決済システム、自動販売機、決済装置
【課題】
人体通信を利用した電子決済を効率よく行うことが可能となるとともに、誤決済が生じる可能性を低減した決済システム、自動販売機、決済装置を提供することを目的とする。
【解決手段】
人体通信用の送受信アンテナ32(32−1〜32−n)を有する商品選択ボタン31(31−1〜31−n)に対する操作である押込み量を押込み量検知部33(33−1〜33−n)で検知し、購入者により第1の押込み量まで商品選択ボタン31が押込まれた際に、通信処理部44が人体通信を開始し、その後購入者により第2の押込み量まで商品選択ボタン31が押込まれた際に、通信処理部44による人体通信を利用して決済処理部41が、購入者が携帯する携帯用決済処理装置との間で決済処理を行う。
人体通信を利用した電子決済を効率よく行うことが可能となるとともに、誤決済が生じる可能性を低減した決済システム、自動販売機、決済装置を提供することを目的とする。
【解決手段】
人体通信用の送受信アンテナ32(32−1〜32−n)を有する商品選択ボタン31(31−1〜31−n)に対する操作である押込み量を押込み量検知部33(33−1〜33−n)で検知し、購入者により第1の押込み量まで商品選択ボタン31が押込まれた際に、通信処理部44が人体通信を開始し、その後購入者により第2の押込み量まで商品選択ボタン31が押込まれた際に、通信処理部44による人体通信を利用して決済処理部41が、購入者が携帯する携帯用決済処理装置との間で決済処理を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、決済システム、自動販売機、決済装置に関し、特に、人体通信を利用して電子決済を行う決済システム、自動販売機、決済装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ICカード等に記憶された決済情報等を用いて電子決済を行う機会が増加し、自動販売機においても、電子決済が可能となっている(例えば、特許文献1参照)。自動販売機における電子決済は、購入者がICカードを自動販売機に設置されたアンテナ部分にかざすことにより行われるものが多い。
【0003】
一方、最近では、人体を通信媒体として利用する人体通信を自動販売機の電子決済に利用し、購入者がICカードをかざす行為を省略することも可能な技術が提案されている(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2003−85623号公報
【特許文献2】特開2006−173913号公報
【特許文献3】特許第3847741号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動販売機での電子決済に人体通信を利用する場合、特許文献2に記載されているように、商品選択用のボタンにアンテナ(導電性押下部)を設置し、商品の選択と人体通信による電子決済を一連の処理として行うことが考えられる。
【0005】
しかしながら、特許文献2に記載されているような構成では、人体通信による電子決済が可能な者が、誤って商品選択ボタンに触れた場合や、商品の購入意思のある購入者が商品の選択時に誤って商品選択ボタンに触れた場合にも決済(商品販売)が行われてしまう可能性がある。
【0006】
また、特許文献3に記載された構成では、商品選択ボタンの他に購入決定ボタンを設けており、誤販売が行われる可能性は低減するものの、購入者は、商品選択ボタンを押下した後に購入決定ボタンを押下する必要があり、ICカードをアンテナ部分にかざす処理と大差が無くなり、人体通信を利用する効果が十分に得られないものである。
【0007】
そこで、本発明は、人体通信を利用した電子決済を効率よく行うことが可能となるとともに、誤決済が生じる可能性を低減した決済システム、自動販売機、決済装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した目的を達成するため、請求項1の発明は、自動販売機の決済を人体通信を利用して行う決済システムにおいて、人体を伝達媒体として通信を行う携帯用決済処理装置と、前記携帯用決済処理装置と人体を伝達媒体として通信を行い、該通信により前記携帯用決済処理装置との間で決済処理を行う自動販売機とを具備し、前記自動販売機は、人体と接触することで通信を媒介する通信媒介手段を有するとともに、少なくとも、前記人体が前記通信媒介手段に接触している状態で行われる第1の操作と、該状態を継続したまま行われる第2の操作とを受け付ける操作受付手段と、前記操作受付手段が前記第1の操作を受け付けていることを条件に、前記通信媒介手段を介して前記人体に備えられた携帯用決済処理装置との間で通信を行う通信手段と、前記操作受付手段が前記第2の操作の受け付けた場合に、前記通信手段が行う通信を利用して前記携帯用決済処理装置との間で決済処理を行う決済処理手段とを具備することを特徴とする。
【0009】
なお、通信媒介手段は、例えば後述の送受信アンテナ32に、操作受付手段は、例えば後述の商品選択ボタン31に、通信手段は、例えば後述の人体通信モジュール43に、決済処理手段は、例えば後述の決済処理部41に、それぞれ相当する。
【0010】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記自動販売機は、前記操作受付手段を複数具備するとともに、該操作受付手段のうち前記第1の操作を受け付けた操作受付手段に対応する通信媒介手段と前記通信手段とを接続する切替手段をさらに具備することを特徴とする。
【0011】
なお、切替手段は、例えば後述の切替部8、切替部46”に相当する。
【0012】
また、請求項3の発明は、人体を伝達媒体として該人体が携帯する携帯用決済処理装置と通信を行い、該通信により該携帯用決済処理装置との間で決済処理を行う自動販売機において、人体と接触することで通信を媒介する通信媒介手段を有するとともに、少なくとも、前記人体が前記通信媒介手段に接触している状態で行われる第1の操作と、該状態を継続したまま行われる第2の操作とを受け付ける操作受付手段と、前記操作受付手段が前記第1の操作を受け付けていることを条件に、前記通信媒介手段を介して前記人体に備えられた携帯用決済処理装置との間で通信を行う通信手段と、前記操作受付手段が前記第2の操作の受け付けた場合に、前記通信手段が行う通信を利用して前記携帯用決済処理装置との間で決済処理を行う決済処理手段とを具備することを特徴とする。
【0013】
なお、通信媒介手段は、例えば後述の送受信アンテナ32に、操作受付手段は、例えば後述の商品選択ボタン31に、通信手段は、例えば後述の人体通信モジュール43に、決済処理手段は、例えば後述の決済処理部41に、それぞれ相当する。
【0014】
また、請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記操作受付手段を複数具備するとともに、該操作受付手段のそれぞれに対応する通信媒介手段と前記通信手段との接続を切り替える切替手段をさらに具備し、前記切替手段は、前記操作受付手段のうち、前記第1の操作を受け付けた操作受付手段に対応する通信媒介手段と前記通信手段とを接続することを特徴とする。
【0015】
なお、切替手段は、例えば後述の切替部8、切替部46”に相当する。
【0016】
また、請求項5の発明は、請求項3または4の発明において、前記操作受付手段は、前記人体による押込みを受け付け、前記第2の操作は、前記第1の操作よりも押込み量が大きいことを特徴とする。
【0017】
また、請求項6の発明は、人体を伝達媒体として通信を行う際に該人体と接触する通信媒介手段が設けられ、少なくとも、前記人体が前記通信媒介手段に接触している状態で行われる第1の操作と、該状態を継続したまま行われる第2の操作とを受け付ける操作受付手段を有する自動販売機に搭載される決済装置であって、前記操作受付手段が前記第1の操作を受け付けていることを条件に、前記通信媒介手段を介して前記人体に備えられた携帯用決済処理装置との間で通信を行う通信手段と、前記操作受付手段が前記第2の操作の受け付けた場合に、前記通信手段が行う通信を利用して前記携帯用決済処理装置との間で決済処理を行う決済処理手段とを具備することを特徴とする。
【0018】
なお、請求項6の発明である決済装置は、例えば、電子決済装置4、電子決済装置4’、電子決済装置4”に相当し、通信媒介手段は、例えば後述の送受信アンテナ32に、操作受付手段は、例えば後述の商品選択ボタン31に、通信手段は、例えば後述の人体通信モジュール43に、決済処理手段は、例えば後述の決済処理部41に、それぞれ相当する。
【0019】
また、請求項7の発明は、請求項6の発明において、前記通信媒介手段を複数具備するとともに該複数の通信媒介手段を前記通信手段に選択的に接続する切替手段とを具備した自動販売機に搭載され、前記操作受付手段が前記第1の操作を受け付けた際に、該第1の操作を受け付けた操作受付手段に対応する通信媒介手段と前記通信手段とを接続するように前記切替手段を制御する切替制御手段をさらに具備することを特徴とする。
【0020】
なお、請求項7の発明である決済装置は、例えば、電子決済装置4’に相当し、切替手段は、例えば後述の切替部8に相当し、切替制御手段は、例えば後述の制御部42’に相当する。
【0021】
また、請求項8の発明は、請求項6の発明において、前記自動販売機は、前記通信媒介手段を複数具備した自動販売機に搭載され、前記通信媒介手段を前記通信手段に選択的に接続する切替手段と、前記操作受付手段が前記第1の操作を受け付けた際に、該第1の操作を受け付けた操作受付手段に対応する通信媒介手段と前記通信手段とを接続するように前記切替手段を制御する切替制御手段をさらに具備することを特徴とする。
