説明

汚水処理方法および循環装置

【課題】沈殿分離槽に沈殿する汚泥の削減を図る上で有利な汚水処理方法および循環装置を提供する。
【解決手段】汚水処理装置10は、沈殿分離槽12と、曝気槽14と、循環装置20とを含んで構成されている。循環装置20は、ポンプ30と、第1の配管32と、マイクロバブル発生装置34と、第2の配管36とを含んで構成されている。ポンプ30は最終沈殿槽16に貯えられた3次処理水W3を汲み上げる。第1の配管32はポンプ30で汲み上げられた水を移送する。マイクロバブル発生装置34は、第1の配管32によって移送される3次処理水W3に微細な気泡を混合させる。第2の配管36は微細な気泡が混合された水を沈殿分離槽12に移送する。循環装置20による前記微細な気泡が混合された水の流量、流速は沈殿分離槽12の底部に沈殿した汚泥2を撹拌しない程度になっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚水処理方法および汚水処理装置に設けられる循環装置に関する。
【背景技術】
【0002】
汚水処理方法として、汚水に含まれる汚泥を沈殿分離槽(最初沈殿槽)で沈殿させ、次いで、沈殿処理がなされた水を曝気槽において曝気処理することによりバクテリアで汚れを分解し、曝気処理された水を最終沈殿槽に移送するものが知られている。
この場合、曝気処理の効率を向上させるためには、バクテリアにより多くの酸素を供給することが望ましい。
そこで、最終沈殿槽から汲み上げた水にマイクロバブル発生装置によって微細な気泡を混合させ、この微細な気泡が混合された水を曝気槽に循環させる汚水処理方法が提案されている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2007−175606号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来技術では、沈殿分離槽に沈殿した汚泥の削減に関しては何ら考慮されておらず、したがって、沈殿分離槽に沈殿した汚泥を定期的に除去、清掃しなくてはならないことから、汚水処理に多大な手間と費用がかかっている。
汚泥の発生は汚水処理の処理効率を低下させ、また、臭気の原因となる不都合もあった。
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、その目的は、沈殿分離槽に沈殿する汚泥の削減を図る上で有利な汚水処理方法および循環装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述の目的を達成するため、本発明の汚水処理方法は、汚水に含まれる汚泥を沈殿分離槽で沈殿させる沈殿処理と、前記沈殿処理がなされた水を曝気槽に移送して曝気する曝気処理と、前記曝気処理がなされた水に微細な気泡を混合させ、該微細な気泡が混合された水を前記沈殿分離槽に移送する循環処理とを含み、前記移送された前記微細な気泡が混合された水の前記沈殿分離槽への供給は、前記沈殿分離槽の底部に沈殿した汚泥を撹拌せずに行われることを特徴とする。
また本発明の循環装置は、汚水に含まれる汚泥を沈殿させる沈殿分離槽と、前記沈殿分離槽から移送された水を曝気する曝気槽とを備える汚水処理装置に設けられる循環装置であって、前記曝気槽で曝気された水を汲み上げるポンプと、前記ポンプで汲み上げられた水を移送する第1の配管と、前記第1の配管によって移送される水に微細な気泡を混合させるマイクロバブル発生装置と、前記微細な気泡が混合された水を前記沈殿分離槽に移送する第2の配管とを備え、前記移送された前記微細な気泡が混合された水の前記沈殿分離槽への供給は、前記沈殿分離槽の底部に沈殿した汚泥を撹拌せずに行われることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、曝気されることできれいになった水と共に酸素が沈殿分離槽の水に加えられるため、沈殿分離槽の水に存在する好気性バクテリアによる汚泥の分解が促進される。また、微細な気泡が混合された水の沈殿分離槽への供給によって沈殿分離槽の底部に沈殿した汚泥が撹拌されないことから、嫌気性バクテリアによる汚泥の分解が促進される。
