説明

油圧ダンパ

【課題】油圧ダンパ内の作動油の量の変化を外部から容易に認識することができる他に、油圧ダンパが大きく、重く、高価になることや、油圧ダンパの部品が油圧ダンパ周囲の他部材と干渉することを防止することができると共に、油圧ダンパの非作動時における油量監視手段の測定精度を向上させることができる油圧ダンパを提供する。
【解決手段】シリンダ52内に収納されシリンダ52の外側に突出するピストンロッド62,64を有するピストン60と、シリンダ52内のピストン60の両側に形成された油室66,68と、ピストンロッド64に設けられ、アキュムレータピストン80とアキュムレータ油室76を有するアキュムレータ74と、油室66,68と連通するアキュムレータ油室76内の作動油の圧力を低減する絞り77aと、アキュムレータ油室76と連通して油圧ダンパ50全体の油量の変化を監視する油量監視手段90とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、建築物等の構造物に取り付けられ、地震等の外力による構造物の各位置相互間の変位を吸収するために用いられるような油圧ダンパに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の油圧ダンパには、例えば図10に示すような、地震等の外力による構造物の各位置相互間の変位を吸収して制震するために用いられる制震用の油圧ダンパ2があった。
【0003】
この従来の油圧ダンパ2は、円筒状のシリンダ4と、シリンダ4の内部に形成された空間を2つに区分して、その両側に作動油が充填された2つの油室8,10を区画するピストン6とを備えるようになっていた。
【0004】
このピストン6は、その両端面6a,6bから軸線方向(図10中左右方向)の外側に伸びた、2つのピストンロッド12,14を有しており、これらのピストンロッド12,14は、シリンダ4の両端面4a,4bから軸線方向の外側にそれぞれの先端部が突出していた。そして、ピストンロッド14の先端部は、シリンダ4の端面4bから軸線方向の外側に延長する延長部材16の内部空間に収容されるようになっていた。
【0005】
そして、従来の油圧ダンパ2は、そのピストン6の中実内部の、油室8,10間を連通する油路の途中に、上記油室8,10間の作動油の流動状態を制御するリリーフ弁18,20が設けられていた。ピストン6のピストンロッド14の内部空間には、油室8と10内の作動油の膨張、収縮を吸収して油圧ダンパ2を安定して動作させる、アキュムレータ22が備え付けられていた。
【0006】
このアキュムレータ22は、ピストンロッド14の内部空間を2つに区分するアキュムレータピストン26と、2つの空間の一方に形成され、上記2つの油室8,10に連通するアキュムレータ油室24と、2つの空間の他方に収納されて、アキュムレータピストン26をアキュムレータ油室24に向けて付勢するバネ28と、アキュムレータピストン26にその軸線方向に一体的に連結されて、その先端部がピストンロッド14先端部の軸孔から外部に突出している棒状部材30とにより構成されていた。
【0007】
そして、シリンダ4内の油室8と10内の作動油の量は、アキュムレータ22のアキュムレータ油室24内の作動油を介して、棒状部材30がピストンロッド14の先端面から外部に突き出したその長さ寸法の変化によって監視することができるようになっていた(特許文献1の図3参照)。
【0008】
上記ピストンロッド14先端部の軸孔から外部に突出した棒状部材30の先端部の長さ寸法の変化を視認できるようにするため、延長部材16にはその内部の棒状部材30を覗くための貫通孔16aが形成されていた。
【0009】
このような従来の油圧ダンパ2は、リリーフ弁18,20やアキュムレータ22等をその内部に設けたことにより、そのシリンダ4よりその半径方向における外部にそれらの部品を設ける必要が無いので、それらの部品が油圧ダンパ2周囲の他部材と干渉することを防止することができるようになっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2003−269005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、従来の油圧ダンパ2においては、上記のように、棒状部材30がアキュムレータ22のアキュムレータピストン26に一体的に設けられているため、棒状部材30の動作する範囲を確保するためには、シリンダ4の延長部材16の軸線方向の長さ寸法をそれだけ大きなものにする必要があるので、油圧ダンパ2がその分大きく、重く、高価になるという問題があった。
【0012】
このような上記従来の油圧ダンパ2の問題点を解決するために、図11に示すような、シリンダ4の外周部に、作動油の量の変化を監視できる圧力ゲージ42を設けた他の従来の油圧ダンパ40が案出されていた。
【0013】
この圧力ゲージ42の圧力検出部は、シリンダ4の円筒状の外周部に、その半径方向に開口するよう形成された流路44を通って、シリンダ4内の油室8と連通しており、油室8内の作動油の圧力を直接検出することができるようになっていた。
【0014】
このような従来の油圧ダンパ40においては、シリンダ4内の油室8の圧力の変化を検出することにより、シリンダ4内の油室8,10及びアキュムレータ油室24内の作動油の量を外部から容易に認識することができて、油圧ダンパ40が大きく、重く、高価になるのを防止することができるようになっていた。
【0015】
しかしながら、上記従来の油圧ダンパ40においては、図11に示すように、シリンダ4の外周部からその半径外方に突出するように圧力ゲージ42が設けられていたため、油圧ダンパ40の長さ方向に垂直な半径方向の寸法が大きくなってしまうと共に、その圧力ゲージ42がシリンダ4の周囲の他部材と干渉するおそれがあるという問題があった。
【0016】
また、油圧ダンパ40が設けられた構造物に地震等の外力が加わって、ピストン6がシリンダ4内で移動した際に、シリンダ4の油室8は、ピストン6により大きな力が加えられてその内部の作動油の圧力が一気に上昇するようになっているので、圧力ゲージ42はこのような油室8内の作動油の低圧時から高圧時迄の広範囲の圧力測定が可能なものである必要があった。
【0017】
しかしながら、圧力ゲージ42として、油室8内の作動油の低圧時から高圧時迄の広範囲の圧力測定が可能なものを用いると、ピストン6がシリンダ4内で移動しない油圧ダンパ40非作動時の場合における作動油の油漏れによる圧力変動は、ピストン6がシリンダ4内で移動した油圧ダンパ40作動時の圧力変動に比べて微々たるものであるので、上記広範囲の圧力測定が可能な圧力ゲージ42を用いた場合にはその圧力変動の計測値はあまり変化しないため、油圧ダンパ40非作動時には高い精度で油漏れの量を検出することができないという問題があった。
