説明

油圧ユニット

【課題】モータを油タンク内に配置した油圧ユニットにおいて、作動油の冷却を十分に行うこと。
【解決手段】油タンク内に配置されたモータの駆動軸は底板27から外部へ貫通し、その端部にファン30が連結されている。底板27の外面を覆い、その外面との間にファン30の吹出空気の空気通路を形成する通路形成カバー35を備えている。通路形成カバー35の外縁部37は、底板27に連続する第1〜第3側板の面方向に折り曲げられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ポンプを駆動するためのモータを油タンク内に配置した油圧ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば特許文献1に開示されているように、油タンクと、該油タンクの作動油をアクチュエータ等に供給する油圧ポンプと、該油圧ポンプを駆動するモータとを備えた油圧ユニットが知られている。この油圧ユニットでは、モータが自己冷却用のファンを有しており、このモータや油圧ポンプが油タンクの上面に載置されている。そのため、油タンクの上方空間が比較的大きなモータ等によって占有されてしまい、油圧ユニットの配置が困難になるという問題があった。
【0003】
そこで、例えば特許文献2に開示されている油圧ユニットのように、モータや油圧ポンプを油タンク内に配置することが考えられる。こうすることで、油タンクの上方空間における占有物を少なくすることができ油圧ユニットの配置がしやすくなる。そして、モータを油タンク内の作動油に浸漬させることで、作動油によってモータの冷却を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−40319号公報
【特許文献2】特開2005−195081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献2のような油圧ユニットでは、作動油の温度がモータの発熱によって上昇しやすくなり、作動油の冷却を十分に行うことができないという問題があった。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、モータが油タンク内に配置された油圧ユニットにおいて、できるだけ大型化させることなく、作動油の冷却を十分に行うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために、油タンク内に配置されたモータの駆動軸をタンク外へ延設し、その軸端部にファンを接続して油タンクの外壁面を冷却するようにした。
【0008】
具体的に、第1の発明は、油タンク(20)と、該油タンク(20)の作動油を吸引する油圧ポンプ(11)と、前記油タンク(20)の作動油に浸漬され、前記油圧ポンプ(11)を駆動するためのモータ(12)とを備えた油圧ユニットを対象としている。そして、前記モータ(12)の駆動軸(12a)は、一端が前記油タンク(20)の外部へ貫通し、その外端部に前記油タンク(20)を冷却するファン(30)が連結されているものである。
【0009】
第1の発明では、モータ(12)によって油圧ポンプ(11)とファン(30)が駆動する。モータ(12)は、作動油に浸漬されているため、その作動油によって冷却される。一方、ファン(30)から吹き出した空気が油タンク(20)の外周を流通し、これによって油タンク(20)が冷却され、作動油が冷却される。つまり、本発明に係るファン(30)は、油タンク(20)を外部から冷却する冷却用ファンである。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、前記ファン(30)が、前記モータ(12)の駆動軸(12a)と連結し、該駆動軸(12a)中心から径方向に空気を吹き出すインペラ(31)を備えているものである。
【0011】
第2の発明では、ファン(30)が駆動軸(12a)中心から径方向に空気を吹き出すので、その吹出空気は確実に油タンク(20)の外壁面に沿って流通する。これにより、確実に油タンク(20)がファン(30)の吹出空気によって冷却される。
【0012】
第3の発明は、第1または第2の発明において、前記モータ(12)の駆動軸(12a)が貫通する前記油タンク(20)の第1外壁面を覆い、該第1外壁面との間に前記ファン(30)の吹出空気の空気通路を形成する通路形成カバー(35)を備えているものである。
【0013】
第3の発明では、ファン(30)が位置する第1外壁面と通路形成カバー(35)との間に吹出空気の空気通路(即ち、吹出空気の流通空間)が形成されるので、第1外壁面の全体に亘って吹出空気が流通する。これにより、少なくとも第1外壁面が冷却される。
【0014】
第4の発明は、第3の発明において、前記通路形成カバー(35)の外縁部(37)が、前記油タンク(20)の第1外壁面に連続する第2外壁面の面方向に折り曲げられているものである。
【0015】
第4の発明では、第1外壁面と通路形成カバー(35)との間を流通する吹出空気が外縁部(37)によって第2外壁面の面方向へ方向転換して流通する。これにより、ファン(30)の吹出空気が第1外壁面だけでなく第2外壁面に沿っても流通する。そのため、少なくとも第1外壁面と第2外壁面が冷却される。
【0016】
第5の発明は、第4の発明において、前記油タンク(20)の第2外壁面に、前記通路形成カバー(35)の外縁部(37)の折り曲げ方向に沿って延びる複数の板状フィン(23a,24a,25a)が設けられているものである。
【0017】
第5の発明では、第2外壁面に板状フィン(23a,24a,25a)が設けられているので、吹出空気の接触面積(即ち、第2外壁面の放熱面積)が増大し、第2外壁面への冷却効率が上がる。
【0018】
