治療剤の送達のための経口投薬形態
【課題】経口投与される薬物適用の従来の自己投与に代わり得る経口投薬形態を提供すること。
【解決手段】少なくとも1つの治療剤を含有する内部コア;および
該内部コアの少なくとも一部分に配置された少なくとも1つの機械的ファスナー、
を備える、経口投薬形態。一つの実施形態において、前記内部コアは、前記少なくとも1つの治療剤の即時放出を提供する。別の実施形態において、前記内部コアは、前記少なくとも1つの治療剤の放出を遅延させる。
【解決手段】少なくとも1つの治療剤を含有する内部コア;および
該内部コアの少なくとも一部分に配置された少なくとも1つの機械的ファスナー、
を備える、経口投薬形態。一つの実施形態において、前記内部コアは、前記少なくとも1つの治療剤の即時放出を提供する。別の実施形態において、前記内部コアは、前記少なくとも1つの治療剤の放出を遅延させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、2009年11月20日に出願された米国仮出願番号61/262,963の利益および優先権を主張する。この米国仮出願の全開示は、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(技術分野)
本開示は、一般に、治療剤の送達に関し、そしてより特定すると、内部コア、治療剤、および胃腸管の組織と係合するための機械的ファスナーを備える、治療剤の送達のための経口投薬形態に関する。
【背景技術】
【0003】
経口投薬形態の自己投与はしばしば、非コンプライアンスの問題を伴い得る。いく人かの患者は、特定の投薬形態の味または感触が好きではないかもしれない一方で、他の患者は単に、経口投与治療剤を適切な時間に服用することを忘れるかもしれない。
【0004】
研究は、適切な薬物適用が処方されている患者のうちの約半分が、処置に対する不充分な指標遵守度に起因して、充分な利益を受けないことを示唆する。長期間の治療に対する乏しい指標遵守度の結果としては、損なわれた処置、乏しい健康上の結果、および増大した健康管理費用が挙げられ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
経口投与される薬物適用の従来の自己投与に代わり得る経口投薬形態を提供することが有利である。頻度が少ない自己投与を必要とする経口投薬形態は、コンプライアンスを改善し得、これによって、処置の選択肢および健康上の結果を改善し得、一方で、健康管理費用を減少させ得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
少なくとも1つの治療剤を含有する内部コア;および
該内部コアの少なくとも一部分に配置された少なくとも1つの機械的ファスナー、
を備える、経口投薬形態。
(項目2)
前記内部コアが、前記少なくとも1つの治療剤の即時放出を提供する、上記項目に記載の経口投薬形態。
(項目3)
前記内部コアが、前記少なくとも1つの治療剤の放出を遅延させる、上記項目のうちのいずれかに記載の経口投薬形態。
(項目4)
前記内部コアが、前記少なくとも1つの治療剤の放出を持続させる、上記項目のうちのいずれかに記載の経口投薬形態。
(項目5)
前記少なくとも1つの機械的ファスナーが、少なくとも1つのフィラメントを備える、上記項目のうちのいずれかに記載の経口投薬形態。
(項目6)
前記少なくとも1つの機械的ファスナーが、ループ、棘、V字型フィラメント、フック型フィラメント、ナップ付きフィラメント、まっすぐなフィラメント、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、上記項目のうちのいずれかに記載の経口投薬形態。
(項目7)
前記少なくとも1つのフィラメントが第一の位置および第二の位置を有する、上記項目のうちのいずれかに記載の経口投薬形態。
(項目8)
前記少なくとも1つのフィラメントの前記第一の位置が、通常把持しない位置である、上記項目のうちのいずれかに記載の経口投薬形態。
(項目9)
前記少なくとも1つのフィラメントの前記第二の位置が、通常組織を把持する位置である、上記項目のうちのいずれかに記載の経口投薬形態。
(項目10)
前記少なくとも1つの機械的ファスナーが、形状記憶材料から作製されている、上記項目のうちのいずれかに記載の経口投薬形態。
(項目11)
前記形状記憶材料が、形状記憶ポリマー、形状記憶合金およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、上記項目のうちのいずれかに記載の経口投薬形態。
(項目12)
前記投薬形態が、丸剤、錠剤、カプセル剤、カプレット、カシェ剤および小丸剤からなる群より選択される、上記項目のうちのいずれかに記載の経口投薬形態。
(項目13)
前記少なくとも1つの機械的ファスナーを取り囲む外側保護層をさらに備える、上記項目のうちのいずれかに記載の経口投薬形態。
(項目14)
前記外側保護層が、前記機械的ファスナーの露出を遅延させる、上記項目のうちのいずれかにに記載の経口投薬形態。
(項目15)
前記外側保護層が、少なくとも1つの治療剤をさらに含有する、上記項目のうちのいずれかにに記載の経口投薬形態。
(項目16)
複数の内部コアであって、各内部コアが少なくとも1つの治療剤を含有し、そして該複数の内部コアのうちの少なくとも1つの少なくとも一部分に配置された、複数の機械的ファスナーを有する、複数の内部コア;および
該複数の機械的ファスナーを取り囲む第一の外側保護層、
を備える、上記項目のうちのいずれかに記載の経口投薬形態。
(項目17)
第二の外側保護層であって、前記複数の機械的ファスナーの少なくとも一部分、および前記第一の外側保護層の少なくとも一部分を取り囲む、第二の外側保護層、
を備える、上記項目のうちのいずれかにに記載の経口投薬形態。
(項目18)
哺乳動物患者の胃腸管の一部分に治療剤を送達するためのシステムであって、
経口投薬形態を備え、該経口投薬形態は、少なくとも1つの治療剤を含有する内部コアを備え、そして該胃腸管の組織と係合するための少なくとも1つの機械的ファスナーを有し、保護層が、該少なくとも1つの機械的ファスナーを取り囲んでおり;該少なくとも1つの機械的ファスナーは、該胃腸管の一部分の内側で露出するように構成されており;該内部コアは、該少なくとも1つの治療剤を放出するように構成されている、
システム。
(項目19)
少なくとも1つの治療剤を含有する内部コア;および
該内部コアの少なくとも一部分に配置された少なくとも1つの機械的ファスナーであって、該機械的ファスナーは、第一の非把持位置と第二の組織把持位置との間で移行可能である、機械的ファスナー、
を備える、経口投薬形態。
(項目20)
哺乳動物患者の胃腸管の一部分に治療剤を送達する方法であって、
経口投薬形態を投与する工程であって、該経口投薬形態は、少なくとも1つの治療剤を含有する内部コアを備え、そして該胃腸管の組織と係合するための少なくとも1つの機械的ファスナーを有し、保護層が、該少なくとも1つの機械的ファスナーを取り囲んでいる、工程;
該少なくとも1つの機械的ファスナーを該胃腸管の一部分の内側で露出させる工程;
該経口投薬形態を該胃腸管の組織に付着させる工程;ならびに
該少なくとも1つの治療剤を放出する工程、
を包含する、方法。
【0007】
(摘要)
治療剤の送達のための経口投薬形態は、胃腸管の組織と係合するための機械的ファスナーを備える。
【0008】
(要旨)
本開示に従う経口投薬形態は、胃腸管の組織と係合し、そしてこの胃腸管における経口投薬形態の活性を延長することによって、治療剤の送達を持続し得る。これらの経口投薬形態は、少なくとも1つの内部コアおよび少なくとも1つの機械的ファスナーを備える。この内部コアは、少なくとも1つの治療剤を含有する。この機械的ファスナーは、この内部コアの少なくとも一部分に配置され、この投薬形態に、胃腸管の組織と係合する能力を提供する。
【0009】
ある実施形態において、これらの機械的ファスナーは、この内部コアの少なくとも一部分に配置され得、ここでこの機械的ファスナーは、第一の非把持位置と第二の組織把持位置との間での移行が可能である。
【0010】
特定の実施形態において、これらの経口投薬形態は、外側保護層をさらに備え、この外側保護層は、これらの機械的ファスナーの少なくとも一部分を覆う。ある実施形態において、この外側保護層は、これらの機械的ファスナーを完全に取り囲み得る。他の実施形態において、この外側保護層は、この内部コアを完全に取り囲む。
【0011】
他の実施形態において、この経口投薬形態は、複数の内部コアを備え、各内部コアが1つの治療剤を含有する。これらの実施形態に従う投薬形態は、これらの複数の内部コアの各々の少なくとも一部分に配置された複数の機械的ファスナー、およびこれらの機械的ファスナーを取り囲む少なくとも1つの外側保護層を備える。
【0012】
なお他の実施形態において、本開示に従って、経口投薬形態は、複数の内部コアを備え、これらの内部コアが治療剤を含有し、そして各々が複数の機械的ファスナーを有し、そして第一の外側保護層が、これらの複数の内部コアのうちの少なくとも1つの機械的ファスナーのうちの少なくとも1つを取り囲む。これらの実施形態に従う投薬形態は、第二の外側保護層をさらに備え、この第二の外側保護層は、この第一の外側保護層と、これらの複数の内部コアのうちの少なくとも1つとを取り囲む。
【0013】
治療剤を送達するための方法もまた開示される。
【0014】
本開示の種々の実施形態が、選択された実施形態および添付の図面と組み合わせて、以下でより詳細に議論される。
【発明の効果】
【0015】
経口投与される薬物適用の従来の自己投与に代わり得る経口投薬形態を提供すること。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本開示による経口投薬形態の1つの実施形態の斜視図を示す。
【図2】図2は、本開示による経口投薬形態の別の実施形態の斜視図を示す。
【図3】図3は、本開示による経口投薬形態のさらに別の実施形態の斜視図を示す。
【図4A】図4Aは、本開示による経口投薬形態のなお別の実施形態の斜視図を示す。
【図4B】図4Bは、図4Aに示される経口投薬形態の断面図を示す。
【図4C】図4Cは、本開示による経口投薬形態のなお別の実施形態の斜視図を示す。
【図5A】図5Aは、本開示による経口投薬形態のなお別の実施形態の側面図を示す。
【図5B】図5Bは、本開示による経口投薬形態のなお別の実施形態の側面図を示す。
【図6A】図6Aは、経口投薬形態が本開示による錠剤である1つの実施形態の斜視図を示す。
【図6B】図6Bは、経口投薬形態が本開示によるカプセル剤である1つの実施形態の側面図を示す。
【図7】図7は、本開示による経口投薬形態の別の実施形態の側面図を示す。
【図8】図8は、本開示による経口投薬形態のなお別の実施形態の側面図を示す。
【図9】図9は、本開示による経口投薬形態のさらに別の実施形態の斜視図を示す。
【図10A】図10A〜図10Dは、経口治療剤を機械的に固定し送達する順序を示す。
【図10B】図10A〜図10Dは、経口治療剤を機械的に固定し送達する順序を示す。
【図10C】図10A〜図10Dは、経口治療剤を機械的に固定し送達する順序を示す。
【図10D】図10A〜図10Dは、経口治療剤を機械的に固定し送達する順序を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示に従う経口投薬形態は、内部コア、および胃腸管に沿った組織と係合するための少なくとも1つの機械的ファスナーを備える。この内部コアは、少なくとも1つの治療剤を含有する。この少なくとも1つの機械的ファスナーは、この内部コアの一部分に配置される。ある実施形態において、この経口投薬形態は、外側保護層をさらに備え得、この外側保護層は、この少なくとも1つの機械的ファスナーを取り囲む。さらに他の実施形態において、これらの経口投薬形態は、1つより多くの外側保護層を備え得る。
【0018】
いくつかの実施形態において、本明細書中に記載される経口投薬形態は、胃腸管の任意の部分(口腔、食道、胃、十二指腸、空腸、回腸、大腸、S状結腸、直腸、および肛門が挙げられる)に沿って分解するように設計され得る。用語「分解」とは、胃腸管の内側での経口投薬形態の分解をいい、そして他の類似の用語(例えば、溶解、腐食、吸収、崩壊など)を包含することを意図される。本明細書中で議論される他の実施形態において、経口投薬形態は、治療剤を放出し得、引き続いて胃腸管から分離し得、そして自然の経路を介して身体から排出される。
【0019】
本明細書中に記載される経口投薬形態は、この投薬形態の外側表面から内部コアの中心に向かって内向きに分解し得る。しかし、ある実施形態において、本発明の経口投薬形態は、徐放性処方物(例えば、浸透圧ポンプ)を提供し、そしてこれらの経口投薬形態は、微細な穴を備え得、この穴は、この経口投薬形態が内側から外向きに経時的にゆっくりと分解することを可能にし、これによって、治療剤をこの内部コアの内側からこの穴を通して外向きに通過させる。
【0020】
これらの経口投薬形態は、内部コアを備え、この内部コアは、この治療剤の開始および放出特徴を制御し得る。この内部コアは、即時放出、遅延放出、徐放、または放出プロフィールの任意の組み合わせによって、治療剤を送達し得る。
【0021】
「即時」放出および「遅延」放出とは、治療剤の投与に関連する放出の開始をいう。「即時」とは、投与後比較的短い時間(例えば、数分以下)以内で開始する治療剤の放出をいう。「遅延」とは、投与後のある程度の期間(例えば、遅滞時間であり、代表的に、比較的長い期間(例えば、1時間より長時間))延期され得、その後に開始または誘発され得る、治療剤の放出をいう。
【0022】
「持続」とは、進行中の放出の期間をいい、そして用量放出プロフィールの形状がどのようなものであれ、治療剤の送達が最初の開始後の延長された期間(代表的に、1時間より長時間)にわたって進行する(連続するかまたは持続される)ことを意味する。例えば、治療剤の放出は、ある比較的長い期間(すなわち、1週間、1ヶ月、1年)にわたって、最大値と最小値(0より大きい)との間で持続され得る。この放出は、一定の用量においてであり得るか、または経時的に減少もしくは漸減する用量においてであり得る。
【0023】
内部コアは、コアシードまたはマトリックスであり得る。コアシードは、糖球(微結晶セルロースから作製された球)および任意の適切な薬物結晶であり得る。例示的な内部コアは、糖コアを含み得る。例示的なマトリクスとしては、親水性マトリックスが挙げられる。親水性マトリックスを形成するために有用な材料のいくつかの非限定的な例としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(ビニルアルコール)、キサンタンガム、カルボマー、カラゲナンおよびズーグラン(zooglan)が挙げられる。他の類似の親水性ポリマーもまた使用され得る。
【0024】
いくつかの実施形態において、内部コアは、治療剤の即時放出を可能にする材料を含有し得る。治療剤の即時放出は、当業者に公知である種々の方法のうちのいずれかを使用して、内部コアから起こり得る。例えば、内部コアは、非常に薄い層、または非常に水溶性である材料、またはその薄さにより胃液が急激に浸透し、治療剤の迅速な浸出を可能にする材料のコーティングを備え得る。別の例としては、胃液中で迅速に溶解してこの材料が溶解するにつれて治療剤を放出する、支持結合剤または他の不活性材料を含む混合物中に、治療剤を組み込むことによってであり得る。第三の例としては、胃液との接触の際に迅速に崩壊して、材料と治療剤との両方が小粒子として流体中に急激に分散する、支持結合剤または他の不活性材料の使用が挙げられ得る。迅速に崩壊し分散する材料の例は、ラクトースおよび微結晶セルロースである。懸濁剤および結合剤の例は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
【0025】
他の実施形態において、この内部コアは、治療剤の放出を遅延させるために適切な材料(例えば、腸溶マトリックスおよび/または腸溶コーティングを形成する際に使用される材料)を含有し得る。治療剤の遅延放出のための腸溶マトリックスまたは腸溶コーティングは、pH依存性であってもpH非依存性であってもよい。ある実施形態において、腸溶コーティングは、胃内で内部コアを保護し得、一方で、内部コアおよび治療剤の曝露または吸収のために大腸または小腸内で分解し得る。pH依存性である腸溶マトリックスまたは腸溶コーティングは、既知のpH範囲内で活性化して治療剤を放出し得、このpH範囲は、代表的に、遅延放出が望まれる環境の局所pHと一致する。例示的なpH依存性コーティングは、酢酸フタル酸セルロース、酢酸トリメリト酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸フタル酸ポリビニル、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルエチルセルロース、共重合したメタクリル酸/メタクリル酸メチルエステルなどの材料を含有し得る。これらの材料のうちのいくつかはまた、商標名EUDRAGIT(登録商標)L12.5、L100、またはEUDRAGIT(登録商標)S12.5、S100のもとで公知であり得るか、あるいは腸溶コーティングを得るために使用される類似の化合物であり得る。水性コロイド状ポリマー分散物または再分散物(例えば、EUDRAGIT(登録商標)L30D−55、EUDRAGIT(登録商標)L100−55、EUDRAGIT(登録商標)S100、EUDRAGIT(登録商標)調製物4110D(Rohm Pharma);AQUATERIC(登録商標)、AQUACOAT(登録商標)CPD30(FMC);KOLLICOAT MAE(登録商標)30Dおよび30DP(BASF);EASTACRYL(登録商標)30D(Eastman Chemical))もまた適用され得る。
【0026】
pH依存性のコーティングまたはマトリックスは、既知のpH範囲内で活性化せずに治療剤を放出する材料を含有する。いくつかの実施形態において、pH非依存性コーティングとしては、腸管細菌におけるアゾレダクターゼによる酵素活性化を受けやすくあり得る材料(例えば、アゾポリマー)、または結腸内のポリサッカリダーゼ(polysaccharidase)による分解を受けやすい材料(例えば、天然多糖類)が挙げられる。アゾポリマーの非限定的な例としては、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA)とメタクリル酸メチル(MMA)とのコポリマーが挙げられる。天然多糖類の非限定的な例としては、アミロース、キトサン、コンドロイチン、デキストラン、およびキシランが挙げられる。
【0027】
さらに他の実施形態において、この内部コアは、治療剤の徐放のために適切な材料を含有し得る。適切な材料のいくつかの例としては、徐放コーティング、徐放マトリックス、および徐放浸透圧系が挙げられるが、これらに限定されることは意図されない。徐放コーティングは、水不溶性ポリマー、水不溶性ポリマーの組み合わせ、または水不溶性ポリマーと水溶性ポリマーとの組み合わせを使用して調製され得る。処方の分野の当業者に周知である従来の徐放性ポリマーが、徐放マトリックスのために使用され得る。
【0028】
例示的な徐放性マトリックスおよび/または徐放性コーティングとしては、ポリ酢酸ビニル、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、エチルセルロース、脂肪酸およびそのエステル、アルキルアルコール、蝋、セレシン、カゼイン、パラフィン、ゼラチン−ホルムアルデヒド、ケラチン、グルテン、ゼイン(トウモロコシ由来のプロラミン)、ならびに水性ポリマー分散物(例えば、EUDRAGIT(登録商標)RSおよびRL30D、EUDRAGIT(登録商標)NE30D、AQUACOAT(登録商標)、SURELEASE(登録商標)、KOLLICOAT(登録商標)SR30D、および酢酸セルロースラテックス)が挙げられ得る。
【0029】
