説明

汚泥の再資源化装置及び処理方法

【課題】粒径10ミクロン未満のシルトから15cm岩石を含む汚泥の再生資源化にあたり、含水汚泥に固化薬剤を添加して混合することにより、汚泥を脱水処理することなく、30秒から2分間の短時間の混練処理により汚泥が造粒固化され、埋め立てや植栽に適した造粒硬度を保持した均質土壌として再生資源化される方法及びその再資源化装置を提供する。
【解決手段】汚泥リサイクル用の処理装置において、混練機4を円筒型1軸混合機として処理室の長さを直径の2〜5倍とし、三日月を半分にした形状の攪拌羽根17を所定位置に取り付けることにより、石を含むような含水汚泥を混練固化することが出来、処理時間が短く、低コストに処理が可能でなる。また、処理装置はコンパクトなり、所用動力が小さいことから汚泥発生の現場に移動が可能な移動式リサイクル装置にすることが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
金属・鋳物・機械・化学、食品・窯業などの製造工場、建設土木工事、浄水下水処理施設、生コン工場、採石場、焼却場などから発生す汚泥を固化、造粒して再生資源化を図るものである。
【背景技術】
【0002】
汚泥は一般的に水分を多量に含むものが多く、このリサイクルは、これまで天日乾燥・圧密脱水・機械脱水・良質土との混合などの物理的処理と、焼石膏系・セメント系・生石灰系などの固化剤による化学的脱水処理が行われていたが、再生資源化には多大な労力とエネルギーを要し、また処理費用が高くなることから、汚泥は極めて困難なものとして、発生した汚泥の大部分は残土埋立場、安定型最終処分場、管理型最終処分場に廃棄されていた。
【0003】
【特許文献】 特開平10−24273 特開平11−76990 特開2000−120103 特開2002−326080 特開2006−3013
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
汚泥に含まれ水分は含水率が200%を超える高水分から、含水率が10%程度の低水分まで大きく変動することが多く、また、汚泥の粒子についても10ミクロンのシルトから15cm程度の岩石を含むように粒度が極めて不均一なものが多い。含有組成についても、発生源によってヘドロ、有機腐敗物、焼却灰などの雑多なものを含み、大きく変動することが多い。これらの要因から汚泥の再生資源化は極めて難しく、発生の大部分は残土処分場や最終処分場で埋め立て処分されていた。汚泥のリサイクルは極めて難しい課題とされていた。
【0005】
従来、汚泥は、機械的処理、化学的処理による単独処理または簡単な組み合せの処理が実施されていたが、処理後の品質(成分、水分、粒度等)のバラツキが大きく、また処理エネルギーが大きく、装置のメンテナンスに多大な労力を要することが多いものであった。このため、発生源が多岐に亘り、かつ品質・性状が不均一・不安定な汚泥に対して、短時間かつ使用エネルギーが少なく、均一に混合・混練・固化処理ができる汚泥処理装置が強く求めらていた。本発明は、これらの課題を解決し、種々の現場から発生する汚泥について、装置の価格が安価でかつ、低コストで処理が可能な汚泥処理装置、及び汚泥処理方法に関するものである。また、汚泥の発生現場での処理と、処理物のリサイクル(現場での再使用)が求められることが多く、発生現場で汚泥処理が可能な移動式汚泥処理装置に関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1発明は、高含水率水または低水分の汚泥を脱水・乾燥することなく固化・造粒処理を行うにあたり、円筒横置型1軸混合機(4)において処理室の長さを直径の2〜5倍とし、汚泥投入口と固化剤の投入口を中央部から左右端の上部に設置し、処理汚泥の排出口を中央部付近の下部に設置し、混練羽根(18)を回転軸(17)の中央部に1〜3枚と中心部から左右方向に少なくとも2ケ所に1〜6枚を取り付けた形状の混練・固化・造粒することを特徴とする汚泥処理装置に関する。
【0007】
本発明の第2発明は、円筒横置型1軸混合機(4)の混練羽根(18)が、三日月または鎌を半分にした形状とし、この形状の羽根の単独、または2〜3枚を組み合わせて、三角錐状にしたものを設置することを特徴とする汚泥処理装置に関するものであり、汚泥と固化剤との混合性を高めると同時に、混練抵抗を小さくすることが出来る。
