油入機器の漏油止め工法
【課題】本発明は、油入機器の漏油止め工法であって、効率的に漏油を防止することができ、耐衝撃性および耐候性等に優れた漏油止め工法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の油入機器の漏油止め工法は、漏油箇所にα−シアノアクリレート樹脂と微粉末とを少なくとも含むグリス状接着性組成物を塗布する第1塗布工程と、第1塗布工程と同時に、塗布したグリス状接着性組成物にアミン含有硬化剤をスプレイし、瞬時に硬化させて油止めする第1硬化工程と、さらにα−シアノアクリレート樹脂と微粉末とを少なくとも含むグリス状接着性組成物を塗布する第2塗布工程と、第2塗布工程において塗布したグリス状接着性組成物を不織布で補強する補強工程と、第2塗布工程において塗布したグリス状接着性組成物にアミン含有硬化剤をスプレイする第2硬化工程と、不織布の上に硬化性樹脂を塗布する第3塗布工程とを含み、上記補強工程は、第2塗布工程において塗布したグリス状接着性組成物が硬化する前に行ない、また、上記硬化性樹脂は、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂およびエポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含む樹脂であることを特徴とする。
【解決手段】本発明の油入機器の漏油止め工法は、漏油箇所にα−シアノアクリレート樹脂と微粉末とを少なくとも含むグリス状接着性組成物を塗布する第1塗布工程と、第1塗布工程と同時に、塗布したグリス状接着性組成物にアミン含有硬化剤をスプレイし、瞬時に硬化させて油止めする第1硬化工程と、さらにα−シアノアクリレート樹脂と微粉末とを少なくとも含むグリス状接着性組成物を塗布する第2塗布工程と、第2塗布工程において塗布したグリス状接着性組成物を不織布で補強する補強工程と、第2塗布工程において塗布したグリス状接着性組成物にアミン含有硬化剤をスプレイする第2硬化工程と、不織布の上に硬化性樹脂を塗布する第3塗布工程とを含み、上記補強工程は、第2塗布工程において塗布したグリス状接着性組成物が硬化する前に行ない、また、上記硬化性樹脂は、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂およびエポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含む樹脂であることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油入機器の漏油止め工法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の漏油止めを目的とした補修工法においては、エポキシ樹脂を用いた方法が検討されている。たとえば、特許文献1においては、漏油防止に用いるシーリング剤として液状変性エポキシ樹脂を含むシーリング剤が開示されている。また、特許文献2には、ポリサルファイド液状変性エポキシ樹脂を含む2種類の第1シーリング剤および第2シーリング剤を用いて、フランジ部分のボルトおよびナットにより締結されている箇所の漏油止めを行なう方法が開示されている。また、特許文献3には、液状ポリサルファイド樹脂と硬化剤とからなる漏油箇所補修用シーリング剤とエポキシ樹脂を用いる漏油防止方法が開示されている。
【特許文献1】特公平7−108970号公報
【特許文献2】特開平8−111318号公報
【特許文献3】特開2003−306662号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の漏油止めの方法にあっては、上記のように特許文献1〜3のいずれもエポキシ樹脂で漏油を止めるものである。このようなエポキシ樹脂を用いた方法は漏油を防止するには硬化時間が長く、数秒で硬化するものはなく、速硬化するように調整された配合のものであっても硬化時間は5分以上必要である。油入機器においては内圧により漏油部分から油が押し出され続けるため、エポキシ樹脂が硬化するまで、内圧のため漏油部分から油が油入機器から外部に出て、押し続けて油だまりができる(図1)。そのため漏油部分からの油の流出量が多い場合は、未硬化中のエポキシ樹脂の部分に膨れが生じたりして油だまりができたり、該エポキシ樹脂を押し破って漏油したりする。このような油だまりは、時間が経つにつれ油入機器の接着界面を伝い、さらなる漏油の原因となる(図1)。また、漏油箇所の補強にエポキシ樹脂で補強する特許文献1および2の工法により得られる被覆物は、物理強度が脆いという問題があった。また、この問題を検討したものとして耐衝撃性が改良された特許文献3が挙げられるが、特許文献3において開示された方法では、常温でも軟い常温硬化のエポキシ樹脂が用いられているが、このようなエポキシ樹脂の場合では、油の温度が80℃になるような環境では軟くなりすぎて耐熱性に難があり、漏湯防止を確実なものとできなかった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の油入機器の漏油止め工法は、漏油箇所にα−シアノアクリレート樹脂と微粉末とを少なくとも含むグリス状接着性組成物を塗布する第1塗布工程と、第1塗布工程と同時に、塗布したグリス状接着性組成物にアミン含有硬化剤をスプレイし、瞬時に硬化させて油止めする第1硬化工程と、さらにα−シアノアクリレート樹脂と微粉末とを少なくとも含むグリス状接着性組成物を塗布する第2塗布工程と、第2塗布工程において塗布したグリス状接着性組成物を不織布で補強する補強工程と、第2塗布工程において塗布したグリス状接着性組成物にアミン含有硬化剤をスプレイする第2硬化工程と、不織布の上に硬化性樹脂を塗布する第3塗布工程とを含み、上記補強工程は、第2塗布工程において塗布したグリス状接着性組成物が硬化する前に行ない、また、上記硬化性樹脂は、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂およびエポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含む樹脂であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明の油入機器の漏油止め工法によれば、超微粉シリカを含むα−シアノアクリレートを用いるので、効率的に漏油箇所を塞ぐことができる。また、アミン含有硬化剤を用いるので、上記シーリング剤の硬化を瞬時に行なうことができ、漏油を完全なものとすることができる。上記超微粉シリカを含むα−シアノアクリレートはグリス状物であるため、被膜を厚く形成することができ、この厚みにより、空気中の水分がグリス状物の膜内部まで影響せず、該膜の硬化を遅らせるので不織布の貼り付け作業が可能となる。また、この貼り付けた不織布は、アミン含有硬化剤によりグリス状物の膜とともに瞬時に硬化(瞬結)させることができる。各工程により形成された被膜全体として耐衝撃性および耐候性等に優れた漏油止めを行なうことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。なお、以下の説明では、図面を用いて説明しているが、本願の図面において同一の参照符号を付したものは、同一部分または相当部分を示している。
