説明

油性毛髪化粧料

【課題】
ポリアスパラギン酸誘導体を基本のセット剤ポリマーとして含有し、毛髪に対しべたつき、ごわつきがなく艶を与え、熱刺激からの毛髪を保護する油性毛髪化粧料を提供する。
【解決手段】
式(1)又は式(2):


(式(1)及び式(2)において、Rは水素原子又は炭素原子数1〜6の低級炭化水素基を示し、R及びRは、それぞれ独立して炭素原子数1〜24の飽和もしくは不飽和炭化水素基を示し、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1〜24の飽和もしくは不飽和炭化水素基を示し、またRとRが結合して窒素原子を含む6員環を形成してもよい)
で表される繰り返し単位からなる群から選択される少なくとも1種類の繰り返し単位を分子内に1モル%以上有する重合体を含有することを特徴とする油性毛髪化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は油性毛髪化粧料に関する。詳細には、ポリアスパラギン酸の誘導体を基本のセット剤ポリマーとして含有した油性毛髪化粧料に関する発明であり、更に詳細には、毛髪に対して優れた艶を与えることができ、使用感が良好で、櫛通り性も良く、毛髪になめらかな感触を付与し、かつ良好な整髪セット力を保持させることができる油性毛髪化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、整髪セットを容易にし、艶やカールの安定性を高める毛髪処理剤として、油性毛髪化粧料が用いられてきた。これらには、一般的に疎水性オイル、即ち、天然の、動物性又は植物性の油、鉱油、高級の炭化水素(例えばパラフィン)、合成油又はシリコーン油、或いは多価アルコールを母核にプロピレンオキサイド及び/又はエチレンオキサイドが付加重合したポリエーテル化合物などが、整髪力を付与する目的で配合されることがある。しかし、これを塗布する際の、毛髪及び手におけるべたつきが著しく、毛髪においてごわつきやギラツキ等が生じることがある等の問題があった。これらの問題点を解決するために、上記の配合成分を、各種エマルジョンとして用いる等の試みもなされているが、べたつきの解消という点において、未だ充分満足できる油性毛髪化粧料は得られていない。さらに、従来の油性毛髪化粧料における問題点は、疎水性物質を多く含有するため、洗浄性がよくなく、更に水を含む製剤の場合には、水相と油相とが分離する傾向があり、安定性に関する問題があった。
【0003】
また、従来の油性毛髪化粧料には、セット機能以外に顕著なコンデショニング効果や熱刺激からの毛髪の保護効果などの機能は付加されていない。
ポリアスパラギン酸誘導体は本出願の共同出願人である三井化学(株)により生産されているが、その内の1つがキルティ−ATの商品名で市販されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記の油性毛髪化粧料の問題点を解決することを課題とすることであり、具体的にはべたつきがなく、毛髪に塗布した際もごわつきがない油性毛髪化粧料を提供することを課題とする。また本発明は、高湿度下であっても心地よい使用感とセット力の長期保存性を実現する油性毛髪化粧料を提供することを課題とする。さらに、本発明は、頭皮に優しく、余分な成分を追加することなくセット力以外の付加機能(艶、枝毛修復、熱刺激からのキュウティクル保護機能)を有する油性毛髪化粧料を提供することを課題とする。さらには生分解性素材を用いることで、環境にやさしいヘ油性毛髪化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、特定のポリアスパラギン酸誘導体の繰り返し単位を特定の量含有する重合体、炭化水素油、シリコーン誘導体を含むことにより上記課題を解決することを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明は、
[1]成分(A):
式(1)又は式(2)
【0006】
【化1】

