説明

油圧緩衝器

【課題】 油圧緩衝器内に設けた減衰力発生装置が減衰力をほとんど発生しない、ピストンの極低速域、又は高周波動作域で、摩擦力を発生可能にする油圧緩衝器であって、摩擦力の発生効果を大きくし、外部への油漏れを引き起こすおそれもなく、油圧緩衝器の減衰特性を向上すること。
【解決手段】 油圧緩衝器100において、ピストン103に設けたピストンリング110の外周をダンパケース101の内周に摺接し、ピストンリング110の内周に、ダンパケース101の油室104A、104Bに対して封止される背圧室111を設け、ピストンリング110を弾性素材からなるものにし、ピストンリング110の背圧室111に圧力を付与する背圧付与手段113を設けてなるもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はピストンの極低速域、又は高周波動作域で、摩擦力を発生可能にする油圧緩衝器に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧緩衝器として、特許文献1、2に記載のものがある。
特許文献1に記載の油圧緩衝器は、ハウジングに設けたシール部材をピストンロッドに摺接させ、このシール部材の締代の調整により、シール部材が発生する摩擦力を制御するものである。油圧緩衝器内に設けた減衰力発生装置が減衰力をほとんど発生しないピストンの極低速域で、上述の摩擦力を発生させ、油圧緩衝器の減衰特性を向上させようとするものである。
【0003】
特許文献2に記載の油圧緩衝器は、ピストンに設けたピストンリングの内周に環状の隙間を設け、ピストンの圧側流路と伸側流路の少なくとも一方をこの環状の隙間に連通するものである。油圧緩衝器内に設けた減衰力発生装置が減衰力を増加するピストンの高速域で、ピストンリングを拡径方向に押し開いてピストンリングが発生する摩擦力を増加させる。圧側と伸側の減衰力発生装置による減衰力の増加傾向が油温の上昇、油粘度の低下により低減することを、この摩擦力の増加によって補うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-64234
【特許文献2】特開2002-70913
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の油圧緩衝器は、ピストンの極低速域で摩擦力を発生するものであるが、高周波動作域で摩擦力を発生するところがない。また、シール部材はピストンロッドの外周に摩擦接触するものであり、摩擦接触長さは短く、摩擦力の発生効果は小さい。また、シール部材はハウジング内の油室を外部に対して封止するものであり、ピストンロッドとの摩擦によって損耗したときに外部への油漏れを引き起こすおそれがある。
【0006】
特許文献2に記載の油圧緩衝器は、ピストンの高速域で摩擦力を発生するものであり、油圧緩衝器内に設けた減衰力発生装置が減衰力をほとんど発生しない、ピストンの極低速域、又は高周波動作域で、摩擦力を発生可能にするところが全くない。
【0007】
本発明の課題は、油圧緩衝器内に設けた減衰力発生装置が減衰力をほとんど発生しない、ピストンの極低速域、又は高周波動作域で、摩擦力を発生可能にする油圧緩衝器であって、摩擦力の発生効果を大きくし、外部への油漏れを引き起こすおそれもなく、油圧緩衝器の減衰特性を向上することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、車体側と車軸側の一方に取付けられるダンパケースの油室に、車体側と車軸側の他方に取付けられるピストンロッドを挿入し、ピストンロッドに設けたピストンにより、ダンパケースの油室をピストン側油室とロッド側油室に区画し、ダンパケースのピストン側油室と、ロッド側油室の間に減衰力発生装置を設けてなる油圧緩衝器において、ピストンに設けたピストンリングの外周をダンパケースの内周に摺接し、ピストンリングの内周に、ダンパケースの油室に対して封止される背圧室を設け、ピストンリングを弾性素材からなるものにし、ピストンリングの背圧室に圧力を付与する背圧付与手段を設けてなるようにしたものである。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において更に、前記背圧付与手段が、背圧室の圧力を調整する背圧調整手段を備えてなるようにしたものである。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る発明において更に、前記背圧付与手段が、ピストンロッドに設けた中空部を、ピストンに設けた連通孔を介してピストンリングの背圧室に連通し、ピストンロッドの中空部が、空気圧力を封入する空気圧封入室とされてなるようにしたものである。
【0011】
