説明

決済システム、店舗用端末、決済システムの決済方法およびプログラム

【課題】安全性および利便性の高い決済システムを提供する。
【解決手段】店舗用端末2、決済サーバー3および携帯デバイス4を備えた決済システムSYであって、携帯デバイス4は、クレジットカードの決済に必要な決済情報を入力する入力部410と、決済情報を暗号化する暗号化部420と、決済情報を暗号化した暗号化情報および、当該暗号化情報を送信可能とするためのパスワードを記憶する決済データ記憶部430と、パスワードの入力を条件として暗号化情報を店舗用端末2に送信する暗号化情報送信部440と、を備え、決済サーバー3は、店舗用端末2を介して取得した暗号化情報を復号化する復号化部320と、復号化した決済情報に基づいてクレジットカードの決済処理を行う決済処理部330と、決済処理結果を店舗用端末2に通知する決済処理結果通知部340と、を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
決済用カードの決済を行う決済システム、店舗用端末、決済システムの決済方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の技術として、特許文献1が知られている。当該特許文献1に記載の決済システムは、顧客が所有する携帯電話機と、店舗に設置された店舗用端末と、当該店舗用端末と専用線等を介して接続された決済サーバーとから成る。携帯電話機は、決済処理時において、店舗用端末から店舗特定情報を受信し、受信した店舗特定情報とクレジットカード番号等のクレジット情報を決済サーバーに送信する。決済サーバーは、クレジット情報に基づいて決済処理を行い、決済処理結果を店舗用端末に送信する。この構成により、特許文献1に記載の決済システムは、クレジット情報を店舗側に提供する必要がないため、悪意の第三者へのクレジット情報の漏洩を防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−34980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1の構成では、携帯電話機の移動体通信網を介して決済サーバーとの通信を行っているため、例えば購入店舗が地下にある場合など携帯電話機の通信圏外では、カード決済を行うことができない。また、携帯電話機内に登録されているクレジット情報に対して、何らセキュリティ対策が講じられていないため、携帯電話機を紛失した場合、クレジットカードを紛失したときと同様のリスクが発生する。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑み、安全性および利便性の高い決済システム、店舗用端末、決済システムの決済方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の決済システムは、店舗に配置される店舗用端末と、店舗用端末とネットワークを介して接続された決済サーバーと、店舗用端末と通信可能な顧客デバイスと、を備えた決済システムであって、顧客デバイスは、決済用カードの決済に必要な情報であって、カード番号および暗証番号を含む決済情報を入力する入力部と、決済情報を暗号化する暗号化部と、決済情報を暗号化した暗号化情報と、当該暗号化情報を送信可能とするためのパスワードの組み合わせである決済データを記憶する決済データ記憶部と、パスワードの入力を条件として、暗号化情報を店舗用端末に送信する暗号化情報送信部と、を備え、決済サーバーは、店舗用端末を介して取得した暗号化情報を復号化する復号化部と、復号化した決済情報に基づいて、決済用カードの決済処理を行う決済処理部と、決済処理部による決済処理結果を、店舗用端末に通知する決済処理結果通知部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明の決済システムの決済方法は、店舗に配置される店舗用端末と、店舗用端末とネットワークを介して接続された決済サーバーと、店舗用端末と通信可能な顧客デバイスと、を備えた決済システムの決済方法であって、顧客デバイスが、決済用カードの決済に必要な情報であって、カード番号および暗証番号を含む決済情報を入力するステップと、決済情報を暗号化するステップと、決済情報を暗号化した暗号化情報と、当該暗号化情報を送信可能とするためのパスワードを記憶するステップと、パスワードの入力を条件として、暗号化情報を店舗用端末に送信するステップと、を実行し、決済サーバーが、店舗用端末を介して取得した暗号化情報を復号化するステップと、復号化した決済情報に基づいて、決済用カードの決済処理を行うステップと、決済処理の決済処理結果を、店舗用端末に通知するステップと、を実行することを特徴とする。