【0007】
(式(1)及び式(2)において、Rは水素原子又は炭素原子数1〜6の低級炭化水素基を示し、R及びRは、それぞれ独立して炭素原子数1〜24の飽和もしくは不飽和炭化水素基を示し、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1〜24の飽和もしくは不飽和炭化水素基を示し、またRとRが結合して窒素原子を含む6員環を形成してもよい)
で表される繰り返し単位からなる群から選択される少なくとも1種類の繰り返し単位を分子内に1モル%以上有する重合体を含有することを特徴とする油性毛髪化粧料であり、
[2]成分(B):炭化水素油を1種又は2種以上、
成分(C):シリコーン誘導体の1種又は2種以上
を含有する[1]記載の油性毛髪化粧料であり、
[3]成分(A)の配合量が0.2〜80重量%、成分(B)成分の配合量が0.5〜80重量%、成分(C)の配合量が0.5〜60重量%である[2]記載の油性毛髪化粧料、
に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の組成物から得られる油性毛髪化粧料は、上記式(1)又は式(2)で表されるアスパラギン酸誘導体の繰り返し単位を1モル%以上有する重合体を使用することにより、べたつきを抑えながらも生き生きとした毛髪の艶を出すことができる。また、植物原料由来の生分解性ポリマーであり、頭皮に対して低刺激性のセット剤である。さらに自然環境下で微生物分解するため、環境負担が極めて小さい。
【0009】
毛髪表面の保護膜形成能を向上させるとともにコンデショニング効果を発揮することができる。この保護膜は、熱刺激から毛髪を保護し、枝毛や痛んだキュウティクルの修復にも効果がある。
【0010】
また、本発明の油性毛髪化粧料は毛髪に塗布した際もごわつきやギラツキがなく、高湿度下であっても心地よい使用感とセット力の長期保存性を実現できる。さらに、本発明の油性毛髪化粧料は、化粧料自体の保存安定性に優れ、使用後の毛髪洗浄性にも優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明で、炭化水素基には、直鎖、分岐又は環状炭化水素基が含まれる。また、本発明の組成物が効果を奏することを条件として、炭化水素基は、置換基を有してもよい。また、trans体又はcis体、D-体又はL-体、その他の立体異性体が存在する場合には、全ての立体異性体又はその混合物が含まれる。
【0012】
まず、本発明の組成物において用いる上記式(1)又は式(2)で表される繰り返し単位から選択される少なくとも1種類の繰り返し単位を分子内に1モル%以上有する重合体(以下、「本発明のポリアスパラギン酸誘導体」ともいう)について説明する。
【0013】
は水素原子又は炭素原子数1〜6の低級炭化水素基を示す。Rが低級炭化水素基の場合、その炭素原子数は、1〜3が好ましい。Rとして好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基である。
【0014】
及びRは、それぞれ独立して炭素原子数1〜24の飽和もしくは不飽和の二価の炭化水素基を示す。R及びRは、炭素数1〜5の飽和が好ましい。
【0015】
及びRはそれぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1〜24の飽和もしくは不飽和炭化水素基を示す。RとRが結合して窒素原子を含む6員環を形成してもよい。RとRが炭化水素基の場合、その炭素原子数は、1〜5が好ましい。R及びRとして好ましくは、メチル基、エチル基である。
【0016】
本発明のポリアスパラギン酸誘導体が含有する式(1)又は式(2)で表される繰り返し単位の量は、1モル%以上であればよいが、好ましくは5〜70モル%、さらに好ましくは、10〜50モル%である。本発明の組成物では、式(1)又は式(2)で表される繰り返し単位の量が上記範囲より少ないとセット力が低下する傾向があり、上記範囲であるとべたつきも少なく好ましい。
【0017】
本発明のポリアスパラギン酸誘導体が含有する式(1)又は式(2)で表される繰り返し単位以外の繰り返し単位としては、本発明の効果を奏する限りいかなるものでもよい。
本発明のポリアスパラギン酸誘導体が含有する式(1)又は式(2)で表される繰り返し単位は、互いに同じであっても異なっていてもよい。また、これらの繰り返し単位や、式(1)又は式(2)以外の繰り返し単位の結合様式は、ランダムであってもブロック状であってもよい。
【0018】
本発明のポリアスパラギン酸誘導体の重量平均分子量は、そのエタノール溶液、炭化水素油、シリコーン誘導体との処方のし易さ等の観点から、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる重量平均分子量換算で5000〜500万が好ましく、10000以上200万以下が更に好ましい。
【0019】
本発明の組成物が含有するポリアスパラギン酸誘導体の量は、セット力等の観点から全重量に対して0.2〜80%が好ましく、0.2〜50%がより好ましい。0.2〜20%が更に好ましい。
【0020】
本発明のポリアスパラギン酸誘導体は、文献等を参照することにより合成できる。また、本出願の共同出願人である三井化学(株)よりキルティ−ATの商品名で市販されているものを用いることもできる。
【0021】
本発明において配合される成分(B)の炭化水素油としては、通常化粧料、皮膚外用剤等に用いられるものであれば特に限定されるものではない。例えば、アボガド油、ツバキ油、タートル油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、サザンカ油、綿実油、大豆油、落花生油、茶実油、コメヌカ油、胚芽油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリン等の液体油脂;カカオ脂、ヤシ油、馬脂、パーム油、牛脂、豚脂、羊脂、モクロウ、ヒマシ油等の固形油脂類;ミツロウ、綿ロウ、カルバナロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ラノリン、酢酸ラノリン、サトウキビロウ、ホホバロウ、硬質ラノリン、ポリオキシエチレン(以下POEと略す)ラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコール等のロウ類;ミリスチルアルコール、セチルアルコール、オレイルアルコール、アラキルアルコール、ヘキサデシルアルコール等の高級アルコール類;流動パラフィン、スクワラン、イソパラフィン等の液状炭化水素油;パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の固形又は半固形状炭化水素油;ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸等の高級脂肪酸類;2−エチルヘキサン酸エチル、パルミチン酸−2−エチルヘキシル、パルミチン酸オクチル、イソステアリン酸−2−ヘキシルデシル、アジピン酸イソブチル、ミリスチン酸−2−オクチルドデシル、ミルスチン酸イソプロピル等の脂肪酸エステル類;イソノナン酸イソノニル、オクタン酸イソセチル、イソノナン酸−2−エチルヘキシル、ジ−2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール等のエステル油;トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、トリヤシ油脂肪酸グリセリル、セスキオレイン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル等のグリセリン酸エステル;ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンセスキオレエート等の脂肪酸エステル;α、α’−オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン等のグリセリン脂肪酸類;モノステアリン酸プロピレングリコール等のプロピレングリコール脂肪酸エステル類;硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタンモノオレエート、POEソルビタンモノステアレート等のPOEソルビタン脂肪酸エステル、POEソルビットモノラウレート、POEソルビットモノオレート等のPOEソルビット脂肪酸エステル;POEグリセリンモノイソステアレート等のPOEグリセリン脂肪酸エステル類;POEモノオレエート等のPOE脂肪酸エステル類;POEラウリルエーテル、POEオレイルエーテル等のPOEアルキルエーテル類;POEオクチルフェニルエーテル等のPOEアルキルフェニルエーテル類;プルロニック等のプルロニック型類;ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン(以下、POE・POPと略す)セチルエーテル、POE・POPモノブチルエーテル等のPOE・POPアルキルエーテル類等などが挙げられる。
【0022】
本発明の油性毛髪化粧料において、成分(B)である炭化水素油は、1種を単独で、或いは2種以上を組み合わせて用いることが可能であり、その配合量は、好ましくは油性毛髪化粧料全体に対して0.3〜90重量%、特に好ましくは同0.5〜80重量%である。この配合量が、油性毛髪化粧料全体の0.3重量%未満では、処方によっては、シリコーン誘導体をポリアスパラギン酸誘導体と相溶させることができない場合があり好ましくない。また90重量%を超えて配合しても、配合量に見合った感触面における効果の向上を期待することができない場合がある。
【0023】
本発明の油性毛髪化粧料に配合される成分(C)のシリコーン誘導体としては特に限定されず、例えばメチルポリシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、高純度メチルポリシロキサン等のジメチルシリコーンオイル;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、メチルシクロポリシロキサン等の環状ジメチルシリコーンオイル;メチルハイドロジェンポリシロキサン、テトラヒドロテトラメチルシクロテトラシロキサン等のメチルハイドロジェンシリコーンオイル;ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体等のポリエーテル変性シリコーンオイル;メチルフェニルポリシロキサン等のメチルフェニルシリコーンオイル;シリコーン樹脂、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン等が挙げられる。
【0024】
これらのシリコーン誘導体は、常法によって製造したものはもとより、市販のものを使用することも可能であり、例えば、メチルフェニルポリシロキサンとして「シリコーンKF56(信越化学社製)」、環状シリコーン「デカメチルシクロペンタシロキサン(東レ・ダウコーニングシリコーン社製)」として「シリコーンKF995(信越化学社製)」等が例示される。
【0025】
本発明の油性毛髪化粧料において、成分(C)であるシリコーン誘導体は、1種を単独で、或いは2種以上を組み合わせて配合することが可能であり、その配合量は、好ましくは、毛髪化粧料全体に対して0.5〜60重量%、特に好ましくは同3.0〜40重量%である。シリコーン誘導体の配合量が、毛髪化粧料全体に対して0.5重量%未満では、塗布時の使用感や本発明において期待される効果が発揮されない場合があり好ましくない。また、同60重量%を超えて配合した場合、相溶することができない場合があり、好ましくない。
【0026】
このようにして、成分(A)、成分(B)及び成分(C)を組み合わせて配合した油性毛髪化粧料は、使用感が良好でべたつかず、櫛通り性もよく、ごわつかないため毛髪になめらかな感触を付与し、かつ良好な整髪力を保持させると伴に、毛髪に対して優れた艶を与えることができる。
【0027】
本発明の油性毛髪化粧料には、本発明の効果を損なわない範囲内において、化粧料に一般に使用される色素、パール剤、香料、保湿剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、界面活性剤、顔料、染料、色素、ビタミン剤、消臭剤、アルコール、油剤、ワックス、溶剤等を適宜配合することができる。
【0028】
また、本発明の油性毛髪化粧料においては、クリーム状、エマルジョン状、ゲル状、固形状等、種々の剤形を選択可能であり、本発明油性化粧料を、ヘアクリーム、ヘア乳液、ヘアジェル、ヘアワックス、ヘアスティク等とすることが可能である。これらのいずれの剤形、形態に応じた常法を用いることにより、所望する剤形や形態の本発明の油性化粧料を得ることができる。
【0029】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、配合量は、特に断わらない限り、その成分を配合する対象全体に対する重量%である。以下、本発明品の処方例と比較品の処方例を示し、これらの処方例の油性毛髪料について、本発明において発揮されるべきか効果が認められるか否かを評価した。
【実施例1】
【0030】
以下の表1のAのすべての成分を一度に混合し、よく攪拌する。その中に表1のBのすべての成分を加え、均一になるまで攪拌する。
【0031】
【表1】