請求項4に係る発明は、請求項1又は2に係る発明において更に、前記背圧付与手段が、ピストンロッドに設けた中空部を、ピストンに設けた連通孔を介してピストンリングの背圧室に連通し、ピストンロッドの中空部の中間にプランジャを設け、その中空部のプランジャより背圧室の側に、ダンパケースの油室に装填したと同じ作動油を充填し、その中空部のプランジャより反背圧室の側に空気圧力を封入する空気圧封入室を設けてなるようにしたものである。
【0012】
請求項5に係る発明は、請求項3又は4に係る発明において更に、前記ピストンロッドのダンパケースから外部に突き出ている側に、空気圧封入室に封入される空気圧力を調整し、背圧室の圧力を調整する背圧調整手段を設けてなるようにしたものである。
【発明の効果】
【0013】
(請求項1)
(a)ピストンに設けたピストンリングの内周に背圧室を設け、背圧付与手段が付与する背圧室の圧力がピストンリングを加圧し、ピストンリングを拡径方向に弾性変形させて押し開く。油圧緩衝器内に設けた減衰力発生装置が減衰力をほとんど発生しない、ピストンの極低速域、又は高周波動作域で、ピストンリングがダンパケースの内周に摺接するときの摩擦力を発生し、油圧緩衝器の減衰特性を向上する。
【0014】
(b)ピストンリングはダンパケースの内周に摩擦接触するものであり、摩擦接触長さは長く、摩擦力の発生効果は大きい。
【0015】
(c)ピストンリングの内周の背圧室はダンパケースの油室に対して封止されており、背圧室の封止が破れ、背圧室の内部流体がダンパケースの油室に漏れ出ても、外部への油漏れを引き起こすものにならない。
【0016】
(請求項2)
(d)背圧付与手段が備える背圧調整手段により、上述(a)の背圧室の圧力を調整することで、ピストンの極低速域、又は高周波作動域におけるピストンリングの摩擦力を調整し、油圧緩衝器の減衰特性を調整できる。
【0017】
(請求項3)
(e)背圧付与手段が、ピストンロッドに設けた中空部を、ピストンに設けた連通孔を介してピストンリングの背圧室に連通し、ピストンロッドの中空部が、空気圧力を封入する空気圧封入室とされてなる。空気圧封入室に封入した空気圧力が、ピストンリングを加圧して押し開き、前述の摩擦力を発生させるものになる。
【0018】
(請求項4)
(f)背圧付与手段が、ピストンロッドに設けた中空部を、ピストンに設けた連通孔を介してピストンリングの背圧室に連通し、ピストンロッドの中空部の中間にプランジャを設け、その中空部のプランジャより背圧室の側に、ダンパケースの油室に装填したと同じ作動油を充填し、その中空部のプランジャより反背圧室の側に空気圧力を封入する空気圧封入室を設ける。空気圧封入室に封入した空気圧力が、ピストンロッドの中空部、及びピストンの連通孔に充填した作動油を背圧室に及ぼし、ピストンリングを加圧して押し開き、前述の摩擦力を発生させるものになる。このとき、ダンパケースの油室に装填したと同じ作動油が、背圧室にも充填されてピストンリングを加圧するものであるから、背圧室の封止が破れ、背圧室の内部流体たる作動油がダンパケースの油室に漏れ出ても、ダンパケースの油室を汚損しない。
【0019】
(請求項5)
(g)ダンパケースから外部に突き出ているピストンロッドの側に設けた背圧調整手段により、空気圧封入室に封入される空気圧力を調整し、ひいては上述(e)の背圧室の圧力を調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は実施例1の油圧緩衝器を示す正面図である。
【図2】図2は図1のII−II線に沿う断面図である。
【図3】図3は図1のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】図4は図2の要部を拡大して示す断面図である。
【図5】図5は背圧付与手段を示す断面図である。
【図6】図6はピストンに設けたピストンリング及び背圧室を示す断面図である。
【図7】図7は減衰力発生装置を示す断面図である。
【図8】図8は実施例2の油圧緩衝器を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(実施例1)(図1〜図7)
油圧緩衝器10は、図1〜図3に示す如く、車体側に取付けられるダンパケース11の油室27に、車軸側に取付けられるピストンロッド12を摺動自在に挿入し、ダンパケース11とピストンロッド12の外側部に懸架スプリング13を介装している。
【0022】
ダンパケース11は車体側取付部材14を備え、ピストンロッド12に車軸側取付部材15を備える。ダンパケース11の外周部には、ばね荷重調整装置16が設置され、ばね荷重調整装置16が支えるばね受17を備えるとともに、ピストンロッド12の外側部にはばね受18を備える。ばね受17とばね受18の間に懸架スプリング13を介装し、ばね荷重調整装置16の昇降操作により懸架スプリング13の設定長さ(ばね荷重)を調整する。懸架スプリング13のばね力が、車両が路面から受ける衝撃力を吸収する。
