説明

油圧圧入機支持力測定装置

【課題】本発明は、鋼管矢板等の杭を圧入しながら地盤の支持力を測定できると共に前記支持力をリアルタイムで記録、管理できる油圧圧入機支持力測定装置を提供する。
【解決手段】油圧圧入機10の第1ジャッキ用油圧ホース30の中間部には油圧圧入機支持力測定装置34の圧力変換器取付体36が配設されている。この圧力変換器取付体36には第1ジャッキ用油圧ホース30を流れて油圧ジャッキ装置18に流入するオイルが流れるようになっている。圧力変換器取付体36には圧力変換器38が設けられ、圧力変換器38は圧力変換器取付体36を通過するオイルの圧力を電流に変換する機能を有している。圧力変換器38はひずみ測定器42と接続されている。ひずみ測定器42はプリンター46と接続されており、鋼管矢板1を圧入している時の圧力の値等をプリントすることができるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼管矢板等の杭を地盤に圧入する場合に前記杭を圧入する地盤の支持力を測定したり、支持力をリアルタイムで記録、管理することができる油圧圧入機支持力測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建設現場の基礎工事等においては鋼管矢板等の杭を地盤に圧入する場合、建造物の安全性等の見地から地盤の支持力が重要なポイントになる。
このため、従来においては鋼管矢板等の杭を杭圧入機等で圧入した後に、載荷試験装置を使用して載荷試験等を行って地盤の支持力を測定、記録等している(特許文献1)。
従って、鋼管矢板等の杭の圧入作業を行った後に圧入した杭の載荷試験を別途に行うため、杭の圧入作業と載荷試験作業が別途になって作業効率が悪いという不具合がある。
また、従来においては上述したように鋼管矢板等の杭を杭圧入機等で圧入した後に、圧入した杭の載荷試験等を行っていたので、杭を圧入する場合にリアルタイムで地盤の支持力を測定したり記録等したりすることができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−27518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記事実に鑑みなされたものであり、鋼管矢板等の杭を圧入しながら地盤の支持力を測定できると共に前記支持力をリアルタイムで記録、管理することができる油圧圧入機支持力測定装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、油圧圧入機に設けられた油圧ジャッキ装置の油圧回路に取り付けられる油圧圧入機支持力測定装置であって、前記油圧ジャッキ装置のオイルが流れる筒状の圧力変換器取付体と、この圧力変換器取付体に設けられると共に圧力変換器取付体の内部を流れるオイルの圧力を電流に変換する圧力変換器と、この圧力変換器と接続されると共に圧力変換器で変換された電流から圧力を測定できるひずみ測定器と、を有してなることを特徴としている。
請求項2の発明は、油圧圧入機に設けられた油圧ジャッキ装置の油圧回路に取り付けられる油圧圧入機支持力測定装置であって、前記油圧ジャッキ装置のオイルが流れる筒状の圧力変換器取付体と、この圧力変換器取付体に設けられると共に圧力変換器取付体の内部を流れるオイルの圧力を電流に変換する圧力変換器と、この圧力変換器と接続されると共に圧力変換器で変換された電流から圧力を測定できるひずみ測定器と、このひずみ測定器と接続されて前記ひずみ測定器で測定された圧力をプリントするプリンターと、を有してなることを特徴としている。
請求項3の発明は、油圧圧入機に設けられて油圧ジャッキ装置に油圧装置からオイルを流入するジャッキ用油圧ホースに取り付けられる油圧圧入機支持力測定装置であって、前記油圧ジャッキ用油圧ホースの中間部に配設されてジャッキ用油圧ホースを流れるオイルが流れる筒状の圧力変換器取付体と、この圧力変換器取付体に設けられると共に圧力変換器取付体の内部を流れるオイルの圧力を電流に変換する圧力変換器と、この圧力変換器と接続されると共に圧力変換器で変換された電流から圧力を測定できるひずみ測定器と、このひずみ測定器と接続されて前記ひずみ測定器で測定された圧力をプリントするプリンターと、を有してなることを特徴としている。
請求項4の発明は、前記ひずみ測定器で測定した情報を表示することができるコンピュータを設けたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
