説明

汚泥用脱水助剤及び汚泥の脱水方法と装置

【課題】排水処理施設から発生する難脱水性の汚泥を、脱水処理する為に使用する脱水助剤、及び当該脱水助剤を用いた汚泥の脱水方法並びに装置を提供する。
【解決手段】汚泥用脱水助剤は、複数の繊維が集合してなり、各繊維の外周面に繊維の長手方向に沿って形成されている5〜20個の凹部を有し、当該凹部には、汚泥が接触する際に毛細管作用により水分を移送する水分移送路として作用する筋が繊維の長手方向に沿って延在する、ことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下水処理施設、し尿処理施設、その他排水処理施設から発生する汚泥を脱水処理する為に使用する脱水助剤、並びに、当該脱水助剤を用いた汚泥の脱水方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から下水処理施設、し尿処理施設、その他排水処理施設から発生する汚泥(以下「汚泥」という)に、有機高分子凝集剤を添加して機械脱水する処理が行われている。しかし、近年の生活様式の変化等により汚泥が難脱水性となったため、機械脱水処理を行っても汚泥の含水率を低下させることが難しくなっている。特に、オキシデーションディッチ処理された汚泥の脱水性は、混合生汚泥、活性汚泥の余剰汚泥、消化汚泥等に比較して脱水性が非常に悪い。これは、オキシデーションディッチ法におけるエアレーション時間が非常に長いため、硝化・脱窒が進行して、汚泥中の繊維分がかなり分解され、凝集の核となる汚泥中の繊維分が少なくなるためであると考えられている。更には、ベルトプレス脱水機やフィルタープレス脱水機のような加圧式脱水機を使用する場合には、ろ布からの脱水ケーキの剥離性が悪く、ろ布が目詰まりするため、ろ過不良を起し、安定した脱水ができなくなるばかりでなく、ろ布の洗浄に時間が掛かるといった問題も生じている。
【0003】
し尿処理施設においては、生物処理の前段に設けられているスクリーンにより汚泥から殆どの夾雑物が除去されるため、発生する汚泥には繊維分が少なくなり、汚泥の含水率を低下させることが難しい。
【0004】
また、廃棄物の再利用の観点から、汚泥のコンポスト化が推進されている。コンポスト化処理の場合、対象汚泥の含水率を40〜60%にする必要がある。また、コンポスト化においては、脱水処理で使用する薬剤等は生分解性(微生物で分解できる)であることが必要である。
【0005】
汚泥の含水率を低下させる手段として、汚泥に繊維状物を混合した後に高分子凝集剤を添加して脱水する方法が提案されている。例えば、有機性汚泥に、合成繊維と凝集剤を添加した後、脱水処理する方法(特開2002−219500号公報)などが提案されている。当該方法では、従来の古紙裁断物を添加する方法と比較して、少ない添加量でも含水率が低い脱水ケーキが得られる。
【0006】
汚泥に合成繊維を混合する方法では、ある程度のケーキ含水率の低減が可能である。しかし、本発明者の検討によれば、合成繊維の汚泥に対する濡れ性が不十分な場合には、槽内全体を十分に攪拌できる装置を具備していない汚泥貯留槽などへ合成繊維を投入する場合に、汚泥中での開繊が困難であり、合成繊維を汚泥中に均一に混合することができないことが判明した。また、合成繊維を汚泥中に均一に混合できたとしても、脱水機内で圧搾される時に汚泥から合成繊維が分離してしまい、脱水に寄与できないために安定した脱水処理ができないことが判明した。また、繊維状物の中には、微生物で分解され難いものもあり、コンポスト化には不向きな場合もある。
【0007】
また、本発明者らが検討した結果、公知の合成繊維は、理由は明らかではないが、汚泥の性状によってはケーキ含水率を低減させる効果がほとんど得られない場合があり、合成繊維を添加するだけでは根本的な解決にはなっていないことが判明した。
【0008】
合成繊維を用いて、脱水ケーキの含水率を低下させる技術は、上記のとおり検討されている。しかし、従来技術の殆どは、合成繊維の素材、太さ、及び長さを調節して含水率を低下させようとしている。しかし、本発明者らが検討した結果、単に合成繊維の素材、太さ及び長さを調節するだけでは、難脱水性汚泥を機械脱水しても脱水ケーキの含水率を十分に低下させることはできないことが判明した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−219500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記公知技術の欠点を解決し、難脱水性の汚泥から含水率の低い脱水ケーキを得ることができる脱水助剤、並びに当該脱水助剤を用いる汚泥の脱水方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明者らが鋭意研究した結果、繊維の断面形状が汚泥の脱水性に影響を与えることがわかった。本発明は、かかる知見に基づいてなされた新規な汚泥脱水法である。
