説明

油圧源一体型荷重試験機

【課題】従来の荷重試験機は、油圧源から発生する騒音が大きいため、油圧源と試験部とを離して設置する必要があり、設置するためには、広いスペースが必要になるという問題があった。
【解決手段】内部にポンプユニット、アキュムレータ、制御盤を収納する収納室と、収納室の前面下部に固定された下部チャック支持台と、収納室の前面上部に昇降自在に設けられたマニホールドブロックと、収納室の前面上部に設けられマニホールドブロックを昇降可能に保持し締結するマニホールドブロック締結装置と、マニホールドブロックの前方に固定された上部チャック昇降シリンダと、マニホールドブロックを昇降させる上部チャック昇降装置とを備えた。これにより、油圧源から発生する騒音を遮断することができると共に狭い場所でも設置可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試験体に荷重を加えてその疲労特性、破壊試験等を試験する油圧源一体型荷重試験機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、疲労試験機としては、例えば、図5に示すものが提案されている。
図5に図示のものは、被試験体Xに荷重を与える油圧シリンダ101と、油圧シリンダ101の荷重を電気信号に変換する荷重変換器103と、荷重変換器103からの電気信号を荷重に相当する電圧値に増幅する信号増幅部105と、予め設定された荷重に相当する電圧値を出力する荷重設定部106と、信号増幅部105からの電圧値と荷重設定部106で予め荷重設定された電圧値とを比較しその電圧差を制御量として出力する制御器107と、制御器107からの制御電圧を空気圧に変換する空気圧調整部108と、空気圧調整部108からの空気圧を油圧に変換する空気・油圧変換器109と、空気圧調整部108と空気・油圧変換器109に圧縮空気の送給を切り替える圧縮空気切替部110と、を備えた構成を有している。
なお、100はフレーム、102はガイドシャフト、104は上部ロッドである(例えば、特許文献1。)。
【0003】
なお、大型の試験機においては、ガイドシャフト102を4本にすると共に、4本のガイドシャフト102を頂部まで延在し、この延在したガイドシャフト102に支持部材を介して上部ロッド104が支持されている。
【0004】
上述の特許文献1に記載のものは、空気圧調整部108、空気・油圧変換器109、圧縮空気切替部110等の油圧源は、フレーム100、油圧シリンダ101、ガイドシャフト102、上部ロッド104等の試験部と離れた場所に設置されている。
この理由は、油圧源から発生する騒音が大きく、試験の邪魔になるからである。
特に大型の試験機では、油圧源と試験部とが約20m離れて設置されている。
このように試験装置を設置するためには、広いスペースが必要になるという問題がある。
【0005】
また、上述の試験機を移動させる場合、油圧源、試験部、約20mの配管等を分割して車両等に搭載する必要があり、現地での組立に手間を要し、しかも広い設備が必要となるという問題がある。
【0006】
【特許文献1】特開平7−260653号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するために提案されたものであって、試験体に荷重を加えるチャック、チャック昇降シリンダ、チャック昇降シリンダ用の油圧源等を一体的に形成し、油圧源から発生する騒音を遮断すると共に、狭い場所でも設置可能な油圧源一体型荷重試験機を提供することを目的とする。
更には、分割することにより容易に車両等に搭載して輸送可能な油圧源一体型荷重試験機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたもので、特許請求の範囲に記載された各発明は、油圧源一体型荷重試験機として、それぞれ以下に述べる各手段を採用したものである。
【0009】
