説明

汚泥炭化物製造設備

【課題】更なる省エネルギー化を可能とする汚泥炭化物製造設備を提供する。
【解決手段】乾燥炉101と炭化炉102とを直列に配設すると共に、炭化炉102内を低酸素雰囲気で炭化処理するものとし、当該炭化炉102で発生する易燃性の炭化炉排ガスを二次燃焼室104に導入して二次燃焼用空気を供給することで高温燃焼させ、その燃焼室排ガスを乾燥炉101に導入して汚泥を乾燥し、その乾燥汚泥を炭化炉102で炭化し、乾燥炉101の乾燥炉排ガスを二次燃焼室104に導入することで脱臭することができるので、連続運転時の炭化処理や乾燥のための燃料が不要となる。また、乾燥炉101の乾燥炉排ガスを二次燃焼室104及び冷却室109に分流することにより、冷却室109に導入された乾燥炉排ガスも、高温の燃焼室排ガスに晒されるか、または冷却室109に設けられた燃焼用バーナ117で高温化されて脱臭される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機物を含有する下水汚泥などの汚泥を炭化して汚泥炭化物を製造する汚泥炭化物製造設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
家庭などから排出される有機物を含有する排水は、一般に下水処理設備で活水汚泥法などにより廃水処理される。この廃水処理に伴って、余剰の有機物含有の下水汚泥が発生するが、下水汚泥の発生量も年々増加し、その処理、処分が大きな問題となっている。即ち、下水汚泥には、多量の水が含有されているので、そのままでは処分できず、減量化のために濃縮したり脱水したり、或いは更に焼却したり、溶融したりするなどの様々な処理が行われている。しかしながら、これらの処理には多量のエネルギーが必要であり、処理コストがかさむという問題がある。
【0003】
そこで、下記特許文献1では、空気を遮断した不活性雰囲気容器内で、水分が60〜90%の脱水汚泥を450〜750℃で加熱し、炭化と賦活処理を行う方法が開示されている。また、下記特許文献2では、予め水分が10%以下となるまで造粒乾燥させた脱水汚泥を炭化炉で500℃に加熱して炭化させた上、賦活炉へ移送して800℃に加熱すると共に水蒸気を供給して賦活する活性炭の製法が開示されている。また、下記特許文献3では、下水汚泥を炭化処理して炭化物とし、その炭化物を原料として成型炭を製造することが開示され、下記特許文献4では、含水率を0〜50%とした下水汚泥を250〜500℃で炭化処理し、その後に廃油、廃油残渣と混合し、造粒処理して固形燃料とすることが開示されている。また、下記特許文献5では、下水汚泥を炭化した後、酸で無機物を抽出し、次いで賦活処理をすることにより活性炭を製造する方法が開示されている。また、下記特許文献6では、下水汚泥の脱水ケーキを気流乾燥機に導入して乾燥した後、粉状の乾燥汚泥を含む気流を固気分離器に導入して粉状の乾燥汚泥と気流とに分離し、次いで粉状の乾燥汚泥を炭化炉に導入し、伝導加熱により炭化処理して粉末活性汚泥炭を得ると共に、固気分離器からの気流を、熱風炉を兼ねる炭化炉で過熱した後、気流乾燥機に供給して気流乾燥用熱源とすることが開示されている。また、炭化炉は、燃料を燃焼させて高温雰囲気を創成するものであり、粉状の乾燥汚泥を炭化炉の加熱管に導入し、伝導加熱により炭化処理を行うようにしている。また、下記特許文献7及び特許文献8では、熱風発生炉から高温の乾燥用気体をロータリキルン型の乾燥炉に供給して汚泥を乾燥し、その乾燥汚泥を炭化炉に供給して炭化させることが開示されている。この炭化炉も、燃料を燃焼させて高温雰囲気を創成するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−64912号公報
【特許文献2】特開平7−242408号公報
【特許文献3】特開2005−270696号公報
【特許文献4】特開2006−152097号公報
【特許文献6】特許第2683225号公報
【特許文献7】特許第3787690号公報
【特許文献8】特許第3811834号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記各特許文献では、炭化処理工程或いは乾燥工程で多量の燃料を必要とし、省エネルギー面で大いに改善の余地がある。