【0008】
これらの構成によれば、顧客デバイスでは、決済情報を暗号化した暗号化情報を店舗用端末に送信するために、パスワードの入力が必要となるため、仮に顧客デバイスを紛失した場合でも、セキュリティを確保することができる。また、このパスワードは、決済用カードの決済に必要な暗証番号とは異なるため、決済処理時に悪意の第三者によってカメラ等で操作を監視され、パスワードを読み取られてしまった場合でもリスクが低い。また、暗号化情報は、店舗用端末を介して決済サーバーに送信されるため、顧客デバイスが移動体通信網に接続可能であるか否かに関わらず、確実に決済処理を行うことができる。また、決済情報は暗号化情報として送信されるため、店舗用端末でスキミングされたり、店舗用端末と決済サーバーを結ぶネットワーク上で決済情報が不正に読み取られたりする心配もない。
なお、決済用カードとは、クレジットカードや、暗証番号の入力が必要な電子マネーを指す。
【0009】
上記の決済システムにおいて、暗号化情報送信部は、顧客デバイスにインストールされた専用アプリケーションが起動されることによって機能し、店舗用端末は、決済サーバーから決済処理結果が通知された後、決済処理の終了を示す終了信号を、顧客デバイスに送信する終了信号送信部を備え、顧客デバイスは、終了信号の受信によって、専用アプリケーションを終了するアプリケーション制御部をさらに備えたことを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、決済処理終了時に専用アプリケーションを終了するため、顧客は専用アプリケーションを終了する手間を省くことができると共に、専用アプリケーションの終了忘れを防止できる。また、専用アプリケーションのインストールによって暗号化情報送信部が機能するため、スマートフォンや各種タブレット端末を、顧客デバイスとして利用できる。
なお、専用アプリケーションは、暗号化情報送信部だけでなく、入力部、暗号化部、決済データ記憶部として機能しても良い。
【0011】
上記の決済システムにおいて、店舗用端末は、決済処理結果を、顧客デバイスに送信する電子メール送信部をさらに備え、顧客デバイスは、決済処理結果を記憶する決済処理結果記憶部をさらに備えたことを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、顧客デバイス内に決済処理結果を記憶しておくことができるため、購入履歴等として利用できる。また、決済処理結果をカード利用明細の代わりとして利用できるため、紙レシートの発行を不要とすることができ、紙資源の節約に役立つ。
【0013】
上記の決済システムにおいて、暗号化情報送信部は、暗号化情報に電子メールアドレスを付加して送信し、決済サーバーは、決済処理結果を、電子メールアドレスを宛先として送信する電子メール送信部をさらに備えたことを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、例えば自宅用PCの電子メールアドレスを暗号化情報と共に送信することで、決済処理結果を自宅用PCに転送し、家計簿管理等に利用できる。また、決済処理結果の通知サービスを利用するための会員登録等を必要としないため、個人情報の流出を心配する顧客でも気軽に通知サービスを利用できる。
なお、暗号化情報に電子メールアドレスを付加して送信するのではなく、決済情報の一部として電子メールアドレスを登録しておき、電子メールアドレスも含めて暗号化した暗号化情報を店舗用端末に送信しても良い。
【0015】
上記の決済システムにおいて、決済データ記憶部は、決済データを複数記憶し、暗号化情報送信部は、決済データの選択と、対応するパスワードの入力を条件として、対応する暗号化情報を、店舗用端末に送信することを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、複数の決済用カードについて、それぞれ決済データを登録しておくことができるため、状況に応じて使い分けることができる。
【0017】
上記の決済システムにおいて、決済用カードは、クレジットカードであり、決済情報は、支払い方法を示す情報を含むことを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、顧客とレジオペレーターとの間で、決済処理のたびに支払い方法を指定・確認する手間を省くことができる。また、これにより迅速に決済処理を行うことができる。
