説明

沈降シリカ含有断熱材料

70g/l以下の修正タップ密度を有する、沈降シリカを含む断熱材料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、沈降シリカを含む断熱材料およびこの断熱材料を含む成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
冷却構造、加熱構造および蓄熱構造用材料を含む絶縁材料の開発が広く行われている。多くの系が繊維製品および粉末製品またはフォームを用いて開発されてきた。
【0003】
沈降シリカまたはヒュームドシリカのいずれかのシリカの使用について、いくつかの特許出願に記載されている。ヒュームドシリカによれば、通常、断熱用途において沈降シリカと比べてより良い結果がえられる。ヒュームドシリカは四塩化ケイ素などのシラン材料の火炎法(flame hydrolysis or flame oxidation)により、飛散性散剤として製造される。
【0004】
沈降シリカは通常、当業者によく知られた手段によって、アルカリ性水ガラスと鉱酸との相互作用により形成される。沈降シリカはその後、噴霧乾燥や粉砕などによって機械処理されることもある。通常、沈降シリカはヒュームドシリカよりも低コストである。沈降シリカの断熱材料としての使用は、たとえば、US4636415、EP355295、EP396961、EP463311に開示されている。しかし、断熱材料としての沈降シリカの性能は期待に適うものではなかった。
【0005】
したがって、本発明の課題は、ヒュームドシリカを含むものに比肩しうる機能を有する、コスト効率の良い断熱材料を提供することにある。本発明の別の課題は、この断熱材料を含む成型品を提供することにある。
【0006】
本発明は、70g/l以下、好ましくは1乃至60g/l、より好ましくは5乃至55g/l、さらにより好ましくは10乃至50g/l、特に10乃至30g/lの修正タップ密度を有する沈降シリカを含む断熱材料を提供する。
【0007】
「修正タップ密度」は、DIN EP ISO 787−11に従う一般的なタップ密度決定前の、シリカ構造の定義された弛緩(loosening)により得られるタップ密度を意味する。これは沈降シリカの予備的圧縮により生じる誤りを避けるために行われる。詳細については詳細な説明において後述される。
【0008】
本発明の一実施形態では、断熱材料の沈降シリカは、
a)150乃至2000nm、好ましくは200乃至1500nm、より好ましくは250乃至1200nm、最も好ましくは300乃至900nm、特に好ましくは350乃至600nmのd50値、
b)500乃至7000nm、好ましくは700乃至6500nm、より好ましくは800乃至6000nm、最も好ましくは900乃至6000nm、特に好ましくは1000乃至5000nmのd90値、および
c)2.5乃至8OH/nm、好ましくは2.6乃至7OH/nm、より好ましくは2.7乃至6OH/nm、最も好ましくは2.8乃至5.5OH/nm、特に好ましくは3.1乃至5OH/nmのシラノール基密度
を有する。
【0009】
50値およびd90値は、レーザ回折法により決定される。シラノール基密度は、沈降シリカと水素化リチウムアルミニウムとの反応により決定される。各決定方法の詳細は、詳細な説明において後述される。
【0010】
本発明の他の実施形態では、沈降シリカのBET比表面積は、好ましくは100乃至350m/g、好ましくは100乃至350m/g、より好ましくは110乃至340m/g、最も好ましくは120乃至330m/g、特に好ましくは130乃至300m/g、さらに特に好ましくは145乃至280m/gである。
【0011】
本発明の他の実施形態では、沈降シリカの乾燥減量は、1.5乃至8重量%であり、かつ/または、沈降シリカの強熱減量は1.5乃至9重量%であり、そして、沈降シリカのpH値は4乃至9である。
【0012】
特別な実施形態において、本発明の断熱材料は、30乃至100重量%の沈降シリカを含む。したがって、沈降シリカは単独で断熱材料として機能しうる。好ましくは、断熱材料は、断熱材料に対して、30乃至95重量%、より好ましくは40乃至80重量%で含まれる。
【0013】
本発明のシリカは、
−10乃至30ml/(5g)、好ましくは10乃至25ml/(5g)のシアーズ数、
−100乃至350m/g、好ましくは130乃至300m/gのBET比表面積、
−2乃至8重量%、好ましくは2乃至7重量%、より好ましくは2.5乃至6重量%の乾燥減量、
−2乃至9重量%、好ましくは2乃至7重量%、より好ましくは2.5乃至5重量%の強熱減量、
−4乃至9、好ましくは4乃至8、より好ましくは5乃至8のpH値、
−230乃至400g/100g、好ましくは250乃至350g/100gのDBP値
を有する沈降シリカの、粉砕システム(粉砕装置)を用いた粉砕と分級により調製可能であり、
上記粉砕システムは特に好ましくはジェットミルを含む粉砕システムであり、これは、粉砕システムのミルがガスおよび/または蒸気好ましくはスチーム、および/またはスチームを含むガスからなる群から選択される媒体を用いた粉砕段階中で動作されることと、粉砕チャンバが加熱段階すなわち媒体を用いた実際の動作の前に加熱され、これにより、粉砕チャンバ内および/またはミルアウトレットにおける温度が蒸気および/または媒体の露点よりも高いことと、粉砕されたシリカが150乃至2000nmのd50値および500乃至7000nmのd90値に分級されることと、を特徴とする。出発材料として適した市販のシリカは、Evonik Degussa GmbH(ドイツ国)製Sipernat(登録商標)160、Sipernat(登録商標)22S、Sipernat(登録商標)22LS、および、DWS(中国)製シリカ(等級YH350)である。
【0014】
粉砕は、WO2008/046727に記載の方法に従った特定の選択でもって、これに記載された粉砕システム(ミル)を用いて、ここで、特別な選択では、用いられる媒体はスチームである。米国特許出願第11/944,851号(2007年11月26日出願)は本明細書中に参照により含まれる。
【0015】
図1中、参照番号は以下を示す:ジェットミル(1)、シリンダ状ケーシング(2)、粉砕チャンバ(3)、粉砕原料の供給路(4)、粉砕ジェットインレット(5)、加熱開口またはノズル(5a)、生成物アウトレット(6)、空気分級器(7)、分級ホイール(8)、インレット開口またはインレットノズル(9)、粉砕ジェット気流(10)、熱源(11)、熱源(12)、供給管(13)、断熱ジャケット(14)、インレット(15)、アウトレット(16)、粉砕チャンバの中心(17)、溜めまたは生成手段(18)、タンク(18a)、管断熱(19)。
【0016】
図2中、参照番号は以下を示す:ジェットミル(1)、空気分級器(7)、分級器ギャップ(8a)、出口ポート(管)(20)、分級器ケーシング(21)、ケーシング頂部(22)、ケーシング基部(23)、外周フランジ(24)、外周フランジ(25)、継ぎ手(26)、矢印(27)、分級器チャンバケーシング(28)、支持アーム(28a)、吐出コーン(29)、フランジ(30)、フランジ(31)、カバー板(32)、カバー板(33)、パドル(34)、分級ホイールシャフト(35)、ピボットベアリング(35a)、シャフト貫通口(35b)、頂部切削板(36)、基部切削板(37)、ケーシング終端部(38)、生成物供給ポート(39)、回転軸(40)、アウトレットチャンバ(41)、上部カバー板(42)、着脱可能蓋(43)、支持アーム(44)、円錐状環状ケーシング(45)、取込フィルタ(46)、有孔板(47)、微粉吐出管(48)、偏向コーン(49)、分級空気エントリコイル(50)、粗粉吐出部(51)、フランジ(52)、フランジ(53)、分散領域(54)、内側端部が切削(面取り)されたフランジおよびライニング(55)、交換可能な保護管(57)、微粉出口/アウトレット(58)。
【0017】
図3中、参照番号は以下を示す:分級器ギャップ(8a)、出口ポート(管)(20)、カバー板(32)、カバー板(33)、パドル(34)、シャフト貫通口(35b)、回転軸(40)、パドルリング(59)。
【0018】