【0007】
<第1塗布工程>
本発明の油入機器の漏油止め工法は、漏油箇所にα−シアノアクリレート樹脂と微粉末とを少なくとも含むグリス状接着性組成物を塗布する第1塗布工程を含む。図2に、漏油箇所に接着剤組成物を塗布した止油箇所の模式図を示す。第1塗布工程においては、図2に示されるように、油1が封入された油入機器2の破損箇所にグリス状接着性組成物4が塗布される。この第1塗布工程においてα−シアノアクリレート樹脂と微粉末とを少なくとも含むグリス状接着性組成物を適用することによって、後述の硬化工程との組み合わせにより、硬化時間が瞬時であるため漏油箇所でシールできる。したがって、従来のエポキシ樹脂を第1塗布工程として用いた工法のような油だまりの発生を排除することが可能となり、その結果、漏油部分からの油の流出を長期間にわたり完全に防止することができる。
【0008】
上記α−シアノアクリレート樹脂と微粉末とを少なくとも含むグリス状接着性組成物(以下、グリス状α−シアノアクリレートということがある)としては、一液型であることが望ましく、アルキルα−シアノアクリレートを主剤とする瞬間接着剤に微粉末を添加して揺変性が付与されたグリス(ゲル)状のものを用いる。油入機器の漏油を阻止するためには、第1塗布工程に塗布される被膜を厚膜化する必要があるが、このようなグリス状接着性組成物は、超微粉シリカなどの微粉末が混合されて揺変性が付与されたグリス状となっているので、垂直面などへの塗布において垂れなどの問題がなく、また、所望の厚膜化が可能である。上記グリス状接着性組成物は、本発明におけるような油入機器の油面に対しても良好な接着性を示す。
【0009】
上記第1塗布工程において、上記グリス状接着性組成物の塗布は刷毛などを用いて行なうことができ、漏油部分を塞ぐ領域に塗布すればよい。また、塗布するグリス状接着性組成物の厚みは特に限定されないが、上記のようなα−シアノアクリレート樹脂に微粉末が混合されたグリス状であることから、垂れが発生せず、垂直面であっても薄膜はもちろんのこと、たとえば2mm以上の厚みに塗布することも可能である。
【0010】
<第1硬化工程>
上記第1塗布工程と同時に、塗布したグリス状接着性組成物をアミン含有硬化剤を表面にスプレイ等により吹きかけることにより瞬時に硬化させて油止めする第1硬化工程を施す。上記グリス状接着性組成物は、該硬化工程を備えることにより、グリス状接着性組成物を瞬時に硬化させることができ、漏油の防止を確実に行なうことができる。また、上記図1のエポキシ樹脂の場合のように油だまりが形成されることはない。アミン含有硬化剤としては、脂肪族アミンおよび芳香族アミンのいずれも用いることができる。アミン含有硬化剤のシクロペンタン溶液を、ジメチルエーテル(DME)や、液化石油ガス(LPG)などによりエアゾール化して、図3に示すようにスプレイ容器5に封入したアミン含有硬化剤を、上記塗布したグリス状接着性組成物4の表面全体に吹き付ける。
【0011】
このような操作により、アミン含有硬化剤の吹き付けられたグリス状接着性組成物4の表面部分から硬化反応が促進され、その後内部(グリス状接着性組成物4と油入容器2との界面)に向けて連鎖的に硬化反応が進行する。塗布領域にもよるが、たとえば30秒程度でグリス状接着性組成物を硬化することが可能である。なお、上記シクロペンタン溶液におけるアミン含有硬化剤の含有量は、5重量%程度とすればよい。
【0012】
上記第1塗布工程と硬化工程とは、それぞれ1回行なえばよいが、目視で漏油が完全に防止できるまで第1塗布工程と硬化工程とを交互に繰り返すことが好ましい。この場合、硬化工程を繰り返しの最終工程とし、たとえば、30分以上放置して漏油がないことを確認して、次の工程を施すことが好ましい。
【0013】
<第2塗布工程>
本発明の漏油止め工法は、上記硬化工程の後に、さらにα−シアノアクリレート樹脂と微粉末とを少なくとも含むグリス状接着性組成物を塗布する第2塗布工程を含む。第2塗布工程により塗布されるグリス状接着性組成物は、上記第1塗布工程におけるグリス状接着性組成物を用いることができる。また、塗布形態も、第1塗布工程と同様とすることができる。
【0014】
<補強工程>
本発明は、上記第2塗布工程においてグリス状接着性組成物を塗布した後であって、該グリス状接着性組成物が硬化する前に、第2塗布工程で塗布したグリス状接着性組成物を不織布で補強する補強工程を含む。グリス状接着性組成物が硬化する前に不織布で補強することによって、不織布により表面積を増大させることができ、グリス状接着性組成物と不織布との相互作用を高めることができる。その結果、グリス状接着組成物と不織布との密着性を向上させることができ、硬化したグリス状接着性組成物の耐衝撃性(脆さ)を従来のものに比べて改善できる点で有効である。不織布としては、たとえば、綿、ビニロン、飽和ポリエステルにより構成されるものを例示することができるが、これらに限定されるものではない。また、不織布の厚みや目付けなども特に限定されず、公知のものをいずれも用いることができる。
【0015】
ここで、一般に使用される低粘度のα−シアノアクリレート樹脂は空気中の水分と反応して数秒で速硬化するため上記のように不織布で補強する(不織布を貼る)操作が難しい。一方、本発明の第2塗布工程においては、グリス状にした上記接着組成物を用いるので、塗布膜に厚みを持たせて形成させることができ、空気中の水分が塗布膜の内部まで瞬時に到達せず、硬化時間が延長される。その結果、不織布を従来に比べてゆっくり貼る操作が可能となり、漏油箇所が確実に補強される。不織布を貼り終わってから、上述のように硬化剤であるアミン希釈溶液をスプレイして瞬時に硬化させる(図3)。
【0016】
上記第2塗布工程と補強工程とは、図4の漏油防止工法の施工面積を示す概略図に例示されるように、漏油箇所(図4中、塗りつぶしで表す)の中央部分から少なくとも30cmまでの領域に対して、グリス状接着性組成物4と不織布6とが設けられるように行なうことが好ましい。このような領域に対して上記第2塗布工程と補強工程とを施すことにより、グリス状接着性組成物の強化ができ、また、耐衝撃性をより向上させることができる。上記施工面積はたとえば図5の漏油防止部分および漏油防止工法の施工面積を示す概略図に表されるように、施工対象の幅全体を不織布7で覆うように行なってもよい。また、本発明の工法は、図5に示されるように鋼板や、図6に示されるように配管における漏油の防止にも有効である。図5および図6は、それぞれ鋼鈑および配管における漏油防止部分および漏油防止工法の施工面積を示す概略図であり、第1塗布工程において設けられたグリス状接着性組成物4を、第2塗布工程において設けられるグリス状接着性組成物および補強工程において設けられる不織布7で補強した状態を示す。なお、図5および図6中の折れ線の塗りつぶしにより表される箇所が漏油箇所であり、また、実際は第1塗布工程において設けられたグリス状接着性組成物4は、補強工程において設けられる不織布7により補強されるので外観上目視できない状態となるが、第1塗布工程において設けられたグリス状接着性組成物4の領域を明示するために、便宜上グリス状接着性組成物4と不織布7とを示す。
【0017】