用語「経口投薬形態」とは、口腔を介した投与または消費を意図された、少なくとも1つの治療剤の物理的形態をいう。経口投薬形態のいくつかの通常の非限定的な例としては、丸剤、錠剤、カプセル剤、カシェ剤、小丸剤、またはカプレットが挙げられる。本明細書中に記載される経口投薬形態の各々は、少なくとも1つの治療剤を含有する少なくとも1つの内部コア、およびこの内部コアの一部分に配置された少なくとも1つの機械的ファスナーを備える。
【0030】
ある実施形態において、これらの経口投薬形態は、複数の内部コアを備え得る。このような実施形態において、各内部コアは、少なくとも1つの治療剤を含有し得る。いくつかの実施形態において、各内部コアは、異なる治療剤を含有し得る。さらに他の実施形態において、各内部コアは、同じ治療剤を含有し得る。この治療剤は、各内部コアにおいて、等しい量で使用されても異なる量で使用されてもよい。
【0031】
用語「治療剤」とは、本明細書中で使用される場合、その最も広い意味で使用され、そして臨床用途を提供する任意の物質または物質混合物を包含する。治療剤は、治療効果または予防効果を提供する任意の薬剤、組織成長、細胞成長、細胞分化に影響を与えるかまたは関与する化合物、生物学的作用(例えば、免疫応答)を惹起することが可能であり得る化合物であり得るか、あるいは1つ以上の生物学的プロセスにおいて他の任意の役割を果たし得る。
【0032】
本開示に従って利用され得る治療剤の例としては、薬物、アミノ酸、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、多糖類、ムテイン、免疫グロブリン、抗体、サイトカイン(例えば、リンホカイン、モノカイン、ケモカイン)、血液凝固因子(blood clotting factor)、造血因子、インターロイキン(1〜18)、インターフェロン(β−IFN、α−IFNおよびγ−IFN)、エリスロポイエチン、ヌクレアーゼ、腫瘍壊死因子、コロニー刺激因子(例えば、GCSF、GM−SCF、MCSF)、インスリン、抗腫瘍因子および腫瘍抑制因子、血液タンパク質、フィブリン、トロンビン、フィブリノゲン、合成トロンビン、合成フィブリン、合成フィブリノゲン、性腺刺激ホルモン(例えば、FSH、LH、CGなど)、ホルモンおよびホルモンアナログ(例えば、成長ホルモン、黄体化ホルモン放出因子)、ワクチン(例えば、腫瘍抗原、細菌抗原およびウイルス抗原);ソマトスタチン;抗原;血液凝固因子(blood coagulation factor);成長因子(例えば、神経発育因子、インスリン様成長因子);骨形成タンパク質、TGF−β、タンパク質インヒビター、タンパク質アンタゴニスト、およびタンパク質アゴニスト;核酸(例えば、アンチセンス分子、DNA、RNA、RNAi);オリゴヌクレオチド;ポリヌクレオチド;細胞、ウイルス、およびリボザイムが挙げられる。
【0033】
ある実施形態において、治療剤は、以下の薬物のうちの少なくとも1種(これらの薬物の組み合わせならびに代替の形態(例えば、代替の塩形態、遊離酸形態、遊離塩基形態、プロドラッグおよび水和物)を含む)を含有し得る:例えば、鎮痛薬/解熱薬(例えば、アスピリン、ガバペンチン、プレガバリン(pregabalin)、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ナプロキセンナトリウム、ブプロノルフィン、プロポキシフェン塩酸塩、プロポキシフェンナプシレート、メペリジン塩酸塩、ヒドロモルホン塩酸塩、モルヒネ、オキシコドン、コデイン、ジヒドロコデイン酒石酸水素塩、ペンタゾシン、ヒドロコドン酒石酸水素塩、レボルファノール、ジフルニサル、サリチル酸トロラミン、ナルブフィン塩酸塩、メフェナム酸、ブトルファノール、サリチル酸コリン、ブタルビタール、フェニルトロキサミンクエン酸塩、ジフェンヒドラミンクエン酸塩、メトトリメプラジン、シンナメドリン塩酸塩、カプサイシンおよびメプロバメート);喘息治療薬(例えば、ケトチフェンおよびトラキサノクス);抗生物質(例えば、ネオマイシン、ストレプトマイシン、クロラムフェニコール、セファロスポリン、アンピシリン、ペニシリン、テトラサイクリンおよびシプロフロキサシン);抗うつ薬(例えば、ネフォパム、オキシペルチン、ドキセピン、アモキサピン、トラゾドン、アミトリプチリン、マプロチリン、フェネルジン、デシプラミン、ノルトリプチリン、トラニルシプロミン、フルオキセチン、ドキセピン、イミプラミン、イミプラミンパモ酸塩(imipramine pamoate)、イソカルボキサジド、トリミプラミンおよびプロトリプチリン);糖尿病治療薬(例えば、ビグアナイド類およびスルホニルウレア誘導体);抗真菌剤(例えば、グリセオフルビン、ケトコナゾール、イトラコナゾール、アムホテリシンB、ナイスタチンおよびカンジシジン);抗高血圧薬(例えば、プロパノロール、プロパフェノン、オキシプレノロール、ニフェジピン、レセルピン、トリメタファン、フェノキシベンザミン、パルギリン塩酸塩、デセルピジン、ジアゾキシド、グアネチジン一硫酸塩、ミノキシジル、レシナミン、ニトロプルシドナトリウム、インドジャボク、アルセロキシロンおよびフェントラミン);抗炎症薬(例えば、(非ステロイド性)インドメタシン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、ナプロキセン、イブプロフェン、ラミフェナゾン、ピロキシカム、(ステロイド性)コルチゾン、デキサメタゾン、フルアザコート、セレコキシブ、ロフェコキシブ、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロンおよびプレドニゾン);抗腫瘍薬(例えば、シクロホスファミド、アクチノマイシン、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、マイトマイシン、メトトレキサート、フルオロウラシル、ゲムシタビン、カルボプラチン、カルムスチン(BCNU)、メチル-CCNU、シスプラチン、エトポシド、カンプトテシンおよびその誘導体、フェネステリン、パクリタキセルおよびその誘導体、ドセタキセルおよびその誘導体、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ゴセレリン、ロイプロリド、タモキシフェン、インターフェロンα、レチノイン酸(ATRA)、ナイトロジェンマスタードアルキル化剤、ならびにピポスルファン);抗不安剤(例えば、ロラゼパム、ブスピロン、プラゼパム、クロルジアゼポキシド、オキサゼパム、クロラゼペート二カリウム、ジアゼパム、ヒドロキシジンパモ酸塩、ヒドロキシジン塩酸塩、アルプラゾラム、ドロペリドール、ハラゼパム、クロルメザノンおよびダントロレン);免疫抑制剤(例えば、シクロスポリン、アザチオプリン、ミゾリビンおよびFK506(タクロリムス));抗片頭痛剤(例えば、エルゴタミン、プロパノロール、ムチン酸イソメテプテンおよびジクロラルフェナゾン):鎮静薬/催眠薬(例えば、バルビツール酸類(例えば、ペントバルビタール、ペントバルビタールおよびセコバルビタール);およびベンゾジアゼピン(benzodiazapine)類(例えば、フラゼパム塩酸塩、トリアゾラムおよびミダゾラム));抗狭心症剤(例えば、βアドレナリン遮断薬;カルシウムチャネル遮断薬(例えば、ニフェジピンおよびジルチアゼム);および硝酸類(ニトログリセリン、イソソルビドジニトレート、ペンタエリスリトール(pentearythritol)テトラニトレートおよびエリスリチルテトラニトレート);抗精神病剤(例えば、ハロペリドール、ロキサピンコハク酸塩、ロキサピン塩酸塩、チオリダジン、チオリダジン塩酸塩、チオチキセン、フルフェナジン、フルフェナジンデカン酸塩、フルフェナジンエナンタート、トリフルオペラジン、クロルプロマジン、ペルフェナジン、クエン酸リチウムおよびプロクロルペラジン);抗躁病剤(例えば、炭酸リチウム);抗不整脈薬(例えば、ブレチリウムトシル酸塩、エスモロール、ベラパミル、アミオダロン、エンカイニド、ジゴキシン、ジギトキシン、メキシレチン、ジソピラミドリン酸塩、プロカインアミド、キニジン硫酸塩、キニジングルコン酸塩、キニジンポリガラクツロネート、フレカイニドアセテート、トカイニドおよびリドカイン);関節炎治療剤(例えば、フェニルブタゾン、スリンダク、ペニシラミン(penicillanine)、サルサレート、ピロキシカム、アザチオプリン、インドメタシン、メクロフェナメート、金チオリンゴ酸ナトリウム、ケトプロフェン、オーラノフィン、オーロチオグルコースおよびトルメチンナトリウム);痛風治療剤(例えば、コルヒチンおよびアロプリノール);抗凝固薬(例えば、ヘパリン、ヘパリンナトリウムおよびワーファリンナトリウム);血栓溶解剤(例えば、ウロキナーゼ、ストレプトキナーゼおよびアルテプラーゼ);抗線維素溶解剤(例えば、アミノカプロン酸);血液レオロジー剤(例えば、ペントキシフィリン);抗血小板剤(例えば、アスピリン);鎮痙薬(例えば、バルプロ酸、ジバルプロックスナトリウム、フェニトイン、フェニトインナトリウム、クロナゼパム、プリミドン、フェノバルビタール(phenobarbitol)、カルバマゼピン、アモバルビタールナトリウム、メトスクシミド、メタルビタール、メフォバルビタール、メフェニトイン、フェンスクシミド、パラメタジオン、エトトイン、フェナセミド、セコバルビタールナトリウム、クロラゼペート二カリウム塩およびトリメタジオン);抗パーキンソン剤(例えば、エトスクシミド);抗ヒスタミン/止痒剤(例えば、ヒドロキシジン、ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミン、マレイン酸ブロモフェニラミン、シプロヘプタジン塩酸塩、テルフェナジン、フマル酸クレマスチン、トリプロリジン、カルビノキサミン、ジフェニルピラリン、フェニンダミン、アザタジン、トリペレナミン、マレイン酸デキシクロルフェニラミン(dexchlorphenirarnine maleate)およびメトジラジン);カルシウム調節に有用な薬剤(例えば、カルシトニンおよび副甲状腺ホルモン);抗細菌剤(例えば、硫酸アミカシン、アズトレオナム、クロラムフェニコール、クロラムフェニコールパルミチン酸塩、シプロフロキサシン、クリンダマイシン、クリンダマイシンパルミチン酸塩、クリンダマイシンリン酸塩、メトロニダゾール、メトロニダゾール塩酸塩、ゲンタマイシン硫酸塩、リンコマイシン塩酸塩、トブラマイシン硫酸塩、バンコマイシン塩酸塩、ポリミキシンB硫酸塩、コリスチメテートナトリウムおよびコリスチン硫酸塩);抗ウイルス剤(例えば、インターフェロンα、βまたはγ、ジドブジン、アマンタジン塩酸塩、リバビリンおよびアシクロビル);抗微生物剤(例えば、セファロスポリン類(例えば、セファゾリンナトリウム、セフラジン、セファクロル、セファピリンナトリウム、セフチゾキシムナトリウム、セフォペラゾンナトリウム、セフォテタン二ナトリウム、セフロキシムアキセチル、セフォタキシムナトリウム、セファドロキシル一水和物、セファレキシン、セファロチンナトリウム、塩酸セファレキシン一水和物、セファマンドールナフテート(naftate)、セフォキシチンナトリウム、セフォニシドナトリウム、セフォラニド、セフトリアキソンナトリウム、セフタジジム、セファドロキシル、セフラジンおよびセフロキシムナトリウム);ペニシリン類(例えば、アンピシリン、アモキシシリン、ペニシリンGベンザチン、シクラシリン、アンピシリンナトリウム、ペニシリンGカリウム、ペニシリンVカリウム、ピペラシリンナトリウム、オキサシリンナトリウム、バカンピシリン塩酸塩、クロキサシリンナトリウム、チカルシリン二ナトリウム、アズロシリンナトリウム、カルベニシリンインダニルナトリウム、ペニシリンGプロカイン、メチシリンナトリウムおよびナフシリンナトリウム);エリスロマイシン類(例えば、エリスロマイシンエチルコハク酸塩、エリスロマイシン、エリスロマイシンエストレート、エリスロマイシンラクトビオン酸塩、エリスロマイシンステアリン酸塩およびエリスロマイシンエチルコハク酸塩);およびテトラサイクリン類(例えば、テトラサイクリン塩酸塩、ドキシサイクリン塩酸塩(hyclate)およびミノサイクリン塩酸塩、アジスロマイシン、クラリスロマイシン));抗感染剤(例えば、GM−CSF);気管支拡張薬(例えば、交感神経作用薬(例えば、エピネフリン塩酸塩、メタプロテレノール硫酸塩、テルブタリン硫酸塩、イソエタリン、イソエタリンメシル酸塩、イソエタリン塩酸塩、アルブテロール硫酸塩、アルブテロール、ビトルテロルメシレート、イソプレテレノール塩酸塩、テルブタリン硫酸塩、エピネフリン酒石酸水素塩、メタプロテレノール硫酸塩、エピネフリンおよびエピネフリン酒石酸水素塩);抗コリン作用薬(例えば、臭化イプラトロピウム);キサンチン類(例えば、アミノフィリン、ジフィリン、メタプロテレノール硫酸塩、およびアミノフィリン);肥満細胞安定化剤(例えば、クロモリンナトリウム);吸入用コルチコステロイド(例えば、二プロピオン酸ベクロメタゾン(BDP)および二プロピオン酸ベクロメタゾン一水和物);サルブタモール;臭化イプラトロピウム;ブデソニド;ケトチフェン;サルメテロール;キナフォエート;テルブタリン硫酸塩;トリアムシノロン;テオフィリン;ネドクロミルナトリウム;メタプロテレノール硫酸塩;アルブテロール;フルニソリド;プロピオン酸フルチカゾン);ステロイド性の化合物およびホルモン(例えば、アンドロゲン類(例えば、ダナゾール、テストステロンシピオン酸塩、フルオキシメステロン、エチルテストステロン、エナント酸テストステロン、メチルテストステロン、フルオキシメステロンおよびテストステロンシピオン酸塩);エストロゲン類(例えば、エストラジオール、エストピペートおよび結合型エストロゲン);プロゲスチン類(例えば、酢酸メトキシプロゲステロン(methoxy progesteroneacetate)、および酢酸ノルエチンドロン);コルチコステロイド類(例えば、トリアムシノロン、ベタメタゾン、リン酸ベタメタゾンナトリウム、デキサメタゾン、リン酸デキサメタゾンナトリウム、酢酸デキサメタゾン、プレドニゾン、酢酸メチルプレドニゾロン懸濁液、トリアムシノロンアセトニド、メチルプレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム、トリアムシノロンヘキサセトニド、ヒドロコルチゾン、シピオン酸ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、酢酸フルドロコルチゾン、酢酸パラメタゾン、プレドニゾロンテブテート、酢酸プレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、およびコハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム;および甲状腺ホルモン(例えば、レボチロキシンナトリウム));血糖降下薬剤(例えば、ヒトインスリン、精製ウシインスリン、精製ブタインスリン、グリブリド、クロルプロパミド、グリピジド、トルブタミド、およびトラザミド);高脂質血症薬剤(例えば、クロフィブレート、デキストロサイロキシンナトリウム、プロブコール、プラバスタチン(pravastitin)
、アトルバスタチン、ロバスタチン、およびナイアシン(niacin));タンパク質(例えば、DNアーゼ、アルギナーゼ、スーパーオキシドジスムターゼ、およびリパーゼ);核酸(例えば、治療上有用な任意のタンパク質(本明細書中に記載されるタンパク質のいずれかが挙げられる)をコードするセンス核酸またはアンチセンス核酸);赤血球生成刺激のために有用な薬剤(例えば、エリスロポイエチン);抗潰瘍/抗逆流剤(例えば、ファモチジン、シメチジン、および塩酸ラニチジン);制吐剤/鎮吐剤(例えば、塩酸メクリジン、ナビロン、プロクロルペラジン、ジメンヒドリネート、塩酸プロメタジン、チエチルペラジン、およびスコポラミン)。本明細書中に記載される組成物および方法において有用な他の薬剤としては、ミトーテン、ハロニトロソウレア、アントラサイクリン(anthrocycline)類、エリプチシン(ellipticine)、セフトリアキソン、ケトコナゾール、セフタジジム、オキサプロジン、アルブテロール、バラシクロビル、尿性卵胞性刺激ホルモン、ファムシクロビル、フルタミド、エナラプリル、メトホルミン、イトラコナゾール、ブスピロン、ガバペンチン、ホシノプリル、トラマドール、アカルボース、ロラゼパム、ホリトロピン、グリピジド、オメプラゾール、フルオキセチン、リジノプリル、トラマドール、レボフロキサシン、ザフィルルーカスト、インターフェロン、成長ホルモン、インターロイキン、エリスロポイエチン、顆粒球刺激因子、ニザチジン、ブプロピオン、ペリンドプリル、エルブミン(erbumine)、アデノシン、アレンドロネート、アルプロスタジル、ベナゼプリル、ベタキソロール、硫酸ブレオマイシン、デキスフェンフルラミン、ジルチアゼム、フェンタニール、フレカイニド、ゲムシタビン、酢酸グラチラマー(glatiramer acetate)、グラニセトロン、ラミブジン、マンガフォジピール三ナトリウム(mangafodipir trisodium)、メサラミン(mesalamine)、フマル酸メトプロロール、メトロニダゾール、ミグリトール、モエキシプリル、モンテルカスト(monteleukast)、酢酸オクトレオチド、オロパタジン、パリカルシトール(paricalcitol)、ソマトロピン、コハク酸スマトリプタン、タクリン、ベラパミル、ナブメトン、トロバフロキサシン(trovafloxacin)、ドラセトロン(dolasetron)、ジドブジン、フィナステリド、トブラマイシン、イスラジピン、トルカポン(tolcapone)、エノキサパリン、フルコナゾール、ランソプラゾール、テルビナフィン、パミドロネート、ジダノシン、ジクロフェナク、シサプリド、ベンラファキシン、トログリタゾン、フルバスタチン、ロサルタン、イミグルセラーゼ、ドネペジル、オランザピン、バルサルタン、フェキソフェナジン、カルシトニン、および臭化イプラトロピウムが挙げられる。いくつかの実施形態において、薬物は、水溶性であり得る。いくつかの実施形態において、薬物は、水溶性でなくとも良い。あるいは、本開示のいくつかの実施形態は、ビタミンおよび/またはミネラルを投与するために使用され得る。
【0034】
種々の形態の薬物および/または他の治療剤が使用され得る。これらとしては、非荷電分子、分子複合体、塩、エーテル、エステル、アミドなどの形態が挙げられるが、これらに限定されず、これらは、経口投与後、または胃腸管に他の様式で挿入された後に、生物学的に活性化され得る。
【0035】
治療剤は、治療的に有効な量で使用され得、これらの量は、使用される特定の治療剤に主に依存して広く変動する。組成物に組み込まれる治療剤の量はまた、所望の放出プロフィール、生物学的効果のために必要とされる薬剤の濃度、およびその治療剤が処置のために放出されるべきである時間の長さに依存する。
【0036】
経口投薬形態に組み込まれる治療剤の量の上限および下限は、その治療剤の活性、および処置のために必要とされる時間の長さに依存し得る。従って、治療剤の量は、所望の生理学的効果を生じないほど少なすぎるべきではなく、その治療剤が制御不可能な様式または潜在的に危険な様式で放出されるほど多すぎるべきでもない。
【0037】
代表的に、これらの限度内で、約0.1重量%〜約95重量%まで、そして好ましくは、約1重量%〜約70重量%の量の治療剤が、本発明の組成物に組み込まれ得る。しかし、特に強力な治療剤については、効力のあるレベルの処置を達成するために、より少ない量が使用され得る。
【0038】
本開示に従う投薬形態は、少なくとも1つの機械的ファスナーをさらに備え、この機械的ファスナーは、特定の実施形態において、内部コアの表面から突出する。この機械的ファスナーは、少なくとも1つのフィラメントから作製され得る。この機械的ファスナーは、内部コアの表面から、ほぼ垂直な方向に突出し得る。ある実施形態において、複数の機械的ファスナーが、内部コアの全表面を覆って配置され得る。他の実施形態において、複数の機械的ファスナーが、内部コアの表面の一部分のみを覆って配置され得る。さらに他の実施形態において、これらの機械的ファスナーは、内部コアの1つより多くの表面から突出し得る。
【0039】