第6の発明は、第4の発明において、前記油タンク(20)の第2外壁面に、前記通路形成カバー(35)の外縁部(37)の折り曲げ方向に沿って延びる筒状に形成された複数の空気通路部(23b,24b,25b)が設けられているものである。
【0019】
第6の発明では、第2外壁面に筒状の空気通路部(23b,24b,25b)が設けられているので、確実に吹出空気が第2外壁面に沿って流通する。これにより、第2外壁面への冷却効率が上がる。また、空気通路部(23b,24b,25b)によって吹出空気の接触面積(即ち、第2外壁面の放熱面積)が増大するため、これによっても第2外壁面への冷却効率が上がる。
【0020】
第7の発明は、第4乃至第6の何れか1の発明において、前記油タンク(20)の第1外壁面に、前記ファン(30)の吹出口近傍から前記第2外壁面へ延びる複数のリブ(27c)が設けられているものである。
【0021】
第7の発明では、リブ(27c)によって第1外壁が補強されると共に、第1外壁面と通路形成カバー(35)との間を流通する吹出空気が、不要な外壁面へは送風されずにリブ(27c)に沿って任意に分配されて確実に第2外壁面へ導かれる。
【0022】
第8の発明は、第3乃至第7の何れか1の発明において、前記ファン(30)が、前記通路形成カバー(35)の内側に配置され、前記通路形成カバー(35)には、前記ファン(30)に対応するベルマウス形状の空気吸込口(36a)が形成されているものである。
【0023】
第8の発明では、空気吸込口(36a)がベルマウス形状であるため、空気吸込口(36a)における吸気効率が高い。
【0024】
第9の発明は、第3乃至第7の何れか1の発明において、前記ファン(30)は、前記通路形成カバー(35)の内側に配置され、前記通路形成カバー(35)には、前記ファン(30)に対応する空気吸込口(36a)が形成され、前記ファン(30)には、前記空気吸込口(36a)に対応するシュラウド(31a)が設けられているものである。
【0025】
第9の発明では、ファン(30)にシュラウド(31a)が設けられているため、ファン(30)の吸気効率が高くなる。
【0026】
第10の発明は、第8の発明において、前記ファン(30)には、前記空気吸込口(36a)に対応するシュラウド(31a)が設けられているものである。
【0027】
第10の発明では、空気吸込口(36a)がベルマウス形状であることに加え、ファン(30)にシュラウド(31a)が設けられているため、ファン(30)の吸気効率が大幅に高くなる。
【0028】
第11の発明は、第1乃至第10の何れか1の発明において、前記モータ(12)の駆動軸(12a)が貫通する前記油タンク(20)の第1外壁面が底面である。
【0029】
第11の発明では、ファン(30)が油タンク(20)の底板側に設けられるので、周囲に与えるドラフト感が抑制される。
【0030】
第12の発明は、第1または第2の発明において、前記モータ(12)の駆動軸(12a)の一端は、床面と隙間を置いて位置する前記油タンク(20)の底板(27)を貫通し、前記底板(27)に連続する前記油タンク(20)の側板(23,24,25)の外方で、上下方向に延びて前記床面と前記底板(27)との隙間を遮蔽する遮蔽部材(41,42,43)を備えている。
【0031】
第12の発明では、ファン(30)の吹出空気が底板(27)と床面との隙間を流通する。つまり、底板(27)と床面との隙間が吹出空気の空気通路となり、確実に吹出空気が底板(27)の外面に沿って流通する。前記隙間を流通した空気は、遮蔽部材(41,42,43)によって上向きへ流れて側板(23,24,25)の外面を流通する。つまり、遮蔽部材(41,42,43)によって隙間が遮蔽されているため、吹出空気が隙間から底板(27)の面方向へ流出することなく側板(23,24,25)の外面に沿って流れる。
【0032】
第13の発明は、第12の発明において、前記側板(23,24,25)の外面には、上下方向に延びる複数の板状フィン(23c,24c,25c)が設けられている。
【0033】
第13の発明では、側板(23,24,25)の外面に板状フィン(23c,24c,25c)が設けられているので、側板(23,24,25)の外面を流通する吹出空気の接触面積(即ち、側板(23,24,25)の放熱面積)が増大し、側板(23,24,25,26)への冷却効率が上がる。
【0034】
第14の発明は、第12または第13の発明において、前記底板(27)の外面には、前記ファン(30)の吹出口近傍から前記遮蔽部材(41,42,43)へ向かって延びる複数のリブ(27c)が設けられている。
【0035】
第14の発明では、リブ(27c)によって底板(27)が補強されると共に、底板(27)と床面との隙間を流通する吹出空気が、不要な側板の外面へは送風されずにリブ(27c)に沿って任意に分配されて確実に必要な側板(23,24,25)の外面へ導かれる。
【発明の効果】
【0036】
以上のように、本発明によれば、油タンク(20)内の作動油にモータ(12)を浸漬させると共に、モータ(12)の駆動軸(12a)を外部へ貫通させて、その端部にファン(30)を連結するようにした。そのため、モータ(12)を作動油によって冷却することができると共に、ファン(30)の吹出空気によって油タンク(20)ひいては作動油を冷却することができる。また、油圧ポンプ(11)およびモータ(12)を油タンク(20)内に配置することで、油タンク(20)の上方空間における占有物を従来に比べて排除することができる。これにより、油圧ユニット(10)を小型に構成することができ、油圧ユニット(10)の配置を容易にすることができる。
【0037】
また、第2の発明によれば、モータ(12)の駆動軸(12a)中心に対して径方向に空気を吹き出すファン(30)を用いているようにしているため、確実にファン(30)の吹出空気を油タンク(20)の壁面に沿って流通させることができる。これにより、油タンク(20)および作動油を十分に冷却することができる。
