説明

油量計

【課題】
プリズム板の反射角度を工夫し、表示板と反射板の色の差異が明確になる色の組合せを採用することにより、暗い場所でも燃料量を確認でき、しかも燃料が有る時と空量の時の色の変化を確実に認識できるような給油タンクの油量計を提供することを目的としている。
【解決手段】
注油口の近傍に、パッキン5により密封される油量計1を設けた給油タンクにおいて、前記油量計1は、プリズム板2を備え、このプリズム板2は、V字状の反射面21を備え、この反射面21に対向して表示板3を備え、前記プリズム板2と前記表示板3とを覆うように反射板4を備えるよう構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、石油ファンヒーターや石油ストーブ等の石油燃焼機器に使用される給油タンクの油量計に関するものである。詳しくは、全反射を利用するプリズムを採用することにより、暗い場所でも燃料の量を確認でき、しかも燃料の有無を確実に確認できるような油量計に関する。
【背景技術】
【0002】
代表的な石油ストーブを図1に示す。図示のように、石油ストーブ61には本体ケーシングにより形成された空間が設けられ、この空間に給油タンク62が収納される。そして、この給油ンク62の底部には、燃料の注油口に相当する箇所に注油口金キャップ63を備え、かつ、この注油口金キャップ63の内部に流出孔64を備える。この流出孔64は、内部に設けたバネ66によって給油タンク62の燃料が外部に流れ出ないように注油口金キャップ63の底を閉じている。即ち、流出孔64は、常時バネ66の力で底部へ向けて付勢される逆支弁である。注油口金キャップ63の下方に油受け65が位置する。そして、上方の流出孔64に位置が一致するように油受け25の底部から突き出しピン67が直立する。この突き出しピン67がバネの力に抗して流出孔64を上方へ突き上げるので、注油口金キャップ63の底部に隙間が形成されて燃料が油受け65から固定タンク68へ流出する。
【0003】
そして、燃料の補給は給油タンク62により行い、注油口金キャップ63を取り外して給油を行い、満量となった給油タンク62を転倒して石油ストーブ61内に装着し、固定タンク67へ燃料を供給するものである。
【0004】
この給油タンク62は、注油口金キャップ63を上にした給油位置において、給油タンク62の上部に油量計1を設ける。油量計1は、給油タンク62の上部に縦長の透孔を設け、この透孔にプリズム板である透明部材をパッキンを介して給油タンク62にネジ固定したものである。そして、プリズム板から直接液面を確認するものである。
【0005】
一般に、上記した油量計1は、液面の確認をし易いように全反射を利用するプリズム板を採用している。給油タンク62が空量の時はプリズム板に入射した光が内部で反射して外部へ出てくるからプリズム板が明るくなり、一方、プリズム板の内面に燃料が浸透してくるとプリズム板に入射した光を反射できず、プリズム板が暗くなって満量を知るものである。
【0006】
一方、石油ファンヒータ、石油ストーブ等に使用されるカートリッジタンクの油量計に関する考案が、先に開示されている(特許文献1)。
【0007】
【特許文献1】実開平2−54028号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の油量計には、次のような問題点があった。給油タンク62に給油する際、その場所の多くが電灯のない部屋や物置の片隅等の暗い場所で行なうことが多く、燃料の満量の確認を行なうことが困難である。そして、給油タンク62の満量を確認するための油量計は、プリズム板に入射する光を利用しているから、薄暗いところで給油する時は懐中電灯等の光源を用意しなければならず、このようなプリズム型の油量計によって満量の確認を行なうことは非常に困難で、しばしば給油口から燃料を溢れさせることにも成りかねない。
【0009】
第二に、油量計のプリズム板の対向部に蛍光あるいは蓄光性を有する材料を使用し、暗い場所でも燃料量を確認でき、しかも燃料が有る時と空量時に色を変わる油量計もあるが、燃料を入れた時と空量の時の色の変化が少ないため、満量の確認を行なうことは困難であった。
【0010】
そこで、本発明の油量計は、このような従来の油量計の持つ問題点を解決するためになされたもので、プリズム板の反射面の角度を工夫し、表示板と反射板の色の差異が明確になる色の組合せを採用することにより、暗い場所でも燃料量を確認でき、しかも燃料が有る時と空量の時の色の変化を確実に確認できるような給油タンク62の油量計を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、注油口の近傍に、パッキン5により密封される油量計1を設けた給油タンクにおいて、前記油量計1は、プリズム板2を備え、このプリズム板2は、V字状の反射面21を備え、この反射面21に対向して表示板3を備え、前記プリズム板2と前記表示板3とを覆うように反射板4を備える構成としたことを特徴とする。
【0012】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明の上記特徴に加えて、前記反射板4の側部41は、インサート射出成形によりパッキン5に形成される立上り部51から構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
