説明

汚泥消化システム

【課題】処理水に含まれる熱を有効利用することで環境負荷を軽減しつつ信頼に足る動作が可能な汚泥消化システムを提供することを課題とする。
【解決手段】下水の浄化処理で生ずる汚泥を嫌気性菌等の微生物の作用で消化する汚泥消化システム1であって、汚泥を貯留して微生物に消化させる消化槽9と、下水から回収した排熱で消化槽9内の汚泥を加温し、汚泥を嫌気性菌等の微生物の活動に適する所定の温度に調整する温度調整手段20と、を備え、温度調整手段20は、消化槽9の内外を循環する汚泥が流通する熱交換部18,27を介して、消化槽9内の汚泥を加温し、消化槽9内の汚泥の温度を所定の温度に調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭や工場等から排出される下水に含まれる汚泥を集約し、これを消化する汚泥消化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
下水処理場で残渣物として生じる汚泥の処理は、衛生環境面からも極めて重要な問題となっている。特に産業の発展や生活水準の向上にともなってこの汚泥量は増加する傾向にあり、人口や工場が集中する都市部では早急の対応が求められている。そこで、日本全国に約1700箇所ある下水処理場のうち約300箇所の施設では、処理水と分離した汚泥を滞留させる消化槽を有しており、その消化槽内の汚泥を加温して、槽内の嫌気性菌等の微生物の活動を活発化させ、汚泥を安定化し且つ減量化する処理が行われている。例えば、特許文献1には、下水を処理して浄化した処理水に含まれる低温の熱をヒートポンプで回収し、回収した熱で消化槽に流入する汚泥を加温する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−260604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
消化槽に流入する汚泥の温度は、下水を排出する家庭の生活リズムや工場の操業状態等に応じて変動する。また、消化槽内の温度は、消化槽に投入する汚泥温度や周囲の気温等の環境の影響を受けやすい。よって、消化槽内の温度を安定的に保つには、投入される前の汚泥加温制御ではなく、槽内に投入された汚泥の温度を適切に制御可能な機器類が重要となる。また、多くの下水処理場では、消化槽内の汚泥の消化工程によって発生する消化ガスをボイラ等の燃焼機器の燃料として用いて蒸気や温水を発生させ、それを消化槽内の汚泥の加温等に用いている。この消化ガスは温暖化ガス発生に寄与しないバイオガスとなるため、発電や汚泥の乾燥、汚泥焼却等の燃料に有効に用いることができれば、あらたに化石燃料を使わず温暖化ガスの発生抑制に寄与することが出来るため、消化槽の加温には下水処理場にあるその他排熱を有効的に利用することが望まれてきた。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、処理水に含まれる熱を有効利用することで環境負荷を軽減しつつ信頼に足る動作が可能な汚泥消化システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明では、消化槽の内外を循環する汚泥が通過する熱交換部を介して、下水に含まれる排熱で汚泥を加温することにした。これによれば、投入汚泥を加温するシステムに比べてはるかに制御および管理が容易となり、また下水に含まれる家庭等からの排熱を有効利用することで環境負荷を軽減しつつ、消化工程に発生した消化ガスをその他の工程に用いることが出来るため、温暖化ガスの発生抑制に寄与するシステムとなる。
【0007】
詳細には、下水の浄化処理で生ずる汚泥を嫌気性菌等の微生物の作用で消化する汚泥消化システムであって、前記汚泥を貯留して前記嫌気性菌等の微生物によって汚泥を消化させる消化槽と、前記下水から回収した該下水中に含まれる排熱で前記消化槽内の汚泥を加温し、該汚泥を前記嫌気性菌等の微生物の活動に適する所定の温度に調整する温度調整手
段と、を備え、前記温度調整手段は、前記消化槽の内外を循環する汚泥が流通する熱交換部を介して、該消化槽内の汚泥を加温し、該消化槽内の汚泥の温度を前記所定の温度に調整する。