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたものであり、更なる省エネルギー化を可能とする汚泥炭化物製造設備を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の汚泥炭化物製造設備は、有機物を含有する汚泥を炭化して汚泥炭化物を製造する汚泥炭化物製造設備であって、乾燥炉と炭化炉とを配設し、前記炭化炉内を低酸素雰囲気で炭化処理すると共に、前記炭化炉の炭化炉排ガスルートに二次燃焼室及び冷却室及び集塵機及び吸引ファン及び煙突を接続し、前記二次燃焼室の燃焼室排ガスを前記冷却室及び乾燥炉に分流し、前記乾燥炉では前記二次燃焼室の燃焼室排ガスで前記汚泥を乾燥した後、当該乾燥された乾燥汚泥を前記炭化炉で炭化し、前記乾燥炉の乾燥炉排ガスを二次燃焼室に導入することを特徴とするものである。
【0007】
また、乾燥炉集塵機を介して乾燥炉吸引ファンで前記乾燥炉の乾燥炉排ガスを吸引して前記二次燃焼室及び冷却室に分流すると共に、冷却室の乾燥炉排ガス導入部に燃焼用バーナを設けたことを特徴とするものである。
また、前記乾燥炉集塵機を乾式集塵機とし、前記乾燥炉吸引ファンと二次燃焼室との間に除湿スクラバを設け、前記乾燥炉吸引ファンの出側に、前記二次燃焼室及び冷却室への乾燥炉排ガスの分流量を制御する制御ダンパを設けたことを特徴とするものである。
【0008】
また、前記冷却室内の上部に熱交換器を設け、当該熱交換器に前記二次燃焼室への二次燃焼用空気を供給して、当該冷却室内の温度を下降すると共に当該二次燃焼用空気を予熱することを特徴とするものである。
また、前記炭化炉内の温度が、炭化物中の揮発分がなくなる700℃以上、前記二次燃焼室内の温度が、ダイオキシン発生を抑制する850℃以上、前記冷却室入側の温度が、乾燥炉排ガスの脱臭に必要な650℃以上となるように、前記有機汚泥の供給量、前記吸引ファンの吸引量、前記二次燃焼室への二次燃焼用空気吹込み量、前記乾燥炉排ガスの二次燃焼室及び冷却室への分流量を制御することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
而して、本発明の汚泥炭化物製造設備によれば、乾燥炉と炭化炉とを配設すると共に、炭化炉内を低酸素雰囲気で炭化処理するものとし、当該炭化炉で発生する易燃性の炭化炉排ガスを二次燃焼室に導入して二次燃焼用空気を供給することで高温燃焼させ、その燃焼室排ガスを乾燥炉に導入して汚泥を乾燥し、その乾燥汚泥を炭化炉で炭化し、乾燥炉の乾燥炉排ガスを二次燃焼室に導入することで脱臭することができるので、連続運転時の炭化処理や乾燥のための燃料が不要となり、大幅な省エネルギー化が可能となる。
【0010】
また、乾燥炉集塵機を介して乾燥炉吸引ファンで乾燥炉の乾燥炉排ガスを吸引して二次燃焼室及び冷却室に分流することとしたため、二次燃焼室に導入された乾燥炉排ガスは高温燃焼して脱臭され、冷却室に導入された乾燥炉排ガスも、高温の燃焼室排ガスに晒されるか、または冷却室に設けられた燃焼用バーナで高温化されて脱臭される。
また、乾燥炉集塵機を乾式集塵機とし、乾燥炉吸引ファンと二次燃焼室との間に除湿スクラバを設け、乾燥炉吸引ファンの出側に、二次燃焼室及び冷却室への乾燥炉排ガスの分流量を制御する制御ダンパを設けたことにより、二次燃焼室に導入される乾燥炉排ガスの乾燥効率が飛躍的に向上すると共に、特に冷却室に導入される乾燥炉排ガスの分流量を適正に制御することができる。
【0011】
また、冷却室内の上部に熱交換器を設け、当該熱交換器に二次燃焼室への二次燃焼用空気を供給して、当該冷却室内の温度を下降すると共に当該二次燃焼用空気を予熱することとしたため、冷却室内の冷却効率を向上することができると共に、二次燃焼室内の燃焼温度を高めることができる。
また、炭化炉内の温度が、炭化物中の揮発分がなくなる700℃以上、二次燃焼室内の温度が、ダイオキシン発生を抑制する850℃以上、冷却室入側の温度が、乾燥炉排ガスの脱臭に必要な650℃以上となるように、有機汚泥の供給量、吸引ファンの吸引量、二次燃焼室への二次燃焼用空気吹込み量、乾燥炉排ガスの二次燃焼室及び冷却室への分流量を制御することとしたため、汚泥炭化物製造設備としての機能を比較的容易に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の汚泥炭化物製造設備の一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】図1の汚泥炭化物製造設備に設けられた乾燥炉の正面図である。
【図3】図1の汚泥炭化物製造設備に設けられた炭化炉の説明図であり、(a)は正面図、(b)は縦断面図である。
