説明

沸騰水型原子炉の初装荷炉心および沸騰水型原子炉の運転方法

【課題】単位装荷ユニットを配列した領域を有する初装荷炉心の径方向出力ピーキングを低減し、熱的特性を向上させる。
【解決手段】沸騰水型原子炉の初装荷炉心11は、1体の低濃縮燃料集合体3およびその低濃縮燃料集合体よりも核分裂性物質の含有量が大きい3体の高濃縮燃料集合体1,2が4本の制御棒21に囲まれるように配列された単位装荷ユニット75を、各単位装荷ユニット75に含まれる低濃縮燃料集合体3が互いに隣り合うように配置した単位装荷ユニット配置領域を備え、その単位装荷ユニット配置領域の内部には中央領域71と、中央領域71よりも径方向の外側に形成され、単位装荷ユニット75あたりの平均核分裂性物質の含有量が中央領域71に比べて大きい中間領域72と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、沸騰水型原子炉の初装荷炉心および運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原子炉は、中性子が核分裂性物質に吸収されて核分裂が起こり、その際にエネルギーとともに放出される中性子が次の核分裂を引き起こすという連鎖反応により、エネルギーを出し続けている。この連鎖反応が平衡にある状態を臨界といい、一定の出力で運転される原子炉はこの状態を保ち続けている。また、連鎖反応が増大していく状態を臨界超過といい、逆に減少していく状態を未臨界という。
【0003】
原子炉は、たとえば1年程度の所定の期間にわたって燃料の補給なしに運転し続けねばならないために、炉心内には臨界維持に必要な量よりも多い核分裂性物質が装荷されている。したがって、所定の運転期間の途中までの期間では、原子炉は、制御材なしには臨界超過になる。
【0004】
この超過した反応度を余剰反応度といい、余剰反応度を運転期間を通じて適切に制御することが重要である。余剰反応度を運転期間を通じて制御する技術としては、可燃性毒物を燃料中に混入するものがよく知られている。可燃性毒物とは、運転期間を通じて徐々に燃焼しその物質量が減少していく中性子吸収材のことで、核燃料物質に混ぜて使用されるガドリニアなどが知られている。
【0005】
可燃性毒物を含有する燃料集合体の無限増倍率は、燃焼に伴って一旦上昇した後、減少していく。一般に、可燃性毒物を含有する燃料棒の本数が増加すれば、燃焼初期での無限増倍率が低下する。また、可燃性毒物の濃度を増加させれば、可燃性毒物が燃え尽きる時期を遅らせることができるため、無限増倍率の最大値を抑えることが可能になる。このため、可燃性毒物の混入濃度とそれが混入した燃料棒の本数の組み合わせにより、余剰反応度を適切に制御することができる。
【0006】
初装荷炉心では、装荷された燃料集合体の一部が第1サイクルの運転終了後に取り出され、新しい取替燃料集合体と交換される。第1サイクルで取り出される燃料集合体は他の燃料集合体に比べて燃焼度が低く、発生エネルギーが少ない。このため、第1サイクルで取り出される燃料集合体の体数が少ないほど、燃料経済性が高くなる。
【0007】
しかし、燃料経済性を向上させるために、単に炉心平均濃縮度を高めると、最小限界出力比や最大線出力密度などの熱的特性が悪化し、原子炉の安全性を損なう場合がある。そこで、核分裂性物質の有効活用を図るために、炉内滞在期間に応じてウラン濃縮度を変えた複数の燃料集合体を用いる初装荷炉心が知られている。
【0008】
たとえば特許文献1には、2行2列の4体の燃料集合体からなる単位装荷ユニットを規則的に配置した初装荷炉心が開示されている。この単位装荷ユニットは、低濃縮燃料1体と高濃縮燃料3体とからなり、4つの単位装荷ユニットに含まれる低濃縮燃料4が隣接してコントロールセルを形成するように配置される。また、単位装荷ユニットに含まれる高濃縮燃料の低濃縮燃料に面する側にガドリニア入り燃料棒が多く位置するように、ガドリニア入り燃料棒を偏在させている。このような燃料棒の配置とすることにより、スペクトルミスマッチ効果による熱的特性の悪化を抑制している。
【特許文献1】特許第3186546号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、単位装荷ユニットを規則的に配置した炉心の場合、炉心中央に近いほど中性子の漏れが小さいため、径方向出力ピーキングは高くなる傾向がある。このため、炉心の中央付近で熱的特性が悪化し、熱的制限値を満足できないおそれがある。
【0010】