【0008】
下水処理施設では、家庭(住居施設)、工場、商店、オフィスビル、農地等のように、水の使用に伴い下水が生じる場所から送られてくる下水の浄化を行う。当該浄化により下水は汚泥と放流水とに分離され、このうち放流水については所定の適正な処理を経て河川等への放流が行われる。この浄化に関する技術としては、例えば国や地方公共団体で決められた放流水の水質基準を満たすように行われるエアレーション等の従来技術が採用できる。ここで、下水の温度は、河川の水温等と比べて比較的高温である。下水の高温化の傾向は近年特に顕著であり、主に生活水準の向上や工業の発展が要因と考えられる。
【0009】
そこで、上記汚泥消化システムは、下水に含まれる熱エネルギーに着目し、これを利用した汚泥消化処理を行う。消化とは、嫌気性菌等の微生物の活動により汚泥の安定化や減量化を図るものである。上記汚泥消化システムは、消化槽の内外を循環する汚泥が通過する熱交換部を介して、下水に含まれる排熱を消化槽へ供している。よって、下水処理場にある熱エネルギーの有効活用が可能となるシステムである。また、汚泥が溜まる消化槽内では流入する汚泥の温度変化を吸収する機能も併せ持つため、消化槽の投入側で汚泥の温度を制御する場合に比べてはるかに容易な制御および管理手法となる。
【0010】
なお、排熱としては、例えば、上流側の家庭や工場等から排出される下水に含まれる熱であり、この場合、温度調整手段は、ヒートポンプを用いて前記下水から回収した排熱で消化槽内の汚泥を加温し、汚泥を前記所定の温度に調整する。このような下水の温度は消化槽内の目標温度よりも低いが、ヒートポンプであればこのような低温の下水に含まれる排熱を回収し、消化槽内の目標温度に高めて加温に用いることができる。
【0011】
なお、前記汚泥消化システムは、下水を汚泥と外部に放流可能な程度に浄化された放流水とに分離して該下水の浄化を行う下水処理施設に設置されて、該下水処理施設における下水の浄化の工程で発生する汚泥を嫌気性菌等の微生物の作用で消化するものであり、前記温度調整手段は、前記下水処理施設から外部へ放流する前の放流水及び該下水処理施設内で処理工程の途中にある中間処理水の少なくとも何れかから回収した前記排熱を利用して、前記消化槽内の汚泥の温度を前記所定の温度に調整するものであってもよい。
【0012】
上記汚泥消化システムを下水処理施設に設置し、下水に含まれる熱エネルギーを有効利用すれば、下水を処理した後の放流水の温度が下がり、放流先の河川等に対する環境負荷を軽減することができる。
【0013】
また、前記汚泥消化システムは、前記消化槽内で発生する消化ガスを、下水処理施設内の電気設備へ電力を供する発電装置あるいは汚泥を乾燥させる汚泥乾燥処理装置あるいは汚泥を焼却させる汚泥焼却処理装置の燃料として供給する消化ガス供給手段を更に備えるものであってもよい。余剰な可燃性の消化ガスを発電用の燃料あるいは汚泥乾燥や汚泥焼却の燃料として用いることで、化石燃料等の使用量を削減でき、汚泥の処理に要するエネルギーの多くを下水処理施設内で賄うことが可能になる。
【発明の効果】
【0014】
処理水に含まれる大量および安定的な熱を有効利用することで環境負荷を軽減しつつ信頼に足る動作が可能な汚泥消化システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】汚泥消化システムを備えた下水処理施設の概要図である。
【図2】汚泥消化システムの構成図である。
【図3】変形例に係る汚泥消化システムの構成図である。
【図4】変形例に係る汚泥消化システムの構成図である。
【図5】消化ガス供給設備の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本願発明の実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本願発明の実施態様を例示的に示すものであり、本願発明はこのような実施形態に限定されるものではない。
【0017】