したがって、好気性バクテリアおよび嫌気性バクテリアの双方による汚泥の分解が促進されることにより、沈殿分離槽に沈殿する汚泥の削減を図る上で有利となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
(第1の実施の形態)
次に本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明方法が適用された第1の実施の形態の汚水処理装置10の構成を示す断面図である。
汚水処理装置10は、沈殿分離槽12と、曝気槽14と、最終沈殿槽16と、消毒槽18と、本発明に係る循環装置20とを含んで構成されている。
【0007】
沈殿分離槽12は、第1の移送管22を介して移送される汚水W0に含まれる汚泥2を沈殿させる沈殿処理を行うものである。
したがって、沈殿分離槽12の底部には汚泥2が沈殿し、汚泥2の上には汚泥2が分離された1次処理水W1が位置することになる。
なお、沈殿分離槽12に貯えられた汚泥2および1次処理水W1には、好気性バクテリアおよび嫌気性バクテリアが存在している。
【0008】
曝気槽14は、隔壁24を介して沈殿分離槽12に隣接して設けられ、隔壁24には1次処理水W1を流すための流通孔2402が設けられている。
曝気槽14は、沈殿分離槽12から流通孔2402を介して移送された1次処理水W1を曝気する曝気処理、すなわち、好気性バクテリアによる生物処理を行う。
したがって、曝気槽14には生物処理がなされることできれいいなった2次処理水W2が貯えられることになる。
【0009】
最終沈殿槽16は、隔壁26を介して曝気槽14に隣接して設けられ、隔壁26には2次処理水W2を流すための流通孔2602が設けられている。
最終沈殿槽16は、曝気槽14から流通孔2602を介して移送された2次処理水W2の固液分離処理を行うものである。
したがって、最終沈殿槽16には固液分離処理がなされることでよりきれいになった3次処理水W3が貯えられることになる。
【0010】
消毒槽18は、隔壁28を介して最終沈殿槽16の上方に隣接して設けられている。
消毒槽18は、最終沈殿槽16から隔壁28を乗り越えて流入する3次処理水W3に薬剤などを投入して消毒処理を行うものである。
したがって、消毒槽18には、消毒処理がなされた4次処理水W4が貯えられ、この4次処理水W4が河川などに放流される。
【0011】
循環装置20は、ポンプ30と、第1の配管32と、マイクロバブル発生装置34と、第2の配管36とを含んで構成されている。
ポンプ30は、最終沈殿槽16に貯えられた3次処理水W3(言い換えると、曝気槽14で曝気されることできれいになった水)を汲み上げるものである。
ポンプ30としては水中ポンプ、陸上ポンプなど従来公知のさまざまなポンプが採用可能である。
なお、ポンプ30で汲み上げる水は、それに含まれる汚泥成分を少なくする上で、最終沈殿槽16に貯えられた3次処理水W3のうちなるべく上層に位置する水、具体的には水面から30cm程度の位置よりも上方の位置が好ましい。
第1の配管32は、ポンプ30で汲み上げられた水を移送するものである。
マイクロバブル発生装置34は、第1の配管32によって移送される3次処理水W3に微細な気泡を混合させるものである。
マイクロバブル発生装置34は、前記微細な気泡が混合された水の流量を調整するための図示しない流量調整バルブを含んで構成されている。
第2の配管36は、微細な気泡が混合された水を沈殿分離槽12に移送するものである。
そして、循環装置20による前記微細な気泡が混合された水の流量、流速は、沈殿分離槽12の底部に沈殿した汚泥2を撹拌しない程度になっている。
そして、循環装置20による前記移送された前記微細な気泡が混合された水の沈殿分離槽12への供給は、沈殿分離槽12の底部に沈殿した汚泥2を撹拌しないようになされる。
また、このような循環装置20は、構造が単純で既存の汚水処理装置10の構造に手を加えることなく容易に設置できるため、設置コストの低減化が図られている。
【0012】
次に作用効果について説明する。
循環装置20によって微細な気泡が混合された3次処理水W3は、循環装置20によって沈殿分離槽12の1次処理水W1と混合される。
したがって、曝気されることできれいになった水(3次処理水W3)と共に酸素が1次処理水W1に加えられるため、1次処理水W1に存在する好気性バクテリアによる汚泥2およびスカムの分解が促進される。