【図4】従来の汚泥炭化物製造設備の一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明の汚泥炭化物製造設備の一実施形態について図面を参照しながら説明する。本実施形態では、例えば下水汚泥を予備脱水して炭化物原料として用いる。図中の符号101は、脱水汚泥が供給される乾燥炉である。乾燥炉101の詳細は後段に詳述する。この乾燥炉101では、後述する二次燃焼室から高温の燃焼室排ガスが導入され、その燃焼室排ガスの顕熱で脱水汚泥を乾燥する。乾燥炉101で乾燥された乾燥汚泥は、当該乾燥炉101に直列に配設された炭化炉102に導入される。炭化炉102の詳細は後段に詳述する。この炭化炉102では、雰囲気酸素濃度が3%以下、好ましくは2%以下という低酸素雰囲気で乾燥汚泥から発生する汚泥ガス及び乾燥汚泥の一部を燃焼させることにより炭化処理を行い、必要に応じて高温調整・賦活化処理を行って汚泥炭化物を製造する。
【0014】
低酸素雰囲気で炭化処理を行う炭化炉102では、易燃性の炭化炉排ガスが生じる。本実施形態では、この易燃性の炭化炉排ガスを炭化炉排ガス導入路103から二次燃焼室104に導入する。二次燃焼室104には、燃焼用空気ファン106で吸引した燃焼用空気を燃焼用空気導入路105から導入し、この燃焼用空気と主として易燃性の炭化炉排ガスとを高温燃焼させ、その高温の二次燃焼室排ガスの一部を燃焼室排ガス導入路107から前記乾燥炉101に導入する。従って、乾燥炉101では、燃料を用いることなく、脱水汚泥を乾燥して乾燥汚泥を得ることができる。
【0015】
燃焼室排ガスの残りは、燃焼室排ガス排出路108から冷却室109に排出され、冷却室109内の下部に設けられた冷却装置110で冷却され、集塵機111、吸引ファン112、煙突113を経て排出される。冷却装置110は、ポンプ114で汲み上げた冷却水をシャワー115から噴射して雰囲気温度を低下させるものである。冷却室109の上部には、熱交換器116が設けられており、この熱交換器116に前記二次燃焼用空気導入路105の二次燃焼用空気を導入し、高温の燃焼室排ガスと熱交換して当該二次燃焼用空気を予熱すると共に、燃焼室排ガス温度を下降させる。このように二次燃焼用空気を予熱することにより、二次燃焼室104内の燃焼温度を更に高めることができる。また、冷却室109内の冷却効率も向上する。また、燃焼室排ガスが導入される冷却室109の最上部には燃焼用バーナ117が設けられているが、その作用の詳細については後段に説明する。
【0016】
一方、乾燥炉101の乾燥炉排ガスは、乾燥炉排ガス導入路118から二次燃焼室104のうち、前記炭化炉排ガス導入路103による炭化炉排ガスの導入部近傍に導入される。乾燥炉排ガス導入路118には、乾燥炉101側から順に、乾燥炉集塵機119、乾燥炉吸引ファン120、除湿スクラバ121が介装されている。除湿スクラバは洗浄集塵機である。また、乾燥炉集塵機119は、サイクロン、或いはマルチサイクロンなどの乾式集塵機である。乾式集塵機、除湿スクラバの組合せにより、二次燃焼室104に導入される乾燥炉排ガスの集塵、除湿スクラバでは、集塵と除湿を促進し、この除湿により乾燥炉排ガスの体積減少を促進させる。また、乾燥炉排ガス導入路118のうち、乾燥炉吸引ファン120と除湿スクラバ121との間から乾燥炉排ガス排出路122が分岐され、乾燥炉排ガスの一部が、前記冷却室109のうち、燃焼室排ガス排出路108による燃焼室排ガス排出部の近傍に排出される。なお、乾燥炉排ガス排出路122には、二次燃焼室104及び冷却室109への乾燥炉排ガスの分流量を制御する制御ダンパ123が介装されている。
【0017】
乾燥炉101では、脱水汚泥の乾燥工程で、臭気が発生する。この乾燥炉排ガスの臭気は、650℃に加熱することで脱臭される。即ち、本実施形態では、乾燥炉排ガスを二次燃焼室104に導入し、炭化炉排ガスと二次燃焼用空気による高温燃焼に晒すことで650℃以上の高温に達し、乾燥炉排ガスが脱臭される。また、冷却室109に排出される乾燥炉排ガスも、二次燃焼室104からの高温の燃焼室排ガスに晒されることで650℃以上の高温に達し、脱臭される。また、操業開始時などのように燃焼室排ガスの温度が低い場合には、燃焼用バーナ117で燃料を燃焼して乾燥炉排ガスを650℃以上に加熱し、脱臭する。
【0018】
図2には、前記乾燥炉101として好適な3種類を、夫々、図2a、図2b、図2cとして示す。図2aに示す乾燥炉101は、二重管キルン形式であり、互いに平行な円筒からなる二重管は、脱水汚泥の供給側から乾燥汚泥の排出側に向けて、下側面が次第に低くなるように傾斜されている。二重管構造の内側管51は、前記二次燃焼室104の燃焼室排ガスを導入する管であり、内側管51の外周面には撹拌翼52が突設されている。二重管構造の外側管53は、スクリューフィーダ55から供給される脱水汚泥を受け、乾燥汚泥の排出側に向けて次第に移動させる管であり、外側管53の内周面にも撹拌翼54が突設されている。なお、図中の符号56は排出側固定チャンバーであり、回転する二重管構造に対しては、ラビリンスシールなどのシール構造が介装されている。また、回転する二重管構造の外側管53は、支持ローラ57で回転自在に支持されている。