(1)第1の手段の油圧源一体型荷重試験機は、内部にポンプユニット、アキュムレータ、制御盤を収納する収納室と、前記収納室の前面下部に固定された下部チャック支持台と、前記収納室の前面上部に昇降自在に設けられたマニホールドブロックと、前記収納室の前面上部に設けられ前記マニホールドブロックを昇降自在に支持し締結するマニホールドブロック締結装置と、前記マニホールドブロックの前方に固定された上部チャック昇降シリンダと、前記マニホールドブロックを昇降させる上部チャック昇降装置とを備えたことを特徴とする。
【0010】
(2)第2の手段の油圧源一体型荷重試験機は、第1の手段において、前記マニホールドブロック締結装置は、前記収納室の前面上部に上下方向に固定されると共に横断面が台形状の一対の側面ガイド板と、前記各側面ガイド板の前面に左右方向にスライド可能に設けられると共に横断面が台形状の一対の前面ガイド板と、前記収納室の上部収納室前壁の裏面の前記各側面ガイド板と対応する位置に上下方向に固定されると共に横断面が台形状の一対の傾斜板と、前記各傾斜板の後面に左右方向にスライド可能に設けられると共に横断面が台形状の複数の締結力発生台と、前記前面ガイド板と前記締結力発生台とを連結する複数本の締結棒と、前記締結力発生台を前記傾斜板の傾斜面に沿って移動させる複数の締結用シリンダとを有し、前記マニホールドブロックは、その基部に前記側面ガイド板と前記前面ガイド板とにより把持されるマニホールドブロック把持部とを有していることを特徴とする。
【0011】
(3)第3の手段の油圧源一体型荷重試験機は、第2の手段において、前記収納室の上部収納室前壁の裏面の前記マニホールドブロック把持部と対応する位置に上部前壁補強壁を各々設け、前記収納室の下部収納室前壁の裏面の前記上部前壁補強壁の下部に下部前壁補強壁を各々設けたことを特徴とする。
【0012】
(4)第4の手段の油圧源一体型荷重試験機は、第1乃至3のいずれかの手段において、前記収納室は、上部収納室と下部収納室とに分割可能に構成されていることを特徴とする。
【0013】
(5)第5の手段の油圧源一体型荷重試験機は、第1乃至4のいずれかの手段において、前記収納室の上面に一対のハンドリング用ビームを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
特許請求の範囲に記載の各請求項に係る発明の油圧源一体型荷重試験機は、上記の各手段を採用しているので、以下の効果を奏する。
【0015】
大きな騒音を発生するポンプユニット等を、収納室内に設置したことにより、ポンプユニット等の油圧源から発生する騒音を遮断することができる。
従って、上部チャック、下部チャック、上部チャック昇降シリンダ等の荷重負荷部分とポンプユニットとを近接して配置することができるので、狭い場所でも設置可能となる。
【0016】
また、収納室の上部収納室前壁の裏面に上部前壁補強壁及び下部前壁補強壁を配設することにより、上部チャック、上部チャック昇降シリンダ、マニホールドブロック等を上部収納室前壁の前面に昇降自在に設けることが可能となり、従来のガイドシャフトが不要となるため、コンパクト化できる。
【0017】
また、収納室を上部収納室と下部収納室とに分割してユニット化したので、分割して一般道路を使用して輸送することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図1〜図4に基づいて、本発明の実施の形態に係る油圧源一体型荷重試験機につき説明する。
図1は、本発明の実施の形態を示す油圧源一体型荷重試験機の概略側面図、図2は、同油圧源一体型荷重試験機の概略平面図、図3は、同油圧源一体型荷重試験機の正面図、図4は、同油圧源一体型荷重試験機におけるマニホールドブロック固定装置の詳細平面図である。
【0019】
先ず、図1、図2、図3に基づき、本発明の実施の形態に係る油圧源一体型荷重試験機の概要につき説明する。
図1、図2、図3に図示のように、本発明の実施の形態に係る油圧源一体型荷重試験機は、上部収納室4と下部収納室5とに分割可能な分割型の収納室1と、収納室1の前面下部の下部収納室前壁8bに固定された下部チャック支持台7と、収納室1の前面上部の上部収納室前壁8aに昇降自在に設けられたマニホールドブロック24と、収納室1の前面上部の上部収納室前壁8aに設けられると共にマニホールドブロック24を昇降可能に保持し、且つ荷重試験時には強固に締結するマニホールドブロック締結装置40と、マニホールドブロック24の前方に固定されると共に荷重試験時に上部チャック20を昇降させて試験片に荷重を加える上部チャック昇降シリンダ22と、マニホールドブロック24及び上部チャック昇降シリンダ22を昇降させる上部チャック昇降装置30と、収納室1内に収納されると共に、上部チャック昇降シリンダ22、上部チャック昇降装置30、マニホールドブロック締結装置40等に駆動油圧を供給する、ポンプユニット15、アキュムレータ18と、これらの油圧系統等を制御する制御盤19等とにより構成されている。
