十分であるからである。非常に高感度な用途には、ネオジム、サマリウム、ガドリニウム、ジスプロシウム、エルビウム、イッテルビウムまたはハフニウムをベースとする同位体濃縮元素を使用することが合理的な選択である。人工的に生成された同位体のレベルはコピーするのが非常に困難であるため、同位体の天然の濃度比における変化は、間違えようもない指紋のような役割を果たす。151amuもしくは153amuのユーロピウム、または103amuのレニウムのような非常に希少な同位体も、同様に、コードが非常に高い要求を満たさねばならない場合の合理的な構成要素であり得る。使用する同位体の合計濃度が25μg/kgであり、費用係数が同位体1kg当たり40000ユーロである場合、化学的符号化にかかる費用の増加は、ポリマー1トン当たりわずか1ユーロのはずである。希釈しても情報は失われないので、同位体同士の比および濃度レベルに基づいて情報を検出することができる。
【0017】
同位体は、それら同位体の化合物の形態でポリマーマトリックスに配合される。これらの化合物は、同位体形成元素の塩、もしくはこの元素で修飾したモノマー(これらは標識すべきポリマーのモノマーである)、または官能基を有する元素含有有機化合物であってよく、これらは、標識すべきポリマー内で移動する傾向をごくわずかに有しているのが好ましい。最も合理的な方策は、カルボキシ基、スルホン酸基またはホスホン酸基などの酸構造体上に同位体(127amuを除く)の付加物を形成することであると考えられる。モノマーと同様の好適な化合物内に同位体を結合することにより、コードを主鎖に組み込む、または好適な定着基を介してポリマー内にしっかりと定着させることができる。この方法と共に、合理的な別の方法は、キレート化剤および界面活性剤型構造を使用することであり、これらは疎水性鎖により移動阻害効果をもたらす。
【0018】
したがって、標識方法のためのコードは、55の場所(t;t;・・・;t55)を有し、原子量が、三次のコードの各場所に昇順で、すなわちt−89amu、t−93amu、t−103amu、t−107amu、t−115amu、t−127amu、t−133amu、t−139amu...t50−181amu、t51−193amu、t52−197amu、t53−205amu、t54−209amuおよびt55−238amuの順で割り当てられ、この原子量を有する同位体のポリマーへの添加量は、a)0または検出限界以下の量、b)0.1μg/kg〜3μg/kg、またはc)6μg/kg〜20μg/kgのいずれかである。同位体は、ポリマーの製造前または製造中に添加され、好適にはポリマー添加物と混合される。また、マスターバッチをポリマーと混合し、マスターバッチに同位体の塩を含有させることもできる。これらの存在量は、マスターバッチの総重量に対して2重量%よりも多いのが好ましい。
【0019】
溶液化学法を用いてポリマーまたはポリマー添加物を変性して無機化し、ICPMSを用いて同位体の濃度を測定することにより、情報を識別するのが好ましい。製造者は、試験報告書からコードを読み取り、それを元のデータと比較することができるが、製造者に試験システムに用いる署名やコード構造に関する知識がなくても、このタスクを完了させることができる。少なくとも1つの同位体が最終生成物においてレベルC(=10μg/kg)となる濃度で添加されていれば、定量することによって、十分な量の添加物が添加されたかどうかを確認することもできる。この濃度においては、添加量を確認するのに十分な程小さい誤差で定量が可能である。
【0020】
高濃度の化学的コードを含むマスターバッチを使用する場合、標識方法に求められるのは、製造中に所要濃度のマスターバッチを添加することのみである。本発明で使用する濃度は、好ましくは2%を超える符号化用塩濃度である。故に、委託生産であってもセキュリティシステムについての情報を下請業者に与える必要はなく、符号化システムに含めることができる。
【0021】
データから活用される基準が、89、93、103、107、115、127、133、139−181、193、197、205、209および238AMUの重量を有する同位体を含む場合、コードは、55の場所を有する三次元コードで1.7×1026の解(solutions)を有し得る。結果として、高濃度の異物質に起因するポリマー特性への悪影響がなく、ポリマーの全製品寿命にわたって読み取り可能な化学的標識が得られる。前述の方法により、ポリマーの供給源を追跡したり、他の生産者からの化学的に同一な生成物と混合されている可能性を検証したり、あるいは、添加物が特定の濃度で添加されているかどうかを後に明らかにできることが意図されている。
【0022】
本発明の方法により標識されるポリマーは、少なくとも三種の同位体を含み、これら同位体は、89、93、103、107、115、127、133、139〜181、193、197、205、209および238AMUの原子量を有する天然または合成の安定同位体からなる群から選択され、同位体ごとに、ポリマーの総重量に対して50μg/kg以下、好ましくは20μg/kg以下の重量比率で含まれる。
【0023】
本発明のポリマーは、標識方法に使用される同位体を、同位体ごとに、ポリマーの総重量に対して0.1μg/kg〜3μg/kgまたは6μg/kg〜20μg/kgの量含むのが好ましい。
【0024】
本発明のさらなる実施形態においては、同位体は、ポリマー内において以下の化合物の形態で存在する。
同位体の塩、
官能基、特にカルボキシ基、スルホン酸基またはホスホン酸基を有する同位体の有機化合物であって、本発明では、好ましくは、それらの分子が標識すべきポリマー内での移動傾向をごくわずかに有する有機化合物、
標識すべきポリマーの修飾モノマー単位を含む同位体の有機化合物、および
キレート化剤または界面活性剤型構造を有する同位体の化合物、
である。
【実施例1】
【0025】
以下の同位体をポリエチレンテレフタレートと混合した。
・10μg/kgの181amu同位体(有機タンタル塩形態のタンタル10μg)、
・1μg/kgの146amu同位体(有機ネオジム塩形態のネオジム6μg)、
・1μg/kgの89(amu)同位体(有機イッテルビウム塩形態のイッテルビウム1μg)、および
・10μg/kgの93(amu)同位体(有機ニオブ塩形態のニオブ10μg)
【0026】
マイクロ波による溶液化学法を使用して材料を変性させ、ICPMSを用いて分析した。得られた測定値を表1に示す。
【0027】
ライセンスには、情報BACと共に、コードの場所15(同位体146)、38(同位体169)および50(同位体181)からなる生産者コード(表2)が含まれ、この情報は測定結果から確定することができる。また、A年の第3四半期は、A/B年の各四半期に対するキーに従って、コードBCを伴う生産期として分類されている。
【0028】
【表1】