【0008】
本発明の第3発明は、汚泥処理室内の左右に取り付ける混練羽根の取付角度を、中央側に5〜30度の範囲で斜めに設置することを特徴とする汚泥処理装置に関するものであり、汚泥と固化剤の混練性を高めると同時に、汚泥の混練・滞留時間に適度に設定することが出きる。
【0009】
本発明の第4発明は、汚泥処理装置(混練機本体)の下部にロードセル設置し、1バッチあたりの汚泥と固化剤を処理量を計測管理することを特徴とする請求項1〜3の汚泥処理装置に関するものであり、バッチ間の汚泥処理の変動を抑えることが可能なる。
【0010】
本発明の第5発明は、汚泥処理装置と、汚泥ホッパー(1)、固化剤のホッパー(7)・供給機などの付帯設備を一体化させて移動式汚泥リサイク装置としたことを特徴する汚泥処理装置に関するものであり、本発明の汚泥処理装置は混合性が良好かつ処理滞留時間が短かいことから、装置がコンパクトになり、付帯設備を配置・一体化して10トン低床トラックへの搭載が可能であり、移動式リサイクル装置とすることが出来る。
【0011】
本発明の第6発明は、高含水率水または低水分汚泥の有効利用において、円筒横置型1軸混合機を使用して、汚泥に固化剤を添加して混練・固化・造粒することを特徴とする汚泥処理方法に関するもであり、固化剤を選定することにより発生源が多岐に亘り、水分や含有成分が不均質な汚泥に対して幅広く対応することが出来る。
【0012】
本発明の第7発明は、汚泥に添加する固化剤が焼石膏、ゼオライト、ベントナイト、生石灰、セメント、有機高分子の少なくとも一つからなることを特徴とする汚泥の処理方法に関するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明における汚泥処理装置において、混練機を円筒型1軸混合機(4)として処理室の長さを直径の2〜5倍とし、三日月を半分にした形状の攪拌羽根を回転軸(17)所定位置に取り付け、また固化剤を選定するすることにより、水分や含有成分は不均一かつ発生源が多岐に亘る汚泥に対して、幅広く対応することが出来、また処理時間が短く、低コストに連続的に処理処理が可能になる。また、滞留時間が短いことから処理装置がコンパクトになり、所用動力も小さいことから汚泥発生の現場に移動が可能な移動式リサイクル装置にすることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の汚泥処理機取り扱うことが出来る汚泥は、金属・鋳物・機械・化学、食品・窯業などの製造工場、建設土木工事、浄水下水処理施設、生コン工場、採石場、焼却場などから発生する汚泥であり、高含水汚泥、低水分汚泥、乾燥された汚泥のいずれのものも処理が可能である。
【0015】
本発明の汚泥処理機では、汚泥の粒度は、10ミクロンのシルトから15cmの石までのものを処理が可能である。汚泥に混入してくる15cm以上の岩石については、汚泥ホッパーの下に設置しているスクリーン(2)で排除される。汚泥の成分としては、ヘドロ、砂利、有機腐敗物、焼却灰などの雑多なものを取り扱うことが出来る。
【0016】
本発明の汚泥処理において添加する固化剤は、汚泥に含有する水分を物理的吸収や化学的水和反応により調整することが出来、ハンドリングが可能な状態にする共に、処理汚泥を1〜15mmφ程度に造粒化を促進する薬剤であり、焼石膏、ゼオライト、ベントナイト、生石灰、有機高分子の少なくとも一つからなりたっている。含有水分が高い汚泥は、焼石膏、有機高分子の配合を増やすことが望ましい。また、汚泥の処理物が植栽用土壌にリサイクルする場合は、処理物を中性にすることが好ましく、生石灰、セメントの使用量を削減し、焼石膏、ゼライト、ベントナイトの配合量を増やすことが望ましい。このように対象汚泥や処理物のリサイクル用途によって、配合成分、配合量を調整することが好ましい。
【0017】
