説明

汚泥脱水機における汚泥固形物供給量の調整方法および装置

【課題】脱水対象とされる性状の異なる各種の汚泥の急激な濃度変化にも一種類の汚泥濃度センサで対応できて凝集不良を生じることなく、脱水機本来の性能を発十分に発揮し得る、汚泥脱水機における汚泥固形物供給量の調整方法および装置を提供する。
【解決手段】汚泥貯留槽2内から汚泥移送ポンプ4により汚泥中継槽3内へ汚泥を移送させ、汚泥中継槽3内の汚泥攪拌ポンプ7で均一化した汚泥の濃度を濃度センサ8で計測し汚泥供給ポンプ9によって汚泥中継槽3内から凝集混和槽10内へ供給される汚泥固形物供給量を流量計11で計測し、該槽10内の液位変動を水位センサ20で計測し、これらの計測値に基づき制御盤15の演算部16で得られた周波数を汚泥供給ポンプ9の回転数を司るインバータ17に出力して当該ポンプの回転数を制御することにより、時間当りの汚泥固形物供給量が一定となるよう凝集混和槽10経由で汚泥脱水機1に供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚泥脱水機における汚泥固形物供給量の調整方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
汚泥の含水率を調整する手段として、例えば特開2002−361299号公報の第1図および第2図に見られるように原料汚泥の固形分濃度を混合槽に設けられた汚泥濃度センサにより測定し、測定された固形分濃度を基準にして一定時間内に供給される原料汚泥に対し、予め決められている汚泥固形分量と凝集剤溶液の固形分量比率になるように凝集剤溶液の供給量及び凝集剤溶液の供給を行う凝集剤溶液用薬液ポンプの稼動時間を計算し、該稼動時間に基づいて原料汚泥に対し凝集剤溶液を供給して混合及び脱水処理を行わせる場合、混合槽内に付設された第1液面センサの検知により原料汚泥を所定量供給して汚泥濃度が均一になるよう所定時間撹拌した状態で前記汚泥濃度センサにより測定を行い、その測定値により予め決められた前記設定に基づいて凝集剤溶液の供給量を計算して混合槽に供給し既に供給されている所定量の原料汚泥と一定時間混合攪拌された混合汚泥を脱水機に供給できる状態になると、脱水機を稼動させ該混合汚泥が脱水機に供給されて脱水が開始され、脱水工程の進行に従って混合槽内に所定量貯溜されている混合汚泥の液位が降下し、やがて混合槽内に付設された第2液面センサの検知により混合汚泥が無くなったことが確認されると、混合汚泥の供給からそれが無くなり脱水工程を一旦停止するまでの工程を1バッチ処理とし、予め決められた目標汚泥処理量に達するまで前記バッチ処理を繰り返して脱水処理を行わせるという、汚泥の含水率調整方法および装置は公知である(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2002−361299号公報 (第3−4頁、第1−2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の脱水機を断続運転させるバッチ処理方式では、汚泥の脱水処理に多くの時間を費やすか或いは脱水処理能力の大きな大容量の脱水機を使用しなければならず、また、特許文献1の段落0008には脱水対象の汚泥「・・外部の下水処理場又は農業集落排水処理施設等より発生する各種の汚泥からなる原料汚泥1aを混合槽2内に供給・・」を処理する方法および装置ではある旨が記載されており、汚泥濃度センサを測定原理別に一般分類すると超音波式や近赤外光式、マイクロ波式等に別けられ、どの測定方式においても、汚泥の性状(含水物質や色および汚泥の形状等)の違いによって測定精度がバラつくという制約を受けるので、本来その汚泥の性状に適応した汚泥濃度センサを使用することが原則である。そのため、仮に上記の各種汚泥濃度センサを用いたとしても、実際どの汚泥濃度センサの値が真正値であるかを自動的に判定するには、膨大なデータの処理が必要とされ装置自体も複雑化するので製造コストも嵩むことになる。