【0022】
なお、請求項8の発明である決済装置は、例えば、電子決済装置4”に相当し、切替手段は、例えば後述の切替部46”に相当し、切替制御手段は、例えば後述の制御部42’に相当する。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、人体通信を利用した電子決済を効率よく行うことが可能となるとともに、誤決済が生じる可能性が低減する。
【0024】
また、本発明によれば、人体通信を行うためのポーリング処理を必要とせず、省電力を実現することができる。
【0025】
さらに、本発明によれば、従来の自動販売機に大幅な変更を加えることなく、人体通信による電子決済が可能な自動販売機を実現することも可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明に係る決済システム、自動販売機、決済装置の一実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0027】
図1は、本発明を適用した自動販売機の構成例を示した図である。同図に示すように、自動販売機1は、主制御装置2、商品選択装置3、電子決済装置4、現金決済装置5、表示装置6、商品提供装置7を有している。
【0028】
主制御装置2は、自動販売機1の制御部として動作し、商品選択装置3、電子決済装置4、現金決済装置5、表示装置6、商品提供装置7の各部が連携して動作を行うように、各部を制御する。また、主制御装置2は、プロセッサやメモリ等で構成されるコンピュータをプログラムにしたがって動作させることで実現される。
【0029】
商品選択装置3は、自動販売機1が販売する商品を購入者に選択させるもので、商品選択ボタン等を有する。また、商品選択装置3は、購入者との間で人体通信を行う際の送受信アンテナも有している。
【0030】
電子決済装置4は、購入者との間で人体通信を行い、この人体通信を利用して購入者が携帯する携帯用決済処理装置との間で決済処理を行う。購入者が携帯する携帯用決済処理装置は、人体通信を利用して決済を行うもので、例えば、人体通信モジュールとアンテナ、電子マネー等の決済情報を記憶したメモリを有する通信装置である。決済情報を記憶したメモリは、通信装置に対して着脱可能であったり、メモリに加えて決済処理そのものを行うプロセッサを有するものであってもよい。この電子決済装置4は、商品選択装置3と人体通信の際の通信経路となる信号線等で接続されている。
【0031】
現金決済装置5は、紙幣や硬貨による決済を行うもので、購入者が投入した紙幣や硬貨を受け入れるとともに、必要に応じて釣銭等の返却を行う。なお、自動販売機1を現金決済に対応させない場合には、現金決済装置5は不要である。
【0032】
表示装置6は、購入者に対して投入金額や商品情報等を提示するものである。なお、表示装置6は、必ずしも必要なものではない。
【0033】
商品提供装置7は、電子決済装置4または現金決済装置5による決済が成立した場合に、商品選択装置3が受け付けた商品、つまり、購入者が選択した商品を提供する。
【0034】
次に、商品選択装置3と電子決済装置4の構成について説明する。図2は、商品選択装置と電子決済装置の構成例を示した図である。
【0035】
同図に示すように、商品選択装置3は、購入者が商品を選択するための複数の商品選択ボタン31(31−1〜31−n)を有している。また、各商品選択ボタン31は、それぞれ、送受信アンテナ32(32−1〜32−n)、押込み量検知部33(33−1〜33−n)を有している。なお、自動販売機1が販売する商品が1種類である場合は、商品選択ボタン31は、複数である必要はない。
【0036】
送受信アンテナ32は、購入者との間で人体通信を行う際に、購入者が接触する部分で導電性を有する材料等で構成される。
【0037】
押込み量検知部33は、購入者により商品選択ボタン31が押下された際に、その押込み量を検知する。押込み量検知部33が検知する押込み量は、2段階であるものとする。なお、押込み量検知部33の詳細については後述する。
【0038】
電子決済装置4は、決済処理部41と、制御部42、人体通信モジュール43を有しており、人体通信モジュール43は、通信処理部44と入出力部45を有している。
【0039】
決済処理部41は、人体通信を利用して購入者が携帯する携帯用決済処理装置との間で決済処理を行うもので、通常、電子マネー等の運営を行う事業者が提供する決済モジュール等に相当する。このため、複数の事業者による電子決済に対応する場合には、決済処理部41を複数有する場合もある。
【0040】
制御部42は、主制御部2からの通知(信号)を受けて、人体通信モジュール43による人体通信の開始と終了、決済処理部41による決済処理の実行等を制御する。制御部42は、プロセッサやメモリ等で構成されるコンピュータをプログラムにしたがって動作させることで実現される。
【0041】
人体通信モジュール43は、人体通信を行うもので、購入者が携帯する携帯用決済処理装置の人体通信モジュールと通信を行う通信処理部44と、通信処理部44と制御部42のインタフェイスとなる入出力部45により構成される。また、通信処理部44は、切替部8(8−1〜8−n)を介して送受信アンテナ32と接続される。人体通信モジュール43が行う人体通信は、電界方式、電流方式等の方式は問わず、いずれであってもよい。
【0042】
なお、切替部8は、送受信アンテナ32のいずれかと通信処理部44とを電気的に接続した状態と、送受信アンテナ32の全てと通信処理部44との電気的接続を切断した状態とを切り替えるもので、例えば、マルチプレクサにより構成される。もちろん、各切替部を、それぞれ、スイッチとして構成してこれを切り替えるようにする等、他の構成で切替部8を構成してもよい。
【0043】
また、主制御装置2は、押し込み量検知部33が検知した商品選択ボタン31の押込み量に応じて、電子決済装置42に通知を行うとともに、切替部8を切替制御する他、従来の自動販売機が有する主制御装置と同様に、商品販売に関する処理も行う。
【0044】
次に、商品選択ボタン31の構成と、その押込み量について説明する。図3は、商品選択ボタンの構成例を示した断面図である。
【0045】
同図(a)は、商品選択ボタン31が押下されていない状態を示したもので、同図(b)は、商品選択ボタン31が図中の矢印Aの方向に途中(以下、第1押下量とする)まで押下された状態を示したもので、同図(c)は、商品選択ボタン31が図中の矢印Aの方向に最後(以下、第2押下量とする)まで押下された状態を示したものである。
【0046】
同図に示すように、商品選択ボタン31は、固定部31Aと可動部31Bとで構成され、固定部31Aには、第1検知部33Aと第2検知部33Bが設けられており、可動部31Bには送受信アンテナ32が設けられている。第1検知部33Aと第2検知部33Bは、押込み量検知部33に相当するものである。
【0047】
商品選択ボタン31は、押下されていない状態では、同図(a)に示すように、第1検知部33Aが固定部31Aと可動部31Bにより圧迫されオン状態を示し、第2検知部33Bが固定部31Aと可動部31Bにより圧迫されることなくオフ状態を示している。
【0048】
また、商品選択ボタン31は、押下され、第1押込み量まで押込まれている状態では、同図(b)に示すように、第1検知部33Aが固定部31Aと可動部31Bにより圧迫されることなくオフ状態を示し、第2検知部33Bが固定部31Aと可動部31Bにより圧迫されることなくオフ状態を示している。
【0049】
さらに、商品選択ボタン31は、押下され、第1押込み量まで押込まれている状態では、同図(c)に示すように、第1検知部33Aが固定部31Aと可動部31Bにより圧迫されることなくオフ状態を示し、第2検知部33Bが固定部31Aと可動部31Bにより圧迫されることによりオン状態を示している。
【0050】
第1検知部33Aと第2検知部33Bの状態は、信号として主制御装置2へ入力されるが、これにより、主制御装置2は、商品選択ボタン31の状態を判断することができる。つまり、主制御装置2は、第1検知部33Aがオンで第2検知部33Bがオフの場合には、商品選択ボタン31が押下されていない状態、第1検知部33Aがと第2検知部33Bがともにオフの場合には、商品選択ボタン31が第1押込み量まで押込まれている状態、第1検知部33Aがオフで第2検知部33Bがオンの場合には、商品選択ボタン31が第2押込み量まで押込まれている状態と判断することができる。
【0051】
なお、商品選択ボタン31は、図3に示した構成以外、例えば、押込み量を数値(例えば、押下されていない状態で「0」、最後まで押込まれている状態で「256」)で出力する押込み量検知部を設け、主制御装置2が、その数値を閾値と比較して、第1押込み量まで押込まれた状態や第2押込み量まで押込まれた状態を判断する構成や、第1検知部33Aをタッチセンサとして構成し、購入者が商品選択ボタン31に触れた状態を第1の押込み量として判断する構成等にすることも可能である。
【0052】
次に、自動販売機1の動作の流れについて説明する。図4及び図5は、自動販売機1の動作の流れを示すフローチャートである。
【0053】
まず、自動販売機1は、購入者による現金の投入や、購入者が商品選択ボタン31を第1押込み量まで押込む操作をしない間(ステップ101でNO、ステップ102でNO)、待機状態となっている。
【0054】