汚泥の処理手順は、汚泥が供給投入ホッパー(1)に投入され、振動スクリーン(2)通して投入シュウート(3)を経由して、横置型1軸混練機(4)に供給される。一方、固化剤は3種が個別に投入出来るように3基の固化剤ホッパー(6)、(7)、(10)に仕込まれ、供給フィーダー(8)、(9)、(11)から横置型1軸に供給される。混練機(4)への汚泥と固化剤の投入量は、ロードセル(20)で検知され、合計量が計測される。この混練機(4)において、汚泥と固化剤が30秒〜2分間混合され、水分が調整される同時に造粒化が進行する。造粒された処理物は、中央部付近の底部の排出口(5)の弁が開いて排出され、さらに排出コンベア(12)、(13)を経由して外部に移送される。
【0018】
汚泥の処理装置(混練機本体)には、2軸型スクリューミキサー、2軸パドルミキサー、縦型バッチ式混練機等があるが、汚泥の含水率や成分の幅広い変動にも耐え、混練時間を短く、所用動力を少なく、かつメンテンナスが容易で、装置の製造コストが安価に出来ることから、横置型1軸混練機が好ましい。
【0019】
本発明では、さらに汚泥と固化剤との混合性と高め、混合時間の短縮させるために、汚泥処理室の長さを直径の2〜5倍とし、処理汚泥の排出口を処理室中央付近の下部に設置し、汚泥投入口と固化剤の投入口を処理室中央付近の左右の上部に設置し、混練羽根(18)を回転軸(17)の中央部に1〜3枚と中心部から左右方向に少なくとも2ケ所に2〜6枚を取り付けることが望ましい。
【0020】
円筒横置型1軸混合機(4)に取り付ける混練羽根(18)の形状は、汚泥と固化剤との混合性と高めると同時に、汚泥との混合抵抗を少なくするため、三日月を半分にした形状または鎌を半分にした形状のものが好ましく、この羽根の単独、又は1〜3枚を組みあわせて三角錐状にした混合羽根(18)を設置することが望ましい。
【0021】
汚泥処理室内の左右に取り付ける混練羽根(18)の取付角度は、中央側に5〜30度の範囲で斜めに設置することが好ましい。この角度に羽根を設置することにより、汚泥が中央部移動すると共に汚泥と固化剤の混合性を高めることが出来る。
【0022】
本発明の汚泥処理装置は、混合性が良好なことから、汚泥の処理・滞留時間が短かく、また所用動力が小さいことから、装置全体がコンパクトになり、汚泥処理装置(混練機)(4)と汚泥ホッパー(1)と固化剤のホッパー(6)(7)(10)、供給機(8)(9)(11)などの付帯設備と一体化させて、移動式リサイクル装置とすることが出来る。この移動式汚泥処理装置は、10トン低床トラック車に搭載することが出来る。汚泥の発生現場に本発明の移動式汚泥処理装置を設置すれば、発生してくる汚泥を処理しながらその場においてリサイクル土壌して再使用することが出来る
【0023】
また本発明の汚泥処理装置は、汚泥に粘土、砂利、ヘドロ、有機腐敗物、焼却灰や岩石などが含有しているものでも処理することが出来、かつ成分が大幅に変動しても処理することが出来る。
【0024】
本発明の汚泥処理装置は、羽根の形状、取付方法の特徴より15cm以下の石が汚泥と共に混入しても汚泥の混練・固化処理の運転に支障を来すことはない。また、汚泥に15cm以上の岩石が含まれる場合は、汚泥ホッパーの下部のスクリーで除去される構造になっているため、15cmより大きい岩石が汚泥に混入しても処理することが出来る。
【実施例】
【0025】
以下本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0026】
含水率が150%の建設汚泥汚 475kgを本発明の汚泥処理装置(4)の汚泥ホッパー(1)に投入し、固化剤として焼石膏、有機高分子、ベントナイトを固化剤ホッパー(6)、(7)、(10)に投入し、汚泥と固化剤の合計量が500kgになるように処理室に投入した。汚泥と固化剤の計量は汚泥処理装置(4)の下部のロードセル(20)で検知した。汚泥と固化剤の混練は、混練羽根の回転数を60rpnとして1分間とした。混練処理を終えた処理物は、汚泥処理装置(4)の中央下部の排出口(5)から排出した。
なお、汚泥処理装置(4)の混練羽根(18)は、形状を羽根の三日月を半分にしたものとし、回転軸(17)の中央部と左右の2ケ所に、混練羽根(18)を各2枚づつを取り付けた。左右の混練羽根(18)は、先端が中央部方向に15%の角度に取り付た。排出された汚泥処理物について、粒径が1〜10mmΦの含有割合、遊離含水率の変動幅(サンプル数:10点)、1時間後の造粒物の圧縮強度(10点の平均値)を測定した。測定結果を表1に示す。