【0018】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みて、油圧ダンパ内の作動油の量の変化を外部から容易に認識することができる他に、油圧ダンパが大きく、重く、高価になることや、油圧ダンパの部品が油圧ダンパ周囲の他部材と干渉することを防止することができると共に、油圧ダンパの非作動時における油量監視手段の測定精度を向上させることができる油圧ダンパを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記課題を解決するために、本発明による油圧ダンパは、
シリンダ内に収納されシリンダの軸線方向両端部からシリンダの外側に突出する一対のピストンロッドを有するピストンと、
シリンダ内のピストンの軸線方向の両側に形成され内部に作動油が充填された2つの油室と、
前記一対のピストンロッドの一方に設けられ、アキュムレータピストンとアキュムレータ油室を有するアキュムレータと、
前記シリンダ内の2つの油室と連通する前記アキュムレータ油室内の作動油の圧力を低減する油圧低減手段と、
前記アキュムレータ油室と連通してアキュムレータ油室内の作動油の圧力を介して油圧ダンパ全体の油量の変化を監視する油量監視手段と
を備えたことを特徴とするものである。
【0020】
また、本発明による油圧ダンパは、
前記油量監視手段は、前記ピストンに対して前記アキュムレータとは反対側に位置するピストンロッドの先端部に設けられたことを特徴とするものである。
【0021】
また、本発明による油圧ダンパは、
前記油量監視手段は、前記ピストンに対して前記アキュムレータとは反対側に位置するピストンロッドの外周部に設けられたことを特徴とするものである。
【0022】
また、本発明による油圧ダンパは、
前記油量監視手段は、前記ピストンに対して前記アキュムレータとは反対側に位置するピストンロッドの先端部に取付けられた連結部材に設けられたことを特徴とするものである。
【0023】
また、本発明による油圧ダンパは、
前記油量監視手段は、前記アキュムレータ油室内の作動油の圧力を検出する圧力ゲージを備えたことを特徴とするものである。
【0024】
また、本発明による油圧ダンパは、
前記油量監視手段は、前記アキュムレータ油室内の作動油の圧力に応じて前記シリンダの軸線方向に伸縮する蛇腹円筒状部材を備えたことを特徴とするものである。
【0025】
また、本発明による油圧ダンパは、
前記油量監視手段は、
内部に空間を有する筐体と、
前記空間内に収納されて前記空間を2つの空間に分割し、前記アキュムレータ油室と連通する第3の油室を前記2つの空間の一方に形成する第3のピストンと、
前記第3のピストンを前記第3の油室側に向けて付勢するよう前記2つの空間の他方に収納された弾性部材と、
前記第3のピストンに一体的に設けられ前記筐体の外部に突出可能な棒状部材とを備え、
前記アキュムレータ油室の作動油の圧力の変動に応じて前記棒状部材の前記筐体の外部への突出量が変動するようにしたことを特徴とするものである。
【0026】
また、本発明による油圧ダンパは、
前記油量監視手段は、一対の継手部材を介して着脱可能に設けられたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0027】
このような本発明の油圧ダンパによれば、
シリンダ内に収納されシリンダの軸線方向両端部からシリンダの外側に突出する一対のピストンロッドを有するピストンと、
シリンダ内のピストンの軸線方向の両側に形成され内部に作動油が充填された2つの油室と、
前記一対のピストンロッドの一方に設けられ、アキュムレータピストンとアキュムレータ油室を有するアキュムレータと、
前記シリンダ内の2つの油室と連通する前記アキュムレータ油室内の作動油の圧力を低減する油圧低減手段と、
前記アキュムレータ油室と連通してアキュムレータ油室内の作動油の圧力を介して油圧ダンパ全体の油量の変化を監視する油量監視手段とを備えたことにより、
油圧ダンパ内の作動油の量の変化を外部から容易に認識することができる他に、油圧ダンパが大きく、重く、高価になることや、油圧ダンパの部品が油圧ダンパ周囲の他部材と干渉することを防止することができると共に、油圧ダンパの非作動時における油量監視手段の測定精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る油圧ダンパ50をその軸線に沿って示す断面図である。
【図2】図1に示すピストン60の第1ピストンロッド部62の先端部を拡大して示す部分拡大断面図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る油圧ダンパ100における第1ピストンロッド部62の先端部を拡大して示す部分拡大断面図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態に係る油圧ダンパ120における第1ピストンロッド部62の先端部を拡大して示す部分拡大断面図である。
【図5】本発明の第4の実施の形態に係る油圧ダンパ140をその軸線に沿って示す断面図である。
【図6】本発明の第5の実施の形態に係る油圧ダンパ160をその軸線に沿って示す断面図である。
【図7】図6に示すピストン162の第1ピストンロッド部164の先端部を拡大して示す部分拡大断面図である。
【図8】本発明の第6の実施の形態に係る油圧ダンパ180における第1ピストンロッド部144の圧力ゲージ90取付部を拡大して示す部分拡大断面図である。
【図9】本発明の第6の実施の形態に係る油圧ダンパ180における第1ピストンロッド部144の圧力ゲージ90取付部を拡大して示す部分拡大断面図であって、第1継手182から第2継手190を取り外して分解した状態を示す図である。
【図10】従来の油圧ダンパ2をその軸線に沿って示す断面図である。
【図11】他の従来の油圧ダンパ40をその軸線に沿って示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係る油圧ダンパを実施するための形態について、図面に基づいて具体的に説明する。
【0030】
図1及び図2は、本発明の第1の実施の形態に係る制震用の油圧ダンパ50について説明するために参照する図である。
【0031】
本発明の第1の実施の形態に係る油圧ダンパ50は、図1に示すように、円筒状のシリンダ本体54と、このシリンダ本体54の軸線方向の両端部を塞ぐ一対のカバー部材56,58とにより構成されたシリンダ52を備えており、そのシリンダ52の内部にピストン60が収納されている。
【0032】
ピストン60は図中左右方向に軸線を有する長さの短い円柱状に形成され、このピストン60にはその端面中央から軸線方向に伸び、シリンダ52のカバー部材56より外側(図中右側)に突出した丸棒状の第1ピストンロッド部62と、ピストン60の第1ピストンロッド部62とは反対側の端面中央から軸線方向に伸び、シリンダ52のカバー部材58より外側(図中左側)に突出した丸棒状の第2ピストンロッド部64とが一体的に形成されている。
【0033】
そしてピストン60は、その外周部がシリンダ52のシリンダ本体54の内周面54aに摺動して、その軸線方向(図中、左右方向)に動くことができるよう設けられている。また、シリンダ52はその内部に、ピストン60により仕切られた第1油室66と第2油室68とを有しており、これらの第1油室66と第2油室68の内部には作動油が充填されている。