一方、微細な気泡が混合された3次処理水W3の沈殿分離槽12への供給によって沈殿分離槽12の底部に沈殿した汚泥2が撹拌されないことから、嫌気性バクテリアによる汚泥2の分解が促進される。
したがって、本実施の形態によれば、好気性バクテリアおよび嫌気性バクテリアの双方による汚泥2およびスカムの分解が促進されることにより、沈殿分離槽12に沈殿する汚泥2の削減を図る上で有利となる。
そのため、沈殿分離槽12に沈殿した汚泥を除去、清掃するための手間と費用を大幅に削減する上で有利となることは無論のこと、汚泥2が削減されることにより、汚水処理の処理効率を向上させ、臭気の発生を抑制する上でも有利となる。
また、焼却処理する汚泥が削減されることから二酸化炭素の発生を抑制する上でも有利となる。
【0013】
また、本実施の形態によれば、嫌気性バクテリアと好気性バクテリアの住み分けを沈殿分離槽12内で起こし、嫌気性バクテリアを沈殿分離槽12内の底部や流れの緩やかな場所でのみ活動させる、いわば自然の河川が持つ浄化作用を汚水処理装置10の中にもたらす上で有利となる。
これにより、理想的な汚水処理の環境になると発生する大型の後生微生物が増加する傾向が見られることも汚水処理装置10の性能の向上に寄与することになる。
また、好気性バクテリアは、嫌気性バクテリアに比較して処理効率が5倍以上高いといわれており、このような好気性バクテリアが沈殿分離槽12から水と共に下流に流れ、あるいは、移送されるので、好気性バクテリアを汚水処理装置10全体で活動させることができ、汚水処理装置10の性能の向上を図る上で有利となる。
なお、汚水の種類は、特に限定されるものではなく、例えば、し尿、油、わさび、味噌、でんぷん等を含む汚水に対しても本発明方法を適用することで汚泥2を削減する上で効果があった。
【0014】
(第2の実施の形態)
次に第2の実施の形態について説明する。
図2は本発明方法が適用された第2の実施の形態の汚水処理装置10の構成を示す断面図である。
なお、以下に説明する第2実施の形態および参考例では、第1の実施の形態と同一または対応する部分、部材には同一の符号を付して簡単に説明し、第1の実施の形態と重複する部分の説明は省略する。
汚水処理装置10は、沈殿分離槽12と、第1曝気槽14Aと、第2曝気槽14Bと、消毒槽18と、本発明に係る循環装置20と、第1乃至第3の沈殿分離槽内用循環装置56A、56B、56Cを含んで構成されている。
【0015】
沈殿分離槽12は、第1の実施の形態と同様に、第1の移送管22を介して移送される汚水W0に含まれる汚泥2を沈殿させる沈殿処理を行うものである。
沈殿分離槽12の底部には汚泥2が沈殿し、汚泥2の上には汚泥が分離された1次処理水W1が位置することになる。
第2の実施の形態では、沈殿分離槽12に、第1乃至第4の壁部40A、40B、40C、40Dと、隔壁42と、貯水部44とが水が流れる方向に間隔をおいて設けられている。
第1乃至第4の壁部40A、40B、40C、40Dは、汚水W0に含まれる油分を付着させて取り除くものである。
沈殿分離槽12の一方の側壁と第1の壁部40Aとの間に第1の沈殿部41Aが形成される。
第1の壁部40Aと第2の壁部40Bとの間に第2の沈殿部41Bが形成される。
第2の壁部40Bと第3の壁部40Cとの間に第3の沈殿部41Cが形成される。
第3の壁部40Cと第4の壁部40Dとの間に第4の沈殿部41Dが形成される。
沈殿分離槽12の他方の側壁と隔壁42との間に貯水部44が形成される。
貯水部44は、隔壁42を乗り越えた水、すなわち、1次処理水W1を貯えるものである。
各壁部40A、40B、40C、40Dのそれぞれの下端と沈殿分離槽12の底部との間には水を流通させる開口46が形成されている。
【0016】
第1曝気槽14Aは、沈殿分離槽12から離間して設けられている。
第1曝気槽14Aは、ポンプ48と配管50を介して貯水部44から移送された1次処理水W1を曝気する曝気処理、すなわち、好気性バクテリアによる生物処理を行う。
したがって、第1曝気槽14Aには生物処理がなされることできれいになった水2次処理水W2が貯えられることになる。
【0017】
第2曝気槽14Bは、隔壁52を介して第1曝気槽14Aに隣接して設けられている。
