説明

油分除去能に優れた掃除機能付き空気調整機

【課題】プレフィルタの網の表面に耐久性に富み、さらに汚染除去性にも優れた特定の含フッ素ポリマーの被膜が形成されているプレフィルタを有する掃除機構を備えた空気調整機を提供する。
【解決手段】プレフィルタの表面に付着した埃を機械的に除去する掃除機能を有する空気調整機であって、該プレフィルタが、合成樹脂製、金属製またはセラミックス製の網を有し、該網の表面の一部または全部に撥水撥油性の樹脂を含む塗料組成物を網の表面に塗布し硬化させて得られる撥水撥油性の被膜を有していることを特徴とする掃除機能を有する空気調整機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレフィルタを機械的に掃除する機能を有する空気調整機に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機や空気清浄機などの空気調整機の室内の空気の吸い込み箇所には、空気中の埃や汚れが空気調整機内に取り込まれないように網からなるプレフィルタが設けられている。このプレフィルタは通常、合成樹脂製(または金属製)の網と支持枠とから構成されている。
【0003】
室内の埃や汚れは、綿埃、砂塵、泥、タバコの煙などの不溶性の埃のほか、タバコのヤニなどの水溶性の汚れ、油煙、煤、排気ガスなどの油溶性の汚れなど、多岐に亘っており、プレフィルタに付着する付着物はこれらが複合した形となっている。こうした付着した汚れは光や空気中の酸素などにより変質し、どんどん除去しにくい汚れとなっていく。
【0004】
したがって付着した汚れは初期に除去することが重要であり、この観点から、最近、プレフィルタの表面に付着した埃を機械的に除去する掃除機能付きの空気調整機が提案され販売されている。
【0005】
プレフィルタ上の埃を掃除する機構は各種のものが提案されており、大別して、掃除機能を有する装置が固定したプレフィルタ上を移動するタイプ(固定フィルタ型)と、掃除機構を固定しておきプレフィルタ側を動かすタイプ(可動フィルタ型)とがある。また、それぞれのタイプにおいて、ブラシなどでプレフィルタ表面を擦って埃を掻き落とすタイプ(接触型)と、吸引ノズルなどで埃を吸い取ったり、空気を吹き付けて埃を吹飛ばしたりするタイプ(非接触型)がある。さらにまた、フィルタから埃を取り除くその他の方法としては、フィルタに振動や打撃を与えて落とす方法や、静電吸着する方法、水などで洗浄する方法などや、これらを組み合わせた方法などが挙げられる。
【0006】
しかし、水などの洗浄媒体が別途必要となる洗浄する方法を除いては、いずれのタイプにおいても、プレフィルタの網の表面に付着した綿埃などを物理的に掻き落としたり、吸引するなどの取り除く機能しか有さず、プレフィルタの網の表面に付着した埃以外の汚れ、たとえば上記のタバコのヤニなどの水溶性汚れや油煙などの油性汚れの除去はできない。
【0007】
また、水などで洗浄する場合においても、劣化したタバコのヤニなどの水溶性汚れや油煙などの油性汚れは落ち難く、十分な効果は得られていない。
【0008】
また、プレフィルタは網目の大きさ(メッシュ)により、その孔を通過しないものを捕捉するものであるが、空気中には微細な汚れ(タバコの煙、煤、砂塵など)があり、それらも集塵するために、網を帯電させ、電気的に捕捉することも行われている。その1つの方法として、網を構成する繊維の外表面に帯電性に富むフッ素樹脂をコーティングすることが提案されており、水洗いも可能になったと記載されている(特許文献1、特許文献2)。
【0009】
さらに特許文献3には、油分を含んだ塵埃の付着を防止するためにバインダーなどを用いてフッ素樹脂をコーティングすることが提案されている。
【0010】
【特許文献1】特開平08−224413号公報
【特許文献2】特開平08−224414号公報
【特許文献3】特開2006−122871号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、かかる特許文献1、2には単にフィルタにフッ素樹脂をコーティングするとしか記載されておらず、その具体的な解決策は示されていない。
【0012】
たとえば、フッ素樹脂の被膜を形成するには通常は高温での焼成が必要であるが、フッ素樹脂よりも耐熱性に乏しい合成樹脂で作製されたプレフィルタにどのようにフッ素樹脂の被膜を形成させるのか、どのようなフッ素樹脂を用いるのかなど、実施するために必要な教示がない。
【0013】
さらに、一般にフッ素樹脂は他の合成樹脂への密着性がわるく、単にフッ素樹脂を付着しただけでは、プレフィルタの表面をブラシで擦ったり掻いたりする掃除機構を備えた空気調整機では、特に耐久性に問題がある。
【0014】
また特許文献3においてもフッ素樹脂という単語しか記載されておらず、バインダーが別途必要なことから、フッ素樹脂粒子をプレフィルタの網の合成樹脂と接着性のよいバインダー中に分散させて被膜を形成することを想定しているものと考えられる。