【0034】
ピストン60の中実内部には、第1油室66と第2油室68との間を連通する流路70,72が、ピストン60の軸線と平行方向に形成されている。これらの流路70,72の途中には、それぞれ不図示の、従来の油圧ダンパ2のリリーフ弁18,20(図10参照)のような、一対のリリーフ弁(調圧弁)が互いに逆向きに動作するように配置されている。
【0035】
上記不図示のリリーフ弁は、ピストン60がシリンダ52内を移動しない油圧ダンパ50の非作動時は、作動油が流れないよう流路70,72の断面を塞いでいるが、地震等でピストン60がシリンダ52内で移動する油圧ダンパ50の作動時には、第1油室66と第2油室68の内、一方の油室内の作動油の圧力が一定値を超えると、流路70,72の一方を開いて作動油が他方の油室に流れることを可能とする機能を有している。
【0036】
また、ピストン60の中実内部には、第2ピストンロッド部64内に設けられた加圧式アキュムレータ74を構成する、アキュムレータ油室76と、シリンダ52内の第1油室66及び第2油室68に連通する流路77,78が形成されている。
【0037】
2本の流路77それぞれの途中には、オリフィス等の絞り77a(油圧低減手段)がそれぞれ備えられており、この絞り77aは、第1油室66及び第2油室68側から流路78、アキュムレータ油室76への流量を制限して、地震等によりピストン60がシリンダ52内で移動するダンパ作動時におけるアキュムレータ油室76の作動油の圧力を、第1油室66及び第2油室68の作動油の圧力より低減する機能を有している。
【0038】
ピストン60の加圧式アキュムレータ74のアキュムレータ油室76、流路77,78及び後述する流路92は、シリンダ52内の第1油室66と第2油室68に連通しており、それらの内部にも作動油が充填されていることはいうまでもない。
【0039】
図1に示すように、加圧式アキュムレータ74は、第2ピストンロッド部64の内部に形成されていた空間を2つに区分するアキュムレータピストン80と、区分された2つの空間の一方に形成されるアキュムレータ油室76と、2つの空間の他方に収納されて、アキュムレータピストン80をアキュムレータ油室76に向けて付勢するバネ82(弾性部材)とにより構成されている。
【0040】
この加圧式アキュムレータ74は、シリンダ52内の第1油室66及び第2油室68の作動油の膨張、収縮を吸収する機能を有している。
【0041】
例えば、ピストン60がシリンダ52内で移動して、第1油室66と第2油室68の何れか一方の油室内の作動油の圧力が低下した場合に、その圧力が低下した油室にアキュムレータ油室74から作動油を供給することにより、作動油が不足して第1油室66や第2油室68内が負圧になることを防止して、油圧ダンパ50の性能を安定させることができるようになっている。
【0042】
また、加圧式アキュムレータ74は、作動油の予備タンクとしての機能をも有しており、油漏れなどにより第1油室66や第2油室68の作動油の量が不足した際に、アキュムレータ油室76から各油室66,68に作動油を供給することができるようになっている。
【0043】
第2ピストンロッド部64は、シリンダ52のカバー部材58に形成された嵌合孔58aに、第2油室68内の密閉状態を維持しながら摺動可能に嵌合されており、カバー部材58より外側にその先端部が突出していると共に、その先端部は閉止されて加圧式アキュムレータ74の端部を構成している。
【0044】
そして、シリンダ52のカバー部材58には、円筒状の延長部材84の図中右端部が一体的に設けられている。この延長部材84はその内部に、第2ピストンロッド部64のカバー部材58より外側に突出した、加圧式アキュムレータ74を内包する先端部を収納すると共に、シリンダ52の軸線と同方向にその長さを延長するように設けられている。
【0045】
そして、延長部材84の長さ方向の図中左端部は塞がれており、その左端部には油圧ダンパ50を建築構造体に固定するための、固定式のジョイント部材88が取り付けられている。
【0046】
また、第1ピストンロッド部62は、シリンダ52のカバー部材56に形成された嵌合孔56aに、第1油室66内の密閉状態を維持しながら摺動可能に嵌合されており、カバー部材56より外側にその先端部が突出していると共に、その先端部外周にはオネジ部62aが形成されている。
【0047】
本実施の形態に係る油圧ダンパ50は、その両端部に取付けられた固定式のジョイント部材86と88を介して、不図示の建築構造体に連結されるようになっている。
【0048】
図2に示すように、油圧ダンパ50のジョイント部材86は、第1ピストンロッド部62の軸線と同じ軸線を有する円柱状の取付部86aと、この取付部86aの図中右側面にその側面が一体的に設けられた平板状の固定板部86bとにより構成されている。
【0049】
そして、ジョイント部材86の取付部86aには、その軸線方向に貫通する軸孔86cが形成されており、その軸孔86cには図中左端面から中央部にわたって、その内周にメネジ部86dが形成されている。
【0050】
また、ジョイント部材86の固定板部86bには、取付部86a側の端面から中央部にわたって板厚方向(図2中紙面垂直方向)に貫通する、半長孔状の開口部86eが形成されている。
【0051】
また、第1ピストンロッド部62先端部のオネジ部62aは、その長さ方向の中央部にナット94のメネジ部94aをネジ結合させた後で、固定式のジョイント部材86の取付部86aのメネジ部86dがネジ込まれて、その取付部86aとナット94が互いの接触面を互いに押圧するようにきつくネジ締結されることにより、ネジ締結に緩みが生じないようネジ結合のバックラッシを除去して、ジョイント部材86は第1ピストンロッド部62のオネジ部62aに一体的に固定されるようになっている。
【0052】
また、第1ピストンロッド部62の軸線方向の右端部には、その先端面から軸線方向内側に向かって軸孔が形成されており、この軸孔の内周部にメネジ部62bが形成されている。この内周にメネジ部62bが形成された軸孔は、図1に示すように、ピストン60の軸線に沿って形成された流路92を通って、加圧式アキュムレータ74のアキュムレータ油室76及び流路78と連通するようになっている。
【0053】
図2に示すように、本実施の形態に係る油圧ダンパ50は、ジョイント部材86の固定板部86bの半長孔状の開口部86e及び取付部86aの軸孔86cにより形成された空隙部に、圧力ゲージ90(油量監視手段)が配置されて、この圧力ゲージ90のオネジ部90bが第1ピストンロッド部62のメネジ部62bに締結されて取付けられている。
【0054】
この圧力ゲージ90の、図示してない内部の圧力検出部と連通するその軸孔90aは、第1ピストンロッド部62の流路92を通って前記アキュムレータ油室76及び流路78に連通しているので、アキュムレータ油室76内の作動油の圧力を検出することができるようになっている。
【0055】