第一の発明は、プリズム板の反射面の角度を工夫し、表示板と反射板の色の差異が明確になる色の組合せを採用することにより、暗い場所でも燃料量を確認でき、しかも燃料が有る時と空量の時の色の変化を確実に確認できる。従って、給油口から燃料を溢れさせることがない。
【0014】
また、第二の発明は、パッキン部をインサート成形する際に同時に反射板の側部が形成されるので、鉄、アルミニューム、耐油性樹脂等の薄板製の反射板に色を塗装する必要がない。従って、油量計の製造コストを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の実施の形態を、添付図面に例示した本発明の実施例に基づいて以下に具体的に説明する。
【実施例】
【0016】
本発明の実施例について、図2〜図9を参照しながら説明する。図2は、本発明の実施例に係る油量計の外観を示す説明図である。図3は、本発明の実施例に係る油量計を裏側から見た構造図である。図4は、同上、油量計のプリズム板を裏側から見た斜視図である。図5は、同上、プリズム板の反射面の詳細斜視図である。図6は、同上、表示板の斜視図である。図7は、同上、反射板の斜視図である。図8は、同上、パッキンの斜視図である。図9は、油量計の横断面の模式図である。
【0017】
給油タンク62は、注油口金キャップを上にした給油位置において、給油タンク62の上部に油量計1を設ける。油量計1は、給油タンク62の上部に透孔を設け、この透孔をプリズム板によって封鎖して透視タイプの透孔を構成しており、注油口金キャップ63を外して給油を行い、プリズム板から直接液面を確認することは、上記したものと同様である。
【0018】
油量計1の給油タンク62に燃料が入っている部分は、図2の斜線部12のように、給油タンク62の内方に設けられている表示板3の色で、例えば赤色が外から確認できる。燃料が入ってない部分は、図3の中央部13のようにプリズム板2の反射光によりその部分が例えば白色に光って見える。
【0019】
図3は、油量計1を裏側から見た構造図であり、油量計1は、プリズム板2、表示板3、反射板4、パッキン5から構成される。プリズム板2は、手前が裏側で給油タンク62の燃料側になる。この裏側面の上下のリブ24に孔25を備え、この孔25に表示板3の両端の突起31を挿入、固着する。そして、図3、図9に示すように、この表示板3を反射板4により覆い、この時反射板4の固定孔43を表示板3の固定突起32に位置合わせをする。ついで、これらプリズム板2、表示板3、反射板4の三体の組立状態を金型に挿入し、インサート射出成形して樹脂を流し込むことにより、図3に示すパッキン5が形成される。なお、図8に、パッキン5のみを取り出し模式的示す。なお、油量計1は給油時の給油タンク62の上部に位置して形成した透孔に合わせて、図2の四箇所のネジ孔26を介して、裏側面を給油タンク62に密着固定する。この場合パッキン5は、プリズム板2を給油タンク62の透孔に密着するためのシール材となる。
【0020】
プリズム板2は、透明の耐油性の樹脂製で、全反射を利用するプリズムを採用している。図5および図9に示すように、表側に横断面が円弧状の入射面22、裏側にV字状の反射面21を備える。
【0021】
表示板3は、蛍光を発する化合物染料あるいは顔料を含有するもので、近紫外部の光を吸収して暗い場所で蛍光を発する。図3および図9に示すように、表示板3はプリズム板2の反射面21に対向して配置される。また、反射板4は、鉄、アルミニューム、耐油性樹脂等の薄板製の反射板の地そのままを利用する場合、あるいは両側の側部41の内周面および底部42の内周面に乱反射物質を塗装する場合がある。もしくは、インサート射出成形する際に、図9に示すように形成される樹脂の立上り部51が反射板4の機能をする。
【0022】
以上のように構成され、次に作用について説明する。
【0023】
プリズム板2は、図に示すように反射面21はV字状であり、その反射面21が挟む角度を50度〜80度の範囲とすることにより、燃料の満量あるいは空量を確認するうえで、色の差異が明確に生じる。さらには60度〜70度の範囲が好ましい。
【0024】
表示板3は、蛍光を発する染料あるいは顔料を含有する耐油性の樹脂製である。後述する反射板4の塗装色との兼ね合いで色を選択する。実施例では、表示板3を赤色とし、反射板4の内周面を白色とすることにより、赤と白のツートンカラーが形成され、燃料が有る場合と空量の場合との色の差異が明瞭となり識別効果がある。燃料が有る時と空量の時の色調の差異を明確にするために、赤と白の組合せが良いが、識別効果があれば他の色の組合せでももちろん構わない。
【0025】
反射板4としての実施例は、三つの方法がある。一つの方法として、鉄、アルミニューム、耐油性樹脂等の薄板を曲げ、そのまま反射板として使用する。二つ目の方法は、反射板の内周面にガラスビーズを含む塗装を施したものである。ガラスビーズは、光が当たった時に乱反射する効果があり、例えば白色を明瞭に認識することが可能である。三つ目の方法は、後述するパッキン5をインサート射出成形する際に、形成される立上り部51(図9に示す)が反射板4の塗装色としての機能をする。なお、図9に示す斜線部はパッキン5の部分である。
【0026】