図4中、参照番号は以下を示す:ジェットミル(1)、空気分級器(7)、分級器ギャップ(8a)、出口ポート(管)(20)、分級器ケーシング(21)、ケーシング頂部(22)、ケーシング基部(23)、外周フランジ(24)、外周フランジ(25)、継ぎ手(26)、矢印(27)、分級器チャンバケーシング(28)、支持アーム(28a)、吐出コーン(29)、フランジ(30)、フランジ(31)、カバー板(32)、カバー板(33)、パドル(34)、分級ホイールシャフト(35)、ピボットベアリング(35a)、シャフト貫通口(35b)、頂部切削板(36)、基部切削板(37)、ケーシング終端部(38)、生成物供給ポート(39)、回転軸(40)、アウトレットチャンバ(41)、上部カバー板(42)、着脱可能蓋(43)、支持アーム(44)、円錐状環状ケーシング(45)、取込フィルタ(46)、有孔板(47)、微粉吐出管(48)、偏向コーン(49)、分級空気エントリコイル(50)、粗粉吐出部(51)、フランジ(52)、フランジ(53)、分散領域(54)、内側端部が切削(面取り)されたフランジおよびライニング(55)、交換可能な保護管(57)、微粉出口/アウトレット(58)。
【0019】
図5中、参照番号は以下を示す:出口ポート(管)(20)、カバー板(32)、カバー板(33)、パドル(34)、回転軸(40)、パドルリング(59)。
【0020】
特に好適な一実施形態では、過熱スチームを用いた実際の粉砕の準備において、図1に示されるような、図2および3に示される一体型ダイナミック空気分級器を備える流動層カウンタジェットミルが、2つの加熱開口またはノズル(5a)(そのうちの1つのみが図1に記載されている)を介してまず加熱される。加熱開口またはノズルには、好ましくは10バール、160℃の加熱圧縮空気が、ミルの出口温度がスチームおよび/または媒体の露点好ましくは約105℃よりも高くなるまで供給される。
【0021】
ミルの下流には、微粉(粉砕された材料)の分離のため、フィルタ系(図1中図示せず)が接続されている。フィルタ系のフィルタケーシングは、同様に凝縮を避けるために、下方1/3において取り付けられた加熱コイルにより、飽和スチーム(好ましくは6バールの飽和スチーム)により間接的に加熱される。ミル、分離フィルタおよびスチームおよび加熱圧縮空気の供給ラインの領域における装置表面全体には、特別な断熱が施されている。
【0022】
所望の加熱温度に達した後、加熱圧縮ガスの加熱ノズルへの供給は停止され、好ましくは38バール(絶対圧)および325℃の過熱スチームの、3つの粉砕ノズルへの供給が開始される。
【0023】
分離フィルタ中に用いられているフィルタ媒体を保護し、微粉中の残留水分を定義されたレベル(好ましくは2乃至6%)に設定するため、開始段階および粉砕中に、ミルの出口温度に基づいて、圧縮空気で動作される2流体ノズルを介して、水がミルの粉砕チャンバ内に導入される。
【0024】
供給量は分級器エンジンの電流に基づいて制御される。電流は公称電流の約70%を超えることができないように供給量を調整する。
【0025】
ここで機能する導入部材(4)は、溜め容器から、気圧終点(barometric endpoint)として働く周期的ロック(cyclical lock)によって、加圧された粉砕チャンバへの供給材料を計量して供給する速度制御バケットホイールである。
【0026】
粗粉(粗い材料)は、膨張性スチームジェット気流(粉砕ガス)中で粉砕される。減圧された粉砕ガス中とともに、生成粒子はミル容器の中心を分級ホイールまで上昇する。設定された分級器速度および粉砕スチーム量に依存して、十分な細度の粒子が粉砕スチームとともに微粉出口に入り、そこから下流の分離系へと通される。一方、粗すぎる粒子は粉砕領域に戻され、再び粉砕される。分離フィルタから後段のサイロ溜めへの分離された微粉の取り出し、および、バギング作業は、バケットホイールロックを用いて行われる。
【0027】
粉砕ノズルにおいて得られる粉砕ガスの粉砕圧力および粉砕ガスの得られる体積は、ダイナミックパドルホイール分級器とともに、粒径分布関数の細度および粒径の上限を決定する。
【0028】
好ましい実施形態では、粉砕は以下のように行われる。本発明にかかるプロセスは、粉砕システム(粉砕装置)、好ましくはジェットミルを備える粉砕システム、特に好ましくはカウンタジェットミルを備える粉砕システムにおいて行われる。この目的のため、粉砕される供給材料は、高速の膨張性ガスジェット気流中で加速され、粒子間衝突により粉砕される。とりわけ好ましく用いられるジェットミルは流動層カウンタジェットミルまたは濃厚層ジェットミルまたはスパイラルミルである。とりわけ好ましい流動層カウンタジェットミルを用いる場合、好ましくは、複数の粉砕ジェットインレットが、好ましくは水平面内に設けられた粉砕ノズルの形態で、粉砕チャンバの下方1/3に設けられている。特に好ましくは、粉砕ジェット気流が全て粉砕容器の内部の1点で出会うように、粉砕ジェットインレットは好ましくは円形の粉砕容器の周りに設けられている。特に好ましくは、粉砕ジェットインレットは、粉砕容器の周囲に均一に分散されている。3つの粉砕ジェットインレットの場合、間隔はそれぞれについて120°となる。
【0029】
本発明にかかるプロセスの特別な実施形態において、粉砕システム(粉砕装置)は、分級器、好ましくはダイナミック分級器、特に好ましくはダイナミックパドルホイール分級器、とりわけ好ましくは図4および5に記載の分級器を含む。
【0030】
特に好ましい実施形態では、図2および3に記載のダイナミック空気分級器が用いられる。このダイナミック空気分級器は、分級ホイールと、分級ホイールシャフトと、分級器ケーシングとを備えている。分級ホイールと分級器ケーシングとの間には分級器ギャップが形成されており、分級ホイールシャフトと分級器ケーシングとの間にはシャフト貫通口が形成されている。ダイナミック空気分級器は、分級器ギャップおよび/またはシャフト貫通口の低エネルギーの圧縮ガスを用いたフラッシングが行われることを特徴とする。
【0031】
本発明の条件のもとで分級器をジェットミルと組み合わせて用いるとき、大きすぎる粒子については制限が与えられる。膨張性ガス噴流とともに上昇する生成粒子は、粉砕容器の中心から分級器を通され、十分な細度を有する生成物が分級器そしてミルから吐出される。粗すぎる粒子は粉砕領域に戻り、さらに粉砕される。
【0032】
粉砕システムにおいて、分級器はミルの下流で分離されたユニットとして接続可能であるが、一体型分級器が好ましく用いられる。
【0033】
この本発明にかかる特に好ましい粉砕プロセスは、実際の粉砕ステップの上流に含まれる加熱段階を含む。この加熱段階では、粉砕チャンバ、特に好ましくは、水および/またはスチームが凝縮する可能性がある、ミルおよび/または粉砕システムの実体的構成要素の全てが、確実にその温度が蒸気の露点を超えるように加熱される。加熱は基本的にいかなる加熱方法により行われても良い。しかし、加熱は、好ましくは、ミルの出口におけるガスの温度が蒸気の露点よりも高いように、加熱ガスをミルおよび/または粉砕システム全体を通すことにより行われる。特に好ましくは、加熱ガスがスチームと接触するミルの全ての実体的構成要素および/または粉砕システム全体を確実に好ましく十分に加熱するものとされる。
【0034】
用いられる加熱ガスは基本的に任意の所望のガスおよび/またはガス混合物であってよいが、加熱ガスおよび/または燃焼ガスおよび/または不活性ガスが好ましく用いられる。加熱ガスの温度はスチームの露点よりも高い。
【0035】
加熱ガスは基本的に粉砕チャンバの任意の所望の位置で導入される。インレットまたはノズルがこの目的のために粉砕チャンバに好ましく設けられる。
【0036】
これらのインレットまたはノズルは、粉砕段階で粉砕ジェット気流が同様に通されるインレットまたはノズル(粉砕ノズル)と同一であってよい。しかし、加熱ガスおよび/またはガス混合物が通過可能な別個のインレットまたはノズル(加熱ノズル)を粉砕チャンバ内に設けても良い。好ましい実施形態では、全てのジェット気流が粉砕容器内の一点で出会うように好ましくは円形の粉砕容器の周りに一平面上に配置された、少なくとも2つの、好ましくは3つ以上のインレットおよびノズルを通して、加熱ガスまたは加熱ガス混合物が導入される。特に好ましくは、インレットまたはノズルは粉砕容器の周囲に均一に分散される。
【0037】
粉砕の間、ガスおよび/または蒸気、好ましくはスチームおよび/またはガス/スチーム混合物は、好ましくは粉砕ノズルの形態の粉砕ジェットインレットを通って、媒体として送られる。この媒体は、基本的に、大気の音速(343m/s)よりも実質的に高い、好ましくは少なくとも450m/sの音速を有する。有利には、媒体はスチームおよび/または水素ガスおよび/またはアルゴンおよび/またはヘリウムを含む。媒体は特に好ましくは過熱スチームである。超微細粉砕のためには、媒体は15乃至250バール、特に好ましくは20乃至150バール、さらに特に好ましくは30乃至70バール、とりわけ好ましくは40乃至65バールでミルに供給する場合が特に有利であることがわかっている。また、媒体は、特に好ましくは200乃至800℃、特に好ましくは250乃至600℃、特に300乃至400℃の温度を有する。圧力には全ての値が含まれ、副次的値としては、特に、20、40、60、80、100、120、140、160、180、200、220および240バールが含まれる。媒体の温度には全ての値が含まれ、副次的な値として、特に、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、7500℃が含まれる。