そして、購入者により現金が投入された場合には(ステップ101でYES)、自動販売機1は、現金決済処理を行う(ステップ103)。なお、現金決済処理は、従来の自動販売機での処理と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0055】
また、購入者が現金を投入することなく、商品選択ボタン31を押下して第1押込み量まで押込むと(ステップ101でNO、ステップ102でYES)、自動販売機1は、電子決済処理を行う(ステップ104)。
【0056】
電子決済処理では、まず、商品選択ボタン31が第1押込み量まで押込まれたことを受けて、主制御装置2が切替部8を切替制御することで該当する商品選択ボタン31の送受信アンテナ32と通信処理部44を電気的に接続し、通信処理部44が人体通信を開始する(ステップ111)。その結果、人体通信が不可能であった場合には(ステップ112でNO)、自動販売機1は、主制御装置2が切替部8を切替制御することで該当する商品選択ボタン31の送受信アンテナ32と通信処理部44の電気的な接続を切断し、通信処理部44が人体通信を終了し(ステップ113)、自動販売機1は、待機状態に戻る。人体通信が不可能となるのは、購入者が人体通信に対応する通信装置等を携帯していないか、何らかの事情で通信が不可能となっている場合が考えられるが、いずれの理由であっても、人体通信が不可能であれば、電子決済を行うことはできないためである。
【0057】
一方、人体通信が可能であった場合には(ステップ112でYES)、決済処理部41が人体通信を利用して購入者が携帯する携帯用決済処理装置と通信を行って残高確認を行う(ステップ114)。その結果、商品選択ボタン31の押下により選択された商品の販売価格に対して残高が不足する場合や、購入者が携帯する携帯用決済処理装置が対応外のものである等の理由で残高確認ができない場合、つまり、その後の決済が不可能である場合には(ステップ115でNO)、主制御装置2が切替部8を切替制御することで該当する商品選択ボタン31の送受信アンテナ32と通信処理部44の電気的な接続を切断し、通信処理部44が人体通信を終了し(ステップ113)、自動販売機1は、待機状態に戻る。
【0058】
残高確認の結果、商品選択ボタン31の押下により選択された商品の販売価格に対して残高が充足しており、決済が可能な場合には(ステップ115でYES)、自動販売機1は、押込まれた商品販売ボタン116を緑色に発光させるとともに(ステップ116)、モニタタイマを起動させる(ステップ117)。モニタタイマは、一定の時間を計時するもので、電子決済装置4の制御部42、または、主制御装置2でプログラムにより実現されるソフトウェアのタイマである。
【0059】
その後、自動販売機1は、該当する商品選択ボタン31が第2押込み量まで押込まれるのを待ち(ステップ118でNO、ステップ119でNO)、商品選択ボタン31が第2押込み量まで押込まれると(ステップ118でYES)、自動販売機1は、押込まれた商品販売ボタン116を赤色に発光させるとともに(ステップ120)、人体通信を利用して決済処理部41による決済処理を行って商品を提供する(ステップ121)。続いて、商品選択ボタン31を消灯し(ステップ122)、主制御装置2が切替部8を切替制御することで該当する商品選択ボタン31の送受信アンテナ32と通信処理部44の電気的な接続を切断し、通信処理部44が人体通信を終了し(ステップ113)、自動販売機1は、待機状態に戻る。
【0060】
一方、自動販売機1は、該当する商品選択ボタン31が第2押込み量まで押込まれるのを待っている間に(ステップ118でNO、ステップ119でNO)、該当する商品選択ボタン31の押込みが解除されるか、モニタタイマが一定の時間を計時してタイムアウトになると(ステップ119でYES)、商品選択ボタン31を消灯し(ステップ122)、主制御装置2が切替部8を切替制御することで該当する商品選択ボタン31の送受信アンテナ32と通信処理部44の電気的な接続を切断し、通信処理部44が人体通信を終了し(ステップ113)、自動販売機1は、待機状態に戻る。
【0061】
なお、ステップ114で残高確認を行っているが、残高が不足している場合等には、いずれにしても決済を行うことができないので、ステップ114及びステップ115の処理を省略し、商品選択ボタン31が第2押込み量まで押込まれた後に、購入者が携帯する携帯用決済処理装置と通信を行うようにしてもよい。
【0062】
また、ここでは、商品選択ボタン31を緑色や赤色に発光させるとの説明を行ったが、これは購入者に対する操作ガイド的な役割を果たすもので、商品選択ボタン31の発光に代えて、表示装置6にメッセージを表示したり、別途、購入者に操作方法を周知するようにし、商品選択ボタン31を発光させないようにしてもよい。
【0063】
次に、自動販売機1が電子決済を行う際の主制御装置2、商品選択装置3、電子決済装置4の動作の流れについて説明する。図6乃至8は、主制御装置、商品選択装置、電子決済装置間の電子決済時の信号の流れを示した図である。
【0064】
電子決済時には、商品選択装置3の商品選択ボタン31のいずれかが押下され、第1押込み量まで押込まれると(ステップ201)、押込み量検知部32から主制御装置2に検知信号が送出される(ステップ202)。この検知信号を受けた主制御装置2は、第1押込み量まで押込まれた商品選択ボタン31に対応する切替部8を切替制御して(ステップ203)、該当する商品選択ボタン31の送受信アンテナ32と通信処理部44を電気的に接続し、電子決済装置4に、押込まれた商品選択ボタン31に対応する商品の価格を決済額情報として通知する(ステップ204)。
【0065】
決済額情報が通知された電子決済装置4は、通信処理部44が商品選択ボタン31の送受信アンテナ32を介して人体通信を開始し、この人体通信を利用して決済処理部41が残高確認処理を行う(ステップ205)。なお、前述の図5を参照した説明では、残高確認処理前に通信の可否を確認しているが、ここでは、残高確認処理が通信可否の確認を兼ねているものとする。もちろん、通信の可否を確認した後に残高確認処理を行ってもよい。
【0066】
残高確認処理の結果、決済が可能であった場合には、電子決済装置4は、その旨を主制御装置2に通知し(ステップ206)、これを受けた主制御装置2は、商品選択ボタン31を緑色発光させるための発光制御信号を商品選択ボタン31に通知する(ステップ207)。
【0067】
なお、前述のように、残高確認を省略する場合には、ステップ205及びステップ206の処理が省略される。
【0068】
その後、商品選択ボタン31が第2押込み量まで押下されると(ステップ208)、押込み量検知部32から主制御装置2に検知信号が送出される(ステップ209)。この検知信号を受けた主制御装置2は、電子決済装置4に決済要求を通知し(ステップ210)、商品選択ボタン31を赤色発光させるための発光制御信号を商品選択ボタン31に通知する(ステップ211)。
【0069】
決済要求を受けた電子決済装置4は、決済処理部41が決済処理を行い(ステップ212)、決済処理に成功すると、決済の完了を主制御装置2に通知する(ステップ213)。この通知を受けた主制御装置2は、商品提供装置7を動作させて商品の提供を行うとともに、商品選択ボタン31を消灯させるための発光制御信号を商品選択ボタン31に通知する(ステップ214)。
【0070】
そして、主制御装置2は、切替部8を切替制御して(ステップ215)、該当する商品選択ボタン31の送受信アンテナ32と通信処理部44の電気的接続を切断する。
【0071】
一方、残高確認処理の結果、決済が不可能であった場合には、電子決済装置4は、その旨を主制御装置2に通知し(図7のステップ216)、これを受けた主制御装置2は、商品選択ボタン31を消灯させるための発光制御信号を商品選択ボタン31に通知し(ステップ217)、切替部8を切替制御して(ステップ218)、該当する商品選択ボタン31の送受信アンテナ32と通信処理部44の電気的接続を切断する。
【0072】
その後は、商品選択ボタン31が第2押込み量まで押下され(ステップ219)、押込み量検知部32から主制御装置2に検知信号が送出されたとしても(ステップ220)、何ら処理は行われない。ただし、別途、残高不足の通知を行う処理等を行うようにしてもよい。
【0073】
なお、残高確認を省略した場合には、決済が不可能であった場合に、ステップ216以降と同様の処理が行われる。
【0074】
また、決済処理が行われる前、例えば、残高確認処理後に、商品選択ボタン31の押込みが解除された場合には(図8のステップ221)、押込み量検知部32から主制御装置2に検知信号が送出され(ステップ222)、これを受けた主制御装置2は、商品選択ボタン31を消灯させるための発光制御信号を商品選択ボタン31に通知し(ステップ223)、切替部8を切替制御して(ステップ224)、該当する商品選択ボタン31の送受信アンテナ32と通信処理部44の電気的接続を切断する。
【0075】
なお、実施例1の構成においては、切替部8を商品選択装置3の一部に含めるように変更することも可能である。
【0076】
この実施例1の構成では、主制御装置2は、従来の自動販売機の主制御装置の機能に、商品選択ボタン31の押込み量に応じた信号の送出を含む電子決済装置4の制御と、切替部8の制御を追加するだけでよく、自動販売機1が販売する商品が1種類であり、商品選択ボタン31が1つのみである場合には、切替部8の制御を追加する必要もない。
【実施例2】
【0077】