(注1)Advantage LC-E:Vinyl caprolactam/VP/Dimethylaminoethyl Methacrylate Copolymer (and) Lauryl Pyrrolidone(=ビニルカプロラクタム/ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体とラウリルピロリドン)
(注2)Escalol HP:Dimethylpabamidopropyl Laudimonium Tosylate
(=ジメチルパバミドプロピル ラウジモニウム トシレート)
【0032】
上記の試験処方で作成した処方液を美容院にて実際に使用して被験者の総合評価を行った。この結果、本発明の油性毛髪化粧料である、ポリアスパラギン酸誘導体を含有するヘアシャインオイルでは、以下の利点が認められた。
・毛髪の艶が認められた。
・高湿度下におけるセット力は従来品とほぼ同等であった。
・べたつきが改善された。
・ドライヤーの熱などから髪を保護する機能が認められた。
・マネージャビリティ、櫛どおり性が良好であった。
【実施例2】
【0033】
図1に、90%の相対湿度下、27℃でのカール保持特性の試験結果を示した。なお、カール保持特性の試験は以下の方法を用いた。
【0034】
表1の試験処方に従い作製した油性毛髪組成物0.5gを、試験毛髪の束の上に延ばしたのち、カーラーに巻きつけ45℃にて2時間、常温にて一晩乾燥した。毛髪の束をカーラーから注意深くはずし、カールした試験毛髪を相対湿度90%、27℃の高温高湿槽内に入れ、時間に対するカールの伸び率(%)を測定した。なお対照としてPVP/VAを用いた。(ここで、PVP/VAとは、ビニルピロリドンと酢酸ビニルの共重合体であり、例えばアイエスピー・ジャパン(株)にてPVP/VA E−735の商品名で市販されている(ビニルピロリドンと酢酸ビニル(7対3)の共重合体で50重量%のエタノール水溶液)。)
図1の結果から明らかのように、本発明のポリアスパラギン酸誘導体は、対照として用いたPVP/VAと比較して、セット力が認められた。
【実施例3】
【0035】
上記の試験処方の油性毛髪化粧料の安定性(室温、50℃、3ヶ月)について評価を行った。その結果を表2に示す。
【0036】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明によれば、べたつきがなく、毛髪に塗布した際もごわつきがない油性毛髪化粧料を提供し、高湿度下であっても心地よい使用感とセット力の長期保存性を実現する油性毛髪化粧料を提供することができ、また、頭皮に優しく、余分な成分を追加することなくセット力以外の付加機能(艶、枝毛修復、熱刺激からのキュウティクル保護機能)を有する油性毛髪化粧料を提供することができ、さらに生分解性素材を用いることで、環境にやさしいヘ油性毛髪化粧料を提供することができる。
【0038】
さらに、本発明の油性毛髪化粧料は、化粧料自体の保存安定性に優れ、使用後の毛髪洗浄性にも優れ、当該分野において極めて優れた性能を有する油性毛髪化粧料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】図1は、本発明の組成物等の高湿度下でのセット力を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分(A):
式(1)又は式(2)
【化1】