なお、支払い方法とは、一括払い、分割払い、リボルビング払い、ボーナス払い、などを指す。
【0019】
本発明の店舗用端末は、上記の決済システムに用いられることを特徴とする。
【0020】
本発明のプログラムは、コンピューターに、上記の決済システムの決済方法における各ステップを実行させることを特徴とする。
【0021】
これらの店舗用端末やプログラムを用いることにより、安全性および利便性の高い決済システム(決済システムの決済方法)を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係る決済システムのシステム構成図である。
【図2】決済システムの機能ブロック図である。
【図3】携帯デバイスのメインメニュー画面および決済情報登録画面の表示例を示す図である。
【図4】携帯デバイスの決済処理結果通知設定画面および決済データ選択画面の表示例を示す図である。
【図5】携帯デバイスのパスワード入力画面および決済履歴表示画面の表示例を示す図である。
【図6】決済処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付の図面を参照し、本発明の決済システム、店舗用端末、決済システムの決済方法およびプログラムについて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る決済システムSYのシステム構成図である。同図に示すように、決済システムSYは、会計処理を行うPOS端末1と、本実施形態の主要部を為す店舗用端末2と、クレジットカード(決済用カード)の決済処理を行う決済サーバー3と、顧客が携行する携帯デバイス4(顧客デバイス)と、顧客の自宅などに配置される顧客用PC5と、を備えている。なお、同図では、各構成要素が1台ずつ設けられたシステム構成を例示しているが、1の決済サーバー3に対し、複数台の店舗用端末2、複数台の顧客用PC5が接続された構成であっても良い。
【0024】
店舗用端末2は、インターネット等のネットワークNTを介して、決済サーバー3と接続される。また、決済サーバー3も、ネットワークNTを介して、顧客用PC5と接続される。また、店舗用端末2は、有線/無線LANまたはケーブルなどを介してPOS端末1と接続される。さらに店舗用端末2は、携帯デバイス4とNFC通信を行う。ここで、NFC(Near Field Communication)は、近距離無線通信を利用したRFID技術の一つであり、例えば、電子マネーによる決済を行う際に、10〜100mm程度の距離でデータ通信を行う場面などで広く利用されている。なお、携帯デバイス4は、決済処理時において、顧客により、店舗用端末2に翳されるか、店舗用端末2の近傍に配置された所定の配置場所に配置されることにより、店舗用端末2との通信を行う。
【0025】
POS端末1は、会計処理を実現するためのPOSアプリケーション11と、商品用バーコードを読み取るためのバーコードリーダー12と、商品コードの入力および各種操作を行うためのキーボード13と、を備えている。また、特に図示しないが、その他一般的なPOS端末の構成を有している。
【0026】
店舗用端末2は、携帯デバイス4(NFCチップ42)とNFC通信を行うためのNFCユニット21と、暗証番号を入力するためのPINパッド22と、を備えている。PINパッド22は、携帯デバイス4を用いた本実施形態の決済処理を行わない顧客が、従来の決済方法(PINパッド22でクレジットカードを読み取り、且つPINパッド22に暗証番号を入力する方法)で決済を行うために用いる。
【0027】
携帯デバイス4は、顧客が決済サービスを受けるための専用アプリケーション41と、店舗用端末2(NFCユニット21)と無線通信を行うためのNFCチップ42と、電子メールの送受信を行うための電子メールアプリケーション43と、決済データおよび決済処理履歴等を記憶するための内部メモリー44と、各種情報の表示および各種操作を行うためのタッチパネル45と、を備えている。なお、携帯デバイス4としては、ノート型パーソナルコンピューター、スマートフォン、携帯電話、その他各種タブレット端末を適用可能である。
【0028】
決済データとは、クレジットカードの決済に必要な決済情報を暗号化した暗号化情報と、当該暗号化情報を店舗用端末2に送信可能とするためのパスワードを組み合わせたデータである。なお、決済情報とは、クレジットカードのカード番号、暗証番号、有効期限、支払い方法などを指す(図3(b)参照)。専用アプリケーション41は、これら決済情報の入力、暗号化、決済データの登録等を行うために用いられる。また、専用アプリケーション41は、携帯デバイス4がインターネット接続機能を有している場合、ダウンロード用Webサイトからダウンロードする。若しくは、予め携帯デバイス4内に組み込まれていても良い。一方、電子メールアプリケーション43は、決済サーバー3から電子メールにて決済処理結果を受信するために用いられる。