そこで本発明は、単位装荷ユニットを配列した領域を有する初装荷炉心の径方向出力ピーキングを低減し、熱的特性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の目的を達成するため、本発明は、1本の制御棒が鉛直方向に挿入可能な制御棒挿入部を囲み鉛直方向に延びる4体の正四角筒状の燃料集合体からなるセルを正方格子状に配列した領域を含み鉛直方向に延びるほぼ円筒形の領域に前記燃料集合体を正方格子状に配列した炉心であって、前記燃料集合体のうち低濃縮燃料集合体1体およびその低濃縮燃料集合体よりも核分裂性物質の含有量が大きい高濃縮燃料集合体3体が4箇所の前記制御棒挿入部に囲まれる2行2列に配列した単位装荷ユニットを各単位装荷ユニットに含まれる前記低濃縮燃料集合体が互いに隣り合うように配置した単位装荷ユニット配置領域を備えた沸騰水型原子炉の初装荷炉心において、前記単位装荷ユニット配置領域の内部に形成された中央領域と、前記単位装荷ユニット配置領域の内部に前記中央領域よりも径方向の外側に形成され、前記単位装荷ユニットあたりの平均核分裂性物質の含有量が前記中央領域に比べて大きい中間領域と、を有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、1本の制御棒が鉛直方向に挿入可能な制御棒挿入部を囲み鉛直方向に延びる4体の正四角筒状の燃料集合体からなるセルを正方格子状に配列した領域を含み鉛直方向に延びるほぼ円筒形の領域に前記燃料集合体を正方格子状に配列した炉心であって、前記燃料集合体のうち低濃縮燃料集合体1体およびその低濃縮燃料集合体よりも核分裂性物質の含有量が大きい高濃縮燃料集合体3体が4箇所の前記制御棒挿入部に囲まれる2行2列に配列した単位装荷ユニットを各単位装荷ユニットに含まれる前記低濃縮燃料集合体が互いに隣り合うように配置した単位装荷ユニット配置領域を備えた沸騰水型原子炉の初装荷炉心において、前記単位装荷ユニット配置領域の内部に形成された中央領域と、前記単位装荷ユニット配置領域の内部に前記中央領域よりも径方向の外側に形成され、前記単位装荷ユニットあたりの平均可燃性毒物量の含有量が前記中央領域に比べて小さい中間領域と、を有することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、1本の制御棒が鉛直方向に挿入可能な制御棒挿入部を囲み鉛直方向に延びる4体の正四角筒状の燃料集合体からなるセルを正方格子状に配列した領域を含み鉛直方向に延びるほぼ円筒形の領域に前記燃料集合体を正方格子状に配列した炉心であって、前記燃料集合体のうち低濃縮燃料集合体1体およびその低濃縮燃料集合体よりも核分裂性物質の含有量が大きい高濃縮燃料集合体3体が4箇所の前記制御棒挿入部に囲まれる2行2列に配列した単位装荷ユニットを各単位装荷ユニットに含まれる前記低濃縮燃料集合体が互いに隣り合うように配置した単位装荷ユニット配置領域を備えた沸騰水型原子炉の初装荷炉心において、2行2列に配列された4体の前記低濃縮燃料集合体からなる第1のコントロールセルと、2行2列に配列された4体の前記低濃縮燃料集合体からなり、それらの低濃縮燃料集合体を含む前記単位装荷ユニットを構成する前記燃料集合体の核分裂性物質の含有量の総和が、前記第1のコントロールセルの低濃縮燃料集合体を含む前記単位装荷ユニットを構成する前記燃料集合体の核分裂性物質の含有量の総和に比べて小さい第2のコントロールセルと、を有することを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、1本の制御棒が鉛直方向に挿入可能な制御棒挿入部を囲み鉛直方向に延びる4体の正四角筒状の燃料集合体からなるセルを正方格子状に配列した領域を含み鉛直方向に延びるほぼ円筒形の領域に前記燃料集合体を正方格子状に配列した炉心であって、前記燃料集合体のうち低濃縮燃料集合体1体およびその低濃縮燃料集合体よりも核分裂性物質の含有量が大きい高濃縮燃料集合体3体が4箇所の前記制御棒挿入部に囲まれる2行2列に配列した単位装荷ユニットを各単位装荷ユニットに含まれる前記低濃縮燃料集合体が互いに隣り合うように配置した単位装荷ユニット配置領域を備えた沸騰水型原子炉の初装荷炉心において、2行2列に配列された4体の前記低濃縮燃料集合体からなる第1のコントロールセルと、2行2列に配列された4体の前記低濃縮燃料集合体からなり、それらの低濃縮燃料集合体を含む前記単位装荷ユニットを構成する前記燃料集合体の可燃性毒物の含有量の総和が、前記第1のコントロールセルの低濃縮燃料集合体を含む前記単位装荷ユニットを構成する前記燃料集合体の可燃性毒物の含有量の総和に比べて大きい第2のコントロールセルと、を有することを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、1本の制御棒が鉛直方向に挿入可能な制御棒挿入部を囲み鉛直方向に延びる4体の正四角筒状の燃料集合体からなるセルを正方格子状に配列した領域を含み鉛直方向に延びるほぼ円筒形の領域に前記燃料集合体を正方格子状に配列した炉心であって、前記燃料集合体のうち低濃縮燃料集合体1体およびその低濃縮燃料集合体よりも核分裂性物質の含有量が大きい高濃縮燃料集合体3体が4箇所の前記制御棒挿入部に囲まれる2行2列に配列した単位装荷ユニットを各単位装荷ユニットに含まれる前記低濃縮燃料集合体が互いに隣り合うように配置した単位装荷ユニット配置領域を備