また、一種類の汚泥濃度センサで対応させようとする場合、常に脱水対象汚泥の性状変化を監視し長年の経緯を基に該性状に合せて頻繁に試行錯誤的な手動補正の煩わしい作業を行わなければならず、そのために多くの労力と維持管理費を掛けなければ脱水機本来の性能が発揮できないという欠点がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本発明方法では連続的に汚泥脱水処理を行わせるため、脱水対象となる汚泥の収容された汚泥貯留槽内から汚泥移送ポンプにより汚泥を移送して汚泥中継槽内へ一時貯留させ、該汚泥中継槽内で汚泥攪拌ポンプにより均一化された汚泥の濃度を濃度センサで計測してその計測値を制御盤の演算部へ送り制御用濃度値として認識させ、汚泥供給ポンプによって汚泥中継槽内から凝集混和槽内へ供給される汚泥の供給量を流量計で計測してその計測値を制御盤の演算部へ送り認識させ、凝集混和槽内に高分子凝集剤を注入して攪拌機により汚泥と混和攪拌させ、制御盤の演算部において認識された前記制御用濃度値および供給量に基づき算出された時間当りの汚泥固形物供給量を予め演算部の設定値として入力し、該制御用濃度値から逆算して演算部で得られた汚泥供給量の周波数を汚泥供給ポンプの回転数を司るインバータに向けて出力し、該周波数に基づき汚泥供給ポンプの回転数を制御することにより時間当りの汚泥固形物供給量が一定となるよう凝集混和槽経由で汚泥脱水機に供給され、当該汚泥脱水機の脱水処理能力に対して供給される汚泥固形物供給量を自動的に最適に調整させるため、汚泥を供給する凝集混和槽内の液位変動を該槽内に付設されている水位センサにより計測された信号を演算部に送り、該検出信号に基づいて演算部で認識されている制御用濃度値の補正処理を行い、補正後の制御用濃度値に基づいて汚泥供給ポンプを運転制御させることを最も主要な特徴とする。
【0006】
また、本発明装置では上記方法を使用して、脱水対象となる汚泥の収容された汚泥貯留槽と、汚泥脱水機へ供給する汚泥を一時貯留させるための汚泥中継槽と、汚泥貯留槽の汚泥を汚泥中継槽内へ移送させるための汚泥移送ポンプと、汚泥脱水機の下底部に堆積するリーク汚泥を汚泥中継槽内へドレン排出するためのドレン管と、該ドレン管を開閉するためのドレン弁と、汚泥中継槽内の汚泥濃度を均一化させるための汚泥攪拌ポンプと、汚泥中継槽内で均一化された汚泥の濃度を計測するための濃度センサと、汚泥中継槽内から後記凝集混和槽内ヘ汚泥を供給するための汚泥供給ポンプと、該汚泥供給ポンプによって供給される汚泥の供給量を計測するための流量計と、汚泥中継槽から汚泥脱水機へ供給される汚泥を収容して高分子凝集剤を混和させるための凝集混和槽と、該凝集混和槽内へ高分子凝集剤を注入するための高分子凝集剤注入ポンプと、凝集混和槽内において高分子凝集剤を汚泥に混和攪拌させるための攪拌機と、槽内の液位変動を検知する水位センサと、濃度センサおよび流量計による計測値に基づき汚泥脱水機への時間当りの汚泥固形物供給量を算出するための演算部を有する制御盤と、演算部からの出力信号をうけて汚泥供給ポンプの回転数を司るインバータを備えたことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、性状の異なる各種の汚泥を脱水対象とし連続的に汚泥脱水処理を行わせる場合においても、各種汚泥濃度センサを用いることなく一種類の汚泥濃度センサだけでも該汚泥濃度センサで計測された計測値が適宜補正されるので、汚泥脱水機の脱水処理能力に対して凝集混和槽から供給される汚泥固形物供給量が自動的に最適に調整させるので、装置自体を大型化することなく、しかも複雑な制御を必要せずに装置置自体も複雑化することがないので製造コストも嵩むことなく、汚泥脱水機本来の性能を十分に発揮させることができるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