補強工程の後、第2塗布工程において塗布したグリス状接着性組成物を硬化させる第2硬化工程を施す。この硬化は、上述のように施工効率の点から上記第1硬化工程と同様の工程によりアミン含有硬化剤を用いて硬化させる。
【0018】
<第3塗布工程>
本発明の漏油止め工法は、上記不織布の上に硬化性樹脂を塗布する第3塗布工程を含む。この硬化性樹脂は、補強のために設けられる被膜を形成する。上記硬化性樹脂としては、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂およびエポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含む樹脂を用いる。これらの樹脂を用いる場合は、耐熱性を付与できる点で好ましい。
【0019】
第3塗布工程において、上記硬化性樹脂は硬化剤および硬化触媒を混合して用いる。硬化触媒としては、上記硬化性樹脂を硬化させるものとして公知のものを使用することができ、速硬化の点からメチルエチルケトンパーオキサイドなどの有機過酸化物が用いられ、硬化促進剤としてナフテン酸コバルトなどの金属石鹸、または芳香族アミンなどを例示することができる。
【0020】
本発明においては、上記のように不織布による被膜を備えるので、たとえば硬化物のガラス転移点が56℃以下のエポキシ樹脂を用いた場合であっても、上記のように密着性、耐衝撃性(脆さ)の改良に有効であり、80℃の温度環境にも耐えられる漏油止め工法を提供することができる。また、上記対応する工程で形成されるグリス状シアノアクリレートの硬化物、不飽和ポリエステル樹脂およびアクリル樹脂の硬化物は100℃以上の耐熱性を有するものを選択できることから、耐熱性の向上効果が大きい。
【0021】
<保護コート形成工程>
本発明においては、第3塗布工程において塗布した硬化性樹脂の上に、保護コートを設けることが好ましい。保護コートは、外的衝撃や、硬化性樹脂などの構成物の収縮によるクラックの発生を抑制するために設けられる。
【0022】
<トップコート形成工程>
また、上記保護コートの上に、さらにトップコートを設けるトップコート形成工程を含めることができる。トップコートは上記保護コートの変色などの劣化を防いだり、耐候性を付与したりするために設けられ、公知の一液型の溶剤系アクリル塗料からなる被膜を形成すればよい。
【0023】
上記のような工程により、たとえば図8に示すように、油入機器2表面から順に、グリス状接着性組成物4、不織布6、硬化性樹脂9、ウレタン樹脂10、アクリル塗料11からなる被膜が形成されることになる。
【0024】
本発明の漏油止め工法は、平面における漏油止めを可能とすることは勿論、漏油箇所やその周辺が複雑な形状であっても、上記工程により漏油を止めることができる。本発明の工法が対象とする油入機器としては、潤滑油や絶縁油などの封入された配管や、変圧器などの冷却絶縁油等が封入された機器が挙げられるが、これらに限定されず、油漏れ箇所の補修に広く適用することができる。
【実施例】
【0025】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0026】
<漏油防止工法>
図9に示すような油入機器におけるフランジ18に挟まれた直径15mm、厚さ4mmのパッキン17の1箇所に切り込みを入れ、漏油箇所とした。この漏油箇所を含むパッキン17、フランジ18、ボルト19、ナット20、およびワッシャ21を覆うように、下記表1および図10(a)〜(c)に示すような試料1〜3を用いて漏油止めを施した。試料1は図10(a)に対応し、試料2は図10(b)に対応し、試料3は図10(c)に対応する。図10(a)は従来の漏油止め工法によるものであり、エポキシ樹脂3により漏油箇所を塞いだ後に、エポキシ樹脂23による強化を行なったものである。図10(b)は、本発明の漏油止め工法によるものであり、油入機器2表面から順に、グリス状接着性組成物4、不織布6、硬化性樹脂9としてエポキシ樹脂、ウレタン樹脂10、アクリル塗料11からなる被膜が形成された構成を有する。また、図10(c)は、硬化性樹脂9としてエポキシ樹脂をビニルエステル樹脂24に置き換えた以外は図10(b)と同様の構成を有する。なお、図10(a)〜(b)は、各工程の順および形成される被膜を示すための模式図であり、実際の被膜等の形成領域は図7に示される構成と同様にした。
【0027】
試料2および3については次のようにして施工した。まず、第1塗布工程として、表2に示す物性を有するグリス状接着性組成物を上記のように漏油箇所を含むパッキン17、フランジ18、ボルト19、ナット20、およびワッシャ21を覆うように2mm〜3mmの厚みで塗布した。塗布後すぐに、塗布したグリス状接着性組成物の表面に芳香族アミンを5重量%含有したシクロヘキサン溶液をスプレイ容器に入れ、ジメチルエーテル(DME)でエアゾール化したものを吹き付けた(スプレイした)。スプレイは数秒間吹き付け、その後30分間放置した(硬化工程)。上記第1塗布工程および硬化工程をそれぞれ2回繰り返し行なったところで30分放置して、漏油がないことを確認した。なお、実際には30分よりも短い時間で硬化する場合もあるが、比較のために30分間に統一した。
【0028】
次に、上記第1塗布工程で使用したものと同一のグリス状α−シアノアクリレート(グリス状接着性組成物)を、上記第1塗布工程でグリス状組成物を塗布した領域に、2mm〜3mmの厚みで塗布した。次いで、飽和ポリエステル繊維からなる不織布(デュポン社製)を、上記第2塗布工程を施した領域を覆うように貼り、上記と同様のアミン含有硬化物を含むスプレイを表面全体に数秒間吹き付けて硬化させた。
【0029】
次にあらかじめ垂れ防止剤として5〜10重量%の超微粉シリカおよびを硬化触媒としてメチルエチルケトンパーオキサイドを添加した補強樹脂(試料番号2;エポキシ樹脂、試料番号3;ビニルエステル樹脂)を不織布の上に2mm塗布し、その後60分間放置して硬化させた。
【0030】
その後硬化した上記補強樹脂上に、表2に示す速硬化型の二液型ウレタン樹脂を2mm塗布して硬化させ、その後一液型、溶剤系アクリル塗料を塗布した。
【0031】
上記試料1〜3において使用した原材料の物性を表2に示す。また、上記試料1〜3の耐漏油試験の結果を表1に示す。なお、耐漏油試験は、図9に示す圧力容器供試体を用いて行なった。図9における圧力容器供試体は、圧力容器本体12の底面がパッキン17を介したフランジ18をボルト19、ナット20およびワッシャ21で固定した構造であり、圧力調整弁15、圧力ゲージ13、給油口14および排油口16を備え、給油口14から油を注入し、その後各バルブ22を閉めて圧力容器本体12内部の圧力を調整することができる構成となっている。導入圧力を0.5MPaを初期状態として、最高温度が80℃であるヒートサイクル試験1(表1中、ヒートサイクル試験1(80℃)と表記)と、最高温度が100℃であるヒートサイクル試験2(表1中、ヒートサイクル試験2(100℃)と表記)を行ない、各試験後の圧力容器供試体の内部内圧を測定し、その結果を表1に記した。各ヒートサイクル試験は以下の条件とした。
・ヒートサイクル試験1
20℃で0.5時間保持 → −10℃で3時間保持 → 20℃で0.5時間保持 → 80℃で3時間保持 → 20℃で0.5時間保持
・ヒートサイクル試験2