図9は、実施例2における商品選択装置と電子決済装置の構成例を示した図である。同図に示した構成は、主制御装置2’が切替部8の切替制御を行わずに、電子決済装置4’の制御部42’が切替部8の切替制御を行うようにしたことが実施例1で説明した構成と異なっており、他は、実施例1の場合と同様である。
【0078】
また、実施例2においても自動販売機自体の動作は、実施例1の場合と同様であるため、説明は省略し、主制御装置2’、商品選択装置3、電子決済装置4’の動作の流れについて説明する。図10は、主制御装置、商品選択装置、電子決済装置間の電子決済時の信号の流れを示した図である。
【0079】
電子決済時には、商品選択装置3の商品選択ボタン31のいずれかが押下され、第1押込み量まで押込まれると(ステップ301)、押込み量検知部32から主制御装置2に検知信号が送出される(ステップ302)。この検知信号を受けた主制御装置2は、電子決済装置4’に、押込まれた商品選択ボタン31に対応する商品の価格と、第1押込み量まで押込まれた商品選択ボタン31を識別する情報を決済額情報として通知する(ステップ303)。
【0080】
決済額情報が通知された電子決済装置4’は、制御部42’が第1押込み量まで押込まれた商品選択ボタン31に対応する切替部8を切替制御して(ステップ304)、該当する商品選択ボタン31の送受信アンテナ32と通信処理部44を電気的に接続し、通信処理部44が商品選択ボタン31の送受信アンテナ32を介して人体通信を開始し、この人体通信を利用して決済処理部41が残高確認処理を行う(ステップ305)。
【0081】
残高確認処理の結果、決済が可能であった場合には、電子決済装置4’は、その旨を主制御装置2に通知し(ステップ306)、これを受けた主制御装置2は、商品選択ボタン31を緑色発光させるための発光制御信号を商品選択ボタン31に通知する(ステップ307)。
【0082】
その後、商品選択ボタン31が第2押込み量まで押下されると(ステップ308)、押込み量検知部32から主制御装置2に検知信号が送出される(ステップ309)。この検知信号を受けた主制御装置2は、電子決済装置4’に決済要求を通知し(ステップ310)、商品選択ボタン31を赤色発光させるための発光制御信号を商品選択ボタン31に通知する(ステップ311)。
【0083】
決済要求を受けた電子決済装置4’は、決済処理部41が決済処理を行い(ステップ312)、決済処理に成功すると、決済の完了を主制御装置2に通知し(ステップ313)、制御部42’が切替部8を切替制御して(ステップ314)、該当する商品選択ボタン31の送受信アンテナ32と通信処理部44の電気的接続を切断する。
【0084】
一方、決済完了の通知を受けた主制御装置2は、商品提供装置7を動作させて商品の提供を行うとともに、商品選択ボタン31を消灯させるための発光制御信号を商品選択ボタン31に通知する(ステップ315)。
【0085】
なお、残高不足の場合や商品選択ボタン31の押込みが解除された場合の処理についても、切替部8の切替制御を制御部42’が行う点が実施例1の場合と異なるのみであるため、ここでの説明は省略する。
【0086】
なお、実施例2の構成においては、切替部8を商品選択装置3の一部に含めるように変更することも可能である。
【0087】
この実施例2の構成では、主制御装置2’は、従来の自動販売機の主制御装置の機能に、商品選択ボタン31の押込み量に応じた信号の送出を含む電子決済装置4’の制御を追加するだけでよい。
【実施例3】
【0088】
図11は、実施例3における商品選択装置と電子決済装置の構成例を示した図である。同図に示した構成は、電子決済装置4”が実施例2の切替部8に相当する切替部46”を有するようにしたことが実施例2で説明した構成と異なっており、他は、実施例2の場合と同様である。
【0089】
また、動作については、電子決済装置4”が外部に切替制御信号を送出せずに、装置内部で切替部46”を制御する点のみが実施例2と異なるものであるため、その説明は省略する。
【0090】
この実施例3の構成では、主制御装置2’は、従来の自動販売機の主制御装置の機能に、商品選択ボタン31の押込み量に応じた信号の送出を含む電子決済装置4”の制御を追加するだけでよい。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明を適用した自動販売機の構成例を示した図である。
【図2】商品選択装置と電子決済装置の構成例を示した図である。
【図3】商品選択ボタンの構成例を示した断面図である。
【図4】自動販売機1の動作の流れを示すフローチャートである。
【図5】自動販売機1の動作の流れを示すフローチャートである。
【図6】主制御装置、商品選択装置、電子決済装置間の電子決済時の信号の流れを示した図である。
【図7】主制御装置、商品選択装置、電子決済装置間の電子決済時の信号の流れを示した図である。
【図8】主制御装置、商品選択装置、電子決済装置間の電子決済時の信号の流れを示した図である。
【図9】商品選択装置と電子決済装置の構成例を示した図である。
【図10】主制御装置、商品選択装置、電子決済装置間の電子決済時の信号の流れを示した図である。
【図11】商品選択装置と電子決済装置の構成例を示した図である。
【符号の説明】
【0092】
1 自動販売機
2 主制御装置
2’ 主制御装置
3 商品選択装置
4 電子決済装置
4’ 電子決済装置
4” 電子決済装置
5 現金決済装置
6 表示装置
7 商品提供装置
8、8−1〜8−n 切替部
31、31−1〜31−n 商品選択ボタン
31A 固定部
31B 可動部
32、32−1〜32−n 送受信アンテナ
33、33−1〜33−n 押込み量検知部
33A 第1検知部
33B 第2検知部
41 決済処理部
42 制御部
42’ 制御部
43 人体通信モジュール
44 通信処理部
45 入出力部
46” 切替部
【技術分野】
【0001】
本発明は、決済システム、自動販売機、決済装置に関し、特に、人体通信を利用して電子決済を行う決済システム、自動販売機、決済装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ICカード等に記憶された決済情報等を用いて電子決済を行う機会が増加し、自動販売機においても、電子決済が可能となっている(例えば、特許文献1参照)。自動販売機における電子決済は、購入者がICカードを自動販売機に設置されたアンテナ部分にかざすことにより行われるものが多い。
【0003】
一方、最近では、人体を通信媒体として利用する人体通信を自動販売機の電子決済に利用し、購入者がICカードをかざす行為を省略することも可能な技術が提案されている(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2003−85623号公報
【特許文献2】特開2006−173913号公報
【特許文献3】特許第3847741号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動販売機での電子決済に人体通信を利用する場合、特許文献2に記載されているように、商品選択用のボタンにアンテナ(導電性押下部)を設置し、商品の選択と人体通信による電子決済を一連の処理として行うことが考えられる。
【0005】
しかしながら、特許文献2に記載されているような構成では、人体通信による電子決済が可能な者が、誤って商品選択ボタンに触れた場合や、商品の購入意思のある購入者が商品の選択時に誤って商品選択ボタンに触れた場合にも決済(商品販売)が行われてしまう可能性がある。
【0006】
また、特許文献3に記載された構成では、商品選択ボタンの他に購入決定ボタンを設けており、誤販売が行われる可能性は低減するものの、購入者は、商品選択ボタンを押下した後に購入決定ボタンを押下する必要があり、ICカードをアンテナ部分にかざす処理と大差が無くなり、人体通信を利用する効果が十分に得られないものである。
【0007】
そこで、本発明は、人体通信を利用した電子決済を効率よく行うことが可能となるとともに、誤決済が生じる可能性を低減した決済システム、自動販売機、決済装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した目的を達成するため、請求項1の発明は、自動販売機の決済を人体通信を利用して行う決済システムにおいて、人体を伝達媒体として通信を行う携帯用決済処理装置と、前記携帯用決済処理装置と人体を伝達媒体として通信を行い、該通信により前記携帯用決済処理装置との間で決済処理を行う自動販売機とを具備し、前記自動販売機は、人体と接触することで通信を媒介する通信媒介手段を有するとともに、少なくとも、前記人体が前記通信媒介手段に接触している状態で行われる第1の操作と、該状態を継続したまま行われる第2の操作とを受け付ける操作受付手段と、前記操作受付手段が前記第1の操作を受け付けていることを条件に、前記通信媒介手段を介して前記人体に備えられた携帯用決済処理装置との間で通信を行う通信手段と、前記操作受付手段が前記第2の操作の受け付けた場合に、前記通信手段が行う通信を利用して前記携帯用決済処理装置との間で決済処理を行う決済処理手段とを具備することを特徴とする。
【0009】
なお、通信媒介手段は、例えば後述の送受信アンテナ32に、操作受付手段は、例えば後述の商品選択ボタン31に、通信手段は、例えば後述の人体通信モジュール43に、決済処理手段は、例えば後述の決済処理部41に、それぞれ相当する。
【0010】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記自動販売機は、前記操作受付手段を複数具備するとともに、該操作受付手段のうち前記第1の操作を受け付けた操作受付手段に対応する通信媒介手段と前記通信手段とを接続する切替手段をさらに具備することを特徴とする。