脱水対象となる汚泥の収容された汚泥貯留槽内から汚泥移送ポンプにより汚泥を移送して汚泥中継槽内へ一時貯留させ、該汚泥中継槽内で汚泥攪拌ポンプにより均一化された汚泥の濃度を濃度センサで計測してその計測値を制御盤の演算部へ送り制御用濃度値として認識させ、汚泥供給ポンプによって汚泥中継槽内から凝集混和槽内へ供給される汚泥の供給量を流量計で計測してその計測値を制御盤の演算部へ送り認識させ、凝集混和槽内に高分子凝集剤を注入して攪拌機により汚泥と混和攪拌させ、制御盤の演算部において認識された前記制御用濃度値および供給量に基づき算出された時間当りの汚泥固形物供給量を予め演算部の設定値として入力し、該制御用濃度値から逆算して演算部で得られた汚泥供給量の周波数を汚泥供給ポンプの回転数を司るインバータに向けて出力し、該周波数に基づき汚泥供給ポンプの回転数を制御することにより時間当りの汚泥固形物供給量が一定となるよう凝集混和槽経由で汚泥脱水機に供給させ、当該汚泥脱水機の脱水処理能力に対して供給される汚泥固形物供給量を自動的に最適に調整させるため、汚泥を供給する凝集混和槽内の液位変動を該槽内に付設されている水位センサにより計測された信号を演算部に送り、該検出信号に基づいて演算部で認識されている制御用濃度値の補正処理を行い、補正後の制御用濃度値に基づいて汚泥供給ポンプを運転制御させる。
【実施例1】
【0009】
図1は本発明装置の構成を示すブロック図であり、1は汚泥を濾水と脱水ケーキに分離させるための汚泥脱水機、2は脱水対象となる汚泥の収容された汚泥貯留槽、3は汚泥脱水機1へ供給する汚泥を一時貯留させる小型の汚泥中継槽、4は汚泥貯留槽2内の汚泥を汚泥中継槽3内へ移送させるための汚泥移送ポンプ、5は夾雑物除去用のスクリーン、6は無機凝集剤注入ポンプであって、予め汚泥中継槽3内へ無機凝集剤を注入して汚泥をコロイド状の凝集状態としておく場合に使用する。18Pは汚泥脱水機の下底部に堆積するリーク汚泥を汚泥中継槽3内へドレン排出するためのドレン管、18Vはドレン管18Pを開閉するためのドレン弁である、7は汚泥中継槽3内の汚泥濃度を均一化させるための汚泥攪拌ポンプ、8は汚泥中継槽3内で均一化された汚泥の濃度を計測するための濃度センサ、9は汚泥中継槽3内から後記凝集混和槽10内へ供給するための汚泥供給ポンプ、11は汚泥供給ポンプ9によって供給される汚泥の供給量を計測するための流量計であって、前記汚泥供給ポンプ9の吐出管路中に設けられる。10は汚泥中継槽3から汚泥脱水機1へ供給される汚泥を収容して高分子凝集剤を混和させるための凝集混和槽、12は凝集混和槽10内へ高分子凝集剤を注入するための高分子凝集剤注入ポンプ、13は溶解ユニット盤、14は凝集混和槽10内において高分子凝集剤を汚泥に混和攪拌させるための攪拌機であり、該凝集混和槽10内の液位変動を計測するための水位センサ20を設けている。15は制御盤であって、濃度センサ8と流量計11および水位センサ20による計測値に基づき汚泥脱水機1への時間当りの汚泥固形物供給量を算出するための演算部16を有している。17は演算部16からの出力信号を受けて汚泥供給ポンプ9の回転数を司るインバータである。
【0010】
脱水対象となる汚泥の収容された汚泥貯留槽2内から汚泥移送ポンプ4により汚泥を移送して小型の汚泥中継槽3内へ一時貯留させ(必要があれば予め無機凝集剤を注入してコロイド状の凝集状態となし)、汚泥中継槽3内で汚泥攪拌ポンプ7により均一化された汚泥の濃度を濃度センサ8で計測してその計測値を制御盤15の演算部16へ送り制御用濃度値として認識させ、汚泥供給ポンプ9によって汚泥中継槽3内から凝集混和槽10内へ供給される汚泥の供給量を流量計11で計測してその計測値を制御盤15の演算部16へ送り認識させ、凝集混和槽10内に高分子凝集剤を注入して攪拌機14により汚泥と混和攪拌させ、制御盤15の演算部16において前記制御用濃度値および供給量に基づき算出された時間当りの汚泥固形物供給量を予め演算部16の設定値として入力するが、汚泥固形物供給量は下記の数式1により算出される。
【0011】
【数1】

【0012】
そして該制御用濃度値から逆算して演算部16で得られた汚泥供給量の周波数を汚泥供給ポンプ9の回転数を司るインバータ17に向けて出力し、該周波数に基づき汚泥供給ポンプ9の回転数を制御することにより時間当りの汚泥固形物供給量が一定となるよう凝集混和槽10経由で汚泥脱水機1に供給され、当該汚泥脱水機1の脱水処理能力に対して供給される汚泥固形物供給量を自動的に最適に調整させるため、汚泥を供給する凝集混和槽10内の液位変動を該槽内に付設されている水位センサ20により計測された信号を演算部に送り、該検出信号に基づいて演算部で認識されている制御用濃度値の補正処理を行い、補正後の制御用濃度値に基づいて汚泥供給ポンプ9を運転制御させる。つまり、認識された制御用濃度値が低いときは汚泥供給量が多くなり、逆に高いときは汚泥供給量が少なくなるように、認識される制御用濃度値の変動に対応し汚泥供給量を可変として汚泥脱水機1への汚泥固形物供給量を一定に保持させようとするのである。