【0015】
しかし、こうしたフッ素樹脂粒子の分散被膜ではフッ素樹脂の効果を効率的に活かすことは難しく、また、フッ素樹脂はバインダーとの密着性もわるいので、フッ素樹脂粒子の脱落も生じ、掃除機構を備えた空気調整機では特に耐久性に問題が残る。
【0016】
本発明の課題は、従来のプレフィルタと同様な素材のプレフィルタであっても、その網の表面に耐久性に富み、さらに汚染除去性にも優れた特定の合成樹脂被膜が形成されているプレフィルタを有する掃除機構を備えた空気調整機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、プレフィルタの表面に付着した埃を機械的に除去する掃除機能を有する空気調整機であって、該プレフィルタが、合成樹脂製、金属製またはセラミックス製の網を有し、該網の表面の一部または全部に撥水撥油性の樹脂を含む塗料組成物を網の表面に塗布し硬化させて得られる撥水撥油性の被膜を有していることを特徴とする掃除機能を有する空気調整機に関する。
【0018】
空気調整機としては、特に屋内で使用する空気調和機、空気清浄機、除湿機などが好ましく例示できる。また、プレフィルタの掃除機構としては、従来公知の固定フィルタ型、可動フィルタ型、接触型、非接触型のいずれも採用できる。具体的には後述する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、密着性に優れた撥水撥油性の被膜がプレフィルタの表面に形成されているので、水溶性汚れや油性汚れなどの粘着性の汚れが埃側に付着または吸着し、掃除機構によってプレフィルタの表面を掃除することにより、埃と一緒にそうした粘着性の汚れも除去することができる。
【0020】
また被膜はプレフィルタと密着性に優れているので、掃除機構による機械的な作用に対しても充分な耐久性をもち、全体として長期間の汚れ防止が達成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明は、(1)プレフィルタの表面に付着した埃を機械的に除去する掃除機能を有する空気調整機であること、(2)該プレフィルタが、合成樹脂製、金属製またはセラミックス製の網を有し、該網の表面の一部または全部に撥水撥油性の樹脂を含む塗料組成物を網の表面に塗布し硬化させて得られる撥水撥油性の被膜を有していることを特徴とする。
【0022】
以下、各構成要素について具体的に説明する。
【0023】
(1)プレフィルタの表面に付着した埃を機械的に除去する掃除機能を有する空気調整機
上記したように、プレフィルタ上の埃を掃除する機構は各種のものが提案されており、大別して、掃除機能を有する装置が固定したプレフィルタ上を移動するタイプ(固定フィルタ型)と、掃除機構を固定しておきプレフィルタ側を動かすタイプ(可動フィルタ型)とがある。また、それぞれのタイプにおいて、ブラシなどでプレフィルタ表面を擦って埃を掻き落とすタイプ(接触型)と、吸引ノズルなどで埃を吸い取るタイプ(非接触型)をはじめ、埃を吹飛ばすタイプ、振動や打撃により埃を落とすタイプ、静電吸着するタイプ、洗浄するタイプ、およびそれらを組み合せたタイプなどがある。
【0024】
固定フィルタ型の空気調和機の典型例を図1および図2により説明する。図1は固定フィルタ型の空気調和機1の概略斜視図であり、プレフィルタ2は固定されており、空気調和運転終了後にプレフィルタ2上を掃除機構3が移動する。図2は掃除機構3とプレフィルタ2の関係を示す概略部分断面図であり、プレフィルタ2上に堆積した埃4をブレード5で掻き取り、掃除機構3内に設けられている吸引ダクト6に吸い込む。
【0025】
固定フィルタ型の例としては、接触型として実開平04−33916号公報、特開平11−14093号公報などに記載されたものがあり、非接触型として特開2004−283703号公報、特開2005−137995号公報、特開2005−140403号公報、特開平08−5122号公報などに記載されたものがあり、さらに掻き取りと吸引の複合型として、特開平2005−90956号公報に記載されたものがある。そのほか振動などを加えるタイプのものとして特開平11−33327号公報や特開平10−227477号公報などに記載されたものがある。
【0026】
可動フィルタ型の空気調和機の典型例を図3および図4により説明する。図3は可動フィルタ型の空気調和機10の概略斜視図であり、空気調和運転終了後にプレフィルタ11が下方向に掃除機構12の下側を移動する。図4は掃除機構12とプレフィルタ11の関係を示す概略部分断面図であり、プレフィルタ11上に堆積した埃14をパワーブラシ13の回転により吸引ダクト15内に掻き落とす。
【0027】