本実施の形態に係る油圧ダンパ50は、長期間経過後に、シリンダ52内の第1油室66や第2油室68或いはアキュムレータ油室76から作動油が漏れ出して油量が減少した場合には、これらの油室66,68に作動油を供給するアキュムレータ油室76内の油量が減少するようになっている。
【0056】
そして、アキュムレータ油室76内の油量が減少すると、加圧式アキュムレータ74のアキュムレータピストン80をアキュムレータ油室76に向けて付勢するバネ82が伸びて、バネ82の弾性力が小さくなり、併せてそのアキュムレータ油室76内の作動油にかかる圧力も小さくなる。
【0057】
このため、圧力ゲージ90はアキュムレータ油室76内の小さくなった圧力を計測することにより、シリンダ52の第1油室66や第2油室68内の作動油の量の変動を判別することができるので、油圧ダンパ50の作動油の量の変動を外部から容易に検出することができて、油圧ダンパ50が本来の機能を発揮するのに十分な油量を有しているかを外部から容易に認識することができる。
【0058】
このように油圧ダンパ50に圧力ゲージ90を設けたことにより、油圧ダンパ50の加圧式アキュムレータ74は、前記従来の油圧ダンパ2のアキュムレータ22のように棒状部材30を一体的に設ける必要がないため、延長部材84の長さ寸法を、前記従来の油圧ダンパ2の延長部材16より短くすることができ、油圧ダンパ50の重量も軽量なものにすることができる。このため、油圧ダンパ50の製造価格も安くすることができる。
【0059】
また、本実施の形態に係る油圧ダンパ50に係る加圧式アキュムレータ74のアキュムレータ油室76は、シリンダ52内の第1油室66や第2油室68と連通する流路77に設けられた絞り77aにより、アキュムレータ油室76への作動油の流量が制限されていると共に、そのアキュムレータ油室76内部の作動油の量が増加した場合にはその作動油の圧力が急激に増加しないようにバネ82が縮むようになっているために、地震等によりピストン60がシリンダ52内で移動するダンパ作動時においては、そのアキュムレータ油室76内の作動油の圧力が、第1油室66や第2油室68内の作動油の圧力のように直ちには大きく上昇しないようになっている。
【0060】
このため、本実施の形態に係る圧力ゲージ90は、前記従来の油圧ダンパ40に設けた圧力ゲージ42のような、第1油室66内の作動油の低圧時から高圧時にわたって使用することができる広範囲のものでなくともよく、検出する圧力が小さくてその変動範囲の狭いものをその表示メータ上に拡大して精密に検出することができるため、圧力ゲージ90によるアキュムレータ油室76内の作動油の圧力の測定精度を向上させることができる。
【0061】
また、本実施の形態に係る油圧ダンパ50に設けた圧力ゲージ90は、シリンダ52のカバー部材56より外側に突出した第1ピストンロッド部62の先端部に設けられているため、前記従来の油圧ダンパ40に設けられた圧力ゲージ42のように、シリンダ52の外周部の半径方向外側に設けられているわけではないので、その圧力ゲージ90が油圧ダンパ50周囲の他部材と干渉することを防止することができる。
【0062】
このような本発明の第1の実施の形態に係る油圧ダンパ50によれば、油圧ダンパ50内の作動油の量の変化を外部から容易に認識することができる他に、油圧ダンパ50が大きく、重く、高価になることや、油圧ダンパ50の部品が油圧ダンパ50周囲の他部材と干渉することを防止することができると共に、油圧ダンパ50の非作動時における圧力ゲージ90(油量監視手段)の測定精度を向上させることができる。
【0063】
図3は、本発明の第2の実施の形態に係る制震用の油圧ダンパ100について説明するために参照する図である。
【0064】
前記第1の実施の形態に係る油圧ダンパ50においては、図2に示すように、第1ピストンロッド部62の先端部に圧力ゲージ90が設けられていたのに対して、本実施の形態に係る油圧ダンパ100においては、図3に示すように、第1ピストンロッド部62の先端部に油量監視手段102が設けられる点において異なっている。
【0065】
本実施の形態に係る油圧ダンパ100における油量監視手段102は、フランジ部104bを有する円筒状に形成された取付部104と、この取付部104の右端部に一体的に設けられた、図中横方向の軸線を有する蛇腹円筒状に形成されたベローズ106(蛇腹円筒状部材)とにより構成されている。
【0066】
油量監視手段102の取付部104は、左端側が円筒状に形成されており、その外周部にはオネジ部104aが形成されている。この取付部104のオネジ部104aを、第1ピストンロッド部62のメネジ部62bに締め付けることにより、油量監視手段102は、第1ピストンロッド部62の右端部の、前記第1の実施の形態における圧力ゲージ90と同じ位置に取付けられるようになっている。
【0067】
油量監視手段102のベローズ106は、肉厚が薄い金属製であり、その外周部の断面形状の軸線方向(図中左右方向)に凹凸が連続するような蛇腹円筒状に形成されており、その軸線方向の右端部は閉止されている。そして、ベローズ106は、その軸線方向に力が加えられると弾性変形をしてその軸線方向に伸縮するようになっている。
【0068】
取付部104とベローズ106とは、取付部104のフランジ部104bとベローズ106の開口左端部とが互いに接触した状態で、それらの接触部近傍を溶接する等により互いに一体的に固定されるようになっている。これにより、それらの内部の空間は第3油室108(第3の油室)となっており、その内部に作動油が充填されている。
【0069】
この第3油室108は、取付部104の軸線部に形成された流路110と、第1ピストンロッド部62の流路92を通って、加圧式アキュムレータ74のアキュムレータ油室76及び流路78と連通するようになっており、第3油室108内部の作動油の圧力はアキュムレータ油室76内の作動油の圧力と同一になっている。
【0070】
このような本実施の形態に係る油圧ダンパ100の油量監視手段102は、アキュムレータ油室76内の作動油の圧力に応じてそのベローズ106が伸縮するようになっており、アキュムレータ油室76内の作動油が減少して低圧となった場合には、それに対応してベローズ106の長さ寸法が短くなり、ベローズ106の先端面106aの、ジョイント部材86の取付部86aの端面から外部への突出量が減少するようになっている。
【0071】
このため、ベローズ106の先端面106aがジョイント部材86の取付部86aの端面から外部に突き出した長さ寸法を視認することにより、シリンダ52の第1油室66や第2油室68内の作動油の量の変動を判別することができるため、油圧ダンパ100の作動油の量の変動を外部から容易に検出することができて、油圧ダンパ100が本来の機能を発揮するのに十分な油量を有しているかを外部から容易に認識することができる。
【0072】
このような本発明の第2の実施の形態に係る油圧ダンパ100によっても、前記第1の実施の形態に係る油圧ダンパ50と同様に、油圧ダンパ100内の作動油の量の変化を外部から容易に認識することができる他に、油圧ダンパ100が大きく、重く、高価になることや、油圧ダンパ100の部品が油圧ダンパ100周囲の他部材と干渉することを防止することができると共に、油圧ダンパ100の非作動時における油量監視手段102の測定精度を向上させることができる。