図1は、本実施形態に係る汚泥消化システムを備えた下水処理施設の概要図である。下水処理施設1は、標準活性汚泥法により下水を処理する施設であり、家庭等の住居施設から排出される生活排水2や工場から排出される工場排水3を処理して浄化し、放流する。下水処理施設1に流入した下水は、最初沈殿池4内でそこに含まれる汚泥の最初の沈殿が行われる。そして、最初沈殿池4での上澄みが次の反応タンク5(エアレーションタンクともいう)に送られ、いわゆるエアレーションによる浄化が行われる。一方で、最初沈殿池4での残渣物は、一般には固形分を1.0〜2.0重量%程度含む汚泥となる。反応タンク5によってエアレーション処理が行われると、更に最終沈殿池6に送られ、そこでも汚泥の沈殿が行われる。この最終沈殿池6での残渣物は、一般に固形分を1.0重量%程度含む汚泥となる。これらの汚泥は汚泥濃縮設備8、消化槽9、汚泥脱水設備10Aで消化、濃縮、脱水などの処理を経た後、汚泥乾燥システム10B、汚泥焼却システム10Cに送られる。また、最終沈殿池6での上澄みは、国等が定めた河川放流のための放流水の放流基準を満たすように所定の適切な処理が施された上で、放流施設7から河川への放流が実行されることになる。
【0018】
ここで、消化槽9内に流れ込んだ汚泥は、槽内で概ね30〜45日程度の期間を経たのちに、後段の汚泥脱水設備10Aへ送られるよう、下水処理施設1内の各機器が設計されている。
【0019】
このように下水処理施設1には工場や住居施設で利用された後の水、すなわち下水が集約されてくる。ここで工場排水3については、工場での生産活動に供されたことで、その水温は比較的高温となる傾向がある。また生活排水2についても、住居施設での温水としての利用等によって、その水温も比較的高温となる傾向がある。結果的に、下水処理施設1に集約される下水の温度も比較的高くなり、特に工場や住居施設が密集する都市部や、工業化が進む近年においてはその傾向がより顕著になっている。
【0020】
下水処理施設1では、エアレーション等を実施することで下水の浄化が行われるが、これらエアレーションによって下水温度は大きく変動しない。流入する工場排水や生活排水の水温の上昇が、最終的に河川に放流される放流水の温度上昇に影響を与える傾向がある。特に、都市部では人口の集中により、また工場が設立されている地域ではそこでの工業活動により河川への放流水温度の上昇が顕著となる。例えば、東京都心部の下水処理施設から河川に放流される放流水の水温については、季節による変動はあるものの直近の約40年間においては下水温度が5.5度程度上昇しているという測定結果も得られており、特に1990年代以降での放流水温度の上昇は顕著である。このような水温が上昇した下水が結果的に河川に放流されると河川の水温が上昇することになるため、河川を中心として海洋や湖沼の生態系に与える影響は深刻である。
【0021】
そこで、上記下水処理施設1に設けられる汚泥消化システム11Aでは、上述の最終沈殿池6から放流施設7に送られ河川に放流される前の放流水が有する熱エネルギーの熱回収が行われ、その回収熱を利用して汚泥の消化処理が行われる。すなわち、汚泥消化シス
テム11Aが備えるヒートポンプ12が、上記最初沈殿池4や反応タンク5、最終沈殿池6によって下水から汚泥が取り除かれた状態の放流水が有する排熱を、放流施設7が外部(河川)へ放流水を放流する前に抽出し、この排熱の熱エネルギーを利用することで消化槽9の加温を行なう。
【0022】
図2は、汚泥消化システム11Aの構成図である。汚泥消化システム11Aは、図2に示すように、放流施設7の下流側に設けられた熱交換器13から、放流水の熱エネルギーを回収する。熱交換器13の二次側は、熱源水ポンプ14によって循環する熱源水が流れる。この熱源水は、ヒートポンプ12の主構成品である圧縮機15と膨張弁16とにより圧縮と減圧とが繰り返される冷媒が内部で循環する蒸発器17によって熱を回収され、圧縮機15によってその回収温度を高めた後、凝縮器18の二次側を流れる循環水へ送られる。循環水は、循環水ポンプ19によって凝縮器18と消化槽熱交換器27との間を循環している。この消化槽熱交換器27は、消化槽9の内外を汚泥が循環する経路に設けられており、管側を流れる循環水と胴側を流れる汚泥との間で熱交換が行われる。このため、放流水から回収された熱エネルギーが消化槽9内へ送られ、消化槽9内の汚泥が加温されることとなる。なお、熱交換器13を放流施設7の下流側ではなく、放流施設7の上流側に設けてもよい。