可動フィルタ型の例としては、接触型として特開2004−113896号公報、特開2004−286344号公報、特開2004−156794号公報、実開平03−83723号公報などに記載されたものがあり、非接触型として特開2004−347251号公報、特開平01−23036号公報などに記載されたものがあり、複合型として特開平10−2604号公報などに記載されたものがある。そのほか、振動などを加えるタイプのものとして特開2005−9756号公報や特開平05−187654号公報などに記載されたものがある。
【0028】
(2)撥水撥油性の被膜を表面に有するプレフィルタ
こうした掃除機構によって、従来のプレフィルタでも埃は除去できるが、上記のとおり、プレフィルタに付着した水溶性汚れや油性汚れなどの粘着性の汚れ(以下、併せて単に「粘着性汚れ」ということもある)を除去することはできず、定期的にプレフィルタを取り外して洗浄する必要があった。また、洗浄するにしても、水で洗い流すだけでは汚れは十分に落ちず、洗剤やブラシなどの併用が必要であった。
【0029】
本発明では、合成樹脂製、金属製またはセラミックス製の網を有するプレフィルタにおいて、該網の表面の一部または全部に撥水撥油性の樹脂を含む塗料組成物を網の表面に塗布し硬化させて得られる撥水撥油性の被膜を設けるという構成を採ることにより、水溶性汚れや油性汚れなどの粘着性の汚れが埃側に付着または吸着し、従来の掃除機構によってプレフィルタの表面を掃除することにより、埃と一緒にそうした粘着性の汚れも除去することができる。
【0030】
プレフィルタの表面を撥水撥油性にすることにより水溶性汚れと油性汚れの両方を埃側に付着させる理由は明確ではないが、一般に、埃の主成分は各種の繊維からなる綿埃と、珪酸、酸化鉄、酸化アルミ二ウムなどを主成分とする砂塵であり、撥水性および撥油性の点からはいずれも中間的な性状である。そのときプレフィルタの表面を撥水性と撥油性のいずれにおいても高い(水も油もはじく)状態にすると、その撥水性が故に水溶性汚れはプレフィルタ表面よりも埃側に親和し、埃に付着する。同じく、油性汚れはプレフィルタ表面の撥油性が故にプレフィルタ表面よりも埃側に親和し、埃に付着する。
【0031】
本発明において、被膜の撥水撥油性とは、被膜表面の対水接触角および対油接触角のいずれもが高い性質をいう。具体的には、80度以上の対水接触角と35度以上の対油接触角を有する被膜であることが、水溶性の汚れおよび油溶性の汚れのいずれもが被膜と親和性が悪く(被膜に付着することがなく)、したがって綿埃や砂塵などの方に吸収される点から好ましい。対水接触角および対油接触角の測定方法については後述する。
【0032】
さらに好ましい対水接触角は、水性汚れ付着防止性がさらに優れることから90度以上、特に100度以上である。
【0033】
さらに好ましい対油接触角は、油汚れ付着防止性がさらに優れることから45度以上である。
【0034】
撥水撥油性の被膜は、撥水撥油性の樹脂を含む塗料組成物をプレフィルタの網の表面に塗布し硬化させて形成される。
【0035】
かかる塗料組成物としては、(A)官能基Xを含有する合成樹脂、(B)防汚成分および(C)硬化剤を含む組成物であって、防汚成分(B)が(B1)官能基Xおよび/または硬化剤(C)と反応し得る官能基Y1を有する液状のポリジアルキルシロキサン、または(B2)官能基Xおよび/または硬化剤(C)と反応し得る官能基Y2を有する液状のフルオロポリエーテルである常温硬化性の塗料組成物が好ましい。
【0036】
この塗料組成物では、防汚成分(B)が撥水撥油性を発揮するが、さらに合成樹脂(A)を撥水撥油性の樹脂とする場合、より一層、粘着性汚れが付着しにくい表面状態にすることができ、そうした粘着性汚れを埃側に移すことができる。
【0037】
また、本発明で形成される被膜では、防汚成分(B)が官能基の働き(反応)により、硬化剤(C)を介して合成樹脂(A)と強固に結合される。したがって、防汚成分(B)が被膜から脱落することもなく、耐久性に富むものになる。
【0038】
かかる塗料組成物としては、たとえば国際公開第2004/067658号パンフレットに記載されている塗料組成物が具体例、好ましい範囲とともに例示できる。
【0039】
そのなかでも、室内の空気の調整用である空気調整機用のプレフィルタに好適な合成樹脂(A)としては、たとえば含フッ素ポリマー、アクリルポリマー、ポリエステルポリマー、ウレタンポリマー、エポキシポリマーなどが例示できるが、特に撥水撥油性に優れた含フッ素ポリマーが好ましい。
【0040】
また、合成樹脂(A)が有する官能基Xとしては、水酸基、カルボキシル基および/またはエポキシ基が、硬化性、基材密着性が良好な点で好ましい。
【0041】
具体的な好ましい含フッ素ポリマーとしては、たとえばテトラフルオロエチレン(TFE)/アルキルビニルエーテル/ヒドロキシブチルビニルエーテル(HBVE)系共重合体、TFE/アルキルビニルエステル/HBVE系共重合体、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)/アルキルビニルエーテル/HBVE系共重合体、TFE/アルキルビニルエーテル/マレイン酸系共重合体、CTFE/アルキルビニルエーテル/マレイン酸系共重合体などの共重合体があげられるが、これらに限定されるものではない。これらのうち特にTFE/アルキルビニルエーテル/HBVE系共重合体、TFE/アルキルビニルエステル/HBVE系共重合体が、さらに防汚性、耐油性、硬化剤相溶性が良好な点から好ましい。