【比較例1】
【0027】
実施例1の建設汚泥をと同じ汚泥処理装置(4)を用いて、左右の混練羽根(18)の取り角度を0度(回転軸方向に対して垂直:直角)とした以外は実施例1と全く同じ条件で汚泥を処理した。排出された汚泥処理物について、粒径が1〜10mmΦの含有割合、遊離含水率の変動幅(サンプル数:10点)、1時間後の造粒物の圧縮強度(10点の平均値)を測定した。測定結果を表1に示す。
【比較例2】
【0028】
実施例1の建設汚泥を同じ汚泥処理装置(4)を用いて、左右の混練羽根(18)の形状を長方形の板状とした以外は実施例1と全く同じ条件で汚泥を処理した。排出された汚泥処理物について、粒径が1〜10mmΦの含有割合、遊離含水率の変動幅(サンプル数:10点)、1時間後の造粒物の圧縮強度(10点の平均値)を測定した。測定結果を表1に示す。
【0029】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】 実施1における汚泥処理7装置と付帯設備の全体図
【図2】 実施1における汚泥処理装置(混練装置)の断面図
【図3】 実施1における汚泥処理装置の10トン低床トラック車への搭載図
【符号の説明】
【0031】
1 汚泥供給ホッパー
2 スクリー
3 投入シュート
4 汚泥処理装置(混練固化装置)
5 処理汚泥排出口
6 固化剤ホッパー
7 固化剤ホッパー
8 固化剤供給機
9 固化剤供給機
10 固化剤ホッパー
11 固化剤供給機
12 処理汚泥排出コンベア
13 処理汚泥排出コンベア
14 振動モーター
15 振動用スプリング
16 エキスパンション
17 混練羽根
18 混練回転軸
19 空気コンプレッサー
20 ロードセル
21 ロードセル
22 ロードセル
23 ロードセル
24 空気ダンパー
25 空気ダンパー
26 空気ダンパー
27 エキスパンション
28 エキスパンション
29 エキスパンション
26 エキスパンション

【特許請求の範囲】
【請求項1】
含水汚泥を脱水・乾燥することなく固化・造粒処理を行うにあたり、円筒横置型1軸混合機の汚泥処理室の長さを直径の2〜5倍とし、処理汚泥の排出口を処理室中央付近の下部に設置し、汚泥投入口と固化剤の投入口を処理室中央付近の左右上部に設置し、混練羽根を中央部に1〜3枚と中心部から左右方向に少なくとも2ケ所に1〜6枚を取り付けて、汚泥を混練・固化・造粒することを特徴とする汚泥処理装置。
【請求項2】
円筒横置型1軸混合機の混練羽根が、三日月または鎌を半分にした形状とし、この形状の羽根の単独、または2〜3枚を組み合わせて三角錐状にしたものを設置することを特徴とする請求項1の汚泥処理装置。
【請求項3】
汚泥処理室内の左右に取り付ける混練羽根の取付角度を、中央側に5〜30度の範囲で斜めに設置することを特徴とする請求項1、2の汚泥処理装置。
【請求項4】
汚泥処理装置(混練機本体)の下部にロードセルを設置し、1バッチあたりの汚泥と固化剤を処理量を計測管理することを特徴とする請求項1〜3の汚泥処理装置。
【請求項5】
実施例1〜4の汚泥処理装置と、汚泥・固化剤のホッパー・供給機などの付帯設備を一体化させて移動式汚泥リサイク装置としたことを特徴する汚泥処理装置。
【請求項6】
高含水率水または低水分汚泥の有効利用において、請求項1〜5に記載の円筒横置型1軸混合機を使用して、汚泥に固化剤を添加して混練・固化・造粒することを特徴とする汚泥処理方法。
【請求項7】
請求項6に記載の固化剤が石膏、ゼオライト、ベントナイト、生石灰、セメント、有機高分子の少なくとも一つからなることを特徴とする汚泥の処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−279939(P2010−279939A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−150330(P2009−150330)
【出願日】平成21年6月3日(2009.6.3)
【出願人】(591187885)大洸工業株式会社 (1)
【出願人】(509178437)
【出願人】(509178448)株式会社友伸工業 (1)
【Fターム(参考)】