【0023】
上記汚泥消化システム12によれば、消化槽9内の汚泥を加温するためのエネルギー源を主に放流水の熱エネルギーとするため、システム全体を駆動するための電力等はヒートポンプ12の圧縮機15や熱源水ポンプ14、循環水ポンプ19、汚泥ポンプ26の駆動に供されるものに限られ、その結果、汚泥の加温のために必要とされる外部からの投入エネルギーを抑制することができる。これにより、河川への放流水の温度を低下させることができるとともに、汚泥の消化に要するエネルギーの一部又は全部を下水処理施設1内で賄うことが可能になるため、汚泥処理に要するコストを低く抑えることができる。
【0024】
ここで、上述したヒートポンプ12の制御は、内蔵する制御器20によって行われる。すなわち、制御器20は、消化槽9に取り付けられた温度センサ21の出力が所定の出力になるように圧縮機15の駆動モータを制御する。これにより、消化槽9内の汚泥の温度が所定の温度に保たれて槽内の嫌気性菌等の微生物の活動が活発化され、これらの作用によって汚泥が安定化され且つ減量化される。ここで、所定の温度とは、消化槽9内に投入して槽内の汚泥と共存し、該汚泥を有機的に消化する嫌気性菌等の微生物の活動に適する温度であり、嫌気性菌等の微生物の種類にもよるが、主に37±5℃の中温消化や、52℃±5℃程度の高温消化の2種類がある。
【0025】
図3は、上記汚泥消化システム11Aを変形した汚泥消化システム11Bの構成図である。上述した汚泥消化システムでは、消化槽9内の汚泥を消化槽熱交換器27で加温していた。本変形例では、消化槽9の内外を汚泥が循環する経路が凝縮器18内を通過する。汚泥が循環する経路には汚泥ポンプ26が設けられており、消化槽9内から吸い込んだ汚泥を凝縮器18の二次側へ送る。このように構成される汚泥消化システム11Bであれば、消化槽9内の汚泥の循環が行われることで配管システムが簡略化でき、配管経路が汚泥により閉塞するトラブルも改善される。
【0026】
図4は、上記汚泥消化システム11Aを変形した汚泥消化システム11Cの構成図である。上述した汚泥消化システム11Aでは、一つの消化槽9を備え、この温度を制御していた。本変形例では、消化槽9を複数有しており、各消化槽9について汚泥ポンプ26と消化槽熱交換器27がそれぞれ設けられている。凝縮器から出る循環水の経路には往ヘッダ23と還ヘッダ24が設けられており、このヘッダから並列に分流する循環水が複数設けられた消化槽熱交換器27の管側を流れる。凝縮器18から出る循環水の温度は温度センサ21Aによって検出され、このセンサの出力が一定になるように圧縮機15の駆動モ
ータが制御される。凝縮器18から出た循環水は、消化槽9に取り付けられた温度センサ21の出力に応じて開度を調整する三方弁22により、消化槽9内を通る経路と消化槽9をバイパスする経路とに分流される。三方弁22は、消化槽9の温度が所定の温度よりも低ければバイパス経路の流量を減らして消化槽9内を通る経路の流量を増加させ、また、消化槽9の温度が所定の温度よりも高ければ消化槽9内を通る経路の流量を減らしてバイパス経路の流量を増加させる。これにより、消化槽9内の汚泥の温度が所定の温度に保たれて汚泥に含まれる嫌気性菌等の微生物の活動が活発化され、これら嫌気性菌等の微生物の作用によって汚泥が安定化され且つ減量化される。このように構成される汚泥消化システム11Cであれば、下水処理施設1の処理能力や工程管理、施工の都合上から消化槽9を複数設ける場合であっても、各消化槽9の温度を適正に保ちつつ、河川への放流水の温度を低下させることができるとともに、汚泥処理に要するコストを低く抑えることができる。なお、消化槽9は2つのみならず3つ以上であってもよい。また、複数並列に設けた消化槽9と同様、ヒートポンプ12を並列に設けてもよい。また、複数の消化槽9を直列に設け、各消化槽9の温度が互いに異なるように調整してもよい。
【0027】