【0020】
(収納室1、油圧源等の構成)
まず、収納室1及び収納室1に収納された油圧源等の構成につき詳細に説明する。
収納室1は、密閉された箱状の構造物であり、収納室分割部CLにより、上部収納室4と下部収納室5とに分割、接合できるようになっている。
そして、帯状の収納室連結部材6が、収納室分割部CLの全周囲に亘って設けられており、上部収納室4と下部収納室5とは、この収納室連結部材6により図示略のボルトナットにより分割、接合可能となっている。
また、下部収納室5の側壁には、図示略の出入り用扉、マンホール等が設けられている。
なお、この収納室連結部材6を下部収納室5に溶接等により固定し、収納室連結部材6の上半部と上部収納室4とをボルトナットにより分割、接合するようにしても良い。
【0021】
収納室1の、上部収納室前壁8a、下部収納室前壁8bを含む前後左右の壁、収納室底板2、収納室上板3、上部収納室床9等には、図示略の補強骨材、後述する上部前壁補強壁10、下部前壁補強壁11が設けられている。
これらの下部収納室前壁8bを含む前後左右の壁の補強骨材、上部前壁補強壁10、下部前壁補強壁11等も、収納室分割部CLにおいて連結部材により、上部収納室4と下部収納室5とに分割、接合可能となっている。
更に、配管もジョイントにより、電線もコネクタにより、収納室分割部CL付近において分割、接合可能となっている。
【0022】
下部収納室5の収納室底板2上の中央部には、油圧ポンプ16、油タンク17、図示略の制御弁、配管等からなるポンプユニット15が収納、設置されている。
また、下部収納室5の一側面(例えば、後部)には、制御盤19が収納、設置されている。
この制御盤19には外部から電源が供給される給電盤も備えており、制御盤19により、油圧ポンプ16を駆動する電動モータ(或いは、駆動エンジン)の発停、各種制御弁、サーボ弁の制御、各種センサからの計測値の受信、演算、表示が行われるようになっている。
【0023】
上部収納室4の前部には上部収納室床9が設けられている。
そして、上部収納室床9上には、複数本のアキュムレータ18が設置されている。
上部収納室4の後部天井には、室内の空気を入れ替えると共に内部の騒音が室外に漏れないように、直角ダクトサイレンサを有するサイレンサ内蔵通風ダクト14が設けられている。
上記サイレンサ内蔵通風ダクト14の内面には、騒音を遮断する防音材26が貼り付けられている。
【0024】
上部収納室4の収納室上板3の外部上面の左右には、上部収納室4の前方へ延在する一対のハンドリング用ビーム12が取付けられている。
この各ハンドリング用ビーム12には、各々ハンドリング装置13(チェーンブロック、電動走行クレーン等)が走行自在に設けられており、試験片の搬送、上部チャック20或いは下部チャック21等の交換等の諸作業が行えるようになっている。
また、上部収納室4の収納室上板3の外部上面の中央には、後述する上部チャック昇降装置30用の昇降用ビーム31が固定されている。
【0025】
上部収納室4の上部収納室前壁8aの裏面(上部収納室4内)には、上部チャック20、上部チャック昇降シリンダ22、上部チャック昇降装置30、マニホールドブロック締結装置40等の荷重を保持するために、構造部材としての上部前壁補強壁10が設けられている。
また、下部収納室5の前壁の内側にも、構造部材としての下部前壁補強壁11が、上部前壁補強壁10と同一垂直平面に設けられている。
【0026】
下部収納室5の前方の収納室底板2上には、下部チャック支持台7が固定されている。
この下部チャック支持台7上には、下部チャック21が図示略のボルトナット等により取付けられている。
【0027】
