説明

油水分離装置

【課題】装置の小型化及び効率の向上を図ることができる油水分離装置を提供する。
【解決手段】油水混合液を収容する回収タンク2と、回収タンク2から送出された油水混合液中の夾雑物を除去する濾過手段3と、濾過手段3を通過した油水混合液の油成分と水成分とを分離する油水分離器4と、油水分離器4により分離された油成分を回収する汚油回収タンク5と、油水分離器4により分離された水成分中の油分濃度を測定する油分濃度計6と、油分濃度計6の測定結果に応じて油水分離器4により分離された水成分の流路を廃棄又は回収に切り換える流路切換手段7と、を有し、濾過手段3は、複式に構成された油こし器31と、複式に構成されたオイルフィルター32と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油水混合液の水成分と油成分とを分離する油水分離装置に関し、特に、小型化及び効率の向上を図ることができる油水分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工場、船舶等から排出される各種排水は、油成分を含有する油水混合液である場合が多く、再利用又は廃棄をする場合、油水混合液から油成分が分離されなければならない。特に、潜水船の燃料タンクやタンカーのスロップタンクの処理時には、油水混合液が生じやすく、その処理液を海洋に廃棄するには規定値(5ppm)以下になるまで油成分を分離しなければならない。従来、油水混合液の水成分と油成分とを分離するために様々な油水分離装置が実用化されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0003】
特許文献1に記載された油水分離装置は、油水混合液を透過水と油分濃縮非透過側液とに分離する膜モジュールと、分流液を油と水とに分離する油水分離器と、液分離された水を膜モジュールの供給側に戻す分離水戻し配管部と、分離された油分を取出す油分取出し配管部と、を備えている。また、油水分離器には、例えば、コアレッサ方式(フィルター内部で微小油滴が捕捉され、凝集により粗大化され、この粗大化油滴がフィルター外面から脱離し、瞬時に比重差分離される方式)の比重差油水分離器が用いられる。また、膜モジュールは、いわゆる濾過装置に相当し、種々のものが適用され得る。
【0004】
特許文献2に記載された油水分離装置は、自己吸引型泡抱き式油水分離器(油水分離装置本体)と、船舶廃水を受入れて廃水を油水分離器に導入するための受入れタンクと、油水分離器の処理水を貯める処理水タンクと、処理水タンクに接続される砂濾過器と、油水分離器により分離されたスカムを受入れるスカムタンクと、を備え、これらがバージに搭載されている。そして、油分濃度が高い場合には、処理水タンクの処理水は、砂濾過器を介して排水されるように構成されている。また、受入れタンクの入口には、廃水中の異物やゴミを分離するストレーナが配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−309351号公報
【特許文献2】特開平10−250692号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1及び特許文献2に記載されたように、油水分離装置には、油水分離器の上流側に、比較的大きな異物(狭雑物)を除去する濾過装置(膜モジュール、ストレーナ、濾し器等)が配置されることが多い。しかしながら、かかる濾過装置の性能や個数が不十分な場合には、濾過装置や油水分離器に目詰まりが生じやすく、メンテナンス時には装置を停止しなければならず、作業効率が低下してしまうという問題があった。
【0007】
また、油水混合液の油分濃度が高い場合や濾過装置等の目詰まりを予防する場合には、油水混合液が収容されたタンク(例えば、特許文献1の原水タンクや特許文献2の受入れタンク)において、上澄みの油成分をすくい上げて除去しなければならない場合もあった。かかる作業は、一般に、作業員が行う場合が多く、油水分離の作業効率の向上が難しいという問題もあった。
【0008】
また、特許文献1に記載されたコアレッサ方式の比重差油水分離器を使用した場合や特許文献2に記載された砂濾過器を多数配置した場合には、装置が大型化する傾向にあり、バージ(台船)や台車に搭載しにくい又はバージ(台船)や台車が大型化してしまうという問題もあった。
【0009】