【0038】
媒体としてスチームを用いる場合、すなわち、特に蒸気供給管が蒸気源に接続されている場合、粉砕ノズルまたは粉砕インレットが伸縮ベンドを備える蒸気供給管に接続されている場合が特に有利であることがわかっている。
【0039】
さらに、ジェットミルの表面ができるだけ小さい値を有し、かつ/または、流路が少なくとも実質的に突起を有しない場合、および/または、ジェットミルの構成部品が堆積を避けるように設計されている場合が有利であることがわかっている。これらの設計により、粉砕される材料のミル内への堆積はさらに防ぐことができる。
【0040】
本発明について、例示のみを目的として、本発明にかかるプロセスの後述の好ましく特別な実施形態およびジェットミルの好ましく特に適した形態および図面の説明を参照してより詳細に説明される。すなわち、本発明は、これらの実施例および使用例、または、各実施例の特徴のそれぞれの組み合わせに限定されるものではない。
【0041】
特定の実施例に関連して記載されるそれぞれの特徴は、これらの実施例またはこれらの実施例の他の特徴との組み合わせに限定されず、技術的に可能な範囲で、本願書類中で個別に説明されていないとしても任意の変形物と組み合わせ可能である。
【0042】
個々の図面および画像中の個々の参照番号は、同一のまたは同様の構成要素または同一のまたは同様の効果を有する構成要素を指す。図面中の図形は、参照番号とともに記載されていない特徴が以下に記載されているといないとにかかわらず、かかる特徴をも明らかとするものである。一方、本願の記載に含まれているが、図面には記載されていない特徴もまた、当業者には等しく理解されるところのものである。
【0043】
上述したように、一体型分級器好ましくは一体型ダイナミック空気分級器を備えるジェットミル好ましくはカウンタジェットミルは、本発明にかかるプロセスにおける超微細粒子の生成に用いることができる。 特に好ましくは、空気分級器は、分級ホイール、分級ホイールシャフトおよび分級器ケーシングから構成されている。分級ホイールと分級器ケーシングとの間には分級ギャップが形成されており、分級ホイールシャフトと分級器ケーシングとの間にはシャフト貫通口が形成されている。空気分級器は分級器ギャップおよび/またはシャフト貫通口の低エネルギーの圧縮ガスによるフラッシングが影響されるように動作される。
【0044】
好適には、フラッシング空気は、ミルの内圧より大きい、少なくとも約0.4バール未満、特に好ましくは少なくとも0.3バール未満、特に0.2バール未満の圧力で用いられる。ミルの内圧は、少なくともおおよそ、0.1乃至0.5バールの範囲であってよい。
【0045】
また、フラッシング空気が約80℃乃至約120℃の温度、特に約100℃で用いられる場合、および/または、用いられるフラッシング空気が低エネルギーの圧縮ガスである場合、特に約0.3バール乃至約0.4バールが好ましい。
【0046】
分級ホイールにつながる管またはアウトレットノズルにおける媒体(B)の円周速度が媒体の音速の0.8倍に達するように、空気分級器の分級ロータの速度および内部増幅比は選択、設定または調整可能である。
【0047】
空気分級器の分級ロータの速度および内部増幅比が選択、設定または調整可能である場合、管またはアウトレットノズルにおける媒体(B)の円周速度が、媒体の音速の0.7倍、特に好ましくは0.6倍に達するように、これはさらに改善される。
【0048】
特に、有利には、分級ロータが径の減少とともに増大する高さクリアランスを有し、その分級ロータの領域を通して少なくとも約一定のフローが確実に生じるようにさらにしてもよい。その代わりにまたはそれに加えて、分級ロータが交換可能な、共回転する管の場合にはそれは有利な場合がある。さらに別の変形例では、フロー方向に拡大する断面を有する微粉アウトレットチャンバを設けることが好ましい。
【0049】
さらに、本発明にかかるジェットミルは、有利には特に、EP−A−472930に記載の風力分級器の個々の特徴または特徴の組み合わせを有する空気分級器を備えてもよい。同一の対象を単純に用いることを避けるため、EP−A−472930の全ての開示内容は参照により本明細書に含まれる。特に、空気分級器は、EP−A−472930に記載のフローの円周方向成分を減少させる手段を有しても良い。空気分級器の分級ホイールにつながり、管の形態のアウトレットノズルが、渦形成を避けるために好適には環状に設計された、フロー方向において拡大する断面を確実に有するようにしてもよい。
【0050】
本発明にかかるプロセスに用いることのできる粉砕システムまたはミルの好適なおよび/または有利な実施形態は、図1乃至5および関連する記載に明示されている。これらの実施形態は本発明を実施例によってより詳細に説明するのみであり、すなわち本発明はこれらの実施例および使用例に限定されず、また、個々の実施例の範囲内の特徴の組み合わせに限定されないことを再度強調しておく。
【0051】
特定の実施例に関連して示される個々の特徴は、実施例またはこれらの実施例の他の特徴との組み合わせに限定されず、たとえ本願書類に個々議論されていなくとも、他の任意の変形例と技術的可能性の範囲内で組み合わせ可能である。
【0052】
図面中の個々の図形および画像における同一の参照番号は、同一のまたは同様の構成要素および同一のまたは同様の効果を有する構成要素を示す。図面中の図形は、参照番号とともに示されていない特徴が以下に記載されているといないとのかかわらず、かかる特徴を明確にしている。一方、本願の記載に含まれているが、図面中に示されていない特徴もまた、当業者には容易に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の一実施形態に係るジェットミルを示す。
【図2】本発明の一実施形態に係る流動層カウンタジェットミルを示す。
【図3】本発明の一実施形態に係る分級器を示す。
【図4】本発明の一実施形態に係る流動層カウンタジェットミルを示す。
【図5】本発明の一実施形態に係る分級器を示す。
【図6】断熱材料1乃至3の温度に対する熱伝導性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0054】
図1はジェットミル1の実施例を示す。ジェットミル1は、粉砕チャンバを囲むシリンダ状ケーシング2と、粉砕チャンバ3の中程の高さに設けられた粉砕原料の供給路4と、粉砕チャンバ3の下方領域に設けられた粉砕ジェットインレット5と、粉砕チャンバ3の上方領域に設けられた生成物アウトレット6と、を備える。回転可能な分級ホイール8を有する空気分級器が設けられている。分級ホイール8により粉砕された材料(微粉)(図示せず)が分級され、すなわち、生成物アウトレット6を通して粉砕チャンバ3から特定の粒径未満の粉砕された微粉のみが除かれ、選択された値より上の粒径を有する粉砕された材料(粗粉)がさらなる粉砕プロセスに供給される。
【0055】
分級ホイール8は一般的な空気分級器であってよい。このような空気分級器のブレード(たとえば、図5に関連して下記を参照)は放射状のブレードチャネルに接続されており、その外側端部において分級空気が入り、比較的小さい粒径の粒子または塊が中心アウトレットにそして生成物アウトレット6に連行され、一方で、より大きな粒子またはより大きな塊の粒子は遠心力の作用によって拒まれる。特に好ましくは、空気分級器7および/または少なくともその分級ホイール8は、EP−A−472930に記載された少なくとも1つの設計特徴を備える。
【0056】
高エネルギーで、粉砕原料の供給口4から粉砕ジェット気流10の領域に達する粉砕原料の粒子同士が高エネルギーで出会うように、および、粉砕原料の粒子を分級ホイール8に取り込まれるより小さい粒子に分割し、そして、適切な小径または塊に達した場合に生成物アウトレット6を通して外側に送られるように、たとえば、1つの円周方向に向けられたインレット開口またはインレットノズル9からなるただ1つの粉砕ジェットインレット5を設けても良い。しかし、径方向で互いに対向する組状のものであって、互いにぶつかる2つの粉砕ジェット気流10を形成し、特に複数の粉砕ジェット気流の対が形成される場合に、1つの粉砕ジェット気流10のみでもって可能なよりもより強い粒子分割が得られる、粉砕ジェットインレット5を用いてより良い効果が実現される。