この機械的ファスナーは、哺乳動物の胃腸管内の組織と係合するために適切な、任意の形状、サイズまたは寸法の構成を取り得る。例えば、この機械的ファスナーは単に、まっすぐなスパイクであり得、このスパイクは、内部コアが内部に含まれる治療剤を放出する能力を妨害することなく、内部コアの表面から、胃腸組織と係合するために充分な長さで延びる。
【0040】
いくつかの実施形態において、この機械的ファスナーは、ほぼフック型の構成を表し得、この場合、このファスナーの近位部分はまっすぐであり、そしてこのファスナーの遠位部分は、丸まっているか、または丸みを帯びた縁部を備える。他の実施形態において、この機械的ファスナーは、まっすぐであるファスナーの近位部分、およびナップを備え得るファスナーの遠位部分を備え得る。ナップとは、ファスナーが組織を把持する能力を増加させるように改変されているファスナーの端部をいう。例えば、これらのファスナーの端部は、このファスナーの遠位部分を融解させてこのファスナーの遠位端の表面積を増加させるように、加熱され得る。別の例において、このファスナーの端部は、切削または研削されて、鋸歯状の縁部を作製し得、この縁部は、このファスナーの遠位端に、組織と係合するために有用な増加した表面積を提供する。特定の実施形態において、この機械的ファスナーは、少なくとも1つの棘、表面突出部、波状表面、または機械的に粗くされた表面を備え得、この経口投薬形態の表面積を増加させ得る。組織と係合することによって、これらの経口投薬形態は、胃腸管の1つのセクションに永続的に固定する能力、および/または胃腸管を通過する間に胃腸組織の異なる部分に一時的に断続的に付着するか、もしくは捕捉される能力のいずれかを維持する。
【0041】
本明細書中に記載される機械的ファスナーは、任意の生体適合性材料から作製され得る。従って、これらのファスナーは、天然材料から形成されても合成材料から形成されてもよい。これらのファスナーが形成される材料は、生体吸収性であっても非生体吸収性であってもよい。天然材料、合成材料、生体吸収性材料および非生体吸収性材料の任意の組み合わせを使用して、これらのファスナーを形成し得ることが、もちろん理解されるべきである。これらのファスナーが作製され得る材料のいくつかの非限定的な例としては、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(ジオキサノン)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(ホスファジン)、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、超高分子量ポリエチレン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミド、ポリヒドロキシエチルメチルアクリレート、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアセテート、ポリカプロラクトン、ポリプロピレン、脂肪族ポリエステル、グリセロール、ポリ(アミノ酸)、コポリ(エーテル−エステル)、ポリアルキレンオキサレート、ポリ(サッカリド)、ポリアミド、ポリ(イミノカーボネート)、ポリアルキレンオキサレート、ポリオキサエステル、ポリオルトエステル、ポリホスファゼン、ポリウレタン、生体ポリマー、ポリマー薬物、ならびにこれらのコポリマー、ブロックコポリマー、ホモポリマー、ブレンドおよび組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
この機械的ファスナーはまた、任意の適切な形状記憶材料から作製され得る。適切な形状記憶材料としては、形状記憶ポリマーおよび形状記憶合金が挙げられる。本発明の経口投薬形態の機械的ファスナーとして有用なフィラメントに形成され得る、種々の形状記憶ポリマーおよび形状記憶合金が、当業者に公知である。
【0043】
機械的ファスナーを形成するために使用され得る適切な形状記憶合金(フィラメントに紡糸され得る)としては、ニチノール(NiTi)、CuZnAl、CuAlNi、CuNiTiおよびFeNiAlが挙げられるが、これらに限定されない。形状記憶合金から繊維を形成するための方法は、当業者の知識の範囲内である。
【0044】
形状記憶ポリマーとは、2つの別々の相または3つの別々の相を使用して予備処理され得るポリマーである。2相形状記憶ポリマーは、現在の形状(一時的)と記憶された形状(永続的)との両方を有するポリマーであり得る。一旦、記憶された形状が任意の従来の方法により製造されると、このポリマーは、このポリマーを加熱、変形および冷却により加工することにより、一時的な形状に変化させられ得る。冷却後、このポリマーは、このポリマーが所定の外部刺激により活性化されるまで、この一時的な形状を維持する。温度変化に加えて、形状記憶ポリマーはまた、電場もしくは磁場、光、および/またはpHの変化によって、予備処理および/または活性化され得る。活性化の際に、このポリマーの形状は、移行して永続的な形状に戻る。適切な形状記憶ポリマーとしては、以下に列挙されるものが挙げられる。
【0045】
いくつかの実施形態において、これらの機械的ファスナーは、まっすぐな状態で製造されたポリマーモノフィラメントからなり得る。すなわち、この形状記憶モノフィラメントの永続的形状は、ほぼまっすぐである。これらのまっすぐなポリマーモノフィラメントは、このポリマーのガラス転移温度(Tg)より高温で加熱され得、これにより、このポリマーが柔軟になり、可撓性になり、そして形成がより容易になる。Tgより高温にある間、これらのまっすぐなポリマーモノフィラメントは、丸まり得る。次いで、これらの丸まったポリマーモノフィラメントは、このポリマーのTgより低温まで冷却されて、これらのフィラメントを丸まった一時的形状に維持し得る。このような実施形態において、丸まったポリマーモノフィラメントは、適切な外部刺激への曝露(例えば、所定のポリマーのTgより高温への温度の変化)の際に、その永続的形状(すなわち、まっすぐ)に戻るように予備処理され得る。
【0046】
ポリマーモノフィラメントとして具体的に記載されるが、機械的ファスナーはまた、複数のモノフィラメント、マルチフィラメント、糸および編組(複数のマルチフィラメントおよびステープルファイバーにより形成される)から形成され得ることが想定される。さらに、形状記憶ポリマーは、機械的ファスナーを形成するために、任意の種々の生体適合性材料と組み合わせられ得る。
【0047】
ポリマーの機械的ファスナーは、内部コアの存在下または非存在下で、形状記憶ポリマーとして予備処理され得ることが想定される。ある実施形態において、これらの機械的ファスナーは、内部コアに組み込まれる前に予備処理され得る。他の実施形態において、これらの機械的ファスナーは、内部コアに組み込まれた後に予備処理され得る。さらに他の実施形態において、これらの機械的ファスナーは、任意の適切な方法(接着剤が挙げられるが、これに限定されない)により内部コアに取り付けられ得る。
【0048】
いくつかの実施形態において、機械的ファスナーを形成するために使用される形状記憶ポリマーは、約20℃〜約40℃の範囲のTgを示し得る。このような実施形態において、これらの機械的ファスナーは、この範囲の温度への曝露の際に、その一時的形状から永続的形状へと移行する。特定の実施形態において、この形状記憶ポリマーは、体温(約37℃である)において移行するように条件付けされる。
【0049】
他の実施形態において、これらの形状記憶ポリマーは、少なくとも1つのハードセグメントおよび少なくとも1つのソフトセグメントまたは複数のソフトセグメントを含み得、これらのセグメントは、共有結合で架橋しており、ここでこれらのセグメントのうちの少なくとも2つが官能基で連結され、この官能基は、光の照射、イオン濃度の変化、pHの変化、電場、磁場、および/または超音波のもとで、切断可能である。温度の変化に応答して形状を変化させることに加えて、これらの組成物は、光の照射、イオン濃度の変化、pHの変化、電場、磁場および/または超音波に応答して、形状を変化させ得る。これらのポリマーの一時的形状は、共有結合性架橋により固定される。
【0050】
種々の官能基は、特定のイオンの存在下で、またはpHの変化に応答して、架橋することが公知である。例えば、カルシウムイオンは、アミン基とアルコール基とを架橋させることが公知である。すなわち、アルギネートのアミン基は、カルシウムイオンで架橋され得る。また、カルボン酸基およびアミン基は、特定のpHにおいて荷電種になる。これらの種が荷電する場合、これらの種は、逆の電荷のイオンと架橋し得る。ハードセグメント上および/またはソフトセグメント上での、イオン種の濃度の変化および/またはpHの変化に応答する官能基の存在は、これらのセグメント間での可逆的結合を生じる。可逆的結合は、機械的ファスナーの一時的形状を固定し得、一方で、セグメントを架橋させ得る。その形状が変形させられた後に、イオン濃度またはpHの変化は、セグメント間の架橋を形成したイオン相互作用の切断を生じさせ得、これによって、この変形により引き起こされるひずみを解放し、それにより、この機械的ファスナーをその永続的なまっすぐな形状に戻す。このプロセスにおいて、イオン結合が形成されて破壊されるので、このプロセスは、1回のみ行われ得る。しかし、これらの結合は、イオン濃度および/またはpHを変化させることにより再度形成され得るので、このプロセスは、所望により繰り返され得る。
【0051】
胃腸管の異なる部分は異なるpHレベルを維持するので、機械的ファスナーは、pH感受性である形状記憶ポリマーから作製され得、そして胃腸管の特定の部分のpHに曝露される場合に形状を変化させるように設計され得る。例えば、機械的ファスナーは、約6.0〜約6.5の範囲のpH(すなわち、十二指腸のpH)において活性化する形状記憶材料から作製され得る。このようなファスナーは、胃(約1〜約3のpHを示す)の通過中には活性化されない。より具体的には、機械的ファスナーは、これらのファスナーを内部コアから突出させることが可能な方法および材料を利用して製造され得、その経口投薬形態が、胃から大腸までの酸性度(pH)の変化を認識することに応答して大腸に固定されることを可能にし得る。
【0052】
別の例において、この機械的ファスナーは、約7〜約8の範囲のpH(すなわち、小腸のpH)において活性化する形状記憶材料から作製され得る。このようなファスナーは、食道(約5〜約6のpHを示す)の通過中には活性化しない。
【0053】
機械的ファスナーを形作るために利用され得る適切な形状記憶ポリマー材料としては、ポリウレタン;ポリ(スチレン−ブタジエン)ブロックコポリマー;ポリノルボルネン;カプロラクトン;ジオキサノン;ジオールエステル(オリゴ(ε−カプロラクトン)ジオールが挙げられる);乳酸;グリコール酸;エーテル−エステルジオール(オリゴ(p−ジオキサノン)ジオールが挙げられる);カーボネート(トリメチレンカーボネートが挙げられる);これらの組み合わせなどが挙げられる。ある実施形態において、形状記憶ポリマーは、異なる熱特性を有する2つの成分のコポリマーであり得、オリゴ(ε−カプロラクトン)ジメタクリレートおよびアクリル酸ブチル(ポリ(ε−カプロラクトン)ジメタクリレート−ポリ(アクリル酸n−ブチル)が挙げられる);またはジオールエステルおよびエーテル−エステルジオール(例えば、オリゴ(ε−カプロラクトン)ジオール/オリゴ(p−ジオキサノン)ジオールコポリマー)が挙げられる。これらのマルチブロックオリゴ(ε−カプロラクトン)ジオール/オリゴ(p−ジオキサノン)ジオールコポリマーは、直鎖において一緒に結合した2つのブロックセグメント(「ハード」セグメントおよび「スイッチング」セグメント)を有する。このような材料は、例えば、Lendlein,「Shape Memory Polymers−Biodegradable Sutures」,Materials World,第10巻,第7号,pp.29−30(2002年7月)(その全開示は、本明細書中に参考として援用される)に開示されている。
【0054】
他の実施形態において、材料のブレンドが、形状記憶ポリマー材料として利用され得、材料のブレンドとしては、乳酸および/またはグリコール酸とブレンドされたウレタン;これらのホモポリマーまたはコポリマー;ならびにカプロラクトンとブレンドされたアクリレート(例えば、ポリカプロラクトンジメタクリレートポリ(アクリル酸ブチル)ブレンド;ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0055】
これらの形状記憶ポリマーの他の例、ならびにこれらを用いて永続的形状および一時的形状を形成するための方法は、Lendleinら,「Shape memory polymers as stimuli−sensitive implant materials」,Clinical Hemorheology and Microcirculation,32(2005)105−116、およびLendleinら,「Biodegradable,Elastic Shape−Memory Polymers for Potential Biomedical Applications」,Science,第269巻(2002)1673−1676(これらの各々の全開示は、本明細書中に参考として援用される)に記載されている。
【0056】
温度およびpHの変化に反応する形状記憶ポリマーに加えて、いくつかのさらに有用な形状記憶ポリマーとしては、イオン性、電荷、電気的条件および/または磁気的条件の変化に反応するポリマーが挙げられる。
【0057】
いくつかの実施形態において、機械的ファスナーは、約20℃未満の温度において、第一のほぼ丸まった構成を有し得、そして約20℃〜約40℃の範囲の温度に曝露される場合に、第二のほぼまっすぐな構成を呈し得る。他の実施形態において、機械的ファスナーは、約7より大きいpHにおいて、第一のほぼ丸まった構成を有し得、そして約1〜約6.9の範囲のpHに曝露される場合に、第二のほぼまっすぐな構成を呈し得る。
【0058】
これらの機械的ファスナーは主として、丸まった構成からまっすぐな構成へと移行するように開示されるが、任意の数の異なる形状および寸法に移行し得る機械的ファスナーを備えることは充分に、本開示の範囲内である。例えば、機械的ファスナーはまた、内部コアの表面に隣接するほぼ平坦な位置から、第二の外向きに突出した構成へと移行し得る。機械的ファスナーが移行し得る2つの異なる構成は、形状記憶ポリマーを予備処理する時点で決定され得る。ある実施形態において、これらの機械的ファスナーは、口腔を介して胃腸管を通しての送達のために適切な任意の形状を呈し得る。最も一般的な意味において、刺激への曝露の際に、機械的ファスナーは、2つの異なる構成(第一の非把持構成および第二の把持構成)の間を移行する。
【0059】
内部コアおよび機械的ファスナーに加えて、本明細書中に記載される経口投薬形態はまた、少なくとも1つの外側保護層を備え得る。これらの機械的ファスナーは、少なくとも1つの保護層により取り囲まれ得る。保護層は、機械的ファスナーの一部分に付加されて、これらのファスナーが胃腸管の組織と尚早に係合することを防止し得る。この保護層は、経時的に分解するか、または特定の環境条件において分解する材料から作製されて、機械的ファスナーを露出させ得る。この保護層は、機械的ファスナーが露出されて組織と係合し得る時点を制御し得る。保護層が胃腸管の内側で分解するために要する時間の量は、使用される材料に依存して変動し得る。
【0060】
ある実施形態において、この外側保護層は、機械的ファスナーの即時の露出のために適切な材料を含み得る。これらの材料は、唾液、粘液、胆汁または胃腸管内で見出される他の体液への曝露の際に迅速に溶解して外れ得、これによって、機械的ファスナーが、口腔、食道または胃内でかなり迅速に組織と係合することを可能にし得る。
【0061】
他の実施形態において、この保護層は、機械的ファスナーの露出を遅延させるために適切な材料(例えば、腸溶マトリックスおよび/または腸溶コーティングを形成する際に使用される材料)を含み得る。機械的ファスナーの遅延曝露のための腸溶マトリックスまたは腸溶コーティングは、pH依存性であってもpH非依存性であってもよい。pH依存性であり得る腸溶マトリックスまたは腸溶コーティングは、既知のpH範囲内で機械的ファスナーを露出させ得、このpH範囲は、代表的に、遅延放出が望まれる環境の局所pHと一致する。例示的なpH依存性コーティングは、酢酸フタル酸セルロース、酢酸トリメリト酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸フタル酸ポリビニル、カルボキシメチルエチルセルロース、共重合したメタクリル酸/メタクリル酸メチルエステルなどの材料が挙げられ得る。これらの材料のうちのいくつかはまた、商標名EUDRAGIT(登録商標)L12.5、L100、またはEUDRAGIT(登録商標)S12.5、S100のもとで公知であり得るか、あるいは腸溶コーティングを得るために使用される類似の化合物であり得る。水性コロイド状ポリマー分散物または再分散物(例えば、EUDRAGIT(登録商標)L30D−55、EUDRAGIT(登録商標)L100−55、EUDRAGIT(登録商標)S100、EUDRAGIT(登録商標)調製物4110D(Rohm Pharma);AQUATERIC(登録商標)、AQUACOAT(登録商標)CPD30(FMC);KOLLICOAT MAE(登録商標)30Dおよび30DP(BASF);EASTACRYL(登録商標)30D(Eastman Chemical))もまた適用され得る。
【0062】
pH依存性のコーティングまたはマトリックスは、機械的ファスナーを露出させるために特定のpHを必要としない材料を含有する。いくつかの実施形態において、pH非依存性コーティングは、腸管細菌におけるアゾレダクターゼによる酵素活性化を容易に受け得る材料(例えば、アゾポリマー)、または結腸内のポリサッカリダーゼ(polysaccharidase)による分解を容易に受ける材料(天然多糖類)を含有する。アゾポリマーの非限定的な例としては、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA)とメタクリル酸メチル(MMA)とのコポリマーが挙げられる。天然多糖類の非限定的な例としては、アミロース、キトサン、コンドロイチン、デキストラン、およびキシランが挙げられる。
【0063】
さらに他の実施形態において、外側保護層は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(ビニルアルコール)、キサンタンガム、カルボマー、カラゲナンおよびズーグラン、ならびにポリ酢酸ビニル、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、エチルセルロース、脂肪酸およびそのエステル、アルキルアルコール、蝋、ゼイン(トウモロコシ由来のプロラミン)、ならびに水性ポリマー分散物(例えば、EUDRAGIT(登録商標)RSおよびRL30D、EUDRAGIT(登録商標)NE30D、AQUACOAT(登録商標)、SURELEASE(登録商標)、KOLLICOAT(登録商標)SR30D、および酢酸セルロースラテックス)などの材料が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0064】
治療剤は、外側保護層にもまた組み込まれ得る。外側保護層からの治療剤の放出は、即時であっても、遅延されても、長期間にわたって持続されてもよい。
【0065】
いくつかの実施形態において、治療剤は、保護層の外側表面に配置されて、内部コアおよび/または外側保護層の分解の前に、薬剤のボーラス用量を提供し得る。この治療剤は、外側保護層の外側表面の任意の部分に沿って配置され得る。
【0066】