【0038】
また、第3の発明によれば、第1外壁面を覆ってファン(30)の吹出空気の空気通路を形成する通路形成カバー(35)を設けるようにしたため、ファン(30)の吹出空気を第1外壁面から遠ざかることなく確実に第1外壁面に沿って流通させることができる。これにより、油タンク(20)および作動油の冷却効果を向上させることができる。
【0039】
また、第4の発明によれば、通路形成カバー(35)の外縁部(37)を、第1外壁面に連続する第2外壁面の面方向に折り曲げるようにしたため、ファン(30)の吹出空気を第2外壁面に沿っても流通させることができる。そのため、第1外壁面だけでなく第2外壁面をも冷却することができる。これにより、作動油の冷却効果が一層向上する。
【0040】
また、第5の発明によれば、第2外壁面において外縁部(37)の折り曲げ方向に沿って延びる板状フィン(23a,24a,25a)を設けるようにしたため、第2外壁面の放熱面積を増大させることができ、第2外壁面の冷却効果が向上する。
【0041】
また、第6の発明によれば、空気通路部(23b,24b,25b)が筒状に形成されているため、空気が途中で第2外壁面から遠ざかることなく確実に第2外壁面に沿って流通する。そのため、第2外壁面の冷却効果を高めることができる。さらに、空気通路部(23b,24b,25b)が筒状に形成されていることで、放熱面積(即ち、空気の接触面積)が増大するので、これによっても第2外壁面の冷却効果を高めることができる。
【0042】
また、第7の発明によれば、第1外壁面に設けたリブ(27c)によって、ファン(30)の吹出空気を不要な外壁面へは流さずに任意に分配して確実に第2外壁面へ流すことができる。これによって、十分な量の空気を第2外壁面に沿って流通させることができ、第2外壁面を一層冷却することができる。さらに、第1外壁は作動油の質量を受けるだけでなくモータ(12)やファン(30)の重量が作用することになるため強度不足が懸念されるが、リブ(27c)によって第1外壁の強度を十分に確保することができる。
【0043】
また、第8の発明によれば、通路形成カバー(35)の空気吸込口(36a)がベルマウス形状であるため、吸気効率が向上する。よって、十分な量の空気を通路形成カバー(35)内に流入させることができるので、第1外壁面の冷却効果が高まる。
【0044】
また、第9の発明によれば、ファン(30)にシュラウド(31a)を設けるため、吸気効率が向上する。よって、十分な量の空気を通路形成カバー(35)内に流入させることができるので、第1外壁面の冷却効果が高まる。
【0045】
また、第10の発明によれば、通路形成カバー(35)の空気吸込口(36a)がベルマウス形状であることに加え、ファン(30)にシュラウド(31a)を設けるようにしたため、吸気効率を一層向上させることができる。よって、第1外壁面の冷却効果を一層高めることができる。
【0046】
また、第11の発明によれば、ファン(30)が油タンク(20)の底板側に設けられるので、周囲に与えるドラフト感を抑制することができる。
【0047】
また、第12の発明によれば、通路形成カバー(35)側板(23,24,25)の外方で上下方向に延びて底板(27)と床面との隙間を遮蔽する遮蔽部材(41,42,43)を設けるようにしたため、ファン(30)の吹出空気を底板(27)の外面だけでなく側板(23,24,25)の外面に沿っても流通させることができる。そのため、底板(27)だけでなく側板(23,24,25)をも冷却することができる。これにより、作動油の冷却効果が一層向上する。
【0048】
また、第13の発明によれば、側板(23,24,25)の外面において上下方向に延びる板状フィン(23c,24c,25c)を設けるようにしたため、側板(23,24,25)の放熱面積を増大させることができ、側板(23,24,25)の冷却効果が向上する。
【0049】
また、第14の発明によれば、底板(27)に設けたリブ(27c)によって、ファン(30)の吹出空気を、不要な側板の外面へは流さずに任意に分配して確実に必要な側板(23,24,25)の外面へ流すことができる。これによって、十分な量の空気を側板(23,24,25)の外面に沿って流通させることができ、側板(23,24,25)を一層冷却することができる。さらに、底板(27)は作動油の質量を受けるだけでなくモータ(12)やファン(30)の重量が作用することになるため強度不足が懸念されるが、リブ(27c)によって底板(27)の強度を十分に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】図1は、実施形態に係る油圧ユニットの構成を示す油圧回路図である。
【図2】図2は、実施形態に係る油圧ユニットを上方から視て示す斜視図である。
【図3】図3は、図1に示す油圧ユニットを上板を省略して示す斜視図である。
【図4】図4は、実施形態に係る油圧ユニットを下方から視て示す斜視図である。
【図5】図5は、油タンクの要部を上方から視て示す斜視図である。
【図6】図6は、油タンクの要部を示す断面図である。
【図7】図7は、通路形成カバーにおける空気流れを示す斜視図である。
【図8】図8は、実施形態の変形例1に係る油圧ユニットを上板を省略して示す斜視図である。
【図9】図9は、実施形態の変形例2に係る油圧ユニットを下方から視て示す斜視図である。
【図10】図10は、実施形態の変形例2に係る油タンクの要部を示す断面図である。
【図11】図11は、実施形態の変形例3に係る油タンクの要部を示す断面図である。
【図12】図12は、実施形態の変形例4に係る油タンクの要部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0052】