【0057】
好ましくは、複数の粉砕ジェットインレット、好ましくは粉砕ノズル特に、粉砕チャンバの好ましくはシリンダ状ケーシングの下方1/3に設けられた、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12個の粉砕ジェットインレットが用いられる。これらの粉砕ジェットインレットは、粉砕ジェット気流が粉砕容器の内側の一点で全て出会うように、理想的には一平面上に、粉砕容器の周縁にわたって均一に分散して配置されている。特に好ましくは、インレットまたはノズルは、粉砕容器の周縁にわたって均一に分散されている。3つの粉砕ジェット気流の場合、これは、各インレットまたはノズルの間が120°の角度である。一般に、粉砕チャンバが大きいほど、より多くのインレットまたは粉砕ノズルが用いられる。
【0058】
本発明にかかるプロセスの好ましい実施形態では、粉砕チャンバは、粉砕ジェットインレットに加えて、加熱開口またはノズル5aを、好ましくは、加熱ノズルの形態で含み、これを通じて、加熱ガスが加熱段階においてミルに通される。これらのノズルまたは開口は、上述のように、粉砕開口またはノズル5として同一平面上に配置可能である。1つの加熱開口またはノズル5aを設けることができるが、好ましくは複数の加熱開口またはノズル5a、特に好ましくは、2、3、4、5、6、7または8個の加熱開口またはノズル5aを設けてもよい。
【0059】
非常に好ましい実施形態では、ミルは2つの加熱ノズルまたは開口を有し、3つの粉砕ノズルまたは開口を有する。
【0060】
たとえば、粉砕原料の供給路4と粉砕ジェット気流10の領域との間の内部加熱源11または粉砕原料の供給路4の外側領域の対応する加熱源12を用いることにより、あるいは、何らかの方法で既に加熱され、粉砕原料の供給路4に達するときの熱損失を避けている(この目的のために供給管13は断熱ジャケット14に覆われている)粉砕原料の粒子を処理することにより、プロセス温度はさらに調整可能である。加熱源11または12を使用する場合、これは、基本的に任意の所望の形態であってよく、したがって、特定の目的に使用可能であり、市場での可用性に従って選択可能であるので、この文脈においてさらなる説明は必要とされない。
【0061】
特に、粉砕ジェット気流10の温度は、温度に関連し、粉砕原料の温度は粉砕ジェット気流の温度に少なくともおおよそ対応するものでなければならない。
【0062】
粉砕ジェットインレット5を通じて粉砕チャンバ3に導入される粉砕ジェット気流10の形成のため、過熱スチームが本願の実施例において用いられる。各粉砕ジェットインレット5のインレットノズル9の後のスチームの熱容量は、このインレットノズル9の前段よりも実質的に低いものではないと仮定されるべきである。衝撃粉砕に必要なエネルギーはフローエネルギーとして本来利用可能であるべきであるので、インレットノズル9のインレット15とそのアウトレット16との間の圧力降下は、比較して少ないものではなく(圧力エネルギーはフローエネルギーにほぼ全て変換される。)、温度降下もまた少ないものではない。少なくとも2つの粉砕ジェット気流10が互いに一致する場合または2つの粉砕ジェット気流10の場合に、粉砕原料および粉砕ジェット気流10が粉砕チャンバ3の中心領域17において同一温度を有する程度まで、特に温度低下は粉砕原料の加熱により補償されるべきである。
【0063】
特に閉鎖系の形態の、過熱スチームを含む粉砕ジェット気流10を用意するための処理および設計に関して、DE19824062A1が参照され、その開示内容全体は、同一対象の単なる採用を避けるために参照により本明細書に含まれる。たとえば、粉砕材料としての加熱スラグの粉砕が、閉鎖系により最適な効率でもって可能である。
【0064】
ジェットミル1に関する図1において、媒体Bの任意の供給は溜めまたは生成装置18によって典型的に表されており、これはたとえばタンク18aを表し、タンク18aから媒体Bが管装置19を通じて粉砕ジェットインレット5に通されて、粉砕ジェット気流10を形成する。
【0065】
特に、空気分級器7を有するジェットミル1を基本として(関連する実施例は例示に過ぎず、限定するものではないことは意図されかつ理解される)、超微細粒子の生成方法は、一体型ダイナミック空気分級器7を用いるこのジェットミル1でもって実施される。粉砕段階が、蒸気と接触する全ての部分が蒸気の露点よりも上の温度まで加熱される加熱段階よりも先であるという事実、および、好ましくは一体型分級器が用いられるという事実とは別に、従来のジェットミルと比較した革新的部分は、分級ホイール8とつながる管またはアウトレットノズル20における媒体Bの周囲速度が、媒体Bの音速の0.8倍、好ましくは0.7倍、特に好ましくは0,6倍に達するように、分級器7の分級ロータまたは分級ホイール8の速度および内部増幅比が好ましく選択、設定または調整されることである。
【0066】
媒体Bまたは代替として過熱スチームを用いる上述した変形例を参照して、媒体として、ガスの音速(343m/s)よりも高い特に実質的により高い音速を有するガスまたは蒸気Bを用いることが特に有利である。特に、少なくとも450m/sの音速を有するガスまたは蒸気Bが媒体として用いられる。これは、実用的な知識に基づいて一般的に用いられる他の媒体を用いるプロセスと比較して超微細粒子の生成および収量を改善し、したがって、プロセスを全体的に最適化する。
【0067】
流体、好ましくは上記スチーム、あるいは水素ガスまたはヘリウムガスが媒体Bとして用いられる。
【0068】
好ましい実施形態では、ジェットミル1特に流動層ジェットミルまたは濃厚層ジェットミルまたはスパイラルジェットミルは、超微細粒子の生成のために一体型ダイナミック空気分級器7を有して形成または設計されあるいは適切な装置を有し、このため、分級器7の分級ロータまたは分級ホイール8の速度または内部増幅比は、管またはアウトレットノズル20における媒体Bの周囲速度が、媒体Bの音速の0.8倍、好ましくは0.7倍、特に好ましくは0.6倍に達するように、選択、設定または調整される。
【0069】
さらに、ジェットミル1は好ましくは媒体B用の供給源、たとえば、スチームまたは過熱スチーム用の溜めもしくは生成装置18または別の適切な溜めまたは生成装置を備え、あるいは、そのような媒体源がつなげられている。動作のため、媒体源から、媒体Bが、ガスの音速(343m/s)より高くかつ特に実質的により高い音速、例えば好ましくは少なくとも450m/sの音速で供給される。この媒体源、たとえば、スチームまたは過熱スチーム用の溜めまたは生成装置18は、ジェットミル1の動作の間の使用のためのガスまたは蒸気B特に上述のスチームを含むが、水素ガスおよびヘリウムガスも好適な代替物である。
【0070】
特に、媒体Bとしての加熱スチームの使用とともに、拡張ベンド(図示せず)を有する管装置19(蒸気供給管としても示される)を、すなわち好ましくは蒸気供給管が溜めまたは生成装置18としてのスチーム源に接続されている場合には、インレットまたは粉砕ノズル9に設けることが有利である。
【0071】
媒体Bとしてのスチームの使用におけるさらに有利な態様は、ジェットミル1ができるだけ小さい表面を有するようにするか、または、言い換えれば、ジェットミル1をできるだけ小さい表面に関して最適化することである。特に、媒体Bとしてのスチームに関して、系における熱交換または熱損失すなわちエネルギー損失を避けることが特に有利である。この目的は、さらなる代替的なまたは付加的な設計尺度すなわち、これに関する構成要素の蓄積または最適化を避けるためのジェットミル1の構成要素の設計によっても役立つ。これは、たとえば、管装置19および管装置19の接続にできるだけ薄いフランジを用いることにより実現可能である。
【0072】
エネルギー損失および他のフローに関連する悪影響は、ジェットミル1の構成要素が凝縮を防ぐために設計または最適化されている場合にさらに抑制または防がれる。凝縮を避けるための特別な装置(図示せず)さえ、この目的のために設けてもよい。さらに、流路が少なくとも実質的に突起を有さず、または、これに関して最適化されていれば、有利である。言い換えると、冷える可能性のあるものおよびしたがって凝縮が生じるところをできる限りまたは全て避けるという原則は、これらの設計変形例によって個別にまたは任意の所望の組み合わせにおいて実現される。