【実施例2】
【0013】
図2は実施例1の汚泥脱水機における汚泥固形物供給量の調整方法を前提とした別実施例による発明方法の制御を示すフローチャートであり、予め制御盤15に演算部16の判定のための判定時間および判定時間における汚泥供給ポンプの判定発停回数を設定値として入力し、該設定値に基づいて凝集混和槽10内に設けられた水位センサにより計測される液位変動に応じて汚泥供給ポンプを発停制御させると共に判定時間における汚泥供給ポンプの判定発停回数に応じて、演算部で認識されている制御用濃度値の補正処理を行い、補正後の制御用濃度値に基づいて汚泥供給ポンプの回転数を制御させることにより汚泥脱水機1の脱水処理能力に対して供給される汚泥固形物供給量を自動的に最適に調整させる。
【0014】
つまり、汚泥の性状の相違により実際に汚水に含有される汚泥固形物供給量と汚泥濃度センサ8で計測し認識された制御用濃度値に対する汚泥固形物供給量とが異なり、例えば実際に汚水に含有される汚泥固形物供給量が多い場合、本発明に使用される定量脱水排出の汚泥脱水機1では脱水機能力を上回る過剰供給のため、該汚泥脱水機1から溢れた未処理の過剰供給汚泥により凝集混和槽10内の液位が頻繁に上限異常液位に達し、そのため凝集混和槽10内に付設の水位センサ20の計測信号により汚泥供給ポンプ9は頻繁に発停が繰返されて、上記設定の判定時間における汚泥供給ポンプ9の判定発停回数を上回ることで現状認識の制御用濃度値が実際の汚泥濃度より低く認識されたことが判定されるので、予め加算補正濃度値として設定されたその値を現状認識の制御用濃度値に加算補正させて、補正後の新に認識された制御用濃度値を基に前記式1より補正後の汚泥供給量を算出させ、演算部16で得られた該汚泥供給量の周波数を汚泥供給ポンプ9の回転数を司るインバータ17に向けて出力し回転数が下げられて、汚泥脱水機1への汚泥供給量が低減され、前記判定時間における汚泥供給ポンプの判定発停回数の判定が繰返され適宜認識されている制御用濃度値を補正させる。
【0015】
また、逆に実際に汚水に含有される汚泥固形物供給量が少ない場合、汚泥脱水機1の脱水機能力を下回る過少供給のため、該汚泥脱水機1へ供給された汚泥は直ぐに脱水排出されるので、凝集混和槽10内の液位は上限異常液位に達することがないので、汚泥供給ポンプ9は発停することなく連続運転され、上記設定の判定時間における汚泥供給ポンプ9の判定発停回数を下回ることで現状認識の制御用濃度値が実際の汚泥濃度より高く認識されたことが判定されるので、予め加算補正濃度値として設定されたその値を現状認識の制御用濃度値に減算補正させて、補正後の新に認識された制御用濃度値を基に前記式1より補正後の汚泥供給量を算出させ、演算部16で得られた該汚泥供給量の周波数を汚泥供給ポンプ9の回転数を司るインバータ17に向けて出力し回転数が上げられて、汚泥脱水機1への汚泥供給量が増加され、前記判定時間における汚泥供給ポンプの判定発停回数の判定が繰返され適宜認識されている制御用濃度値を補正させる。
【0016】
なお、実際に汚水に含有される汚泥固形物供給量と認識された制御用濃度値に対する汚泥固形物供給量が同等の場合、上記設定の判定時間における汚泥供給ポンプ9の判定発停回数とが同一となるので、現状認識の制御用濃度値は補正されることなく汚泥供給ポンプ9を現状回転数で運転させる。したがって、認識される制御用濃度値の変動に対応し汚泥供給量を自動的に最適に可変調整して汚泥脱水機1への汚泥固形物供給量を一定に保持させようとするのである。
【実施例3】
【0017】