え、前記単位装荷ユニット配置領域の内部に形成された中央領域と、前記単位装荷ユニット配置領域の内部に前記中央領域よりも径方向の外側に形成され、前記単位装荷ユニットあたりの平均核分裂性物質の含有量が前記中央領域に比べて大きい中間領域と、が形成された初装荷炉心を備えた沸騰水型原子炉の運転方法において、2行2列に配列された4体の前記低濃縮燃料集合体からなるコントロールセルで囲まれる前記制御棒挿入部に挿入される前記制御棒を原子炉の制御に用いることを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、1本の制御棒が鉛直方向に挿入可能な制御棒挿入部を囲み鉛直方向に延びる4体の正四角筒状の燃料集合体からなるセルを正方格子状に配列した領域を含み鉛直方向に延びるほぼ円筒形の領域に前記燃料集合体を正方格子状に配列した炉心であって、前記燃料集合体のうち低濃縮燃料集合体1体およびその低濃縮燃料集合体よりも核分裂性物質の含有量が大きい高濃縮燃料集合体3体が4箇所の前記制御棒挿入部に囲まれる2行2列に配列した単位装荷ユニットを各単位装荷ユニットに含まれる前記低濃縮燃料集合体が互いに隣り合うように配置した単位装荷ユニット配置領域を備え、前記単位装荷ユニット配置領域の内部に形成された中央領域と、前記単位装荷ユニット配置領域の内部に前記中央領域よりも径方向の外側に形成され、前記単位装荷ユニットあたりの平均可燃性毒物量の含有量が前記中央領域に比べて小さい中間領域と、が形成された初装荷炉心を備えた沸騰水型原子炉の運転方法において、2行2列に配列された4体の前記低濃縮燃料集合体からなるコントロールセルで囲まれる前記制御棒挿入部に挿入される前記制御棒を原子炉の制御に用いることを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、1本の制御棒が鉛直方向に挿入可能な制御棒挿入部を囲み鉛直方向に延びる4体の正四角筒状の燃料集合体からなるセルを正方格子状に配列した領域を含み鉛直方向に延びるほぼ円筒形の領域に前記燃料集合体を正方格子状に配列した炉心であって、前記燃料集合体のうち低濃縮燃料集合体1体およびその低濃縮燃料集合体よりも核分裂性物質の含有量が大きい高濃縮燃料集合体3体が4箇所の前記制御棒挿入部に囲まれる2行2列に配列した単位装荷ユニットを各単位装荷ユニットに含まれる前記低濃縮燃料集合体が互いに隣り合うように配置した単位装荷ユニット配置領域を備え、2行2列に配列された4体の前記低濃縮燃料集合体からなる第1のコントロールセルと、2行2列に配列された4体の前記低濃縮燃料集合体からなり、それらの低濃縮燃料集合体を含む前記単位装荷ユニットを構成する前記燃料集合体の核分裂性物質の含有量の総和が、前記第1のコントロールセルの低濃縮燃料集合体を含む前記単位装荷ユニットを構成する前記燃料集合体の核分裂性物質の含有量の総和に比べて小さい第2のコントロールセルと、が形成された初装荷炉心を備えた沸騰水型原子炉の運転方法において、前記第1のコントロールセルで囲まれる前記制御棒挿入部に挿入される前記制御棒を原子炉の制御に用いる第1の工程と、第1の工程よりも後に、前記第2のコントロールセルで囲まれる前記制御棒挿入部に挿入される前記制御棒を原子炉の制御に用いる第2の工程と、を有することを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、1本の制御棒が鉛直方向に挿入可能な制御棒挿入部を囲み鉛直方向に延びる4体の正四角筒状の燃料集合体からなるセルを正方格子状に配列した領域を含み鉛直方向に延びるほぼ円筒形の領域に前記燃料集合体を正方格子状に配列した炉心であって、前記燃料集合体のうち低濃縮燃料集合体1体およびその低濃縮燃料集合体よりも核分裂性物質の含有量が大きい高濃縮燃料集合体3体が4箇所の前記制御棒挿入部に囲まれる2行2列に配列した単位装荷ユニットを各単位装荷ユニットに含まれる前記低濃縮燃料集合体が互いに隣り合うように配置した単位装荷ユニット配置領域を備え、2行2列に配列された4体の前記低濃縮燃料集合体からなる第1のコントロールセルと、2行2列に配列された4体の前記低濃縮燃料集合体からなり、それらの低濃縮燃料集合体を含む前記単位装荷ユニットを構成する前記燃料集合体の可燃性毒物の含有量の総和が、前記第1のコントロールセルの低濃縮燃料集合体を含む前記単位装荷ユニットを構成する前記燃料集合体の可燃性毒物の含有量の総和に比べて大きい第2のコントロールセルと、が形成された初装荷炉心を備えた沸騰水型原子炉の運転方法において、前記第1のコントロールセルで囲まれる前記制御棒挿入部に挿入される前記制御棒を原子炉の制御に用いる第1の工程と、第1の工程よりも後に、前記第2のコントロールセルで囲まれる前記制御棒挿入部に挿入される前記制御棒を原子炉の制御に用いる第2の工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、単位装荷ユニットを配列した領域を有する初装荷炉心の径方向出力ピーキングを低減し、熱的特性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明に係る沸騰水型原子炉の炉心の実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、同一または類似の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0021】