本発明の油圧圧入機支持力測定装置は、鋼管矢板等の杭を圧入しながら地盤の支持力を測定できて前記支持力をリアルタイムで記録、管理することができるという優れた効果を有する。
また、本発明の油圧圧入機支持力測定装置は、鋼管矢板等の杭を圧入しながら地盤の支持力を測定できるので別途に載荷試験等を行う必要がなく作業効率を向上させることできるという優れた効果を有する。
さらに、本発明の油圧圧入機支持力測定装置は、装置がコンパクトであると共に装置の部品点数が少ないので鋼管矢板等の杭を圧入しながら地盤の支持力を測定する場合に使い勝手に優れているという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1実施例の油圧圧入機支持力測定装置の概略全体図である。
【図2】第1実施例の油圧圧入機支持力測定装置で測定された値をプリントしたプリンタ用紙の一部拡大図である。
【図3】第1実施例の油圧圧入機支持力測定装置が設けられる油圧圧入機の概略側面図である。
【図4】第2実施例の変形例を示す油圧圧入機支持力測定装置の概略全体図である。
【図5】第1実施例、第2実施例の油圧圧入機支持力測定装置で測定された値をグラフで表示した場合の一部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
発明を実施するために最良の形態の例として以下のような実施例を示す。
【実施例1】
【0009】
図1〜図3には本発明に係わる油圧圧入機支持力測定装置の第1実施例が示されている。
なお、この実施例では杭としての鋼管矢板1を油圧圧入機を使用して地盤に圧入する場合を例にして説明する。また、この鋼管矢板1の側面には下端面(図3下側)から上端面(図3上側)に向かって鋼管矢板1の長さが1メートル間隔で表示されているので、鋼管矢板1が地盤2に何メートル圧入されているかを一見して知ることができるようになっている。
図3に示されるように、鋼管矢板1を地盤2に圧入する油圧圧入機10の基台12の下部には既に圧入して打ち込まれた鋼管矢板1を掴むクランプ14が複数設けられている。
前記基台12の上面にはマスト16が設けられている。このマスト16は作業上の便宜を図るため適宜手段により前記基台12に対して水平方向に回動可能に載置されている。
前記マスト16の前面部には上下方向に向かって移動可能な油圧ジャッキ装置18が設けられている。この油圧ジャッキ装置18の前方には前記鋼管矢板1を挟持するチャック装置20が設けられている。
従って、前記チャック装置20のチャック本体22が前記鋼管矢板1を挟持して油圧ジャッキ装置18が下方に移動することにより鋼管矢板1は地盤2に圧入され、油圧ジャッキ装置18の下方向移動を繰り返すことにより鋼管矢板1は地盤2に圧入されるようになっている。
前記マスト16の内部には油圧装置24が内蔵されている。この油圧装置24は前記マスト16の外に設けられた油圧ユニット(図示せず)と第1オイル循環ホース26,第2オイル循環ホース28を介して接続されている。
この第1オイル循環ホース26は前記油圧ユニットからオイルを前記油圧装置24内部に流入させる役目を有し、この第2オイル循環ホース28は前記油圧装置24のオイルを前記油圧ユニットに流入させる役目を有している。
従って、第1オイル循環ホース26と第2オイル循環ホース28を介して油圧装置24と油圧ユニットの間をオイルが循環するようになっている。
前記油圧ジャッキ装置18と油圧装置24の間には油圧回路としての第1ジャッキ用油圧ホース30と第2ジャッキ用油圧ホース32が接続されている。この第1ジャッキ用油圧ホース30は前記油圧装置24内部のオイルを油圧ジャッキ装置18に流入させる役目を有すホースであり、第2ジャッキ用油圧ホース32は油圧ジャッキ装置18内部のオイルを油圧装置24に流入させる役目を有すホースである。
図1に示されるように、前記第1ジャッキ用油圧ホース30の中間部には本発明の油圧圧入機支持力測定装置34の圧力変換器取付体36が配設されている。この圧力変換器取付体36は筒状に形成されており、前記第1ジャッキ用油圧ホース30を流れて油圧ジャッキ装置18に流入するオイルが流れるようになっている。
この圧力変換器取付体36には圧力変換器38が設けられている。この圧力変換器38は前記圧力変換器取付体36の内部を通過するオイルの圧力を電流に変換する機能を有している。