【0029】
顧客用PC5は、電子メールの送受信を行うための電子メールアプリケーション51と、決済処理履歴等を記憶するためのハードディスク52と、を備えている。電子メールアプリケーション51は、携帯デバイス4の電子メールアプリケーション43と同様に、決済サーバー3から決済処理結果を受信するために用いられる。なお、顧客用PC5は、決済システムSYの必須構成要素ではなく、顧客が携帯デバイス4への決済処理結果の通知を希望する場合(後述する決済処理結果通知設定画面にて、携帯デバイス4の電子メールアドレスが登録された場合,図4(a)参照)、顧客用PC5は不要である。
【0030】
決済サーバー3は、決済処理プログラム31を備えている。決済処理プログラム31は、携帯デバイス4から店舗用端末2を介して送信された暗号化情報の復号化、復号化された決済情報の認証、認証済み決済情報に基づく決済、などの一連の決済処理と、店舗用端末2への決済処理結果の通知等を行うために用いられる。
【0031】
次に、図2を参照し、決済システムSYの機能構成について説明する。POS端末1は、主な機能構成として、会計処理部110を備えている。会計処理部110は、POSアプリケーション11を主要部とし、バーコードリーダー12やキーボード13の入力に基づいて、会計処理を行う。
【0032】
携帯デバイス4は、主な機能構成として、入力部410、暗号化部420、決済データ記憶部430、暗号化情報送信部440、決済処理結果記憶部450、電子メール受信部460およびアプリケーション制御部470を備えている。なお、これらのうち、電子メール受信部460は、電子メールアプリケーション43を主要部とする。また、電子メール受信部460を除く各部は、専用アプリケーション41を主要部とする。
【0033】
入力部410は、タッチパネル45により、クレジットカードの決済に必要な決済情報と、当該決済情報の利用時に必要なパスワードを入力する。暗号化部420は、入力された決済情報を、所定の暗号化方式により暗号化する。決済データ記憶部430は、決済情報を暗号化した暗号化情報と、当該暗号化情報を店舗用端末2に送信可能とするための上記パスワードを紐付け、決済データとして内部メモリー44に記憶する。
【0034】
暗号化情報送信部440は、会計処理の際に、パスワード入力画面(図5(a)参照)におけるパスワードの入力を条件として、店舗用端末2に暗号化情報を送信する。また、暗号化情報送信部440は、暗号化情報と共に、決済処理結果通知設定画面(図4(a)参照)にて設定された通知方法と、電子メールアドレス(通知方法として「電子メール」が選択された場合のみ)を示す通知情報を店舗用端末2に送信する。
【0035】
決済処理結果記憶部450は、顧客が携帯デバイス4への決済処理結果の通知を希望する場合、店舗用端末2からNFC通信を介して送信される決済処理結果を内部メモリー44に記憶する。電子メール受信部460は、顧客が電子メールによる決済処理結果の通知を希望する場合であって、宛先として携帯デバイス4の電子メールアドレスを設定した場合、決済サーバー3から送信される電子メール(決済処理結果を含む、または添付ファイルとして決済処理結果が添付された電子メール)を受信する。なお、電子メールを用いて取得した決済処理結果も、決済処理結果記憶部450に記憶される。
【0036】
アプリケーション制御部470は、店舗用端末2から、決済処理の終了を示す終了信号を受信したとき、起動中の専用アプリケーション41を自動終了する。つまり、顧客は、暗号化情報送信時(利用時)における専用アプリケーション41の起動操作は必要であるが、終了操作は不要である。またこれにより、専用アプリケーション41の終了忘れがなくなるため、第三者による暗号化情報の不正使用を防止できる。
【0037】
顧客用PC5は、主な機能構成として、電子メール受信部510および決済処理結果記憶部520を備えている。電子メール受信部510は、顧客が電子メールによる決済処理結果の通知を希望する場合であって、宛先として顧客用PC5の電子メールアドレスを設定した場合、決済サーバー3から送信される電子メールを受信する。決済処理結果記憶部520は、電子メールに含まれる(または添付される)決済処理結果を、ハードディスク52内の所定の記憶領域に記憶する。