[第1の実施の形態]
図2は、本発明に係る沸騰水型原子炉の炉心の第1の実施の形態における横断面(水平断面)図である。図3は、本実施の形態における燃料集合体の横断面図である。図2は、炉心の横断面の左上1/4を示した図であって、残りの部分は炉心の鉛直方向中心軸を対称軸とする図示した部分の回転対称となっている。なお、炉心全体が回転対称になっている必要はなく、鏡面対称であってもよいし、対称性がない炉心であってもよい。
【0022】
沸騰水型原子炉には、角筒状の燃料集合体26を配置する空間22が正方格子状に配列された領域10を有している。この領域10は、全体としてほぼ円筒形に形成されていて、燃料集合体26の軸は、その円筒の軸と同じ方向に向かっている。これらの空間22に燃料集合体26が配置されて、炉心を形成する。
【0023】
また、燃料集合体26を配置する空間22は、燃料集合体26よりも若干大きく、隣り合う4体の燃料集合体26の間に、制御棒21が挿入できるようになっている。なお、領域10の半径方向の外側の一部には、制御棒21と隣接しない燃料集合体26を配置する空間22も存在する。
【0024】
本実施の形態の炉心では、872体の燃料集合体26が装荷され、205本の制御棒21が配置される。
【0025】
燃料集合体26は、正方格子状に9行9列で配列された円筒状の燃料棒24、および、燃料棒24の配列の中央部分に配置された角筒状のウォータチャンネル25を有している。ウォータチャンネル25は、燃料棒24の3行3列の9本分の領域を占めている。燃料棒24およびウォータチャンネル25は、軸方向の両端に設けられたタイプレート(図示せず)および軸方向の数箇所に設けられたスペーサ(図示せず)で保持されている。燃料集合体26の外周は、角筒状のチャンネルボックス23で囲まれている。
【0026】
燃料棒24の内部には、ウラン235などの核分裂性物質が、たとえばウラン238などとともに円筒状に焼き固められたペレットとして収められている。各燃料棒24中のウラン235の濃縮度は、燃料棒24ごとに異なっていて、各燃料棒24に収められた核分裂性物質量も燃料棒24ごとに異なっている。なお、燃料棒24の軸方向に濃縮度が異なる領域を設けてもよい。
【0027】
図1は、本実施の形態における炉心の第1サイクルの燃料集合体の配置を示す1/4横断面図である。符号1,2,3はそれぞれ燃料集合体26の種類を示しており、同一の符号は、燃料棒24の配置が同一の燃料集合体を示している。
【0028】
第1サイクルの炉心11、すなわち初装荷炉心11は、3種類の燃料集合体1,2,3で構成されている。これらは、高濃縮高ガドリニア燃料集合体1、高濃縮低ガドリニア燃料集合体2、および、低濃縮燃料集合体3である。なお、高濃縮高ガドリニア燃料集合体1および高濃縮低ガドリニア燃料集合体2を、まとめて高濃縮燃料集合体1,2と呼ぶ。
【0029】
また、この炉心11は、中央領域71、中間領域72、外周領域73から構成されている。
【0030】
外周領域73には、高濃縮低ガドリニア燃料集合体2が配列されている。
【0031】
中央領域71および中間領域72には、コントロールセル74が形成されている。コントロールセル74とは、ある制御棒21を囲む4体の燃料集合体が全て低濃縮燃料集合体3である燃料集合体の組(セル)である。運転中の炉心の制御棒21による制御には、主としてコントロールセル74に位置する制御棒21を用いる。
【0032】
また、中央領域71および中間領域72は、正方格子状に配列された単位装荷ユニット75で構成されている。単位装荷ユニット75は、4本の制御棒21に囲まれる4体の燃料集合体1,2,3から構成されている。これらの4体の燃料集合体1,2,3は、1体の低濃縮燃料集合体3と、3体の高濃縮燃料集合体1,2である。したがって、単位装荷ユニット75には、高濃縮高ガドリニア燃料集合体1が、含まれないもの、1体含まれるもの、2体含まれるもの、および、3体含まれるものの4種類がある。
【0033】
図4は、高濃縮高ガドリニア燃料集合体1を3体含む単位装荷ユニット75の燃料棒の配置の例を示す横断面図である。図5は、高濃縮高ガドリニア燃料集合体1を1体含む単位装荷ユニット75の燃料棒の配置の例を示す横断面図である。
【0034】
図4および図5において、U1、U2、U3で示される位置はウラン燃料棒が配置され、Gで示される位置はガドリニア入り燃料棒が配置されることを示している。Wは、ウォータチャンネルの位置を示している。