【0073】
図4は、本発明の第3の実施の形態に係る制震用の油圧ダンパ120について説明するために参照する図である。
【0074】
前記第1の実施の形態に係る油圧ダンパ50においては、図2に示すように、ピストン60の第1ピストンロッド部62の先端部に圧力ゲージ90が設けられていたのに対して、本実施の形態に係る油圧ダンパ120においては、図4に示すように、第1ピストンロッド部62の先端部に油量監視手段122が設けられる点において異なっている。
【0075】
本実施の形態に係る油圧ダンパ120における油量監視手段122は、図4に示すように、図中横方向の軸線を有する筒状部材124と蓋部材126により構成される筐体の内部に形成された空間内に収納された、複数の部材により構成されている。
【0076】
すなわち油量監視手段122は、上記の空間をピストン130(第3のピストン)が、そのピストン130の両側の2つの空間に分割して、一方の空間に形成された第3油室128(第3の油室)と、他方の空間に収納されて、ピストン130を第3油室128に向けて付勢するバネ132(弾性部材)と、ピストン130の軸線部に一体的に連結され、その先端部が蓋部材126の外部に突出してその突出量が変化可能な棒状部材134とにより構成されている。
【0077】
油量監視手段122の筒状部材124は、円筒状に形成されており、その軸線方向(図中左右方向)の左端部にはオネジ部124aが形成されている。この筒状部材124のオネジ部124aを、第1ピストンロッド部62に形成されたメネジ部62bに締め付けることにより、油量監視手段122は第1ピストンロッド部62の先端部に取付けられるようになっている。
【0078】
また、筒状部材124には、その右端面から図中左方に凹んでおり、その内周面にメネジ部124bが形成されている。そして、メネジ部124bの最奥部の端面からさらに図中左方に凹んだ空間を形成する凹部124cが形成されている。この凹部124cの直径は、メネジ部124bが形成された凹部の、そのメネジ部124bのネジ山の径よりも小さく形成されている。
【0079】
油量監視手段122の蓋部材126は、図4に示すように、その外周にオネジ部126aを有する円盤状に形成されている。この蓋部材126には、棒状部材134が緩く貫通する貫通孔126bが形成されている。
【0080】
筒状部材124と蓋部材126とは、蓋部材126のオネジ部126aが筒状部材124のメネジ部124bにネジ込まれて、蓋部材126の左端面が筒状部材124の行止まり面に接触した状態で、互いに固定されるようになっている。これにより、それらの内部にピストン130が収納される空間が形成されるようになっている。
【0081】
油量監視手段122のピストン130は、その軸線方向が筒状部材124の軸線方向(図中左右方向)と一致する円盤状に形成されており、その外周面が筒状部材124の凹部124cの内周面に接触して第3油室128の軸線方向(図中左右方向)に摺動するようになっている。
【0082】
油量監視手段122の筒状部材124と蓋部材126の内部の空間において、ピストン130に対して第1ピストンロッド部62側の空間は第3油室128となっており、その内部に作動油が充填されている。
【0083】
この第3油室128は、筒状部材124の左端部の軸線部に形成された流路136と、第1ピストンロッド部62の流路92を通って、加圧式アキュムレータ74のアキュムレータ油室76及び流路78と連通するようになっており、第3油室128内部の作動油の圧力は、アキュムレータ油室76内の作動油の圧力と同一になっている。
【0084】
一方、筒状部材124と蓋部材126の内部の空間の、ピストン130に対して第1ピストンロッド部62と反対側の空間には、ピストン130の軸線方向(図中左右方向)に伸縮するバネ132が、その両端部を蓋部材126とピストン130のそれぞれに接触して圧縮された状態で配置されている。このバネ132は、第3油室128内の作動油に押されているピストン130を第3油室128の反対側から付勢している。
【0085】
また図4に示すように、ピストン130の、バネ132の左端部が当接された側の面には、棒状部材134の左端面が当接して一体的に連結されている。この棒状部材134は、丸棒状に形成されており、その先端部が蓋部材126に形成された貫通孔126bを緩く貫通し、蓋部材126の外側に突き出している。
【0086】
このような本実施の形態に係る油圧ダンパ120の油量監視手段122は、アキュムレータ油室76内の作動油の圧力に応じて、そのバネ132が伸縮するようになっており、アキュムレータ油室76内の作動油が減少して低圧となった場合には、それに対応してバネ132が長くなり、バネ132が長くなった分だけピストン130及び棒状部材134が第3油室128側に(図中左方向)に移動するので、棒状部材134の先端部の、蓋部材126の外部への突出量が減少するようになっている。
【0087】
このため、棒状部材134の先端が蓋部材126から外部に突き出した長さ寸法を視認することにより、シリンダ52の第1油室66や第2油室68内の作動油の量の変動を判別することができるため、油圧ダンパ120の作動油の量を外部から容易に検出することができて、油圧ダンパ120が本来の機能を発揮するのに十分な油量を有しているかを外部から容易に認識することができる。
【0088】
このような本発明の第3の実施の形態に係る油圧ダンパ120によっても、前記第1の実施の形態に係る油圧ダンパ50と同様に、油圧ダンパ120内の作動油の量の変化を外部から容易に認識することができる他に、油圧ダンパ120が大きく、重く、高価になることや、油圧ダンパ120の部品が油圧ダンパ120周囲の他部材と干渉することを防止することができると共に、油圧ダンパ120の非作動時における油量監視手段122の測定精度を向上させることができる。
【0089】
図5は、本発明の第4の実施の形態に係る制震用の油圧ダンパ140について説明するために参照する図である。
【0090】
前記第1の実施の形態に係る油圧ダンパ50においては、図1及び図2に示すように、ピストン60の第1ピストンロッド部62の先端部に圧力ゲージ90が設けられていたのに対して、本実施の形態に係る油圧ダンパ140においては、図5に示すように、ピストン142の第1ピストンロッド部144の、カバー部材56より外側の外周部に圧力ゲージ90(油量監視手段)が設けられている点において異なるものである。
【0091】
また、前記第1の実施の形態に係る油圧ダンパ50においては、圧力ゲージ90は、ピストン60の一直線に伸びた流路92を通って、加圧式アキュムレータ74のアキュムレータ油室76及び流路78と連通するようになっていたのに対して、本実施の形態に係る油圧ダンパ140においては、圧力ゲージ90は、第1ピストンロッド部144の軸線部に形成されてカバー部材56より外側で直角に折曲った流路152を通って、第2ピストンロッド部146の先端部内の、加圧式アキュムレータ74のアキュムレータ油室76及び流路78と連通するようになっている点において異なるものである。