【0038】
店舗用端末2は、主な機能構成として、会計情報受信部210、暗号化情報転送部220、決済処理結果転送部230および終了信号送信部240を備えている。これらのうち、暗号化情報転送部220および決済処理結果転送部230は、NFCユニット2および不図示のネットワーク通信手段を主要部とする。また、終了信号送信部240は、NFCユニット2を主要部とする。
【0039】
会計情報受信部210は、POS端末1(会計処理部110)から、会計金額を含む会計情報を受信する。暗号化情報転送部220は、会計情報の受信後(暗号化情報の受信待ち状態において)、携帯デバイス4(暗号化情報送信部440)から暗号化情報を受信し、これを決済サーバー3に送信する。このとき、暗号化情報転送部220は、暗号化情報に、当該暗号化情報と共に送信された通知情報、予め登録されている店舗識別情報(または店舗用端末2に付与されたID)および会計金額を含む付随情報を付加して、決済サーバー3に送信する。
【0040】
決済処理結果転送部230は、顧客が携帯デバイス4への決済処理結果の通知を希望する場合(決済処理結果に送信指令が付加されている場合,図6のS06,S07参照)、決済サーバー3(決済処理結果通知部340)から通知された決済処理結果を携帯デバイス4に送信する。また、特に図示しないが、決済処理結果転送部230は、POS端末1にも、決済処理結果(決済OK/決済NG)を送信する。終了信号送信部240は、POS端末1への決済処理結果の送信を完了した後、決済処理の終了を示す終了信号を携帯デバイス4に送信する。
【0041】
決済サーバー3は、主な機能構成として、暗号化情報受信部310、復号化部320、決済処理部330、決済処理結果通知部340および電子メール送信部350を備えている。これら各部は、全て決済処理プログラム31を主要部とする。
【0042】
暗号化情報受信部310は、店舗用端末2(暗号化情報転送部220)から転送された暗号化情報および付随情報を受信する。復号化部320は、暗号化情報を復号化し、決済情報を生成する。決済処理部330は、決済情報および付随情報(通知情報、店舗識別情報および会計金額を含む)に基づいて決済処理を行う。決済処理結果通知部340は、決済処理部330による決済処理結果を店舗用端末2に通知する。電子メール送信部350は、顧客が電子メールによる決済処理結果の通知を希望する場合、決済処理結果を含む(または添付した)電子メールを送信する。
【0043】
次に、図3ないし図5のタッチパネル表示例を参照し、携帯デバイス4の操作について説明する。図3(a)は、専用アプリケーション41の起動時に表示されるメインメニュー画面の表示例を示す図である。メインメニュー画面では、決済情報登録画面(図3(b)参照)を表示させるための「決済情報登録」、決済処理結果通知設定画面(図4(a)参照)を表示させるための「決済処理結果通知設定」、決済データ選択画面(図4(b)参照)を表示させるための「決済データ選択」、決済履歴画面(図5(b)参照)を表示させるための「決済履歴表示」、の4つの選択肢を表示する。メインメニュー画面において、これらの選択肢の中からいずれか1の選択肢が選択され、OKボタン61が押下されると、該当する画面に遷移する。
【0044】
図3(b)は、決済情報登録画面の表示例を示す図である。決済情報登録画面では、決済情報として、カード番号、暗証番号(クレジットカード申し込み時に登録した数字列)、有効期限、支払い方法を入力する。支払い方法については、プルダウンメニュー62の中から、所望の支払い方法を選択しても良い。この場合、プルダウンメニュー62には、一括払い、分割払い(2回、3回・・・)、リボルビング払い、ボーナス払いなどの選択肢が含まれる。
【0045】
また、決済情報登録画面では、決済情報以外に、登録名およびパスワードを入力する。登録名とは、決済情報を複数種類登録した場合に、各決済情報(決済データ)を区別するための情報であり、決済データ選択画面(図4(b)参照)に選択肢として表示される。また、パスワードとは、暗証番号とは関係のない英数文字列であり、同図に示す決済情報登録画面で任意に設定可能である。決済情報登録画面にて、OKボタン63が押下されると、メインメニュー画面(図3(a)参照)に戻る。
【0046】