前記圧力変換器38は圧力変換器用ケーブル40を介してひずみ測定器42と接続されている。従って、前記圧力変換器38によって電流に変換された電流によってひずみ測定器42が油圧ジャッキ装置18で作用する圧力を測定できるようになっている。また、このひずみ測定器42のディスプレー部42Aには測定された前記圧力が表示されるようになっている。
前記ひずみ測定器42はプリンター用ケーブル44を介してプリンター46と接続されている。従って、このプリンター46を操作することにより図2に示されるようにプリンター用紙48に圧入している時の圧力をプリントすることができる。なお、このプリンター用紙48には鋼管矢板1を地盤2に圧入している日付、時間、圧力の値がプリントされる。
図2に示されるように、この実施例では鋼管矢板1を地盤2に圧入する場合に10秒間隔で圧力の値を表示することができ、これにより圧入している最中の鋼管矢板1の地盤2の支持力をリアルタイムで測定、表示、プリントすることができる。
また、油圧圧入機支持力測定装置34を鋼管矢板1の圧入開始時点から圧入完了時点まで作動させることにより、圧入開始時点から圧入完了時点までの地盤支持力のサイクルを測定、記録、管理等することができる。
さらに、図3に示されるように前記鋼管矢板1の側面には鋼管矢板1の下端面から上端面に向かって1メートル間隔で鋼管矢板1の下端面からの長さが表示されているので、作業者が鋼管矢板1とプリンター用紙48を見比べることにより、鋼管矢板1を圧入している箇所の地盤2の支持力も一見して容易に知ることができる。
【0010】
次に、第1実施例の油圧圧入機支持力測定装置34を取り付けた油圧圧入機10を使用して鋼管矢板1を地盤2に圧入する場合を例にして説明する。
予め前記第1ジャッキ用油圧ホース30の中間部に油圧圧入機支持力測定装置34の圧力変換器取付体36を配設しておく。また、前記圧力変換器38は圧力変換器用ケーブル40を介してひずみ測定器42と接続しておき、前記ひずみ測定器42はプリンター用ケーブル44を介してプリンター46と接続しておく。
そして、油圧圧入機10を始動させて鋼管矢板1を地盤2に圧入する。油圧圧入機1の始動により、油圧装置24のオイルが第1ジャッキ用油圧ホース30に流れるため、オイルは圧力変換器取付体36を通過する。圧力変換器取付体36を通過したオイルの圧力を圧力変換器38が電流に変換する。そして、前記圧力変換器38によって電流に変換された電流によってひずみ測定器42が圧力を測定する。
前記ひずみ測定器42で測定された圧力の値はディスプレー部42Aに表示されると共にプリンター46によってプリンター用紙48に10秒間隔でプリントされる。
従って、作業者は油圧杭圧入機10で鋼管矢板1を地盤2に圧入しながら地盤2の支持力をリアルタイムで測定、記録、管理することができる。また、油圧圧入機支持力測定装置34を鋼管矢板1の圧入開始時点から圧入完了時点まで作動させることにより、圧入開始時点から圧入完了時点までの地盤支持力のサイクルを測定、記録、管理等することができる。
しかも、前記鋼管矢板1の側面には鋼管矢板1の下端面から上端面に向かって1メートル間隔で長さが表示されているので、鋼管矢板1とプリンター用紙48を見比べることにより、鋼管矢板1を圧入している現在の箇所の地盤2の支持力も一見して容易に知ることができる。
また、本発明の油圧圧入機支持力測定装置34は、前記鋼管矢板1を地盤2に圧入するのと同時に地盤2の支持力を測定できるので、別途に地盤2の支持力を測定する試験等を行うことが不要となるので鋼管矢板1の圧入作業の作業効率を一段と向上させることできる。
さらに、本発明の油圧圧入機支持力測定装置34は、装置がコンパクトであると共に装置の部品点数が少ないので、鋼管矢板1を圧入しながら地盤2の支持力を測定する場合に使い勝手に優れている。
【0011】
図4には本発明に係わる油圧圧入機支持力測定装置の第2実施例が示されている。なお、第1実施例の油圧圧入機支持力測定装置34と同一の構成、効果は同一の符号を用いてその説明を省略する。
図4に示されるように、第2実施例の油圧圧入機支持力測定装置50においては前記プリンター46と別途にコンピュータとしてのパーソナルコンピュータ52も設けられている。このパーソナルコンピュータ52を使用することによりひずみ測定器42で測定された圧力をパーソナルコンピュータ52のディスプレー部52Aに表示できるようになっている。
前記ひずみ測定器42にはメモリーカードとしてのSRAMカード54を差し込んでひずみ測定器42で測定された情報を記憶させることができるようになっている。