【0023】
ダンパケース11は、図2に示す如く、ピストンロッド12が貫通するロッドガイド21をその開口部に備える。ロッドガイド21は、ダンパケース11の後述する外筒11Aの内周にOリングを介して液密に挿着され(Oリングはロッドガイド21の外周の環状溝に装填される)、オイルシール22、ブッシュ23、ダストシール24を備える内径部に、ピストンロッド12を液密に摺動自在にしている。
【0024】
油圧緩衝器10は、ダンパケース11が形成する外筒11Aに内筒11Bを挿填してなる2重管を有し、外筒11Aを車体側取付部材14と一体に成形し、外筒11Aの下端側内周にロッドガイド21の大外径部21Aを嵌合して固定し、ロッドガイド21の小外径部21Bに内筒11Bの下端内周を嵌合して固定し、内筒11Bの上端外周を外筒11Aの上端内周に嵌合して備える。尚、内筒11Bの上端部にはカラー19が取着され、カラー19は大外径部と小外径部の2段をなす外周のそれぞれに設けた環状溝にOリングが装填され、内筒11Bの上端内周をカラー19の小外径部に液密に圧入し、内筒11Bの上端外周及びカラー19の大外径部を外筒11Aの上端内周に液密に嵌合する。そして、ピストンロッド12の先端部に挿着したピストン25をナット26で固定し、内筒11Bの内周に摺動可能に挿入されたピストン25により、ダンパケース11の油室27をピストン側油室27Aとロッド側油室27Bに区画する。28はリバウンドスプリング、29はバンプラバーである。
【0025】
油圧緩衝器10は、車体側取付部材14にサブタンク30を一体に成形し、キャップ30Aにより封着されるサブタンク30内に設けたエア室31と油溜室32をブラダ33により分離する。キャップ30Aに設けられるエアバルブ34を介して高圧化されるエア室31の圧力によって加圧される油溜室32をダンパケース11の油室27に連通するように設け、この油溜室32によりダンパケース11の油室27に進退するピストンロッド12の容積(油の温度膨張分の容積を含む)を補償する。
【0026】
油圧緩衝器10は、ダンパケース11のピストン側油室27Aと、ロッド側油室27Bの間に減衰力発生装置40を設ける。
【0027】
減衰力発生装置40は、図3、図7に示すバルブユニット40Aに小組された状態で、車体側取付部材14におけるダンパケース11とサブタンク30の間に設けたバルブ収容孔14Aに外方から挿入されて内蔵される。
【0028】
減衰力発生装置40のバルブユニット40Aは、バルブピース41と、バルブピース41の内端側の小径部41Aに螺着される内側バルブホルダ42と、バルブピース41の外端側の大径部41Bの端面に外方から衝合されるアジャスタホルダ43と、アジャスタホルダ43の外周に外方から液密に嵌合して軸方向に係合し、かつバルブピース41の大径部41Bに螺着されるキャップ44を有する。
【0029】
減衰力発生装置40のバルブユニット40Aは、更に、バルブピース41の小径部41Aの外周の軸方向に沿う中央に2枚の向かい合せしたセンタープレート45を設け、バルブピース41の小径部41Aの外周のセンタープレート45を挟む軸方向で、大径部41Bとの段差面の側から順に、伸側積層板バルブ52、圧側ピストン60、圧側減衰バルブ61を装填し、内側バルブホルダ42の端面の側から順に、圧側積層板バルブ62、伸側ピストン50、伸側減衰バルブ51を装填される。伸側積層板バルブ52、圧側ピストン60、圧側減衰バルブ61の組と、圧側積層板バルブ62、伸側ピストン50、伸側減衰バルブ51の組とは、センタープレート45を挟んで線対称配置されるとともに、バルブピース41における小径部41Aと大径部41Bの段差面と、内側バルブホルダ42の端面との間で、センタープレート45とともに挟圧固定化される。
【0030】
減衰力発生装置40のバルブユニット40Aは、アジャスタホルダ43をキャップ44の内周溝に装填されているOリング43Aを介して該キャップ44に液密に嵌合するに際し、アジャスタホルダ43の内周にバルブピース41の大径部41Bを螺着するとともに、アジャスタホルダ43の内端面と大径部41Bの中間外周部に設けた段差面との間に、キャップ44の内端部の内周に設けた環状つば部44Fを挟み込み、バルブピース41及びアジャスタホルダ43等(バルブユニット40Aにおいてキャップ44を除く部分)をキャップ44に対して回転自由に組込む。そして、バルブユニット40Aを構成するキャップ44は、Oリング44Aを介してバルブ収容孔14Aに液密に挿入され、螺着されて固定される。キャップ44はその外端側小径部の外端部の外周に多角形状外周面からなる回転操作部49(図1)を設けている。回転操作部49は、キャップ44に設ける異形状外周面、孔、溝、ローレット加工部等により構成できる。回転操作部49を工具で係止し螺着する。