図1に示すように、本実施形態の油圧ユニット(10)は、圧油を油圧シリンダ等のアクチュエータに供給して該アクチュエータを作動させるものである。油圧ユニット(10)は、油圧ポンプ(11)と、モータ(12)と、方向切換弁(13)と、油タンク(20)とを備えている。
【0053】
油圧ポンプ(11)は、油タンク(20)に貯留されている作動油を吸入しアクチュエータへ吐出する流体圧ポンプを構成している。この油圧ポンプ(11)は、例えばギアポンプ、トロコイドポンプ、ベーンポンプ、ピストンポンプ等の固定容量型ポンプで構成されている。モータ(12)は、油圧ポンプ(11)を駆動する可変速モータである。また、このモータ(12)は、自己冷却用のファンを有しないものである。そして、油圧ポンプ(11)とモータ(12)は、油タンク(20)内に配置されている。この詳細については後述する。
【0054】
方向切換弁(13)は、第1電磁ソレノイド(13a)および第2電磁ソレノイド(13b)を有する4ポート3位置スプリングセンタ式電磁切換弁である。方向切換弁(13)は、4ポートのうち、Pポートが油圧ポンプ(11)の吐出側と接続され、Tポートが油タンク(20)と接続されている。また、方向切換弁(13)のAポートおよびBポートは、アクチュエータと接続するポートである。なお、本実施形態において上述した方向切換弁(13)の形式は単なる一例である。
【0055】
図2〜図6に示すように、油タンク(20)は、直方体状のタンク本体(21)と、ファン(30)と、通路形成カバー(35)とを備えている。なお、ここでいう油タンク(20)の形状は、単なる一例であり、立方体や扁平な直方体等の矩形体であってもよい。
【0056】
タンク本体(21)の上板(22)は、ボルト締結等によって固定されており、取り外し可能となっている。図2に示すように、上板(22)の上面には、方向切換弁(13)が取り付けられている。そして、図3に示すように、タンク本体(21)の内部には油圧ポンプ(11)とモータ(12)が配設されている。油圧ポンプ(11)とモータ(12)は、タンク本体(21)に貯留されている作動油に浸漬されている。モータ(12)は、駆動軸(12a)が上下方向に延びる状態でタンク本体(21)の底板(27)に載置されている。具体的に、図5や図6に示すように、底板(27)は、タンク本体(21)の外部から視た場合、一部が内方へ折り曲げられて平面視円形に凹んでおり、その凹部がファン収納部(27a)となっている。ファン収納部(27a)には上述したファン(30)が収納される。ファン収納部(27a)は、タンク本体(21)の内部から視た場合、内方へ突出した扁平な円形台となっている。この円形台にモータ(12)が載置される。モータ(12)の駆動軸(12a)は、上側の一端が油圧ポンプ(11)に接続され、下側の他端がファン収納部(27a)の貫通孔(27b)に挿通されてファン収納部(27a)の内部へ突出している。そのファン収納部(27a)内に突出した駆動軸(12a)の端部にファン(30)が連結されている。本実施形態のファン(30)は、ターボファンであり、吹出空気によってタンク本体(21)を冷却し、タンク本体(21)内の作動油を冷却する冷却ファンを構成している。なお、ファン(30)は、低速回転でも比較的静圧が高いシロッコファンであってもよい。ファン(30)は、モータ(12)の駆動軸(12a)に連結されて回転駆動するインペラ(31)を有している。このインペラ(31)は、回転軸方向(即ち、モータ(12)の駆動軸(12a)の軸方向)に空気を吸い込み、回転軸中心から径方向に空気を吹き出すように構成されている。つまり、ファン(30)の吹出方向は底板(27)の外面に沿う方向となっており、ファン(30)の吹出空気が底板(27)の外面に沿って流通するようになっている。
【0057】
タンク本体(21)の底板(27)の下方には、上述した通路形成カバー(35)が設けられている。通路形成カバー(35)は、タンク本体(21)の底板(27)と所定の距離を置いて配置され、底板(27)の外面全体を覆う矩形の基板(36)を有している。その基板(36)の各辺に相当する外縁部(37)は、それぞれ上方に向かって折り曲げられている。つまり、基板(36)の外縁部(37)は、タンク本体(21)における底板(27)に連続する4つの側板(23,24,25,26)の面方向に折り曲げられている。つまり、通路形成カバー(35)は浅い容器状に形成されている。ファン(30)は、通路形成カバー(35)の内側に配置され、底板(27)と通路形成カバー(35)との間の空間に空気を吹き出すように構成されている。つまり、通路形成カバー(35)は、底板(27)の外面を覆い、その外面との間にファン(30)の吹出空気の空気通路を形成している。図4や図6に示すように、通路形成カバー(35)には、ファン(30)の吸込口に対応する位置に空気吸込口(36a)が形成されている。空気吸込口(36a)は、吸気効率が高いベルマウス形状を成している。また、図示しないが、空気吸込口(36a)にはフィルタが設けられている。フィルタを設けることにより、ファン(30)が埃を吸い込んで気中へ放出するのを防止できる。
【0058】