このSRAMカード54は前記パーソナルコンピュータ52とUSB56を介して接続されているSRAMカードリーダー58で読み取ることにより、前記パーソナルコンピュータ52のディスプレー部52Aに表示できるようになっている。
従って、測定された圧力を前記パーソナルコンピュータ52のディスプレー部52Aに表示できるので、鋼管矢板1の圧入現場から遠く離れた場所でも測定結果、測定記録等を知ることができるので便利である。
なお、他の構成、作用、効果は第1実施例の油圧圧入機支持力測定装置34と同一であるのでその説明は省略する。
【0012】
なお、第1実施例、第2実施例では油圧圧入機支持力測定装置34,50の圧力変換器取付体36を油圧回路としての第1ジャッキ用油圧ホース30の中間部に取り付けたが、油圧圧入機支持力測定装置34,50の圧力変換器取付体36は油圧ジャッキ装置18の油圧回路であれば第1ジャッキ用油圧ホース30以外のところに取り付けてもよいことは勿論である。
また、第1実施例、第2実施例では鋼管矢板1を地盤2に圧入する場合を例にして説明したが圧入する杭は鋼管矢板1に限定されるものでないことは勿論である。
【0013】
なお、測定した圧力の値は図5に示すようにグラフで表示するようにしてもよく、実施例で示す場合に限定されるものでないことは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明の油圧圧入機支持力測定装置34,50は鋼管矢板1を圧入する場合だけでなく他の杭を圧入する場合にも使用することができる。
【符号の説明】
【0015】
10 油圧圧入機
12 基台
14 クランプ
16 マスト
18 油圧ジャッキ装置
20 チャック装置
22 チャック本体
24 油圧装置
26 第1オイル循環ホース
28 第2オイル循環ホース
30 第1ジャッキ用油圧ホース
32 第2ジャッキ用油圧ホース
34 油圧圧入機支持力測定装置
36 圧力変換器取付体
38 圧力変換器
40 圧力変換器用ケーブル
42 ひずみ測定器
44 プリンター用ケーブル
46 プリンター
48 プリンター用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧圧入機に設けられた油圧ジャッキ装置の油圧回路に取り付けられる油圧圧入機支持力測定装置であって、前記油圧ジャッキ装置のオイルが流れる筒状の圧力変換器取付体と、この圧力変換器取付体に設けられると共に圧力変換器取付体の内部を流れるオイルの圧力を電流に変換する圧力変換器と、この圧力変換器と接続されると共に圧力変換器で変換された電流から圧力を測定できるひずみ測定器と、を有してなることを特徴とする油圧圧入機支持力測定装置。
【請求項2】
油圧圧入機に設けられた油圧ジャッキ装置の油圧回路に取り付けられる油圧圧入機支持力測定装置であって、前記油圧ジャッキ装置のオイルが流れる筒状の圧力変換器取付体と、この圧力変換器取付体に設けられると共に圧力変換器取付体の内部を流れるオイルの圧力を電流に変換する圧力変換器と、この圧力変換器と接続されると共に圧力変換器で変換された電流から圧力を測定できるひずみ測定器と、このひずみ測定器と接続されて前記ひずみ測定器で測定された圧力をプリントするプリンターと、を有してなることを特徴とする油圧圧入機支持力測定装置。
【請求項3】
油圧圧入機に設けられて油圧ジャッキ装置に油圧装置からオイルを流入するジャッキ用油圧ホースに取り付けられる油圧圧入機支持力測定装置であって、前記油圧ジャッキ用油圧ホースの中間部に配設されてジャッキ用油圧ホースを流れるオイルが流れる筒状の圧力変換器取付体と、この圧力変換器取付体に設けられると共に圧力変換器取付体の内部を流れるオイルの圧力を電流に変換する圧力変換器と、この圧力変換器と接続されると共に圧力変換器で変換された電流から圧力を測定できるひずみ測定器と、このひずみ測定器と接続されて前記ひずみ測定器で測定された圧力をプリントするプリンターと、を有してなることを特徴とする油圧圧入機支持力測定装置。
【請求項4】
前記ひずみ測定器で測定した情報を表示することができるコンピュータを設けたことを特徴とする請求項3記載の油圧圧入機支持力測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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