上部収納室前壁8aの前面(上部収納室4外)には、マニホールドブロック24が昇降自在に設けられている。
なお、マニホールドブロック24の後端の両側(左右側)には、図4に図示のように、左右に突出し上下に延在するマニホールドブロック把持部24aが形成されている。
マニホールドブロック24の前方には、上部チャック昇降シリンダ22が固定されている。
この上部チャック昇降シリンダ22の上部チャック昇降ピストン23の下端には、上部チャック20が着脱自在に取付けられている。
【0028】
マニホールドブロック24の左右には、上部チャック昇降シリンダ22の上下のシリンダ室への作動油の給排油を制御する昇降シリンダサーボ弁25が取付けられている。
なお、昇降シリンダサーボ弁25には、収納室1内のアキュムレータ18等から図示略の駆動油圧用、制御用油用のフレキジブル管が接続されている。
そして、アキュムレータ18から、図示略のフレキシブル管により圧送されてきた作動油は、マニホールドブロック24で分岐されて、各昇降シリンダサーボ弁25に送油される。
その後、各昇降シリンダサーボ弁25の各ポートからの作動油は、各々合流して上部チャック昇降シリンダの各ポートに送油される。
【0029】
(上部チャック昇降装置30の構成)
マニホールドブロック24は、上部チャック昇降装置30により昇降可能になっている。
即ち、図1に図示のように、上部収納室4の上部収納室前壁8aの裏面(上部収納室4内)には、昇降用シリンダ35が取付けられている。
昇降用ビーム31には、2個の昇降用滑車32が取付けられている。
そして、昇降用シリンダ35の昇降用ピストン34の上端とマニホールドブロック24の上端とを接続する昇降用ワイヤ33が、2個の昇降用滑車32に掛け回されている。
このようにして、上部チャック昇降シリンダ22、昇降シリンダサーボ弁25及びマニホールドブロック24は、昇降用シリンダ35により昇降されるようになっている。
【0030】
(マニホールドブロック締結装置40の構成)
次に、図3、図4に基づき、マニホールドブロック24を、昇降自在に支持すると共に荷重試験時においては上部収納室前壁8aに強固に固定するマニホールドブロック締結装置40につき説明する。
【0031】
上部収納室前壁8aの前方表面(上部収納室4外)には、上下方向に延在する一対の側面ガイド板42が、インロー止め等により固定されている。
この一対の側面ガイド板42の対峙する面は、マニホールドブロック24の各マニホールドブロック把持部24aの側面と接しており、マニホールドブロック24を昇降自在(スライド可能)に案内するようになっている。
また、各側面ガイド板42の前面は、中央後方に向かって傾斜しており、横断面は台形状(楔型)となっている。
【0032】
一対の側面ガイド板42の前面(上部収納室4外)には、各々上下に延在すると共に、側面ガイド板42とほぼ同じ長さの一対の前面ガイド板41が、左右方向にスライド可能に設けられている。
この各側面ガイド板42の後面は、側面ガイド板42の前面に接しており、側面ガイド板42の前面と同様に中央後方に向かって傾斜しており、各々外側の横断面は台形状(楔型)となっている。
なお、前面ガイド板41の後面の傾斜角度は、各側面ガイド板42の前面の傾斜角度と同じに角度になっている。
【0033】
また、各前面ガイド板41の内側後面部分は、各マニホールドブロック把持部24aの前面と接しており、マニホールドブロック24を昇降自在(スライド可能)に案内するようになっている。
このようにして、マニホールドブロック24は、各前面ガイド板41、各側面ガイド板42及び上部収納室前壁8aにより、前後左右の揺動が規制されると共に、上下方向のみに昇降自在となっている。
【0034】
一方、上部収納室前壁8aの裏面(上部収納室4内)の各側面ガイド板42と対応する位置には、上下に延在する一対の傾斜板43が、固定(ボルト留め、或いは溶接等)されている。
この各側面ガイド板42の後面は、中央後方に向かって傾斜しており、横断面は台形状(楔型)となっている。
【0035】
そして、この各側面ガイド板42の傾斜した後面に、各々複数個(図3に図示の例では、左右合計10個)の締結力発生台44が、上下方向に並べて、個別に左右方向にスライド可能に設けられている。