図3や図4に示すように、タンク本体(21)の4つの側板(23,24,25,26)のうち3つの側板(23,24,25)、即ち、長手方向に位置する第1側板(23)および第2側板(24)と、短手方向に位置する第3側板(25)の外面には、複数のフィン(23a,24a,25a)が設けられている。油圧ポンプ(11)とモータ(12)に近い側の第4側板(26)には、モータ(12)等の制御盤(図示せず)が設けられているためフィンを設けていない。フィン(23a,24a,25a)は、上下方向に延びる板状に形成され、各側板(23,24,25)において上下方向と直交する方向に複数配列されている。つまり、各フィン(23a,24a,25a)は、通路形成カバー(35)の外縁部(37)の折り曲げ方向に沿って延びている。なお、各フィン(23a,24a,25a)は第1〜第3側板(23,24,25)の上下方向に亘って延びている。そして、通路形成カバー(35)の外縁部(37)のうち、フィン(23a,24a,25a)が設けられた側板(23,24,25)に対応する外縁部(37)は、フィン(23a,24a,25a)の突出端よりも僅か外側の位置で上方へ折り曲げられている。つまり、これら3つの側板(23,24,25)に対応する外縁部(37)は、ファン(30)からタンク本体(21)の底板(27)と通路形成カバー(35)の基板(36)との間に吹き出した空気を上方へ流してフィン(23a,24a,25a)へ導くガイド部材を構成している。なお、通路形成カバー(35)において、フィンが設けられていない第4側板(26)に対応する外縁部(37)は第4側板(26)の外面と接触するように折り曲げられている。このように、第4側板(26)と外縁部(37)とを接触させることにより、ファン(30)の吹出空気が第4側板(26)側へ流出しないようにしている。これによって、フィン(23a,24a,25a)が設けられた3つの側板(23,24,25)側へ十分な空気を流すことができる。
【0059】
また、タンク本体(21)の底板(27)の外面には、複数のリブ(27c)が設けられている。各リブ(27c)は、ファン(30)のインペラ(31)の周方向に概ね放射状に配列され、インペラ(31)の径方向に延びる板部材である。各リブ(27c)は、ファン(30)の吹出口近傍から、フィン(23a,24a,25a)が設けられた3つの側板(23,24,25)側へ向かって延びており、これら3つの側板(23,24,25)側へファン(30)の吹出空気を導くガイド部材である。また、このリブ(27c)は底板(27)を補強する補強部材も兼ねている。なお、各リブ(27c)は第4側板(26)側へは延びていない。
【0060】
本実施形態のタンク本体(21)において、底板(27)の外面は本発明に係る第1外壁面を構成し、フィン(23a,24a,25a)が設けられる3つの第1〜第3側板(23,24,25)は本発明に係る第2外壁面を構成している。
【0061】
−油タンクの冷却動作−
次に、油圧ユニット(10)の基本的な運転動作を説明した後に、油タンク(20)の冷却動作について説明する。
【0062】
本実施形態の油圧ユニット(10)では、方向切換弁(13)が中立位置(図1に示す状態)から右側位置または左側位置に切り換えられ、モータ(12)が起動されると、油圧ポンプ(11)が駆動する。そうすると、油圧ポンプ(11)によってタンク本体(21)内の作動油が吸い上げられてアクチュエータへ供給される。これにより、アクチュエータが作動する。また、アクチュエータからの戻り油が油タンク(20)へ戻る。
【0063】
以上の動作においては、モータ(12)は発熱するが、そのモータ(12)はタンク本体(21)内の作動油に浸漬されているため、作動油によって冷却される。一方、作動油は、モータ(12)の発熱によって昇温する。また、アクチュエータからタンク本体(21)へ戻ってくる作動油は比較的高温となっているため、これによっても、作動油は昇温する。
【0064】
ところが、本実施形態では、タンク本体(21)(油タンク(20))がファン(30)の吹出空気によって冷却される。上述したようにモータ(12)が起動されると、ファン(30)も駆動する。図7に矢印で示すように、ファン(30)が駆動すると、空気吸込口(36a)から空気が流入して、タンク本体(21)の底板(27)と通路形成カバー(35)の基板(36)との間へ流れる。これによって、タンク本体(21)の底板(27)が冷却される。このとき、ファン(30)は径方向に空気を吹き出すため、その吹出空気は確実に底板(27)の外面に沿って流通する。さらに、通路形成カバー(35)が底板(27)の外面を覆って空気通路を形成しているため、ファン(30)の吹出空気は底板(27)の外面から遠ざかることなく確実に底板(27)に沿って流通する。これらの作用によって、底板(27)が十分に冷却される。そして、ファン(30)から吹き出して底板(27)を冷却した空気は、第1〜第3側板(23,24,25)側へ流れ、通路形成カバー(35)の外縁部(37)によって上方へ向かって流れる。上方へ流れた空気は、第1〜第3側板(23,24,25)の外面に沿って流通する。これにより、第1〜第3側板(23,24,25)が冷却される。また、上方へ流れた空気は、第1〜第3側板(23,24,25)の外面に設けられたフィン(23a,24a,25a)を流通するため、第1〜第3側板(23,24,25)がより冷却される。つまり、フィン(23a,24a,25a)によって放熱面積(即ち、空気との接触面積)が増大するため、冷却効果が増大する。また、ファン(30)から吹き出した空気は、底板(27)に設けられたリブ(27c)によって確実に第1〜第3側板(23,24,25)側へ向かって流れる。そのため、十分な量の空気が第1〜第3側板(23,24,25)の外面およびフィン(23a,24a,25a)を流通する。これによって、第1〜第3側板(23,24,25)の冷却効率が上がる。以上のように、タンク本体(21)の底板(27)および第1〜第3側板(23,24,25)がファン(30)の吹出空気によって冷却されるため、タンク本体(21)内の作動油が冷却される。
【0065】
−実施形態の効果−
以上のように、本実施形態では、油タンク(20)内の作動油にモータ(12)を浸漬させると共に、モータ(12)の駆動軸(12a)を底板(27)から貫通させて、その端部にファン(30)を連結するようにした。そのため、モータ(12)を作動油によって冷却することができると共に、ファン(30)の吹出空気によってタンク本体(21)の底板(27)ひいては作動油を冷却することができる。