【0031】
油圧緩衝器10は、減衰力発生装置40がバルブユニット40Aをバルブ収容孔14Aに上述の如くに組込んだ組込み済状態で、アジャスタホルダ43をキャップ44に設けてあるOリング43Aとの間に発生する摩擦力に抗して回転操作でき、ひいてはアジャスタホルダ43及びバルブピース41(バルブユニット40Aにおいてキャップ44を除く部分)とともにダンパケース11のバルブ収容孔14A内で回転操作できる。
【0032】
このとき、アジャスタホルダ43は2個の伸側アジャスタ70と圧側アジャスタ80を設けており、それらのアジャスタ70、80をアジャスタホルダ43の平面視で互いに相隣るように離隔して並置している。そして、アジャスタホルダ43は、伸側アジャスタ70の周辺に伸側であることを示すTENの文字を刻印し、圧側アジャスタ80の周辺に圧側であることを示すCOMの文字を刻印した表示部48をその表面に設けている。
【0033】
尚、減衰力発生装置40のバルブユニット40A内で、2個の向かい合せして用いられるセンタープレート45は、それらの孔空き板の合せ面に放射状に設けてある複数の半径方向溝45Aを相対して後述する孔72Aを形成する。
【0034】
減衰力発生装置40のバルブユニット40Aは、バルブ収容孔14Aに外方から挿入され、内側バルブホルダ42の先端面をバルブ収容孔14Aの軸方向の底面に相対し、キャップ44のOリング44Aを装填されている外周をバルブ収容孔14Aの開口部に液密に嵌合されて後述する如くに固定化される。このとき、減衰力発生装置40は、伸側ピストン50と圧側ピストン60のOリングが装填されている外周をバルブ収容孔14Aの内周に液密に固定し、バルブ収容孔14Aにおける圧側ピストン60の反伸側ピストン側のスペースをピストン側油室27Aに連通する伸圧共用流路46Aとし、バルブ収容孔14Aにおける伸側ピストン50の反圧側ピストン側のスペースをダンパケース11の後述する外側流路11Cを介してロッド側油室27Bに連通する伸圧共用流路46Bとし、バルブ収容孔14Aにおけるセンタープレート45の周囲で伸側ピストン50と圧側ピストン60に挟まれる環状スペースを車体側取付部材14に設けた連通路14Bを介して油溜室32に連通する伸圧共用流路46Cとする。また、減衰力発生装置40は、伸側ピストン50に伸側減衰バルブ51により開閉される伸側流路50Aと圧側積層板バルブ62により開閉される圧側流路50Bを設けるとともに、圧側ピストン60に伸側積層板バルブ52により開閉される伸側流路60Bと圧側減衰バルブ61により開閉される圧側流路60Aを設ける。減衰力発生装置40は、車体側取付部材14に設けた伸圧共用流路46A、46B、46Cと、伸側ピストン50に設けた伸側流路50A、圧側流路50Bと、圧側ピストン60に設けた伸側流路60B、圧側流路60Aと、ダンパケース11の外筒11Aと内筒11Bの環状間隙に設けられる外側流路11Cと、内筒11Bの下端側に設けた孔流路11Dを介して、ダンパケース11のピストン側油室27Aとロッド側油室27Bを連通する(ピストン25はピストン側油室27Aとロッド側油室27Bを連通する流路を備えない)。
【0035】
従って、油圧緩衝器10にあっては、圧側行程で、ダンパケース11のピストン側油室27Aの油を、ダンパケース11の外側流路11Cからロッド側油室27Bに向けて流す圧側流路(伸圧共用流路46A、46B、46C、圧側流路60A、50B)が減衰力発生装置40に設けられ、この圧側流路(伸圧共用流路46A、46B、46C、圧側流路60A、50B)の上流側に圧側減衰バルブ61を、下流側に圧側積層板バルブ62を設け、この圧側流路(伸圧共用流路46A、46B、46C、圧側流路60A、50B)における圧側減衰バルブ61と圧側積層板バルブ62の中間部を、伸圧共用流路46C、連通路14Bを介して油溜室32に連通するものになる。圧側減衰バルブ61は板バルブの積層体からなり、圧側減衰力を発生する。圧側積層板バルブ62は、圧側チェックバルブに圧側減衰力発生手段を付帯してなるもの(圧側積層板バルブ62が設けられる圧側流路50Bの絞り抵抗により圧側減衰力を発生させても可)であって、板バルブの積層体からなり、圧側の流れのみを許容するチェック機能とともに、圧側減衰力発生機能も果たす。圧側積層板バルブ62の発生減衰力は圧側減衰バルブ61の発生減衰力に比して小さく、減衰力発生装置40が発生する圧側減衰力は概ね圧側減衰バルブ61に依存する。
【0036】
但し、圧側積層板バルブ62は圧側減衰力発生手段を付帯しない単なる圧側チェックバルブであっても良い。
【0037】