【0012】
本発明者らは、単繊維の横断面の外周部に凹凸部を5〜20箇所有し、かつ前記凹部の繊維軸方向に連続的な条痕を連続的に有する繊維状物を汚泥用脱水助剤として使用すると、汚泥の脱水率が向上することを見いだした。汚泥用脱水助剤を構成する各繊維の横断面には、外周部に5〜20箇の凹凸部が存在する。凹部には、繊維軸方向すなわち繊維の長手方向に連続する条痕すなわち筋が存在する。
【0013】
したがって、本発明によれば、複数の繊維が集合してなり、各繊維の外周面に繊維の長手方向に沿って延在する5〜20個の凹部を有し、当該凹部には、汚泥が接触する際に毛細管作用により水分を移送する水分移送路として作用する筋が繊維の長手方向に沿って延在する、ことを特徴とする汚泥用脱水助剤が提供される。
【0014】
前記汚泥用脱水助剤において、前記繊維は、再生セルロース繊維であることが好ましい。前記繊維は乾燥状態ではなく、含水率が30〜80質量%の範囲にあることが好ましい。また、繊維の長さは1mm〜50mmであり、繊維径は1μm〜100μmであることが好ましい。
【0015】
本発明によれば、前記汚泥用脱水助剤を用いる汚泥の脱水方法が提供される。本発明の汚泥の脱水方法は、有機性汚泥に、前記汚泥用脱水助剤を添加して混合した後に、高分子凝集剤を添加して有機性汚泥を凝集させ、次いで機械脱水する態様、有機性汚泥に、前記汚泥用脱水助剤と高分子凝集剤とを混合してなる脱水助剤含有高分子凝集剤液を添加して有機性汚泥を凝集させ、次いで機械脱水する態様、又は、有機性汚泥に、前記汚泥用脱水助剤と高分子凝集剤とを同時に添加して有機性汚泥を凝集させ、機械脱水する態様のいずれかを含む。
【0016】
さらに、本発明によれば、前記汚泥用脱水助剤を用いる有機性汚泥を機械脱水する汚泥脱水装置が提供される。本発明の汚泥脱水装置は、汚泥貯留槽と、凝集槽と、機械脱水機と、有機性汚泥に前記汚泥脱水助剤を供給する脱水助剤供給機と、前記凝集槽に供給する高分子凝集剤を溶解する高分子凝集剤溶解装置と、を具備する。前記脱水助剤供給機は、前記汚泥貯留槽、前記凝集槽、前記機械脱水機又は前記高分子凝集剤溶解装置の1以上に配管を介して接続されている。前記高分子凝集剤溶解装置は、凝集槽に配管を介して接続されている。
【0017】
本発明の汚泥脱水装置は、前記汚泥貯留槽の前段に汚泥濃縮槽を設けてもよい。前記汚泥濃縮槽は前記脱水助剤供給機に接続されていてもよい。また、本発明の汚泥脱水装置において、前記凝集槽と前記機械脱水機の間に、回転する一群の楕円板を備えたスリットセイバー、あるいは凝集槽出口から下方に傾斜したスクリーンなどの濾過濃縮部を設けてもよい。本発明の汚泥脱水装置において、前記機械脱水機として、スクリュープレス脱水機を用いることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、特異な断面形状を有する繊維からなる汚泥脱水助剤を用いることにより、難脱水性の汚泥においても、従来の合成繊維を添加する方法と比較して少量の添加量で脱水ケーキの含水率を良好に低下させることができる。また、本発明の汚泥脱水助剤を用いることにより、加圧脱水の場合に、脱水ケーキを濾布から容易に剥離することができ、濾布の目詰まりを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の汚泥脱水装置の一例を示すフロー構成図。
【図2】本発明の汚泥脱水装置の他の例を示すフロー構成図。
【図3】本発明の汚泥脱水装置の他の例を示すフロー構成図。
【図4】脱水助剤A,B,E,G(実施例)を構成する繊維の断面斜視図。
【図5】脱水助剤C,D(実施例)を構成する繊維の断面斜視図。
【図6】脱水助剤F(実施例)を構成する繊維の断面斜視図。
【図7】脱水助剤H(実施例)を構成する繊維の断面斜視図。
【図8】脱水助剤I(比較例)を構成する繊維の断面斜視図。
【図9】脱水助剤J,K(市販品)を構成する繊維の断面斜視図。
【図10】繊維径を示す脱水助剤を構成する繊維の断面図。
【図11】筋を形成する凹部の最深部の頂点までの深さを示す脱水助剤を構成する繊維の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の汚泥用脱水助剤は、複数の繊維が集合してなり、各繊維の外周面に繊維の長手方向に沿って延在する5〜20個の凹部を有し、当該凹部には、汚泥が接触する際に毛細管作用により水分を移送する水分移送路として作用する筋が繊維の長手方向に沿って延在するため、優れた吸水性、導水性が得られる。
【0021】