【0035】
ウラン燃料棒とは、内部にガドリニアなどの可燃性毒物を含有しない燃料棒24のことであり、ガドリニア入り燃料棒とは、ガドリニアなどの可燃性毒物を核分裂性物質とともに含有する燃料棒24のことである。U1、U2、U3で示されるウラン燃料棒はそれぞれウラン235の濃縮度が異なり、U1で示されるウラン燃料棒の濃縮度が最も高く、U3で示される位置のウラン燃料棒の濃縮度が最も低い。U1で示されるウラン燃料棒の濃縮度は、たとえば4.9wt%である。
【0036】
中央領域71および中間領域72は、中央領域71に形成される全ての単位装荷ユニット75で平均したときの1つの単位装荷ユニット75あたりの高濃縮高ガドリニア燃料1の割合が、中間領域72に形成される全ての単位装荷ユニット75での平均に比べて大きくなるように形成されている。つまり、中央領域71に形成される単位装荷ユニット75には、高濃縮高ガドリニア燃料1が比較的多く含まれている。一方、中間領域に形成される単位装荷ユニット75には、高濃縮低ガドリニア燃料2が比較的多く含まれている。
【0037】
炉心の中心軸に近いほど中性子の漏れは小さいため、中央領域71および中間領域72の全ての単位装荷ユニット75において、高濃縮高ガドリニア燃料集合体1の割合を同じにすると、炉心の中心軸に近い領域で径方向出力ピーキングが大きくなる傾向にある。このような場合に炉心の中心軸に近い領域では、最大線出力密度や最小限界出力比などの熱的特性が悪化する場合がある。
【0038】
本実施の形態の炉心11では、炉心11の中央領域71において、高濃縮高ガドリニア燃料1の割合が多くなるように配置するため、径方向出力ピーキングを抑制することができ、熱的特性を改善することができる。
【0039】
また、高濃縮高ガドリニア燃料集合体1および高濃縮低ガドリニア燃料集合体2では、ともに、制御棒21に面する側と反対側にガドリニア入り燃料棒がより多く配置されている。したがって、全ての単位装荷ユニット75において、低濃縮燃料集合体3に面する側に、ガドリニア入り燃料棒が偏在している。このため、スペクトルミスマッチによる熱的特性の悪化を抑制することができる。
【0040】
[第2の実施の形態]
図6は、本発明に係る沸騰水型原子炉の炉心の第2の実施の形態における中央領域の単位装荷ユニットの燃料棒配置を示す横断面図である。
【0041】
本実施の形態の初装荷炉心は、第1の実施の形態の初装荷炉心11の中央領域71の高濃縮燃料集合体1,2の一部を、中濃縮燃料集合体4と置き換えたものである。
【0042】
中濃縮燃料集合体4は、たとえば低濃縮燃料集合体3と向かい合う面に位置する燃料棒24の濃縮度を、高濃縮燃料集合体1,2よりも低くしたものである。中濃縮燃料集合体4の集合体平均濃縮度は、高濃縮燃料集合体1,2よりも低く、低濃縮燃料集合体3よりも大きい。
【0043】
このように中濃縮燃料集合体4を、初装荷炉心11の中央領域71に配置することにより、中央領域71での径方向出力ピーキングを抑制することができ、熱的特性を改善することができる。
【0044】
また、低濃縮燃料集合体3に面する側に、比較的低い濃縮度の燃料棒が偏在しているため、スペクトルミスマッチによる熱的特性の悪化を抑制することができる。
【0045】
[第3の実施の形態]
図7は、本発明に係る沸騰水型原子炉の炉心の第3の実施の形態における炉心の第1サイクルの燃料集合体の配置を示す1/4横断面図である。
【0046】
本実施の形態の炉心12も、第1の実施の形態と同様に、中央領域71および中間領域72は、正方格子状に配列された単位装荷ユニット75(図1参照)によって形成されている。単位装荷ユニット75は、1体の低濃縮燃料集合体3と、3体の高濃縮燃料集合体1,2で構成されている。
【0047】
また、中央領域71および中間領域72には、第1の実施の形態と同様に、コントロールセル76,77が形成されている。コントロールセル76,77は、制御棒21を囲む4体の低濃縮燃料集合体3で構成されている。
【0048】
本実施の形態の炉心12には、2種類のコントロールセル76,77がある。第1のコントロールセル76は、そのセルを構成する低濃縮燃料集合体3と向かい合う位置に高濃縮低ガドリニア燃料2が配置されたセルである。第2のコントロールセル77は、そのセルを構成する低濃縮燃料集合体3と向かい合う位置に高濃縮高ガドリニア燃料1が配置されたセルである。
【0049】
このような炉心12が形成された沸騰水型原子炉の第1サイクルでは、起動して定常運転に至ったときには、まず第1のコントロールセル76に制御棒を挿入し、その制御棒を操作して原子炉を制御する。この第1のコントロールセル76にのみ制御棒を挿入して原子炉を制御する工程を第1の工程と呼ぶこととする。その後、第2のコントロールセル77に制御棒を挿入して、その制御棒を操作して原子炉を制御する。この第2のコントロールセル77に制御棒を挿入して原子炉を制御する工程を第2の工程と呼ぶこととする。第2の工程においては、第1のコントロールセル76の制御棒を操作してもよいし、第1のコントロールセル76の制御棒を全て引き抜いた状態としてもよい。