また、伸側行程で、ダンパケース11のロッド側油室27Bの油を、ダンパケース11の外側流路11Cからピストン側油室27Aに向けて流す伸側流路(伸圧共用流路46A、46B、46C、伸側流路50A、60B)が減衰力発生装置40に設けられ、この伸側流路(伸圧共用流路46A、46B、46C、伸側流路50A、60B)の上流側に伸側減衰バルブ51を、下流側に伸側積層板バルブ52を設け、この伸側流路(伸圧共用流路46A、46B、46C、伸側流路50A、60B)における伸側減衰バルブ51と伸側積層板バルブ52の中間部を、伸圧共用流路46C、連通路14Bを介して油溜室32に連通するものになる。伸側減衰バルブ51は板バルブの積層体からなり、伸側減衰力を発生する。伸側積層板バルブ52は、伸側チェックバルブに伸側減衰力発生手段を付帯してなるもの(伸側積層板バルブ52が設けられる伸側流路60Bの絞り抵抗により伸側減衰力を発生させても可)であって、板バルブの積層体からなり、伸側の流れのみを許容するチェック機能とともに、伸側減衰力発生機能も果たす。伸側積層板バルブ52の発生減衰力は伸側減衰バルブ51の発生減衰力に比して小さく、減衰力発生装置40が発生する伸側減衰力は概ね伸側減衰バルブ51に依存する。
【0038】
但し、伸側積層板バルブ52は伸側減衰力発生手段を付帯しない単なる伸側チェックバルブであっても良い。
【0039】
減衰力発生装置40は、所望により、図7に示す如く、バルブピース41の小径部41A〜大径部41Bの中心軸上に設けた中空部に、伸側減衰バルブ51と圧側減衰バルブ61を迂回して、ダンパケース11のピストン側油室27Aとロッド側油室27Bを油溜室32に連通する伸側バイパス流路72と圧側バイパス流路82を設けても良い。アジャストホルダ43に設けられる伸側アジャスタ70により外部から操作される伸側減衰力調整弁71により、この伸側バイパス流路72の開口面積を調整することで伸側減衰力を調整できる。伸側バイパス流路72は伸圧共用流路46Aに開口するとともに、バルブピース41に設けた孔72A、センタープレート45に設けた孔72Bを介して伸圧共用流路46Cに開口している。アジャストホルダ43に設けられる圧側アジャスタ80により外部から操作される圧側減衰力調整弁81により、この圧側バイパス流路82の開口面積を調整することで圧側減衰力を調整できる。圧側バイパス流路82は伸圧共用流路46Bに開口するとともに、バルブピース41に設けた孔72A、センタープレート45に設けた孔72Bを介して伸圧共用流路46Cに開口している。伸側アジャスタ70と圧側アジャスタ80はアジャスタホルダ43の平面視で互いに相隣るように離隔されて並置されている。
【0040】
尚、伸側アジャスタ70は外部から回転操作可能にアジャストホルダ43にOリングを介して液密に枢着され、伸側アジャスタ70のおねじ部にスライダ70Aを螺合しており、伸側アジャスタ70の回転によって移動するスライダ70Aが伸側減衰力調整弁71のロッド状基端部を押動し、伸側減衰力調整弁71の先端ニードル弁を伸側バイパス流路72の開口に対して進退させる。また、圧側アジャスタ80は外部から回転操作可能にアジャストホルダ43にOリングを介して液密に枢着され、圧側減衰力調整弁81は伸側減衰力調整弁71のロッド周囲に遊挿されるとともに、そのフランジ部に圧側アジャスタ80のおねじ部が螺合されており、圧側アジャスタ80の回転によって移動する圧側減衰力調整弁81の先端ニードル弁を圧側バイパス流路82の開口に対して進退させる。伸側減衰力調整弁71の膨出状基端部と、圧側減衰力調整弁81の伸側減衰力調整弁71まわりに設けた陥凹部との間には、伸側減衰力調整弁71の基端部を常にスライダ70Aに圧接しておく圧縮コイルばね73が介装されている。伸側アジャスタ70のスライダ70Aには圧側アジャスタ80の中間軸部が挿通していてスライダ70Aを回り止めしている。圧側減衰力調整弁81のフランジ部には伸側アジャスタ70の先端軸部が挿通していて圧側減衰力調整弁81を回り止めしている。
【0041】
従って、油圧緩衝器10は以下の如くに減衰作用を行なう。
(圧側行程)
ピストン側油室27Aの油が昇圧し、減衰力発生装置40の圧側ピストン60の圧側流路60Aの圧側減衰バルブ61を押し開いて圧側減衰力を発生する。この圧側減衰バルブ61から伸圧共用流路46Cに流出する油は伸圧共用流路46Cにおいて2分し、一方の油は伸側ピストン50の圧側流路50Bの圧側チェックバルブ62からダンパケース11の外側流路11Cを通ってロッド側油室27Bに流出し、他方の油は油溜室32に排出される。この油溜室32に排出される他方の油は、ピストンロッド12の進入容積分の油を補償する。
【0042】
(伸側行程)
ロッド側油室27Bの油が昇圧し、ダンパケース11の外側流路11Cを通って減衰力発生装置40の伸側ピストン50の伸側流路50Aの伸側減衰バルブ51を押し開いて伸側減衰力を発生する。この伸側減衰バルブ51から伸圧共用流路46Cに流出する油は、油溜室32から補給される油と合流した後、圧側ピストン60の伸側流路60Bの伸側積層板バルブ52を通ってピストン側油室27Aに流出する。油溜室32から補給される油はピストンロッド12の退出容積分の油を補償する。