本発明は、上述した問題点に鑑み創案されたものであり、装置の小型化及び効率の向上を図ることができる油水分離装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、油水混合液の油成分と水成分とを分離する油水分離装置であって、前記油水混合液を収容する回収タンクと、該回収タンクから送出された前記油水混合液中の夾雑物を除去する濾過手段と、該濾過手段を通過した前記油水混合液の油成分と水成分とを分離する油水分離器と、該油水分離器により分離された油成分を回収する汚油回収タンクと、前記油水分離器により分離された水成分中の油分濃度を測定する油分濃度計と、該油分濃度計の測定結果に応じて前記油水分離器により分離された水成分の流路を廃棄又は回収に切り換える流路切換手段と、を有し、前記濾過手段は、複式に構成された油こし器と、複式に構成されたオイルフィルターと、を備える、ことを特徴とする油水分離装置が提供される。
【0011】
前記濾過手段は、前記油こし器と前記オイルフィルターとの間に配置された逆洗式水こし器と、該逆洗式水こし器の使用済み逆洗水を回収する逆洗水タンクと、を備えていてもよい。さらに、前記油こし器と前記逆洗式水こし器との間に第二油こし器が配置されていてもよい。
【0012】
前記油こし器はスクリーン式であってもよいし、前記オイルフィルターはカートリッジ式又はスピンオン式であってもよい。また、前記油水分離器はコアレッサ式であってもよい。
【0013】
前記油水分離器と前記油分濃度計との間に砂濾過器が配置されていてもよい。さらに、前記油水分離器と前記砂濾過器との間に配置された第二流路切換手段と、前記油水分離器と前記第二流路切換手段との間に配置された第二油分濃度計と、を有し、前記第二流路切換手段は、前記第二油分濃度計の測定結果に応じて前記油水分離器により分離された水成分の流路を前記砂濾過器への送流又は回収に切り換えるように構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0014】
上述した本発明に係る油水分離装置によれば、油水分離器よりも上流に配置される濾過手段を複数かつ複式に構成したことにより、油水混合液の狭雑物を事前に効果的に取り除くことができ、油水分離器の性能を維持したまま装置の小型化を図ることができる。したがって、油水分離装置をバージ(台船)や台車に搭載する場合に好都合であり、バージ(台船)や台車の小型化を図ることもできる。
【0015】
また、濾過手段を複式に構成したことにより、いずれかの流路が目詰まりを起こしたとしても、別の流路を確保することができるため、メンテナンス時に装置を停止する必要がなく、作業員が回収タンクの上澄みの油成分を除去する必要もなく、作業効率の低下を抑制することができ、油水分離の作業効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第一実施形態に係る油水分離装置の全体構成図である。
【図2】本発明の第二実施形態に係る油水分離装置の全体構成図である。
【図3】本発明の第三実施形態に係る油水分離装置の全体構成図である。
【図4】本発明の第四実施形態に係る油水分離装置の全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図1〜図4を用いて説明する。ここで、図1は、本発明の第一実施形態に係る油水分離装置の全体構成図である。
【0018】
本発明の第一実施形態に係る油水分離装置1は、図1に示したように、油水混合液の油成分と水成分とを分離する油水分離装置1であって、油水混合液を収容する回収タンク2と、回収タンク2から送出された油水混合液中の夾雑物を除去する濾過手段3と、濾過手段3を通過した油水混合液の油成分と水成分とを分離する油水分離器4と、油水分離器4により分離された油成分を回収する汚油回収タンク5と、油水分離器4により分離された水成分中の油分濃度を測定する油分濃度計6と、油分濃度計6の測定結果に応じて油水分離器4により分離された水成分の流路を廃棄又は回収に切り換える流路切換手段7と、を有し、濾過手段3は、複式に構成された油こし器31と、複式に構成されたオイルフィルター32と、を備えている。
【0019】
前記回収タンク2は、工場、船舶等から排出される油成分を含む各種排水である油水混合液を収容する。かかる油水混合液を再利用又は廃棄する場合、一般に、環境負荷の観点から、油成分を分離しなければならない。特に、潜水船の燃料タンクやタンカーのスロップタンクの処理時には、油水混合液が生じやすく、その処理液を海洋に廃棄するには規定値(例えば、5ppm)以下になるまで油成分を分離しなければならない。