従来から、肌着やスポーツウェア等の衣料分野において、発汗時の濡れによるべとつき感などの不快感を解消することを意図して、繊維に高吸水性を付与することが検討されている。水分は、繊維の表面から吸収されることから、吸収速度を速くするためには表面積を大きくし、大量の水分を吸着させれば良い。表面に凹凸が多いほど表面積は大きくなり、表面の凹部は、繊維内部に水分が浸透するまでの間、水分を留めておくことができる。このため、肌着やスポーツウェア等の衣料分野においては、Y型、X型、あるいはT型の断面形状の繊維が好ましいとされている。しかしながら、本発明者らが検討したところ、Y型、X型、あるいはT型の断面形状の繊維を裁断して汚泥の脱水に使用した場合、ある程度のケーキ含水率低減は認められるが、オキシデーションディッチ処理された汚泥のような、難脱水性汚泥に対しては必ずしも満足できる程に、脱水ケーキの含水率は低下しないことがわかった。理由は明らかではないが、その断面内に長いたわみ部分を有して凹部の開口部が広くなるために、細かい汚泥粒子により開口毛細路が閉塞されて、毛細路としての役割を果さなくなってしまうこと、機械脱水時に高い圧搾圧力に耐え切れずに、たわみ部分が破壊されてしまうことが原因であると推測される。
【0022】
本発明の脱水助剤に用いる繊維は、外周面に繊維の長手方向に沿って延在する5個以上20個以下、好ましくは10個以下の凹部を有する。外周面の凹部が多くなり過ぎると、かえって開口部面積が狭くなり、脱水助剤としての機能を果さなくなるし、工業的に製造が困難でコスト的に好ましくない。なお、本発明の脱水助剤は、前記Y型、X型、あるいはT型の断面形状の繊維外周面に凹部を設けることも可能である。しかしながら、このような繊維は、その断面内に長いたわみ部分を有しているために、機械脱水時に受ける圧搾圧力によってたわみ部分が破壊され易いので注意が必要である。
【0023】
脱水助剤に用いる繊維は、同じ個数の凹部を有する繊維である必要は無く、5個以上の凹部を有する繊維を混合してもよい。また、脱水性を損なわない範囲で、5個未満の凹部を有する繊維を混合してもよい。
【0024】
次に、繊維長手方向に延在する筋について説明する。繊維の長手方向に沿って延在する凹部の筋は、本発明の脱水助剤に汚泥が接触する際に、毛細管作用により水分を移送する水分移送路として作用する。本発明の脱水助剤は、当該毛細管作用のため、従来の繊維状物を用いる脱水助剤と比較して吸水性能が著しく向上する。この理由はいまだ明らかではないが、汚泥と脱水助剤の接触表面積がふえると共に、毛細管現象により汚泥から水分が吸引されながら移送されること、及び、脱水助剤の内部構造が水分子の通過に好適であるためと考えられる。
【0025】
汚泥への添加、混合又脱水時の作業性の観点から、脱水助剤を構成する各繊維の長さは、1〜50mm、好ましくは3〜20mmであり、繊維径は1μm〜100μm、好ましくは5μm〜50μm程度であることが望ましい。ここで「繊維径」とは、図10に示すように、断面形状が対称であるか非対称であるかを問わず、凸部の頂点を結ぶ最長距離をいう。また、図11に示すように隣接する凸部の頂点を結ぶ接線と凹部の最深部の頂点までの垂直距離(図11の場合にはD1〜D3)が0.1〜5μmの範囲であることが好ましい。
【0026】
また、脱水助剤は、乾燥状態での比重が1.4以上であることが好ましい。比重が1.4未満の場合には、高濃度の汚泥を処理する場合や汚泥貯留槽の撹拌が緩やかな場合には、脱水助剤と汚泥との接触が悪くなり、また均一に混合するための時間が長くなる。
【0027】
本発明の脱水助剤は、含水率が30〜80重量%であることが好ましく、40〜70重量%の範囲にあることがより好ましい。含水率が30重量%以下では、汚泥との濡れ性が悪く、脱水助剤が不均一に分散された状態になる。また、後述の高分子凝集剤溶解槽に混合する場合には、高分子凝集剤が完全に溶解して溶解液が高粘度となることもあり、溶解槽内全体に脱水助剤を均一に分散させることが困難である。一方、含水率が80重量%を超えると、繊維に含浸しない遊離の水分が多くなり、フィーダー等で機械的に供給する場合に定量供給が困難である。また、汚泥中に分散する脱水汚泥の繊維分の割合が少なくなるため、経済的に不利である。
【0028】
脱水助剤の水分を調整する方法としては、以下の方法を好ましく用いることができる。乾式紡糸方法によって製造された繊維を用いる場合には、製造後の繊維にスプレーで水を噴霧するなどして含水率を調整した後に所定長さに裁断するか、又は裁断後に水を噴霧する。湿式紡糸方法によって製造された繊維を用いる場合には、溶媒置換し、洗浄後にローラー等で圧搾するか、乾燥させて水分を除去した後に所定長さに裁断するか、裁断後に乾燥させることができる。
【0029】
本発明の脱水助剤を構成する繊維としては、再生セルロース繊維が特に好ましい。再生セルロース繊維としては、セルロースをベースポリマーとするビスコースレーヨン繊維、キュプラレーヨン繊維等の再生人造繊維、セルロースジアセテート繊維、セルローストリアセテート繊維などの半合成再生繊維などを挙げることができる。繊維に凸部や、頂点が筋状に延在する凹部を形成し、或いは含水率を調整し易い点から、ビスコースレーヨン繊維が特に好ましい。再生セルロース繊維は、生分解性を有しており、土壌中で分解して消失するので、脱水ケーキを肥料などに再利用する場合に好適である。生分解性を有していても、綿花、亜麻、羊毛などは、繊維長手方向に延在する筋すなわち水分移送路を有していないので、脱水助剤としての効果が期待できない。