【0011】
なお、切替手段は、例えば後述の切替部8、切替部46”に相当する。
【0012】
また、請求項3の発明は、人体を伝達媒体として該人体が携帯する携帯用決済処理装置と通信を行い、該通信により該携帯用決済処理装置との間で決済処理を行う自動販売機において、人体と接触することで通信を媒介する通信媒介手段を有するとともに、少なくとも、前記人体が前記通信媒介手段に接触している状態で行われる第1の操作と、該状態を継続したまま行われる第2の操作とを受け付ける操作受付手段と、前記操作受付手段が前記第1の操作を受け付けていることを条件に、前記通信媒介手段を介して前記人体に備えられた携帯用決済処理装置との間で通信を行う通信手段と、前記操作受付手段が前記第2の操作の受け付けた場合に、前記通信手段が行う通信を利用して前記携帯用決済処理装置との間で決済処理を行う決済処理手段とを具備することを特徴とする。
【0013】
なお、通信媒介手段は、例えば後述の送受信アンテナ32に、操作受付手段は、例えば後述の商品選択ボタン31に、通信手段は、例えば後述の人体通信モジュール43に、決済処理手段は、例えば後述の決済処理部41に、それぞれ相当する。
【0014】
また、請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記操作受付手段を複数具備するとともに、該操作受付手段のそれぞれに対応する通信媒介手段と前記通信手段との接続を切り替える切替手段をさらに具備し、前記切替手段は、前記操作受付手段のうち、前記第1の操作を受け付けた操作受付手段に対応する通信媒介手段と前記通信手段とを接続することを特徴とする。
【0015】
なお、切替手段は、例えば後述の切替部8、切替部46”に相当する。
【0016】
また、請求項5の発明は、請求項3または4の発明において、前記操作受付手段は、前記人体による押込みを受け付け、前記第2の操作は、前記第1の操作よりも押込み量が大きいことを特徴とする。
【0017】
また、請求項6の発明は、人体を伝達媒体として通信を行う際に該人体と接触する通信媒介手段が設けられ、少なくとも、前記人体が前記通信媒介手段に接触している状態で行われる第1の操作と、該状態を継続したまま行われる第2の操作とを受け付ける操作受付手段を有する自動販売機に搭載される決済装置であって、前記操作受付手段が前記第1の操作を受け付けていることを条件に、前記通信媒介手段を介して前記人体に備えられた携帯用決済処理装置との間で通信を行う通信手段と、前記操作受付手段が前記第2の操作の受け付けた場合に、前記通信手段が行う通信を利用して前記携帯用決済処理装置との間で決済処理を行う決済処理手段とを具備することを特徴とする。
【0018】
なお、請求項6の発明である決済装置は、例えば、電子決済装置4、電子決済装置4’、電子決済装置4”に相当し、通信媒介手段は、例えば後述の送受信アンテナ32に、操作受付手段は、例えば後述の商品選択ボタン31に、通信手段は、例えば後述の人体通信モジュール43に、決済処理手段は、例えば後述の決済処理部41に、それぞれ相当する。
【0019】
また、請求項7の発明は、請求項6の発明において、前記通信媒介手段を複数具備するとともに該複数の通信媒介手段を前記通信手段に選択的に接続する切替手段とを具備した自動販売機に搭載され、前記操作受付手段が前記第1の操作を受け付けた際に、該第1の操作を受け付けた操作受付手段に対応する通信媒介手段と前記通信手段とを接続するように前記切替手段を制御する切替制御手段をさらに具備することを特徴とする。
【0020】
なお、請求項7の発明である決済装置は、例えば、電子決済装置4’に相当し、切替手段は、例えば後述の切替部8に相当し、切替制御手段は、例えば後述の制御部42’に相当する。
【0021】
また、請求項8の発明は、請求項6の発明において、前記自動販売機は、前記通信媒介手段を複数具備した自動販売機に搭載され、前記通信媒介手段を前記通信手段に選択的に接続する切替手段と、前記操作受付手段が前記第1の操作を受け付けた際に、該第1の操作を受け付けた操作受付手段に対応する通信媒介手段と前記通信手段とを接続するように前記切替手段を制御する切替制御手段をさらに具備することを特徴とする。
【0022】
なお、請求項8の発明である決済装置は、例えば、電子決済装置4”に相当し、切替手段は、例えば後述の切替部46”に相当し、切替制御手段は、例えば後述の制御部42’に相当する。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、人体通信を利用した電子決済を効率よく行うことが可能となるとともに、誤決済が生じる可能性が低減する。
【0024】
また、本発明によれば、人体通信を行うためのポーリング処理を必要とせず、省電力を実現することができる。
【0025】
さらに、本発明によれば、従来の自動販売機に大幅な変更を加えることなく、人体通信による電子決済が可能な自動販売機を実現することも可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明に係る決済システム、自動販売機、決済装置の一実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0027】
図1は、本発明を適用した自動販売機の構成例を示した図である。同図に示すように、自動販売機1は、主制御装置2、商品選択装置3、電子決済装置4、現金決済装置5、表示装置6、商品提供装置7を有している。
【0028】
主制御装置2は、自動販売機1の制御部として動作し、商品選択装置3、電子決済装置4、現金決済装置5、表示装置6、商品提供装置7の各部が連携して動作を行うように、各部を制御する。また、主制御装置2は、プロセッサやメモリ等で構成されるコンピュータをプログラムにしたがって動作させることで実現される。
【0029】
商品選択装置3は、自動販売機1が販売する商品を購入者に選択させるもので、商品選択ボタン等を有する。また、商品選択装置3は、購入者との間で人体通信を行う際の送受信アンテナも有している。
【0030】
電子決済装置4は、購入者との間で人体通信を行い、この人体通信を利用して購入者が携帯する携帯用決済処理装置との間で決済処理を行う。購入者が携帯する携帯用決済処理装置は、人体通信を利用して決済を行うもので、例えば、人体通信モジュールとアンテナ、電子マネー等の決済情報を記憶したメモリを有する通信装置である。決済情報を記憶したメモリは、通信装置に対して着脱可能であったり、メモリに加えて決済処理そのものを行うプロセッサを有するものであってもよい。この電子決済装置4は、商品選択装置3と人体通信の際の通信経路となる信号線等で接続されている。
【0031】
現金決済装置5は、紙幣や硬貨による決済を行うもので、購入者が投入した紙幣や硬貨を受け入れるとともに、必要に応じて釣銭等の返却を行う。なお、自動販売機1を現金決済に対応させない場合には、現金決済装置5は不要である。
【0032】
表示装置6は、購入者に対して投入金額や商品情報等を提示するものである。なお、表示装置6は、必ずしも必要なものではない。
【0033】
商品提供装置7は、電子決済装置4または現金決済装置5による決済が成立した場合に、商品選択装置3が受け付けた商品、つまり、購入者が選択した商品を提供する。
【0034】
次に、商品選択装置3と電子決済装置4の構成について説明する。図2は、商品選択装置と電子決済装置の構成例を示した図である。
【0035】
同図に示すように、商品選択装置3は、購入者が商品を選択するための複数の商品選択ボタン31(31−1〜31−n)を有している。また、各商品選択ボタン31は、それぞれ、送受信アンテナ32(32−1〜32−n)、押込み量検知部33(33−1〜33−n)を有している。なお、自動販売機1が販売する商品が1種類である場合は、商品選択ボタン31は、複数である必要はない。
【0036】
送受信アンテナ32は、購入者との間で人体通信を行う際に、購入者が接触する部分で導電性を有する材料等で構成される。
【0037】
押込み量検知部33は、購入者により商品選択ボタン31が押下された際に、その押込み量を検知する。押込み量検知部33が検知する押込み量は、2段階であるものとする。なお、押込み量検知部33の詳細については後述する。
【0038】
電子決済装置4は、決済処理部41と、制御部42、人体通信モジュール43を有しており、人体通信モジュール43は、通信処理部44と入出力部45を有している。
【0039】
決済処理部41は、人体通信を利用して購入者が携帯する携帯用決済処理装置との間で決済処理を行うもので、通常、電子マネー等の運営を行う事業者が提供する決済モジュール等に相当する。このため、複数の事業者による電子決済に対応する場合には、決済処理部41を複数有する場合もある。
【0040】
制御部42は、主制御部2からの通知(信号)を受けて、人体通信モジュール43による人体通信の開始と終了、決済処理部41による決済処理の実行等を制御する。制御部42は、プロセッサやメモリ等で構成されるコンピュータをプログラムにしたがって動作させることで実現される。
【0041】
人体通信モジュール43は、人体通信を行うもので、購入者が携帯する携帯用決済処理装置の人体通信モジュールと通信を行う通信処理部44と、通信処理部44と制御部42のインタフェイスとなる入出力部45により構成される。また、通信処理部44は、切替部8(8−1〜8−n)を介して送受信アンテナ32と接続される。人体通信モジュール43が行う人体通信は、電界方式、電流方式等の方式は問わず、いずれであってもよい。