【0092】
また、前記第1の実施の形態に係る油圧ダンパ50においては、図1及び図2に示すように、第1ピストンロッド部62のオネジ部62aは、圧力ゲージ90を設けるための空間を有するジョイント部材86に一体的に固定されるようになっていたのに対して、本実施の形態に係る油圧ダンパ140においては、図5に示すように、第1ピストンロッド部144のオネジ部144aは、上記ジョイント部材86のような圧力ゲージ90を設けるための空隙部を有しないジョイント部材148に、一体的に固定されるようになっている点において異なるものである。
【0093】
すなわち、ジョイント部材148は、前記第1の実施の形態におけるジョイント部材86の軸孔86c、開口部86eが形成されていない点、及びジョイント部材86のメネジ部86dと同様に構成されたメネジ部148aが形成されている点以外は、前記第1の実施の形態におけるジョイント部材58と同様の構成を備えるようになっている。
【0094】
このような本発明の第4の実施の形態に係る油圧ダンパ140によっても、前記第1の実施の形態に係る油圧ダンパ50と同様に、油圧ダンパ140内の作動油の量の変化を外部から容易に認識することができる他に、油圧ダンパ140が大きく、重く、高価になることや、油圧ダンパ140の部品が油圧ダンパ140周囲の他部材と干渉することを防止することができると共に、油圧ダンパ140の非作動時における圧力ゲージ90の測定精度を向上させることができる。
【0095】
図6及び図7は、本発明の第5の実施の形態に係る制震用の油圧ダンパ160について説明するために参照する図である。
【0096】
前記第1の実施の形態に係る油圧ダンパ50においては、図1及び図2に示すように、ピストン60の第1ピストンロッド部62の先端部に圧力ゲージ90が設けられていたのに対して、本実施の形態に係る油圧ダンパ160においては、図6に示すように、ピストン162の第1ピストンロッド部164の先端部に連結部材168が設けられ、その連結部材168の外周部に圧力ゲージ90(油量監視手段)が設けられるようになっている点において異なるものである。
【0097】
また、前記第1の実施の形態における圧力ゲージ90は、ピストン60の流路92を通って、アキュムレータ油室76及び流路78と連通するようになっていたのに対して、本実施の形態に係る油圧ダンパ160における圧力ゲージ90は、連結部材168の軸線の途中で直角に折曲った流路172と、ピストン162の流路174を通って、第2ピストンロッド部166の先端部内の、加圧式アキュムレータ74のアキュムレータ油室76及び流路78と連通するようになっている点において異なるものである。
【0098】
また、前記第1の実施の形態に係る油圧ダンパ50においては、図1に示すように、ピストン60の、シリンダ52の軸線方向外側に先端部が突出した第1ピストンロッド部62の先端部には、固定式のジョイント部材86が取り付けられていたのに対して、本実施の形態に係る油圧ダンパ160においては、図6に示すように、第1ピストンロッド部164の先端部には、連結部材168を介してボールジョイント176が取り付けられている点において異なるものである。
【0099】
また、前記第1の実施の形態に係る油圧ダンパ50においては、延長部材84の軸線方向の図1中左端部には固定式のジョイント部材88が取り付けられていたのに対して、本実施の形態に係る油圧ダンパ160においては、延長部材84の軸線方向の図6中左端部に、ボールジョイント178が取り付けられている点において異なるものである。
【0100】
本実施の形態に係る油圧ダンパ160の連結部材168は、円柱状に形成されており、図7に示すように、その軸線方向(図中左右方向)の左端部にはその先端面から軸線方向内側に向かってメネジ部168aが形成されており、その軸線方向の右端部にはその先端面から軸線方向内側に向かってメネジ部168cが形成されている。
【0101】
そして、連結部材168の外周面にはメネジ孔168bが開口するよう形成されており、このメネジ孔168bに圧力ゲージ90が取付けられるようになっている。
【0102】
第1ピストンロッド部164のオネジ部164aには、前記第1の実施の形態に係る油圧ダンパ50と同様に、ナット94と連結部材168がネジ締結されることにより、それらは第1ピストンロッド部164の先端部に一体的に固定されるようになっている。
【0103】
また、ボールジョイント176のオネジ部176aは、連結部材168のメネジ部168aにネジ締結されることにより、互いに一体的に固定されるようになっている。
【0104】
このような本発明の第5の実施の形態に係る油圧ダンパ160によっても、前記第1の実施の形態に係る油圧ダンパ50と同様に、油圧ダンパ160内の作動油の量の変化を外部から容易に認識することができる他に、油圧ダンパ160が大きく、重く、高価になるや、油圧ダンパ160の部品が油圧ダンパ160周囲の他部材と干渉することを防止することができると共に、油圧ダンパ160の非作動時における圧力ゲージ90の測定精度を向上させることができる。
【0105】
図8及び図9は、本発明の第6の実施の形態に係る制震用の油圧ダンパ180について説明するために参照する図である。
【0106】
前記第4の実施の形態に係る油圧ダンパ140においては、図5に示すように、第1ピストンロッド部144の外周部に圧力ゲージ90が設けられていたのに対して、本実施の形態に係る油圧ダンパ180においては、図8に示すように、第1ピストンロッド部144の外周部に一対の継手182,190を介して、圧力ゲージ90が容易に着脱可能に設けられる点において異なっている。
【0107】
本実施の形態に係る油圧ダンパ180における第1継手182は、図9に示すように、略円筒状の第1継手本体184と、この第1継手本体184の内部に設けられた内部空間185内に収納され、その内部空間185の上端部に係合してこの上端部を閉塞する球状部材186と、その内部空間185内に収納され、球体186を内部空間185の上端部に向けて押圧するバネ188(弾性部材)とにより構成されている。
【0108】
第1継手182の第1継手本体184は、両端部が一部閉止された円筒状に形成されており、その軸線方向(図中上下方向)の下端部にはオネジ部184aが下方に突出して形成されている。このオネジ部184aを、第1ピストンロッド部144に形成されたメネジ部144bに締め付けることにより、第1継手182は、第1ピストンロッド部144の外周部の、前記第4の実施の形態を示す図5における圧力ゲージ90と同じ位置に取付けられるようになっている。
【0109】
また図9に示すように、第1継手本体184の内部空間185には球体186が収納されており、その内部空間185の上端部には、球体186の球面に接触して、バネ188に押圧された球体186が係合する球面凹部185aが形成されている。
【0110】
第1継手本体184の内部空間185の、球体186より下側の空間には、第1継手本体184の軸線方向に伸縮するバネ188がその両端部を、内部空間185の下端面185bと、球体186の下面部とのそれぞれに接触して、圧縮された状態で配置されている。