外側保護層は、内部コアの存在下または非存在下で機械的ファスナーに付加され得ることが想定される。例えば、機械的ファスナーは、内部コアに組み込まれる前に外側保護層内に取り囲まれ得る。いくつかの実施形態において、これらの機械的ファスナーは、内部コアに組み込まれた後に外側保護層により取り囲まれ得る。他の実施形態において、これらの機械的ファスナーは、外側保護層の補助によって内部コアに付着され得る。さらに他の実施形態において、内部コアの少なくとも一部分は、保護層の付加前に、機械的ファスナーの周りに圧縮または成形され得る。
【0067】
いくつかの実施形態において、経口投薬形態は、複数の機械的ファスナーを有する複数の内部コアを備え得る。このような実施形態において、各内部コア/機械的ファスナーの組み合わせは、別々の保護層を備え得る。いくつかの実施形態において、各内部コア/機械的ファスナーの組み合わせは、異なる材料から作製された保護層を備え得る。さらに他の実施形態において、各内部コア/機械的ファスナーの組み合わせは、同じ材料から作製された保護層を備え得る。なお他の実施形態において、複数の内部コアおよび機械的ファスナーが、単一の外側保護層内に取り囲まれ得る。
【0068】
治療剤に加えて、本明細書中に記載される経口投薬形態は、経口投薬形態(例えば、小丸剤、丸剤、錠剤、カプセル剤、カプレットなど)を形成する際に通常使用される、任意の種々の適切な賦形剤または賦形剤の組み合わせを含有し得る。有用な賦形剤のいくつかの非限定的な例としては、可塑剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、充填剤、グライダント、着色剤、香料、風味調整剤、甘味料、界面活性剤、安定剤、およびこれらの組み合わせが挙げられる。これらの賦形剤は、治療剤と同様に、先に記載された経口投薬形態の任意の部分と組み合わせられ得る。例えば、賦形剤は、内部コア、外側保護層、機械的ファスナー、およびこれらの組み合わせを作製する際に使用され得る。
【0069】
投薬形態を作製する際に使用され得る賦形剤は、製薬において通常使用される賦形剤のいずれかであり、そして治療剤、ならびに内部コアおよび/または外側保護層の物理化学的特性との適合性に基づいて選択されるべきである。賦形剤は、経口投薬形態の95%までを占め得る。ある実施形態において、賦形剤は、経口投薬形態の約1%〜約90%を占め得る。有用な賦形剤のいくつかのより特定の非限定的な例は、以下に記載される。
【0070】
結合剤は、経口投薬形態を一緒に保持することを補助し得る。いくつかの例としては、セルロース誘導体(例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマーなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0071】
崩壊剤は、錠剤が消化管内で分解することを確実にし、そしてコーンスターチ、予めゼラチン化させたデンプン、架橋カルボキシメチルセルロース(AC−DI−SOL(登録商標))、グリコール酸デンプンナトリウム(EXPLOTAB(登録商標))、架橋ポリビニルピロリドン(PLASDONE XL(登録商標))などの材料、および錠剤調製において使用される他の任意の崩壊剤が挙げられる。
【0072】
グライダントおよび滑沢剤は、製造プロセス中に効率的な錠剤化を確実にするために使用され得、そしていくつかの非限定的な例としては、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、ジブチルセバケート、トリアセチン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、滑石、コロイド状二酸化ケイ素、シリカゲル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、二酸化チタン、ケイ酸マグネシウム、ロイシン、ベヘン酸グリセリルなどが挙げられる。
【0073】
充填剤としては、ラクトース、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、微結晶セルロース、デキストラン、デンプン、スクロース、キシリトール、ラクチトール、マンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウム、ポリエチレングリコールなどの材料が挙げられるが、これらに限定されない。
【0074】
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、モノオレイン酸ソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、胆汁酸塩、モノステアリン酸グリセリル、PLURONICS(登録商標)などが挙げられ得る。
【0075】
可溶化剤としては、クエン酸、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン酸、グルタル酸、重炭酸ナトリウムおよび炭酸ナトリウムなどが挙げられ得る。任意の酸化防止剤、緩衝剤、酸などの安定剤もまた、利用され得る。
【0076】
矯味矯臭剤および甘味剤は、味の悪い治療剤の味を遮断するために含有され得、そして顔料または着色剤は、経口投薬形態を、視覚的に魅力的かつ/または嚥下を容易にするために使用され得る。
【0077】
本明細書中に記載される経口投薬形態は、錠剤、カプセル剤、カプレット、小丸剤、丸剤などを形成するために適切な任意の方法または方法の組み合わせを使用して、製造され得る。例えば、経口投薬形態は錠剤であり得、そして治療剤を、内部コアを形成するために使用される材料(任意のさらなる賦形剤を含有する)と混合し、そしてこの混合物を嚥下のために充分な固体に加圧または圧縮することにより形成され得る。いくつかの実施形態において、機械的ファスナーが次いで、この固体の一部分に、接着剤またはさらなるフィルムコーティングにより付加され得る。他の実施形態において、機械的ファスナーは、加圧前にこの混合物と合わせられ得、次いで、この混合物が、加圧された固体の表面から機械的ファスナーの少なくとも一部分が突出することを可能にするような様式で、加圧され得る。別の例において、経口投薬形態は丸剤であり得、そして治療剤を、内部コアを形成するために使用される材料(任意のさらなる賦形剤を含有する)と混合し、そしてこの混合物を、経口送達のために適切な丸い固体形状に丸めることにより形成され得る。ここでまた、機械的ファスナーは、この混合物と組み合わせられても、丸めた後に付加されてもよい。
【0078】
なお別の例において、経口投薬形態は、カプセル剤であり得、カプセル剤は、単一片カプセルおよび多片カプセル、ならびに硬殻カプセルおよび軟殻カプセルを包含することが意図される。最も頻繁には、カプセル剤は、2片の入れ子式カプセルであり、ゼラチン、デンプン、セルロースなどから作製され得る。2片カプセルは、2つの半体を備え、これらの半体は、充填前に分離される。上記錠剤形態および丸剤形態と同様に、治療剤と、内部コアを形成するために使用される材料(任意の更なる賦形剤を含有する)との混合物が、このカプセルを充填するために使用され得る。機械的ファスナーは、カプセルに入れられる前にこの混合物に付加され得る。他の実施形態において、機械的ファスナーは、このカプセル剤の外側に付着され得る。
【0079】
他の実施形態において、本明細書中に記載される経口投薬形態の成分は、加工され得る。適切な加工の1つの例として、押し出し球状化が挙げられ、ここで治療剤、任意の賦形剤、および内部コアを形成するために使用される材料は、結合剤溶液の添加により顆粒化されて、湿潤塊を形成し得る。この湿潤塊が、特定のサイズのふるいを備える押し出し機に通され得る。その押し出し生成物は、Marumerizerにおいて球状化される。得られたペレットを乾燥させ、ふるい分けし、そして本明細書中に記載される経口投薬形態を形成する際に利用され得る。
【0080】
別の適切な非限定的なプロセスとして、高剪断顆粒化が挙げられ、ここで治療剤、任意の賦形剤、および内部コアを形成するために使用される材料が乾式混合され得、次いで、この混合物が、結合剤溶液の添加により、高剪断顆粒化機/ミキサー内で湿らされる。これらの顆粒は湿潤後に、混合および粉砕の組み合わせ作用により、練られる。得られた顆粒またはペレットが乾燥させられ、ふるい分けされ、そして本明細書中に記載される経口投薬形態を形成する際に利用され得る。
【0081】
なお別の適切な加工として、溶液層形成または懸濁物層形成が挙げられ、ここで治療剤および任意の賦形剤が、結合剤有りまたは無しで、溶液または分散物に入れられ得、そして流動床プロセッサまたは他の適切な設備において、特定の粒径を有するコアシードに代表される内部コア上に噴霧され得る。治療剤は、出発シードの表面にコーティングされ得る。治療剤を負荷されたペレットが乾燥させられ得、そして本明細書中に記載される経口投薬形態を形成する際に利用され得る。
【0082】
外側保護層は、内部コアと組み合わせられる前または後のいずれかに、機械的ファスナーに付加され得る。いくつかの実施形態において、外側保護層は、経口投薬形態全体を取り囲み得る。いくつかの実施形態において、外側保護層は、機械的ファスナーの一部分のみを覆い得る。
【0083】
機械的ファスナーが形状記憶材料から作製され得る実施形態において、この機械的ファスナーは、内部コアと組み合わせられる前または後に予備処理され得る。さらに、この機械的ファスナーは、第一の非把持位置と、第二の組織把持位置との間で移行可能であり得る。
【0084】
ここで図1を参照すると、経口投薬形態10は、内部に治療剤を含有する内部コア15を備える。機械的ファスナー20が、内部コア15の少なくとも一部分に配置される。機械的ファスナー20は、内部コア15の表面から延びるループ20aとして示される。ループ20aは、経口投薬形態10が胃腸組織と係合することを補助し得る。
【0085】
いくつかの実施形態において、図1の経口投薬形態は、これらのループを個々のフィラメントに分離するために、さらに加工され得る。図2に図示されるように、経口投薬形態110は、個々のナップ付きフィラメント120bを表す機械的ファスナー120を備える。この実施形態において、個々のフィラメントは、図1のループ20aの頂部を融解して2つの別々のフィラメントを作製することにより、形成され得る。1つのループの融解は、2つの個々のフィラメント120bを作製し得、これらのフィラメントの各々が、その遠位端にナップ125を備える。
【0086】
任意の適切な融解プロセスまたは熱硬化プロセスを使用して、これらのループを2つの別々のフィラメントに分離し得る。さらに、これらのループは、任意の適切な方法(切断、研削、レーザー加工、および超音波の使用が挙げられるが、これらに限定されない)を使用して分離され得る。いくつかの実施形態において、これらのループは、個々に加工され得る。他の実施形態において、1つより多くのループが一度に加工され得る。
【0087】
いくつかの実施形態において、ループを備える経口投薬形態(図1を参照のこと)は、加熱されたシリンダー上を通過させられて、この加熱されたシリンダーと接触するこのループの最遠位部分を融解し得る。いくつかの例において、1つ以上のローラがこの加熱されたシリンダーの近くに配置されて、この経口投薬形態に、この加熱されたシリンダーに向かう方向への圧力を付与し得る。このローラは、経口投薬形態への加圧力を制御するために、垂直に移動させられ得る。この加熱されたシリンダーの温度、この経口投薬形態がこの加熱されたシリンダー上を通過する速度、およびこの経口投薬形態に必要に応じて付与される圧力の量は、経口投薬形態に損傷を与えることなく、各ループが2つの個々のナップ付きフィラメントに融解することを可能にするために、制御され得、そして/または調整され得る。
【0088】
ナップ付きフィラメント120bの近位部分122は、内部コア115の一部分に包埋され、そしてナップ付きフィラメント120bの遠位部分124は、内部コア115の表面から延びる(図2)。ナップ付きフィラメント120bのナップ125は、機械的ファスナー120の表面積を増加させ、これによって、経口投薬形態110が胃腸管内の組織と係合する能力を改善する。
【0089】
図3において、経口投薬形態210は、機械的ファスナー220が配置された内部コア215を備える。機械的ファスナー220は、ほぼV字型の部材を表し、これらの部材は最初、内部コア215により覆われている。胃腸管内の体液への曝露後、内部コア215の外側表面215aが腐食し始める。内部コア215の外側表面の腐食は、この外側表面の下に包埋されていた機械的ファスナー220を露出させる。機械的ファスナー220は最終的に、様々な方向に内部コア215から突出して、経口投薬形態210に多くの角度から組織と係合する能力を提供する。
【0090】
図4A〜図4Cにおいて、経口投薬形態310は、内部コア315、および形状記憶材料から作製された機械的ファスナー320を備える。機械的ファスナー320は、中心ポスト322から延びる複数のアーム323を備える。図4Aの図示において、機械的ファスナー320は、第一の通常に把持しない位置にあり、この位置において、アーム323は、内部コア315の外側表面の輪郭に従う。内部コア315の外側表面の輪郭に従うことによって、アーム323は、この投薬形態の少なくとも1つの表面に一般的な滑らかさを提供し、これによって、この経口投薬形態の嚥下をより容易にし、そして嚥下前の患者に対するより良好な感触を提供する。
【0091】
図4Bに示されるように、中心ポスト322は、内部コア315内に包埋され、そして内部コア315の中心を通過する。中心ポスト322はまた、アーム323の各々に取り付けられる。中心ポスト322は、アーム323を内部コア315に繋留し、そして内部コア315が経時的に分解する際に、内部コア315との接触を維持する。
【0092】
図4Cにおいて、経口投薬形態310が、第二の組織把持位置で示されている。機械的ファスナー320は、特定の刺激またはトリガ(例えば、特定のpHレベルまたは体温)に曝露された後に、第一の通常把持しない位置から、第二の通常組織を把持する位置へと移行し得る。機械的ファスナー320のアーム323は、内部コア315から離れるように上向きおよび外向きに延び、これによって、機械的ファスナー320が胃腸管の組織と係合することを可能にする。治療剤の放出は、内部コアに含有される材料によって、または本明細書中に開示される他の方法によって、制御され得る。
【0093】
図5A〜図5Bに図示されるように、経口投薬形態410は、内部コア415、および形状記憶材料から作製された複数の機械的ファスナー420を備える。各機械的ファスナー420は、内部コア415の一部分に包埋された近位部分422、および内部コア415の表面から延びる遠位部分424を備える。図5Aの図示において、各機械的ファスナー420の遠位部分424は、第一の非把持位置にあり、この位置において、遠位部分424は、実質的に丸まった構成を示す。複数の丸まった機械的ファスナー420は、一般的な滑らかさおよび全体的な丸みを帯びたテクスチャーを、経口投薬形態410の少なくとも1つの表面に提供し、これによって、経口投薬形態410の嚥下をより容易にする。
【0094】
図5Bにおいて、経口投薬形態410は、特定の刺激またはトリガ(例えば、特定のpHレベルまたは体温)への曝露後で示されている。機械的ファスナー420の遠位部分424が、内部コア415から離れるように上向きおよび外向きに延び、これによって、機械的ファスナー420が胃腸管の組織と係合することを可能にする。
【0095】
いくつかの実施形態において、この経口投薬形態は、機械的ファスナーを取り囲む外側保護層を備える。図6Aに示されるように、経口投薬形態510aは、治療剤を含有する内部コア515aを備える錠剤である。機械的ファスナー520aが、内部コア515aの外周を覆って配置される。外側保護層530aは、投薬形態の経口投与の前に、機械的ファスナー520aを完全に取り囲む。
【0096】
外側保護層530aは、胃腸管内で適切な時点で溶解または腐食し、これによって、機械的ファスナー520aを露出させるように設計される。経口投薬形態510aは、保護層530aの外側表面から内向きに、内部コア515aの中心に向かって分解する。従って、保護層530aが最初に分解し、これによって、機械的ファスナー520aを露出させる。露出後、機械的ファスナー520aは、胃腸管内の組織と係合し、そして内部コア515aが胃液に曝露され始める。内部コア515aは、経時的に分解して、治療剤を胃腸管内に放出する。
【0097】
図6Bは、図6Aとほぼ類似であるので、同じである全ての番号および説明は、プライム印で表され、そしてその違いが以下に記載される。図6Bにおいて、経口投薬形態510a’(すなわち、カプセル剤)は、治療剤を含有する内部コア515a’を備える。機械的ファスナー520a’が、内部コア515a’の外周を覆って配置される。外側保護層530a’は、機械的ファスナー520a’を取り囲む。2片カプセル580が、保護層530’の外周を覆って配置される。
【0098】
図7に示される実施形態において、経口投薬形態610は、複数の内部コア615a〜615cを備える。各内部コアが、その表面に配置された機械的ファスナー620a〜620cを備える。経口投薬形態610は、外側保護層630をさらに備え、この外側保護層は、機械的ファスナー620a〜620c、および3つ全ての内部コア615a〜615cを取り囲む。外側保護層630の腐食または分解後、内部コア615a〜615cが解放され、そして胃腸管を通って自由に循環することが想定される。複数の内部コア630a〜630cは、個々の方式で胃腸管の組織と係合し得、潜在的に、胃腸管のより大きい領域を同時に処置し得る。
【0099】
図8において、経口投薬形態710は再度、複数の内部コア715a〜715cを備える。各内部コア715a〜715cは、複数の機械的ファスナー720a〜720cを備える。第一の外側保護層730aおよび730cが、それぞれ機械的ファスナー720aおよび720cを取り囲む。第二の外側保護層740が、機械的ファスナー720b、ならびに第一の外側保護層730aおよび730cを取り囲む。第二の外側保護層の分解の際に、複数の内部コアが解放されることが想定される。第一の外側保護層を備える内部コアは、胃腸組織と係合して治療剤を放出することを遅延させ得る。第一の外側保護層を備えない内部コアは、解放の際に即時に、胃腸組織と係合し得る。
【0100】
いくつかの実施形態(例えば、図9に示される実施形態)において、経口投薬形態810は、第一の部分814および第二の部分819を備える。第一の部分814は、第一の外側保護層830で覆われた内部コア815を備える。第二の部分819は、経口投与のための第二の外側保護層840で覆われた機械的ファスナー820を備える。ファスナー820は、第二の外側保護層840内に包埋される。第二の外側保護層840の分解は、内部コア815の表面でファスナー820を露出させる。接着剤850が、第一の部分814と第二の部分819との間に配置されて、経口投薬形態810を形成する。第一の外側保護層および第二の外側保護層は、同じ材料から作製されても異なる材料から作製されてもよいことが想定される。
【0101】
図10A〜図10Dに図示されるように、経口投薬形態910が経口投与されて、胃腸管の組織975と係合させられ、治療剤917を放出する順序が示されている。経口投薬形態910は、治療剤917を含有する内部コア915を備える。内部コア915は、機械的ファスナー920を備える。これらの機械的ファスナーの少なくとも一部分は、保護層930で覆われている。最初に、経口投薬形態910が患者に経口投与される。図10Bにおいて、胃腸管の一部分を通過する間に、保護層930が分解または腐食により除去されて、機械的ファスナー920を露出させ得る。図10Cに示されるように、機械的ファスナー920は、胃腸管の組織975と係合し得、これによって、経口投薬形態910の胃腸管を通る前進を遅らせ得る。図示されるように、機械的ファスナー920は、経口投薬形態910を胃腸管の組織975に一時的に付着させる。組織975と係合している間、内部コア915は、治療剤917を胃腸管内に放出し始め得、この胃腸管がこの治療剤を吸収し得る。ある長さの時間の後に、機械的ファスナー920は、身体または胃腸管の運動性による分解によって弱まり得る。図10Dに図示されるように、経口投薬形態910は、外れ得るか、または胃腸管の組織とさらに係合することが不可能になり得る。経口投薬形態910は、最終的に、身体により完全に吸収され得るか、または結腸を通して排出され得る。