【0019】
図2bは、図2aと同様の二重管構造を有するが、外側管53は、脱水汚泥の供給側が細く、乾燥汚泥の排出側が太い、円錐台形状のテーパ管である。一般に、二重管テーパ管形式と呼ばれる。外側管53を構成する円錐台形状のテーパ管は、軸を水平に保持しても、脱水汚泥の供給側から乾燥汚泥の排出側に向けて、下側面が次第に低くなっているので、二重管の軸は水平である。なお、外側管53を回転自在に支持する支持ローラ57には、図2aと同等の符号を付した。
【0020】
これらの乾燥炉101では、内側管51は、スクリューフィーダ55まで到達していない。この内側管51には、乾燥汚泥の排出側から二次燃焼室104の燃焼室排ガスを導入する。燃焼室排ガスは、内側管51のスクリューフィーダ55側端部、つまり脱水汚泥の供給側から外側管53内に噴出し、外側管53内を、脱水汚泥の供給側から乾燥汚泥の排出側、つまり排出側固定チャンバー56側に流れ、当該排出側固定チャンバー56の上部から乾燥炉排ガスとして排出される。乾燥汚泥は、排出側固定チャンバー56の下部から排出される。
【0021】
図2cは、内側管のない、円錐台形状のテーパ管からなる外側管53のみのテーパ管形式である。外側管53は、前記図2bと同じく、脱水汚泥の供給側が細く、乾燥汚泥の排出側が太いので、軸を水平に保持しても、脱水汚泥の供給側から乾燥汚泥の排出側に向けて、下側面が次第に低くなっている。なお、外側管53を回転自在に支持する支持ローラ57には、図2aと同等の符号を付した。また、外側管53の内周面には、図2a、図2bと同じく撹拌翼54が突設されている。
【0022】
円錐台形状のテーパ管からなる外側管53の乾燥汚泥排出側には、図2a、図2bと同様に排出側固定チャンバー56が液密に取付けられ、脱水汚泥供給側には供給側固定チャンバー58が液密に取付けられている。燃焼室排ガスは排出側固定チャンバー56の上部から導入され、外側管53の内部を乾燥汚泥排出側から脱水汚泥供給側に流れ、供給側固定チャンバー58の上部から乾燥炉排ガスとして排出される。
【0023】
何れの乾燥炉101でも、スクリューフィーダ55から外側管53の内部に脱水汚泥が供給されると、外側管53の回転に伴って脱水汚泥は次第に乾燥汚泥の排出側に移動される。二次燃焼室104の燃焼室排ガスは、後述するように850℃にも達する。この燃焼室排ガスが導入される乾燥炉101では、二重管構造の場合は、内側管51からの輻射熱を含めて、燃焼室排ガスの顕熱で脱水汚泥が乾燥される。脱水汚泥は、予め予備脱水された脱水ケーキであり、含水率が70〜80%である。各乾燥炉101では、脱水汚泥は排出方向に移動されながら、且つ撹拌翼102、104で混合されながら、燃焼室排ガスの顕熱で乾燥され、含水率40%以下、好ましくは含水率30%以下の乾燥汚泥として排出される。なお、乾燥汚泥は砂状であり、コンベヤなどで容易に前記炭化炉102へ搬送可能である。また、乾燥炉排ガスは200℃程度まで冷却される。
【0024】
図3には、乾燥炉で乾燥された乾燥汚泥を炭化する前記炭化炉102に好適な揺動式炭化炉の一例を示す。図3aは、本実施形態の揺動式炭化炉の正面図、図3bは、後述する原料受入乾燥領域における揺動式炭化炉の縦断面図である。炭化炉本体1は、図3aの左方が小径で、右方が大径のほぼ円錐台状であり、この円錐台状の炭化炉本体1を軸が水平になるように配設することにより、炉壁下部が、小径側から大径側下がりに傾斜しているのが特徴である。この炭化炉本体1の小径側には、後述する原料投入口及び着火口が設けられており、大径側には固定チャンバー21が液密に取付けられ、この固定チャンバー21に炭化物排出口が設けられている。従って、円錐台状の炭化炉本体1の小径側の原料投入口に装入した原料が、炭化炉本体1の揺動により、転がりながら、比較的ゆっくりと大径側、即ち炭化物排出口側に移動するのが理想である。
【0025】
前述した原料を原料受入ホッパ2に供給し、スクリューフィーダなどの供給装置3により炭化炉本体1の小径端側から炉内に供給する。従って、炭化炉本体1の供給装置3との接続部が原料投入口になる。炭化炉本体1の小径端側には電気ヒータ4が設けられており、この電気ヒータ4で原料に着火し、その部分燃焼熱で、炉内を400℃から450℃まで昇温する。従って、炭化炉本体1の電気ヒータ4との接続部が着火口になる。電気ヒータで着火した以降は、乾留用空気吹込口5〜9からの空気供給によって炉内温度を制御する。また、着火操作以降に連続供給される原料については、炭化炉本体1の小径端側に存在する着火済原料を火種として連続着火処理が可能となる。また、電気ヒータ4に代え、火種を炭化炉本体1内の小径端側から炉内に投入してもよい。