【0043】
しかるに、油圧緩衝器10にあっては、減衰力発生装置40の伸側減衰バルブ51、圧側減衰バルブ61が減衰力をほとんど発生しない、ピストン25の極低速域、又は高周波動作域で、ピストン25のピストンリング90により摩擦力を発生させるため、以下の構成を具備する(図4〜図6)。
【0044】
油圧緩衝器10は、ピストン25の外周の広幅溝内に設けたピストンリング90の外周をダンパケース11の内周に摺接する。ピストンリング90の内周に、ダンパケース11の油室27A、27Bに対して封止される背圧室91を設ける。本実施例において、ピストン25のピストンリング90が設けられる広幅溝の溝底における溝幅方向に間隔を介する2か所に設けた装填溝にOリング92A、92Bを設け、この広幅溝内に設けたピストンリング90の内周をOリング92A、92Bに密着する。ピストンリング90の内周と、ピストン25の広幅溝の溝底において両Oリング92A、92Bに挟まれる部分との隙間を背圧室91とする。
【0045】
油圧緩衝器10は、ピストンリング90をテフロン(登録商標)等の弾性素材からなるものにし、ピストンリング90の背圧室91に圧力を付与する背圧付与手段93を設ける。
【0046】
背圧付与手段93は、ピストンロッド12に設けた中空部94を、ピストン25に設けた連通孔95を介してピストンリング90の背圧室91に連通する。ピストンロッド12は中空部94を連通孔95に連通する横孔94Aを備える。ピストン25は連通孔95を背圧室91に連通する環状溝95Aを両Oリング92A、92Bの装填溝に挟まれる全周に渡って備える。尚、中空部94の一端はプラグ94Bにより閉塞されている。
【0047】
更に、背圧付与手段93は、図5に示す如く、ピストンロッド12の中空部94の中間をプランジャ96により仕切る。プランジャ96は外周溝に設けたOリングを介して、中空部94の内周に液密に摺動できる。背圧付与手段93は、ピストンロッド12の中空部94のプランジャ96より背圧室91の側に、ダンパケース11の油室27A、27Bに装填したと同じ(同一品種)作動油Lを充填する。また、中空部94のプランジャ96より反背圧室91の側に、空気圧力Aを封入する空気圧封入室97Bを設ける。このとき、車軸側取付部材15が中空ジョイント15A、Oリング15Bを介してピストンロッド12のダンパケース11から外部に突き出ている端部に同軸結合されるとともに、車軸側取付部材15がピストンロッド12のその端部外周に螺着され、ロックナット15Cで固定される。また、車軸側取付部材15の外周には空気圧封入ケース98がOリング15D、15Eを介して気密に嵌合固定され、車軸側取付部材15と空気圧封入ケース98は空気圧封入室97Aを形成する。車軸側取付部材15と空気圧封入ケース98の空気圧封入室97Aはジョイント15Aの中空孔を介してピストンロッド12の空気圧封入室97Bに連通する。空気圧封入ケース98の外周に前述のばね受18を備える。車軸側取付部材15は、空気圧封入室97Aの外部に開口している封入口aをプラグ、本実施例ではゴム栓98Aにより密封している。空気注射器99Aの注射針をゴム栓98Aから空気圧封入室97Aに刺し、空気注射器99A内の空気を空気圧封入室97A、97Bに加圧注入する。空気圧封入室97A、97Bに注入された空気圧力Aは、ピストンロッド12の中空部94に設けたプランジャ96、作動油Lを介して、ピストンリング90の背圧室91に作動油Lの圧力を付与する。
【0048】
背圧付与手段93は、背圧室91の圧力を調整する背圧調整手段99を備えることができる。背圧調整手段99は、ピストンロッド12のダンパケース11から外部に突き出ている側に設けた車軸側取付部材15の封入口aに設けたゴム栓98Aと、空気注射器99Aにより構成できる。ゴム栓98Aに刺した空気注射器99Aにより、空気圧封入室97A、97Bに封入される空気圧力を調整し、ひいては背圧室91の圧力を調整できる。
【0049】
本実施例によれば以下の作用効果を奏する。
(a)ピストン25に設けたピストンリング90の内周に背圧室91を設け、背圧付与手段93が付与する背圧室91の圧力がピストンリング90を加圧し、ピストンリング90を拡径方向に弾性変形させて押し開く。油圧緩衝器10内に設けた減衰力発生装置40が減衰力をほとんど発生しない、ピストン25の極低速域、又は高周波動作域で、ピストンリング90がダンパケース11の内周に摺接するときの摩擦力を発生し、油圧緩衝器10の減衰特性を向上する。
【0050】
(b)ピストンリング90はダンパケース11の内周に摩擦接触するものであり、摩擦接触長さは長く、摩擦力の発生効果は大きい。
【0051】