20℃で0.5時間保持 → −10℃で3時間保持 → 20℃で0.5時間保持 → 100℃で3時間保持 → 20℃で0.5時間保持
【0032】
【表1】
【0033】
上記表1においては、各試料の第2塗布工程までに用いられる樹脂の組み合わせを示した。試料番号1は、従来の他社工法によるものであり、エポキシ樹脂により第1および第2塗布工程を施しているため、瞬時に漏油を止められず、また不織布により補強していない為、塗膜が一部破損し、フランジ18やパッキン17の側面からも漏油し、圧力が、80℃で2サイクル中、100℃で1サイクル中に0MPaとなった。試料番号2は、本発明の工法であり、80℃で3サイクル中で圧力が0.4MPaとなったが、漏油は認められなかった。耐熱性に劣るエポキシ樹脂でも80℃までであれば不織布による補強効果が十分にあることがわかる。また、100℃ではエポキシ樹脂の耐熱性不足の為、2サイクル中に圧力が0となり漏油した。試料番号3は、本発明の工法であり、80℃および100℃のヒートサイクル試験のいずれにおいても全く異常が認められなかった。なお、圧力は、表1に示す80℃または100℃となったときに測定した値である。
【0034】
【表2】
【0035】
上記表2におけるポットライフは25℃における値であり、塗膜乾燥の時間は、それぞれの樹脂からなる被膜が完全に乾燥するまでの時間を示す。なお、上記ポットライフとは、各樹脂に硬化剤を混合したもの100gが発熱開始時間の70%に達する時間である。また、アミン系硬化剤を含むアミン含有硬化剤のスプレイ(表2中、促進剤スプレイと表記)の時間は、アミン含有硬化剤の吹き付け後から完全に乾燥するまでの時間を示す。引張剪断はJIS規格、K6850による鉄/鉄の引張剪断力の値であり、曲げ強度はJIS規格、K7171による値であり、圧縮強度はJIS規格、K7181による値であり、引張強度はJIS規格、K7113による値であり、ショアD硬度はJIS規格、K7215による値である。
【0036】
表1の結果から明らかなように、従来の工法に比較して、本発明の漏油止め工法によれば高温においても完全に漏油を防止できる。
【0037】
<不織布による効果>
本発明の工法における不織布による効果を検証するために以下のような試験を行なった。
【0038】
(供試体の作製)
(供試体A)
図11(a)に示す軟鋼板(2枚一対)の接着面をサンドペーパー(♯320)で研磨し、アセトンで油脂分を除去した(表面処理という)。上記試料に用いたグリス状シアノアクリレート4を1mm塗布してアミン含有硬化剤をスプレイして硬化させる。その上に、再度グリス状シアノアクリレート4を1mm厚で塗布し硬化させて、さらに補強用のエポキシ樹脂26を1mm厚で塗布して、未硬化のうちに2枚の軟鋼板を図11(a)のように貼り合わせて硬化させたものを供試体Aとする。
(供試体B)
図11(b)に示す軟鋼板(2枚一対)の接着面に供試体Aと同様の表面処理を施した。上記試料に用いたグリス状シアノアクリレート4を1mm塗布してアミン含有硬化剤をスプレイして硬化させる。その上に、再度グリス状シアノアクリレート4を1mm厚で塗布し、未硬化の状態で不織布6をその上面に重ね、硬化剤を噴射して硬化させた。次いで、補強用のエポキシ樹脂26を1mm厚で塗布して、未硬化のうちに2枚の軟鋼板を図11(b)のように貼り合わせて硬化させたものを供試体Bとする。
【0039】
なお、図11(a)および(b)において、L1=100mm、L2=12.5mmとした。
【0040】
(試験方法)
これらの供試体AおよびBを用いて、不織布による効果を検証するために、引張剪断接着強さ試験方法(JIS K 6850)に準拠して試験を実施した。なお、供試体の養生は室温で7日間とした。この試験結果を表3に示す。
【0041】
【表3】
【0042】
表3に示すように、試験温度が22℃の場合、引張剪断接着強さは、不織布のある供試体Bが14N/mm2であり、不織布のない供試体Aは11N/mm2であり、不織布の存在による接着強度の向上が確認された。また、試験温度が80℃の場合、引張剪断接着強さは、不織布のない供試体Aは2N/mm2であり、一方、不織布のある供試体Bが10N/mm2であり、不織布の存在による接着強度の向上の効果が大きいことがわかる。
【0043】
また、破壊状況についても、80℃においては、供試体Aが95%のエポキシ樹脂の凝集破壊であることに対して、供試体Bはエポキシ樹脂−α−シアノアクリレート間の界面破壊100%である。
【0044】
以上の結果から、本発明の工程において不織布による補強工程を含めることにより、引張剪断接着強さを著しく向上させることができるといえる。
【0045】
以上のように本発明の実施の形態および実施例について説明を行なったが、上述の各実施の形態および実施例の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。
【0046】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の油入機器の漏油止め工法は、潤滑油、絶縁油などの配管の漏油補修に有効であり、また、変圧器などの冷却絶縁油等の油漏れ補修に対する有効性が大きい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】従来の漏油防止工法による止油箇所を示す概略図である。
【図2】本発明の漏油防止工法による止油箇所を示す概略図である。
【図3】本発明の漏油防止工法においてアミン含有硬化剤による硬化方法の一例を示す概略図である。
【図4】漏油防止工法の施工面積を示す概略図である。
【図5】漏油防止部分および漏油防止工法の施工面積を示す概略図である。
【図6】配管における漏油防止部分および漏油防止工法の施工面積を示す概略図である。
【図7】垂直面に対する本発明の漏油防止工法の一例を示す概略図である。
【図8】水平面に対する本発明の漏油防止工法の一例を示す概略図である。
【図9】耐漏油試験に用いた圧力容器供試体を示す概略図である。
【図10】(a)試料1による漏油防止工法を示す概略図であり、(b)試料2による漏油防止工法を示す概略図であり、(c)試料3による漏油防止工法を示す概略図である。
【図11】(a)不織布を含まない漏油防止工法を示す概略図であり、(b)不織布を含む漏油防止工法を示す概略図である。
【符号の説明】
【0049】
1 油、2 油入機器、3,23 エポキシ樹脂、4 グリス状接着性組成物、5 スプレイ容器、6,7 不織布、8 配管、9 硬化性樹脂、10 ウレタン樹脂、11 アクリル塗料、12 圧力容器本体、13 圧力ゲージ、14 給油口、15 圧力調整弁、16 排油口、17 パッキン、18 フランジ、19 ボルト、20 ナット、21 ワッシャ、22 バルブ、24 ビニルエステル樹脂。
【技術分野】
【0001】
本発明は、油入機器の漏油止め工法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の漏油止めを目的とした補修工法においては、エポキシ樹脂を用いた方法が検討されている。たとえば、特許文献1においては、漏油防止に用いるシーリング剤として液状変性エポキシ樹脂を含むシーリング剤が開示されている。また、特許文献2には、ポリサルファイド液状変性エポキシ樹脂を含む2種類の第1シーリング剤および第2シーリング剤を用いて、フランジ部分のボルトおよびナットにより締結されている箇所の漏油止めを行なう方法が開示されている。また、特許文献3には、液状ポリサルファイド樹脂と硬化剤とからなる漏油箇所補修用シーリング剤とエポキシ樹脂を用いる漏油防止方法が開示されている。