図4(a)は、決済処理結果通知設定画面の表示例を示す図である。決済処理結果通知設定画面では、通知方法として、NFC通信、電子メール、通知不要の中からいずれかを選択可能である。ここで、NFC通信が選択されると、決済処理結果が店舗用端末2からNFC通信を介して携帯デバイス4に送信される。また、電子メールが選択されると、電子メールアドレス欄64に入力されたアドレスを宛先として、決済処理結果を含む(または添付された)電子メールが送信される。また、通知不要が選択された場合は、NFC通信および電子メールによる決済処理結果の通知は行われない。これら決済方法の設定後、OKボタン65が押下されると、メインメニュー画面(図3(a)参照)に戻る。
【0047】
図4(b)は、決済データ選択画面の表示例を示す図である。決済データ選択画面では、決済に用いる決済データ(決済情報を暗号化した暗号化情報とパスワードを紐付けたデータであって、登録名により区別されるデータ)を選択可能である。同図の例は、決済情報登録画面(図3(b)参照)により、3つの決済情報(決済データ)が登録されている状態を示している。決済データの選択後、OKボタン66が押下されると、パスワード入力画面(図5(a)参照)に遷移する。
【0048】
図5(a)は、パスワード入力画面の表示例を示す図である。パスワード入力画面では、パスワード入力欄67に、決済情報登録画面(図3(b)参照)で登録したパスワードを入力する。パスワードの入力後、OKボタン68が押下されると、携帯デバイス4は、選択された決済データ(同図の例では、登録名「AAAA」)に含まれる暗号化情報を、店舗用端末2に送信する(暗号化情報送信部440)。
【0049】
図5(b)は、決済履歴表示画面の表示例を示す図である。決済履歴表示画面では、NFC通信または電子メールにて送信された決済処理結果を、決済日時順に並べて表示する。同図に示すように、決済処理結果には、決済日時、利用した決済データ(決済データの登録名)、決済金額、購入店舗等を示す情報が含まれる。なお、画面内に表示できない過去の決済処理結果については、タッチパネル45のスクロール操作により表示可能である。
【0050】
次に、図6のフローチャートを参照し、決済処理の一連の流れを説明する。なお、本処理は、POS端末1による会計処理に伴い、POS端末1が決済待ちの状態で開始されるものとする。まず、携帯デバイス4は、専用アプリケーション41を起動し、決済データの選択およびパスワードの入力を行うことによって、暗号化情報および通知情報(決済処理結果の通知方法や電子メールアドレスを示す情報)を店舗用端末2に送信する(S01)。店舗用端末2は、受信した暗号化情報と、通知情報、店舗識別情報および会計金額から成る付随情報と、を決済サーバー3に送信する(S02)。決済サーバー3は、受信した暗号化情報を復号化し(S03)、復号化した決済情報および会計金額に基づいて決済処理を行う(S04)。
【0051】
決済処理の終了後、決済サーバー3は、通知情報に基づいて通知方法を判別し(S05)、NFC通信が選択されている場合は(S05:Yes)、店舗識別情報にて特定される店舗用端末2に対し、決済処理結果と、送信指令(携帯デバイス4への決済処理結果の送信指令)を通知する(S06)。店舗用端末2は、当該送信指令にしたがい、携帯デバイス4に対してNFC通信により決済処理結果を送信する(S07)。携帯デバイス4は、決済処理結果を受信し(S08)、これを内部メモリー44に記憶する(S09)。
【0052】
一方、決済サーバー3は、通知方法がNFC通信ではない場合(S05:No)、通知方法として電子メールが選択されているか否かを判別し(S10)、電子メールが選択されている場合は(S10:Yes)、電子メールにて決済処理結果を送信する(S11)。その後、店舗識別情報にて特定される店舗用端末2に対し、決済処理結果を通知する(S12)。店舗用端末2は、S07の後、若しくはS12の通知後、POS端末1に対して決済処理結果を通知する(S13)。この後、POS端末1では、不図示のレシートプリンターにより会計レシート(紙レシート)が発行され、会計処理が終了する。
【0053】
また、店舗用端末2は、POS端末1に対する決済処理結果の通知後、携帯デバイス4に対し、決済処理の終了を示す終了信号を送信する(S14)。なお、当該終了信号の送信は、POS端末1からS13の通知に対するレスポンスを受信した後に行っても良い。携帯デバイス4は、終了信号を受信すると、起動中の専用アプリケーション41を自動終了する(S15)。
【0054】
以上説明したとおり、本実施形態によれば、携帯デバイス4に、暗証番号や支払い方法を含む決済情報を予め登録しておき、これを暗号化して店舗用端末2に送信するため、顧客は、決済処理のたびに暗証番号を入力したり、支払い方法を指定したりする手間を省くことができる。これにより迅速に決済処理を行うことができ、顧客のレジ待ち時間を短縮できる。また、暗証番号の入力が不要であるため、第三者により暗証番号を盗撮されるリスクがない。また、決済情報は暗号化情報として店舗用端末2に送信されるため、店舗用端末2でスキミングされたり、店舗用端末2と決済サーバー3を結ぶネットワークNT上で読み取られたりする心配もない。