【0050】
中央領域71および中間領域72の全ての単位装荷ユニット75を同じ単位装荷ユニットとすると、運転中に制御棒を長期間挿入するか否かにかかわらず、コントロールセル76,77を構成する低濃縮燃料集合体3と向かい合う燃料集合体は、たとえば高濃縮高ガドリニア燃料1などの特定の燃料集合体26となる。しかし、制御棒21が挿入されているコントロールセル76,77の近傍では、制御棒21による出力抑制効果が大きく、熱的特性には余裕が大きい。
【0051】
本実施の形態では、第2のコントロールセル77を構成する低濃縮燃料集合体3と向かい合う位置には、高濃縮高ガドリニア燃料1が配置されている。このため、第1サイクルの初期において、第2のコントロールセル77に制御棒21が挿入されていない状態、すなわち第1の工程でも、第2のコントロールセル77の近傍では、ガドリニアによって熱出力が抑制され、熱的特性には余裕が大きい。
【0052】
また、第1のコントロールセル76を構成する低濃縮燃料集合体3と向かい合う位置には、高濃縮低ガドリニア燃料2が配置されている。第1サイクルの初期において、第1のコントロールセル76に制御棒21が挿入されている状態、すなわち第1の工程では、制御棒21による出力抑制効果が大きいため、その近傍でのガドリニア量は多くないが、熱的特性には余裕が大きい。
【0053】
このように、初装荷炉心12の第1サイクル目の初期において制御棒21が挿入される第1のコントロールセル76の周りの高濃縮燃料集合体を高濃縮低ガドリニア燃料集合体2とすることで、不必要なガドリニアの使用を回避し、中性子経済性を向上させている。
【0054】
また、第2のコントロールセル77の低濃縮燃料集合体3と向かい合う高濃縮高ガドリニア燃料集合体1の代わりに、第3の実施の形態における中濃縮燃料集合体4を用いてもよい。このようにして、初装荷炉心12の第1サイクル目の初期において制御棒21が装荷されない第2のコントロールセル77の周りの燃料集合体の濃縮度を下げることで、熱的制限値を満足させることもできる。このような場合、なるべく中濃縮燃料集合体4の体数を減らすことで、スペクトルミスマッチ効果による熱的特性の悪化を抑制するための炉心平均濃縮度の低下を避けることができる。
【0055】
なお、本発明は、上述の各実施の形態に限定されず、様々な形態で実施することができる。たとえば、上述の各実施の形態は、872体で構成される炉心について説明したが、これよりも小型あるいは大型の炉心であっても適用可能である。また、燃料集合体も9×9型燃料を用いて説明したが、他の型式の燃料、たとえば燃料棒が10行10列に配列された燃料などであってもよい。ウラン・プルトニウム混合酸化物燃料についても適用することができる。これらの燃料集合体が混在していてもよい。可燃性毒物としては、ガドリニアを例に説明しているが、エルビアなど他の可燃性毒物を使用してもよい。
【0056】
さらに、各実施の形態の特徴を組み合わせて実施することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明に係る沸騰水型原子炉の炉心の第1の実施の形態における炉心の第1サイクルの燃料集合体の配置を示す1/4横断面図である。
【図2】本発明に係る沸騰水型原子炉の炉心の第1の実施の形態における1/4横断面図である。
【図3】本発明に係る沸騰水型原子炉の炉心の第1の実施の形態における燃料集合体の横断面図である。
【図4】本発明に係る沸騰水型原子炉の炉心の第1の実施の形態における高濃縮高ガドリニア燃料集合体1を3体含む単位装荷ユニットの燃料棒の配置の例を示す横断面図である。
【図5】本発明に係る沸騰水型原子炉の炉心の第1の実施の形態における高濃縮高ガドリニア燃料集合体1を1体含む単位装荷ユニットの燃料棒の配置の例を示す横断面図である。
【図6】本発明に係る沸騰水型原子炉の炉心の第2の実施の形態における中央領域の単位装荷ユニットの燃料棒配置を示す横断面図である。
【図7】本発明に係る沸騰水型原子炉の炉心の第3の実施の形態における炉心の第1サイクルの燃料集合体の配置を示す1/4横断面図である。
【符号の説明】
【0058】
1,2,3,4…燃料集合体、11,12…第1サイクルの炉心(初装荷炉心)、21…制御棒、23…チャンネルボックス、24…燃料棒、25…ウォータチャンネル、26…燃料集合体、71…中央領域、72…中間領域、73…外周領域、74,76,77…コントロールセル、75…単位装荷ユニット、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1本の制御棒が鉛直方向に挿入可能な制御棒挿入部を囲み鉛直方向に延びる4体の正四角筒状の燃料集合体からなるセルを正方格子状に配列した領域を含み鉛直方向に延びるほぼ円筒形の領域に前記燃料集合体を正方格子状に配列した炉心であって、前記燃料集合体のうち低濃縮燃料集合体1体およびその低濃縮燃料集合体よりも核分裂性物質の含有量が大きい高濃縮燃料集合体3体が4箇所の前記制御棒挿入部に囲まれる2行2列に配列した単位装荷ユニットを各単位装荷ユニットに含まれる前記低濃縮燃料集合体が互いに隣り合うように配置した単位装荷ユニット配置領域を備えた沸騰水型原子炉の初装荷炉心において、