【0020】
かかる回収タンク2に収容された油水混合液は、回収タンク2に接続された回収ラインL1により油水分離器4に送流される。かかる回収ラインL1には、油水混合液を移送する回収ポンプ8が配置されている。
【0021】
前記濾過手段3は、油水分離器4に送流される油水混合液中の夾雑物を除去する。濾過手段3は、例えば、油こし器31とオイルフィルター32とにより構成される。油こし器31及びオイルフィルター32は回収ラインL1に配置されており、回収ポンプ8の上流側に油こし器31が配置され、回収ポンプ8の下流側にオイルフィルター32が配置される。このように濾過手段3を多段に構成することにより、油水混合液中の夾雑物を効果的に除去することができる。また、このように濾過手段3を多段に装備することにより、各濾過手段3(油こし器31及びオイルフィルター32)に捕捉させるゴミのサイズや量を適宜分担させることができ、各濾過手段3の目詰まりによる開放掃除スパンの延長を実現することができる。
【0022】
油こし器31は、例えば、目の細かい金属製のメッシュを有するスクリーン式のこし器であり、比較的大きな夾雑物を除去する。かかる油こし器31は、ストレーナと呼ばれることもある。勿論、油こし器31は、スクリーン式に限定されるものではなく、カートリッジ式、スピンオン式、沈殿式、遠心分離式、磁力式等、種々のタイプのこし器を使用することができる。また、油こし器31は、少なくとも二つの油こし器31を並列に配置した複式に構成される。
【0023】
このように、油こし器31を複式に構成することにより、一方の油こし器31が目詰まりを起こした場合であっても、他方の油こし器31を使用することができる。すなわち、装置を停止することなく油水分離作業を継続しながら、目詰まりを起こした油こし器31の清掃を行うことができる。なお、複式の油こし器31は、複数の油こし器31を一体に構成したものであってもよいし、単体の油こし器31を並列に配置したものであってもよい。また、図示しないが、複数の油こし器31を直列に配置して多段に構成するようにしてもよい。
【0024】
オイルフィルター32は、例えば、多数の襞が形成された筒状の濾紙又は濾膜を着脱可能に構成したカートリッジをケーシング内に配置したカートリッジ式のオイルフィルターである。また、オイルフィルター32は、カートリッジ式に替えて、交換作業を容易に行うことができるスピンオン式のオイルフィルターであってもよい。その他、要求される性能や油こし器31との組合せによって、沈殿式、遠心分離式、磁力式等、種々のタイプのオイルフィルターを使用することができる。かかるオイルフィルター32によれば、油こし器31では除去できない微細な夾雑物を除去することができる。また、オイルフィルター32は、少なくとも二つのオイルフィルター32を並列に配置した複式に構成される。
【0025】
このように、オイルフィルター32を複式に構成することにより、一方のオイルフィルター32が目詰まりを起こした場合であっても、他方のオイルフィルター32を使用することができる。すなわち、装置を停止することなく油水分離作業を継続しながら、目詰まりを起こしたオイルフィルター32のフィルター交換を行うことができる。
【0026】
なお、複式のオイルフィルター32は、複数のオイルフィルター32を一体に構成したものであってもよいし、単体のオイルフィルター32を並列に配置したものであってもよい。また、図示しないが、複数のオイルフィルター32を直列に配置して多段に構成するようにしてもよい。
【0027】
前記油水分離器4は、供給された油水混合液を油成分と水成分とに分離する。ここで、油水分離器4に油水混合液を供給する回収ラインL1には、油こし器31及びオイルフィルター32が配置されており、特に、オイルフィルター32により微細な夾雑物を除去することができるため、油水分離器4における濾過性能の負担を軽減することができる。したがって、従来、一般的に使用されているコアレッサ式比重差油水分離器を使用する必要がなく、濾過性能の低い小型の油水分離器を使用することができる。
【0028】
かかる油水分離器4には、例えば、比重分離式を有しないコアレッサ式のみを採用した油水分離器を使用することができる。コアレッサ式の油水分離器4は、油水混合液を粗粒化構造体(コアレッサカートリッジ)に通過させて、油水混合液中の油成分を捕捉・凝集し、油成分と水成分とを分離する。
【0029】
