説明

油圧ショベル

【課題】作業腕の先端に取付ける作業装置に作動油を、簡単な部品構成および容易な組立で供給することができる油圧ショベルを提供する。
【解決手段】油圧ショベルが、作業腕(16)の先端に取付けられる作業装置を揺動作動させる油圧シリンダ(22)と、この油圧シリンダに接続された作動油給排用の一対の油圧ホース(24a、24b)と、この油圧シリンダの近傍に取付けられた一対の油圧配管(26a、26b)を備え、この油圧配管の各々が、一端に上記一対の油圧ホースを油圧シリンダから外して接続することができる接続部(A1、A2)を備え、作業腕(16)の先端に向けて延びた他端に作動油給排用の接続部(B1、B2)を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベル、さらに詳しくは作業腕の先端に取付けられる作業装置に作動油を、安価で設置容易な構成で、供給できる油圧ショベルに関する。
【背景技術】
【0002】
汎用作業機である油圧ショベルの作業腕の先端には、標準的に取付けられる作業装置のバケットに代えて、作業に応じて、例えば把持装置、プロセッサ、グラブバケットなどの種々の作業装置が適宜に取付けられる。
【0003】
これらの作業装置の多くは、油圧アクチュエータを装備しているので、作業装置を取付ける際には、作動油を供給するための、機体本体の油圧源から作業腕に沿って作動油供給用の専用の配管が取付けられる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−183206号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したとおりの形態の従来の油圧ショベルには、次のとおりの改善の望まれている課題がある。
【0005】
すなわち、作業装置に作動油を供給するには、機体本体から作動油給排用に少なくとも2本の専用の油圧配管を、作業腕に沿って先端部まで設置しなければならない。また、作動油の給排を制御するための切換弁も必要である。したがって、作業装置用の油圧配管の設置には、部品コスト、組立コストなど、多くのコストがかかる。
【0006】
本発明は上記事実に鑑みてなされたもので、その技術的課題は、作業腕の先端に取付ける作業装置に作動油を、簡単な部品構成および容易な組立で供給することができる油圧ショベルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば上記技術的課題を解決する油圧ショベルとして、作業腕の先端に取付けられる作業装置を揺動作動させる油圧シリンダと、この油圧シリンダに接続された作動油給排用の一対の油圧ホースと、油圧シリンダの近傍に取付けられた一対の油圧配管と、を備え、該油圧配管の各々が、一端に上記の一対の油圧ホースを油圧シリンダから外して接続することができる接続部を備え、作業腕の先端に向けて延びた他端に作動油給排用の接続部を備えている、ことを特徴とする油圧ショベルが提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明に従って構成された油圧ショベルは、標準的に装備されている油圧シリンダの近傍に一対の油圧配管を備え、この油圧配管それぞれの一端に油圧シリンダから外した油圧ホースを接続できる接続部を備え、作業腕の先端に向けて延びた他端に作動油給排用の接続部を備えているので、作業腕の先端に、上記の油圧シリンダによる揺動作動が不要な作業装置を取付ける際には、一対の油圧配管に油圧シリンダから外した油圧ホースをそれぞれ接続することにより、油圧シリンダ用の作動油を作業装置用の作動油として利用することができる。また、油圧リンダに作動油を給排する制御弁を、作業装置用の制御弁として利用することができる。
【0009】
したがって、油圧源から作業腕に沿って作動油供給用の専用の配管を取付けることなく、簡単な部品構成および容易な組立で、作業装置に作動油を供給することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明に従って構成された油圧ショベルについて、好適実施形態を図示している添付図面を参照して、さらに詳細に説明する。
【0011】
図2を参照して説明する。全体を番号2で示す油圧ショベルは、下部走行体4と、下部走行体4上に旋回自在に取付けられた上部旋回体6を備え、上部旋回体6には運転席8およびその前端に作業腕10が具備されている。作業腕10の先端には、軸線X上に種々の作業装置が作業の形態に応じて取付けられる。図示の例においては、バケット12が軸線Xを中心に揺動自在に取付けられている。
【0012】
作業腕10は、上部旋回体6に上下方向に揺動自在に取付けられたブーム14と、ブーム14の先端に上下方向に揺動自在に取付けられたアーム16と、上部旋回体6とブーム14の間に取付けられたブーム作動シリンダ18と、ブーム14とアーム16の間に取付けられたブーム作動シリンダ20を備えている。
【0013】
作業腕10はまた、アーム16の先端に取付けられた作業装置であるバケット12を揺動作動させる油圧シリンダとしてのバケット作動シリンダ22を備えている。
【0014】