【0042】
合成樹脂(A)の他の好ましい具体例としては、たとえばアクリルポリマー、ポリエステルポリマー、ウレタンポリマー、エポキシポリマーなどがあげられる。
【0043】
また、防汚成分(B)としては、ポリジアルキルシロキサン(B1)が撥水性が良好な点から好ましく、ポリジアルキルシロキサン(B1)が有する官能基Y1としては、水酸基、アミノ基および/またはエポキシ基が、硬化性、プレフィルタの網への密着性が良好な点から好ましい。
【0044】
防汚成分(B)のうち、ポリジアルキルシロキサン(B1)の好ましい具体例としては、たとえばアミノ変性ポリジアルキルシロキサン、カルビノール変性ポリジアルキルシロキサン、カルボキシル変性ポリジアルキルシロキサン、エポキシ変性ポリジアルキルシロキサンなどがあげられ、特にアミノ変性ポリジアルキルシロキサンが、さらに硬化性が良好な点から好ましい。
【0045】
防汚成分(B)のうち官能基Xおよび/または硬化剤(C)と反応し得る官能基Y2を有する液状のフルオロポリエーテル(B2)の具体例としては、たとえば水酸基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、チオール基、ニトリル基、ヨウ素原子および/または加水分解性アルキルシリケート残基をもったフルオロポリエーテルなどがあげられる。
【0046】
前記のとおり、防汚成分(B)としては、ポリジアルキルシロキサン(B1)が好ましい。
【0047】
防汚成分(B)の配合量は、含フッ素ポリマー(A)の固形分100質量部に対して、0.001質量部以上、さらには0.01質量部以上、特に0.1質量部以上が好ましい。少なくなりすぎると汚染の付着防止効果や除去性が不充分になる。上限は30質量部、さらには10質量部、特に3質量部であり、多くなりすぎると塗膜の均一形成が困難になったり、粘着性がでてきたりする点に配慮する必要が生じてくる。
【0048】
硬化剤(C)としては、たとえばイソシアネート化合物、アミノ化合物およびエポキシ化合物があげられ、含フッ素ポリマー(A)および防汚成分(B)が有する官能基X、Y1およびY2との関係で適宜選択する。
【0049】
これらのうち特に、合成樹脂(A)が有する官能基Xが水酸基であり、防汚成分(B)が有する官能基Y1またはY2が水酸基またはアミノ基であり、硬化剤(C)がイソシアネート化合物である塗料組成物が、硬化性、防汚性が良好な点から好ましい。
【0050】
硬化剤(C)の具体例としては、たとえばイソシアネート化合物、アミノ化合物およびエポキシ化合物があげられ、含フッ素ポリマー(A)および防汚成分(B)が有する官能基X、Y1およびY2との関係で適宜選択する。
【0051】
イソシアネート化合物系硬化剤は、含フッ素ポリマー(A)および防汚成分(B)が有する官能基X、Y1およびY2が水酸基および/またはアミノ基である場合に効果的である。イソシアネート化合物にはブロックイソシアネート化合物も含まれ、具体例としては、たとえば2,4−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4´−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンメチルエステルジイソシアネート、メチルシクロヘキシルジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、n−ペンタン−1,4−ジイソシアネート、これらの三量体、これらのアダクト体やビュウレット体、これらの重合体で2個以上のイソシアネート基を有するもの、また、リジントリイソシアネート(具体的には2−イソシアナートエチル2,6−ジイソシアナートヘキサノエートなど)、さらにはブロック化されたイソシアネート類などがあげられるが、これらに限定されるものではない。
【0052】
また、加水分解性アルキルシリケート残基を有するイソシアネート化合物も好ましく使用できる。具体例としては、たとえばOCNC36Si(OCH33、OCNC36Si(OC253、OCNC36Si(OCOCH33、OCNC36Si(CH3)(OCH33などがあげられる。
【0053】
イソシアネート化合物と含フッ素ポリマー(A)との混合割合はNCO/OH(モル比)で0.5〜5.0が好ましく、さらに0.8〜1.5がより好ましい。また、イソシアネートが湿気硬化タイプの場合は1.1〜1.5が好ましい。
【0054】
アミノ化合物系硬化剤は、含フッ素ポリマー(A)および防汚成分(B)が有する官能基X、Y1およびY2がカルボキシル基、アミノ基またはエポキシ基である場合に効果的である。好ましい具体例としては、たとえばメラミン樹脂、尿素樹脂、グアナミン樹脂、アミンアダクト、ポリアミドなどがあげられる。