【0073】
さらに、分級ロータが半径の減少につれて、すなわち軸方向で、増大する高さクリアランスを有する場合、特に分流ロータのその領域において少なくともほぼ一定のフローが生じる場合には、それが有利であり従って好ましい。第1にまたは代わりに、フロー方向において拡大する断面を有する微粉アウトレットチャンバを設けても良い。
【0074】
ジェットミル1の場合における特に好ましい実施形態は、交換可能な共回転する管20を有する分級ロータ8において構成される。
【0075】
ジェットミル1およびその構成要素の好ましい設計のさらなる詳細および変形について、図4および5を参照して以下説明する。
【0076】
ジェットミル1は好ましくは、図4の概略図に示すような、一体型空気分級器7を有し、これは、たとえば流動層ジェットミルとして、濃厚層ジェットミルとしてまたはスパイラルジェットミルとしてジェットミル1を設計する場合、ジェットミル1の粉砕チャンバ3の中心に配置されたダイナミック空気分級器7を有する。粉砕ガスの体積流量または分級器速度に依存して、粉砕原料の所望の細度が調整される。
【0077】
図4にかかるジェットミル1の空気分級器7において、空気分級器7の垂直方向全体は、ケーシング上部22とケーシング下部23とを実質的に有する分級器ケーシング7に囲まれている。ケーシング上部22とケーシング下部23とは、それぞれの場合、外側に向く円周方向フランジ24および25をそれぞれ有して上下端に設けられている。2つの円周方向フランジ24および25は、空気分級器8の設置状態または動作状態において互いに重ねて設けられており、適切な手段により互いに固定されている。適切な固定手段は、たとえば、ネジ接続である(図示せず)。クランプ(図示せず)などもまた取り外し可能な固定手段として機能可能である。
【0078】
フランジ周囲の仮想的な任意の所望位置において、2つの円周方向フランジ24および25が継ぎ手26により互いに接続されており、フランジ接続手段が取り外された後、ケーシング上部22は矢印27の方向でケーシング下部23に対して上側に移動可能であり、ケーシング上部22は下方からアクセス可能であり、ケーシング下部23は上方からアクセス可能である。ケーシング下部23は一方で2つの部分から形成されており、円周方向フランジ25をその上側開放端および下方に円錐状のテーパが形成されている吐出コーン29を有するシリンダ状の分級器チャンバケーシング28から実質的に構成されている。吐出コーン29および分級器チャンバケーシング28は上下端のフランジ30、31でもって互いに重ねられ、吐出コーン29および分級器チャンバケーシング28の2つのフランジ30、31は、円周方向フランジ24、25のような取り外し可能な固定手段(図示せず)により互いに接続されている。このように構成された分級器ケーシング21は支持アーム28aにおいてまたはこれから懸架されている。複数の支持アーム28aはジェットミル1の空気分級器7の分級器またはコンプレッサのケーシングの周囲にわたってできる限り均一な距離で分散して設けられて、シリンダ状分級器チャンバケーシング28を保持する。
【0079】
空気分級器7のケーシング内部の実質的部分は、一方で、上部カバーディスク32を有し、下部カバーディスク33を軸方向に離れた流出側に有し、2つのカバーディスク32、33の外側端部の間に配置され、これらにしっかりと固定され、分級ホイール8の周囲にわたって均一に配置された、適切な形状を有するブレード34を有する分級ホイール8である。この空気分級器7の場合、分級ホイール8は上部カバーディスク32を介して駆動され、下部カバーディスク33は流出側のカバーディスクである。分級ホイール8の設置は、適切なやり方で制御駆動される分級ホイールシャフト35を有し、これは分級器ケーシング21から上端において突出し、分級器ケーシング21の内側で分級ホイール8をその下端において片持ベアリングにおいて非回転に支持する。分級ホイールシャフト35は、一対の切削板36、37において分級ケーシング21から導出され、切削板36、37は、頂部において先端を切ったコーンの形態のケーシング終端部38の上端において分級器ケーシング21を閉じ、分級ホイールシャフト35をガイドし、このシャフト通路を分級ホイールシャフト35の回転的な動きを妨げることなく封止する。適切には、上部板36はフランジの形態で非回転的に分級ホイールシャフト35につなげられ、下部板37の回転ベアリング35aを介して非回転的に支持され、一方で、ケーシング終端部38につなげられている。流出側のカバーディスク33の下側は、円周方向フランジ24、25の間の共通平面にあり、このため分級ホイール8はケーシングの蝶番式に取り付けられた上部22内に完全に配置される。円錐状のケーシング終端部38の領域において、ケーシング上部22は粉砕原料の供給路4の管状の生成物供給ノズル39を有する。生成物供給ノズルは、分級ホイール8の回転軸40およびその駆動または分級ホイールシャフト35に平行であり、この生成物供給ノズルは、分級ホイール8の回転軸40およびその駆動または分級ホイールシャフト35からできるだけ遠くに、ケーシング上部22の外側に放射状に配置されている。
【0080】
図2および3に記載の特に好ましい実施形態では、一体型ダイナミック空気分級器1は、上述したように、分級ホイール8と分級ホイールシャフト35と分級器ケーシングとを有する。分級器ギャップ8aは分級ホイール8と分級器ケーシング21との間で画定され、シャフト貫通口35bは分級ホイールシャフトと分級器ケーシング21との間に形成される(この文脈で図2および3を参照)。特に、このような空気分級器7を備えるジェットミル1に基づいて(関連する実施例は例示的なものに過ぎず、限定するものではないことは理解される)、超微細粒子の生成のためのプロセスが一体型ダイナミック空気分級器を有するこのジェットミル1を用いて行われる。粉砕チャンバが粉砕段階前に蒸気の露点を超える温度に加熱されるという事実に加え、従来のジェットミルと比較した革新的部分は、分級器ギャップ8aおよび/またはシャフト貫通口35bの低エネルギーの圧縮ガスを用いたフラッシングにある。この設計の特色は、正確には、これらの圧縮された低エネルギーガスの使用と高エネルギーの過熱ガスとの組み合わせであり、これをもって、ミルは粉砕ジェットインレット、特に粉砕ノズルまたはここに存在する粉砕ノズルを通じて供給される。したがって、高エネルギー媒体と低エネルギー媒体とが同時に用いられる。
【0081】
図4および5ならびに図2および3の両方に記載される実施形態では、分級器ケーシング21は、管状のアウトレットノズル20を受け、これは分級ホイール8と軸方向に同じく配置され、分級ホイール8のカバーディスク33の直下のその上端に存在し、このカバーディスク33は流出側にあるがそれには接続されていない。アウトレットチャンバ41が管の形態でアウトレットノズル20の下端において同じく軸方向に取り付けられている。アウトレットチャンバ41は同様に管状であり、その直径はアウトレットノズル20の直径よりも実質的に大きく、本願の実施例では、アウトレットノズル20の直径の少なくとも2倍である。直径の実質的な急変が、アウトレットノズル20とアウトレットチャンバ41との間の移行において存在する。アウトレットノズル20は、アウトレットチャンバ41の上部カバー板42に挿入されている。底部において、アウトレットチャンバ41は取り外し可能なカバー43により閉じられている。アウトレットノズル20とアウトレットチャンバ41とを有する組み立て体は、複数の支持アーム44において保持されており、この支持アームは組み立て体の周囲にスター状に均一に配置されており、アウトレットノズル20の領域で内側端部でしっかりと組み立て体に接続され、分級器ケーシング21にその外側端で固定されている。
【0082】
アウトレットノズル20は円錐状のケーシング45により包囲され、その下方のより大きな外径はアウトレットチャンバ41の直径に少なくともほぼ対応し、その上方のより小さい外径は分級ホイール8の直径に対して少なくともほぼ対応する。支持アーム44は環状のケーシング45の円錐状の壁において終端し、この壁にしっかりと固定されており、これは一方でアウトレットノズル30とアウトレットチャンバ41との組み立て体の一部である。
【0083】