第2曝気槽14Bは、隔壁52の下部に設けられた流通孔5202を介して流入する2次処理水W2を曝気する曝気処理、すなわち、好気性バクテリアによる生物処理を行う。
したがって、第2曝気槽14Bには生物処理がなされることでよりきれいになった3次処理水W3が貯えられることになる。
【0018】
消毒槽18は、隔壁54を介して第2曝気槽14Bに隣接して設けられている。
消毒槽18は、第2曝気槽14Bから隔壁54の上部に設けられた流通孔5402を介して流入する3次処理水W3に薬剤などを投入して消毒処理を行うものである。
したがって、消毒槽18には、消毒処理がなされた4次処理水W4が貯えられ、この4次処理水W4がポンプ51を介して河川などに放流される。
【0019】
第1の沈殿分離槽内用循環装置56Aは、ポンプ58と、第1の配管60と、マイクロバブル発生装置62と、第2の配管64とを含んで構成されている。
ポンプ58は、第4の沈殿部41Dに貯えられた1次処理水W1を汲み上げるものである。
第1の配管60は、ポンプ58で汲み上げられた水を移送するものである。
マイクロバブル発生装置62は、第1の配管60によって移送される1次処理水W1に微細な気泡を混合させるものである。
第2の配管64は、微細な気泡が混合された水を第1の沈殿部41Aに移送するものである。
第2の沈殿分離槽内用循環装置56Bは、第1の沈殿分離槽内用循環装置56Aと同様に構成されており、第2の配管64が微細な気泡が混合された水を第2の沈殿部41Bに移送する点のみが相違している。
第3の沈殿分離槽内用循環装置56Cは、第1の沈殿分離槽内用循環装置56Aと同様に構成されており、第2の配管64が微細な気泡が混合された水を第3の沈殿部41Cに移送する点のみが相違している。
そして、第1乃至第3の沈殿分離槽内用循環装置56A、56B、56Cによる前記移送された前記微細な気泡が混合された水の沈殿分離槽12への供給は、沈殿分離槽12の底部に沈殿した汚泥2を撹拌しないようになされる。
このような第1乃至第3の沈殿分離槽内用循環装置56A、56B、56Cを設けることにより、微細な気泡が混合された水が沈殿分離槽12内で循環されるため、好気性バクテリアによる汚泥2の分解を促進する上で有利となる。
【0020】
循環装置20は、ポンプ30と、第1の配管32と、マイクロバブル発生装置34と、第2の配管36、第3の配管37とを含んで構成されている。
ポンプ30は、消毒槽18に貯えられた4次処理水W4(言い換えると、第1、第2曝気槽14A,14Bで曝気されることできれいになった水)を汲み上げるものである。
第1の配管32は、ポンプ30で汲み上げられた水を移送するものである。
マイクロバブル発生装置34は、第1の配管32によって移送される4次処理水W4に微細な気泡を混合させるものである。
マイクロバブル発生装置34は、前記微細な気泡が混合された水の流量を調整するための図示しない流量調整バルブを含んで構成されている。
第2の配管36は、微細な気泡が混合された水を沈殿分離槽12に移送するものである。
第3の配管37は、4次処理水W4の一部を第1曝気槽14Aに移送するものである。
そして、循環装置20による前記移送された前記微細な気泡が混合された水の沈殿分離槽12への供給は、沈殿分離槽12の底部に沈殿した汚泥2を撹拌しないようになされる。
【0021】
次に作用効果について説明する。
循環装置20によって微細な気泡が混合された4次処理水W4は、循環装置20によって沈殿分離槽12の1次処理水W1と混合される。
したがって、曝気されることできれいになった水(4次処理水W4)と共に酸素が1次処理水W1に供給されるため、1次処理水W1に存在する好気性バクテリアによる汚泥2およびスカムの分解が促進される。
一方、微細な気泡が混合された4次処理水W4の沈殿分離槽12への供給によって沈殿分離槽12の底部に沈殿した汚泥2が撹拌されないことから、嫌気性バクテリアによる汚泥2の分解が促進される。
したがって、第1の実施の形態と同様に、好気性バクテリアおよび嫌気性バクテリアの双方による汚泥2およびスカムの分解が促進されることにより、沈殿分離槽12に沈殿する汚泥2の削減を図る上で有利となる。
また、沈殿分離槽12に沈殿した汚泥2を除去、清掃するための手間と費用を大幅に削減する上で有利となり、汚泥2が削減されることにより、汚水処理の処理効率を向上させ、臭気の発生を抑制する上でも有利となる。