この締結力発生台44の前面も、中央後方に向かって傾斜しており、中央側の横断面は台形状(楔型)となっている。
【0036】
また、各締結力発生台44の後面には、各々内側当て板46が設けられ、各前面ガイド板41の前面には、複数枚の外側当て板45が設けられている。
なお、各5個の締結力発生台44及び外側当て板45は、図3には、機能を分かり易くするために間隔を明けて図示しているが、実際には、隙間無く個々にスライド可能となっている。
【0037】
そして、内側当て板46、締結力発生台44、傾斜板43、上部収納室前壁8a、側面ガイド板42、前面ガイド板41、外側当て板45を貫通する、ボルトナット等の多数本の締結棒47が設けられている。
なお、側面ガイド板42、上部収納室前壁8a及び傾斜板43の締結棒47が貫通する穴は、締結棒47が前後方向に自由に移動可能な大きさとなっている。
また、前面ガイド板41及び締結力発生台44には、締結棒47が貫通する左右方向の長穴53が明けられており、前面ガイド板41及び締結力発生台44が締結棒47に対して所定の距離左右方向に移動できるようになっている。
この締結棒47は、締結力発生台44の締結力を、外側当て板45及び内側当て板46を介して前面ガイド板41に伝達する。
【0038】
上部収納室前壁8aの裏面(上部収納室4内)の左右端には、複数個の締結力発生台44に対応する各々複数本(図3に図示の例では、左右合計10個)の締結用シリンダ50が、締結用シリンダ取付け脚50aを介してボルトナット52により固定されている。
そして、各締結用シリンダ50の締結用ピストン51の先端は、各々連結リンク49を介して各連結軸48に連結されている。
一方、各締結力発生台44の端部(左右端)も、各連結軸48に連結されている。
【0039】
なお、傾斜板43と各締結力発生台44との接触面の傾斜角度を、前面ガイド板41と側面ガイド板42との接触面の傾斜角度より小さくすることにより、大きな締結力が得られると共に、前面ガイド板41はスライドしやすくなり、且つ、締結時の前面ガイド板41の移動距離を小さくすることができる。
この場合、締結用シリンダ50を、より小さな容量のものとすることができる。
【0040】
本発明の実施の形態に係る油圧源一体型荷重試験機は、例えば、上部チャック昇降シリンダ22の荷重が数百トンの能力を有する場合、分割型の収納室1の大きさは、高さを5m以下、幅を約3m、長さを約6〜7mにすることができる。
このとき、上部収納室4(ハンドリング用ビーム12及び昇降用ビーム31を含む)及び下部収納室5(制御盤19を含む)の高さは、共に2.8m以下とすることができる。
【0041】
(作用)
本発明の実施の形態に係る油圧源一体型荷重試験機は、上述のごとく構成されており、現地(試験場)に輸送する時には、上部収納室4と下部収納室5とを、収納室分割部CLで分割しトラック等に各々搭載して輸送する。
現地に到着すると、上部収納室4と下部収納室5とを収納室連結部材6により、ボルトナット等で接続する。
この時、上部収納室4、下部収納室5間の油圧配管、電線等も、ジョイント、コネクタ等により連結し、外部からの電源線もコネクタ等を介して接続する。
更に、必要に応じてパソコン等の外部入出力制御監視装置もコネクタ等により接続する。
【0042】
なお、上部チャック20及び下部チャック21も外して輸送し、現地で、ハンドリング装置13を使用して、下部チャック支持台7上に下部チャック21を取り付け、上部チャック昇降ピストン23の下端に上部チャック20を取付けるようにしても良い。
このようにして、荷重試験の準備が完了する。
【0043】
準備が完了すると、パソコン等の外部入出力制御監視装置或いは、制御盤19を操作して荷重試験を開始する。
先ず、油圧ポンプ16を起動し、アキュムレータ18内の駆動油圧を高める。
そして、図2、図4に図示のマニホールドブロック締結装置40の各締結用シリンダ50の締結用ピストン51を縮めることにより、上部収納室前壁8aの裏面の両側の各締結力発生台44は外側方向に引き寄せられる。
このとき、ボルトナット52は締結力発生台44の長穴53内に位置しており、ボルトナット52及び内側当て板46は外側方向(左右方向)には移動することなく、若干緩められる(0.1〜0.2mm程度)。