支持アーム44および環状ケーシング45はフラッシング空気装置(図示せず)の一部であり、フラッシング空気は、分級器ケーシング21の内側から分級ホイール8、より正確にはその下部カバーディスク33とアウトレットノズル20との間のギャップへの材料の流入を妨げる。このフラッシング空気を環状ケーシング45に届かせ、そこからギャップが無いようにするため、支持アーム44は管形状を有し、その外側端部は分級器ケーシング21の壁を通り、取込フィルタ46を介してフラッシング空気源(図示せず)に接続されている。環状のケーシング45は有孔板47により頂部で閉じられ、ギャップは軸方向で調整可能な環状のディスクにより有孔板47と分級ホイール8の下部カバーディスク33との間の領域において調整可能である。
【0084】
アウトレットチャンバ41からのアウトレットは、外側から分級器ケーシング21に導かれ、アウトレットチャンバ41に接線的に接続された、微粉吐出管48により形成される。微粉吐出管48は生成物アウトレット6の一部である。反射コーン49はアウトレットチャンバ41における微粉吐出管48の入口のクラッディングとして機能する。
【0085】
円錐状のケーシング終端部38の下端において、分級空気エントリスパイラル50と、粗粉吐出部51がケーシング終端部38と平面状の配置でつながっている。分級空気エントリスパイラル50の回転方向は、分級ホイール8の回転方向と反対である。粗粉吐出部51は、ケーシング終端部38と取り外し可能につながっており、フランジ52はケーシング終端部38の下端とつながっており、フランジ53は粗粉吐出部51の上端とつながっており、2つのフランジ52および53は一方で、空気分級器7の動作に際して、既知の手段により互いに取り外し可能に接続される。
【0086】
設計される散乱領域は、54により示されている。きれいなフローのために内側端が切削された(面取された)フランジ、および、シンプルなライニングは55により示されている。
【0087】
最後に、交換可能な保護管56も、アウトレットノズル20の内壁における閉鎖部分として設けられており、対応する交換可能な保護管57はアウトレットチャンバ41の内壁に設けてもよい。
【0088】
示された動作状態における空気分級器7の動作の開始の際に、分級空気が分級空気エントリスパイラル50を介して圧力勾配の下で目的に従って選択される導入速度で空気分級器7に導入される。特にケーシング終端部38の円錐性と組み合わせて、スパイラルにより分級空気を導入する結果として、分級空気は分級ホイール8の領域の上方にスパイラルに上昇する。同時に、異なる塊の固体粒子を含む「生成物」は、生成物供給ノズル39を介して分級器ケーシング21に導入される。この生成物のうち、粗粉、すなわち、より大きい塊の粒子成分は分級空気とは反対の方向に、粗粉吐出部51の領域に動き、さらなる処理に送られる。微粉、すなわちより小さい塊を有する粒子成分は分級空気と混ざり、分級ホイール8を通って外側から内側へ放射状にアウトレットノズル20へ、アウトレットチャンバ41へ、そして最終的に微粉アウトレット管48を介して微粉アウトレット58へ、そこからフィルタへと送られ、そこで、空気などの流体の形態の媒体と微粉とが互いに分離される。分級器ケーシング21に粗粉を残し、分級空気とともに吐出されるような粒径を有する微粉となるまで分級器ケーシング21内に循環させるため、微粉のうちのより粗い成分は分級ホイール8から遠心力により放射状に除かれ、粗粉と混合される。
【0089】
アウトレットノズル20からアウトレットチャンバ41までの断面積の急激な拡大のため、微粉/ガス混合物の流速の実質的な減少が生じる。したがって、この混合物は、非常に低い流速でアウトレットチャンバ41を通じて微粉アウトレット管48を介して微粉アウトレット58に送られ、アウトレットチャンバ41の壁に少量のすり減らされた材料のみが生成される。このため、保護管57もまた非常に予防的な処置に過ぎない。良好な分離技術に関連する理由のための分級ホイール8の高い流速は、しかしまた、吐出ノズルまたはアウトレットノズル20において勝り、保護管56はしたがって保護管57よりもより重要である。特に好ましくは、直径の急激な変化はアウトレットノズル20からアウトレットチャンバ41への移行において増加する。
【0090】
空気分級器7は、一方で、記載のような分級器ケーシング21の区画化および分級器構成要素と個々のケーシング部分とのつながりによって容易にメンテナンス可能であり、損傷した構成要素は比較的簡単に、短いメンテナンス時間で交換可能である。
【0091】
2つのカバーディスク32および33とこれらの間に配置されたブレードリング59とを有し、ブレード34を有する分級ホイール8が、図4および2の概略図中に、平行表面を有する平行なカバーディスク32および33を備えた既知の通常の形状において記載されており、分級ホイール8が有利な他の開発された空気分級器7の他の実施例について図5および3に示されている。
【0092】
図5および3に記載の分級ホイール8は、ブレード34を有するブレードリング59に加え、上部カバーディスク32およびそれから軸方向に離間して流出側に位置する下部カバーディスク33を備え、回転軸40すなわち分級器7の長手方向軸の周りに回転可能である。分級ホイール8の直径は、回転軸40すなわち分級器7の長手方向軸が垂直か水平かにかかわらず、回転軸40すなわち分級器7の長手方向軸に垂直である。流出側の下部カバーディスク33はアウトレットノズル20を同軸状に囲んでいる。ブレード34は2つのカバーディスク33および32に接続されている。2つのカバーディスク33および32はここでは従来技術と比べて円錐状であり、好ましくは、上部カバーディスク32の流出側におけるカバーディスク33からの距離は、ブレード34のリング59から内側、すなわち回転軸40に向かって増大し、好ましくは連続的に、たとえば、線形または非線型に増加し、より好ましくはこれにより、これを通じてフローが生じるシリンダジャケットの領域はブレードアウトレットエッジおよびアウトレットノズル20の間のすべての半径についてほぼ一定である。既知の方法における半径の減少によって減少する流出速度は、この方法において少なくともほぼ一定に維持される。
【0093】
上述のおよび図5および3で説明した上部カバーディスク32および下部カバーディスク33の設計の変形例の他に、これらの2つのうちの一方のカバーディスク32または33のみについて、上述のように円錐状にし、他方のカバーディスク32または33について平坦とし、両方のカバーディスク32および33は図4に記載の実施例に関連する場合のようにすることも可能である。特に、平坦面を有しないカバーディスクの形状は、これを通してフローが生じるシリンダジャケットの領域がブレードアウトレットエッジとアウトレットノズル20との間のすべての半径について少なくともほぼ一定に維持されるようなものであってよい。
【0094】
特に好ましくは、粉砕ノズルの直径は2乃至11mmであり、ノズルタイプはラバルであり、ノズルの数は3乃至5個であり、ミル内圧は0.8乃至1.5バール(絶対圧)であり、粉砕媒体のエントリ圧力は12乃至300バール(絶対圧)であり、粉砕媒体のエントリ温度は190℃乃至600℃であり、粉砕媒体の出口温度は105乃至250℃であり、分級器速度は100乃至6000分−1であり、アウトレットポート直径(管の直径)は100乃至500mmである。
【0095】
基本化合物としての沈降シリカの他に、断熱材料はオパシファイア材料をさらに含んでいても良い。オパシファイア材料は、カーボンブラック、酸化鉄、鉄チタン酸化物、チタン酸化物、チタン二酸化物、ジルコニウムケイ酸塩、ジルコニウム酸化物、炭化ケイ素およびこれらの混合物から選択可能である。カーボンブラックが選択可能であり、これには、ランプブラック、ファーネスブラック、ガスブラックおよび/またはサーマルブラックが含まれる。カーボンブラックのBET比表面積は、好ましくは10乃至400m/g、より好ましくは20乃至200m/gである。
【0096】
特別な実施形態では、本発明にかかる断熱材料は、70重量%のオパシファイア材料を含んでよい。好ましくは、断熱材料は、断熱材料に対して5乃至70重量%のオパシファイア材料を含む。
【0097】
本発明の別の実施形態では、断熱材料は、70g/l以下の修正タップ密度を有する沈降シリカ以外の粒子絶縁フィルタを含む。粒子絶縁フィルタ材料は、バーミキュライト、パーライト、フライアッシュ、揮発シリカ、ヒュームドシリカ、沈降シリカおよびこれらの混合物から選択可能である。粒子絶縁フィルタ材料の量は、断熱材料に対して0乃至50重量%である。
【0098】
本発明の他の実施形態では、断熱材料はバインダ材料を含む。これは、たとえばポリビニルアルコールまたはポリウレタンのいずれかの有機バインダであってよく、たとえばケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、オルトリン酸アルミニウムおよびこれらの混合物から選択される無機バインダであってよい。バインダ材料の量は、断熱材料に対して0乃至70重量%である。