【0042】
なお、切替部8は、送受信アンテナ32のいずれかと通信処理部44とを電気的に接続した状態と、送受信アンテナ32の全てと通信処理部44との電気的接続を切断した状態とを切り替えるもので、例えば、マルチプレクサにより構成される。もちろん、各切替部を、それぞれ、スイッチとして構成してこれを切り替えるようにする等、他の構成で切替部8を構成してもよい。
【0043】
また、主制御装置2は、押し込み量検知部33が検知した商品選択ボタン31の押込み量に応じて、電子決済装置42に通知を行うとともに、切替部8を切替制御する他、従来の自動販売機が有する主制御装置と同様に、商品販売に関する処理も行う。
【0044】
次に、商品選択ボタン31の構成と、その押込み量について説明する。図3は、商品選択ボタンの構成例を示した断面図である。
【0045】
同図(a)は、商品選択ボタン31が押下されていない状態を示したもので、同図(b)は、商品選択ボタン31が図中の矢印Aの方向に途中(以下、第1押下量とする)まで押下された状態を示したもので、同図(c)は、商品選択ボタン31が図中の矢印Aの方向に最後(以下、第2押下量とする)まで押下された状態を示したものである。
【0046】
同図に示すように、商品選択ボタン31は、固定部31Aと可動部31Bとで構成され、固定部31Aには、第1検知部33Aと第2検知部33Bが設けられており、可動部31Bには送受信アンテナ32が設けられている。第1検知部33Aと第2検知部33Bは、押込み量検知部33に相当するものである。
【0047】
商品選択ボタン31は、押下されていない状態では、同図(a)に示すように、第1検知部33Aが固定部31Aと可動部31Bにより圧迫されオン状態を示し、第2検知部33Bが固定部31Aと可動部31Bにより圧迫されることなくオフ状態を示している。
【0048】
また、商品選択ボタン31は、押下され、第1押込み量まで押込まれている状態では、同図(b)に示すように、第1検知部33Aが固定部31Aと可動部31Bにより圧迫されることなくオフ状態を示し、第2検知部33Bが固定部31Aと可動部31Bにより圧迫されることなくオフ状態を示している。
【0049】
さらに、商品選択ボタン31は、押下され、第1押込み量まで押込まれている状態では、同図(c)に示すように、第1検知部33Aが固定部31Aと可動部31Bにより圧迫されることなくオフ状態を示し、第2検知部33Bが固定部31Aと可動部31Bにより圧迫されることによりオン状態を示している。
【0050】
第1検知部33Aと第2検知部33Bの状態は、信号として主制御装置2へ入力されるが、これにより、主制御装置2は、商品選択ボタン31の状態を判断することができる。つまり、主制御装置2は、第1検知部33Aがオンで第2検知部33Bがオフの場合には、商品選択ボタン31が押下されていない状態、第1検知部33Aがと第2検知部33Bがともにオフの場合には、商品選択ボタン31が第1押込み量まで押込まれている状態、第1検知部33Aがオフで第2検知部33Bがオンの場合には、商品選択ボタン31が第2押込み量まで押込まれている状態と判断することができる。
【0051】
なお、商品選択ボタン31は、図3に示した構成以外、例えば、押込み量を数値(例えば、押下されていない状態で「0」、最後まで押込まれている状態で「256」)で出力する押込み量検知部を設け、主制御装置2が、その数値を閾値と比較して、第1押込み量まで押込まれた状態や第2押込み量まで押込まれた状態を判断する構成や、第1検知部33Aをタッチセンサとして構成し、購入者が商品選択ボタン31に触れた状態を第1の押込み量として判断する構成等にすることも可能である。
【0052】
次に、自動販売機1の動作の流れについて説明する。図4及び図5は、自動販売機1の動作の流れを示すフローチャートである。
【0053】
まず、自動販売機1は、購入者による現金の投入や、購入者が商品選択ボタン31を第1押込み量まで押込む操作をしない間(ステップ101でNO、ステップ102でNO)、待機状態となっている。
【0054】
そして、購入者により現金が投入された場合には(ステップ101でYES)、自動販売機1は、現金決済処理を行う(ステップ103)。なお、現金決済処理は、従来の自動販売機での処理と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0055】
また、購入者が現金を投入することなく、商品選択ボタン31を押下して第1押込み量まで押込むと(ステップ101でNO、ステップ102でYES)、自動販売機1は、電子決済処理を行う(ステップ104)。
【0056】
電子決済処理では、まず、商品選択ボタン31が第1押込み量まで押込まれたことを受けて、主制御装置2が切替部8を切替制御することで該当する商品選択ボタン31の送受信アンテナ32と通信処理部44を電気的に接続し、通信処理部44が人体通信を開始する(ステップ111)。その結果、人体通信が不可能であった場合には(ステップ112でNO)、自動販売機1は、主制御装置2が切替部8を切替制御することで該当する商品選択ボタン31の送受信アンテナ32と通信処理部44の電気的な接続を切断し、通信処理部44が人体通信を終了し(ステップ113)、自動販売機1は、待機状態に戻る。人体通信が不可能となるのは、購入者が人体通信に対応する通信装置等を携帯していないか、何らかの事情で通信が不可能となっている場合が考えられるが、いずれの理由であっても、人体通信が不可能であれば、電子決済を行うことはできないためである。
【0057】
一方、人体通信が可能であった場合には(ステップ112でYES)、決済処理部41が人体通信を利用して購入者が携帯する携帯用決済処理装置と通信を行って残高確認を行う(ステップ114)。その結果、商品選択ボタン31の押下により選択された商品の販売価格に対して残高が不足する場合や、購入者が携帯する携帯用決済処理装置が対応外のものである等の理由で残高確認ができない場合、つまり、その後の決済が不可能である場合には(ステップ115でNO)、主制御装置2が切替部8を切替制御することで該当する商品選択ボタン31の送受信アンテナ32と通信処理部44の電気的な接続を切断し、通信処理部44が人体通信を終了し(ステップ113)、自動販売機1は、待機状態に戻る。
【0058】
残高確認の結果、商品選択ボタン31の押下により選択された商品の販売価格に対して残高が充足しており、決済が可能な場合には(ステップ115でYES)、自動販売機1は、押込まれた商品販売ボタン116を緑色に発光させるとともに(ステップ116)、モニタタイマを起動させる(ステップ117)。モニタタイマは、一定の時間を計時するもので、電子決済装置4の制御部42、または、主制御装置2でプログラムにより実現されるソフトウェアのタイマである。
【0059】
その後、自動販売機1は、該当する商品選択ボタン31が第2押込み量まで押込まれるのを待ち(ステップ118でNO、ステップ119でNO)、商品選択ボタン31が第2押込み量まで押込まれると(ステップ118でYES)、自動販売機1は、押込まれた商品販売ボタン116を赤色に発光させるとともに(ステップ120)、人体通信を利用して決済処理部41による決済処理を行って商品を提供する(ステップ121)。続いて、商品選択ボタン31を消灯し(ステップ122)、主制御装置2が切替部8を切替制御することで該当する商品選択ボタン31の送受信アンテナ32と通信処理部44の電気的な接続を切断し、通信処理部44が人体通信を終了し(ステップ113)、自動販売機1は、待機状態に戻る。
【0060】
一方、自動販売機1は、該当する商品選択ボタン31が第2押込み量まで押込まれるのを待っている間に(ステップ118でNO、ステップ119でNO)、該当する商品選択ボタン31の押込みが解除されるか、モニタタイマが一定の時間を計時してタイムアウトになると(ステップ119でYES)、商品選択ボタン31を消灯し(ステップ122)、主制御装置2が切替部8を切替制御することで該当する商品選択ボタン31の送受信アンテナ32と通信処理部44の電気的な接続を切断し、通信処理部44が人体通信を終了し(ステップ113)、自動販売機1は、待機状態に戻る。
【0061】
なお、ステップ114で残高確認を行っているが、残高が不足している場合等には、いずれにしても決済を行うことができないので、ステップ114及びステップ115の処理を省略し、商品選択ボタン31が第2押込み量まで押込まれた後に、購入者が携帯する携帯用決済処理装置と通信を行うようにしてもよい。
【0062】
また、ここでは、商品選択ボタン31を緑色や赤色に発光させるとの説明を行ったが、これは購入者に対する操作ガイド的な役割を果たすもので、商品選択ボタン31の発光に代えて、表示装置6にメッセージを表示したり、別途、購入者に操作方法を周知するようにし、商品選択ボタン31を発光させないようにしてもよい。
【0063】
次に、自動販売機1が電子決済を行う際の主制御装置2、商品選択装置3、電子決済装置4の動作の流れについて説明する。図6乃至8は、主制御装置、商品選択装置、電子決済装置間の電子決済時の信号の流れを示した図である。
【0064】
電子決済時には、商品選択装置3の商品選択ボタン31のいずれかが押下され、第1押込み量まで押込まれると(ステップ201)、押込み量検知部32から主制御装置2に検知信号が送出される(ステップ202)。この検知信号を受けた主制御装置2は、第1押込み量まで押込まれた商品選択ボタン31に対応する切替部8を切替制御して(ステップ203)、該当する商品選択ボタン31の送受信アンテナ32と通信処理部44を電気的に接続し、電子決済装置4に、押込まれた商品選択ボタン31に対応する商品の価格を決済額情報として通知する(ステップ204)。