また、油水分離器4により分離された油成分は、油分回収ラインL2により汚油回収タンクに送流され、油水分離器4により分離された水成分は、排水ラインL3により下流に送流される。
【0030】
前記汚油回収タンク5は、油水分離器4により分離された油成分を収容する。かかる油成分を回収するために、汚油回収タンク5又は油分回収ラインL2に汚油回収ポンプを配置するようにしていてもよい。かかる汚油回収タンク5に回収された油成分は、例えば、汚油移送ラインL4を介して系外の汚油処理施設に移送又は排出するようにしてもよい。汚油移送ラインL4には、例えば、油こし器51や移送ポンプ52が配置される。
【0031】
前記油分濃度計6は、油水分離器4により分離された水成分中の油分濃度を測定する。油分濃度計6は、排水ラインL3に配置されるプローブ61と、油分濃度を計算し流路切換手段7に所定の指示を出力する本体部62と、を有する。プローブ61は、例えば、排水ラインL3からサンプルを抽出する機能を有し、本体部62は、サンプルの成分を分析し油分濃度を計測する。油分濃度計6は、サンプル抽出式に限定されるものではなく、光学式、超音波式等、油分濃度を計測できるものであればよい。
【0032】
そして、油分濃度計6は、油分濃度が所定の規定値(例えば、5ppm)以下の場合には、排水ラインL3中の水成分を海洋等の系外に廃棄可能と判断し、流路切換手段7に対して、水成分を廃棄するように流路を切り換える信号を出力する。一方、油分濃度が所定の規定値(例えば、5ppm)より高い場合には、排水ラインL3中の水成分を海洋等の系外に廃棄不可能と判断し、流路切換手段7に対して、水成分を回収するように流路を切り換える信号を出力する。
【0033】
なお、流路切換手段7を切り換える判断となる規定値は、油水分離装置1の配置場所、油水分離の対象となる油水混合液の種類、廃棄場所等の条件によって設定されるものであり、上述した数値に限定されるものではない。
【0034】
前記流路切換手段7は、油水分離器4により分離された水成分を廃棄する流路又は回収する流路に切り換える。具体的には、流路切換手段7は三方弁であり、排水ラインL3、廃棄ラインL5及び排水回収ラインL6に接続されている。廃棄ラインL5は、海洋等の系外に水成分を廃棄する流路である。また、排水回収ラインL6は、水成分を回収タンク2に送流する流路である。流路切換手段7は、油分濃度計6の信号に基づいて、排水ラインL3を廃棄ラインL5又は排水回収ラインL6に切り換える。
【0035】
回収タンク2に収容された水成分は、再び回収ラインL1に送流され油水分離される。なお、廃棄ラインL5及び排水回収ラインL6には、それぞれ移送ポンプを配置するようにしてもよい。
【0036】
上述した本発明の第一実施形態に係る油水分離装置1によれば、油水分離器4よりも上流に配置される濾過手段3を複数(油こし器31及びオイルフィルター32)かつ複式に構成したことにより、油水混合液の狭雑物を事前に効果的に取り除くことができ、油水分離器の性能を維持したまま装置の小型化を図ることができる。したがって、油水分離装置1をバージ(台船)や台車に搭載する場合に好都合であり、バージ(台船)や台車の小型化を図ることもできる。
【0037】
また、各濾過手段3を複式に構成したことにより、いずれかの流路が目詰まりを起こしたとしても、別の流路を確保することができるため、メンテナンス時(清掃時や交換時)に装置を停止する必要がなく、作業員が回収タンク2の上澄みの油成分を除去する必要もなく、作業効率の低下を抑制することができ、油水分離の作業効率の向上を図ることができる。
【0038】
次に、本発明の第二実施形態に係る油水分離装置1について説明する。ここで、図2は、本発明の第二実施形態に係る油水分離装置の全体構成図である。なお、図1に示した第一実施形態と同じ構成部品については、同じ符号を付して重複した説明を省略する。
【0039】
図2に示した本発明の第二実施形態に係る油水分離装置1は、図1に示した第一実施形態の油水分離装置1における濾過手段3に、油こし器31とオイルフィルター32との間に配置された逆洗式水こし器33と、逆洗式水こし器33の使用済み逆洗水を回収する逆洗水タンク34と、を追加したものである。他の部分については、第一実施形態の油水分離装置1と同じ構成である。
【0040】