【0066】
また、油圧ポンプ(11)およびモータ(12)を油タンク(20)内に配置することで、油タンク(20)の上方空間における占有物を従来に比べて排除することができる。これにより、油圧ユニット(10)の配置を容易にすることができる。
【0067】
また、本実施形態では、回転軸(駆動軸(12a))中心から径方向に空気を吹き出すファン(30)を用いるようにしているため、確実にファン(30)の吹出空気をタンク本体(21)の底板(27)の外面に沿って流通させることができる。これにより、タンク本体(21)の底板(27)および作動油を十分に冷却することができる。
【0068】
また、底板(27)の外面を覆ってファン(30)の吹出空気の空気通路を形成する通路形成カバー(35)を設けるようにしたため、ファン(30)の吹出空気を底板(27)から遠ざかることなく底板(27)の外面に沿って確実に流通させることができる。これにより、タンク本体(21)の底板(27)および作動油の冷却効果を向上させることができる。
【0069】
また、前記通路形成カバー(35)の外縁部(37)を、底板(27)に連続する第1〜第3側板(23,24,25)の面方向に折り曲げるようにしたため、ファン(30)の吹出空気を第1〜第3側板(23,24,25)の外面に沿って流通させることができる。そのため、底板(27)だけでなく第1〜第3側板(23,24,25)をも冷却することができる。これにより、作動油の冷却効果が一層向上する。
【0070】
また、第1〜第3側板(23,24,25)の外面にフィン(23a,24a,25a)を設けて該フィン(23a,24a,25a)に空気を流通させるようにしたため、第1〜第3側板(23,24,25)の放熱面積を増大させることができ、第1〜第3側板(23,24,25)の冷却効果が向上する。
【0071】
また、底板(27)の外面に、ファン(30)の吹出口近傍から第1〜第3側板(23,24,25)の外面へ延びる複数のリブ(27c)を設けるようにしたため、ファン(30)の吹出空気を確実に第1〜第3側板(23,24,25)側へ流すことができる。これによって、十分な量の空気を第1〜第3側板(23,24,25)の外面に沿って流通させることができるので、第1〜第3側板(23,24,25)を一層冷却することができる。さらに、底板(27)は、モータ(12)および油圧ポンプ(11)が載置されると共にファン(30)が取り付けられるため、強度不足になりやすい。ところが、本実施形態では、上述したリブ(27c)が補強部材としても兼ねるため、底板(27)の強度を十分に確保することができる。
【0072】
また、本実施形態では、タンク本体(21)のうち底板(27)側にファン(30)を設けるようにしたた。そのため、万一、通路形成カバー(35)内の空気がフィン(23a,24a,25a)を流通せずに外部へ流出したとしても、作業者の足元に吹き出すことになり、作業者が受けるドラフト感は殆どないといえる。さらに、ファン(30)から通路形成カバー(35)内に吹き出した空気は、最終的に、第1〜第3側板(23,24,25)の外面に沿って上方へ流出するため、油圧ユニット(10)周囲の作業者がドラフト感を殆ど受けることはない。
【0073】
また、本実施形態の通路形成カバー(35)は容器状に形成されているため、万一、タンク本体(21)から作動油が漏出した場合であっても、その漏出した作動油を通路形成カバー(35)に貯留させることができる。つまり、本実施形態では、通路形成カバー(35)をいわゆるオイルパンとしても機能させることができる。
【0074】
−実施形態の変形例−
〈変形例1〉
上述した実施形態では、第1〜第3側板(23,24,25)に板状のフィン(23a,24a,25a)を設けるようにしたが、本変形例は、それに代えて、図8に示すように、筒状に形成された複数の空気通路部(23b,24b,25b)を設けるようにしたものである。この空気通路部(23b,24b,25b)は、上下方向(即ち、通路形成カバー(35)の外縁部(37)の折り曲げ方向)に沿って延びる筒状に形成されている。空気通路部(23b,24b,25b)は、第1〜第3側板(23,24,25)の外面において上下方向と直交する方向に複数配列されている。また、空気通路部(23b,24b,25b)は第1〜第3側板(23,24,25)の上下方向に亘って延びている。この変形例では、空気通路部(23b,24b,25b)が筒状に形成されているため、空気が途中で第1〜第3側板(23,24,25)から遠ざかることなく確実に第1〜第3側板(23,24,25)の外面に沿って流通する。そのため、第1〜第3側板(23,24,25)の冷却効果を高めることができる。また、空気通路部(23b,24b,25b)が筒状に形成されていることで、放熱面積(即ち、空気の接触面積)が増大するので、これによっても第1〜第3側板(23,24,25)の冷却効果を高めることができる。その他の構成、作用および効果は実施形態1と同様である。
【0075】
〈変形例2〉
本変形例の油圧ユニット(10)は、図9及び図10に示すように、上述した実施形態において、通路形成カバー(35)を省略して、遮蔽部材(41,42,43)および空気吸込部材(45)を備えるようにしたものである。
【0076】