【特許文献1】特公平7−108970号公報
【特許文献2】特開平8−111318号公報
【特許文献3】特開2003−306662号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の漏油止めの方法にあっては、上記のように特許文献1〜3のいずれもエポキシ樹脂で漏油を止めるものである。このようなエポキシ樹脂を用いた方法は漏油を防止するには硬化時間が長く、数秒で硬化するものはなく、速硬化するように調整された配合のものであっても硬化時間は5分以上必要である。油入機器においては内圧により漏油部分から油が押し出され続けるため、エポキシ樹脂が硬化するまで、内圧のため漏油部分から油が油入機器から外部に出て、押し続けて油だまりができる(図1)。そのため漏油部分からの油の流出量が多い場合は、未硬化中のエポキシ樹脂の部分に膨れが生じたりして油だまりができたり、該エポキシ樹脂を押し破って漏油したりする。このような油だまりは、時間が経つにつれ油入機器の接着界面を伝い、さらなる漏油の原因となる(図1)。また、漏油箇所の補強にエポキシ樹脂で補強する特許文献1および2の工法により得られる被覆物は、物理強度が脆いという問題があった。また、この問題を検討したものとして耐衝撃性が改良された特許文献3が挙げられるが、特許文献3において開示された方法では、常温でも軟い常温硬化のエポキシ樹脂が用いられているが、このようなエポキシ樹脂の場合では、油の温度が80℃になるような環境では軟くなりすぎて耐熱性に難があり、漏湯防止を確実なものとできなかった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の油入機器の漏油止め工法は、漏油箇所にα−シアノアクリレート樹脂と微粉末とを少なくとも含むグリス状接着性組成物を塗布する第1塗布工程と、第1塗布工程と同時に、塗布したグリス状接着性組成物にアミン含有硬化剤をスプレイし、瞬時に硬化させて油止めする第1硬化工程と、さらにα−シアノアクリレート樹脂と微粉末とを少なくとも含むグリス状接着性組成物を塗布する第2塗布工程と、第2塗布工程において塗布したグリス状接着性組成物を不織布で補強する補強工程と、第2塗布工程において塗布したグリス状接着性組成物にアミン含有硬化剤をスプレイする第2硬化工程と、不織布の上に硬化性樹脂を塗布する第3塗布工程とを含み、上記補強工程は、第2塗布工程において塗布したグリス状接着性組成物が硬化する前に行ない、また、上記硬化性樹脂は、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂およびエポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含む樹脂であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明の油入機器の漏油止め工法によれば、超微粉シリカを含むα−シアノアクリレートを用いるので、効率的に漏油箇所を塞ぐことができる。また、アミン含有硬化剤を用いるので、上記シーリング剤の硬化を瞬時に行なうことができ、漏油を完全なものとすることができる。上記超微粉シリカを含むα−シアノアクリレートはグリス状物であるため、被膜を厚く形成することができ、この厚みにより、空気中の水分がグリス状物の膜内部まで影響せず、該膜の硬化を遅らせるので不織布の貼り付け作業が可能となる。また、この貼り付けた不織布は、アミン含有硬化剤によりグリス状物の膜とともに瞬時に硬化(瞬結)させることができる。各工程により形成された被膜全体として耐衝撃性および耐候性等に優れた漏油止めを行なうことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。なお、以下の説明では、図面を用いて説明しているが、本願の図面において同一の参照符号を付したものは、同一部分または相当部分を示している。
【0007】
<第1塗布工程>
本発明の油入機器の漏油止め工法は、漏油箇所にα−シアノアクリレート樹脂と微粉末とを少なくとも含むグリス状接着性組成物を塗布する第1塗布工程を含む。図2に、漏油箇所に接着剤組成物を塗布した止油箇所の模式図を示す。第1塗布工程においては、図2に示されるように、油1が封入された油入機器2の破損箇所にグリス状接着性組成物4が塗布される。この第1塗布工程においてα−シアノアクリレート樹脂と微粉末とを少なくとも含むグリス状接着性組成物を適用することによって、後述の硬化工程との組み合わせにより、硬化時間が瞬時であるため漏油箇所でシールできる。したがって、従来のエポキシ樹脂を第1塗布工程として用いた工法のような油だまりの発生を排除することが可能となり、その結果、漏油部分からの油の流出を長期間にわたり完全に防止することができる。
【0008】
上記α−シアノアクリレート樹脂と微粉末とを少なくとも含むグリス状接着性組成物(以下、グリス状α−シアノアクリレートということがある)としては、一液型であることが望ましく、アルキルα−シアノアクリレートを主剤とする瞬間接着剤に微粉末を添加して揺変性が付与されたグリス(ゲル)状のものを用いる。油入機器の漏油を阻止するためには、第1塗布工程に塗布される被膜を厚膜化する必要があるが、このようなグリス状接着性組成物は、超微粉シリカなどの微粉末が混合されて揺変性が付与されたグリス状となっているので、垂直面などへの塗布において垂れなどの問題がなく、また、所望の厚膜化が可能である。上記グリス状接着性組成物は、本発明におけるような油入機器の油面に対しても良好な接着性を示す。
【0009】
上記第1塗布工程において、上記グリス状接着性組成物の塗布は刷毛などを用いて行なうことができ、漏油部分を塞ぐ領域に塗布すればよい。また、塗布するグリス状接着性組成物の厚みは特に限定されないが、上記のようなα−シアノアクリレート樹脂に微粉末が混合されたグリス状であることから、垂れが発生せず、垂直面であっても薄膜はもちろんのこと、たとえば2mm以上の厚みに塗布することも可能である。
【0010】
<第1硬化工程>
上記第1塗布工程と同時に、塗布したグリス状接着性組成物をアミン含有硬化剤を表面にスプレイ等により吹きかけることにより瞬時に硬化させて油止めする第1硬化工程を施す。上記グリス状接着性組成物は、該硬化工程を備えることにより、グリス状接着性組成物を瞬時に硬化させることができ、漏油の防止を確実に行なうことができる。また、上記図1のエポキシ樹脂の場合のように油だまりが形成されることはない。アミン含有硬化剤としては、脂肪族アミンおよび芳香族アミンのいずれも用いることができる。アミン含有硬化剤のシクロペンタン溶液を、ジメチルエーテル(DME)や、液化石油ガス(LPG)などによりエアゾール化して、図3に示すようにスプレイ容器5に封入したアミン含有硬化剤を、上記塗布したグリス状接着性組成物4の表面全体に吹き付ける。
【0011】
