説明

汚泥貯留システム

【課題】汚泥の嫌気化を防ぐことができ、しかも、該嫌気化防止のための機構を利用した簡素な構成により汚泥の粘度を測定することができる汚泥貯留システムを提供する。
【解決手段】汚泥貯留槽1と、該汚泥貯留槽1内で、駆動部4の駆動によって回転運動をし、槽1内の汚泥5に嫌気化防止のための動きを生じさせるプロペラ形抵抗体2と、該抵抗体2が、汚泥5から受ける抵抗力を検知するセンサー6と、センサー6で検知された抵抗力に基づいて汚泥の粘度を算出する処理部7とが備えられている。抵抗体2は、汚泥貯留槽1内の汚泥5に、循環する定常的な流れを形成するものからなっているとよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚泥貯留システムに関する。
【背景技術】
【0002】
汚泥貯留槽内の汚泥の嫌気化を防ぐ方法は、従来より提供されている。また、汚泥の粘度を測定する方法も、従来より提供されている。
【特許文献1】特開2006−239630号公報
【特許文献2】特開平6−74885号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、汚泥の嫌気化を防ぐための機構を利用した簡素な構成により汚泥の粘度を測定することができるようになされた汚泥貯留システムは、未だ提供されていない。
【0004】
本発明は、そのような実情に鑑み、汚泥の嫌気化を防ぐことができ、しかも、該嫌気化防止のための機構を利用した簡素な構成により汚泥の粘度を測定することができる汚泥貯留システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題は、汚泥貯留槽と、
該汚泥貯留槽内で、駆動部の駆動によって運動をし、槽内の汚泥に嫌気化防止のための動きを生じさせる抵抗体と、
該抵抗体が、汚泥から受ける抵抗力を検知するセンサーと
が備えられていることを特徴とする汚泥貯留システムによって解決される(第1発明)。
【0006】
この汚泥貯留システムでは、駆動部の駆動による汚泥貯留槽内での抵抗体の運動によって槽内の汚泥が動かされて、汚泥の嫌気化を防止することができる。
【0007】
しかも、槽内の汚泥を動かす際に抵抗体が汚泥から受ける抵抗力を検知するセンサーが備えられているので、該センサーによって検知された抵抗値から汚泥の粘度を求めることができて、汚泥の嫌気化を防ぐための機構である抵抗体を利用した簡素な構成により、汚泥の粘度を測定することができる。
【0008】
第1発明において、前記センサーで検知された抵抗力に基づいて汚泥の粘度を算出する処理部が備えられている場合は(第2発明)、処理部の算出動作によって汚泥の粘度を容易に測定することができる。
【0009】
第1,第2発明において、前記抵抗体が、汚泥貯留槽内の汚泥に、循環する定常的な流れを形成するものからなっている場合は(第3発明)、抵抗体が汚泥から受ける抵抗力を安定したものにすることができて、汚泥の粘度測定を精度高く容易に行っていくことができ、粘度の連続測定も可能になる。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、以上のとおりのものであるから、汚泥の嫌気化を防ぐことができ、しかも、該嫌気化防止のための機構を利用した簡素な構成により汚泥の粘度を測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、本発明の実施最良形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
図1に示す実施形態の汚泥貯留システムにおいて、1は汚泥貯留槽であり、該汚泥貯留槽1の平面方向の中央部であって高さ方向の中間部には、回転軸線方向を上下方向に向けたプロペラ形の抵抗体2が位置固定状態に設けられ、該抵抗体2の回転シャフト3は、汚泥貯留槽1の底壁を通じて外に導出されて電動モーター等の駆動部4に接続され、該駆動部4を駆動することにより、抵抗体2が回転運動をして、汚泥貯留槽1内の汚泥5に、嫌気化防止のための、図示するような循環する定常的な流れが形成されるようになされている。
【0013】
そして、汚泥貯留槽1の外において、回転シャフト3には、センサー6が設けられ、該センサー6により、抵抗体2が汚泥5から受ける抵抗力を検知することができるようになされている。
【0014】
また、本実施形態では、抵抗力検知センサー6からの抵抗力検知情報に基づいて汚泥5の粘度を算出する処理部7が備えられている。なお、図示しないが、処理部7で算出して求められた汚泥5の粘度を人の五感に作用して表示する表示部や、同粘度を記録して保存する記憶部などが備えられているとよい。
【0015】
上記の汚泥貯留システムでは、駆動部4の駆動による汚泥貯留槽1内でのプロペラ形抵抗体2の回転によって槽1内の汚泥5が動かされて、汚泥5の嫌気化を防止することができ、しかも、槽1内の汚泥を動かす際にプロペラ形抵抗体2が汚泥5から受ける抵抗力を検知するセンサー6が備えられているので、該センサー6によって検知された抵抗値から処理部7によって汚泥の粘度が求められて、汚泥5の嫌気化を防ぐための機構であるプロペラ形抵抗体2を利用した簡素な構成により、汚泥5の粘度を測定することができる。
【0016】
特に、本実施形態では、プロペラ形抵抗体2が、その回転によって、汚泥貯留槽1内の汚泥5に、循環する定常的な流れを形成するようになされているので、プロペラ形抵抗体2が汚泥5から受ける抵抗力を経時的に安定したものにすることができて、汚泥5の粘度測定を精度高く容易に行っていくことができ、所定の時間単位での粘度の連続測定も可能になる。
【0017】
また、汚泥の自己消化も促進されると考えられるし、汚水処理システムに適用する場合は、汚泥の粘度の連続測定によって、該システムの制御の有力な指標として活用することができる。
【0018】
以上に、本発明の実施形態を示したが、本発明はこれに限られるものではなく、発明思想を逸脱しない範囲で各種の変更が可能である。例えば、上記の実施形態では、システムの構成として、抵抗力から粘度を算出する処理部7を備えさせた場合を示したが、処理部7を省略し、センサー6で検知された抵抗力値に基づいて、抵抗力値と粘度との関係を示すチャートを用いて、マニュアル的に粘度を求めるようにしてもよい。その場合には、センサー6で検知された抵抗力値を人の五感に作用して表示する表示部や、同抵抗力値を記録して保存する記憶部などが備えられているとよい。
【0019】
また、上記の実施形態では、プロペラ形抵抗体2が、特定の循環する定常的な流れを形成するようになされている場合を示したが、抵抗体はプロペラ形に限られないし、循環する定常的な流れの形態についても制限はない。また、汚泥の流れは、循環する定常的な流れでなくてもよく、そのような流れである場合には統計的な手法により粘度の測定が行われるようになされていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施形態の汚泥貯留システムを示す断面正面図である。
【符号の説明】
【0021】
1…汚泥貯留槽
2…プロペラ形抵抗体(抵抗体)
4…駆動部
5…汚泥
6…抵抗力検知センサー
7…処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚泥貯留槽と、
該汚泥貯留槽内で、駆動部の駆動によって運動をし、槽内の汚泥に嫌気化防止のための動きを生じさせる抵抗体と、
該抵抗体が、汚泥から受ける抵抗力を検知するセンサーと
が備えられていることを特徴とする汚泥貯留システム。
【請求項2】
前記センサーで検知された抵抗力に基づいて汚泥の粘度を算出する処理部が備えられている請求項1に記載の汚泥貯留システム。
【請求項3】
前記抵抗体が、汚泥貯留槽内の汚泥に、循環する定常的な流れを形成するものからなっている請求項1又は2に記載の汚泥貯留システム。

【図1】
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