【0029】
【表2】

【実施例2】
【0030】
PEEKエンジニアリングプラスチックにセキュリティ特性を排他的に付与することを、目的とする。1.1μg/kgの174amu同位体(有機イッテルビウム塩形態の、同位体濃縮イッテルビウム2.1μg)を材料と混合した。利用可能な112mgの合成イッテルビウム同位体混合物は、約50トンのポリマーに対して十分な量であった。168、170、171、172、173、174および176の同位体を分散させることにより、天然イッテルビウムから明確に区別することができ、その構成は168(0.13%)、170(3.04%)、171(14.28%)、172(21.83%)、173(16.13%)、174(31.83%)および176(12.76%)であった。得られた測定値は以下の通りであった(表3を参照)。
【0031】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーに永続的な化学的標識を行う方法およびその識別方法であって、
ポリマーに、89、93、103、107、115、127、133、139〜181、193、197、205、209および238amu(原子質量単位)の原子量を有する天然または合成の安定同位体からなる群から選択される少なくとも三種の異なる同位体を、同位体ごとに、ポリマーの総重量に対して50μg/kg以下、好ましくは20μg/kg以下、特に好ましくは0.1μg/kg〜3μg/kgまたは6μg/kg〜20μg/kgの規定量比で添加する、符号化工程、および
溶液化学を用いて材料を変性させ、誘導結合プラズマ質量分析(ICPMS)を用いて、ポリマー中に存在する同位体を定量する、識別工程、
を含む方法。
【請求項2】
前記識別工程中に前記同位体の濃度を測定する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記同位体の添加量が、同位体ごとに、ポリマーの総重量に対して20μg/kg以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
添加される前記同位体の重量比率が、同位体ごとに、ポリマーの総重量に対して0.1μg/kg〜3μg/kgまたは6μg/kg〜20μg/kgの範囲内である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記標識方法のためのコードが少なくとも3つの場所を有し、89、93、103、107、115、127、133、139〜181、193、197、205、209または238amuの原子量が、前記場所の各々に対して明確に割り当てられ、この原子量を有する同位体の前記ポリマーへの添加量が、前記場所を占有する文字値から算出される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記標識方法のためのコードが三進数であり、55の場所(t;t;...;t55)を有し、原子量が三次のコードの各場所に、t−89amu、t−93amu、t−103amu、t−107amu、t−115amu、t−127amu、t−133amu、t−139amu...t50−181amu、t51−193amu、t52−197amu、t53−205amu、t54−209amuおよびt55−238amuの昇順で割り当てられ、この原子量を有する同位体のポリマーへの添加量が、a)0または検出限界以下の量、b)0.1μg/kg〜3μg/kg、またはc)6μg/kg〜20μg/kgのいずれかである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記同位体が、前記ポリマーの製造前または製造中に添加され、好適にはポリマー添加物と混合される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記同位体の塩を含むマスターバッチが前記ポリマーと混合され、同位体の存在量が、好ましくは前記マスターバッチの総重量に対して2重量%よりも多い、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも三種の同位体を含み、前記同位体が、89、93、103、107、115、127、133、139〜181、193、197、205、209および238AMU(原子質量単位)の原子量を有する天然または合成の安定同位体からなる群から選択され、同位体ごとに、ポリマーの総重量に対して50μg/kg以下の重量比率で含まれる、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法により標識されたポリマー。
【請求項10】
前記同位体が、同位体ごとに、ポリマーの総重量に対して20μg/kg以下の重量比率で含まれる、請求項9に記載のポリマー。
【請求項11】
前記同位体が、同位体ごとに、ポリマーの総重量に対して0.1μg/kg〜3μg/kgまたは6μg/kg〜20μg/kgの重量比率で含まれる、請求項9に記載のポリマー。
【請求項12】
前記同位体の塩を含む、請求項9に記載のポリマー。
【請求項13】
官能基、好ましくは、カルボキシ基、スルホン酸基またはホスホン酸基を有する同位体の有機化合物、特に前記ポリマー内での移動傾向をごくわずかに有するもの、を含む、請求項9に記載のポリマー。
【請求項14】
前記同位体で標識すべきポリマーの修飾モノマー単位からなる有機化合物を含む、請求項9に記載のポリマー。
【請求項15】
キレート化剤または界面活性剤型構造を包含する同位体の化合物を含む、請求項9に記載のポリマー。

【公表番号】特表2010−507785(P2010−507785A)
【公表日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−533656(P2009−533656)
【出願日】平成19年10月23日(2007.10.23)
【国際出願番号】PCT/DE2007/001906
【国際公開番号】WO2008/049414
【国際公開日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(502451568)
【Fターム(参考)】