このような操作により、アミン含有硬化剤の吹き付けられたグリス状接着性組成物4の表面部分から硬化反応が促進され、その後内部(グリス状接着性組成物4と油入容器2との界面)に向けて連鎖的に硬化反応が進行する。塗布領域にもよるが、たとえば30秒程度でグリス状接着性組成物を硬化することが可能である。なお、上記シクロペンタン溶液におけるアミン含有硬化剤の含有量は、5重量%程度とすればよい。
【0012】
上記第1塗布工程と硬化工程とは、それぞれ1回行なえばよいが、目視で漏油が完全に防止できるまで第1塗布工程と硬化工程とを交互に繰り返すことが好ましい。この場合、硬化工程を繰り返しの最終工程とし、たとえば、30分以上放置して漏油がないことを確認して、次の工程を施すことが好ましい。
【0013】
<第2塗布工程>
本発明の漏油止め工法は、上記硬化工程の後に、さらにα−シアノアクリレート樹脂と微粉末とを少なくとも含むグリス状接着性組成物を塗布する第2塗布工程を含む。第2塗布工程により塗布されるグリス状接着性組成物は、上記第1塗布工程におけるグリス状接着性組成物を用いることができる。また、塗布形態も、第1塗布工程と同様とすることができる。
【0014】
<補強工程>
本発明は、上記第2塗布工程においてグリス状接着性組成物を塗布した後であって、該グリス状接着性組成物が硬化する前に、第2塗布工程で塗布したグリス状接着性組成物を不織布で補強する補強工程を含む。グリス状接着性組成物が硬化する前に不織布で補強することによって、不織布により表面積を増大させることができ、グリス状接着性組成物と不織布との相互作用を高めることができる。その結果、グリス状接着組成物と不織布との密着性を向上させることができ、硬化したグリス状接着性組成物の耐衝撃性(脆さ)を従来のものに比べて改善できる点で有効である。不織布としては、たとえば、綿、ビニロン、飽和ポリエステルにより構成されるものを例示することができるが、これらに限定されるものではない。また、不織布の厚みや目付けなども特に限定されず、公知のものをいずれも用いることができる。
【0015】
ここで、一般に使用される低粘度のα−シアノアクリレート樹脂は空気中の水分と反応して数秒で速硬化するため上記のように不織布で補強する(不織布を貼る)操作が難しい。一方、本発明の第2塗布工程においては、グリス状にした上記接着組成物を用いるので、塗布膜に厚みを持たせて形成させることができ、空気中の水分が塗布膜の内部まで瞬時に到達せず、硬化時間が延長される。その結果、不織布を従来に比べてゆっくり貼る操作が可能となり、漏油箇所が確実に補強される。不織布を貼り終わってから、上述のように硬化剤であるアミン希釈溶液をスプレイして瞬時に硬化させる(図3)。
【0016】
上記第2塗布工程と補強工程とは、図4の漏油防止工法の施工面積を示す概略図に例示されるように、漏油箇所(図4中、塗りつぶしで表す)の中央部分から少なくとも30cmまでの領域に対して、グリス状接着性組成物4と不織布6とが設けられるように行なうことが好ましい。このような領域に対して上記第2塗布工程と補強工程とを施すことにより、グリス状接着性組成物の強化ができ、また、耐衝撃性をより向上させることができる。上記施工面積はたとえば図5の漏油防止部分および漏油防止工法の施工面積を示す概略図に表されるように、施工対象の幅全体を不織布7で覆うように行なってもよい。また、本発明の工法は、図5に示されるように鋼板や、図6に示されるように配管における漏油の防止にも有効である。図5および図6は、それぞれ鋼鈑および配管における漏油防止部分および漏油防止工法の施工面積を示す概略図であり、第1塗布工程において設けられたグリス状接着性組成物4を、第2塗布工程において設けられるグリス状接着性組成物および補強工程において設けられる不織布7で補強した状態を示す。なお、図5および図6中の折れ線の塗りつぶしにより表される箇所が漏油箇所であり、また、実際は第1塗布工程において設けられたグリス状接着性組成物4は、補強工程において設けられる不織布7により補強されるので外観上目視できない状態となるが、第1塗布工程において設けられたグリス状接着性組成物4の領域を明示するために、便宜上グリス状接着性組成物4と不織布7とを示す。
【0017】
補強工程の後、第2塗布工程において塗布したグリス状接着性組成物を硬化させる第2硬化工程を施す。この硬化は、上述のように施工効率の点から上記第1硬化工程と同様の工程によりアミン含有硬化剤を用いて硬化させる。
【0018】
<第3塗布工程>
本発明の漏油止め工法は、上記不織布の上に硬化性樹脂を塗布する第3塗布工程を含む。この硬化性樹脂は、補強のために設けられる被膜を形成する。上記硬化性樹脂としては、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂およびエポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含む樹脂を用いる。これらの樹脂を用いる場合は、耐熱性を付与できる点で好ましい。
【0019】
第3塗布工程において、上記硬化性樹脂は硬化剤および硬化触媒を混合して用いる。硬化触媒としては、上記硬化性樹脂を硬化させるものとして公知のものを使用することができ、速硬化の点からメチルエチルケトンパーオキサイドなどの有機過酸化物が用いられ、硬化促進剤としてナフテン酸コバルトなどの金属石鹸、または芳香族アミンなどを例示することができる。
【0020】
本発明においては、上記のように不織布による被膜を備えるので、たとえば硬化物のガラス転移点が56℃以下のエポキシ樹脂を用いた場合であっても、上記のように密着性、耐衝撃性(脆さ)の改良に有効であり、80℃の温度環境にも耐えられる漏油止め工法を提供することができる。また、上記対応する工程で形成されるグリス状シアノアクリレートの硬化物、不飽和ポリエステル樹脂およびアクリル樹脂の硬化物は100℃以上の耐熱性を有するものを選択できることから、耐熱性の向上効果が大きい。
【0021】
<保護コート形成工程>
本発明においては、第3塗布工程において塗布した硬化性樹脂の上に、保護コートを設けることが好ましい。保護コートは、外的衝撃や、硬化性樹脂などの構成物の収縮によるクラックの発生を抑制するために設けられる。
【0022】
<トップコート形成工程>
また、上記保護コートの上に、さらにトップコートを設けるトップコート形成工程を含めることができる。トップコートは上記保護コートの変色などの劣化を防いだり、耐候性を付与したりするために設けられ、公知の一液型の溶剤系アクリル塗料からなる被膜を形成すればよい。
【0023】
上記のような工程により、たとえば図8に示すように、油入機器2表面から順に、グリス状接着性組成物4、不織布6、硬化性樹脂9、ウレタン樹脂10、アクリル塗料11からなる被膜が形成されることになる。
【0024】
本発明の漏油止め工法は、平面における漏油止めを可能とすることは勿論、漏油箇所やその周辺が複雑な形状であっても、上記工程により漏油を止めることができる。本発明の工法が対象とする油入機器としては、潤滑油や絶縁油などの封入された配管や、変圧器などの冷却絶縁油等が封入された機器が挙げられるが、これらに限定されず、油漏れ箇所の補修に広く適用することができる。
【実施例】
【0025】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0026】
<漏油防止工法>