【0026】
本実施形態では、炭化炉本体1内を、小径端側から、原料受入乾燥領域、表面乾留領域、内部乾留領域、高温調整・賦活化領域に4分割されており、夫々、炭化炉本体1の下部に、原料受入乾燥領域乾留用空気吹込口5、表面乾留領域乾留用空気吹込口6、内部乾留領域乾留用空気吹込口7、高温調整・賦活化領域乾留用空気吹込口8が設けられており、夫々、炭化炉本体1の上部に設けられている原料受入乾燥領域乾留用空気供給ファン(送風機)10、表面乾留領域乾留用空気供給ファン11、内部乾留領域乾留用空気供給ファン12、高温調整・賦活化領域乾留用空気供給ファン13から個別に空気が供給される。また、高温調整賦活化領域には、更に高温調整・賦活化領域乾留用空気及び蒸気吹込口9が設けられている。この高温調整・賦活化領域乾留用空気及び蒸気吹込口9には、前記高温調整・賦活化領域乾留用空気供給ファン13からの空気と、個別の蒸気(水蒸気)が供給される。即ち、全ての領域の供給空気量は、該当する領域に設けられた乾留用空気供給ファン10〜13によって個別に制御可能である。
【0027】
なお、蒸気は、例えば炭化炉本体後端側に接続された乾留工程で発生する乾留ガスの燃焼装置の排熱回収装置から供給される。また、図中の符号5aは、原料受入乾燥領域乾留用空気供給ファン10と原料受入乾燥領域乾留用空気吹込口5とを結ぶ原料受入乾燥領域乾留用空気供給ライン、図中の符号6aは、表面乾留領域乾留用空気供給ファン11と表面乾留領域乾留用空気吹込口6とを結ぶ表面乾留領域乾留用空気供給ライン、図中の符号7aは、内部乾留領域乾留用空気供給ファン12と内部乾留領域乾留用空気吹込口7とを結ぶ内部乾留領域乾留用空気供給ライン、図中の符号8aは、高温調整・賦活化領域乾留用空気供給ファン13と高温調整・賦活化領域乾留用空気吹込口8とを結ぶ高温調整・賦活化領域乾留用空気供給ラインを示す。
【0028】
各乾留用空気吹込口5〜8は、例えば図3bの原料受入乾燥領域乾留用空気吹込口5に代表されるように、炭化炉本体1の下部のうち、炭化炉本体1の同一周線上の離間した2カ所に設けられている。これらの乾留用空気吹込口5〜8は、炭化炉本体1の炉壁に多数の細孔を設けて形成されており、それらの細孔から原料に空気を供給する。本実施形態のように、炭化炉本体1の下部のうち、炭化炉本体1の同一周線上の離間した2カ所に乾留用空気吹込口5〜8を設けることにより、後述するように炭化炉本体1の下側で揺動する原料に効率よく空気を供給することができる。
【0029】
原料投入口から炭化炉本体1内に原料が投入された直後の原料受入乾燥領域では、前述のように原料着火後、原料受入乾燥領域乾留空気吹込口5に供給する空気量を制御して、炉内温度を400〜450℃とすることにより、原料の乾燥が行われ、炭化炉本体1の揺動に伴って次の表面乾燥領域に移動して、ここから乾留が行われる。表面乾留領域では、表面乾留領域乾留用空気吹込口6に供給する空気量を制御して、炉内温度を450〜600℃とし、内部乾留領域では、内部乾留領域乾留用空気吹込口7に供給する空気量を制御して、炉内温度を600〜700℃とする。装入原料を燃料に変換する程度の乾留であれば、この段階で乾留を終了することができる。
【0030】
続く高温調整・賦活化領域では、賦活化処理の前に、特に高温調整・賦活化領域乾留用空気吹込口8に供給する空気量を制御して、炉内温度を700〜850℃の高温に設定し、然る後、高温調整・賦活化領域乾留用空気及び蒸気吹込口9から空気及び蒸気を同時に供給して原料を賦活化する。高温の原料は蒸気に接触することで炭化物が賦活化して多孔体となる。例えば土壌改良材や活性炭に近い性能を持つ炭化物などの、所謂高級炭化物を製造する場合には、炭化物原料を700℃以上の高温に保持し、その温度状態で蒸気と接触することによって賦活化、即ち多孔体化が行われる。なお、賦活化処理は、吸熱反応であるから、水蒸気と空気を同時に供給することにより、発熱反応を同時に行って熱補償を行う。
【0031】