具体的に、本変形例の油圧ユニット(10)は、4つの側板(23,24,25,26)のうち第1側板(23)、第2側板(24)および第3側板(25)のそれぞれに対応して遮蔽部材(41,42,43)が設けられている。各遮蔽部材(41,42,43)は、各側板(23,24,25)の外方に位置し、上下方向に延びる板状部材である。そして、各遮蔽部材(41,42,43)は、底板(27)よりも下方へ(床面まで)突出するように設けられている。この遮蔽部材(41,42,43)の突出によって、底板(27)と床面との間に隙間が生じる。つまり、遮蔽部材(41,42,43)の突出した長さの分が、底板(27)と床面との隙間となる。また、各遮蔽部材(41,42,43)は、各側板(23,24,25)の上端まで延びている。また、各側板(23,24,25)の外面には、上下方向に延びる複数の板状のフィン(23c,24c,25c)が設けられている。フィン(23c,24c,25c)は、遮蔽部材(41,42,43)と同様、各側板(23,24,25)の上端から床面まで延びている。つまり、フィン(23c,24c,25c)も底板(27)よりも下方へ突出している。また、底板(27)の外面には、空気吸込部材(45)が設けられている。空気吸込部材(45)は、ファン連通部(45)と吸込部(47)を有している。ファン連通部(45)は、平面視円形の扁平な容器状に形成され、ファン(30)の吸込部を覆うカバー部材である。吸込部(47)は、平面視略台形の扁平な筒状部材である。吸込部(47)は、開口面積が小さい側の開口端がファン連通部(45)に接続されて、ファン連通部(45)の内部と連通している。吸込部(47)は、底板(27)の外面において、ファン連通部(45)から第4側板(26)側へ向かって延びている。具体的に、吸込部(47)の開口面積が大きい側の開口端は、底板(27)における第4側板(26)側の端辺と面一となっている。
【0077】
この変形例では、図9および図10に矢印で示すように、空気吸込部材(45)における吸込部(47)の開口から空気が吸い込まれる。この空気は、ファン連通部(45)を通じてファン(30)に吸い込まれる。ここで、吸込部(47)は、遮蔽部材(41,42,43)が設けられていない第4側板(26)側へ開口しているので、さらには、開口端が底板(27)における第4側板(26)側の端辺と面一であるので、空気を取り込みやすい。ファン(30)の吹出空気は、底板(27)と床面との隙間を流通する。つまり、底板(27)と床面との隙間が吹出空気の空気通路となり、確実に吹出空気が底板(27)の外面に沿って流通する。吹出空気は、リブ(27c)に沿って第1側板(23)、第2側板(24)、第3側板(25)のそれぞれへ向かって流れる。そして、吹出空気は、各遮蔽部材(41,42,43)によって上向きへ方向転換して流れ、各側板(23,24,25)のフィン(23c,24c,25c)を上方へ向かって流通する。このように、遮蔽部材(41,42,43)によって底板(27)と床面との隙間が遮蔽されているため、吹出空気が隙間から底板(27)の面方向へ流出することなく各側板(23,24,25)の外面に沿って流れる。これにより、底板(27)だけでなく側板(23,24,25)も冷却することができる。これにより、作動油の冷却効果が向上する。その他の構成、作用および効果は実施形態1と同様である。
【0078】
〈変形例3〉
本変形例の油圧ユニット(10)は、図11に示すように、上述した実施形態に係る通路形成カバー(35)において、空気吸込口(36a)を凸状のベルマウス形状としたものである。この場合でも、図11に矢印で示すように空気が吸い込まれ、空気吸込口(36a)における吸気効率が高まる。なお、図11はリブ(27c)を省略して示しており、後述する図12についても同様である。
【0079】
〈変形例4〉
本変形例の油圧ユニット(10)は、図12に示すように、上述した実施形態において、ファン(30)のインペラ(31)にシュラウド(31a)を設けるようにしたものである。シュラウド(31a)は、通路形成カバー(35)の空気吸込口(36a)に対応するように、インペラ(31)の上流端(図12における下端)に設けられている。このようにシュラウド(31a)を設けることによって、図12に矢印で示すように空気が吸い込まれ、ファン(30)の吸気効率が高まる。したがって、本変形例では、上述した空気吸込口(36a)のベルマウス形状による効果と相俟って、吸気効率を一層高めることができる。そのため、タンク本体(21)の底板(27)および作動油に対する冷却効果を一層向上させることが可能である。
【0080】
なお、本変形例では、必ずしも空気吸込口(36a)を上述したベルマウス形状にしなくてもよい。
【0081】
−その他の実施形態−
本発明は、上述した実施形態について以下のように構成するようにしてもよい。
【0082】
例えば、上述した実施形態では、3つの側板(23,24,25)の外面に沿って空気を流通させるようにしたが、本発明は、1つ、2つまたは4つの側板(23,24,25,26)の外面に沿って空気を流通させるように構成してもよい。
【0083】
また、通路形成カバー(35)の外縁部(37)を省略し、即ち通路形成カバー(35)を平板の基板(36)のみで構成して、底板(27)の外面にのみ空気を流通させるようにしてもよいことは勿論である。
【0084】
また、上述した実施形態では、各側板(23,24,25)の外面のみにフィン(23a,24a,25a)を設けるようにしたが、本発明は、各側板(23,24,25)の外面だけでなく内面にもフィンを設けるようにしてもよい。こうすることにより、作動油に対する冷却効率を向上させることができる。
【0085】
また、上述した実施形態において、各側板(23,24,25)のフィン(23a,24a,25a)や底板(27)のリブ(27c)を省略するようにしてもよい。
【0086】
また、上述した実施形態では、タンク本体(21)の底板(27)側にファン(30)を設けるようにしたが、本発明は、これに限らず、その他の側板(23,24,25,26)側にモータ(12)の駆動軸(12a)を貫通させて、その端部にファンを設けるようにしてもよい。その場合は、ファンが設けられた側板(23,24,25,26)に連続する他の側板(23,24,25,26)および底板(27)に空気が流通するように構成される。
【0087】