図9に示すような油入機器におけるフランジ18に挟まれた直径15mm、厚さ4mmのパッキン17の1箇所に切り込みを入れ、漏油箇所とした。この漏油箇所を含むパッキン17、フランジ18、ボルト19、ナット20、およびワッシャ21を覆うように、下記表1および図10(a)〜(c)に示すような試料1〜3を用いて漏油止めを施した。試料1は図10(a)に対応し、試料2は図10(b)に対応し、試料3は図10(c)に対応する。図10(a)は従来の漏油止め工法によるものであり、エポキシ樹脂3により漏油箇所を塞いだ後に、エポキシ樹脂23による強化を行なったものである。図10(b)は、本発明の漏油止め工法によるものであり、油入機器2表面から順に、グリス状接着性組成物4、不織布6、硬化性樹脂9としてエポキシ樹脂、ウレタン樹脂10、アクリル塗料11からなる被膜が形成された構成を有する。また、図10(c)は、硬化性樹脂9としてエポキシ樹脂をビニルエステル樹脂24に置き換えた以外は図10(b)と同様の構成を有する。なお、図10(a)〜(b)は、各工程の順および形成される被膜を示すための模式図であり、実際の被膜等の形成領域は図7に示される構成と同様にした。
【0027】
試料2および3については次のようにして施工した。まず、第1塗布工程として、表2に示す物性を有するグリス状接着性組成物を上記のように漏油箇所を含むパッキン17、フランジ18、ボルト19、ナット20、およびワッシャ21を覆うように2mm〜3mmの厚みで塗布した。塗布後すぐに、塗布したグリス状接着性組成物の表面に芳香族アミンを5重量%含有したシクロヘキサン溶液をスプレイ容器に入れ、ジメチルエーテル(DME)でエアゾール化したものを吹き付けた(スプレイした)。スプレイは数秒間吹き付け、その後30分間放置した(硬化工程)。上記第1塗布工程および硬化工程をそれぞれ2回繰り返し行なったところで30分放置して、漏油がないことを確認した。なお、実際には30分よりも短い時間で硬化する場合もあるが、比較のために30分間に統一した。
【0028】
次に、上記第1塗布工程で使用したものと同一のグリス状α−シアノアクリレート(グリス状接着性組成物)を、上記第1塗布工程でグリス状組成物を塗布した領域に、2mm〜3mmの厚みで塗布した。次いで、飽和ポリエステル繊維からなる不織布(デュポン社製)を、上記第2塗布工程を施した領域を覆うように貼り、上記と同様のアミン含有硬化物を含むスプレイを表面全体に数秒間吹き付けて硬化させた。
【0029】
次にあらかじめ垂れ防止剤として5〜10重量%の超微粉シリカおよびを硬化触媒としてメチルエチルケトンパーオキサイドを添加した補強樹脂(試料番号2;エポキシ樹脂、試料番号3;ビニルエステル樹脂)を不織布の上に2mm塗布し、その後60分間放置して硬化させた。
【0030】
その後硬化した上記補強樹脂上に、表2に示す速硬化型の二液型ウレタン樹脂を2mm塗布して硬化させ、その後一液型、溶剤系アクリル塗料を塗布した。
【0031】
上記試料1〜3において使用した原材料の物性を表2に示す。また、上記試料1〜3の耐漏油試験の結果を表1に示す。なお、耐漏油試験は、図9に示す圧力容器供試体を用いて行なった。図9における圧力容器供試体は、圧力容器本体12の底面がパッキン17を介したフランジ18をボルト19、ナット20およびワッシャ21で固定した構造であり、圧力調整弁15、圧力ゲージ13、給油口14および排油口16を備え、給油口14から油を注入し、その後各バルブ22を閉めて圧力容器本体12内部の圧力を調整することができる構成となっている。導入圧力を0.5MPaを初期状態として、最高温度が80℃であるヒートサイクル試験1(表1中、ヒートサイクル試験1(80℃)と表記)と、最高温度が100℃であるヒートサイクル試験2(表1中、ヒートサイクル試験2(100℃)と表記)を行ない、各試験後の圧力容器供試体の内部内圧を測定し、その結果を表1に記した。各ヒートサイクル試験は以下の条件とした。
・ヒートサイクル試験1
20℃で0.5時間保持 → −10℃で3時間保持 → 20℃で0.5時間保持 → 80℃で3時間保持 → 20℃で0.5時間保持
・ヒートサイクル試験2
20℃で0.5時間保持 → −10℃で3時間保持 → 20℃で0.5時間保持 → 100℃で3時間保持 → 20℃で0.5時間保持
【0032】
【表1】
【0033】
上記表1においては、各試料の第2塗布工程までに用いられる樹脂の組み合わせを示した。試料番号1は、従来の他社工法によるものであり、エポキシ樹脂により第1および第2塗布工程を施しているため、瞬時に漏油を止められず、また不織布により補強していない為、塗膜が一部破損し、フランジ18やパッキン17の側面からも漏油し、圧力が、80℃で2サイクル中、100℃で1サイクル中に0MPaとなった。試料番号2は、本発明の工法であり、80℃で3サイクル中で圧力が0.4MPaとなったが、漏油は認められなかった。耐熱性に劣るエポキシ樹脂でも80℃までであれば不織布による補強効果が十分にあることがわかる。また、100℃ではエポキシ樹脂の耐熱性不足の為、2サイクル中に圧力が0となり漏油した。試料番号3は、本発明の工法であり、80℃および100℃のヒートサイクル試験のいずれにおいても全く異常が認められなかった。なお、圧力は、表1に示す80℃または100℃となったときに測定した値である。
【0034】
【表2】
【0035】
上記表2におけるポットライフは25℃における値であり、塗膜乾燥の時間は、それぞれの樹脂からなる被膜が完全に乾燥するまでの時間を示す。なお、上記ポットライフとは、各樹脂に硬化剤を混合したもの100gが発熱開始時間の70%に達する時間である。また、アミン系硬化剤を含むアミン含有硬化剤のスプレイ(表2中、促進剤スプレイと表記)の時間は、アミン含有硬化剤の吹き付け後から完全に乾燥するまでの時間を示す。引張剪断はJIS規格、K6850による鉄/鉄の引張剪断力の値であり、曲げ強度はJIS規格、K7171による値であり、圧縮強度はJIS規格、K7181による値であり、引張強度はJIS規格、K7113による値であり、ショアD硬度はJIS規格、K7215による値である。
【0036】
表1の結果から明らかなように、従来の工法に比較して、本発明の漏油止め工法によれば高温においても完全に漏油を防止できる。
【0037】
<不織布による効果>
本発明の工法における不織布による効果を検証するために以下のような試験を行なった。
【0038】
(供試体の作製)
(供試体A)
図11(a)に示す軟鋼板(2枚一対)の接着面をサンドペーパー(♯320)で研磨し、アセトンで油脂分を除去した(表面処理という)。上記試料に用いたグリス状シアノアクリレート4を1mm塗布してアミン含有硬化剤をスプレイして硬化させる。その上に、再度グリス状シアノアクリレート4を1mm厚で塗布し硬化させて、さらに補強用のエポキシ樹脂26を1mm厚で塗布して、未硬化のうちに2枚の軟鋼板を図11(a)のように貼り合わせて硬化させたものを供試体Aとする。
(供試体B)
図11(b)に示す軟鋼板(2枚一対)の接着面に供試体Aと同様の表面処理を施した。上記試料に用いたグリス状シアノアクリレート4を1mm塗布してアミン含有硬化剤をスプレイして硬化させる。その上に、再度グリス状シアノアクリレート4を1mm厚で塗布し、未硬化の状態で不織布6をその上面に重ね、硬化剤を噴射して硬化させた。次いで、補強用のエポキシ樹脂26を1mm厚で塗布して、未硬化のうちに2枚の軟鋼板を図11(b)のように貼り合わせて硬化させたものを供試体Bとする。