【0055】
また、携帯デバイス4では、暗号化情報を店舗用端末2に送信するために、パスワードの入力が必要となるため、仮に携帯デバイス4を紛失した場合でも、セキュリティを確保することができる。また、このパスワードは、クレジットカードの決済に必要な暗証番号とは異なるため、盗撮によりパスワードを読み取られてしまった場合でもリスクが低い。また、暗号化情報は、店舗用端末2を介して決済サーバー3に送信されるため、携帯デバイス4が移動体通信網に接続可能な状態であるか否かに関わらず、確実に決済処理を行うことができる。
【0056】
また、携帯デバイス4は、専用アプリケーション41のインストールによって決済サービスを受けられる構成であるため、スマートフォンなどの汎用端末を、本発明の顧客デバイスとして利用できる。また、決済処理終了時には、専用アプリケーション41を自動終了するため、専用アプリケーション41の終了忘れにより起動したままの状態となり、他のレジの決済処理に利用されるなどの誤動作を防止できる。また、携帯デバイス4には、決済用カード別または支払い方法別に決済データを複数登録できるため、状況に応じて決済データを使い分けることができる。
【0057】
また、決済処理結果の通知サービスを行うため、顧客は、これを購入履歴の管理や家計簿に利用できる。また、決済処理結果通知設定画面(図4(a)参照)により、決済処理結果の通知方法を好みに応じて選択できる。また、通知情報として電子メールを用いる場合は、通知情報に電子メールアドレスを含めて送信する構成であるため、決済処理結果の通知サービスを利用するための事前登録を必要としない。このため、個人情報の流出を心配する顧客でも気軽に通知サービスを利用できる。
【0058】
なお、上記の実施形態では、店舗用端末2から携帯デバイス4に終了信号を送信したとき、携帯デバイス4の専用アプリケーション41を終了したが(図6のS14,S15参照)、店舗用端末2から携帯デバイス4に決済処理結果を送信したとき(図6のS07参照)に専用アプリケーション41を終了しても良い。この場合、携帯デバイス4は、S09の後、専用アプリケーション41を終了し、店舗用端末2は、S13にて処理を終了する。
【0059】
また、上記の実施形態では、携帯デバイス4にて、決済情報の登録や通知方法の選択を行う構成としたが、単に、決済情報および通知情報を携帯デバイス4内に記憶しておくだけでも良い。この場合、携帯デバイス4は、記憶媒体のみを備えれば良いため、会員カードなどのカード媒体やキーホルダーなどを携帯デバイス4として適用可能である。
【0060】
また、上記の実施形態では、店舗用端末2と携帯デバイス4との通信は、NFC通信を介して行ったが、Bluetooth(登録商標)通信など他の通信方法を用いても良い。また、店舗用端末2による暗号化情報および通知情報の取得は、携帯デバイス4のタッチパネル45上に表示された2次元コードなどのコード画像(暗号化情報および通知情報をコード化した画像)の読み取りによって行っても良い。さらにこの場合、2次元コードをプリンターで印刷した印刷用紙を、携帯デバイス4として用いても良い。
【0061】
また、上記の実施形態に示した決済システムSY(店舗用端末2、決済サーバー3、携帯デバイス4など)の各機能・各処理をプログラムとして提供することが可能である。また、そのプログラムを各種記録媒体(CD−ROM、フラッシュメモリー等)に格納して提供することも可能である。すなわち、コンピューターを、店舗用端末2、決済サーバー3、携帯デバイス4の各構成要素として機能させるためのプログラム、およびそれを記録した記録媒体も、本発明の権利範囲に含まれるものである。その他、上述した実施例によらず、決済システムSYのシステム構成や処理工程等について、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0062】
1…POS端末 2…店舗用端末 3…決済サーバー 4…携帯デバイス 11…POSアプリケーション 12…バーコードリーダー 13……キーボード 21…NFCユニット 22…PINパッド 31…決済処理プログラム 41…専用アプリケーション 42…NFCチップ 43…電子メールアプリケーション 44…内部メモリー 45…タッチパネル 51…電子メールアプリケーション 52…ハードディスク NT…ネットワーク SY…決済システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