(式(1)及び式(2)において、Rは水素原子又は炭素原子数1〜6の低級炭化水素基を示し、R及びRは、それぞれ独立して炭素原子数1〜24の飽和もしくは不飽和炭化水素基を示し、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1〜24の飽和もしくは不飽和炭化水素基を示し、またRとRが結合して窒素原子を含む6員環を形成してもよい)
で表される繰り返し単位からなる群から選択される少なくとも1種類の繰り返し単位を分子内に1モル%以上有する重合体を含有することを特徴とする油性毛髪化粧料。
【請求項2】
成分(B):炭化水素油を1種又は2種以上、
成分(C):シリコーン誘導体を1種又は2種以上
を含有することを特徴とする請求項1記載の油性毛髪化粧料。
【請求項3】
油性毛髪化粧料全体に対して、成分(A)の配合量が0.2〜80重量%、成分(B)の配合量が0.5〜80重量%、成分(C)成分の配合量が0.5〜60重量%である請求項2記載の油性毛髪化粧料。

【図1】
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【公開番号】特開2006−117572(P2006−117572A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−306028(P2004−306028)
【出願日】平成16年10月20日(2004.10.20)
【出願人】(399005769)アイエスピー・ジャパン株式会社 (5)
【出願人】(000005887)三井化学株式会社 (2,318)
【Fターム(参考)】