本実施形態では、炭化炉本体1を揺動可能に支持するために、炭化炉本体1の軸方向に離間した複数箇所の夫々に、当該炭化炉本体の外周面の下側面に沿う半円周又は半円周より短い補強体14、16を固定した。円錐台状の炭化炉本体1に対し、小径端側補強体14及び大径端側補強体16の2カ所に補強体を固定し、その夫々を、夫々、2個の小径端側支持ローラ(支持体)17及び大径端側支持ローラ(支持体)20で支持する。補強体14、16は、半円弧のレール状、つまり半円周であり、この半円周レール状の補強体14、16の夫々を、夫々、両フランジ付きの2個の支持ローラ17、20で支持する。各支持ローラ17、20は回転自在とした。なお、補強体及び支持ローラ(支持体)からなる支持装置の配設数は前記に限定されるものではないが、揺動式炭化炉の軸方向長さから鑑みて、凡そ2〜4カ所が適切である。そして、小径端側補強体14と大径端側補強体16の中央の炭化炉本体1の外周面にラック状の大径ギヤ15を溶接固定し、この大径ギヤ15に噛合する小径ギヤ18を揺動用モータ19で正逆方向に回転駆動することで、炭化炉本体1を揺動する。
【0032】
装置的に揺動する本実施形態の炭化炉本体1の場合、炭化炉本体1の全周360°のうち、支持ローラ17、20に接触する部分だけ、つまり本実施形態では炭化炉本体1の下側半円周分だけ、補強体14、16を配設すればよいので、特に補強体を含む炭化炉本体1の上部の重みを軽減することができ、炭化炉本体1の外周面全周を覆うリング体からなる補強体を用いる場合に比して、補強体14、16を含む炭化炉本体1の重量を大幅に低減することができ、炭化炉本体1の揺動方向切換え時の慣性力を減少することが可能となる。しかも、本実施形態の場合、炭化炉本体1を揺動するための揺動装置を補強体14、16と個別としたため、リング体からなる補強体と揺動装置との間に滑りが生じることがないから、前述の炭化炉本体1のよう同方向切換え時の慣性力の低減と合わせて、装置の耐久性を向上することが可能となる。
なお、図3に好適例として示した揺動式炭化炉のほか、特開平7−3266号公報、特開2003−41260号公報、特許第4005515号公報に記載される揺動式炭化炉も使用可能である。
【0033】
乾燥汚泥の乾留・炭化は、乾燥汚泥に完全燃焼が生じないように空気量を制御することが必要である。即ち、有機汚泥を炭化する際、有機汚泥から発生する汚泥ガス及び/または有機汚泥の一部を酸素雰囲気濃度3%以下、好ましくは酸素雰囲気濃度2%以下の低酸素雰囲気で燃焼させて、完全燃焼が生じないように空気量を制御して炭化物を製造する。このとき、炭化炉102から得られる炭化炉排ガスは、700℃以上の有機汚泥の乾留ガスであり、極めて高温・易燃性である。この炭化炉排ガスを二次燃焼室104に導入し、前述したように熱交換器116で予熱された二次燃焼用空気を導入し、燃焼すると、二次燃焼室104内はダイオキシン発生を抑制する850℃以上に2秒間以上維持される。この二次燃焼による高温に晒された乾燥炉排ガスは850℃以上、すなわち脱臭に必要な650℃以上に加熱されるため完全脱臭される。
【0034】
また、高温の炭化炉排ガスは、通常の吸引ファンで直接吸引することが困難であるため、吸引ファン112の吸引量、二次燃焼室104への二次燃焼用空気の吹込み量、乾燥炉排ガスの二次燃焼室104及び冷却室109への分流量、並びに有機汚泥の供給量を制御することで、炭化炉排ガスを二次燃焼室に誘引する。また、これらを適切に制御しなければ、炭化炉102内の温度を、炭化物中の揮発分がなくなる700℃以上、二次燃焼室104内の温度を、ダイオキシン発生を抑制する850℃以上、冷却室109入側の温度を、乾燥炉排ガスの脱臭に必要な650℃以上とすることができない。
【0035】
ちなみに、乾燥炉101の乾燥炉排ガスの水分を除湿スクラバ121などで制御する理由は、以下の通りである。前述のように、70〜80%の含水率の脱水汚泥を含水率40%以下、好ましくは含水率30%以下の乾燥汚泥に乾燥処理する段階で、多量の蒸気が発生することになり、乾燥炉101から排出される乾燥炉排ガスは相当に湿度が高い。この湿度の高い乾燥炉排ガスをそのまま二次燃焼室104に導入すると燃焼室排ガスの温度が低くなるばかりでなく、燃焼室排ガスも水分過飽和の状態となり、乾燥炉101に導入しても効率のよい乾燥処理を行うことができない。また、除湿スクラバ121を通さない湿度の高い燃焼室排ガスを煙突113から排出すると白煙発生の恐れがある。そのため、除湿スクラバ121で乾燥炉排ガスを散水により一旦冷却することにより、除塵と除湿、さらに乾燥炉排ガス体積を減少させる処理を行うのである。
なお、本実施形態の汚泥炭化物製造設備の運転の開始、運転の再開は、前記乾燥汚泥を保管しておけば、その乾燥汚泥を炭化炉102に供給し、炭化処理することで、二次燃焼室104に高温の燃焼室排ガスが発生して運転が開始される。
【0036】
また、下水処理側の脱水機故障などにより脱水汚泥が多量の含水量(例えば80%超)となっても、炭化炉102に供給する、乾燥汚泥の他、RDF、廃木材などのようなカロリーの高い原料を併用することで運転を継続することができる。