【0055】
市販品としては、三井サイテック(株)製のサイメル(商品名);エアプロダクツ社製のアンカミン(商品名)、エピリンク(商品名);ヘンケル社製のバーサミン(商品名)、バーサミド(商品名);富士化成工業(株)製のトーマイド(商品名)、フジキュアー(商品名);第一ゼネラル(株)製のバーサミド(商品名);ジャパンエポキシレジン(株)製のエピキュアー(商品名);三和化学(株)製のサンマイド(商品名);味の素(株)製のエポメート(商品名)などがあげられる。
【0056】
エポキシ化合物系硬化剤は、含フッ素ポリマー(A)および防汚成分(B)が有する官能基X、Y1およびY2がカルボキシル基、アミノ基またはエポキシ基である場合に効果的である。たとえばエポキシ樹脂、エポキシ変性シランカップリング剤などがあげられ、市販品としてはジャパンエポキシレジン(株)製のエピコート(商品名)、エピレック(商品名);カードライト社製のカードライト(商品名);日本ユニカー(株)製のコートジル1770(商品名)、A−187(商品名)などがあげられる。
【0057】
硬化剤(C)の配合量は、含フッ素ポリマー(A)と防汚成分(B)の官能基X、Y1およびY2の合計当量を1とした場合、0.3当量以上、さらには0.5当量以上、特に0.8当量以上が好ましい。少なくなりすぎると硬化が不充分になる。上限は4当量、さらには2当量、特に1.5当量であり、多くなりすぎると硬化の均一形成や粘着性の増大などの点に配慮する必要が生じてくる。
【0058】
本発明で用いる塗料組成物は、常温で硬化し得る(常温硬化性)であることが特に好ましい。常温硬化性とすることで、プレフィルタの網が合成樹脂製であっても、劣化させることなく防汚被膜を形成することができる。なお、プレフィルタの網の材料が金属やセラミックスなどの耐熱性材料である場合、または耐熱性合成樹脂である場合、それらの耐熱温度までであれば、加熱して硬化させてもよい。
【0059】
本発明に用いる塗料組成物には、各種の他の添加剤を配合してもよい。代表的な添加剤としては、抗菌剤、光触媒、帯電防止剤、顔料、顔料分散剤、増粘剤、レベリング剤、消泡剤、造膜助剤、紫外線吸収剤、艶消し剤、フィラー、コロイダルシリカ、防カビ剤、シランカップリング剤、皮張り防止剤、酸化防止剤、難燃剤、垂れ防止剤、防錆剤、水溶性樹脂(ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイドなど)、防腐剤、凍結防止剤などの塗料用添加剤があげられ、本発明の効果を損なわない範囲で配合してもよい。
【0060】
塗料組成物の形態としては、水性分散型塗料組成物でも、溶剤型塗料組成物でもよいが、乾燥性が良好な点から溶剤型塗料組成物が好ましい。
【0061】
溶剤型塗料組成物とする場合、有機溶剤としては、たとえばキシレン、トルエンなどの炭化水素系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤;酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトンなどのケトン系溶剤;N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルアセトアミド、アセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルホルムアミドなどのアミド系溶剤;メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール系溶剤;ジメチルスルホキシドなどが例示できる。これらのうち、特に酢酸ブチル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノブチルエーテル、メチルエチルケトンが、溶解性、乾燥性が良好な点から好ましい。
【0062】
塗料組成物の固形分濃度としては、通常1質量%以上、好ましくは10質量%以上であり、また80質量%以下、さらには50質量%以下であることが好ましい。
【0063】
プレフィルタの網の材質は、合成樹脂のほか金属やセラミックスでもよいが、軽量化の点、錆や腐食が生じにくい点から合成樹脂製のプレフィルタが好ましい。
【0064】
プレフィルタの網を構成する合成樹脂としては、現在使用されているポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリエステル(たとえばポリエチレンテレフタレート(PET)など)、ポリ塩化ビニリデンなどでよい。
【0065】
プレフィルタの網を構成する金属やセラミックスとしては、ステンレスや銅、アルミ、チタンなどの金属繊維、ガラス繊維や石綿繊維などのセラミックスが例示できる。
【0066】