【0099】
好ましくは、本発明にかかる断熱材料は、平均温度300Kにおける0.05W/mK未満、より好ましくは0.001乃至0.02W/mKの熱伝導性を、減圧下すなわち、0.01乃至100ミリバールで示す。
【0100】
本発明のさらなる目的は、緩く充填された(loose filled)断熱材、シート、またはブロック、たとえば、管毎の(pipe-in-pipe)断熱たとえば廃棄管システム、炉のキャビティ、ダブルスキンライニング、アーチルーフ上の領域、開放継ぎ手および炉底部および炉床のレベリングのための、真空分離系としての当該断熱材料の使用である。
【実施例】
【0101】
本発明の断熱材料に用いられる沈降シリカの物理/化学的データを以下の方法で調べた。
【0102】
BET比表面積は、以下のISO9277に従って決定した。BET手順に従って、シリカおよびケイ酸塩の特定のN2比表面積を求めた。個々に記載する方法によって、十分に定義された分圧での窒素の低温吸収により測定値を求めた。分析は、複数点測定として行われ、線形のグラフにおいて5点を調べる0.05乃至0.2の分圧範囲(p/p0)で示した。
【0103】
乾燥減量(LOD)は以下のISO787−2に従って求めた:栓を外した秤量びんを炉中、105℃で少なくとも1時間加熱した。デシケータ中で冷却し、栓を入れた後、(少なくとも)0.01gに近い精度バランスまで秤量した。10+1gのサンプルを秤量びんの底に均一な層で拡げた。栓を再び入れ、充填した秤量びんを0.01gの精度で秤量した(msp)。秤量びんを注意深く開け、(取り外した)栓とともに炉内で105+2℃で2時間加熱した。その後、秤量びんをゆっくりと栓で閉じ、デシケータ中で冷却させた。秤量びんを0.01gの精度で秤量した(mLOD)。試験結果は小数点以下1桁で求めた。0.1%未満の値は、「<0.1」とした。
LOD[重量%]=(msp−mLOD)×10/msp。msp=オリジナルのサンプル重量[g]、mLOD=乾燥減量後の残渣の重量[g]。
【0104】
強熱減量(LOI)の決定:シリカのオリジナルサンプル材料1gを、秤量した白金るつぼ中で正確に秤量し、1000℃で2時間加熱した。デシケータ中、Pの存在下で冷却後、るつぼを再び秤量した。強熱減量後の重量(mLOI)を計算した。強熱減量(LOI)は、以下の式で与えられる:LOI[重量%]=[(msp−mLOI)/msp]×100。msp=オリジナルのサンプル重量[g]、mLOI=強熱減量後のサンプル重量[g]。
【0105】
修正タップ密度の決定
DIN EN ISO787−11の「従来の」タップ密度の決定でもって、シリカが既にたとえばパッキングの過程で予備的な圧縮が行われているという事実により、結果は妥当なものではない可能性がある。これを排除するため、本発明のシリカについて「修正タップ密度」を求めた。環状フィルタ(たとえば、タイプ598、Schleicher&Schull)に合った陶器の吸込フィルタ(通常サイズ110、直径12cm、高さ5.5cm)にシリカを上端から1cmほどまでに緩く充填し、可塑性フィルム(Parafilm(登録商標))で覆った。可塑性フィルムの形状およびサイズは、陶器吸引フィルタユニットの端部でもってフラッシングがほとんどまたは完全に終わるように選択した。このユニットは吸込びんに取り付けられ、−0.7バールの減圧を5分間かけた。この操作の過程で、シリカは吸い込みの下、フィルムによって均一に圧縮された。その後、再び空気を注意深く入れ、フィルタユニットを強く傾けて陶器皿に得られたシリカプラックを取り出した。
【0106】
わずかに予備的に粉砕された材料を、内部回収皿を有する遠心ミル(ZM1、Retsch、0.5mmスクリーンインサート、速度設定1、サイクロン無し、内部漏斗挿入無し)により均一に(シリカ/空気エアロゾルのやり方で)再分散させた(シリカ(出発材料)を(一へらずつ)ゆっくりとミルの供給路に導入した。内部の生成物回収皿が決して満杯にならないようにした)。この操作の間、ミルの電力消費は3アンペアをこえないようにした。この操作は(たとえば、空気ジェットミルで粉砕されたシリカの)シリカ構造の定義された弛緩化(loosening)よりも従来的な粉砕とより異なるものであった。というのも、ここでのエネルギー入力はジェットミルを用いる場合よりも実質的に低いものだったからである。得られた材料5gを0.1gの精度で振とう容積計(Engelsmann製STAV2003)の250ml体積シリンダに量り出した。DIN ISO787−11に基づく方法で、1250回振とうさせた後、シリカの最終的な体積を目盛りでmlの単位で読み取った。
【0107】
シラノール基密度の決定:最初にシリカサンプルの含水率を「含水率または乾燥減量の決定」の項に従って決定した。その後、2乃至4gのサンプル(1mg精度)を圧力測定手段を取り付けた気密ガラス装置(滴下漏斗付きガラスフラスコ)に移した。この装置中で、サンプルを減圧下(<1hPa)、120℃で1時間乾燥させた。その後、室温で、約40mlのLiAlHの脱気2%強度ジグリム溶液を滴下漏斗から滴下した。適切であれば、圧力上昇が見られなくなるまでさらに溶液を滴下した。LiAlHがシリカのシラノール基と反応した水素発生の結果としての圧力上昇を、(測定前の装置の較正の結果として得られた体積とともに)圧力測定によって1hPa以下の精度まで求めた。圧力の上昇から、気体の一般式を用いた計算によって、シリカの含水率を考慮して、シリカのシラノール基濃度を得る作業が可能であった。溶媒の蒸気圧の影響を対応して修正する必要がある。シラノール基密度は以下のように計算した:
シラノール基密度=シラノール基濃度/BET比表面積
【0108】
シアーズ数の決定:
修正シアーズ数(以下ではシアーズ数V2)はフリーなシラノール基の数の測定であり、pH6乃至9の水酸化カリウム溶液でのシリカの滴定によって求めることができる。決定方法は、以下の化学反応に基づいた。ここで、≡SiOHはシリカのシラノール基を示す。
≡SiOH + NaCl −> ≡SiONa + HCl
HCl + KOH −> KCl + H
【0109】
方法
水分レベルが5±1%の、微粉、球状または粒状のシリカ10.00gを、IKA(登録商標) M20汎用ミル(550W、20000rpm)を用いて60秒間均一に粉砕した。適切であれば、出発物質の含水率は乾燥棚における105℃での乾燥または均一な含水処理によって調整する必要があり、粉砕プロセスは繰り返した。得られた処理シリカ2.50gを室温で250ml滴下容器に量り出し、メタノール(分析等級)60.0mlと混合した。試料を完全に濡らした後、脱イオン水40.0mlを加え、Ultra−Turrax T25撹拌機(KV−18G攪拌シャフト、直径18mm)を用いて18000rpmの回転速度で30秒間分散させた。脱イオン水100mlを、容器の端および攪拌機に付着した試料粒子のフラッシングに用いて懸濁させ、混合物の温度はサーモスタット付きの水浴中で25℃に制御した。
【0110】
pH測定装置(Knick製766 Calimatic pHメータ(温度センサ付))およびpH電極(Schott(登録商標)N7680コンビネーション電極)を、バッファ溶液(pH7.00および9.00)を用いて室温で較正した。pHメータは25℃での懸濁液の開始pH値の測定にまず用いた。次いで、結果に基づいて、水酸化カリウム溶液(0.1mol/l)または塩酸溶液(0.1mol/l)を用いてpH値を6.00に調整した。動的滴定法を以下のパラメタともに選択した:逐次滴下量Vmin=0.05ml乃至Vmax=1.0ml;滴下の間の待機時間tmin=2.0秒乃至tmax=20.0秒。pH6.00までのKOH溶液またはHCl溶液の消費量(ml)はV1’であった。塩化ナトリウム溶液20.0ml(NaCl(分析等級)250.0gを脱イオン水で1lとしたもの)をその後添加した。次いで、0.1mol/lのKOHを用いてpH9.00まで滴定した。KOH溶液の消費量(ml)をV2’とした。体積V1’と体積V2’をまず、理論的な開始重量1gに標準化し、5倍して、単位ml/(5g)のV1およびシアーズ数V2を得た。
【0111】
pHの決定:沈降シリカのpHを、5重量%の水性懸濁液として、室温でDIN EN ISO787−9に基づく方法で求めた。上述の標準の詳細と比して、初期量を変えた(脱イオン水100mlにシリカ5.00g)。
【0112】