【0044】
これにより、マニホールドブロック24の両側の外側当て板45も緩められ、各前面ガイド板41も側面ガイド板42の傾斜面に沿って外側(左右方向)に移動する。
このようにして、マニホールドブロック24の締結は解除される。
これにより、マニホールドブロック24は昇降自在になり、図1に図示の上部チャック昇降装置30により吊下げられた状態となる。
そして、上部チャック昇降装置30の昇降用シリンダ35の昇降用ピストン34を縮めることにより、昇降用ワイヤ33を介してマニホールドブロック24は上昇する。
次に、ハンドリング装置13により試験片を持上げて、上部チャック20と下部チャック21との間に搬送し、装着する。
【0045】
そして、昇降用シリンダ35の昇降用ピストン34を伸ばし昇降用ワイヤ33を繰出して、マニホールドブロック24を所定の位置に降下させる。
マニホールドブロック24が所定の位置に達した時点で、マニホールドブロック24の高さに対応する位置の各締結用シリンダ50を駆動し、各締結用ピストン51を伸ばすことにより、図4に図示の各締結力発生台44は、各傾斜板43の傾斜面と各内側当て板46との間をスライドして進入(中央方向に移動)する。
すると、各締結棒47及び各外側当て板45は、各側面ガイド板42の方向に引っ張られる。
【0046】
これにより、各外側当て板45と各側面ガイド板42の傾斜面により挟まれた各前面ガイド板41は、スライドして中央方向後側に斜めに移動する。
そして、各前面ガイド板41の先端は、マニホールドブロック24の両側の各マニホールドブロック把持部24aの前面に強固に押付けられる。
このようにして、上部チャック昇降シリンダ22及びマニホールドブロック24は、上部収納室前壁8aに強固に固定される。
その後、昇降シリンダサーボ弁25により、上部チャック昇降ピストン23を上下動させて、試験片に荷重を加えて荷重試験を行う。
【0047】
この時、収納室1は、上部収納室前壁8a、上部収納室前壁8aの後部に設けられた上部前壁補強壁10、下部前壁補強壁11等により、負荷試験時にマニホールドブロック24に加わる応力に充分耐えられるものとなっている。
【0048】
このような本発明の実施の形態に係る油圧源一体型荷重試験機によれば、大きな騒音を発生するポンプユニット15等を、収納室1内に収納したことにより、ポンプユニット15等の油圧源から発生する騒音を遮断することができる。
更に、サイレンサ内蔵通風ダクト14の内面に防音材26を施し、外部との換気もサイレンサ内蔵通風ダクト14を通じて行うようにしたので、防音効果も高まる。
従って、上部チャック20、下部チャック21、上部チャック昇降シリンダ22等の荷重負荷部分とポンプユニット15とを近接して配置することができるので、狭い場所でも設置可能となる。
【0049】
また、収納室1の上部収納室前壁8a及び下部収納室前壁8bの裏面(内側)に上部前壁補強壁10及び下部前壁補強壁11を設けることにより、上部チャック20、上部チャック昇降シリンダ22、マニホールドブロック24等を上部収納室前壁8aの前面に昇降自在に設けることが可能となり、従来のガイドシャフトが不要となるため、更にコンパクト化できる。
【0050】
また、収納室1を上部収納室4と下部収納室5とに分割してユニット化したので、分割して一般道路を使用して輸送することが可能となる。
また、配管、電線等も上部収納室4、下部収納室5内に固定設置し、収納室分割部CLにおいて、ジョイント、コネクタ等により接続するようにしたので、現地での組立が容易になる。
【0051】
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明は上記の各実施の形態に限定されず、本発明の範囲内でその具体的構造に種々の変更を加えてよいことはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施の形態を示す油圧源一体型荷重試験機の概略側面図である。
【図2】同油圧源一体型荷重試験機の概略平面図である。
【図3】同油圧源一体型荷重試験機の正面図である。
【図4】同油圧源一体型荷重試験機におけるマニホールドブロック固定装置の詳細平面図である。