【0030】
本発明の方法において、汚泥に対する脱水助剤の添加量は、各汚泥の濃度に依存して変動する。一般的には、汚泥中のSS(浮遊物質濃度)を100として、0.1〜20重量%、好ましくは1〜10重量%を添加することが好ましい。脱水助剤の添加量が0.1重量%未満の場合には、本発明の効果が得られない。一方、20重量%を超えると、汚泥中に脱水助剤を均一に混合させることが難しくなり、また経済的にも不利である。
【0031】
本発明の脱水助剤を混合した汚泥の脱水処理は、通常の加圧脱水機、真空脱水機、ベルトプレス脱水機、遠心脱水機、スクリュープレス脱水機を用いて行うことができる。特に近年、スクリュープレス脱水機は、中規模の下水処理場において、難脱水性汚泥処理用の脱水機として採用されつつある。スクリュープレス脱水機で汚泥の脱水処理を行う場合には、長さ3〜20mmの脱水助剤を汚泥に添加することが好ましく、汚泥中のSSを100として絶乾換算で1〜10重量%の範囲で添加することが好ましい。一方、ベルトプレス脱水機や遠心脱水機を用いて脱水処理を行う場合でも、長さ3〜20mmの脱水助剤を好ましく用いることができ、汚泥中のSSを100として1〜10重量%の範囲で添加することが好ましい。
【0032】
本発明の脱水助剤は、汚泥貯留槽に添加して汚泥と混合することが好ましい。汚泥貯留槽がない場合には、濃縮槽から引き抜かれた汚泥が脱水機に至るまでのいずれかの配管中の汚泥に脱水助剤を添加しても、汚泥濃縮工程前の汚泥に脱水助剤を添加してもよい。
【0033】
脱水助剤を汚泥濃縮槽や汚泥貯留槽の汚泥に添加する場合には、前記添加量の範囲となるように一括投入することができる。また、配管中の汚泥に添加する場合には、常時又は間欠的に汚泥の流入、引抜きがあるために、汚泥の流入量、引抜き量に応じて脱水助剤を適宜追加してもよい。また、脱水機前で添加する場合には、脱水機に供給される汚泥流量に対して前記添加量の範囲となるように脱水助剤を添加すればよい。脱水助剤の添加は、凝集剤の添加前後どちらでも構わない。しかし、汚泥中へ脱水助剤を均一に混合させる点から、凝集剤の添加前に添加することがより好ましい。凝集剤を添加した後に、脱水助剤を汚泥に添加する場合には、凝集槽内の汚泥、凝集槽の下流に設けられている造粒濃縮槽内の汚泥、凝集槽からの汚泥を凝集ろ過した後の汚泥の何れの汚泥に添加してもよい。近年、ろ過濃縮部を有するスクリュープレス脱水機が開発されている。このタイプの脱水機の場合には、ろ過濃縮後、凝集汚泥が脱水機本体に供給される箇所に、同時に脱水助剤を添加してもよく、汚泥と脱水助剤との均一混合が可能である。脱水助剤は、繊維状(すなわち固形物)のまま汚泥に添加しても良いし、水を添加してスラリー状にした後に汚泥に添加しても良い。いずれの場合も、形状にあった供給装置を用いて定量添加が可能である。
【0034】
また、脱水助剤を高分子凝集剤と同時に添加しても良い。具体的には、高分子凝集剤の溶解作業中あるいは溶解後に、高分子凝集剤溶解槽に脱水助剤を所定量投入して混合すればよい。高分子凝集剤溶解槽中に高分子凝集剤と共に均一に分散された脱水助剤は、凝集槽で汚泥が凝集フロックを形成する間に、凝集フロック内に取り込まれる。
【0035】
本発明の汚泥の脱水方法に使用する装置のフロー構成図を、図1〜図3に示す。
図1は、機械脱水機としてベルトプレス脱水機4を用いた1例である。汚泥濃縮槽1で濃縮された汚泥は、汚泥濃縮槽1の底部から汚泥貯留槽2に送出され、所定時間、貯留される。その後、汚泥は、汚泥貯留槽2から凝集槽3に送出される。凝集槽3には、高分子凝集剤溶解槽6から高分子凝集剤が添加され、汚泥を凝集させて凝集フロックを形成する。次いで、凝集フロック(汚泥)は、脱水機4に送出され、脱水処理されて脱水ケーキを形成する。脱水助剤供給機5から、汚泥濃縮槽1、汚泥貯留槽2、凝集槽3及び高分子凝集剤溶解槽6の1以上に、脱水助剤を添加できるように配管が接続されている。脱水助剤を汚泥に添加する場所は、処理状況に応じて、別々に又は同時に複数の槽及び配管を選択してよい。凝集フロック(汚泥)に脱水助剤を添加すると、個々の汚泥と脱水助剤との接触が低下するので、高分子凝集剤の添加前あるいは高分子凝集剤の添加と同時に脱水助剤を汚泥に添加することが好ましい。このため、脱水助剤を汚泥濃縮槽1又は高分子凝集剤溶解槽6に添加することが特に好ましい。
【0036】