レーザ回折による粒径分布の決定:粒径分布をレーザ回折装置(堀場製作所、LA−920)でレーザ回折の原理に従って求めた。最初に、150mlのガラスビーカ(直径6mm)において分散添加剤を加えずに、シリカサンプルを100mlの水に分散させて、1重量%の重量分のSiOを有する分散液を得た。この分散液を超音波プローブ(Hielshcer博士、UP400s、Sonotrobe H7)を用いて、継続時間5分で強く(300W、パルス無し)分散させた。この目的のため、超音波プローブは、その下端がガラスビーカの底面の上約1cmで浸漬されるように取り付けた。分散操作の直後に、レーザ回折メータ(LA−920)を用いて、超音波をかけた分散液のサンプルの粒径分布を求めた。評価のため、堀場製作所製LA−920に添付の標準ソフトウェアを用いて、屈折率1.09を選択した。全ての測定は室温で行った。粒径分布および粒径d50やd90などの関連する計量値は装置によって自動的に計算されてグラフの形で表示された。操作マニュアルの記載に注意が必要である。
【0113】
実施例1:
市販の沈降シリカSipernat(登録商標)160(Evonik DegussaGmbH製、物理化学的データは表1参照。)について、スチーム作動型の流動層カウンタジェットミルでの、加圧下の超微細粉砕を行った。粉砕システム(ミル)の詳細および用いた粉砕方法の詳細は上記の詳細な説明において示している。
【0114】
過熱スチームを用いる実際の粉砕のための準備では、図2および3に記載の一体型ダイナミック空気分級器を有する図1に記載の流動層カウンタジェットミルを、2つの加熱開口またはノズル5a(そのうちの1つを図1に示す)を介してまず加熱し、これらは、ミルの出口温度が約105℃となるまで、10バール、160℃の加熱圧縮空気を供給した。
【0115】
微粉の分離のため、フィルタシステムはミルの下流と接続され(図1には示されていないが)、そのフィルタケーシングは下方1/3に、取り付けられた加熱コイルを介して、6バールの飽和スチームにより、同様に凝縮を防ぐために間接的に加熱する。ミルの領域、分離フィルタ並びにスチームおよび加熱圧縮空気の供給ラインの全ての装置表面は、特別な断熱を有している。
【0116】
加熱温度に達した後、加熱圧縮ガスの加熱ノズルへの供給は停止され、3つの粉砕ノズルの、過熱スチームからなる粉砕媒体での供給が開始される。
【0117】
分離フィルタに用いられるフィルタ手段を保護するため、そして、粉砕材料中の残留水分の定義されたレベルへの設定のために(表1参照)、水が開始段階および粉砕中において、ミルの粉砕チャンバに、圧縮ガスで動作される2流体ノズルを介して、ミルの出口温度に基づいて、導入される。粉砕の構成の詳細を、表2に示す。
【0118】
生成物の供給は、上述の動作パラメタが一定のときに開始される。供給量は、分級器エンジンの電流に基づいて制御される。電流は、公称電流の約70%を超えることができないように供給量を調整する。
【0119】
ここで機能する導入手段(4)は、溜め容器から、気圧終点として機能する周期的ロックを用いて、加圧された粉砕チャンバへの供給材料を計量して供給する速度調整型バケットホイールである。
【0120】
粗粉は膨張性スチームジェット気流(粉砕ガス)において粉砕される。減圧粉砕ガスとともに、生成物粒子は、ミル容器の中心において分級ホイールへと上昇する。設定された分級器速度および粉砕スチーム量に基づいて、その細度が十分な粒子が粉砕スチームとともに微粉出口へと至り、そこから下流の分離系へ通され、一方で、粗すぎる粒子は粉砕領域へと戻され、繰り返して粉砕される。分離された微粉の分離フィルタからそれに続くサイロ溜めへの吐出およびバギング動作は、バケットホイールロックによって行われる。
【0121】
粉砕ノズルで得られる粉砕ガスの粉砕圧力および、粉砕ガスの得られる量は、ダイナミックパドルホイール分級器の速度とともに、粒径分布関数の細度および粒径の上限を決定する。
【0122】
材料は表3のd50値およびd90値に定義される粒径まで粉砕される。
【0123】
表1:Sipernat(登録商標)160の物理化学的データ
【表1】

【0124】
表2:動作パラメタ
【表2】

【0125】
表3:沈降シリカの物理化学的データ(実施例1)
【表3】

【0126】
実施例2:
断熱材料1:実施例1の沈降シリカ90重量部を、カーボンブラックF101(Evonil Degussa製)10重量部と混合した。断熱材料1の密度は146.2(kg/m)である。
【0127】
断熱材料2:実施例1の沈降シリカ80重量部を、カーボンブラックF101(Evonil Degussa製)20重量部と混合した。断熱材料2の密度は158(kg/m)である。
【0128】
断熱材料3(比較例):ヒュームドシリカAerosil(登録商標)300(Evonil Degussa製)90重量部を、カーボンブラックF101(Evonil Degussa製)10重量部と混合した。断熱材料3の密度は126(kg/m)である。
【0129】
図6は、外部圧1047ミリバールでの減圧下(pガス<10−3hPa)における、断熱材料1乃至3の温度(K)に対する熱伝導性(W/mK)を示す。沈降シリカを有する断熱材料1(黒四角)および2(白四角)の熱伝導性が、断熱材料3を有する断熱材料3(黒丸)により得られるものに比肩しうることが明らかである。沈降シリカの価格がより低いことを考慮すれば、本発明の断熱材料は、ヒュームドシリカに基づく断熱材料の代替となる。
【符号の説明】
【0130】
1 ジェットミル、 2 シリンダ状ケーシング、 3 粉砕チャンバ、 4 粉砕原料の供給路、 5 粉砕ジェットインレット、 5a 加熱開口またはノズル、 6 生成物アウトレット、 7 空気分級器、 8 分級ホイール、 9 インレット開口またはインレットノズル、 10 粉砕ジェット気流、 11、12 熱源、 13 供給管、 14 断熱ジャケット、 15 インレット、 16 アウトレット、 18 溜めまたは生成手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
70g/l以下の修正タップ密度を有する、ことを特徴とする沈降シリカを含む断熱材料。
【請求項2】
前記沈降シリカは、
a)150乃至2000nmのd50値、
b)500乃至7000nmのd90値、および
c)2.5乃至8OH/nmのシラノール基密度
を有する、請求項1記載の断熱材料。
【請求項3】
前記沈降シリカのBET比表面積は、100乃至350m/gである、請求項1または2記載の断熱材料。
【請求項4】
前記沈降シリカの乾燥減量は1.5乃至8重量%であり、および/または、前記沈降シリカの強熱減量は1.5乃至9重量%である、請求項1乃至3のいずれか1項記載の断熱材料。
【請求項5】
前記沈降シリカのpH値は4乃至9である、請求項1乃至4のいずれか1項記載の断熱材料。
【請求項6】
前記断熱材料に対して30乃至100重量%の前記沈降シリカを含む、請求項1乃至5のいずれか1項記載の断熱材料。
【請求項7】
オパシファイア材料をさらに含む、請求項1乃至6のいずれか1項記載の断熱材料。
【請求項8】
前記オパシファイア材料の量は、前記断熱材料に対して0乃至70重量%である、請求項7記載の断熱材料。
【請求項9】
粒子絶縁フィルタ材料をさらに含む、請求項1乃至8のいずれか1項記載の断熱材料。
【請求項10】
前記粒子絶縁フィルタ材料の量は、前記断熱材料に対して0乃至70重量%である、請求項9記載の断熱材料。
【請求項11】
バインダ材料をさらに含む、請求項1乃至10のいずれか1項記載の断熱材料。
【請求項12】
前記バインダ材料の量は、前記断熱材料に対して0乃至70重量%である、請求項11記載の断熱材料。
【請求項13】
平均温度300Kにおける熱伝導性は、減圧下において0.05W/mKである、請求項1乃至12のいずれか1項記載の断熱材料。
【請求項14】
吹き込み断熱材、シートもしくはブロックとしての、または、真空断熱系における請求項1乃至13のいずれか1項記載の断熱材料の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−518127(P2012−518127A)
【公表日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−549500(P2011−549500)
【出願日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際出願番号】PCT/EP2010/050678
【国際公開番号】WO2010/091921
【国際公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】