店舗に配置される店舗用端末と、
前記店舗用端末とネットワークを介して接続された決済サーバーと、
前記店舗用端末と通信可能な顧客デバイスと、を備えた決済システムであって、
前記顧客デバイスは、
決済用カードの決済に必要な情報であって、カード番号および暗証番号を含む決済情報を入力する入力部と、
前記決済情報を暗号化する暗号化部と、
前記決済情報を暗号化した暗号化情報と、当該暗号化情報を送信可能とするためのパスワードの組み合わせである決済データを記憶する決済データ記憶部と、
前記パスワードの入力を条件として、前記暗号化情報を前記店舗用端末に送信する暗号化情報送信部と、を備え、
前記決済サーバーは、
前記店舗用端末を介して取得した前記暗号化情報を復号化する復号化部と、
復号化した前記決済情報に基づいて、前記決済用カードの決済処理を行う決済処理部と、
前記決済処理部による決済処理結果を、前記店舗用端末に通知する決済処理結果通知部と、を備えたことを特徴とする決済システム。
【請求項2】
前記暗号化情報送信部は、前記顧客デバイスにインストールされた専用アプリケーションが起動されることによって機能し、
前記店舗用端末は、
前記決済サーバーから前記決済処理結果が通知された後、前記決済処理の終了を示す終了信号を、前記顧客デバイスに送信する終了信号送信部を備え、
前記顧客デバイスは、
前記終了信号の受信によって、前記専用アプリケーションを終了するアプリケーション制御部をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の決済システム。
【請求項3】
前記店舗用端末は、
前記決済処理結果を、前記顧客デバイスに送信する電子メール送信部をさらに備え、
前記顧客デバイスは、
前記決済処理結果を記憶する決済処理結果記憶部をさらに備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の決済システム。
【請求項4】
前記暗号化情報送信部は、前記暗号化情報に電子メールアドレスを付加して送信し、
前記決済サーバーは、
前記決済処理結果を、前記電子メールアドレスを宛先として送信する電子メール送信部をさらに備えたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の決済システム。
【請求項5】
前記決済データ記憶部は、前記決済データを複数記憶し、
前記暗号化情報送信部は、前記決済データの選択と、対応する前記パスワードの入力を条件として、対応する前記暗号化情報を、前記店舗用端末に送信することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の決済システム。
【請求項6】
前記決済用カードは、クレジットカードであり、
前記決済情報は、支払い方法を示す情報を含むことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の決済システム。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の決済システムに用いられることを特徴とする店舗用端末。
【請求項8】
店舗に配置される店舗用端末と、
前記店舗用端末とネットワークを介して接続された決済サーバーと、
前記店舗用端末と通信可能な顧客デバイスと、を備えた決済システムの決済方法であって、
前記顧客デバイスが、
決済用カードの決済に必要な情報であって、カード番号および暗証番号を含む決済情報を入力するステップと、
前記決済情報を暗号化するステップと、
前記決済情報を暗号化した暗号化情報と、当該暗号化情報を送信可能とするためのパスワードを記憶するステップと、
前記パスワードの入力を条件として、前記暗号化情報を前記店舗用端末に送信するステップと、を実行し、
前記決済サーバーが、
前記店舗用端末を介して取得した前記暗号化情報を復号化するステップと、
復号化した前記決済情報に基づいて、前記決済用カードの決済処理を行うステップと、
前記決済処理の決済処理結果を、前記店舗用端末に通知するステップと、を実行することを特徴とする決済システムの決済方法。
【請求項9】
コンピューターに、請求項8に記載の決済システムの決済方法における各ステップを実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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