図2は、機械脱水機としてスクリュープレス脱水機7を用い、凝集槽として2槽式凝集槽3−1及び3−2を用いた例である。脱水助剤の添加は、図1に示す実施形態と同様でよい。本実施形態の場合には、脱水助剤を第1凝集槽3−1に添加した後、第2凝集槽3−2に高分子凝集剤を添加して、汚泥と脱水助剤とを凝集フロック内に一緒に取り込むことが特に好ましい。
【0037】
図3は、機械脱水機として、凝集槽3の後段に濾過濃縮部8が設けられているスクリュープレス脱水機7を用い、凝集槽として2槽式凝集槽3−1及び3−2を用いた例である。濾過濃縮部8にて、凝集槽3にて凝集された汚泥に含まれる水分を粗く脱水して、脱水助剤と汚泥を含む凝集フロックを濃縮する。濾過濃縮部8は、凝集槽と脱水機との間に配置された別個の装置、たとえば回転する一群の楕円板を備えたスリットセイバー、あるいは凝集槽出口から下方に傾斜したスクリーン、又は凝集槽内部に設けられたスリット付ろ過筒を有する造粒濃縮槽であってもよい。図3に示す実施形態において、脱水助剤の添加は、図2に示す実施形態と同様でよい。
【0038】
高分子凝集剤としてはカチオン系高分子凝集剤あるいは両性高分子凝集剤、アニオン系高分子凝集剤、ノニオン系高分子凝集剤を用いることができる。カチオン系高分子凝集剤とは、カチオン性モノマー単位を必須成分として有するものであり、カチオン性モノマーの共重合体、カチオン性モノマーとノニオン性モノマーとの共重合体がある。カチオン性モノマーとしては、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレートもしくはこれらの中和塩、4級塩などが挙げられる。また、分子内にアミジン単位を含有するカチオン系高分子凝集剤も使用することができる。ノニオン性モノマーとしては、アクリルアミド、メタクリルアミド、メタアクリロニトリル、酢酸ビニル等が挙げられる。
【0039】
両性高分子凝集剤は、カチオン性モノマー単位、アニオン性モノマー単位及びノニオン性モノマー単位の共重合体である。アニオン性モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、及びこれらのアルカリ金属、アルカリ土類金属等の金属塩又はアンモニウム塩が挙げられる。
【0040】
アニオン系高分子凝集剤としては、ポリアクリルアミド部分加水分解物、アニオン性モノマーの共重合体、アニオン性モノマーとアクリルアミド等のノニオン性モノマーとの共重合体が挙げられる。アニオン性モノマーとしては上記のものが挙げられ、これらアニオン性モノマーは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。ノニオン性モノマーとしては上記のものが挙げられ、これらノニオン性モノマーは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。共重合体として好ましいものは、アクリルアミド・アクリル酸塩共重合体、アクリルアミド・2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体である。
【0041】
ノニオン系高分子凝集剤とは、上記のノニオン性モノマーの重合体又は共重合体であるが、好ましくはポリアクリルアミドである。
高分子凝集剤の形状は、粉末状又はエマルジョン状のいずれも使用することができる。
【0042】
また、高分子凝集剤の添加方法として、汚泥にカチオン系高分子凝集剤を添加した後、アニオン系高分子凝集剤を添加する二剤法も適用できる。
さらに、無機凝集剤や有機高分子凝結剤を添加した後に高分子凝集剤を添加する方法も適用可能である。無機凝集剤としては、汚泥処理技術に一般に使用される硫酸バンド、ポリ塩化アルミニウム(PAC)、ポリ硫酸第2鉄(ポリ鉄)、塩化第2鉄あるいはこれらの混合物が使用可能である。有機高分子凝結剤としては、縮合系ポリアミン、ジシアンジアミド・ホルマリン縮合物、ポリエチレンイミン、ポリビニルイミダリン、ポリビニルピリジン、ジアリルアミン塩・二酸化硫黄共重合体、ポリジメチルジアリルアンモニウム塩、ポリジメチルジアリルアンモニウム塩・二酸化硫黄共重合体、ポリジメチルジアリルアンモニウム塩・アクリルアミド共重合体、ポリジメチルジアリルアンモニウム塩・ジアリルアミン塩酸塩誘導体共重合体、アリルアミン塩重合体などを用いることができる。縮合系ポリアミンの具体例としては、アルキレンジクロライドとアルキレンポリアミンとの縮合物、アニリンとホルマリンの縮合物、アルキレンジアミンとエピクロルヒドリンとの縮合物、アンモニアとエピクロルヒドリンとの縮合物などが挙げられる。エピクロルヒドリンと縮合するアルキレンジアミンとしては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、メチルプロピルアミン、メチルブチルアミン、ジブチルアミンなどが挙げられる。
【0043】
本発明の汚泥脱水方法において、汚泥処理技術に一般に使用される消泡剤や消臭剤を脱水助剤に予め含浸させておいても良い。また、他の天然繊維の粉砕物等を脱水助剤に混合しても良い。