【0065】
決済額情報が通知された電子決済装置4は、通信処理部44が商品選択ボタン31の送受信アンテナ32を介して人体通信を開始し、この人体通信を利用して決済処理部41が残高確認処理を行う(ステップ205)。なお、前述の図5を参照した説明では、残高確認処理前に通信の可否を確認しているが、ここでは、残高確認処理が通信可否の確認を兼ねているものとする。もちろん、通信の可否を確認した後に残高確認処理を行ってもよい。
【0066】
残高確認処理の結果、決済が可能であった場合には、電子決済装置4は、その旨を主制御装置2に通知し(ステップ206)、これを受けた主制御装置2は、商品選択ボタン31を緑色発光させるための発光制御信号を商品選択ボタン31に通知する(ステップ207)。
【0067】
なお、前述のように、残高確認を省略する場合には、ステップ205及びステップ206の処理が省略される。
【0068】
その後、商品選択ボタン31が第2押込み量まで押下されると(ステップ208)、押込み量検知部32から主制御装置2に検知信号が送出される(ステップ209)。この検知信号を受けた主制御装置2は、電子決済装置4に決済要求を通知し(ステップ210)、商品選択ボタン31を赤色発光させるための発光制御信号を商品選択ボタン31に通知する(ステップ211)。
【0069】
決済要求を受けた電子決済装置4は、決済処理部41が決済処理を行い(ステップ212)、決済処理に成功すると、決済の完了を主制御装置2に通知する(ステップ213)。この通知を受けた主制御装置2は、商品提供装置7を動作させて商品の提供を行うとともに、商品選択ボタン31を消灯させるための発光制御信号を商品選択ボタン31に通知する(ステップ214)。
【0070】
そして、主制御装置2は、切替部8を切替制御して(ステップ215)、該当する商品選択ボタン31の送受信アンテナ32と通信処理部44の電気的接続を切断する。
【0071】
一方、残高確認処理の結果、決済が不可能であった場合には、電子決済装置4は、その旨を主制御装置2に通知し(図7のステップ216)、これを受けた主制御装置2は、商品選択ボタン31を消灯させるための発光制御信号を商品選択ボタン31に通知し(ステップ217)、切替部8を切替制御して(ステップ218)、該当する商品選択ボタン31の送受信アンテナ32と通信処理部44の電気的接続を切断する。
【0072】
その後は、商品選択ボタン31が第2押込み量まで押下され(ステップ219)、押込み量検知部32から主制御装置2に検知信号が送出されたとしても(ステップ220)、何ら処理は行われない。ただし、別途、残高不足の通知を行う処理等を行うようにしてもよい。
【0073】
なお、残高確認を省略した場合には、決済が不可能であった場合に、ステップ216以降と同様の処理が行われる。
【0074】
また、決済処理が行われる前、例えば、残高確認処理後に、商品選択ボタン31の押込みが解除された場合には(図8のステップ221)、押込み量検知部32から主制御装置2に検知信号が送出され(ステップ222)、これを受けた主制御装置2は、商品選択ボタン31を消灯させるための発光制御信号を商品選択ボタン31に通知し(ステップ223)、切替部8を切替制御して(ステップ224)、該当する商品選択ボタン31の送受信アンテナ32と通信処理部44の電気的接続を切断する。
【0075】
なお、実施例1の構成においては、切替部8を商品選択装置3の一部に含めるように変更することも可能である。
【0076】
この実施例1の構成では、主制御装置2は、従来の自動販売機の主制御装置の機能に、商品選択ボタン31の押込み量に応じた信号の送出を含む電子決済装置4の制御と、切替部8の制御を追加するだけでよく、自動販売機1が販売する商品が1種類であり、商品選択ボタン31が1つのみである場合には、切替部8の制御を追加する必要もない。
【実施例2】
【0077】
図9は、実施例2における商品選択装置と電子決済装置の構成例を示した図である。同図に示した構成は、主制御装置2’が切替部8の切替制御を行わずに、電子決済装置4’の制御部42’が切替部8の切替制御を行うようにしたことが実施例1で説明した構成と異なっており、他は、実施例1の場合と同様である。
【0078】
また、実施例2においても自動販売機自体の動作は、実施例1の場合と同様であるため、説明は省略し、主制御装置2’、商品選択装置3、電子決済装置4’の動作の流れについて説明する。図10は、主制御装置、商品選択装置、電子決済装置間の電子決済時の信号の流れを示した図である。
【0079】
電子決済時には、商品選択装置3の商品選択ボタン31のいずれかが押下され、第1押込み量まで押込まれると(ステップ301)、押込み量検知部32から主制御装置2に検知信号が送出される(ステップ302)。この検知信号を受けた主制御装置2は、電子決済装置4’に、押込まれた商品選択ボタン31に対応する商品の価格と、第1押込み量まで押込まれた商品選択ボタン31を識別する情報を決済額情報として通知する(ステップ303)。
【0080】
決済額情報が通知された電子決済装置4’は、制御部42’が第1押込み量まで押込まれた商品選択ボタン31に対応する切替部8を切替制御して(ステップ304)、該当する商品選択ボタン31の送受信アンテナ32と通信処理部44を電気的に接続し、通信処理部44が商品選択ボタン31の送受信アンテナ32を介して人体通信を開始し、この人体通信を利用して決済処理部41が残高確認処理を行う(ステップ305)。
【0081】
残高確認処理の結果、決済が可能であった場合には、電子決済装置4’は、その旨を主制御装置2に通知し(ステップ306)、これを受けた主制御装置2は、商品選択ボタン31を緑色発光させるための発光制御信号を商品選択ボタン31に通知する(ステップ307)。
【0082】
その後、商品選択ボタン31が第2押込み量まで押下されると(ステップ308)、押込み量検知部32から主制御装置2に検知信号が送出される(ステップ309)。この検知信号を受けた主制御装置2は、電子決済装置4’に決済要求を通知し(ステップ310)、商品選択ボタン31を赤色発光させるための発光制御信号を商品選択ボタン31に通知する(ステップ311)。
【0083】
決済要求を受けた電子決済装置4’は、決済処理部41が決済処理を行い(ステップ312)、決済処理に成功すると、決済の完了を主制御装置2に通知し(ステップ313)、制御部42’が切替部8を切替制御して(ステップ314)、該当する商品選択ボタン31の送受信アンテナ32と通信処理部44の電気的接続を切断する。
【0084】
一方、決済完了の通知を受けた主制御装置2は、商品提供装置7を動作させて商品の提供を行うとともに、商品選択ボタン31を消灯させるための発光制御信号を商品選択ボタン31に通知する(ステップ315)。
【0085】
なお、残高不足の場合や商品選択ボタン31の押込みが解除された場合の処理についても、切替部8の切替制御を制御部42’が行う点が実施例1の場合と異なるのみであるため、ここでの説明は省略する。
【0086】
なお、実施例2の構成においては、切替部8を商品選択装置3の一部に含めるように変更することも可能である。
【0087】
この実施例2の構成では、主制御装置2’は、従来の自動販売機の主制御装置の機能に、商品選択ボタン31の押込み量に応じた信号の送出を含む電子決済装置4’の制御を追加するだけでよい。
【実施例3】
【0088】
図11は、実施例3における商品選択装置と電子決済装置の構成例を示した図である。同図に示した構成は、電子決済装置4”が実施例2の切替部8に相当する切替部46”を有するようにしたことが実施例2で説明した構成と異なっており、他は、実施例2の場合と同様である。
【0089】
また、動作については、電子決済装置4”が外部に切替制御信号を送出せずに、装置内部で切替部46”を制御する点のみが実施例2と異なるものであるため、その説明は省略する。
【0090】
この実施例3の構成では、主制御装置2’は、従来の自動販売機の主制御装置の機能に、商品選択ボタン31の押込み量に応じた信号の送出を含む電子決済装置4”の制御を追加するだけでよい。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明を適用した自動販売機の構成例を示した図である。
【図2】商品選択装置と電子決済装置の構成例を示した図である。
【図3】商品選択ボタンの構成例を示した断面図である。
【図4】自動販売機1の動作の流れを示すフローチャートである。
【図5】自動販売機1の動作の流れを示すフローチャートである。
【図6】主制御装置、商品選択装置、電子決済装置間の電子決済時の信号の流れを示した図である。
【図7】主制御装置、商品選択装置、電子決済装置間の電子決済時の信号の流れを示した図である。
【図8】主制御装置、商品選択装置、電子決済装置間の電子決済時の信号の流れを示した図である。
【図9】商品選択装置と電子決済装置の構成例を示した図である。
【図10】主制御装置、商品選択装置、電子決済装置間の電子決済時の信号の流れを示した図である。
【図11】商品選択装置と電子決済装置の構成例を示した図である。
【符号の説明】
【0092】
1 自動販売機
2 主制御装置
2’ 主制御装置
3 商品選択装置
4 電子決済装置
4’ 電子決済装置
4” 電子決済装置
5 現金決済装置
6 表示装置
7 商品提供装置
8、8−1〜8−n 切替部
31、31−1〜31−n 商品選択ボタン
31A 固定部
31B 可動部