【0102】
本明細書中に記載される経口投薬形態は、治療剤を哺乳動物患者の胃腸管の一部分に送達するために適切である。任意の適切な経口送達方法が利用され得る。1つのこのような方法は、少なくとも1つの治療剤を含有する内部コアを備え、そして胃腸管内の組織と係合するための少なくとも1つの機械的ファスナーを有し、保護層がこの少なくとも1つの機械的ファスナーを取り囲んでいる、経口投薬形態を投与する工程を包含する。投与後、体液との相互作用がこの保護層を分解し、そしてこの少なくとも1つの機械的ファスナーを、胃腸管の一部分に対して露出させる。次いで、これらの機械的ファスナーが、この経口投薬形態を胃腸管の組織に付着させ、そしてこの内部コアの分解が、少なくとも1つの治療剤を放出する。
【0103】
種々の改変が、本明細書中に開示された実施形態に対してなされ得ることが理解される。例えば、任意の種々の内部コア材料および外側保護層が、本明細書中に記載される経口投薬形態を形成する際に使用され得る。別の例として、機械的ファスナーもまた、少なくとも1つの治療剤を含有し得る。従って、当業者は、特許請求の範囲の趣旨および範囲内で、他の改変を予測する。
【符号の説明】
【0104】
110 経口投薬形態
115 内部コア
120 機械的ファスナー
120b ナップ付きフィラメント
122 近位部分
124 遠位部分
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、2009年11月20日に出願された米国仮出願番号61/262,963の利益および優先権を主張する。この米国仮出願の全開示は、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(技術分野)
本開示は、一般に、治療剤の送達に関し、そしてより特定すると、内部コア、治療剤、および胃腸管の組織と係合するための機械的ファスナーを備える、治療剤の送達のための経口投薬形態に関する。
【背景技術】
【0003】
経口投薬形態の自己投与はしばしば、非コンプライアンスの問題を伴い得る。いく人かの患者は、特定の投薬形態の味または感触が好きではないかもしれない一方で、他の患者は単に、経口投与治療剤を適切な時間に服用することを忘れるかもしれない。
【0004】
研究は、適切な薬物適用が処方されている患者のうちの約半分が、処置に対する不充分な指標遵守度に起因して、充分な利益を受けないことを示唆する。長期間の治療に対する乏しい指標遵守度の結果としては、損なわれた処置、乏しい健康上の結果、および増大した健康管理費用が挙げられ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
経口投与される薬物適用の従来の自己投与に代わり得る経口投薬形態を提供することが有利である。頻度が少ない自己投与を必要とする経口投薬形態は、コンプライアンスを改善し得、これによって、処置の選択肢および健康上の結果を改善し得、一方で、健康管理費用を減少させ得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
少なくとも1つの治療剤を含有する内部コア;および
該内部コアの少なくとも一部分に配置された少なくとも1つの機械的ファスナー、
を備える、経口投薬形態。
(項目2)
前記内部コアが、前記少なくとも1つの治療剤の即時放出を提供する、上記項目に記載の経口投薬形態。
(項目3)
前記内部コアが、前記少なくとも1つの治療剤の放出を遅延させる、上記項目のうちのいずれかに記載の経口投薬形態。
(項目4)
前記内部コアが、前記少なくとも1つの治療剤の放出を持続させる、上記項目のうちのいずれかに記載の経口投薬形態。
(項目5)
前記少なくとも1つの機械的ファスナーが、少なくとも1つのフィラメントを備える、上記項目のうちのいずれかに記載の経口投薬形態。
(項目6)
前記少なくとも1つの機械的ファスナーが、ループ、棘、V字型フィラメント、フック型フィラメント、ナップ付きフィラメント、まっすぐなフィラメント、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、上記項目のうちのいずれかに記載の経口投薬形態。
(項目7)
前記少なくとも1つのフィラメントが第一の位置および第二の位置を有する、上記項目のうちのいずれかに記載の経口投薬形態。
(項目8)
前記少なくとも1つのフィラメントの前記第一の位置が、通常把持しない位置である、上記項目のうちのいずれかに記載の経口投薬形態。
(項目9)
前記少なくとも1つのフィラメントの前記第二の位置が、通常組織を把持する位置である、上記項目のうちのいずれかに記載の経口投薬形態。
(項目10)
前記少なくとも1つの機械的ファスナーが、形状記憶材料から作製されている、上記項目のうちのいずれかに記載の経口投薬形態。
(項目11)
前記形状記憶材料が、形状記憶ポリマー、形状記憶合金およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、上記項目のうちのいずれかに記載の経口投薬形態。
(項目12)
前記投薬形態が、丸剤、錠剤、カプセル剤、カプレット、カシェ剤および小丸剤からなる群より選択される、上記項目のうちのいずれかに記載の経口投薬形態。
(項目13)
前記少なくとも1つの機械的ファスナーを取り囲む外側保護層をさらに備える、上記項目のうちのいずれかに記載の経口投薬形態。
(項目14)
前記外側保護層が、前記機械的ファスナーの露出を遅延させる、上記項目のうちのいずれかにに記載の経口投薬形態。
(項目15)
前記外側保護層が、少なくとも1つの治療剤をさらに含有する、上記項目のうちのいずれかにに記載の経口投薬形態。
(項目16)
複数の内部コアであって、各内部コアが少なくとも1つの治療剤を含有し、そして該複数の内部コアのうちの少なくとも1つの少なくとも一部分に配置された、複数の機械的ファスナーを有する、複数の内部コア;および
該複数の機械的ファスナーを取り囲む第一の外側保護層、
を備える、上記項目のうちのいずれかに記載の経口投薬形態。
(項目17)
第二の外側保護層であって、前記複数の機械的ファスナーの少なくとも一部分、および前記第一の外側保護層の少なくとも一部分を取り囲む、第二の外側保護層、
を備える、上記項目のうちのいずれかにに記載の経口投薬形態。
(項目18)
哺乳動物患者の胃腸管の一部分に治療剤を送達するためのシステムであって、
経口投薬形態を備え、該経口投薬形態は、少なくとも1つの治療剤を含有する内部コアを備え、そして該胃腸管の組織と係合するための少なくとも1つの機械的ファスナーを有し、保護層が、該少なくとも1つの機械的ファスナーを取り囲んでおり;該少なくとも1つの機械的ファスナーは、該胃腸管の一部分の内側で露出するように構成されており;該内部コアは、該少なくとも1つの治療剤を放出するように構成されている、
システム。
(項目19)
少なくとも1つの治療剤を含有する内部コア;および
該内部コアの少なくとも一部分に配置された少なくとも1つの機械的ファスナーであって、該機械的ファスナーは、第一の非把持位置と第二の組織把持位置との間で移行可能である、機械的ファスナー、
を備える、経口投薬形態。
(項目20)
哺乳動物患者の胃腸管の一部分に治療剤を送達する方法であって、
経口投薬形態を投与する工程であって、該経口投薬形態は、少なくとも1つの治療剤を含有する内部コアを備え、そして該胃腸管の組織と係合するための少なくとも1つの機械的ファスナーを有し、保護層が、該少なくとも1つの機械的ファスナーを取り囲んでいる、工程;
該少なくとも1つの機械的ファスナーを該胃腸管の一部分の内側で露出させる工程;
該経口投薬形態を該胃腸管の組織に付着させる工程;ならびに
該少なくとも1つの治療剤を放出する工程、
を包含する、方法。
【0007】
(摘要)
治療剤の送達のための経口投薬形態は、胃腸管の組織と係合するための機械的ファスナーを備える。
【0008】
(要旨)
本開示に従う経口投薬形態は、胃腸管の組織と係合し、そしてこの胃腸管における経口投薬形態の活性を延長することによって、治療剤の送達を持続し得る。これらの経口投薬形態は、少なくとも1つの内部コアおよび少なくとも1つの機械的ファスナーを備える。この内部コアは、少なくとも1つの治療剤を含有する。この機械的ファスナーは、この内部コアの少なくとも一部分に配置され、この投薬形態に、胃腸管の組織と係合する能力を提供する。
【0009】
ある実施形態において、これらの機械的ファスナーは、この内部コアの少なくとも一部分に配置され得、ここでこの機械的ファスナーは、第一の非把持位置と第二の組織把持位置との間での移行が可能である。
【0010】
特定の実施形態において、これらの経口投薬形態は、外側保護層をさらに備え、この外側保護層は、これらの機械的ファスナーの少なくとも一部分を覆う。ある実施形態において、この外側保護層は、これらの機械的ファスナーを完全に取り囲み得る。他の実施形態において、この外側保護層は、この内部コアを完全に取り囲む。
【0011】
他の実施形態において、この経口投薬形態は、複数の内部コアを備え、各内部コアが1つの治療剤を含有する。これらの実施形態に従う投薬形態は、これらの複数の内部コアの各々の少なくとも一部分に配置された複数の機械的ファスナー、およびこれらの機械的ファスナーを取り囲む少なくとも1つの外側保護層を備える。
【0012】
なお他の実施形態において、本開示に従って、経口投薬形態は、複数の内部コアを備え、これらの内部コアが治療剤を含有し、そして各々が複数の機械的ファスナーを有し、そして第一の外側保護層が、これらの複数の内部コアのうちの少なくとも1つの機械的ファスナーのうちの少なくとも1つを取り囲む。これらの実施形態に従う投薬形態は、第二の外側保護層をさらに備え、この第二の外側保護層は、この第一の外側保護層と、これらの複数の内部コアのうちの少なくとも1つとを取り囲む。
【0013】
治療剤を送達するための方法もまた開示される。
【0014】
本開示の種々の実施形態が、選択された実施形態および添付の図面と組み合わせて、以下でより詳細に議論される。
【発明の効果】
【0015】
経口投与される薬物適用の従来の自己投与に代わり得る経口投薬形態を提供すること。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本開示による経口投薬形態の1つの実施形態の斜視図を示す。
【図2】図2は、本開示による経口投薬形態の別の実施形態の斜視図を示す。
【図3】図3は、本開示による経口投薬形態のさらに別の実施形態の斜視図を示す。
【図4A】図4Aは、本開示による経口投薬形態のなお別の実施形態の斜視図を示す。
【図4B】図4Bは、図4Aに示される経口投薬形態の断面図を示す。
【図4C】図4Cは、本開示による経口投薬形態のなお別の実施形態の斜視図を示す。
【図5A】図5Aは、本開示による経口投薬形態のなお別の実施形態の側面図を示す。
【図5B】図5Bは、本開示による経口投薬形態のなお別の実施形態の側面図を示す。
【図6A】図6Aは、経口投薬形態が本開示による錠剤である1つの実施形態の斜視図を示す。
【図6B】図6Bは、経口投薬形態が本開示によるカプセル剤である1つの実施形態の側面図を示す。
【図7】図7は、本開示による経口投薬形態の別の実施形態の側面図を示す。
【図8】図8は、本開示による経口投薬形態のなお別の実施形態の側面図を示す。
【図9】図9は、本開示による経口投薬形態のさらに別の実施形態の斜視図を示す。
【図10A】図10A〜図10Dは、経口治療剤を機械的に固定し送達する順序を示す。
【図10B】図10A〜図10Dは、経口治療剤を機械的に固定し送達する順序を示す。
【図10C】図10A〜図10Dは、経口治療剤を機械的に固定し送達する順序を示す。
【図10D】図10A〜図10Dは、経口治療剤を機械的に固定し送達する順序を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示に従う経口投薬形態は、内部コア、および胃腸管に沿った組織と係合するための少なくとも1つの機械的ファスナーを備える。この内部コアは、少なくとも1つの治療剤を含有する。この少なくとも1つの機械的ファスナーは、この内部コアの一部分に配置される。ある実施形態において、この経口投薬形態は、外側保護層をさらに備え得、この外側保護層は、この少なくとも1つの機械的ファスナーを取り囲む。さらに他の実施形態において、これらの経口投薬形態は、1つより多くの外側保護層を備え得る。
【0018】
いくつかの実施形態において、本明細書中に記載される経口投薬形態は、胃腸管の任意の部分(口腔、食道、胃、十二指腸、空腸、回腸、大腸、S状結腸、直腸、および肛門が挙げられる)に沿って分解するように設計され得る。用語「分解」とは、胃腸管の内側での経口投薬形態の分解をいい、そして他の類似の用語(例えば、溶解、腐食、吸収、崩壊など)を包含することを意図される。本明細書中で議論される他の実施形態において、経口投薬形態は、治療剤を放出し得、引き続いて胃腸管から分離し得、そして自然の経路を介して身体から排出される。
【0019】
本明細書中に記載される経口投薬形態は、この投薬形態の外側表面から内部コアの中心に向かって内向きに分解し得る。しかし、ある実施形態において、本発明の経口投薬形態は、徐放性処方物(例えば、浸透圧ポンプ)を提供し、そしてこれらの経口投薬形態は、微細な穴を備え得、この穴は、この経口投薬形態が内側から外向きに経時的にゆっくりと分解することを可能にし、これによって、治療剤をこの内部コアの内側からこの穴を通して外向きに通過させる。
【0020】
これらの経口投薬形態は、内部コアを備え、この内部コアは、この治療剤の開始および放出特徴を制御し得る。この内部コアは、即時放出、遅延放出、徐放、または放出プロフィールの任意の組み合わせによって、治療剤を送達し得る。
【0021】
「即時」放出および「遅延」放出とは、治療剤の投与に関連する放出の開始をいう。「即時」とは、投与後比較的短い時間(例えば、数分以下)以内で開始する治療剤の放出をいう。「遅延」とは、投与後のある程度の期間(例えば、遅滞時間であり、代表的に、比較的長い期間(例えば、1時間より長時間))延期され得、その後に開始または誘発され得る、治療剤の放出をいう。
【0022】
「持続」とは、進行中の放出の期間をいい、そして用量放出プロフィールの形状がどのようなものであれ、治療剤の送達が最初の開始後の延長された期間(代表的に、1時間より長時間)にわたって進行する(連続するかまたは持続される)ことを意味する。例えば、治療剤の放出は、ある比較的長い期間(すなわち、1週間、1ヶ月、1年)にわたって、最大値と最小値(0より大きい)との間で持続され得る。この放出は、一定の用量においてであり得るか、または経時的に減少もしくは漸減する用量においてであり得る。
【0023】
内部コアは、コアシードまたはマトリックスであり得る。コアシードは、糖球(微結晶セルロースから作製された球)および任意の適切な薬物結晶であり得る。例示的な内部コアは、糖コアを含み得る。例示的なマトリクスとしては、親水性マトリックスが挙げられる。親水性マトリックスを形成するために有用な材料のいくつかの非限定的な例としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(ビニルアルコール)、キサンタンガム、カルボマー、カラゲナンおよびズーグラン(zooglan)が挙げられる。他の類似の親水性ポリマーもまた使用され得る。
【0024】
いくつかの実施形態において、内部コアは、治療剤の即時放出を可能にする材料を含有し得る。治療剤の即時放出は、当業者に公知である種々の方法のうちのいずれかを使用して、内部コアから起こり得る。例えば、内部コアは、非常に薄い層、または非常に水溶性である材料、またはその薄さにより胃液が急激に浸透し、治療剤の迅速な浸出を可能にする材料のコーティングを備え得る。別の例としては、胃液中で迅速に溶解してこの材料が溶解するにつれて治療剤を放出する、支持結合剤または他の不活性材料を含む混合物中に、治療剤を組み込むことによってであり得る。第三の例としては、胃液との接触の際に迅速に崩壊して、材料と治療剤との両方が小粒子として流体中に急激に分散する、支持結合剤または他の不活性材料の使用が挙げられ得る。迅速に崩壊し分散する材料の例は、ラクトースおよび微結晶セルロースである。懸濁剤および結合剤の例は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
【0025】
他の実施形態において、この内部コアは、治療剤の放出を遅延させるために適切な材料(例えば、腸溶マトリックスおよび/または腸溶コーティングを形成する際に使用される材料)を含有し得る。治療剤の遅延放出のための腸溶マトリックスまたは腸溶コーティングは、pH依存性であってもpH非依存性であってもよい。ある実施形態において、腸溶コーティングは、胃内で内部コアを保護し得、一方で、内部コアおよび治療剤の曝露または吸収のために大腸または小腸内で分解し得る。pH依存性である腸溶マトリックスまたは腸溶コーティングは、既知のpH範囲内で活性化して治療剤を放出し得、このpH範囲は、代表的に、遅延放出が望まれる環境の局所pHと一致する。例示的なpH依存性コーティングは、酢酸フタル酸セルロース、酢酸トリメリト酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸フタル酸ポリビニル、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルエチルセルロース、共重合したメタクリル酸/メタクリル酸メチルエステルなどの材料を含有し得る。これらの材料のうちのいくつかはまた、商標名EUDRAGIT(登録商標)L12.5、L100、またはEUDRAGIT(登録商標)S12.5、S100のもとで公知であり得るか、あるいは腸溶コーティングを得るために使用される類似の化合物であり得る。水性コロイド状ポリマー分散物または再分散物(例えば、EUDRAGIT(登録商標)L30D−55、EUDRAGIT(登録商標)L100−55、EUDRAGIT(登録商標)S100、EUDRAGIT(登録商標)調製物4110D(Rohm Pharma);AQUATERIC(登録商標)、AQUACOAT(登録商標)CPD30(FMC);KOLLICOAT MAE(登録商標)30Dおよび30DP(BASF);EASTACRYL(登録商標)30D(Eastman Chemical))もまた適用され得る。
【0026】
pH依存性のコーティングまたはマトリックスは、既知のpH範囲内で活性化せずに治療剤を放出する材料を含有する。いくつかの実施形態において、pH非依存性コーティングとしては、腸管細菌におけるアゾレダクターゼによる酵素活性化を受けやすくあり得る材料(例えば、アゾポリマー)、または結腸内のポリサッカリダーゼ(polysaccharidase)による分解を受けやすい材料(例えば、天然多糖類)が挙げられる。アゾポリマーの非限定的な例としては、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA)とメタクリル酸メチル(MMA)とのコポリマーが挙げられる。天然多糖類の非限定的な例としては、アミロース、キトサン、コンドロイチン、デキストラン、およびキシランが挙げられる。
【0027】
さらに他の実施形態において、この内部コアは、治療剤の徐放のために適切な材料を含有し得る。適切な材料のいくつかの例としては、徐放コーティング、徐放マトリックス、および徐放浸透圧系が挙げられるが、これらに限定されることは意図されない。徐放コーティングは、水不溶性ポリマー、水不溶性ポリマーの組み合わせ、または水不溶性ポリマーと水溶性ポリマーとの組み合わせを使用して調製され得る。処方の分野の当業者に周知である従来の徐放性ポリマーが、徐放マトリックスのために使用され得る。
【0028】