前記単位装荷ユニット配置領域の内部に形成された中央領域と、
前記単位装荷ユニット配置領域の内部に前記中央領域よりも径方向の外側に形成され、前記単位装荷ユニットあたりの平均核分裂性物質の含有量が前記中央領域に比べて大きい中間領域と、
を有することを特徴とする沸騰水型原子炉の初装荷炉心。
【請求項2】
1本の制御棒が鉛直方向に挿入可能な制御棒挿入部を囲み鉛直方向に延びる4体の正四角筒状の燃料集合体からなるセルを正方格子状に配列した領域を含み鉛直方向に延びるほぼ円筒形の領域に前記燃料集合体を正方格子状に配列した炉心であって、前記燃料集合体のうち低濃縮燃料集合体1体およびその低濃縮燃料集合体よりも核分裂性物質の含有量が大きい高濃縮燃料集合体3体が4箇所の前記制御棒挿入部に囲まれる2行2列に配列した単位装荷ユニットを各単位装荷ユニットに含まれる前記低濃縮燃料集合体が互いに隣り合うように配置した単位装荷ユニット配置領域を備えた沸騰水型原子炉の初装荷炉心において、
前記単位装荷ユニット配置領域の内部に形成された中央領域と、
前記単位装荷ユニット配置領域の内部に前記中央領域よりも径方向の外側に形成され、前記単位装荷ユニットあたりの平均可燃性毒物量の含有量が前記中央領域に比べて小さい中間領域と、
を有することを特徴とする沸騰水型原子炉の初装荷炉心。
【請求項3】
1本の制御棒が鉛直方向に挿入可能な制御棒挿入部を囲み鉛直方向に延びる4体の正四角筒状の燃料集合体からなるセルを正方格子状に配列した領域を含み鉛直方向に延びるほぼ円筒形の領域に前記燃料集合体を正方格子状に配列した炉心であって、前記燃料集合体のうち低濃縮燃料集合体1体およびその低濃縮燃料集合体よりも核分裂性物質の含有量が大きい高濃縮燃料集合体3体が4箇所の前記制御棒挿入部に囲まれる2行2列に配列した単位装荷ユニットを各単位装荷ユニットに含まれる前記低濃縮燃料集合体が互いに隣り合うように配置した単位装荷ユニット配置領域を備えた沸騰水型原子炉の初装荷炉心において、
2行2列に配列された4体の前記低濃縮燃料集合体からなる第1のコントロールセルと、
2行2列に配列された4体の前記低濃縮燃料集合体からなり、それらの低濃縮燃料集合体を含む前記単位装荷ユニットを構成する前記燃料集合体の核分裂性物質の含有量の総和が、前記第1のコントロールセルの低濃縮燃料集合体を含む前記単位装荷ユニットを構成する前記燃料集合体の核分裂性物質の含有量の総和に比べて小さい第2のコントロールセルと、
を有することを特徴とする沸騰水型原子炉の初装荷炉心。
【請求項4】
1本の制御棒が鉛直方向に挿入可能な制御棒挿入部を囲み鉛直方向に延びる4体の正四角筒状の燃料集合体からなるセルを正方格子状に配列した領域を含み鉛直方向に延びるほぼ円筒形の領域に前記燃料集合体を正方格子状に配列した炉心であって、前記燃料集合体のうち低濃縮燃料集合体1体およびその低濃縮燃料集合体よりも核分裂性物質の含有量が大きい高濃縮燃料集合体3体が4箇所の前記制御棒挿入部に囲まれる2行2列に配列した単位装荷ユニットを各単位装荷ユニットに含まれる前記低濃縮燃料集合体が互いに隣り合うように配置した単位装荷ユニット配置領域を備えた沸騰水型原子炉の初装荷炉心において、
2行2列に配列された4体の前記低濃縮燃料集合体からなる第1のコントロールセルと、
2行2列に配列された4体の前記低濃縮燃料集合体からなり、それらの低濃縮燃料集合体を含む前記単位装荷ユニットを構成する前記燃料集合体の可燃性毒物の含有量の総和が、前記第1のコントロールセルの低濃縮燃料集合体を含む前記単位装荷ユニットを構成する前記燃料集合体の可燃性毒物の含有量の総和に比べて大きい第2のコントロールセルと、
を有することを特徴とする沸騰水型原子炉の初装荷炉心。
【請求項5】
1本の制御棒が鉛直方向に挿入可能な制御棒挿入部を囲み鉛直方向に延びる4体の正四角筒状の燃料集合体からなるセルを正方格子状に配列した領域を含み鉛直方向に延びるほぼ円筒形の領域に前記燃料集合体を正方格子状に配列した炉心であって、前記燃料集合体のうち低濃縮燃料集合体1体およびその低濃縮燃料集合体よりも核分裂性物質の含有量が大きい高濃縮燃料集合体3体が4箇所の前記制御棒挿入部に囲まれる2行2列に配列した単位装荷ユニットを各単位装荷ユニットに含まれる前記低濃縮燃料集合体が互いに隣り合うように配置した単位装荷ユニット配置領域を備え、前記単位装荷ユニット配置領域の内部に形成された中央領域と、前記単位装荷ユニット配置領域の内部に前記中央領域よりも径方向の外側に形成され、前記単位装荷ユニットあたりの平均核分裂性物質の含有量が前記中央領域に比べて大きい中間領域と、が形成された初装荷炉心を備えた沸騰水型原子炉の運転方法において、