また、第2の実施の形態では、循環装置20によって沈殿分離槽12の1次処理水W1と混合される水は、第1曝気槽14Aと第2曝気槽14Bとにより2回の曝気処理がなされているため、より汚れが少なくきれいな水となっているため、好気性バクテリアによる汚泥2の分解を促進する上でより一層有利となる。
【0022】
また、汚水に含まれる油も好気性バクテリアにより分解されるため、沈殿分離槽12内において浮上する油の発生を低減する上でも有利となる。
実際の汚水処理装置10で処理された排水のBOD(生物化学的酸素要求量)の計測例を示すと、例えば、循環装置20を設ける前ではBODが88であったの対し、循環装置20を設けたところBODは7まで減少し、水質が大幅に改善された。
【0023】
(参考例)
次に参考例について説明する。
図3は参考例における汚水処理装置10Aの構成を示す断面図である。
汚水処理装置10は、第1沈殿分離槽12A、第2沈殿分離槽12Bと、流量調整槽13と、曝気槽14と、最終沈殿槽16と、消毒槽18と、沈殿分離槽用循環装置60とを含んで構成されている。
【0024】
第1沈殿分離槽12Aは、第1の移送管22を介して移送される汚水W0に含まれる汚泥2を沈殿させる沈殿処理を行うものである。
したがって、第1沈殿分離槽12Aの底部には汚泥2が沈殿し、汚泥の上には汚泥2が分離された1次処理水W1が位置することになる。
【0025】
第2沈殿分離槽12Bは、隔壁62を介して第1沈殿分離槽12Aに隣接して設けられ、隔壁62には1次処理水W1を流すための流通孔6202が設けられている。
したがって、第2沈殿分離槽12Bの底部にも汚泥2が沈殿し、汚泥の上には汚泥2が分離された2次処理水W2が位置することになる。
なお、第1、第2沈殿分離槽12A,12Bに貯えられた汚泥、1次処理水W1、2次処理水W2には、好気性バクテリアおよび嫌気性バクテリアが存在している。
【0026】
流量調整槽13は、隔壁64を介して第2沈殿分離槽12Bに隣接して設けられ、隔壁64には2次処理水W2を流すための流通孔6402が設けられている。
流量調整槽13には、該流量調整槽13に貯えられた2次処理水W2を曝気槽14に移送するポンプ65が設けられている。
【0027】
曝気槽14は、隔壁66を介して流量調整槽13に隣接して設けられている。
曝気槽14は、流路調整槽13からポンプ65を介して移送された2次処理水W2を曝気する曝気処理、すなわち、好気性バクテリアによる生物処理を行う。
したがって、曝気槽14には生物処理がなされた3次処理水W3が貯えられることになる。
【0028】
最終沈殿槽16は、隔壁68を介して曝気槽14に隣接して設けられ、隔壁68には3次処理水W3を流すための流通孔6802が設けられている。
最終沈殿槽16は、曝気槽14から流通孔6802を介して移送された3次処理水W3の固液分離処理を行うものである。
したがって、最終沈殿槽16には固液分離処理がなされた4次処理水W4が貯えられることになる。
【0029】
消毒槽18は、隔壁70を介して最終沈殿槽16に隣接して設けられ、隔壁70には4次処理水W4を流すための流通孔7002が設けられている。
消毒槽18は、最終沈殿槽16から流通孔7002を介して流入する4次処理水W4に薬剤などを投入して消毒処理を行うものである。
したがって、消毒槽18には、消毒処理がなされた5次処理水W5が貯えられ、この5次処理水W5が消毒槽18の壁部に形成された流通孔1802を介して河川などに放流される。
【0030】
沈殿分離槽用循環装置60は、ポンプ72と、第1の配管74と、マイクロバブル発生装置76と、第2の配管78と、第3の配管80と、流路調整バルブ82を含んで構成されている。
ポンプ72は、流量調整槽13に貯えられた2次処理水W2を汲み上げるものである。
第1の配管74は、ポンプ72で汲み上げられた水を移送するものである。
マイクロバブル発生装置76は、第1の配管74によって移送される2次処理水W2に微細な気泡を混合させるものである。
第2の配管78は、微細な気泡が混合された水を第1沈殿分離槽12に移送するものである。
第3の配管80は、第1の配管74から分岐されポンプ72によって汲み上げられた2次処理水W2の一部を第2沈殿分離槽12Bに移送するものである。