【0044】
本発明の汚泥脱水方法で脱水対象となる汚泥は、一般の排水処理、し尿処理、下水処理における活性汚泥処理工程から発生する汚泥であれは種類を問わない。特にオキシデーションディッチ法から発生する余剰汚泥や下水消化汚泥、し尿処理施設から発生する汚泥など、凝集性が不良で、脱水汚泥の含水率が低下し難い汚泥の脱水処理において、本発明の効果が最も発揮できる。
【実施例】
【0045】
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。
[脱水助剤の製造]
実施例で使用した脱水助剤は、下記の方法により製造した。
<脱水助剤А>
硫酸、硫酸ソーダ、硫酸亜鉛を含有する紡糸浴に、8.1wt%のセルロースを含むビスコース溶液(紡糸原液)を、円形断面を有する紡糸口金を通して連続して押し出して、セルロース繊維に紡糸した。次に、セルロース繊維を、硫酸を含む延伸−再生浴に導入して、延伸・再生して、再生セルロース糸条を得た。再生セルロース糸条をローラーで挟んで水切りし、含水率58%に調整した後、長さ10mmに切断した。
<脱水助剤B>
再生セルロース糸条を長さ1mmに切断した以外は、脱水助剤Aと同様に処理した。
<脱水助剤C>
Y型断面を有する紡糸口金を通して紡糸した以外は、脱水助剤Aと同様に処理して、再生セルロース糸条を得た。再生セルロース糸条を乾燥機で105℃の温度で2時間乾燥させた後、長さ5mmに切断し、水を噴霧して含水率48%に調整した。
<脱水助剤D>
再生セルロース糸条を長さ15mmに切断した以外は、脱水助剤Cと同様に処理した。
<脱水助剤E>
再生セルロース糸条を長さ38mmに切断した以外は、脱水助剤Aと同様に処理した。
<脱水助剤F>
セルローストリアセテートフレークを塩化メチレン/メタノール混合溶剤に溶解した紡糸原液を用い、再生セルロース糸条を得た。得られた再生セルロース糸条を長さ5mmに切断した。
<脱水助剤G>
ローラーによる圧搾の代わりに再生セルロース糸条を乾燥機にて105℃で2時間乾燥させた後、長さ5mmに切断した以外は、脱水助剤Aと同様に処理した。
<脱水助剤H>
楕円断面を有する紡糸口金を通して連続紡糸して得られた再生セルロース糸条を乾燥機で105℃の温度で2時間乾燥させた後、長さ10mmに切断し、水を噴霧して含水率54%に調整した以外は、脱水助剤Aと同様に処理した。
<脱水助剤I>
脱水助剤Fの紡糸原液にポリエチレングリコールを添加し、Y型断面を有する紡糸口金を通して連続して押し出して紡糸して得られた再生セルロース糸条を長さ5mmに切断した以外は、脱水助剤Aと同様に処理した。
<脱水助剤J>
市販のキュプラレーヨンフィラメントを長さ10mmに切断した。
<脱水助剤K>
8.1wt%のセルロースを含むビスコース溶液にポリエチレングリコールおよび炭酸ナトリウムを添加して調製した紡糸原液を用いた以外は、脱水助剤Aと同様に処理して再生セルロース糸条を得た。再生セルロース糸条を乾燥機で105℃の温度で2時間乾燥させた後、長さ10mmに切断し、水を噴霧して含水率43%に調整した。
【0046】
脱水助剤の含水率は、調製したままの脱水助剤の重さ(a)gを計量し、当該脱水助剤を105℃で4時間乾燥させて脱水した後の脱水助剤の重さ(b)gを計量し、(a−b)/a×100(%)の式より算出した。
【0047】
繊維の凹部の数及び延在する筋の有無は、顕微鏡観察による目視で計数した。
本実施例において使用した脱水助剤の性状を表1に示す。
【0048】
【表1】

【0049】
脱水助剤A〜Kの繊維断面を含む斜視図を図4〜9に示す。
図4は、脱水助剤A、B、E、Gの斜視図である。繊維断面に複数の凹部があり、凹部に繊維長手方向に延在する筋が存在する。
【0050】
図5は、脱水助剤C、Dの斜視図である。繊維断面に複数の凹部があり、凹部に繊維長手方向に延在する筋が存在する。
図6は、脱水助剤Fの斜視図である。繊維断面に複数の凹部があり、凹部に繊維長手方向に延在する筋が存在する。。
【0051】
図7は、脱水助剤Hの斜視図である。繊維断面に複数の凹部があり、凹部に繊維長手方向に延在する筋が存在する。
図8は、脱水助剤Iの斜視図である。繊維断面に複数の凹部があるが、繊維長手方向に沿って延在する筋が存在しない。
【0052】
図9は、脱水助剤J、Kの斜視図である。繊維断面に凹部は無く、繊維長手方向に沿って延在する筋が存在しない。
[実施例1] (本発明の脱水助剤有無による比較)