例示的な徐放性マトリックスおよび/または徐放性コーティングとしては、ポリ酢酸ビニル、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、エチルセルロース、脂肪酸およびそのエステル、アルキルアルコール、蝋、セレシン、カゼイン、パラフィン、ゼラチン−ホルムアルデヒド、ケラチン、グルテン、ゼイン(トウモロコシ由来のプロラミン)、ならびに水性ポリマー分散物(例えば、EUDRAGIT(登録商標)RSおよびRL30D、EUDRAGIT(登録商標)NE30D、AQUACOAT(登録商標)、SURELEASE(登録商標)、KOLLICOAT(登録商標)SR30D、および酢酸セルロースラテックス)が挙げられ得る。
【0029】
用語「経口投薬形態」とは、口腔を介した投与または消費を意図された、少なくとも1つの治療剤の物理的形態をいう。経口投薬形態のいくつかの通常の非限定的な例としては、丸剤、錠剤、カプセル剤、カシェ剤、小丸剤、またはカプレットが挙げられる。本明細書中に記載される経口投薬形態の各々は、少なくとも1つの治療剤を含有する少なくとも1つの内部コア、およびこの内部コアの一部分に配置された少なくとも1つの機械的ファスナーを備える。
【0030】
ある実施形態において、これらの経口投薬形態は、複数の内部コアを備え得る。このような実施形態において、各内部コアは、少なくとも1つの治療剤を含有し得る。いくつかの実施形態において、各内部コアは、異なる治療剤を含有し得る。さらに他の実施形態において、各内部コアは、同じ治療剤を含有し得る。この治療剤は、各内部コアにおいて、等しい量で使用されても異なる量で使用されてもよい。
【0031】
用語「治療剤」とは、本明細書中で使用される場合、その最も広い意味で使用され、そして臨床用途を提供する任意の物質または物質混合物を包含する。治療剤は、治療効果または予防効果を提供する任意の薬剤、組織成長、細胞成長、細胞分化に影響を与えるかまたは関与する化合物、生物学的作用(例えば、免疫応答)を惹起することが可能であり得る化合物であり得るか、あるいは1つ以上の生物学的プロセスにおいて他の任意の役割を果たし得る。
【0032】
本開示に従って利用され得る治療剤の例としては、薬物、アミノ酸、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、多糖類、ムテイン、免疫グロブリン、抗体、サイトカイン(例えば、リンホカイン、モノカイン、ケモカイン)、血液凝固因子(blood clotting factor)、造血因子、インターロイキン(1〜18)、インターフェロン(β−IFN、α−IFNおよびγ−IFN)、エリスロポイエチン、ヌクレアーゼ、腫瘍壊死因子、コロニー刺激因子(例えば、GCSF、GM−SCF、MCSF)、インスリン、抗腫瘍因子および腫瘍抑制因子、血液タンパク質、フィブリン、トロンビン、フィブリノゲン、合成トロンビン、合成フィブリン、合成フィブリノゲン、性腺刺激ホルモン(例えば、FSH、LH、CGなど)、ホルモンおよびホルモンアナログ(例えば、成長ホルモン、黄体化ホルモン放出因子)、ワクチン(例えば、腫瘍抗原、細菌抗原およびウイルス抗原);ソマトスタチン;抗原;血液凝固因子(blood coagulation factor);成長因子(例えば、神経発育因子、インスリン様成長因子);骨形成タンパク質、TGF−β、タンパク質インヒビター、タンパク質アンタゴニスト、およびタンパク質アゴニスト;核酸(例えば、アンチセンス分子、DNA、RNA、RNAi);オリゴヌクレオチド;ポリヌクレオチド;細胞、ウイルス、およびリボザイムが挙げられる。
【0033】
ある実施形態において、治療剤は、以下の薬物のうちの少なくとも1種(これらの薬物の組み合わせならびに代替の形態(例えば、代替の塩形態、遊離酸形態、遊離塩基形態、プロドラッグおよび水和物)を含む)を含有し得る:例えば、鎮痛薬/解熱薬(例えば、アスピリン、ガバペンチン、プレガバリン(pregabalin)、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ナプロキセンナトリウム、ブプロノルフィン、プロポキシフェン塩酸塩、プロポキシフェンナプシレート、メペリジン塩酸塩、ヒドロモルホン塩酸塩、モルヒネ、オキシコドン、コデイン、ジヒドロコデイン酒石酸水素塩、ペンタゾシン、ヒドロコドン酒石酸水素塩、レボルファノール、ジフルニサル、サリチル酸トロラミン、ナルブフィン塩酸塩、メフェナム酸、ブトルファノール、サリチル酸コリン、ブタルビタール、フェニルトロキサミンクエン酸塩、ジフェンヒドラミンクエン酸塩、メトトリメプラジン、シンナメドリン塩酸塩、カプサイシンおよびメプロバメート);喘息治療薬(例えば、ケトチフェンおよびトラキサノクス);抗生物質(例えば、ネオマイシン、ストレプトマイシン、クロラムフェニコール、セファロスポリン、アンピシリン、ペニシリン、テトラサイクリンおよびシプロフロキサシン);抗うつ薬(例えば、ネフォパム、オキシペルチン、ドキセピン、アモキサピン、トラゾドン、アミトリプチリン、マプロチリン、フェネルジン、デシプラミン、ノルトリプチリン、トラニルシプロミン、フルオキセチン、ドキセピン、イミプラミン、イミプラミンパモ酸塩(imipramine pamoate)、イソカルボキサジド、トリミプラミンおよびプロトリプチリン);糖尿病治療薬(例えば、ビグアナイド類およびスルホニルウレア誘導体);抗真菌剤(例えば、グリセオフルビン、ケトコナゾール、イトラコナゾール、アムホテリシンB、ナイスタチンおよびカンジシジン);抗高血圧薬(例えば、プロパノロール、プロパフェノン、オキシプレノロール、ニフェジピン、レセルピン、トリメタファン、フェノキシベンザミン、パルギリン塩酸塩、デセルピジン、ジアゾキシド、グアネチジン一硫酸塩、ミノキシジル、レシナミン、ニトロプルシドナトリウム、インドジャボク、アルセロキシロンおよびフェントラミン);抗炎症薬(例えば、(非ステロイド性)インドメタシン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、ナプロキセン、イブプロフェン、ラミフェナゾン、ピロキシカム、(ステロイド性)コルチゾン、デキサメタゾン、フルアザコート、セレコキシブ、ロフェコキシブ、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロンおよびプレドニゾン);抗腫瘍薬(例えば、シクロホスファミド、アクチノマイシン、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、マイトマイシン、メトトレキサート、フルオロウラシル、ゲムシタビン、カルボプラチン、カルムスチン(BCNU)、メチル-CCNU、シスプラチン、エトポシド、カンプトテシンおよびその誘導体、フェネステリン、パクリタキセルおよびその誘導体、ドセタキセルおよびその誘導体、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ゴセレリン、ロイプロリド、タモキシフェン、インターフェロンα、レチノイン酸(ATRA)、ナイトロジェンマスタードアルキル化剤、ならびにピポスルファン);抗不安剤(例えば、ロラゼパム、ブスピロン、プラゼパム、クロルジアゼポキシド、オキサゼパム、クロラゼペート二カリウム、ジアゼパム、ヒドロキシジンパモ酸塩、ヒドロキシジン塩酸塩、アルプラゾラム、ドロペリドール、ハラゼパム、クロルメザノンおよびダントロレン);免疫抑制剤(例えば、シクロスポリン、アザチオプリン、ミゾリビンおよびFK506(タクロリムス));抗片頭痛剤(例えば、エルゴタミン、プロパノロール、ムチン酸イソメテプテンおよびジクロラルフェナゾン):鎮静薬/催眠薬(例えば、バルビツール酸類(例えば、ペントバルビタール、ペントバルビタールおよびセコバルビタール);およびベンゾジアゼピン(benzodiazapine)類(例えば、フラゼパム塩酸塩、トリアゾラムおよびミダゾラム));抗狭心症剤(例えば、βアドレナリン遮断薬;カルシウムチャネル遮断薬(例えば、ニフェジピンおよびジルチアゼム);および硝酸類(ニトログリセリン、イソソルビドジニトレート、ペンタエリスリトール(pentearythritol)テトラニトレートおよびエリスリチルテトラニトレート);抗精神病剤(例えば、ハロペリドール、ロキサピンコハク酸塩、ロキサピン塩酸塩、チオリダジン、チオリダジン塩酸塩、チオチキセン、フルフェナジン、フルフェナジンデカン酸塩、フルフェナジンエナンタート、トリフルオペラジン、クロルプロマジン、ペルフェナジン、クエン酸リチウムおよびプロクロルペラジン);抗躁病剤(例えば、炭酸リチウム);抗不整脈薬(例えば、ブレチリウムトシル酸塩、エスモロール、ベラパミル、アミオダロン、エンカイニド、ジゴキシン、ジギトキシン、メキシレチン、ジソピラミドリン酸塩、プロカインアミド、キニジン硫酸塩、キニジングルコン酸塩、キニジンポリガラクツロネート、フレカイニドアセテート、トカイニドおよびリドカイン);関節炎治療剤(例えば、フェニルブタゾン、スリンダク、ペニシラミン(penicillanine)、サルサレート、ピロキシカム、アザチオプリン、インドメタシン、メクロフェナメート、金チオリンゴ酸ナトリウム、ケトプロフェン、オーラノフィン、オーロチオグルコースおよびトルメチンナトリウム);痛風治療剤(例えば、コルヒチンおよびアロプリノール);抗凝固薬(例えば、ヘパリン、ヘパリンナトリウムおよびワーファリンナトリウム);血栓溶解剤(例えば、ウロキナーゼ、ストレプトキナーゼおよびアルテプラーゼ);抗線維素溶解剤(例えば、アミノカプロン酸);血液レオロジー剤(例えば、ペントキシフィリン);抗血小板剤(例えば、アスピリン);鎮痙薬(例えば、バルプロ酸、ジバルプロックスナトリウム、フェニトイン、フェニトインナトリウム、クロナゼパム、プリミドン、フェノバルビタール(phenobarbitol)、カルバマゼピン、アモバルビタールナトリウム、メトスクシミド、メタルビタール、メフォバルビタール、メフェニトイン、フェンスクシミド、パラメタジオン、エトトイン、フェナセミド、セコバルビタールナトリウム、クロラゼペート二カリウム塩およびトリメタジオン);抗パーキンソン剤(例えば、エトスクシミド);抗ヒスタミン/止痒剤(例えば、ヒドロキシジン、ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミン、マレイン酸ブロモフェニラミン、シプロヘプタジン塩酸塩、テルフェナジン、フマル酸クレマスチン、トリプロリジン、カルビノキサミン、ジフェニルピラリン、フェニンダミン、アザタジン、トリペレナミン、マレイン酸デキシクロルフェニラミン(dexchlorphenirarnine maleate)およびメトジラジン);カルシウム調節に有用な薬剤(例えば、カルシトニンおよび副甲状腺ホルモン);抗細菌剤(例えば、硫酸アミカシン、アズトレオナム、クロラムフェニコール、クロラムフェニコールパルミチン酸塩、シプロフロキサシン、クリンダマイシン、クリンダマイシンパルミチン酸塩、クリンダマイシンリン酸塩、メトロニダゾール、メトロニダゾール塩酸塩、ゲンタマイシン硫酸塩、リンコマイシン塩酸塩、トブラマイシン硫酸塩、バンコマイシン塩酸塩、ポリミキシンB硫酸塩、コリスチメテートナトリウムおよびコリスチン硫酸塩);抗ウイルス剤(例えば、インターフェロンα、βまたはγ、ジドブジン、アマンタジン塩酸塩、リバビリンおよびアシクロビル);抗微生物剤(例えば、セファロスポリン類(例えば、セファゾリンナトリウム、セフラジン、セファクロル、セファピリンナトリウム、セフチゾキシムナトリウム、セフォペラゾンナトリウム、セフォテタン二ナトリウム、セフロキシムアキセチル、セフォタキシムナトリウム、セファドロキシル一水和物、セファレキシン、セファロチンナトリウム、塩酸セファレキシン一水和物、セファマンドールナフテート(naftate)、セフォキシチンナトリウム、セフォニシドナトリウム、セフォラニド、セフトリアキソンナトリウム、セフタジジム、セファドロキシル、セフラジンおよびセフロキシムナトリウム);ペニシリン類(例えば、アンピシリン、アモキシシリン、ペニシリンGベンザチン、シクラシリン、アンピシリンナトリウム、ペニシリンGカリウム、ペニシリンVカリウム、ピペラシリンナトリウム、オキサシリンナトリウム、バカンピシリン塩酸塩、クロキサシリンナトリウム、チカルシリン二ナトリウム、アズロシリンナトリウム、カルベニシリンインダニルナトリウム、ペニシリンGプロカイン、メチシリンナトリウムおよびナフシリンナトリウム);エリスロマイシン類(例えば、エリスロマイシンエチルコハク酸塩、エリスロマイシン、エリスロマイシンエストレート、エリスロマイシンラクトビオン酸塩、エリスロマイシンステアリン酸塩およびエリスロマイシンエチルコハク酸塩);およびテトラサイクリン類(例えば、テトラサイクリン塩酸塩、ドキシサイクリン塩酸塩(hyclate)およびミノサイクリン塩酸塩、アジスロマイシン、クラリスロマイシン));抗感染剤(例えば、GM−CSF);気管支拡張薬(例えば、交感神経作用薬(例えば、エピネフリン塩酸塩、メタプロテレノール硫酸塩、テルブタリン硫酸塩、イソエタリン、イソエタリンメシル酸塩、イソエタリン塩酸塩、アルブテロール硫酸塩、アルブテロール、ビトルテロルメシレート、イソプレテレノール塩酸塩、テルブタリン硫酸塩、エピネフリン酒石酸水素塩、メタプロテレノール硫酸塩、エピネフリンおよびエピネフリン酒石酸水素塩);抗コリン作用薬(例えば、臭化イプラトロピウム);キサンチン類(例えば、アミノフィリン、ジフィリン、メタプロテレノール硫酸塩、およびアミノフィリン);肥満細胞安定化剤(例えば、クロモリンナトリウム);吸入用コルチコステロイド(例えば、二プロピオン酸ベクロメタゾン(BDP)および二プロピオン酸ベクロメタゾン一水和物);サルブタモール;臭化イプラトロピウム;ブデソニド;ケトチフェン;サルメテロール;キナフォエート;テルブタリン硫酸塩;トリアムシノロン;テオフィリン;ネドクロミルナトリウム;メタプロテレノール硫酸塩;アルブテロール;フルニソリド;プロピオン酸フルチカゾン);ステロイド性の化合物およびホルモン(例えば、アンドロゲン類(例えば、ダナゾール、テストステロンシピオン酸塩、フルオキシメステロン、エチルテストステロン、エナント酸テストステロン、メチルテストステロン、フルオキシメステロンおよびテストステロンシピオン酸塩);エストロゲン類(例えば、エストラジオール、エストピペートおよび結合型エストロゲン);プロゲスチン類(例えば、酢酸メトキシプロゲステロン(methoxy progesteroneacetate)、および酢酸ノルエチンドロン);コルチコステロイド類(例えば、トリアムシノロン、ベタメタゾン、リン酸ベタメタゾンナトリウム、デキサメタゾン、リン酸デキサメタゾンナトリウム、酢酸デキサメタゾン、プレドニゾン、酢酸メチルプレドニゾロン懸濁液、トリアムシノロンアセトニド、メチルプレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム、トリアムシノロンヘキサセトニド、ヒドロコルチゾン、シピオン酸ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、酢酸フルドロコルチゾン、酢酸パラメタゾン、プレドニゾロンテブテート、酢酸プレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、およびコハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム;および甲状腺ホルモン(例えば、レボチロキシンナトリウム));血糖降下薬剤(例えば、ヒトインスリン、精製ウシインスリン、精製ブタインスリン、グリブリド、クロルプロパミド、グリピジド、トルブタミド、およびトラザミド);高脂質血症薬剤(例えば、クロフィブレート、デキストロサイロキシンナトリウム、プロブコール、プラバスタチン(pravastitin)
、アトルバスタチン、ロバスタチン、およびナイアシン(niacin));タンパク質(例えば、DNアーゼ、アルギナーゼ、スーパーオキシドジスムターゼ、およびリパーゼ);核酸(例えば、治療上有用な任意のタンパク質(本明細書中に記載されるタンパク質のいずれかが挙げられる)をコードするセンス核酸またはアンチセンス核酸);赤血球生成刺激のために有用な薬剤(例えば、エリスロポイエチン);抗潰瘍/抗逆流剤(例えば、ファモチジン、シメチジン、および塩酸ラニチジン);制吐剤/鎮吐剤(例えば、塩酸メクリジン、ナビロン、プロクロルペラジン、ジメンヒドリネート、塩酸プロメタジン、チエチルペラジン、およびスコポラミン)。本明細書中に記載される組成物および方法において有用な他の薬剤としては、ミトーテン、ハロニトロソウレア、アントラサイクリン(anthrocycline)類、エリプチシン(ellipticine)、セフトリアキソン、ケトコナゾール、セフタジジム、オキサプロジン、アルブテロール、バラシクロビル、尿性卵胞性刺激ホルモン、ファムシクロビル、フルタミド、エナラプリル、メトホルミン、イトラコナゾール、ブスピロン、ガバペンチン、ホシノプリル、トラマドール、アカルボース、ロラゼパム、ホリトロピン、グリピジド、オメプラゾール、フルオキセチン、リジノプリル、トラマドール、レボフロキサシン、ザフィルルーカスト、インターフェロン、成長ホルモン、インターロイキン、エリスロポイエチン、顆粒球刺激因子、ニザチジン、ブプロピオン、ペリンドプリル、エルブミン(erbumine)、アデノシン、アレンドロネート、アルプロスタジル、ベナゼプリル、ベタキソロール、硫酸ブレオマイシン、デキスフェンフルラミン、ジルチアゼム、フェンタニール、フレカイニド、ゲムシタビン、酢酸グラチラマー(glatiramer acetate)、グラニセトロン、ラミブジン、マンガフォジピール三ナトリウム(mangafodipir trisodium)、メサラミン(mesalamine)、フマル酸メトプロロール、メトロニダゾール、ミグリトール、モエキシプリル、モンテルカスト(monteleukast)、酢酸オクトレオチド、オロパタジン、パリカルシトール(paricalcitol)、ソマトロピン、コハク酸スマトリプタン、タクリン、ベラパミル、ナブメトン、トロバフロキサシン(trovafloxacin)、ドラセトロン(dolasetron)、ジドブジン、フィナステリド、トブラマイシン、イスラジピン、トルカポン(tolcapone)、エノキサパリン、フルコナゾール、ランソプラゾール、テルビナフィン、パミドロネート、ジダノシン、ジクロフェナク、シサプリド、ベンラファキシン、トログリタゾン、フルバスタチン、ロサルタン、イミグルセラーゼ、ドネペジル、オランザピン、バルサルタン、フェキソフェナジン、カルシトニン、および臭化イプラトロピウムが挙げられる。いくつかの実施形態において、薬物は、水溶性であり得る。いくつかの実施形態において、薬物は、水溶性でなくとも良い。あるいは、本開示のいくつかの実施形態は、ビタミンおよび/またはミネラルを投与するために使用され得る。
【0034】
種々の形態の薬物および/または他の治療剤が使用され得る。これらとしては、非荷電分子、分子複合体、塩、エーテル、エステル、アミドなどの形態が挙げられるが、これらに限定されず、これらは、経口投与後、または胃腸管に他の様式で挿入された後に、生物学的に活性化され得る。
【0035】
治療剤は、治療的に有効な量で使用され得、これらの量は、使用される特定の治療剤に主に依存して広く変動する。組成物に組み込まれる治療剤の量はまた、所望の放出プロフィール、生物学的効果のために必要とされる薬剤の濃度、およびその治療剤が処置のために放出されるべきである時間の長さに依存する。
【0036】
経口投薬形態に組み込まれる治療剤の量の上限および下限は、その治療剤の活性、および処置のために必要とされる時間の長さに依存し得る。従って、治療剤の量は、所望の生理学的効果を生じないほど少なすぎるべきではなく、その治療剤が制御不可能な様式または潜在的に危険な様式で放出されるほど多すぎるべきでもない。
【0037】
代表的に、これらの限度内で、約0.1重量%〜約95重量%まで、そして好ましくは、約1重量%〜約70重量%の量の治療剤が、本発明の組成物に組み込まれ得る。しかし、特に強力な治療剤については、効力のあるレベルの処置を達成するために、より少ない量が使用され得る。