作業腕10の先端部分の拡大詳細図である図1を参照して説明する。バケット作動シリンダ22には作動油給排用の一対の油圧ホース24a、24bが接続されている。バケット作動シリンダ22の近傍の、アーム16の側面には一対の油圧配管26a、26bが取付けられている。
【0015】
油圧ホース24a、24bそれぞれの一端側は、上部旋回体6(図2)の油圧源に備えたバケット作動シンダ制御弁に接続され、他端側は、バケット作動シリンダ22のロッド側配管28aおよびヘッド側配管28bにそれぞれ接続されている。
【0016】
油圧配管26a、26bは、鋼管を曲げ成形し、両端部に接続継手を取付けて形成されている。油圧配管26a、26bは、クランプ30およびボルト31によって複数個所がアーム16の側面に固定されている。油圧配管26a、26bは、それぞれの一端に油圧ホース24a、24bを油圧シリンダから外して接続することができる接続継手によって形成された接続部A1、A2を備え、アーム16の先端に向けて延びた他端に作動油給排用の接続継手によって形成された接続部B1、B2を備えている。
【0017】
一対の油圧配管26a、26bは、バケット作動シリンダ22の作動と干渉しない位置に設置されている。接続部B1、B2には、それぞれ保護キャップ29が取付けられている。保護キャップ29を外した接続部B1、B2に、アーム16の先端に取付けられた作業装置から延びる油圧ホースが接続される。
【0018】
作業腕10(アーム16)の先端に軸線Xを中心に取付けられる揺動作動不要な作業装置の代表例としては、例えば図3に示す、フェラーバンチャ32、グラブバケット34、把持装置36などがある。フェラーバンチャ32は、油圧アクチュエータによって伐採した木材の枝払い・玉切りを行う。グラブバケット34は、油圧アクチュエータによって一対のバケットの下方の開口を二枚貝のように開閉する。把持装置36は、油圧アクチュエータによって一対のクランプを開閉しスクラップ材などを把持する。
【0019】
主として図1を参照して、上述したとおりの油圧ショベル2の作用効果について説明する。
【0020】
油圧ショベル2は、作業装置12を揺動作動させる標準的に装備されている油圧シリンダ22の近傍に一対の油圧配管26a、26bを備え、この油圧配管26a、26bの一端それぞれに油圧シリンダ22から外した油圧ホース24a、24b(二点鎖線で示す)を接続できる接続部A1、A2と、作業腕16の先端に向けて延びた他端に作動油給排用の接続部B1、B2を備えている。
【0021】
そして、作業腕10(アーム16)の先端に、揺動作動が必要な、例えばバケット12のような作業装置に代えて、揺動作動が不要な、例えばフェラーバンチャ32,グラブバケット34,把持装置36などのような作業装置を取付ける際には、一対の油圧配管26a、26bに油圧シリンダから外した油圧ホース24a、24bをそれぞれ取付けることにより、油圧シリンダ22用の作動油を作業装置32,34,36などの作動油として利用することができる。また、油圧リンダへ22の作動油の制御弁を作業装置32,34,36などへの作動油の制御弁として利用することができる。
【0022】
したがって、標準的に装備されている油圧シリンダ22の近傍に一対の油圧配管26a、26bを備え、油圧ホース24a、24bの接続を変えればよいので、油圧源から作業腕に沿った専用の配管、制御弁などの取付けが不要であり、簡単な部品構成および容易な組立で、作業腕の先端に取付ける作業装置に作動油を供給することができる。
【0023】
揺動作動が不要な作業装置32,34,36などに代えて、揺動作動が必要なバケット12のような作業装置を取付ける際には、油圧ホース24a、24bを油圧配管26a、26bの接続部A1、A2から外し、油圧シリンダ22に取付ければよい。
【0024】
したがって、簡単な部品構成および容易な組立で、油圧ショベルの汎用性をより一層高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に従って構成された油圧ショベルの作業腕の先端部分の拡大詳細図。
【図2】作業装置としてのバケットが取付けられた油圧ショベルの側面図。
【図3】揺動作動が不要な作業装置の代表例を示した図。
【符号の説明】
【0026】
2:油圧ショベル
10:作業腕
16:アーム(作業腕)
12:バケット(作業装置)
22:バケット作動シリンダ(油圧シリンダ)
24a、24b:油圧ホース
26a、26b:油圧配管
32:フェラーバンチャ(作業装置)
34:グラブバケット(作業装置)
36:把持装置(作業装置)
A1、A2:接続部
B1、B2:接続部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業腕の先端に取付けられる作業装置を揺動作動させる油圧シリンダと、
この油圧シリンダに接続された作動油給排用の一対の油圧ホースと、
油圧シリンダの近傍に取付けられた一対の油圧配管と、を備え、
該油圧配管の各々が、一端に上記の一対の油圧ホースを油圧シリンダから外して接続することができる接続部を備え、作業腕の先端に向けて延びた他端に作動油給排用の接続部を備えている、
ことを特徴とする油圧ショベル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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