表2に示す性状を有するオキシデーションディッチ方式下水処理場から発生する余剰汚泥スラリーに、SSを100として絶乾重量で3wt%となるように脱水助剤Aを添加して、汚泥スラリーを調整した。次に、高分子凝集剤(ジメチルアミノエチルアクリレートの塩化メチル四級化物/アクリルアミド共重合体、分子量400万、水道水で0.2%に調整)を使用して脱水試験を行った。汚泥200mlを300mlのビーカーに入れ、高分子凝集剤を所定量添加した後、ビーカー間の移し変えを10回行って汚泥を凝集させた。凝集した汚泥の大きさを測定した後、凝集した汚泥を60メッシュのナイロンろ布に載せて、重力をかけて脱水し、30秒後のろ過水量を測定した。重力ろ過後の汚泥を、2枚のろ布に挟み、ピストン型脱水機を用いて、2kg/cmの圧力で1分間圧搾した。得られた脱水ケーキの剥離性の評価と含水率の測定を行った。剥離性の評価は、脱水後、2枚のろ布を開いたときに、ろ布から剥がれるケーキ量を目視測定し、ほぼ完全に剥離している場合を◎、半分程度が剥離している場合を△、半分程度より多いが完全には剥離していない場合を○、ろ布全面に付着して剥離していない場合を×と判定した。結果を表3に示す。
【0053】
[比較例1及び2]
脱水助剤を添加せずに脱水試験を行った。実施例1と比較して、ケーキ含水率は2〜3ポイント高くなった。結果を表3に併記する。
【0054】
【表2】

【0055】
【表3】

【0056】
[実施例2〜9] (本発明の別の実施態様)
脱水助剤Aの代わりに表4に示す脱水助剤を使用し、脱水助剤の添加率を変化させた以外は、実施例1と同様に試験を行った。結果を表4に示す。
【0057】
[比較例3〜6] (脱水助剤の比較)
脱水助剤H、I及びKを添加して、実施例1と同様に脱水試験を行った。汚泥への分散は不良で、ケーキ含水率は2ポイント以上高くなった(実施例2と比較例5、6との比較、或いは実施例5、6と比較例4との比較)。結果を表4に併記する。
【0058】
【表4】

【0059】
[実施例10] (本発明の脱水助剤有無による比較)
表5に示す性状の下水処理場から発生する消化汚泥に、脱水助剤CをSSを100として絶乾重量で2wt%添加して汚泥スラリーを調製した。次に、高分子凝集剤(ジメチルアミノエチルアクリレートの塩化メチル四級化物重合体、分子量300万、水道水で0.2%に調整)を使用して実施例1と同様に脱水試験を行った。結果を、表6に記載する。
【0060】
[比較例7、8]
脱水助剤Cを添加せずに脱水試験を行った。実施例10と比較してケーキ含水率は3ポイント以上高くなった。結果を表6に併記する。
【0061】
【表5】

【0062】
【表6】

【0063】
[実施例11〜15] (本発明の別の実施態様)
脱水助剤Cの代わりに表1に示す脱水助剤を使用した以外は、実施例10と同様に試験を行った。結果を、表7に示す。
【0064】
[比較例9〜14] (脱水助剤の比較)
脱水助剤I及びJを添加して、実施例10と同様に脱水試験を行った。汚泥への分散は不良で、ケーキ含水率は2ポイント以上高くなった。結果を、表7に併記する。
【0065】
【表7】

【0066】
[実施例16〜21](高分子凝集剤溶解液への添加及び本発明の脱水助剤有無による比較 スクリュープレス脱水機での実機試験)
<ビーカー試験>
実施例1で使用した高分子凝集剤の0.2%水溶液1Lを、ジャーテスターを用いて200rpmで撹拌しながら、脱水助剤A、D及びEをそれぞれ絶乾重量で3g(溶解した高分子凝集剤に対して1.5倍量)投入し、1時間撹拌を継続した。1時間後の液中脱水助剤の分散状態と流動性を観察した。結果を、表8に記載する。
<実機試験>
次に、高分子凝集剤溶解槽に、実施例1で使用した高分子凝集剤の0.2%水溶液(水道水)と、高分子凝集剤の1.5倍量の脱水助剤を投入し、撹拌、混合し脱水助剤含有高分子凝集剤液を調製した。
【0067】
引き続き、表9に示す性状のし尿処理施設から発生する余剰汚泥と凝集沈澱汚泥の混合汚泥スラリーを、凝集槽を通して図2に示すスクリュープレス脱水機(スクリーン径300mmΦ)に供給して脱水した。凝集槽へは、調製した脱水助剤含有高分子凝集剤液をモーノポンプを用いて添加し、汚泥スラリーを凝集させた。スクリュープレス脱水機では、スクリュー回転数0.4rpmの条件で脱水を行い、凝集汚泥のパンチングメタルからの漏れの状態を観察し、脱水ケーキの含水率を測定した。結果を、表10に記載する。
【0068】
[比較例14、15]
高分子凝集剤単独で脱水し、脱水助剤を使用しなかった以外は実施例16と同様に試験を行った。結果を、表10に記載する。
【0069】
【表8】

【0070】
【表9】

【0071】
【表10】

【0072】
[比較例16〜17]
脱水助剤IとJを使用した以外は、実施例16〜21と同様に高分子凝集剤と脱水助剤を混合した。結果を、表11に示す。脱水助剤I及びJは、高分子凝集剤水溶液に均一に分散しなかったので、引き続く実機装置での試験は実施しなかった。
【0073】
表11に示すように、脱水助剤が均一に分散しなかったり、液の流動性が不良である場合には、脱水助剤含有高分子凝集剤液では薬注ポンプからの吐出量を一定に維持できないため、ポンプやその他の薬注ラインの閉塞を引き起こす可能性があり、このような使用には不適切であることがわかる。