【0111】
このため、第1継手182の上端部に第2継手190の下端部が被さって取付けられていない場合には、図9に示すように、下側からバネ188により押圧された球体186の上面部は、第1継手本体184に形成された球面凹部185aに係合することにより、その内部空間185の上端部を閉塞して、内部空間185を密閉するようになっている。
【0112】
そして、第1継手本体184の内部空間185の内部には作動油が充填されている。この内部空間185は、その図中下方に突出した下端部の軸線方向に形成された流路184bと、これと連通する、第1ピストンロッド部144の軸線方向に形成された流路152を通って、加圧式アキュムレータ74のアキュムレータ油室76(図5参照)と連通するようになっている。このため、内部空間185内の作動油の圧力はアキュムレータ油室76内の作動油の圧力と同一となっている。
【0113】
本実施の形態に係る油圧ダンパ180における第2継手190の、第2継手本体192の軸線方向(図中上下方向)の上端部には、その下方の流路198と連通する軸孔が形成されており、この軸孔の内周部にはメネジ部192aが形成されている。
【0114】
このメネジ部192aに、圧力ゲージ90のオネジ部90bを締め付けることにより、圧力ゲージ90は、第2継手本体192にネジ締結されて取付けられている。そして、圧力ゲージ90の図示してない内部の圧力検出部と連通するその軸孔90aは、第2継手190の流路198と連通するようになっている。
【0115】
また、第2継手本体192の軸線方向の下端部は略円筒状に形成されており、その下端部の内側は、第2継手本体192の円環状の下端面から、軸線部の図中上方に向かって漸次凹んだ凹状に形成されている。
【0116】
第2継手本体192の凹状の内側の軸線部には、図中下方に向かって伸びる突出部194が設けられている。そして、その突出部194の軸線部には流路196が形成され、この流路196はその上方の流路198と連通している。
【0117】
上記下端部の内側が凹状に形成された第2継手本体192の下端部は、図8に示すように、第1継手182の第1継手本体184の上端部に被さって取り付けられるようになっており、第1継手182に第2継手190を取り付けたり、取り外したりできるようになっている。
【0118】
第1継手182に第2継手190が被さって取り付けられた場合には、第2継手本体192の突出部194が、第1継手本体184の上端部に形成された嵌合孔184c(図9参照)に進入し、摺動可能に嵌合するようになっている。このときシール部材187(図9参照)が突出部194と接触して摺動することにより、内部空間185内は密閉状態を維持されている。
【0119】
その際に、第2継手190の突出部194は、その先端部が球体186の上面部に当接してそれを下方に押し下げながら、嵌合孔184cに進入するようになっている。このため、内部空間185の上端部の球面凹部185aから球体186が離隔する。
【0120】
このように球面凹部185aから球体186が離隔した場合には、内部空間185と流路196が連通するように突出部194の先端構造(図示せず)が形成されているので、この場合には内部空間185は、流路196,198、及び圧力ゲージ90の軸孔90aのそれぞれと連通するようになっている。
【0121】
圧力ゲージ90を油圧ダンパ180に取付けないときは、図9に示すように、第1継手182と第2継手190は分離され、圧力ゲージ90は第2継手190の方に取り付けた状態になっている。そして、圧力ゲージ90を油圧ダンパ180に取付けるときは、図8に示すように、第2継手190を第1継手182に被せて取付けるだけでよい。
【0122】
第2継手190を第1継手182に被せて取付けるときは、不図示のロック機構をロックする方向に動作させて両者間が外れないようにし、図9に示すように第1継手182から第2継手190を取り外すときは、上記ロック機構をそのロック動作を外す方向に動作させて、第2継手190を第1継手182から取り外すようになっている。
【0123】
このような本発明の第6の実施の形態に係る油圧ダンパ180によっても、前記第1の実施の形態に係る油圧ダンパ50と同様に、油圧ダンパ180内の作動油の量の変化を外部から容易に認識することができる他に、油圧ダンパ180が大きく、重く、高価になることや、油圧ダンパ180の部品が油圧ダンパ180周囲の他部材と干渉することを防止することができると共に、油圧ダンパ180の非作動時における圧力ゲージ90の測定精度を向上させることができる。
【0124】
また、本実施の形態に係る油圧ダンパ180においては、第1ピストンロッド部144に、一対の継手182,190を介して、圧力ゲージ90が容易に着脱可能に設けられるようになっているため、圧力ゲージ90を常時接続しておく必要がない。このため、ピストン142がシリンダ52内で移動しない油圧ダンパ180非作動時にのみ圧力ゲージ90を取付けてアキュムレータ油室76の圧力を検出し、ピストン142がシリンダ52内で移動する油圧ダンパ180作動時には圧力ゲージ90を取付けないようにすることができる。
【0125】
また、本実施の形態に係る油圧ダンパ180においては、第1ピストンロッド部144に、一対の継手182,190を介して、圧力ゲージ90が容易に着脱可能に設けられるようになっているため、圧力ゲージ90の交換作業を迅速に行うことができる。
【0126】
なお、前記第1から第6の実施の形態に係る油圧ダンパ50等においては、制震用の油圧ダンパについて説明したが、本発明は免震用等の他の種類の油圧ダンパにおいても適用することができる。
【0127】
また、前記第1から第6の実施の形態に係る油圧ダンパ50等におけるシリンダ52は、円筒状に設けられていたが、円筒状に設けられていなくてもよく、例えば、角筒状に設けられていてもよい。
【0128】
また、前記第1から第6の実施の形態に係る油圧ダンパ50等における加圧式アキュムレータ74は、第2ピストンロッド部64等の内部に設けられていたが、第2ピストンロッド部64の内部ではなく外部に設けられていてもよい。例えば第2ピストンロッド部64の先端部のさらにその先に、第2ピストンロッド部64とは別体として、別の位置に加圧式アキュムレータが取付けられるようになっていてもよい。
【0129】
また、加圧式アキュムレータ74は、アキュムレータ油室76、アキュムレータピストン80及びバネ82により加圧式のアキュムレータに構成されていたが、この加圧式のアキュムレータの構成に限定する必要はなく、他のどのような構成のアキュムレータを用いてもよい。
【0130】
また、前記第1から第6の実施の形態に係る油圧ダンパ50等のそれぞれの構成を適宜組み合わせることにより、これらの油圧ダンパの構成とは異なる油圧ダンパに構成されるようになっていてもよい。
【0131】