32、32−1〜32−n 送受信アンテナ
33、33−1〜33−n 押込み量検知部
33A 第1検知部
33B 第2検知部
41 決済処理部
42 制御部
42’ 制御部
43 人体通信モジュール
44 通信処理部
45 入出力部
46” 切替部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動販売機の決済を人体通信を利用して行う決済システムにおいて、
人体を伝達媒体として通信を行う携帯用決済処理装置と、
前記携帯用決済処理装置と人体を伝達媒体として通信を行い、該通信により前記携帯用決済処理装置との間で決済処理を行う自動販売機と
を具備し、
前記自動販売機は、
人体と接触することで通信を媒介する通信媒介手段を有するとともに、少なくとも、前記人体が前記通信媒介手段に接触している状態で行われる第1の操作と、該状態を継続したまま行われる第2の操作とを受け付ける操作受付手段と、
前記操作受付手段が前記第1の操作を受け付けていることを条件に、前記通信媒介手段を介して前記人体に備えられた携帯用決済処理装置との間で通信を行う通信手段と、
前記操作受付手段が前記第2の操作の受け付けた場合に、前記通信手段が行う通信を利用して前記携帯用決済処理装置との間で決済処理を行う決済処理手段と
を具備することを特徴とする決済システム。
【請求項2】
前記自動販売機は、前記操作受付手段を複数具備するとともに、該操作受付手段のうち前記第1の操作を受け付けた操作受付手段に対応する通信媒介手段と前記通信手段とを接続する切替手段をさらに具備することを特徴とする請求項1記載の決済システム。
【請求項3】
人体を伝達媒体として該人体が携帯する携帯用決済処理装置と通信を行い、該通信により該携帯用決済処理装置との間で決済処理を行う自動販売機において、
人体と接触することで通信を媒介する通信媒介手段を有するとともに、少なくとも、前記人体が前記通信媒介手段に接触している状態で行われる第1の操作と、該状態を継続したまま行われる第2の操作とを受け付ける操作受付手段と、
前記操作受付手段が前記第1の操作を受け付けていることを条件に、前記通信媒介手段を介して前記人体に備えられた携帯用決済処理装置との間で通信を行う通信手段と、
前記操作受付手段が前記第2の操作の受け付けた場合に、前記通信手段が行う通信を利用して前記携帯用決済処理装置との間で決済処理を行う決済処理手段と
を具備することを特徴とする自動販売機。
【請求項4】
前記操作受付手段を複数具備するとともに、該操作受付手段のそれぞれに対応する通信媒介手段と前記通信手段との接続を切り替える切替手段をさらに具備し、
前記切替手段は、前記操作受付手段のうち、前記第1の操作を受け付けた操作受付手段に対応する通信媒介手段と前記通信手段とを接続する
ことを特徴とする請求項3記載の自動販売機。
【請求項5】
前記操作受付手段は、前記人体による押込みを受け付け、
前記第2の操作は、前記第1の操作よりも押込み量が大きい
ことを特徴とする請求項3または4記載の自動販売機。
【請求項6】
人体を伝達媒体として通信を行う際に該人体と接触する通信媒介手段が設けられ、少なくとも、前記人体が前記通信媒介手段に接触している状態で行われる第1の操作と、該状態を継続したまま行われる第2の操作とを受け付ける操作受付手段を有する自動販売機に搭載される決済装置であって、
前記操作受付手段が前記第1の操作を受け付けていることを条件に、前記通信媒介手段を介して前記人体に備えられた携帯用決済処理装置との間で通信を行う通信手段と、
前記操作受付手段が前記第2の操作の受け付けた場合に、前記通信手段が行う通信を利用して前記携帯用決済処理装置との間で決済処理を行う決済処理手段と
を具備することを特徴とする決済装置。
【請求項7】
前記通信媒介手段を複数具備するとともに該複数の通信媒介手段を前記通信手段に選択的に接続する切替手段とを具備した自動販売機に搭載され、
前記操作受付手段が前記第1の操作を受け付けた際に、該第1の操作を受け付けた操作受付手段に対応する通信媒介手段と前記通信手段とを接続するように前記切替手段を制御する切替制御手段をさらに具備する
ことを特徴とする請求項6記載の決済装置。
【請求項8】
前記通信媒介手段を複数具備した自動販売機に搭載され、
前記通信媒介手段を前記通信手段に選択的に接続する切替手段と、
前記操作受付手段が前記第1の操作を受け付けた際に、該第1の操作を受け付けた操作受付手段に対応する通信媒介手段と前記通信手段とを接続するように前記切替手段を制御する切替制御手段をさらに具備する
ことを特徴とする請求項6記載の決済装置。
【請求項1】
自動販売機の決済を人体通信を利用して行う決済システムにおいて、
人体を伝達媒体として通信を行う携帯用決済処理装置と、
前記携帯用決済処理装置と人体を伝達媒体として通信を行い、該通信により前記携帯用決済処理装置との間で決済処理を行う自動販売機と
を具備し、
前記自動販売機は、
人体と接触することで通信を媒介する通信媒介手段を有するとともに、少なくとも、前記人体が前記通信媒介手段に接触している状態で行われる第1の操作と、該状態を継続したまま行われる第2の操作とを受け付ける操作受付手段と、
前記操作受付手段が前記第1の操作を受け付けていることを条件に、前記通信媒介手段を介して前記人体に備えられた携帯用決済処理装置との間で通信を行う通信手段と、
前記操作受付手段が前記第2の操作の受け付けた場合に、前記通信手段が行う通信を利用して前記携帯用決済処理装置との間で決済処理を行う決済処理手段と
を具備することを特徴とする決済システム。
【請求項2】
前記自動販売機は、前記操作受付手段を複数具備するとともに、該操作受付手段のうち前記第1の操作を受け付けた操作受付手段に対応する通信媒介手段と前記通信手段とを接続する切替手段をさらに具備することを特徴とする請求項1記載の決済システム。
【請求項3】
人体を伝達媒体として該人体が携帯する携帯用決済処理装置と通信を行い、該通信により該携帯用決済処理装置との間で決済処理を行う自動販売機において、
人体と接触することで通信を媒介する通信媒介手段を有するとともに、少なくとも、前記人体が前記通信媒介手段に接触している状態で行われる第1の操作と、該状態を継続したまま行われる第2の操作とを受け付ける操作受付手段と、
前記操作受付手段が前記第1の操作を受け付けていることを条件に、前記通信媒介手段を介して前記人体に備えられた携帯用決済処理装置との間で通信を行う通信手段と、
前記操作受付手段が前記第2の操作の受け付けた場合に、前記通信手段が行う通信を利用して前記携帯用決済処理装置との間で決済処理を行う決済処理手段と
を具備することを特徴とする自動販売機。
【請求項4】
前記操作受付手段を複数具備するとともに、該操作受付手段のそれぞれに対応する通信媒介手段と前記通信手段との接続を切り替える切替手段をさらに具備し、
前記切替手段は、前記操作受付手段のうち、前記第1の操作を受け付けた操作受付手段に対応する通信媒介手段と前記通信手段とを接続する
ことを特徴とする請求項3記載の自動販売機。
【請求項5】
前記操作受付手段は、前記人体による押込みを受け付け、
前記第2の操作は、前記第1の操作よりも押込み量が大きい
ことを特徴とする請求項3または4記載の自動販売機。
【請求項6】
人体を伝達媒体として通信を行う際に該人体と接触する通信媒介手段が設けられ、少なくとも、前記人体が前記通信媒介手段に接触している状態で行われる第1の操作と、該状態を継続したまま行われる第2の操作とを受け付ける操作受付手段を有する自動販売機に搭載される決済装置であって、
前記操作受付手段が前記第1の操作を受け付けていることを条件に、前記通信媒介手段を介して前記人体に備えられた携帯用決済処理装置との間で通信を行う通信手段と、
前記操作受付手段が前記第2の操作の受け付けた場合に、前記通信手段が行う通信を利用して前記携帯用決済処理装置との間で決済処理を行う決済処理手段と
を具備することを特徴とする決済装置。
【請求項7】
前記通信媒介手段を複数具備するとともに該複数の通信媒介手段を前記通信手段に選択的に接続する切替手段とを具備した自動販売機に搭載され、
前記操作受付手段が前記第1の操作を受け付けた際に、該第1の操作を受け付けた操作受付手段に対応する通信媒介手段と前記通信手段とを接続するように前記切替手段を制御する切替制御手段をさらに具備する
ことを特徴とする請求項6記載の決済装置。
【請求項8】
前記通信媒介手段を複数具備した自動販売機に搭載され、
前記通信媒介手段を前記通信手段に選択的に接続する切替手段と、
前記操作受付手段が前記第1の操作を受け付けた際に、該第1の操作を受け付けた操作受付手段に対応する通信媒介手段と前記通信手段とを接続するように前記切替手段を制御する切替制御手段をさらに具備する
ことを特徴とする請求項6記載の決済装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−152496(P2010−152496A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−327723(P2008−327723)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(307003777)株式会社日本コンラックス (140)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(307003777)株式会社日本コンラックス (140)
【Fターム(参考)】
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