(c)ピストンリング90の内周の背圧室91はダンパケース11の油室27A、27Bに対して封止されており、背圧室91の封止が破れ、背圧室91の内部流体がダンパケース11の油室27A、27Bに漏れ出ても、外部への油漏れを引き起こすものにならない。
【0052】
(d)背圧付与手段93が備える背圧調整手段99により、上述(a)の背圧室91の圧力を調整することで、ピストン25の極低速域、又は高周波作動域におけるピストンリング90の摩擦力を調整し、油圧緩衝器10の減衰特性を調整できる。
【0053】
(e)背圧付与手段93が、ピストンロッド12に設けた中空部94を、ピストン25に設けた連通孔95を介してピストンリング90の背圧室91に連通し、ピストンロッド12の中空部94の中間にプランジャ96を設け、その中空部94のプランジャ96より背圧室91の側に、ダンパケース11の油室27A、27Bに装填したと同じ作動油を充填し、その中空部94のプランジャ96より反背圧室91の側に空気圧力Aを封入する空気圧封入室97A、97Bを設ける。空気圧封入室97A、97Bに封入した空気圧力Aが、ピストンロッド12の中空部94、及びピストン25の連通孔95に充填した作動油を背圧室91に及ぼし、ピストンリング90を加圧して押し開き、前述の摩擦力を発生させるものになる。このとき、ダンパケース11の油室27A、27Bに装填したと同じ作動油が、背圧室91にも充填されてピストンリング90を加圧するものであるから、背圧室91の封止が破れ、背圧室91の内部流体たる作動油がダンパケース11の油室27A、27Bに漏れ出ても、ダンパケース11の油室27A、27Bを汚損しない。
【0054】
(f)ダンパケース11から外部に突き出ているピストンロッド12の側に設けた背圧調整手段99により、空気圧封入室97A、97Bに封入される空気圧力Aを調整し、ひいては上述(e)の背圧室91の圧力を調整できる。
【0055】
尚、本発明の背圧付与手段は、ピストンリング90の背圧室91に直に空気圧力を付与しても良い。このとき、本発明の背圧付与手段は、ピストンロッド12の中空部94が、空気圧力を封入する空気圧封入室とされるものとすることができる。
【0056】
また、本発明の背圧付与手段は、ピストンリング90の背圧室91に充填した作動油をプランジャにより仕切り、このプランジャを上記実施例の空気圧力に代わるスプリングにより加圧するものとしても良い。
【0057】
また、本発明の背圧調整手段は、ピストンリング90の背圧室91に封入した圧力、又は背圧室91に封入した圧力を加圧する空気圧封入室やスプリングのばね力を調整する手動螺動式アジャスタとしても良い。
【0058】
また、本発明の背圧調整手段は、ピストンリング90の背圧室91に封入した圧力、又は背圧室91に封入した圧力を加圧するソレノイドバルブ等の電気式アクチュエータとしても良い。背圧室91に封入した圧力を電気的に自動制御できる。
【0059】
(実施例2)(図8)
図8に示す油圧緩衝器100は、車体側と車軸側の一方に取付けられるダンパケース101の油室に、車体側と車軸側の他方に取付けられるピストンロッド102を挿入し、ピストンロッド102の先端部に設けたピストン103により、ダンパケース101の油室をピストン側油室104Aとロッド側油室104Bに区画している。ピストン103に減衰力発生装置105(伸側流路106Aに設けた伸側減衰バルブ105Aと、圧側流路106Bに設けた圧側減衰バルブ105B)を設けている。
【0060】
また、油圧緩衝器100は、ダンパケース101の油室104A、104Bに進退するピストンロッド102の容積(油の温度膨張分の容積を含む)を補償する油溜室107をダンパケース101のピストン側油室104Aに連通し、ピストン側油室104Aと油溜室107の間に隔壁部材108を設けている。隔壁部材108に減衰力発生装置109(圧側減衰バルブ109Aと圧側チェックバルブ109B)を設けている。油溜室107は、エア室107Aにより加圧されている。
【0061】
しかるに、油圧緩衝器100にあっては、ピストン103に設けたピストンリング110の外周をダンパケース101の内周に摺接し、ピストンリング110の内周に、ダンパケース101の油室104A、104Bに対して封止される背圧室111を設ける。本実施例において、ピストン103のピストンリング110が設けられる広幅溝の溝底における溝幅方向に間隔を介する2か所に設けた装填溝にOリング112A、112Bを設け、この広幅溝内に設けたピストンリング110の内周をOリング112A、112Bに密着する。ピストンリング110の内周と、ピストン103の広幅溝の溝底において両Oリング112A、112Bに挟まれる部分との隙間を背圧室111とする。
【0062】
油圧緩衝器100は、ピストンリング110をテフロン(登録商標)等の弾性素材からなるものにし、ピストンリング110の背圧室111に圧力を付与する背圧付与手段113を設ける。
【0063】