図3は実施例1の汚泥脱水機における汚泥固形物供給量の調整方法を前提とした別実施例による発明方法の制御を示すフローチャートであり、凝集混和槽10内に判定用の許容液位範囲を設定し、該槽10内に付設されている水位センサ20により計測された信号を演算部に送り、演算部では該検出信号に基づいて凝集混和槽10内の液位が該許容液位範囲内または上限以上或いは下限以下であるかを判定させて、その判定結果に応じて演算部16で認識されている制御用濃度値の補正処理を行い、補正後の制御用濃度値に基づいて汚泥供給ポンプの回転数を制御させることにより汚泥脱水機1の脱水処理能力に対して供給される汚泥固形物供給量を自動的に最適に調整させる。
【0018】
つまり、汚泥の性状の相違により実際に汚水に含有される汚泥固形物供給量と汚泥濃度センサ8で計測し認識された制御用濃度値に対する汚泥固形物供給量とが異なり、例えば実際に汚水に含有される汚泥固形物供給量が多い場合、本発明に使用される定量脱水排出の汚泥脱水機1では脱水機能力を上回る過剰供給のため、該汚泥脱水機1から溢れた未処理の過剰供給汚泥により凝集混和槽10内の液位が上限異常液位に達し、そのため凝集混和槽10内に付設の水位センサ20の計測信号により現状認識の制御用濃度値が実際の汚泥濃度より低く認識されたことが判定されるので、予め加算補正濃度値として設定されたその値を現状認識の制御用濃度値に加算補正させて、補正後の新に認識された制御用濃度値を基に前記式1より補正後の汚泥供給量を算出させ、演算部16で得られた該汚泥供給量の周波数を汚泥供給ポンプ9の回転数を司るインバータ17に向けて出力し回転数が下げられて、汚泥脱水機1への汚泥供給量が低減され、前記凝集混和槽10内に判定用の許容液位範囲の判定が繰返され適宜認識されている制御用濃度値を補正させる。
【0019】
また、逆に実際に汚水に含有される汚泥固形物供給量が少ない場合、汚泥脱水機1の脱水機能力を下回る過少供給のため、該汚泥脱水機1へ供給された汚泥は直ぐに脱水排出されるので、凝集混和槽10内の液位は下限異常液位に達し、そのため凝集混和槽10内に付設の水位センサ20の計測信号により現状認識の制御用濃度値が実際の汚泥濃度より高く認識されたことが判定されるので、予め減算補正濃度値として設定されたその値を現状認識の制御用濃度値に減算補正させて、補正後の新に認識された制御用濃度値を基に前記式1より補正後の汚泥供給量を算出させ、演算部16で得られた該汚泥供給量の周波数を汚泥供給ポンプ9の回転数を司るインバータ17に向けて出力し回転数が上げられて、汚泥脱水機1への汚泥供給量が増加され、前記凝集混和槽10内に判定用の許容液位範囲の判定が繰返され適宜認識されている制御用濃度値を補正させる。
【0020】
なお、実際に汚水に含有される汚泥固形物供給量と認識された制御用濃度値に対する汚泥固形物供給量が同等の場合、凝集混和槽10内の液位は許容液位範内であり、現状認識の制御用濃度値は補正されることなく汚泥供給ポンプ9を現状回転数で運転させる。したがって、認識される制御用濃度値汚泥濃度の変動に対応し汚泥供給量を自動的に最適に可変調整して汚泥脱水機1への汚泥固形物供給量を一定に保持させようとするのである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明装置の構成図である。
【図2】本発明方法の一実施例による制御のフローチャートである。
【図3】本発明方法の別実施例による制御のフローチャートである。
【符号の説明】
【0022】
1 汚泥脱水機
2 汚泥貯留槽
3 汚泥中継槽
4 汚泥移送ポンプ
6 無機凝集剤注入ポンプ
7 汚泥攪拌ポンプ
8 濃度センサ
9 汚泥供給ポンプ
10 凝集混和槽
11 流量計
12 高分子凝集剤注入ポンプ
14 攪拌機
15 制御盤
16 演算部
17 汚泥供給ポンプの回転数を司るインバータ
18P ドレン管
18V ドレン弁