具体的には、ステンレス(SUS304,SUS316,SUS316L,SUS430,SUS310Sほか)、ニッケル、モネル、黄銅、丹銅、燐青銅、銅、鉄、亜鉛引鉄線、鋼、アルミニウム、チタン、ニクロム、ハステロイ、インコネルなどの金属繊維、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、マイカ、窒化珪素、ガラス、PZT、黒鉛、炭素繊維などのセラミックスが例示できる。
【0067】
以下に特に好ましい塗料組成物における合成樹脂(A)、防汚成分(B)および硬化剤(C)、任意成分(D)の組合せの具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0068】
塗料組成物1
含フッ素ポリマー(A):水酸基含有フルオロオレフィン樹脂
防汚成分(B):アミノ基含有ポリジアルキルシロキサン
硬化剤(C):加水分解性アルキルシリケート残基含有イソシアネート(さらに要すればポリイソシアネート)
添加剤(D):ジブチル錫ジラウレート(DBTDL)(任意)
塗料形態:溶剤型(溶剤:酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸プロピレングリコールモノブチルエーテルなど)
プレフィルタの網の材質:ポリエステル(特にPET)
【0069】
塗料組成物2
含フッ素ポリマー(A):フルオロオレフィン樹脂と水酸基含有非フッ素系樹脂とのブレンド
防汚成分(B):アミノ基含有ポリジアルキルシロキサン
硬化剤(C):ポリイソシアネート
添加剤(D):ジブチル錫ジラウレート(DBTDL)(任意)
塗料形態:溶剤型(溶剤:酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸プロピレングリコールモノブチルエーテルなど)
プレフィルタの網の材質:ポリエステル(特にPET)
【0070】
塗料組成物3
含フッ素ポリマー(A):水酸基含有フルオロオレフィン樹脂
防汚成分(B):アミノ基含有ポリジアルキルシロキサン
硬化剤(C):アミノ化合物
添加剤(D):パラトルエンスルホン酸
塗料形態:溶剤型(溶剤:酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸プロピレングリコールモノブチルエーテルなど)
プレフィルタの網の材質:ポリエステル(特にPET)
【0071】
塗料組成物4
樹脂(A):カルボキシル基含有フルオロオレフィン樹脂
防汚成分(B):アミノ基含有ポリジアルキルシロキサン
硬化剤(C):アミノ化合物
添加剤(D):ジブチル錫ジラウレート(DBTDL)(任意)
塗料形態:溶剤型(溶剤:酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸プロピレングリコールモノブチルエーテルなど)
プレフィルタの網の材質:ポリアミド
【0072】
本発明は掃除機構を備えた空気調整機である。空気調整機としては、家庭用か業務用かを問わず、空気調和機、空気清浄機、除湿機などがあげられ、それぞれの製造会社や機種により、形状や大きさなどは異なるが、プレフィルタは基本的に、図5に概略斜視図として示すように、支持枠21と網22とからなり、網22は一体となった合成樹脂の繊維23で構成されている。もちろん、繊維23の織布でもよいが、縦糸や横糸がずれることもあり、繊維同士は熱または接着剤により接着されている。
【0073】
また、プレフィルタの形状は、集塵のしやすさ、圧損の軽減、掃除のしやすさ、掃除の頻度などを考慮して、各種のものが採用できる。たとえば、網の織り方としては、比較的目が細かく(細かい埃まで取りやすく)、埃を捕集しても圧損が上がりにくい(掃除の頻度が少なくて済む)立体織りがよく使われているが、近年は、凹凸が少なく掃除がしやすい平織りのタイプも使われるようになってきている。
【0074】
網の目開き(メッシュ)は、適用する空気調整機の種類、機種、用途、形態などにより異なるが、家庭用の空気調和機では通常25〜80メッシュ(約250μm〜約1mm)である。
【0075】
本発明で使用するプレフィルタは、平織りでも立体織りでも、またプリーツ有りでも無しでもよく、公知のプレフィルタに合わせたものを提供することができる。
【0076】
プレフィルタの網への塗布方法としては、スプレー塗装、ディッピング塗装、ロール塗装などが使用でき、プレフィルタの形状、大きさ、材質などによって適切な方法を採用すればよい。また、プライマー塗料を予め塗装してもよい。
【0077】
塗装後、乾燥し、硬化剤による硬化を促せる。硬化は加熱してもよいが、上記のとおり、常温で放置することが網の劣化を防ぐ観点から好ましい。
【0078】
形成する被膜の膜厚は、通常0.1μm以上、さらには1μm以上、特に2μm以上であることが、フィルタの清掃性(粘着汚れがフィルターにこびり付き難く、埃や砂塵に吸収され易い)が良好なことから好ましく、50μm以下、さらには30μm以下、特に10μm以下であることが、塗装時におけるフィルタの目詰まりを防ぐ上で、また、圧力損失の増加を抑制するのに加え、塗装にかかる塗料費用(必要以上に塗料を使わない)や塗装費用(必要以上に塗装したり、乾燥時間を要したりしない)を抑えることや、塗料の剥がれを防止することから好ましい。