図4には、本実施形態の汚泥炭化物製造設備の比較例として、従来の汚泥炭化物製造設備の一例を示す。この汚泥炭化物製造設備でも、乾燥炉201と炭化炉202を直列に配設し、乾燥炉201で脱水汚泥を乾燥して乾燥汚泥とし、その乾燥汚泥を炭化炉202で炭化して汚泥炭化物を得る。乾燥炉201はロータリキルン型の乾燥炉であり、熱風発生炉203で発生した700℃以上の乾燥用気体を熱風導入路204から導入して脱水汚泥を乾燥する。熱風発生炉203には、加熱バーナ205が設けられており、この加熱バーナ205に燃料と燃焼用空気を導入して乾燥用気体の加熱を行う。
【0037】
炭化炉202は、内部に円筒状の回転筒206を有し、その回転筒206の内部に乾燥汚泥を供給し、回転筒206と炭化炉202の本体との間の燃焼室207で発生した熱量で回転筒206内部の乾燥汚泥を、所謂蒸し焼き状態で炭化する間接加熱方式である。回転筒206には、回転筒206の内部と燃焼室207とを連通する図示しない複数の乾留ガス排出管が配設されている。また、燃焼室207には、複数の助燃バーナ208が配設されている。この炭化炉202では、まず助燃バーナ208によって燃焼室208内に高温の加熱用気体を供給して回転筒206内部の乾燥汚泥を蒸し焼き状態で炭化する。乾燥汚泥の炭化工程では、前述の炭化炉排ガスと同様に易燃性の乾留ガスが発生するので、この乾留ガスを回転筒206内部から乾留ガス排出間を通じて燃焼室208に排出し、その乾留ガスを燃焼室208内で燃焼させて、同じく回転筒206内部の乾燥汚泥を蒸し焼き状態で炭化する。
【0038】
高温の炭化炉排ガスは、炭化炉排ガス導入路209を介してブロア210で抽気され、熱風発生炉203に導入される。炭化炉排ガス中の未燃ガスは熱風発生炉203で完全燃焼される。熱風導入路204には、熱風排出路211が分岐され、排気用ブロア212、流量調整弁213、吸引ファン214を介して煙突215から排出される。また、熱風排出路211には熱交換器216が介装され、乾燥炉排ガス導入路217から、集塵機218、流量調整弁219、乾燥炉排ガス用ブロア220を介して乾燥炉排ガスが導入される。乾燥炉排ガスは、熱交換器216で高温の乾燥用気体と熱交換して加熱され、脱臭された後、熱風発生炉203に導入される。乾燥用気体は熱交換器216で冷却される。
【0039】
この汚泥炭化物製造設備でも、脱水汚泥の乾燥・炭化、乾燥炉排ガスの脱臭を行うことができるが、熱風発生炉203でも、炭化炉202でも多量の燃料を必要とする。
これに対し、本実施形態の汚泥炭化物製造設備では、冷却室109の燃焼用バーナ117で、僅かな燃料を必要とする以外、乾燥・炭化工程で燃料を必要としないことから熱風発生炉自体を省略でき、省エネルギーに優れる。
【0040】
このように本実施形態の汚泥炭化物製造設備では、乾燥炉101と炭化炉102とを配設すると共に、炭化炉102内を低酸素雰囲気で炭化処理するものとし、当該炭化炉102で発生する易燃性の炭化炉排ガスを二次燃焼室104に導入して二次燃焼用空気を供給することで高温燃焼させ、その燃焼室排ガスを乾燥炉101に導入して汚泥を乾燥し、その乾燥汚泥を炭化炉102で炭化し、乾燥炉101の乾燥炉排ガスを二次燃焼室104に導入することで脱臭することができるので、連続運転時の炭化処理や乾燥のための燃料が不要となり、大幅な省エネルギー化が可能となる。
【0041】
また、乾燥炉集塵機119を介して乾燥炉吸引ファン120で乾燥炉101の乾燥炉排ガスを吸引して二次燃焼室104及び冷却室109に分流することとしたため、二次燃焼室104に導入された乾燥炉排ガスは高温燃焼して脱臭され、冷却室109に導入された乾燥炉排ガスも、高温の燃焼室排ガスに晒されるか、または冷却室109に設けられた燃焼用バーナ117で高温化されて脱臭される。
【0042】
また、乾燥炉集塵機119を乾式集塵機とし、乾燥炉吸引ファン120と二次燃焼室104との間に除湿スクラバ121を設け、乾燥炉吸引ファン120の出側に、二次燃焼室104及び冷却室109への乾燥炉排ガスの分流量を制御する制御ダンパ123を設けたことにより、二次燃焼室104に導入される乾燥炉排ガスの乾燥効率が飛躍的に向上すると共に、特に冷却室109に導入される乾燥炉排ガスの分流量を適正に制御することができる。
【0043】
また、冷却室109内の上部に熱交換器116を設け、当該熱交換器116に二次燃焼室104への二次燃焼用空気を供給して、当該冷却室109内の温度を下降すると共に当該二次燃焼用空気を予熱することとしたため、冷却室109内の冷却効率を向上することができると共に、二次燃焼室104内の燃焼温度を高めることができる。