流路調整バルブ82は、第3の配管80に設けられ第3の配管80を移送される2次処理水W2の流量を調整するものである。
そして、沈殿分離槽用循環装置60による前記移送された前記微細な気泡が混合された水の第1沈殿分離槽12Aへの供給は、第1沈殿分離槽12Aの底部に沈殿した汚泥2を撹拌しないようになされる。
【0031】
このような参考例によれば、沈殿分離槽用循環装置60によって第1沈殿分離槽12Aに移送された微細な気泡が混合された2次処理水W2は、第1沈殿分離槽12Aの1次処理水W1と混合される。
したがって、沈殿処理された水(2次処理水W2)と共に酸素が1次処理水W1に加えられるため、第1沈殿分離槽12Aの1次処理水W1に存在する好気性バクテリアによる汚泥2およびスカムの分解を促進する上で有利となる。
また、第1沈殿分離槽12Aの1次処理水W1は第2沈殿分離槽12Bに供給されるので、第2沈殿分離槽12Bの2次処理水W2に存在する好気性バクテリアによる汚泥2およびスカムの分解を促進する上でも有利となる。
一方、微細な気泡が混合された2次処理水W2の第1沈殿分離槽12Aへの供給によって第1沈殿分離槽12Aの底部に沈殿した汚泥2が撹拌されないことから、嫌気性バクテリアによる汚泥2の分解を促進する上で有利となる。
したがって、好気性バクテリアおよび嫌気性バクテリアの双方による汚泥2およびスカムの分解が促進されることにより、第1沈殿分離槽12Aに沈殿する汚泥の削減を図ることができる。
なお、参考例では、第1沈殿分離槽12Aに供給される水は沈殿処理されているものの曝気処理はなされていない。これに対して、第1、第2の実施の形態では、沈殿分離槽12に供給される水が曝気処理によって汚れがより分解されてきれいになった水である。
したがって、第1、第2の実施の形態の方が参考例に比較して好気性バクテリアによる汚泥2の分解を促進する上でより一層有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明方法が適用された第1の実施の形態の汚水処理装置10の構成を示す断面図である。
【図2】本発明方法が適用された第2の実施の形態の汚水処理装置10の構成を示す断面図である。
【図3】参考例における汚水処理装置10Aの構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0033】
10……汚水処理装置、12……沈殿分離槽、14……曝気槽、20……循環装置、30……ポンプ、32……第1の配管、34……マイクロバブル発生装置、36……第2の配管。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚水に含まれる汚泥を沈殿分離槽で沈殿させる沈殿処理と、
前記沈殿処理がなされた水を曝気槽に移送して曝気する曝気処理と、
前記曝気処理がなされた水に微細な気泡を混合させ、該微細な気泡が混合された水を前記沈殿分離槽に移送する循環処理とを含み、
前記移送された前記微細な気泡が混合された水の前記沈殿分離槽への供給は、前記沈殿分離槽の底部に沈殿した汚泥を撹拌せずに行われる、
ことを特徴とする汚水処理方法。
【請求項2】
汚水に含まれる汚泥を沈殿させる沈殿分離槽と、前記沈殿分離槽から移送された水を曝気する曝気槽とを備える汚水処理装置に設けられる循環装置であって、
前記曝気槽で曝気された水を汲み上げるポンプと、
前記ポンプで汲み上げられた水を移送する第1の配管と、
前記第1の配管によって移送される水に微細な気泡を混合させるマイクロバブル発生装置と、
前記微細な気泡が混合された水を前記沈殿分離槽に移送する第2の配管とを備え、
前記移送された前記微細な気泡が混合された水の前記沈殿分離槽への供給は、前記沈殿分離槽の底部に沈殿した汚泥を撹拌せずに行われる、
ことを特徴とする循環装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−220097(P2009−220097A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−305936(P2008−305936)
【出願日】平成20年12月1日(2008.12.1)
【出願人】(708000351)
【Fターム(参考)】