パッキン5は、上述したように給油タンク22の燃料が外に漏れでないようにするため、給油タンク6と油量計1とを密封する機能を有し、馬蹄形状に一周する内シール52が給油タンク6の燃料側に形成され、給油タンク22に密着して燃料漏れを防ぐ。耐油性の 樹脂を使用する。一方、内シール52の反対側の面に外シール53が形成され、図2に示す油量計の固定部材11の内周面に密着して油量計1からの燃料漏れを防ぐ。以上は、パッキン5のシールの機能を説明したが、他に、前述したように、パッキン5は反射板としての機能を有する。即ち、インサート射出成形の際に、図8に示す立上り部51が、図9に示すようにプリズム板2の側面23に沿って形成され、これが反射板の塗装色としての機能を有する。色は白色が好ましいが、表示板3の色との組合せで色の差異が明確になるような組合せであればよい。なお、立上り部51は、プリズム板2、表示板3と反射板4の三体の組立状態を金型に挿入し、インサート射出成形して樹脂を流し込む際に形成される。
【0027】
以上、油量計の構成と作用を説明したので、次に燃料の満量、空量の時の色の発光機構について説明する。給油タンク62の油量計1の位置に対応する透孔を封鎖する透明体にプリズム板2を用いたから、プリズム板2の内面が燃料で満たされた時は全反射せずに光が給油タンク62内に透過し、燃料が空量の時にはプリズム板2の反射面で光が全反射するものであり、光の反射状況によって燃料の有無の確認ができる。
【0028】
図9に示すように、プリズム板2はV字状に両側に開いて反射面21を形成し、表示板3は、プリズム板2の反射面21と対向する。そして、表示板3を覆うように反射板4が配設される。あるいは、パッキン5の立上り部51が反射板4の塗装色としての機能をする場合もある。このように、油量計の発光体系が構成されるので、給油タンク62の内方側で燃料の空量時にプリズム板2に入射する光が遮断され、反射板4の内周面あるいはパッキン5の立上り部51の白色を、油量計の外から確認できる。燃料の満量時は、プリズム板2の内面が燃料で満たされるので光がプリズム板2の反射面21で反射せずに給油タンク62内に透過するので、それが表示板3に衝突して反射され逆進し、表示板3の赤色を油量計の外から確認できる。このようにして、燃料の満量時は赤、空量時は白色を表示し、これらの色の差異が大きいので燃料の有無の確認が容易である。
【0029】
なお、表示板3は、蛍光を発する染料あるいは顔料を含有するので暗い場所での色の確認が容易である。また、反射板4は、鉄、アルミニューム、耐油性樹脂等の薄板製の反射板の地そのままの色、あるいは、これ等の内周面にガラスビーズを塗装して乱反射させるものでも良い。また、パッキン5の立上り部51の樹脂の色を利用しても良い。製造コストの面からは、鉄、アルミニューム、耐油性樹脂等の薄板製の反射板の地をそのまま利用する方法、パッキン5の立上り部51を利用する方法が安価に油量計を製作することができる。燃料の満量と空量時の色の識別を容易にする点からいえば薄板製の反射板の内周面にガラスビーズを塗装して乱反射させるものがベストな方法である。
【産業上の利用可能性】
【0030】
なお、本発明の使途は、石油ファンヒーターや石油ストーブ等の石油燃焼機器に使用される給油タンクあるいはカートリッジタンクの油量計に限るものではなく、車両用、農業用、船舶等の油量計の用途にも拡大可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】石油ストーブにおける燃料タンクと油量計との関係を示す説明図である。
【図2】本発明の実施例に係る油量計の外観を示す説明図である。
【図3】本発明の実施例に係る油量計を裏側から見た構造図である。
【図4】同上、プリズム板を裏側から見た斜視図である。
【図5】同上、プリズム板の反射面の詳細斜視図である。
【図6】同上、表示板の斜視図である。
【図7】同上、反射板の斜視図である。
【図8】同上、パッキンの斜視図である。
【図9】同上、油量計の横断面の模式図である。
【符号の説明】
【0032】
1 油量計
11 固定部材
12 斜線部
13 中央部
2 プリズム板
21 反射面
22 入射面
23 側面
24 リブ
25 孔
26 ネジ孔
3 表示板
31 突起
32 固定突起
4 反射板
41 側部
42 底部
43 固定孔
5 パッキン
51 立上り部
52 内シール部
53 外シール部
61 石油ストーブ
62 給油タンク
63 注油口金キャップ
64 流出孔
65 燃料受け
66 バネ
67 突き出しピン
68 固定タンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
注油口の近傍に、パッキン5により密封される油量計1を設けた給油タンクにおいて、
前記油量計1は、プリズム板2を備え、
このプリズム板2は、V字状の反射面21を備え、
この反射面21に対向して表示板3を備え、
前記プリズム板2と前記表示板3とを覆うように反射板4を備える構成としたことを特徴とする油量計。
【請求項2】
前記反射板4の側部41は、インサート射出成形によりパッキン5に形成される立上り部51から構成されることを特徴とする請求項1記載の油量計。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−64426(P2006−64426A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−244615(P2004−244615)
【出願日】平成16年8月25日(2004.8.25)
【出願人】(593212426)株式会社日豊製作所 (6)
【Fターム(参考)】