また、炭化炉102内の温度が、炭化物中の揮発分がなくなる700℃以上、二次燃焼室104内の温度が、ダイオキシン発生を抑制する850℃以上、冷却室109入側の温度が、乾燥炉排ガスの脱臭に必要な650℃以上となるように、有機汚泥の供給量、吸引ファン112の吸引量、二次燃焼室104への二次燃焼用空気吹込み量、乾燥炉排ガスの二次燃焼室104及び冷却室109への分流量を制御することとしたため、汚泥炭化物製造設備としての機能を比較的容易に制御することができる。
【符号の説明】
【0044】
1は炭化炉本体、2は原料受入ホッパ、3は供給装置、4は電気ヒータ、5は原料受入乾燥領域乾留用空気吹込口、6は表面乾留領域乾留用空気吹込口、7は内部乾留領域乾留用空気吹込口、8は高温調整・賦活化領域乾留用空気吹込口、9は高温調整・賦活化領域乾留用空気及び蒸気吹込口、10は原料受入乾燥領域乾留用空気供給ファン、11は表面乾留領域乾留用空気供給ファン、12は内部乾留領域乾留用空気供給ファン、13は高温調整・賦活化領域乾留用空気供給ファン、14は小径端側補強体、15は大径ギヤ、16は大径端側補強体、17は小径端側支持ローラ、18は小径ギヤ、19は揺動用モータ、20は大径端側支持ローラ、51は内側管、52は撹拌翼、53は外側管、54は撹拌翼、55はスクリューフィーダ、56は排出側固定チャンバー、57は支持ローラ、58は供給側固定チャンバー、101は乾燥炉、102は炭化炉、103は炭化炉排ガス導入路、104は二次燃焼室、105は燃焼用空気導入路、106は燃焼用空気ファン、107は燃焼室排ガス導入路、108は燃焼室排ガス排出路、109は冷却室、110は冷却装置、111は集塵機、112は吸引ファン、113は煙突、114はポンプ、115はシャワー、116は熱交換器、117は燃焼用バーナ、118は乾燥炉排ガス導入路、119は乾燥炉集塵機、120は乾燥炉吸引ファン、121は除湿スクラバ、122は乾燥炉排ガス排出路、123は制御ダンパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機物を含有する汚泥を炭化して汚泥炭化物を製造する汚泥炭化物製造設備であって、乾燥炉と炭化炉とを配設し、前記炭化炉内を低酸素雰囲気で炭化処理すると共に、前記炭化炉の炭化炉排ガスルートに二次燃焼室及び冷却室及び集塵機及び吸引ファン及び煙突を接続し、前記二次燃焼室の燃焼室排ガスを前記冷却室及び乾燥炉に分流し、前記乾燥炉では前記二次燃焼室の燃焼室排ガスで前記汚泥を乾燥した後、当該乾燥された乾燥汚泥を前記炭化炉で炭化し、前記乾燥炉の乾燥炉排ガスを前記二次燃焼室に導入することを特徴とする汚泥炭化物製造設備。
【請求項2】
乾燥炉集塵機を介して乾燥炉吸引ファンで前記乾燥炉の乾燥炉排ガスを吸引して前記二次燃焼室及び冷却室に分流すると共に、冷却室の乾燥炉排ガス導入部に燃焼用バーナを設けたことを特徴とする請求項1に記載の汚泥炭化物製造設備。
【請求項3】
前記乾燥炉集塵機を乾式集塵機とし、前記乾燥炉吸引ファンと二次燃焼室との間に除湿スクラバを設け、前記乾燥炉吸引ファンの出側に、前記二次燃焼室及び冷却室への乾燥炉排ガスの分流量を制御する制御ダンパを設けたことを特徴とする請求項2に記載の汚泥炭化物製造設備。
【請求項4】
前記冷却室内の上部に熱交換器を設け、当該熱交換器に前記二次燃焼室への二次燃焼用空気を供給して、当該冷却室内の温度を下降すると共に当該二次燃焼用空気を予熱することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の汚泥炭化物製造設備。
【請求項5】
前記炭化炉内の温度が、炭化物中の揮発分がなくなる700℃以上、前記二次燃焼室内の温度が、ダイオキシン発生を抑制する850℃以上、前記冷却室入側の温度が、乾燥炉排ガスの脱臭に必要な650℃以上となるように、前記有機汚泥の供給量、前記吸引ファンの吸引量、前記二次燃焼室への二次燃焼用空気吹込み量、前記乾燥炉排ガスの二次燃焼室及び冷却室への分流量を制御することを特徴とする請求項2乃至4の何れか一項に記載の汚泥炭化物製造設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−212583(P2011−212583A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−83060(P2010−83060)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【特許番号】特許第4597261号(P4597261)
【特許公報発行日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【出願人】(507195678)
【Fターム(参考)】