例えば、図5に示す第4の実施の形態に係る油圧ダンパ140においては、ピストン142の第1ピストンロッド部144の外周面に形成されたメネジ孔144bに、圧力ゲージ90が設けられるようになっていたが、圧力ゲージ90の代わりに、前記第2の実施の形態における油量監視手段102や、前記第3の実施の形態における油量監視手段122、或いはそれ以外の構成の油量監視手段が、メネジ孔144bに設けられるようになっていてもよい。この点、図6に示す第5の実施の形態に係る油圧ダンパ160においても同様である。
【0132】
また、前記第1から第5の実施の形態に係る油圧ダンパ50等においては、圧力ゲージ90や油量監視手段102、或いは油量監視手段122等の油量監視手段がネジ孔に直接設けられるようになっていたが、前記第6の実施の形態における一対の継手182,190を介して、油量監視手段がネジ孔に着脱可能に設けられるようになっていてもよい。
【0133】
また、図6に示す前記第5の実施の形態における連結部材168は、円柱状に形成されていたが、円柱状に限定される必要はなく、ボールジョイント176、第1ピストンロッド部164及び圧力ゲージ90を取付けることができるような形状であれば、立方体等、他のどのような形状であってもかまわない。
【符号の説明】
【0134】
2 油圧ダンパ
4 シリンダ
4a,4b 端面
6 ピストン
6a,6b 端面
8,10 油室
12,14 ピストンロッド
16 延長部材
16a 貫通孔
18,20 リリーフ弁
22 アキュムレータ
24 アキュムレータ油室
26 ピストン
28 バネ
30 棒状部材
40 油圧ダンパ
42 圧力ゲージ
44 流路
50 油圧ダンパ
52 シリンダ
54 シリンダ本体
54a 内周面
56,58 カバー部材
56a,58a 嵌合孔
60 ピストン
62 第1ピストンロッド部
62a オネジ部
62b メネジ部
64 第2ピストンロッド部
66 第1油室
68 第2油室
70,72 流路
74 加圧式アキュムレータ
76 アキュムレータ油室
77,78 流路
77a 絞り
80 アキュムレータピストン
82 バネ
84 延長部材
86 ジョイント部材
86a 取付部
86b 固定板部
86c 軸孔
86d メネジ部
86e 開口部
88 ジョイント部材
90 圧力ゲージ
90a 軸孔
90b オネジ部
92 流路
94 ナット
94a メネジ部
100 油圧ダンパ
102 油量監視手段
104 取付部
104a オネジ部
104b フランジ部
106 ベローズ
106a 先端面
108 第3油室
110 流路
120 油圧ダンパ
122 油量監視手段
124 筒状部材
124a オネジ部
124b メネジ部
124c 凹部
126 蓋部材
126a オネジ部
126b 貫通孔
128 第3油室
130 ピストン
132 バネ
134 棒状部材
136 流路
140 油圧ダンパ
142 ピストン
144 第1ピストンロッド部
144a オネジ部
144b メネジ孔
146 第2ピストンロッド部
148 ジョイント部材
148a メネジ部
152 流路
160 油圧ダンパ
162 ピストン
164 第1ピストンロッド部
164a オネジ部
166 第2ピストンロッド部
168 連結部材
168a メネジ部
168b メネジ孔
168c メネジ部
172,174 流路
176,178 ボールジョイント
176a オネジ部
180 油圧ダンパ
182 第1継手
184 第1継手本体
184a オネジ部
184b 流路
184c 嵌合孔
185 内部空間
185a 球面凹部
185b 下端面
186 球体
187 シール部材
188 バネ
190 第2継手
192 第2継手本体
192a メネジ部
194 突出部
196,198 流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダ内に収納されシリンダの軸線方向両端部からシリンダの外側に突出する一対のピストンロッドを有するピストンと、
シリンダ内のピストンの軸線方向の両側に形成され内部に作動油が充填された2つの油室と、
前記一対のピストンロッドの一方に設けられ、アキュムレータピストンとアキュムレータ油室を有するアキュムレータと、
前記シリンダ内の2つの油室と連通する前記アキュムレータ油室内の作動油の圧力を低減する油圧低減手段と、
前記アキュムレータ油室と連通してアキュムレータ油室内の作動油の圧力を介して油圧ダンパ全体の油量の変化を監視する油量監視手段と
を備えたことを特徴とする油圧ダンパ。
【請求項2】
前記油量監視手段は、前記ピストンに対して前記アキュムレータとは反対側に位置するピストンロッドの先端部に設けられたことを特徴とする請求項1に記載の油圧ダンパ。
【請求項3】
前記油量監視手段は、前記ピストンに対して前記アキュムレータとは反対側に位置するピストンロッドの外周部に設けられたことを特徴とする請求項1に記載の油圧ダンパ。
【請求項4】
前記油量監視手段は、前記ピストンに対して前記アキュムレータとは反対側に位置するピストンロッドの先端部に取付けられた連結部材に設けられたことを特徴とする請求項1に記載の油圧ダンパ。
【請求項5】
前記油量監視手段は、前記アキュムレータ油室内の作動油の圧力を検出する圧力ゲージを備えたことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の油圧ダンパ。
【請求項6】
前記油量監視手段は、前記アキュムレータ油室内の作動油の圧力に応じて前記シリンダの軸線方向に伸縮する蛇腹円筒状部材を備えたことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の油圧ダンパ。
【請求項7】
前記油量監視手段は、
内部に空間を有する筐体と、
前記空間内に収納されて前記空間を2つの空間に分割し、前記アキュムレータ油室と連通する第3の油室を前記2つの空間の一方に形成する第3のピストンと、
前記第3のピストンを前記第3の油室側に向けて付勢するよう前記2つの空間の他方に収納された弾性部材と、
前記第3のピストンに一体的に設けられ前記筐体の外部に突出可能な棒状部材とを備え、
前記アキュムレータ油室の作動油の圧力の変動に応じて前記棒状部材の前記筐体の外部への突出量が変動するようにした
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の油圧ダンパ。
【請求項8】
前記油量監視手段は、一対の継手部材を介して着脱可能に設けられたことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の油圧ダンパ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−72467(P2013−72467A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210941(P2011−210941)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000233239)日立機材株式会社 (225)
【出願人】(000001373)鹿島建設株式会社 (1,387)
【Fターム(参考)】