【0038】
本開示に従う投薬形態は、少なくとも1つの機械的ファスナーをさらに備え、この機械的ファスナーは、特定の実施形態において、内部コアの表面から突出する。この機械的ファスナーは、少なくとも1つのフィラメントから作製され得る。この機械的ファスナーは、内部コアの表面から、ほぼ垂直な方向に突出し得る。ある実施形態において、複数の機械的ファスナーが、内部コアの全表面を覆って配置され得る。他の実施形態において、複数の機械的ファスナーが、内部コアの表面の一部分のみを覆って配置され得る。さらに他の実施形態において、これらの機械的ファスナーは、内部コアの1つより多くの表面から突出し得る。
【0039】
この機械的ファスナーは、哺乳動物の胃腸管内の組織と係合するために適切な、任意の形状、サイズまたは寸法の構成を取り得る。例えば、この機械的ファスナーは単に、まっすぐなスパイクであり得、このスパイクは、内部コアが内部に含まれる治療剤を放出する能力を妨害することなく、内部コアの表面から、胃腸組織と係合するために充分な長さで延びる。
【0040】
いくつかの実施形態において、この機械的ファスナーは、ほぼフック型の構成を表し得、この場合、このファスナーの近位部分はまっすぐであり、そしてこのファスナーの遠位部分は、丸まっているか、または丸みを帯びた縁部を備える。他の実施形態において、この機械的ファスナーは、まっすぐであるファスナーの近位部分、およびナップを備え得るファスナーの遠位部分を備え得る。ナップとは、ファスナーが組織を把持する能力を増加させるように改変されているファスナーの端部をいう。例えば、これらのファスナーの端部は、このファスナーの遠位部分を融解させてこのファスナーの遠位端の表面積を増加させるように、加熱され得る。別の例において、このファスナーの端部は、切削または研削されて、鋸歯状の縁部を作製し得、この縁部は、このファスナーの遠位端に、組織と係合するために有用な増加した表面積を提供する。特定の実施形態において、この機械的ファスナーは、少なくとも1つの棘、表面突出部、波状表面、または機械的に粗くされた表面を備え得、この経口投薬形態の表面積を増加させ得る。組織と係合することによって、これらの経口投薬形態は、胃腸管の1つのセクションに永続的に固定する能力、および/または胃腸管を通過する間に胃腸組織の異なる部分に一時的に断続的に付着するか、もしくは捕捉される能力のいずれかを維持する。
【0041】
本明細書中に記載される機械的ファスナーは、任意の生体適合性材料から作製され得る。従って、これらのファスナーは、天然材料から形成されても合成材料から形成されてもよい。これらのファスナーが形成される材料は、生体吸収性であっても非生体吸収性であってもよい。天然材料、合成材料、生体吸収性材料および非生体吸収性材料の任意の組み合わせを使用して、これらのファスナーを形成し得ることが、もちろん理解されるべきである。これらのファスナーが作製され得る材料のいくつかの非限定的な例としては、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(ジオキサノン)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(ホスファジン)、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、超高分子量ポリエチレン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミド、ポリヒドロキシエチルメチルアクリレート、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアセテート、ポリカプロラクトン、ポリプロピレン、脂肪族ポリエステル、グリセロール、ポリ(アミノ酸)、コポリ(エーテル−エステル)、ポリアルキレンオキサレート、ポリ(サッカリド)、ポリアミド、ポリ(イミノカーボネート)、ポリアルキレンオキサレート、ポリオキサエステル、ポリオルトエステル、ポリホスファゼン、ポリウレタン、生体ポリマー、ポリマー薬物、ならびにこれらのコポリマー、ブロックコポリマー、ホモポリマー、ブレンドおよび組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
この機械的ファスナーはまた、任意の適切な形状記憶材料から作製され得る。適切な形状記憶材料としては、形状記憶ポリマーおよび形状記憶合金が挙げられる。本発明の経口投薬形態の機械的ファスナーとして有用なフィラメントに形成され得る、種々の形状記憶ポリマーおよび形状記憶合金が、当業者に公知である。
【0043】
機械的ファスナーを形成するために使用され得る適切な形状記憶合金(フィラメントに紡糸され得る)としては、ニチノール(NiTi)、CuZnAl、CuAlNi、CuNiTiおよびFeNiAlが挙げられるが、これらに限定されない。形状記憶合金から繊維を形成するための方法は、当業者の知識の範囲内である。
【0044】
形状記憶ポリマーとは、2つの別々の相または3つの別々の相を使用して予備処理され得るポリマーである。2相形状記憶ポリマーは、現在の形状(一時的)と記憶された形状(永続的)との両方を有するポリマーであり得る。一旦、記憶された形状が任意の従来の方法により製造されると、このポリマーは、このポリマーを加熱、変形および冷却により加工することにより、一時的な形状に変化させられ得る。冷却後、このポリマーは、このポリマーが所定の外部刺激により活性化されるまで、この一時的な形状を維持する。温度変化に加えて、形状記憶ポリマーはまた、電場もしくは磁場、光、および/またはpHの変化によって、予備処理および/または活性化され得る。活性化の際に、このポリマーの形状は、移行して永続的な形状に戻る。適切な形状記憶ポリマーとしては、以下に列挙されるものが挙げられる。
【0045】
いくつかの実施形態において、これらの機械的ファスナーは、まっすぐな状態で製造されたポリマーモノフィラメントからなり得る。すなわち、この形状記憶モノフィラメントの永続的形状は、ほぼまっすぐである。これらのまっすぐなポリマーモノフィラメントは、このポリマーのガラス転移温度(Tg)より高温で加熱され得、これにより、このポリマーが柔軟になり、可撓性になり、そして形成がより容易になる。Tgより高温にある間、これらのまっすぐなポリマーモノフィラメントは、丸まり得る。次いで、これらの丸まったポリマーモノフィラメントは、このポリマーのTgより低温まで冷却されて、これらのフィラメントを丸まった一時的形状に維持し得る。このような実施形態において、丸まったポリマーモノフィラメントは、適切な外部刺激への曝露(例えば、所定のポリマーのTgより高温への温度の変化)の際に、その永続的形状(すなわち、まっすぐ)に戻るように予備処理され得る。
【0046】
ポリマーモノフィラメントとして具体的に記載されるが、機械的ファスナーはまた、複数のモノフィラメント、マルチフィラメント、糸および編組(複数のマルチフィラメントおよびステープルファイバーにより形成される)から形成され得ることが想定される。さらに、形状記憶ポリマーは、機械的ファスナーを形成するために、任意の種々の生体適合性材料と組み合わせられ得る。
【0047】
ポリマーの機械的ファスナーは、内部コアの存在下または非存在下で、形状記憶ポリマーとして予備処理され得ることが想定される。ある実施形態において、これらの機械的ファスナーは、内部コアに組み込まれる前に予備処理され得る。他の実施形態において、これらの機械的ファスナーは、内部コアに組み込まれた後に予備処理され得る。さらに他の実施形態において、これらの機械的ファスナーは、任意の適切な方法(接着剤が挙げられるが、これに限定されない)により内部コアに取り付けられ得る。
【0048】
いくつかの実施形態において、機械的ファスナーを形成するために使用される形状記憶ポリマーは、約20℃〜約40℃の範囲のTgを示し得る。このような実施形態において、これらの機械的ファスナーは、この範囲の温度への曝露の際に、その一時的形状から永続的形状へと移行する。特定の実施形態において、この形状記憶ポリマーは、体温(約37℃である)において移行するように条件付けされる。
【0049】
他の実施形態において、これらの形状記憶ポリマーは、少なくとも1つのハードセグメントおよび少なくとも1つのソフトセグメントまたは複数のソフトセグメントを含み得、これらのセグメントは、共有結合で架橋しており、ここでこれらのセグメントのうちの少なくとも2つが官能基で連結され、この官能基は、光の照射、イオン濃度の変化、pHの変化、電場、磁場、および/または超音波のもとで、切断可能である。温度の変化に応答して形状を変化させることに加えて、これらの組成物は、光の照射、イオン濃度の変化、pHの変化、電場、磁場および/または超音波に応答して、形状を変化させ得る。これらのポリマーの一時的形状は、共有結合性架橋により固定される。
【0050】
種々の官能基は、特定のイオンの存在下で、またはpHの変化に応答して、架橋することが公知である。例えば、カルシウムイオンは、アミン基とアルコール基とを架橋させることが公知である。すなわち、アルギネートのアミン基は、カルシウムイオンで架橋され得る。また、カルボン酸基およびアミン基は、特定のpHにおいて荷電種になる。これらの種が荷電する場合、これらの種は、逆の電荷のイオンと架橋し得る。ハードセグメント上および/またはソフトセグメント上での、イオン種の濃度の変化および/またはpHの変化に応答する官能基の存在は、これらのセグメント間での可逆的結合を生じる。可逆的結合は、機械的ファスナーの一時的形状を固定し得、一方で、セグメントを架橋させ得る。その形状が変形させられた後に、イオン濃度またはpHの変化は、セグメント間の架橋を形成したイオン相互作用の切断を生じさせ得、これによって、この変形により引き起こされるひずみを解放し、それにより、この機械的ファスナーをその永続的なまっすぐな形状に戻す。このプロセスにおいて、イオン結合が形成されて破壊されるので、このプロセスは、1回のみ行われ得る。しかし、これらの結合は、イオン濃度および/またはpHを変化させることにより再度形成され得るので、このプロセスは、所望により繰り返され得る。
【0051】
胃腸管の異なる部分は異なるpHレベルを維持するので、機械的ファスナーは、pH感受性である形状記憶ポリマーから作製され得、そして胃腸管の特定の部分のpHに曝露される場合に形状を変化させるように設計され得る。例えば、機械的ファスナーは、約6.0〜約6.5の範囲のpH(すなわち、十二指腸のpH)において活性化する形状記憶材料から作製され得る。このようなファスナーは、胃(約1〜約3のpHを示す)の通過中には活性化されない。より具体的には、機械的ファスナーは、これらのファスナーを内部コアから突出させることが可能な方法および材料を利用して製造され得、その経口投薬形態が、胃から大腸までの酸性度(pH)の変化を認識することに応答して大腸に固定されることを可能にし得る。
【0052】
別の例において、この機械的ファスナーは、約7〜約8の範囲のpH(すなわち、小腸のpH)において活性化する形状記憶材料から作製され得る。このようなファスナーは、食道(約5〜約6のpHを示す)の通過中には活性化しない。
【0053】
機械的ファスナーを形作るために利用され得る適切な形状記憶ポリマー材料としては、ポリウレタン;ポリ(スチレン−ブタジエン)ブロックコポリマー;ポリノルボルネン;カプロラクトン;ジオキサノン;ジオールエステル(オリゴ(ε−カプロラクトン)ジオールが挙げられる);乳酸;グリコール酸;エーテル−エステルジオール(オリゴ(p−ジオキサノン)ジオールが挙げられる);カーボネート(トリメチレンカーボネートが挙げられる);これらの組み合わせなどが挙げられる。ある実施形態において、形状記憶ポリマーは、異なる熱特性を有する2つの成分のコポリマーであり得、オリゴ(ε−カプロラクトン)ジメタクリレートおよびアクリル酸ブチル(ポリ(ε−カプロラクトン)ジメタクリレート−ポリ(アクリル酸n−ブチル)が挙げられる);またはジオールエステルおよびエーテル−エステルジオール(例えば、オリゴ(ε−カプロラクトン)ジオール/オリゴ(p−ジオキサノン)ジオールコポリマー)が挙げられる。これらのマルチブロックオリゴ(ε−カプロラクトン)ジオール/オリゴ(p−ジオキサノン)ジオールコポリマーは、直鎖において一緒に結合した2つのブロックセグメント(「ハード」セグメントおよび「スイッチング」セグメント)を有する。このような材料は、例えば、Lendlein,「Shape Memory Polymers−Biodegradable Sutures」,Materials World,第10巻,第7号,pp.29−30(2002年7月)(その全開示は、本明細書中に参考として援用される)に開示されている。
【0054】
他の実施形態において、材料のブレンドが、形状記憶ポリマー材料として利用され得、材料のブレンドとしては、乳酸および/またはグリコール酸とブレンドされたウレタン;これらのホモポリマーまたはコポリマー;ならびにカプロラクトンとブレンドされたアクリレート(例えば、ポリカプロラクトンジメタクリレートポリ(アクリル酸ブチル)ブレンド;ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0055】
これらの形状記憶ポリマーの他の例、ならびにこれらを用いて永続的形状および一時的形状を形成するための方法は、Lendleinら,「Shape memory polymers as stimuli−sensitive implant materials」,Clinical Hemorheology and Microcirculation,32(2005)105−116、およびLendleinら,「Biodegradable,Elastic Shape−Memory Polymers for Potential Biomedical Applications」,Science,第269巻(2002)1673−1676(これらの各々の全開示は、本明細書中に参考として援用される)に記載されている。
【0056】
温度およびpHの変化に反応する形状記憶ポリマーに加えて、いくつかのさらに有用な形状記憶ポリマーとしては、イオン性、電荷、電気的条件および/または磁気的条件の変化に反応するポリマーが挙げられる。
【0057】
いくつかの実施形態において、機械的ファスナーは、約20℃未満の温度において、第一のほぼ丸まった構成を有し得、そして約20℃〜約40℃の範囲の温度に曝露される場合に、第二のほぼまっすぐな構成を呈し得る。他の実施形態において、機械的ファスナーは、約7より大きいpHにおいて、第一のほぼ丸まった構成を有し得、そして約1〜約6.9の範囲のpHに曝露される場合に、第二のほぼまっすぐな構成を呈し得る。
【0058】
これらの機械的ファスナーは主として、丸まった構成からまっすぐな構成へと移行するように開示されるが、任意の数の異なる形状および寸法に移行し得る機械的ファスナーを備えることは充分に、本開示の範囲内である。例えば、機械的ファスナーはまた、内部コアの表面に隣接するほぼ平坦な位置から、第二の外向きに突出した構成へと移行し得る。機械的ファスナーが移行し得る2つの異なる構成は、形状記憶ポリマーを予備処理する時点で決定され得る。ある実施形態において、これらの機械的ファスナーは、口腔を介して胃腸管を通しての送達のために適切な任意の形状を呈し得る。最も一般的な意味において、刺激への曝露の際に、機械的ファスナーは、2つの異なる構成(第一の非把持構成および第二の把持構成)の間を移行する。
【0059】
内部コアおよび機械的ファスナーに加えて、本明細書中に記載される経口投薬形態はまた、少なくとも1つの外側保護層を備え得る。これらの機械的ファスナーは、少なくとも1つの保護層により取り囲まれ得る。保護層は、機械的ファスナーの一部分に付加されて、これらのファスナーが胃腸管の組織と尚早に係合することを防止し得る。この保護層は、経時的に分解するか、または特定の環境条件において分解する材料から作製されて、機械的ファスナーを露出させ得る。この保護層は、機械的ファスナーが露出されて組織と係合し得る時点を制御し得る。保護層が胃腸管の内側で分解するために要する時間の量は、使用される材料に依存して変動し得る。
【0060】
ある実施形態において、この外側保護層は、機械的ファスナーの即時の露出のために適切な材料を含み得る。これらの材料は、唾液、粘液、胆汁または胃腸管内で見出される他の体液への曝露の際に迅速に溶解して外れ得、これによって、機械的ファスナーが、口腔、食道または胃内でかなり迅速に組織と係合することを可能にし得る。
【0061】
他の実施形態において、この保護層は、機械的ファスナーの露出を遅延させるために適切な材料(例えば、腸溶マトリックスおよび/または腸溶コーティングを形成する際に使用される材料)を含み得る。機械的ファスナーの遅延曝露のための腸溶マトリックスまたは腸溶コーティングは、pH依存性であってもpH非依存性であってもよい。pH依存性であり得る腸溶マトリックスまたは腸溶コーティングは、既知のpH範囲内で機械的ファスナーを露出させ得、このpH範囲は、代表的に、遅延放出が望まれる環境の局所pHと一致する。例示的なpH依存性コーティングは、酢酸フタル酸セルロース、酢酸トリメリト酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸フタル酸ポリビニル、カルボキシメチルエチルセルロース、共重合したメタクリル酸/メタクリル酸メチルエステルなどの材料が挙げられ得る。これらの材料のうちのいくつかはまた、商標名EUDRAGIT(登録商標)L12.5、L100、またはEUDRAGIT(登録商標)S12.5、S100のもとで公知であり得るか、あるいは腸溶コーティングを得るために使用される類似の化合物であり得る。水性コロイド状ポリマー分散物または再分散物(例えば、EUDRAGIT(登録商標)L30D−55、EUDRAGIT(登録商標)L100−55、EUDRAGIT(登録商標)S100、EUDRAGIT(登録商標)調製物4110D(Rohm Pharma);AQUATERIC(登録商標)、AQUACOAT(登録商標)CPD30(FMC);KOLLICOAT MAE(登録商標)30Dおよび30DP(BASF);EASTACRYL(登録商標)30D(Eastman Chemical))もまた適用され得る。
【0062】
pH依存性のコーティングまたはマトリックスは、機械的ファスナーを露出させるために特定のpHを必要としない材料を含有する。いくつかの実施形態において、pH非依存性コーティングは、腸管細菌におけるアゾレダクターゼによる酵素活性化を容易に受け得る材料(例えば、アゾポリマー)、または結腸内のポリサッカリダーゼ(polysaccharidase)による分解を容易に受ける材料(天然多糖類)を含有する。アゾポリマーの非限定的な例としては、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA)とメタクリル酸メチル(MMA)とのコポリマーが挙げられる。天然多糖類の非限定的な例としては、アミロース、キトサン、コンドロイチン、デキストラン、およびキシランが挙げられる。
【0063】
さらに他の実施形態において、外側保護層は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(ビニルアルコール)、キサンタンガム、カルボマー、カラゲナンおよびズーグラン、ならびにポリ酢酸ビニル、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、エチルセルロース、脂肪酸およびそのエステル、アルキルアルコール、蝋、ゼイン(トウモロコシ由来のプロラミン)、ならびに水性ポリマー分散物(例えば、EUDRAGIT(登録商標)RSおよびRL30D、EUDRAGIT(登録商標)NE30D、AQUACOAT(登録商標)、SURELEASE(登録商標)、KOLLICOAT(登録商標)SR30D、および酢酸セルロースラテックス)などの材料が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0064】