【0039】
なお、図11(a)および(b)において、L1=100mm、L2=12.5mmとした。
【0040】
(試験方法)
これらの供試体AおよびBを用いて、不織布による効果を検証するために、引張剪断接着強さ試験方法(JIS K 6850)に準拠して試験を実施した。なお、供試体の養生は室温で7日間とした。この試験結果を表3に示す。
【0041】
【表3】
【0042】
表3に示すように、試験温度が22℃の場合、引張剪断接着強さは、不織布のある供試体Bが14N/mm2であり、不織布のない供試体Aは11N/mm2であり、不織布の存在による接着強度の向上が確認された。また、試験温度が80℃の場合、引張剪断接着強さは、不織布のない供試体Aは2N/mm2であり、一方、不織布のある供試体Bが10N/mm2であり、不織布の存在による接着強度の向上の効果が大きいことがわかる。
【0043】
また、破壊状況についても、80℃においては、供試体Aが95%のエポキシ樹脂の凝集破壊であることに対して、供試体Bはエポキシ樹脂−α−シアノアクリレート間の界面破壊100%である。
【0044】
以上の結果から、本発明の工程において不織布による補強工程を含めることにより、引張剪断接着強さを著しく向上させることができるといえる。
【0045】
以上のように本発明の実施の形態および実施例について説明を行なったが、上述の各実施の形態および実施例の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。
【0046】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の油入機器の漏油止め工法は、潤滑油、絶縁油などの配管の漏油補修に有効であり、また、変圧器などの冷却絶縁油等の油漏れ補修に対する有効性が大きい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】従来の漏油防止工法による止油箇所を示す概略図である。
【図2】本発明の漏油防止工法による止油箇所を示す概略図である。
【図3】本発明の漏油防止工法においてアミン含有硬化剤による硬化方法の一例を示す概略図である。
【図4】漏油防止工法の施工面積を示す概略図である。
【図5】漏油防止部分および漏油防止工法の施工面積を示す概略図である。
【図6】配管における漏油防止部分および漏油防止工法の施工面積を示す概略図である。
【図7】垂直面に対する本発明の漏油防止工法の一例を示す概略図である。
【図8】水平面に対する本発明の漏油防止工法の一例を示す概略図である。
【図9】耐漏油試験に用いた圧力容器供試体を示す概略図である。
【図10】(a)試料1による漏油防止工法を示す概略図であり、(b)試料2による漏油防止工法を示す概略図であり、(c)試料3による漏油防止工法を示す概略図である。
【図11】(a)不織布を含まない漏油防止工法を示す概略図であり、(b)不織布を含む漏油防止工法を示す概略図である。
【符号の説明】
【0049】
1 油、2 油入機器、3,23 エポキシ樹脂、4 グリス状接着性組成物、5 スプレイ容器、6,7 不織布、8 配管、9 硬化性樹脂、10 ウレタン樹脂、11 アクリル塗料、12 圧力容器本体、13 圧力ゲージ、14 給油口、15 圧力調整弁、16 排油口、17 パッキン、18 フランジ、19 ボルト、20 ナット、21 ワッシャ、22 バルブ、24 ビニルエステル樹脂。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
漏油箇所にα−シアノアクリレート樹脂と微粉末とを少なくとも含むグリス状接着性組成物を塗布する第1塗布工程と、
前記第1塗布工程と同時に、塗布した前記グリス状接着性組成物にアミン含有硬化剤をスプレイし、瞬時に硬化させて油止めする第1硬化工程と、
さらにα−シアノアクリレート樹脂と微粉末とを少なくとも含むグリス状接着性組成物を塗布する第2塗布工程と、
前記第2塗布工程において塗布したグリス状接着性組成物を不織布で補強する補強工程と、
前記第2塗布工程において塗布した前記グリス状接着性組成物にアミン含有硬化剤をスプレイする第2硬化工程と、
前記不織布の上に硬化性樹脂を塗布する第3塗布工程とを含み、
前記補強工程は、前記第2塗布工程において塗布したグリス状接着性組成物が硬化する前に行ない、
前記硬化性樹脂は、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂およびエポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含む樹脂である油入機器の漏油止め工法。
【請求項1】
漏油箇所にα−シアノアクリレート樹脂と微粉末とを少なくとも含むグリス状接着性組成物を塗布する第1塗布工程と、
前記第1塗布工程と同時に、塗布した前記グリス状接着性組成物にアミン含有硬化剤をスプレイし、瞬時に硬化させて油止めする第1硬化工程と、
さらにα−シアノアクリレート樹脂と微粉末とを少なくとも含むグリス状接着性組成物を塗布する第2塗布工程と、
前記第2塗布工程において塗布したグリス状接着性組成物を不織布で補強する補強工程と、
前記第2塗布工程において塗布した前記グリス状接着性組成物にアミン含有硬化剤をスプレイする第2硬化工程と、
前記不織布の上に硬化性樹脂を塗布する第3塗布工程とを含み、
前記補強工程は、前記第2塗布工程において塗布したグリス状接着性組成物が硬化する前に行ない、
前記硬化性樹脂は、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂およびエポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含む樹脂である油入機器の漏油止め工法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−292972(P2009−292972A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−149551(P2008−149551)
【出願日】平成20年6月6日(2008.6.6)
【出願人】(000156938)関西電力株式会社 (1,442)
【出願人】(591151808)株式会社環境総合テクノス (23)
【出願人】(508171309)アスカライニング工事株式会社 (1)
【出願人】(508171169)株式会社信陽ケミカル (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月6日(2008.6.6)
【出願人】(000156938)関西電力株式会社 (1,442)
【出願人】(591151808)株式会社環境総合テクノス (23)
【出願人】(508171309)アスカライニング工事株式会社 (1)
【出願人】(508171169)株式会社信陽ケミカル (1)
【Fターム(参考)】
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