逆洗式水こし器33は、ノッチワイヤー、金網、パンチングメタル等により構成されるエレメントを内蔵し、回収ラインL1の上流から下流に向かって油水混合液を送流する場合には、エレメントにより夾雑物を捕捉し、一定量の夾雑物を捕捉するとエレメントに洗浄水を逆流させ、エレメントにより捕捉された夾雑物を排出する。すなわち、逆洗式水こし器33は、再生可能なこし器である。また、逆洗時には濾過機能を喪失することから、逆洗式水こし器33も複式に構成することが好ましい。逆洗式水こし器33は、複数の逆洗式水こし器33を一体に構成したものであってもよいし、単体の逆洗式水こし器33を並列に配置したものであってもよい。
【0041】
かかる逆洗式水こし器33を油こし器31とオイルフィルター32との間に配置することにより、油こし器31を通過した夾雑物をオイルフィルター32に通過させる前に除去することができ、オイルフィルター32の負担を低減することができ、カートリッジの交換作業回数を低減することができる。逆洗式水こし器33は、自動制御により濾過と洗浄を繰り返すことから、メンテナンスの手間を省力化することができる。
【0042】
エレメントを洗浄する逆洗水は、逆洗水回収ラインL7を介して逆洗水タンク34に回収される。逆洗水タンク34には、逆洗水とともに回収された夾雑物を系外に排出するためのスラッジ排出ラインL8が接続されていてもよい。スラッジ排出ラインL8は、例えば、汚油移送ラインL4に接続され、油成分と一緒に汚油処理施設等の系外に移送又は排出される。
【0043】
次に、本発明の第三実施形態に係る油水分離装置1について説明する。ここで、図3は、本発明の第三実施形態に係る油水分離装置の全体構成図である。なお、図1に示した第一実施形態及び図2に示した第二実施形態と同じ構成部品については、同じ符号を付して重複した説明を省略する。
【0044】
図3に示した本発明の第三実施形態に係る油水分離装置1は、図2に示した第二実施形態の油水分離装置1において、油こし器31と逆洗式水こし器33との間に第二油こし器35を配置したものである。より具体的には、第二油こし器35は、回収ポンプ8と逆洗式水こし器33との間に配置される。かかる第二油こし器35は、図1に示した第一実施形態の油こし器31と同様の構成を有しており、複式に構成されている。第二油こし器35をスクリーン式で構成した場合には、油こし器31よりもメッシュの細かいスクリーンを採用することが好ましい。
【0045】
かかる構成により、油こし器31を通過した夾雑物を逆洗式水こし器33に通過させる前に除去することができ、逆洗式水こし器33の負担を低減することができ、エレメントの再生間隔やメンテナンス間隔をより長くすることができ、作業効率を向上させることができる。
【0046】
最後に、本発明の第四実施形態に係る油水分離装置1について説明する。ここで、図4は、本発明の第四実施形態に係る油水分離装置の全体構成図である。なお、図1〜図3に示した第一実施形態〜第三実施形態と同じ構成部品については、同じ符号を付して重複した説明を省略する。
【0047】
図4に示した本発明の第四実施形態に係る油水分離装置1は、油水分離器4と油分濃度計6(具体的には、プローブ61)との間に砂濾過器9を配置したものである。砂濾過器9は、砂利層の上に砂層を敷いて水成分を通過させることにより不純物(主として油成分)を除去する濾過器である。かかる砂濾過器9は、油水分離器4から流路切換手段7に至る排水ラインL3に配置される。
【0048】
また、図示した油水分離装置1は、油水分離器4と砂濾過器9との間に配置された第二流路切換手段10と、油水分離器4と第二流路切換手段10との間に配置された第二油分濃度計11(具体的には、第二プローブ111)と、を有し、第二流路切換手段10は、第二油分濃度計11の測定結果に応じて油水分離器4により分離された水成分の流路を砂濾過器9への送流又は回収に切り換えるように構成されている。
【0049】
第二流路切換手段10は、具体的には、流路切換手段7と同様の三方弁であり、砂濾過器9よりも上流の排水ラインL3中に配置され、分離水回収ラインL9に接続されている。分離水回収ラインL9は、水成分を回収する排水回収ラインL6に接続され、排水回収ラインL6は、回収タンク2ではなく分離水回収タンク12に接続されている。分離水回収タンク12に回収された分離水及び排水は、分離水移送ラインL10を介して回収ラインL1に送流され、再び油水分離される。勿論、第一実施形態と同様に、分離水回収タンク12を省略して、排水回収ラインL6を回収タンク2に接続するようにしてもよい。
【0050】
そして、第二流路切換手段10は、第二油分濃度計11の信号に基づいて、排水ラインL3を砂濾過器9が配置された排水ラインL3又は分離水回収ラインL9に切り換える。