【0079】
被膜は網の表面全部(連続被膜)でも、一部(不連続被膜)でもよい。プレフィルタが可撓性でその取扱い時に変形することを考慮すると、一部(不連続被膜)にすることが、被膜のひび割れなどが生じず、好ましい。不連続被膜を形成するには、たとえば塗料組成物の溶剤として網の合成樹脂に対して親和性の低いものを使用する方法、塗装方法を工夫する(スプレー、グラビア塗装等)方法などがある。
【0080】
塗装方法によって、網の目に塗料組成物が残り、網目を潰してしまうことがある。こうした目詰まりが多くなりすぎるとフィルタ機能が損なわれ、また圧損が大きくなる。目詰まりの程度は、全体の網目の数の1/3以下、さらには1/10以下にすることが、良好な集塵と圧損の抑制、さらにはフィルタ外観が損なわれにくい点から好ましい。
【0081】
このように本発明の特定のプレフィルタを用いるとき、水溶性汚れや油性汚れなどの粘着性の汚れが埃側に付着または吸着し、従来の掃除機構によってプレフィルタの表面を掃除することにより、埃と一緒にそうした粘着性の汚れも除去することができる。
【実施例】
【0082】
つぎに実施例をあげて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0083】
実施例1
含フッ素ポリマー(A)としてゼッフルGK−510(水酸基含有テトラフルオロエチレン共重合体。水酸基価60mgKOH/g、酸価9mgKOH/g、数平均分子量12000、フッ素含有率36質量%、樹脂の屈折率1.4、酢酸ブチル溶液、固形分50質量%)を100質量部、防汚成分(B)としてアミノ基含有シリコーンオイル(NUC SILICONE FZ3705(商品名)。日本ユニカー(株)製のアミノ変性シリコーンオイル。粘度230mm2/s、アミノ当量4000)を1質量部、硬化剤(C)としてコロネートHX(商品名)(日本ポリウレタン(株)製のイソシアネート系硬化剤)を12質量部、および硬化促進剤としてジブチル錫ジラウレート(DBTDL)の1%酢酸ブチル溶液を2質量部配合し、希釈剤として酢酸ブチル165質量部、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート30質量部を配合し、固形分濃度20質量%の塗料組成物を調製した。
【0084】
この塗料組成物を常法により、つぎのプレフィルタにスプレー塗装し、圧縮空気をフィルタにあて、目詰まりをなくした後、100℃で10分間焼き付けし、乾燥・硬化させて膜の表面にフッ素樹脂被膜を形成させ、本発明のプレフィルタ1を作製した。
【0085】
(プレフィルタの仕様)
支持枠:ポリプロピレン製
網:PET製
網の目開き(メッシュ):縦50メッシュ、横35メッシュ
網の繊維径:75デニール
寸法:縦355mm、横400mm
【0086】
得られたプレフィルタ1の目詰まりは顕微鏡観察によれば、全体の1%であった。
【0087】
つぎにプレフィルタ1および被膜を形成する前のプレフィルタ(比較用プレフィルタ)の基材(PET)について、それぞれの対水接触角および対油接触角を調べた。プレフィルタ自身の接触角は測定できないので、上記と同様にしてフッ素樹脂被膜を形成したPETシートと、被膜形成前のPETシートの接触角を測定した。その結果、フッ素樹脂被膜を形成したPETシート(プレフィルタ1に相当)の対水接触角は103度であり、対油接触角は50度であった。被膜形成前のPETシート(比較用プレフィルタに相当)の対水接触角は80度であり、対油接触角は15度であった。
【0088】
(対水接触角)
接触角計(協和界面科学(株)製)を用いて純水の2μlの液量での接触角を測定する。液を載せてから1秒後に測定する。
【0089】
(対油接触角)
接触角計(協和界面科学(株)製)を用いて流動パラフィン粘度70cStの2μlの液量での接触角を測定する。液を安定させるため、液を載せてから10秒後に測定する。
【0090】
また、プレフィルタ1について、折り曲げ耐久試験を行った結果、10回の折り曲げ後でも、脱落した被膜はほとんどなかった。
【0091】
(折り曲げ耐久試験方法)
プレフィルタを180度折り曲げた後に反対方向に180度折り曲げる操作を1サイクルとし、10サイクル繰り返す。その後、折り曲げ部を目視観察しハガレの有無を目視で観察する。
【0092】
つぎにプレフィルタ1および被膜を形成する前のプレフィルタ(比較用プレフィルタ)をそれぞれ15m2の喫煙室の空気調和機(掃除機能なし)に設置し、1ヵ月運転した後、プレフィルタを取り外し、ガーゼを使用して、2往復拭取りを行った。評価は、拭取り前後の汚れ状態を目視で行う。なお、掃除機能なしの空気調和機を使用した理由は、空気調和機の種類、能力によって効果の評価が左右されないようにするためである。