このように、下水処理施設で発生する処理水に含まれる低温排熱のエネルギーを、汚泥消化システムが備えるヒートポンプにより有効に回収し、回収した熱エネルギーを消化槽の熱源とすることで、汚泥の安定化と減量化に要する熱エネルギーを下水処理施設内で賄うことが可能となる。すなわち、汚泥の消化を外部から運搬してくる化石燃料に依存せずとも実現することができるため、環境への負荷を軽減することが可能である。また、河川への放流水については、ヒートポンプによる熱回収によりその水温が低下することになるため、河川等の温暖化を防止することができる。また、消化槽内の嫌気性菌等の微生物の活動により生ずる消化ガスであるメタン等の可燃性ガスを回収し、回収した消化ガスを都市ガス等と混合して汚泥乾燥システムの乾燥(炭化)炉や発電機の燃料として用いることで、下水処理施設内で熱エネルギーを更に有効活用することができる。図5は、消化槽9内の消化ガスを回収し、発電機や乾燥炉、焼却炉の燃料として用いるための消化ガス供給設備の構成図である。図5に示すように、消化ガス供給設備30は、ガス管31とガスヘッダ32を備えており、消化槽9の気相部から回収した消化ガスと都市ガスとがガス管31を流れ、混合ガスがガスヘッダ32へ供給される。ガスヘッダ32の下流側には、発電機28、乾燥炉29A、焼却炉29Bが接続されており、発電用の燃料ガスあるいは乾燥用、焼却用の燃料ガスとして用いられる。このような消化ガス供給設備30を上述した汚泥消化システムに設けることで、余剰な可燃性の消化ガスを発電や汚泥の乾燥に用いて化石燃料等の使用量を削減でき、汚泥の処理に要するエネルギーの多くを下水処理施設内で賄うことが可能になるため、汚泥処理に要するコストを低く抑えることができる。
【符号の説明】
【0028】
1・・・下水処理施設
2・・・生活排水
3・・・工場排水
4・・・最初沈殿池
5・・・反応タンク
6・・・最終沈殿池
7・・・放流施設
8・・・汚泥濃縮設備
9・・・消化槽
10B・・汚泥乾燥システム
11A,11B,11C・・汚泥消化システム
30・・消化ガス供給設備

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下水の浄化処理で生ずる汚泥を嫌気性菌等の微生物の作用で消化する汚泥消化システムであって、
前記汚泥を貯留して前記嫌気性菌等の微生物に消化させる消化槽と、
前記下水から回収した該下水中に含まれる排熱で前記消化槽内の汚泥を加温し、該汚泥を前記嫌気性菌等の微生物の活動に適する所定の温度に調整する温度調整手段と、を備え、
前記温度調整手段は、前記消化槽の内外を循環する汚泥が流通する熱交換部を介して、該消化槽内の汚泥を加温し、該消化槽内の汚泥の温度を前記所定の温度に調整する、
汚泥消化システム。
【請求項2】
前記排熱は、上流側の家庭や工場等から排出される排水に含まれる熱であり、
前記温度調整手段は、ヒートポンプを用いて前記下水から回収した前記排熱で前記消化槽内の汚泥を加温し、該汚泥を前記所定の温度に制御する、
請求項1に記載の汚泥消化システム。
【請求項3】
前記汚泥消化システムは、前記下水を汚泥と外部に放流可能な程度に浄化された放流水とに分離して該下水の浄化を行う下水処理施設に設置されて、該下水処理施設における下水の浄化の工程で発生する汚泥を嫌気性菌等の微生物の作用で消化するものであり、
前記温度調整手段は、前記下水処理施設から外部へ放流する前の放流水及び該下水処理施設内で処理工程の途中にある中間処理水の少なくとも何れかから回収した前記排熱を利用して、前記消化槽内の汚泥の温度を前記所定の温度に調整する、
請求項1または2に記載の汚泥消化システム。
【請求項4】
前記消化槽内で発生する消化ガスを、下水処理施設内の電気設備へ電力を供する発電装置あるいは汚泥を乾燥させる汚泥乾燥処理装置あるいは汚泥を焼却させる汚泥焼却処理装置へ燃料として供給する消化ガス供給手段を更に備える、
請求項1から3の何れか一項に記載の汚泥消化システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−36781(P2011−36781A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−185776(P2009−185776)
【出願日】平成21年8月10日(2009.8.10)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【Fターム(参考)】