2行2列に配列された4体の前記低濃縮燃料集合体からなるコントロールセルで囲まれる前記制御棒挿入部に挿入される前記制御棒を原子炉の制御に用いることを特徴とする沸騰水型原子炉の運転方法。
【請求項6】
1本の制御棒が鉛直方向に挿入可能な制御棒挿入部を囲み鉛直方向に延びる4体の正四角筒状の燃料集合体からなるセルを正方格子状に配列した領域を含み鉛直方向に延びるほぼ円筒形の領域に前記燃料集合体を正方格子状に配列した炉心であって、前記燃料集合体のうち低濃縮燃料集合体1体およびその低濃縮燃料集合体よりも核分裂性物質の含有量が大きい高濃縮燃料集合体3体が4箇所の前記制御棒挿入部に囲まれる2行2列に配列した単位装荷ユニットを各単位装荷ユニットに含まれる前記低濃縮燃料集合体が互いに隣り合うように配置した単位装荷ユニット配置領域を備え、前記単位装荷ユニット配置領域の内部に形成された中央領域と、前記単位装荷ユニット配置領域の内部に前記中央領域よりも径方向の外側に形成され、前記単位装荷ユニットあたりの平均可燃性毒物量の含有量が前記中央領域に比べて小さい中間領域と、が形成された初装荷炉心を備えた沸騰水型原子炉の運転方法において、
2行2列に配列された4体の前記低濃縮燃料集合体からなるコントロールセルで囲まれる前記制御棒挿入部に挿入される前記制御棒を原子炉の制御に用いることを特徴とする沸騰水型原子炉の運転方法。
【請求項7】
1本の制御棒が鉛直方向に挿入可能な制御棒挿入部を囲み鉛直方向に延びる4体の正四角筒状の燃料集合体からなるセルを正方格子状に配列した領域を含み鉛直方向に延びるほぼ円筒形の領域に前記燃料集合体を正方格子状に配列した炉心であって、前記燃料集合体のうち低濃縮燃料集合体1体およびその低濃縮燃料集合体よりも核分裂性物質の含有量が大きい高濃縮燃料集合体3体が4箇所の前記制御棒挿入部に囲まれる2行2列に配列した単位装荷ユニットを各単位装荷ユニットに含まれる前記低濃縮燃料集合体が互いに隣り合うように配置した単位装荷ユニット配置領域を備え、2行2列に配列された4体の前記低濃縮燃料集合体からなる第1のコントロールセルと、2行2列に配列された4体の前記低濃縮燃料集合体からなり、それらの低濃縮燃料集合体を含む前記単位装荷ユニットを構成する前記燃料集合体の核分裂性物質の含有量の総和が、前記第1のコントロールセルの低濃縮燃料集合体を含む前記単位装荷ユニットを構成する前記燃料集合体の核分裂性物質の含有量の総和に比べて小さい第2のコントロールセルと、が形成された初装荷炉心を備えた沸騰水型原子炉の運転方法において、
前記第1のコントロールセルで囲まれる前記制御棒挿入部に挿入される前記制御棒を原子炉の制御に用いる第1の工程と、
第1の工程よりも後に、前記第2のコントロールセルで囲まれる前記制御棒挿入部に挿入される前記制御棒を原子炉の制御に用いる第2の工程と、
を有することを特徴とする沸騰水型原子炉の運転方法。
【請求項8】
1本の制御棒が鉛直方向に挿入可能な制御棒挿入部を囲み鉛直方向に延びる4体の正四角筒状の燃料集合体からなるセルを正方格子状に配列した領域を含み鉛直方向に延びるほぼ円筒形の領域に前記燃料集合体を正方格子状に配列した炉心であって、前記燃料集合体のうち低濃縮燃料集合体1体およびその低濃縮燃料集合体よりも核分裂性物質の含有量が大きい高濃縮燃料集合体3体が4箇所の前記制御棒挿入部に囲まれる2行2列に配列した単位装荷ユニットを各単位装荷ユニットに含まれる前記低濃縮燃料集合体が互いに隣り合うように配置した単位装荷ユニット配置領域を備え、2行2列に配列された4体の前記低濃縮燃料集合体からなる第1のコントロールセルと、2行2列に配列された4体の前記低濃縮燃料集合体からなり、それらの低濃縮燃料集合体を含む前記単位装荷ユニットを構成する前記燃料集合体の可燃性毒物の含有量の総和が、前記第1のコントロールセルの低濃縮燃料集合体を含む前記単位装荷ユニットを構成する前記燃料集合体の可燃性毒物の含有量の総和に比べて大きい第2のコントロールセルと、が形成された初装荷炉心を備えた沸騰水型原子炉の運転方法において、
前記第1のコントロールセルで囲まれる前記制御棒挿入部に挿入される前記制御棒を原子炉の制御に用いる第1の工程と、
第1の工程よりも後に、前記第2のコントロールセルで囲まれる前記制御棒挿入部に挿入される前記制御棒を原子炉の制御に用いる第2の工程と、
を有することを特徴とする沸騰水型原子炉の運転方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−145360(P2008−145360A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−335318(P2006−335318)
【出願日】平成18年12月13日(2006.12.13)
【出願人】(000229461)株式会社グローバル・ニュークリア・フュエル・ジャパン (102)