【0093】
その結果、本発明のプレフィルタ1では取り付け時と同様の程度にまで、煙草のヤニ汚れが落ち、ほとんど汚れが分からなくなったが、比較用のプレフィルタでは煙草のヤニ汚れはほとんど落ちなかった。
【0094】
またさらに、上記の喫煙室の空気調和機(掃除機能なし)に設置し、1ヵ月運転した後、プレフィルタを取り外し、(株)東芝製掃除機(VC-J5E)を使用して、吸引量弱にて、2往復吸込み掃除を行った。評価は、掃除前後の汚れ状態を目視で行う。なお、掃除機能なしの空気調和機を使用した理由は、空気調和機の種類、能力によって効果の評価が左右されないようにするためである。
【0095】
その結果、本発明のプレフィルタ1では取り付け時と同様の程度にまで、煙草のヤニ汚れが落ち、ほとんど汚れが分からなくなったが、比較用のプレフィルタでは煙草のヤニ汚れはほとんど落ちなかった。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の固定フィルタ型の掃除機構を備えた空気調和機の概略斜視図である。
【図2】図1に示す掃除機構とプレフィルタの関係を説明するための概略部分断面図である。
【図3】本発明の可動フィルタ型の掃除機構を備えた空気調和機の概略斜視図である。
【図4】図3に示す掃除機構とプレフィルタの関係を説明するための概略部分断面図である。
【図5】本発明の空気調整機に用いるプレフィルタの概略斜視図である。
【符号の説明】
【0097】
1、10 空気調和機
2、11 プレフィルタ
3、12 掃除機構
4、14 埃
5 ブレード
6、15 吸引ダクト
13 パワーブラシ
21 支持枠
22 網
23 網の繊維

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレフィルタの表面に付着した埃を機械的に除去する掃除機能を有する空気調整機であって、該プレフィルタが、合成樹脂製、金属製またはセラミックス製の網を有し、該網の表面の一部または全部に撥水撥油性の樹脂を含む塗料組成物を網の表面に塗布し硬化させて得られる撥水撥油性の被膜を有していることを特徴とする掃除機能を有する空気調整機。
【請求項2】
前記プレフィルタの網の表面の被膜が、80度以上の対水接触角と35度以上の対油接触角を有する請求項1記載の空気調整機。
【請求項3】
前記プレフィルタの網の表面の被膜形成用の塗料組成物が、(A)官能基Xを含有する合成樹脂、(B)防汚成分および(C)硬化剤を含む組成物であって、防汚成分(B)が(B1)官能基Xおよび/または硬化剤(C)と反応し得る官能基Y1を有する液状のポリジアルキルシロキサン、または(B2)官能基Xおよび/または硬化剤(C)と反応し得る官能基Y2を有する液状のフルオロポリエーテルである常温硬化性の塗料組成物である請求項1または2記載の空気調整機。
【請求項4】
前記プレフィルタの網の表面の被膜形成用の塗料組成物において、合成樹脂(A)がフッ素樹脂であり、官能基Xが水酸基、カルボキシル基および/またはエポキシ基である請求項3記載の空気調整機。
【請求項5】
前記プレフィルタの網の表面の被膜形成用の塗料組成物において、ポリジアルキルシロキサン(B1)が有する官能基Y1が、水酸基、アミノ基および/またはエポキシ基である請求項3または4記載の空気調整機。
【請求項6】
前記プレフィルタの網の表面の被膜形成用の塗料組成物において、硬化剤(C)が、イソシアネート化合物、アミノ化合物および/またはエポキシ化合物である請求項3〜5のいずれかに記載の空気調整機。
【請求項7】
前記プレフィルタの網の表面の被膜形成用の塗料組成物において、合成樹脂(A)が水酸基を有するフッ素樹脂であり、防汚成分(B)が有する官能基Y1またはY2が水酸基またはアミノ基であり、硬化剤(C)がイソシアネート化合物である請求項3記載の空気調整機。
【請求項8】
前記プレフィルタの網の表面の被膜形成用の塗料組成物において、さらに抗菌剤を含む請求項1〜7のいずれかに記載の空気調整機。
【請求項9】
前記プレフィルタの網の表面の被膜形成用の塗料組成物において、さらに光触媒を含む請求項1〜8のいずれかに記載の空気調整機。
【請求項10】
前記プレフィルタの網が合成樹脂製であり、該合成樹脂がポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリ塩化ビニルまたはポリ塩化ビニリデンである請求項1〜9のいずれかに記載の空気調整機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−14559(P2008−14559A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−185353(P2006−185353)
【出願日】平成18年7月5日(2006.7.5)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】