20 水位センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱水対象となる汚泥の収容された汚泥貯留槽内から汚泥移送ポンプにより汚泥を移送して汚泥中継槽内へ一時貯留させ、該汚泥中継槽内で汚泥攪拌ポンプにより均一化された汚泥の濃度を濃度センサで計測してその計測値を制御盤の演算部へ送り制御用濃度値として認識させ、汚泥供給ポンプによって汚泥中継槽内から凝集混和槽内へ供給される汚泥の供給量を流量計で計測してその計測値を制御盤の演算部へ送り認識させ、凝集混和槽内に高分子凝集剤を注入して攪拌機により汚泥と混和攪拌させ、制御盤の演算部において認識された前記制御用濃度値および供給量に基づき算出された時間当りの汚泥固形物供給量を予め演算部の設定値として入力し、該制御用濃度値から逆算して演算部で得られた汚泥供給量の周波数を汚泥供給ポンプの回転数を司るインバータに向けて出力し、該周波数に基づき汚泥供給ポンプの回転数を制御することにより時間当りの汚泥固形物供給量が一定となるよう凝集混和槽経由で汚泥脱水機に供給させ、当該汚泥脱水機の脱水処理能力に対して供給される汚泥固形物供給量を自動的に最適に調整させるため、汚泥を供給する凝集混和槽内の液位変動を該槽内に付設されている水位センサにより計測された信号を演算部に送り、該検出信号に基づいて演算部で認識されている制御用濃度値の補正処理を行い、補正後の制御用濃度値に基づいて汚泥供給ポンプを運転制御させることを特徴とした、汚泥脱水機における汚泥固形物供給量の調整方法。
【請求項2】
予め制御盤に演算部の判定のための判定時間および判定時間における汚泥供給ポンプの判定発停回数を設定値として入力し、該設定値に基づいて凝集混和槽内に設けられた水位センサにより計測される液位変動の信号に応じて汚泥供給ポンプを発停制御させると共に判定時間における汚泥供給ポンプの判定発停回数に応じて、演算部で認識されている制御用濃度値の補正処理を行い、補正後の制御用濃度値に基づいて汚泥供給ポンプの回転数を制御させることにより汚泥脱水機の脱水処理能力に対して供給される汚泥固形物供給量を自動的に最適に調整させることを特徴とする、請求項1記載の汚泥脱水機における汚泥固形物供給量の調整方法。
【請求項3】
凝集混和槽内に判定用の許容液位範囲を設定し、該槽内に付設されている水位センサにより計測された信号を演算部に送り、演算部では該検出信号に基づいて凝集混和槽内の液位が該許容液位範囲内または上限以上或いは下限以下であるかを判定させて、その判定結果に応じて演算部で認識されている制御用濃度値の補正処理を行い、補正後の制御用濃度値に基づいて汚泥供給ポンプの回転数を制御させることにより汚泥脱水機の脱水処理能力に対して供給される汚泥固形物供給量を自動的に最適に調整させることを特徴とする、請求項1記載の汚泥脱水機における汚泥固形物供給量の調整方法。
【請求項4】
汚泥を濾水と脱水ケーキに分離させるための汚泥脱水機において、脱水対象となる汚泥の収容された汚泥貯留槽と、汚泥脱水機へ供給する汚泥を一時貯留させるための汚泥中継槽と、汚泥貯留槽の汚泥を汚泥中継槽内へ移送させるための汚泥移送ポンプと、汚泥脱水機の下底部に堆積するリーク汚泥を汚泥中継槽内へドレン排出するためのドレン管と、該ドレン管を開閉するためのドレン弁と、汚泥中継槽内の汚泥濃度を均一化させるための汚泥攪拌ポンプと、汚泥中継槽内で均一化された汚泥の濃度を計測するための濃度センサと、汚泥中継槽内から後記凝集混和槽内ヘ汚泥を供給するための汚泥供給ポンプと、該汚泥供給ポンプによって供給される汚泥の供給量を計測するための流量計と、汚泥中継槽から汚泥脱水機へ供給される汚泥を収容して高分子凝集剤を混和させるための凝集混和槽と、該凝集混和槽内へ高分子凝集剤を注入するための高分子凝集剤注入ポンプと、凝集混和槽内において高分子凝集剤を汚泥に混和攪拌させるための攪拌機と、凝集混和槽内の液位変動を検知する水位センサと、濃度センサおよび流量計による計測値に基づき汚泥脱水機への時間当りの汚泥固形物供給量を算出するための演算部を有する制御盤と、演算部からの出力信号をうけて汚泥供給ポンプの回転数を司るインバータを備えたことを特徴とする、汚泥脱水機における汚泥固形物供給量の調整装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2006−263488(P2006−263488A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−80857(P2005−80857)
【出願日】平成17年3月22日(2005.3.22)
【出願人】(000150844)株式会社鶴見製作所 (56)
【Fターム(参考)】