また、上述した実施形態では、回転軸(駆動軸(12a))中心から径方向に空気を吹き出すファン(30)を用いるようにしたが、これに限らず、例えば回転軸(駆動軸(12a))の軸方向に空気を吸い込んで吹き出すファンを用いるようにしてもよい。この場合、ファン(30)は、吹出口が底板(27)と通路形成カバー(35)との間の空間に臨むように設けられ、吹出空気がその空間に流通するように設けられる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
以上説明したように、本発明は、油圧ポンプを駆動するモータが油タンク内の作動油に浸漬された油圧ユニットについて有用である。
【符号の説明】
【0089】
10 油圧ユニット
11 油圧ポンプ
12 モータ
12a 駆動軸
20 油タンク
23 第1側板(側板)
24 第2側板(側板)
25 第3側板(側板)
23a,24a,25a フィン
23b,24b,25b 空気通路部
23c,24c,25c フィン
27 底板
27c リブ
30 ファン
31 インペラ
31a シュラウド
35 通路形成カバー
36a 空気吸込口
37 外縁部
41,42,43 遮蔽部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油タンク(20)と、該油タンク(20)の作動油を吸引する油圧ポンプ(11)と、前記油タンク(20)の作動油に浸漬され、前記油圧ポンプ(11)を駆動するためのモータ(12)とを備えた油圧ユニットであって、
前記モータ(12)の駆動軸(12a)は、一端が前記油タンク(20)の外部へ貫通し、その外端部に前記油タンク(20)を冷却するファン(30)が連結されている
ことを特徴とする油圧ユニット。
【請求項2】
請求項1において、
前記ファン(30)は、前記モータ(12)の駆動軸(12a)と連結し、該駆動軸(12a)中心から径方向に空気を吹き出すインペラ(31)を備えている
ことを特徴とする油圧ユニット。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記モータ(12)の駆動軸(12a)が貫通する前記油タンク(20)の第1外壁面を覆い、該第1外壁面との間に前記ファン(30)の吹出空気の空気通路を形成する通路形成カバー(35)を備えている
ことを特徴とする油圧ユニット。
【請求項4】
請求項3において、
前記通路形成カバー(35)の外縁部(37)は、前記油タンク(20)の第1外壁面に連続する第2外壁面の面方向に折り曲げられている
ことを特徴とする油圧ユニット。
【請求項5】
請求項4において、
前記油タンク(20)の第2外壁面には、前記通路形成カバー(35)の外縁部(37)の折り曲げ方向に沿って延びる複数の板状フィン(23a,24a,25a)が設けられている
ことを特徴とする油圧ユニット。
【請求項6】
請求項4において、
前記油タンク(20)の第2外壁面には、前記通路形成カバー(35)の外縁部(37)の折り曲げ方向に沿って延びる筒状に形成された複数の空気通路部(23b,24b,25b)が設けられている
ことを特徴とする油圧ユニット。
【請求項7】
請求項4乃至6の何れか1項において、
前記油タンク(20)の第1外壁面には、前記ファン(30)の吹出口近傍から前記第2外壁面へ延びる複数のリブ(27c)が設けられている
ことを特徴とする油圧ユニット。
【請求項8】
請求項3乃至7の何れか1項において、
前記ファン(30)は、前記通路形成カバー(35)の内側に配置され、
前記通路形成カバー(35)には、前記ファン(30)に対応するベルマウス形状の空気吸込口(36a)が形成されている
ことを特徴とする油圧ユニット。
【請求項9】
請求項3乃至7の何れか1項において、
前記ファン(30)は、前記通路形成カバー(35)の内側に配置され、
前記通路形成カバー(35)には、前記ファン(30)に対応する空気吸込口(36a)が形成され、
前記ファン(30)には、前記空気吸込口(36a)に対応するシュラウド(31a)が設けられている
ことを特徴とする油圧ユニット。
【請求項10】
請求項8において、
前記ファン(30)には、前記空気吸込口(36a)に対応するシュラウド(31a)が設けられている
ことを特徴とする油圧ユニット。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れか1項において、
前記モータ(12)の駆動軸(12a)が貫通する前記油タンク(20)の第1外壁面は、底面である
ことを特徴とする油圧ユニット。
【請求項12】
請求項1または2において、
前記モータ(12)の駆動軸(12a)の一端は、床面と隙間を置いて位置する前記油タンク(20)の底板(27)を貫通し、
前記底板(27)に連続する前記油タンク(20)の側板(23,24,25)の外方で、上下方向に延びて前記床面と前記底板(27)との隙間を遮蔽する遮蔽部材(41,42,43)を備えている
ことを特徴とする油圧ユニット。
【請求項13】
請求項12において、
前記側板(23,24,25)の外面には、上下方向に延びる複数の板状フィン(23c,24c,25c)が設けられている
ことを特徴とする油圧ユニット。
【請求項14】
請求項12または13において、
前記底板(27)の外面には、前記ファン(30)の吹出口近傍から前記遮蔽部材(41,42,43)へ向かって延びる複数のリブ(27c)が設けられている
ことを特徴とする油圧ユニット。

【図1】
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【図6】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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