【0051】
第二油分濃度計11は、排水ラインL3に配置される第二プローブ111と、油分濃度を計算し第二流路切換手段10に所定の指示を出力する本体部62と、を有する。ここでは、油分濃度計6及び第二油分濃度計11の本体部62に共通のものを使用しているが、個別に構成するようにしてもよい。
【0052】
そして、第二油分濃度計11は、油分濃度が所定の規定値(例えば、15ppm)以下の場合には、排水ラインL3中の油成分を砂濾過器9で効果的に除去可能と判断し、第二流路切換手段10に対して、水成分を砂濾過器9に供給するように流路を排水ラインL3に切り換える信号を出力する。一方、油分濃度が所定の規定値(例えば、15ppm)より高い場合には、排水ラインL3中の油成分を砂濾過器9で効果的に除去不可能と判断し、第二流路切換手段10に対して、水成分を回収するように流路を分離水回収ラインL9に切り換える信号を出力する。
【0053】
なお、第二流路切換手段10を切り換える判断となる規定値は、砂濾過器9の性能や流路切換手段7を切り換える判断となる規定値との関係で設定されるものであり、上述した数値に限定されるものではない。
【0054】
本発明は上述した実施形態に限定されず、油水分離装置1は、バージ(台船)や台車に搭載されるものに限定されず、工場等の施設内や浮体構造物上に配置されてもよい等、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0055】
1 油水分離装置
2 回収タンク
3 濾過手段
4 油水分離器
5 汚油回収タンク
6 油分濃度計
7 流路切換手段
9 砂濾過器
10 第二流路切換手段
11 第二油分濃度計
31 油こし器
32 オイルフィルター
33 逆洗水こし器
34 逆洗水タンク
35 第二油こし器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油水混合液の油成分と水成分とを分離する油水分離装置であって、
前記油水混合液を収容する回収タンクと、
該回収タンクから送出された前記油水混合液中の夾雑物を除去する濾過手段と、
該濾過手段を通過した前記油水混合液の油成分と水成分とを分離する油水分離器と、
該油水分離器により分離された油成分を回収する汚油回収タンクと、
前記油水分離器により分離された水成分中の油分濃度を測定する油分濃度計と、
該油分濃度計の測定結果に応じて前記油水分離器により分離された水成分の流路を廃棄又は回収に切り換える流路切換手段と、を有し、
前記濾過手段は、複式に構成された油こし器と、複式に構成されたオイルフィルターと、を備える、
ことを特徴とする油水分離装置。
【請求項2】
前記濾過手段は、前記油こし器と前記オイルフィルターとの間に配置された逆洗式水こし器と、該逆洗式水こし器の使用済み逆洗水を回収する逆洗水タンクと、を備える、ことを特徴とする請求項1に記載の油水分離装置。
【請求項3】
前記油こし器と前記逆洗式水こし器との間に第二油こし器が配置されている、ことを特徴とする請求項2に記載の油水分離装置。
【請求項4】
前記油こし器はスクリーン式であり、前記オイルフィルターはカートリッジ式又はスピンオン式である、ことを特徴とする請求項1に記載の油水分離装置。
【請求項5】
前記油水分離器はコアレッサ式である、ことを特徴とする請求項1に記載の油水分離装置。
【請求項6】
前記油水分離器と前記油分濃度計との間に砂濾過器が配置されている、ことを特徴とする請求項1に記載の油水分離装置。
【請求項7】
前記油水分離器と前記砂濾過器との間に配置された第二流路切換手段と、前記油水分離器と前記第二流路切換手段との間に配置された第二油分濃度計と、を有し、前記第二流路切換手段は、前記第二油分濃度計の測定結果に応じて前記油水分離器により分離された水成分の流路を前記砂濾過器への送流又は回収に切り換えるように構成されている、ことを特徴とする請求項6に記載の油水分離装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−205987(P2012−205987A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72498(P2011−72498)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(502422351)株式会社アイ・エイチ・アイ マリンユナイテッド (159)
【Fターム(参考)】