背圧付与手段113は、実施例1の背圧付与手段93におけると同様に構成でき、ピストンロッド102、車軸側取付部材102A等に設けた背圧付与経路114から、ピストンリング110の背圧室111に圧力を付与する。例えば、背圧付与手段113が印加する空気圧力Aにより、ピストンロッド102に設けた背圧付与経路114内の作動油Lを介して、背圧室111に作動油Lの圧力を付与する。
【0064】
背圧付与手段113は、実施例1の背圧付与手段93に備えた背圧調整手段99と同様の背圧調整手段を備え、背圧室111の圧力を調整することもできる。
【0065】
本実施例によれば、実施例1において前述したと同様の作用効果を奏する。
【0066】
以上、本発明の実施例を図面により詳述したが、本発明の具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、車体側と車軸側の一方に取付けられるダンパケースの油室に、車体側と車軸側の他方に取付けられるピストンロッドを挿入し、ピストンロッドに設けたピストンにより、ダンパケースの油室をピストン側油室とロッド側油室に区画し、ダンパケースの油室に進退するピストンロッドの容積を補償する油溜室をダンパケースの油室に連通し、ダンパケースのピストン側油室と、ロッド側油室の間に減衰力発生装置を設けてなる油圧緩衝器において、ピストンに設けたピストンリングの外周をダンパケースの内周に摺接し、ピストンリングの内周に、ダンパケースの油室に対して封止される背圧室を設け、ピストンリングを弾性素材からなるものにし、ピストンリングの背圧室に圧力を付与する背圧付与手段を設けた。これにより、油圧緩衝器内に設けた減衰力発生装置が減衰力をほとんど発生しない、ピストンの極低速域、又は高周波動作域で、摩擦力を発生可能にする油圧緩衝器であって、摩擦力の発生効果を大きくし、外部への油漏れを引き起こすおそれもなく、油圧緩衝器の減衰特性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0068】
10 油圧緩衝器
11 ダンパケース
12 ピストンロッド
25 ピストン
27 油室
27A ピストン側油室
27B ロッド側油室
32 油溜室
40 減衰力発生装置
90 ピストンリング
91 背圧室
93 背圧付与手段
94 中空部
95 連通孔
96 プランジャ
97A、97B 空気圧封入室
98 空気圧封入ケース
99 背圧調整手段
100 油圧緩衝器
101 ダンパケース
102 ピストンロッド
103 ピストン
104A ピストン側油室
104B ロッド側油室
105 減衰力発生装置
107 油溜室
109 減衰力発生装置
110 ピストンリング
111 背圧室
113 背圧付与手段
114 背圧付与経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体側と車軸側の一方に取付けられるダンパケースの油室に、車体側と車軸側の他方に取付けられるピストンロッドを挿入し、
ピストンロッドに設けたピストンにより、ダンパケースの油室をピストン側油室とロッド側油室に区画し、
ダンパケースのピストン側油室と、ロッド側油室の間に減衰力発生装置を設けてなる油圧緩衝器において、
ピストンに設けたピストンリングの外周をダンパケースの内周に摺接し、
ピストンリングの内周に、ダンパケースの油室に対して封止される背圧室を設け、
ピストンリングを弾性素材からなるものにし、ピストンリングの背圧室に圧力を付与する背圧付与手段を設けてなることを特徴とする油圧緩衝器。
【請求項2】
前記背圧付与手段が、背圧室の圧力を調整する背圧調整手段を備えてなる請求項1に記載の油圧緩衝器。
【請求項3】
前記背圧付与手段が、
ピストンロッドに設けた中空部を、ピストンに設けた連通孔を介してピストンリングの背圧室に連通し、
ピストンロッドの中空部が、空気圧力を封入する空気圧封入室とされてなる請求項1又は2に記載の油圧緩衝器。
【請求項4】
前記背圧付与手段が、
ピストンロッドに設けた中空部を、ピストンに設けた連通孔を介してピストンリングの背圧室に連通し、
ピストンロッドの中空部の中間にプランジャを設け、その中空部のプランジャより背圧室の側に、ダンパケースの油室に装填したと同じ作動油を充填し、その中空部のプランジャより反背圧室の側に空気圧力を封入する空気圧封入室を設けてなる請求項1又は2に記載の油圧緩衝器。
【請求項5】
前記ピストンロッドのダンパケースから外部に突き出ている側に、空気圧封入室に封入される空気圧力を調整し、背圧室の圧力を調整する背圧調整手段を設けてなる請求項3又は4に記載の油圧緩衝器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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