【0074】
【表11】

【符号の説明】
【0075】
1:汚泥濃縮槽、2:汚泥貯留槽、3、3−1、3−2:凝集槽、4:ベルトプレス脱水機、5:脱水助剤供給機、6:高分子凝縮剤溶解装置、7:スクリュープレス脱水機、8:濾過濃縮部、9:脱水助剤供給路、10:高分子凝集剤供給路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の繊維が集合してなり、
各繊維の外周面に繊維の長手方向に沿って延在する5〜20個の凹部を有し、
当該凹部には、汚泥が接触する際に毛細管作用により水分を移送する水分移送路として作用する筋が繊維の長手方向に沿って延在する、ことを特徴とする汚泥用脱水助剤。
【請求項2】
再生セルロース繊維が集合してなり、含水率が30〜80質量%であることを特徴とする請求項1に記載の汚泥用脱水助剤。
【請求項3】
1mm〜50mmの長さと、1μm〜100μmの繊維径とを有する、請求項1に記載の汚泥用脱水助剤。
【請求項4】
複数の再生セルロース繊維が集合してなり、
各繊維の外周面に繊維の長手方向に沿って形成されている5〜20個の凹部を有し、
当該凹部には、汚泥が接触する際に毛細管作用により水分を移送する水分移送路として作用する筋が繊維の長手方向に沿って延在し、
30〜80質量%の含水率を有する、汚泥用脱水助剤。
【請求項5】
1mm〜50mmの長さと、1μm〜100μmの繊維径とを有する、請求項4に記載の汚泥用脱水助剤。
【請求項6】
複数の繊維が集合してなり、各繊維の外周面に繊維の長手方向に沿って形成されている5〜20個の凹部を有し、当該凹部には、汚泥が接触する際に毛細管作用により水分を移送する水分移送路として作用する筋が繊維の長手方向に沿って延在する、ことを特徴とする汚泥用脱水助剤を、有機性汚泥に添加して混合した後に、高分子凝集剤を添加して当該有機性汚泥を凝集させた後、機械脱水することを特徴とする汚泥の脱水方法。
【請求項7】
複数の繊維が集合してなり、各繊維の外周面に繊維の長手方向に沿って形成されている5〜20個の凹部を有し、当該凹部には、汚泥が接触する際に毛細管作用により水分を移送する水分移送路として作用する筋が繊維の長手方向に沿って延在する、ことを特徴とする汚泥用脱水助剤及び高分子凝集剤を混合してなる脱水助剤含有高分子凝集剤液を、有機性汚泥に添加して、当該有機性汚泥を凝集させた後、機械脱水することを特徴とする汚泥の脱水方法。
【請求項8】
複数の繊維が集合してなり、各繊維の外周面に繊維の長手方向に沿って形成されている5〜20個の凹部を有し、当該凹部には、汚泥が接触する際に毛細管作用により水分を移送する水分移送路として作用する筋が繊維の長手方向に沿って延在する、ことを特徴とする汚泥用脱水助剤と、高分子凝集剤と、を有機性汚泥に同時に添加して、当該有機性汚泥を凝集させた後、機械脱水することを特徴とする汚泥の脱水方法。
【請求項9】
前記機械脱水は、スクリュープレス脱水機で行うことを特徴とする請求項6、7又は8に記載の汚泥の脱水方法。
【請求項10】
複数の繊維が集合してなり、各繊維の外周面に繊維の長手方向に沿って形成されている5〜20個の凹部を有し、当該凹部には、汚泥が接触する際に毛細管作用により水分を移送する水分移送路として作用する筋が繊維の長手方向に沿って延在する、ことを特徴とする汚泥用脱水助剤を有機性汚泥に添加して、当該有機性汚泥を機械脱水する装置であって、
汚泥貯留槽と、凝集槽と、機械脱水機と、有機性汚泥に汚泥用脱水助剤を供給する脱水助剤供給機と、当該凝集槽に供給する高分子凝集剤を溶解する高分子凝集剤溶解装置と、を具備し、
当該高分子凝集剤溶解装置は当該凝集槽に配管を介して接続されている、汚泥脱水装置。
【請求項11】
前記汚泥貯留槽の前段に汚泥濃縮槽が設けられ、当該汚泥濃縮槽に前記脱水助剤供給機が配管を介して接続されている、請求項10に記載の汚泥脱水装置。
【請求項12】
前記凝集槽と前記機械脱水機との間に濾過濃縮部が設けられている、請求項10に記載の汚泥の脱水装置。
【請求項13】
前記機械脱水装置が、スクリュープレス脱水機である、請求項10に記載の汚泥脱水装置。
【請求項14】
当該脱水助剤供給機は、当該汚泥貯留槽、当該凝集槽、当該機械脱水機又は当該高分子凝集剤溶解装置の1以上に接続されている、請求項10に記載の汚泥の脱水装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−71296(P2012−71296A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173205(P2011−173205)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(591030651)水ing株式会社 (94)
【Fターム(参考)】