【図5】従来の荷重試験機の構成を示す模式図である。
【符号の説明】
【0053】
1 収納室
2 収納室底板
3 収納室上板
4 上部収納室
5 下部収納室
6 収納室連結部材
7 下部チャック支持台
8a 上部収納室前壁
8b 下部収納室前壁
9 上部収納室床
10 上部前壁補強壁
11 下部前壁補強壁
12 ハンドリング用ビーム
13 ハンドリング装置
14 サイレンサ内蔵通風ダクト
15 ポンプユニット
16 油圧ポンプ
17 油タンク
18 アキュムレータ
19 制御盤
20 上部チャック
21 下部チャック
22 上部チャック昇降シリンダ
23 上部チャック昇降ピストン
24 マニホールドブロック
24a マニホールドブロック把持部
25 昇降シリンダサーボ弁
26 防音材
30 上部チャック昇降装置
31 昇降用ビーム
32 昇降用滑車
33 昇降用ワイヤ
34 昇降用ピストン
35 昇降用シリンダ
40 マニホールドブロック締結装置
41 前面ガイド板
42 側面ガイド板
43 傾斜板
44 締結力発生台
45 外側当て板
46 内側当て板
47 締結棒
48 連結軸
49 連結リンク
50 締結用シリンダ
50a 締結用シリンダ取付け脚
51 締結用ピストン
52 ボルトナット
53 長穴
CL 収納室分割部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にポンプユニット、アキュムレータ、制御盤を収納する収納室と、
前記収納室の前面下部に固定された下部チャック支持台と、
前記収納室の前面上部に昇降自在に設けられたマニホールドブロックと、
前記収納室の前面上部に設けられ前記マニホールドブロックを昇降自在に支持し締結するマニホールドブロック締結装置と、
前記マニホールドブロックの前方に固定された上部チャック昇降シリンダと、
前記マニホールドブロックを昇降させる上部チャック昇降装置とを備えたことを特徴とする油圧源一体型荷重試験機。
【請求項2】
前記マニホールドブロック締結装置は、
前記収納室の前面上部に上下方向に固定されると共に横断面が台形状の一対の側面ガイド板と、
前記各側面ガイド板の前面に左右方向にスライド可能に設けられると共に横断面が台形状の一対の前面ガイド板と、
前記収納室の上部収納室前壁の裏面の前記各側面ガイド板と対応する位置に上下方向に固定されると共に横断面が台形状の一対の傾斜板と、
前記各傾斜板の後面に左右方向にスライド可能に設けられると共に横断面が台形状の複数の締結力発生台と、
前記前面ガイド板と前記締結力発生台とを連結する複数本の締結棒と、
前記締結力発生台を前記傾斜板の傾斜面に沿って移動させる複数の締結用シリンダとを有し、
前記マニホールドブロックは、その基部に前記側面ガイド板と前記前面ガイド板とにより把持されるマニホールドブロック把持部とを有していることを特徴とする請求項1に記載の油圧源一体型荷重試験機。
【請求項3】
前記収納室の上部収納室前壁の裏面の前記マニホールドブロック把持部と対応する位置に上部前壁補強壁を各々設け、
前記収納室の下部収納室前壁の裏面の前記上部前壁補強壁の下部に下部前壁補強壁を各々設けたことを特徴とする請求項2に記載の油圧源一体型荷重試験機。
【請求項4】
前記収納室は、上部収納室と下部収納室とに分割可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の油圧源一体型荷重試験機。
【請求項5】
前記収納室の上面に一対のハンドリング用ビームを備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の油圧源一体型荷重試験機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−132688(P2007−132688A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−323290(P2005−323290)
【出願日】平成17年11月8日(2005.11.8)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】