治療剤は、外側保護層にもまた組み込まれ得る。外側保護層からの治療剤の放出は、即時であっても、遅延されても、長期間にわたって持続されてもよい。
【0065】
いくつかの実施形態において、治療剤は、保護層の外側表面に配置されて、内部コアおよび/または外側保護層の分解の前に、薬剤のボーラス用量を提供し得る。この治療剤は、外側保護層の外側表面の任意の部分に沿って配置され得る。
【0066】
外側保護層は、内部コアの存在下または非存在下で機械的ファスナーに付加され得ることが想定される。例えば、機械的ファスナーは、内部コアに組み込まれる前に外側保護層内に取り囲まれ得る。いくつかの実施形態において、これらの機械的ファスナーは、内部コアに組み込まれた後に外側保護層により取り囲まれ得る。他の実施形態において、これらの機械的ファスナーは、外側保護層の補助によって内部コアに付着され得る。さらに他の実施形態において、内部コアの少なくとも一部分は、保護層の付加前に、機械的ファスナーの周りに圧縮または成形され得る。
【0067】
いくつかの実施形態において、経口投薬形態は、複数の機械的ファスナーを有する複数の内部コアを備え得る。このような実施形態において、各内部コア/機械的ファスナーの組み合わせは、別々の保護層を備え得る。いくつかの実施形態において、各内部コア/機械的ファスナーの組み合わせは、異なる材料から作製された保護層を備え得る。さらに他の実施形態において、各内部コア/機械的ファスナーの組み合わせは、同じ材料から作製された保護層を備え得る。なお他の実施形態において、複数の内部コアおよび機械的ファスナーが、単一の外側保護層内に取り囲まれ得る。
【0068】
治療剤に加えて、本明細書中に記載される経口投薬形態は、経口投薬形態(例えば、小丸剤、丸剤、錠剤、カプセル剤、カプレットなど)を形成する際に通常使用される、任意の種々の適切な賦形剤または賦形剤の組み合わせを含有し得る。有用な賦形剤のいくつかの非限定的な例としては、可塑剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、充填剤、グライダント、着色剤、香料、風味調整剤、甘味料、界面活性剤、安定剤、およびこれらの組み合わせが挙げられる。これらの賦形剤は、治療剤と同様に、先に記載された経口投薬形態の任意の部分と組み合わせられ得る。例えば、賦形剤は、内部コア、外側保護層、機械的ファスナー、およびこれらの組み合わせを作製する際に使用され得る。
【0069】
投薬形態を作製する際に使用され得る賦形剤は、製薬において通常使用される賦形剤のいずれかであり、そして治療剤、ならびに内部コアおよび/または外側保護層の物理化学的特性との適合性に基づいて選択されるべきである。賦形剤は、経口投薬形態の95%までを占め得る。ある実施形態において、賦形剤は、経口投薬形態の約1%〜約90%を占め得る。有用な賦形剤のいくつかのより特定の非限定的な例は、以下に記載される。
【0070】
結合剤は、経口投薬形態を一緒に保持することを補助し得る。いくつかの例としては、セルロース誘導体(例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマーなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0071】
崩壊剤は、錠剤が消化管内で分解することを確実にし、そしてコーンスターチ、予めゼラチン化させたデンプン、架橋カルボキシメチルセルロース(AC−DI−SOL(登録商標))、グリコール酸デンプンナトリウム(EXPLOTAB(登録商標))、架橋ポリビニルピロリドン(PLASDONE XL(登録商標))などの材料、および錠剤調製において使用される他の任意の崩壊剤が挙げられる。
【0072】
グライダントおよび滑沢剤は、製造プロセス中に効率的な錠剤化を確実にするために使用され得、そしていくつかの非限定的な例としては、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、ジブチルセバケート、トリアセチン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、滑石、コロイド状二酸化ケイ素、シリカゲル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、二酸化チタン、ケイ酸マグネシウム、ロイシン、ベヘン酸グリセリルなどが挙げられる。
【0073】
充填剤としては、ラクトース、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、微結晶セルロース、デキストラン、デンプン、スクロース、キシリトール、ラクチトール、マンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウム、ポリエチレングリコールなどの材料が挙げられるが、これらに限定されない。
【0074】
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、モノオレイン酸ソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、胆汁酸塩、モノステアリン酸グリセリル、PLURONICS(登録商標)などが挙げられ得る。
【0075】
可溶化剤としては、クエン酸、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン酸、グルタル酸、重炭酸ナトリウムおよび炭酸ナトリウムなどが挙げられ得る。任意の酸化防止剤、緩衝剤、酸などの安定剤もまた、利用され得る。
【0076】
矯味矯臭剤および甘味剤は、味の悪い治療剤の味を遮断するために含有され得、そして顔料または着色剤は、経口投薬形態を、視覚的に魅力的かつ/または嚥下を容易にするために使用され得る。
【0077】
本明細書中に記載される経口投薬形態は、錠剤、カプセル剤、カプレット、小丸剤、丸剤などを形成するために適切な任意の方法または方法の組み合わせを使用して、製造され得る。例えば、経口投薬形態は錠剤であり得、そして治療剤を、内部コアを形成するために使用される材料(任意のさらなる賦形剤を含有する)と混合し、そしてこの混合物を嚥下のために充分な固体に加圧または圧縮することにより形成され得る。いくつかの実施形態において、機械的ファスナーが次いで、この固体の一部分に、接着剤またはさらなるフィルムコーティングにより付加され得る。他の実施形態において、機械的ファスナーは、加圧前にこの混合物と合わせられ得、次いで、この混合物が、加圧された固体の表面から機械的ファスナーの少なくとも一部分が突出することを可能にするような様式で、加圧され得る。別の例において、経口投薬形態は丸剤であり得、そして治療剤を、内部コアを形成するために使用される材料(任意のさらなる賦形剤を含有する)と混合し、そしてこの混合物を、経口送達のために適切な丸い固体形状に丸めることにより形成され得る。ここでまた、機械的ファスナーは、この混合物と組み合わせられても、丸めた後に付加されてもよい。
【0078】
なお別の例において、経口投薬形態は、カプセル剤であり得、カプセル剤は、単一片カプセルおよび多片カプセル、ならびに硬殻カプセルおよび軟殻カプセルを包含することが意図される。最も頻繁には、カプセル剤は、2片の入れ子式カプセルであり、ゼラチン、デンプン、セルロースなどから作製され得る。2片カプセルは、2つの半体を備え、これらの半体は、充填前に分離される。上記錠剤形態および丸剤形態と同様に、治療剤と、内部コアを形成するために使用される材料(任意の更なる賦形剤を含有する)との混合物が、このカプセルを充填するために使用され得る。機械的ファスナーは、カプセルに入れられる前にこの混合物に付加され得る。他の実施形態において、機械的ファスナーは、このカプセル剤の外側に付着され得る。
【0079】
他の実施形態において、本明細書中に記載される経口投薬形態の成分は、加工され得る。適切な加工の1つの例として、押し出し球状化が挙げられ、ここで治療剤、任意の賦形剤、および内部コアを形成するために使用される材料は、結合剤溶液の添加により顆粒化されて、湿潤塊を形成し得る。この湿潤塊が、特定のサイズのふるいを備える押し出し機に通され得る。その押し出し生成物は、Marumerizerにおいて球状化される。得られたペレットを乾燥させ、ふるい分けし、そして本明細書中に記載される経口投薬形態を形成する際に利用され得る。
【0080】
別の適切な非限定的なプロセスとして、高剪断顆粒化が挙げられ、ここで治療剤、任意の賦形剤、および内部コアを形成するために使用される材料が乾式混合され得、次いで、この混合物が、結合剤溶液の添加により、高剪断顆粒化機/ミキサー内で湿らされる。これらの顆粒は湿潤後に、混合および粉砕の組み合わせ作用により、練られる。得られた顆粒またはペレットが乾燥させられ、ふるい分けされ、そして本明細書中に記載される経口投薬形態を形成する際に利用され得る。
【0081】
なお別の適切な加工として、溶液層形成または懸濁物層形成が挙げられ、ここで治療剤および任意の賦形剤が、結合剤有りまたは無しで、溶液または分散物に入れられ得、そして流動床プロセッサまたは他の適切な設備において、特定の粒径を有するコアシードに代表される内部コア上に噴霧され得る。治療剤は、出発シードの表面にコーティングされ得る。治療剤を負荷されたペレットが乾燥させられ得、そして本明細書中に記載される経口投薬形態を形成する際に利用され得る。
【0082】
外側保護層は、内部コアと組み合わせられる前または後のいずれかに、機械的ファスナーに付加され得る。いくつかの実施形態において、外側保護層は、経口投薬形態全体を取り囲み得る。いくつかの実施形態において、外側保護層は、機械的ファスナーの一部分のみを覆い得る。
【0083】
機械的ファスナーが形状記憶材料から作製され得る実施形態において、この機械的ファスナーは、内部コアと組み合わせられる前または後に予備処理され得る。さらに、この機械的ファスナーは、第一の非把持位置と、第二の組織把持位置との間で移行可能であり得る。
【0084】
ここで図1を参照すると、経口投薬形態10は、内部に治療剤を含有する内部コア15を備える。機械的ファスナー20が、内部コア15の少なくとも一部分に配置される。機械的ファスナー20は、内部コア15の表面から延びるループ20aとして示される。ループ20aは、経口投薬形態10が胃腸組織と係合することを補助し得る。
【0085】
いくつかの実施形態において、図1の経口投薬形態は、これらのループを個々のフィラメントに分離するために、さらに加工され得る。図2に図示されるように、経口投薬形態110は、個々のナップ付きフィラメント120bを表す機械的ファスナー120を備える。この実施形態において、個々のフィラメントは、図1のループ20aの頂部を融解して2つの別々のフィラメントを作製することにより、形成され得る。1つのループの融解は、2つの個々のフィラメント120bを作製し得、これらのフィラメントの各々が、その遠位端にナップ125を備える。
【0086】
任意の適切な融解プロセスまたは熱硬化プロセスを使用して、これらのループを2つの別々のフィラメントに分離し得る。さらに、これらのループは、任意の適切な方法(切断、研削、レーザー加工、および超音波の使用が挙げられるが、これらに限定されない)を使用して分離され得る。いくつかの実施形態において、これらのループは、個々に加工され得る。他の実施形態において、1つより多くのループが一度に加工され得る。
【0087】
いくつかの実施形態において、ループを備える経口投薬形態(図1を参照のこと)は、加熱されたシリンダー上を通過させられて、この加熱されたシリンダーと接触するこのループの最遠位部分を融解し得る。いくつかの例において、1つ以上のローラがこの加熱されたシリンダーの近くに配置されて、この経口投薬形態に、この加熱されたシリンダーに向かう方向への圧力を付与し得る。このローラは、経口投薬形態への加圧力を制御するために、垂直に移動させられ得る。この加熱されたシリンダーの温度、この経口投薬形態がこの加熱されたシリンダー上を通過する速度、およびこの経口投薬形態に必要に応じて付与される圧力の量は、経口投薬形態に損傷を与えることなく、各ループが2つの個々のナップ付きフィラメントに融解することを可能にするために、制御され得、そして/または調整され得る。
【0088】
ナップ付きフィラメント120bの近位部分122は、内部コア115の一部分に包埋され、そしてナップ付きフィラメント120bの遠位部分124は、内部コア115の表面から延びる(図2)。ナップ付きフィラメント120bのナップ125は、機械的ファスナー120の表面積を増加させ、これによって、経口投薬形態110が胃腸管内の組織と係合する能力を改善する。
【0089】
図3において、経口投薬形態210は、機械的ファスナー220が配置された内部コア215を備える。機械的ファスナー220は、ほぼV字型の部材を表し、これらの部材は最初、内部コア215により覆われている。胃腸管内の体液への曝露後、内部コア215の外側表面215aが腐食し始める。内部コア215の外側表面の腐食は、この外側表面の下に包埋されていた機械的ファスナー220を露出させる。機械的ファスナー220は最終的に、様々な方向に内部コア215から突出して、経口投薬形態210に多くの角度から組織と係合する能力を提供する。
【0090】
図4A〜図4Cにおいて、経口投薬形態310は、内部コア315、および形状記憶材料から作製された機械的ファスナー320を備える。機械的ファスナー320は、中心ポスト322から延びる複数のアーム323を備える。図4Aの図示において、機械的ファスナー320は、第一の通常に把持しない位置にあり、この位置において、アーム323は、内部コア315の外側表面の輪郭に従う。内部コア315の外側表面の輪郭に従うことによって、アーム323は、この投薬形態の少なくとも1つの表面に一般的な滑らかさを提供し、これによって、この経口投薬形態の嚥下をより容易にし、そして嚥下前の患者に対するより良好な感触を提供する。
【0091】
図4Bに示されるように、中心ポスト322は、内部コア315内に包埋され、そして内部コア315の中心を通過する。中心ポスト322はまた、アーム323の各々に取り付けられる。中心ポスト322は、アーム323を内部コア315に繋留し、そして内部コア315が経時的に分解する際に、内部コア315との接触を維持する。
【0092】
図4Cにおいて、経口投薬形態310が、第二の組織把持位置で示されている。機械的ファスナー320は、特定の刺激またはトリガ(例えば、特定のpHレベルまたは体温)に曝露された後に、第一の通常把持しない位置から、第二の通常組織を把持する位置へと移行し得る。機械的ファスナー320のアーム323は、内部コア315から離れるように上向きおよび外向きに延び、これによって、機械的ファスナー320が胃腸管の組織と係合することを可能にする。治療剤の放出は、内部コアに含有される材料によって、または本明細書中に開示される他の方法によって、制御され得る。
【0093】
図5A〜図5Bに図示されるように、経口投薬形態410は、内部コア415、および形状記憶材料から作製された複数の機械的ファスナー420を備える。各機械的ファスナー420は、内部コア415の一部分に包埋された近位部分422、および内部コア415の表面から延びる遠位部分424を備える。図5Aの図示において、各機械的ファスナー420の遠位部分424は、第一の非把持位置にあり、この位置において、遠位部分424は、実質的に丸まった構成を示す。複数の丸まった機械的ファスナー420は、一般的な滑らかさおよび全体的な丸みを帯びたテクスチャーを、経口投薬形態410の少なくとも1つの表面に提供し、これによって、経口投薬形態410の嚥下をより容易にする。
【0094】
図5Bにおいて、経口投薬形態410は、特定の刺激またはトリガ(例えば、特定のpHレベルまたは体温)への曝露後で示されている。機械的ファスナー420の遠位部分424が、内部コア415から離れるように上向きおよび外向きに延び、これによって、機械的ファスナー420が胃腸管の組織と係合することを可能にする。
【0095】
いくつかの実施形態において、この経口投薬形態は、機械的ファスナーを取り囲む外側保護層を備える。図6Aに示されるように、経口投薬形態510aは、治療剤を含有する内部コア515aを備える錠剤である。機械的ファスナー520aが、内部コア515aの外周を覆って配置される。外側保護層530aは、投薬形態の経口投与の前に、機械的ファスナー520aを完全に取り囲む。
【0096】
外側保護層530aは、胃腸管内で適切な時点で溶解または腐食し、これによって、機械的ファスナー520aを露出させるように設計される。経口投薬形態510aは、保護層530aの外側表面から内向きに、内部コア515aの中心に向かって分解する。従って、保護層530aが最初に分解し、これによって、機械的ファスナー520aを露出させる。露出後、機械的ファスナー520aは、胃腸管内の組織と係合し、そして内部コア515aが胃液に曝露され始める。内部コア515aは、経時的に分解して、治療剤を胃腸管内に放出する。
【0097】
図6Bは、図6Aとほぼ類似であるので、同じである全ての番号および説明は、プライム印で表され、そしてその違いが以下に記載される。図6Bにおいて、経口投薬形態510a’(すなわち、カプセル剤)は、治療剤を含有する内部コア515a’を備える。機械的ファスナー520a’が、内部コア515a’の外周を覆って配置される。外側保護層530a’は、機械的ファスナー520a’を取り囲む。2片カプセル580が、保護層530’の外周を覆って配置される。
【0098】
図7に示される実施形態において、経口投薬形態610は、複数の内部コア615a〜615cを備える。各内部コアが、その表面に配置された機械的ファスナー620a〜620cを備える。経口投薬形態610は、外側保護層630をさらに備え、この外側保護層は、機械的ファスナー620a〜620c、および3つ全ての内部コア615a〜615cを取り囲む。外側保護層630の腐食または分解後、内部コア615a〜615cが解放され、そして胃腸管を通って自由に循環することが想定される。複数の内部コア630a〜630cは、個々の方式で胃腸管の組織と係合し得、潜在的に、胃腸管のより大きい領域を同時に処置し得る。
【0099】
図8において、経口投薬形態710は再度、複数の内部コア715a〜715cを備える。各内部コア715a〜715cは、複数の機械的ファスナー720a〜720cを備える。第一の外側保護層730aおよび730cが、それぞれ機械的ファスナー720aおよび720cを取り囲む。第二の外側保護層740が、機械的ファスナー720b、ならびに第一の外側保護層730aおよび730cを取り囲む。第二の外側保護層の分解の際に、複数の内部コアが解放されることが想定される。第一の外側保護層を備える内部コアは、胃腸組織と係合して治療剤を放出することを遅延させ得る。第一の外側保護層を備えない内部コアは、解放の際に即時に、胃腸組織と係合し得る。
【0100】
いくつかの実施形態(例えば、図9に示される実施形態)において、経口投薬形態810は、第一の部分814および第二の部分819を備える。第一の部分814は、第一の外側保護層830で覆われた内部コア815を備える。第二の部分819は、経口投与のための第二の外側保護層840で覆われた機械的ファスナー820を備える。ファスナー820は、第二の外側保護層840内に包埋される。第二の外側保護層840の分解は、内部コア815の表面でファスナー820を露出させる。接着剤850が、第一の部分814と第二の部分819との間に配置されて、経口投薬形態810を形成する。第一の外側保護層および第二の外側保護層は、同じ材料から作製されても異なる材料から作製されてもよいことが想定される。
【0101】
図10A〜図10Dに図示されるように、経口投薬形態910が経口投与されて、胃腸管の組織975と係合させられ、治療剤917を放出する順序が示されている。経口投薬形態910は、治療剤917を含有する内部コア915を備える。内部コア915は、機械的ファスナー920を備える。これらの機械的ファスナーの少なくとも一部分は、保護層930で覆われている。最初に、経口投薬形態910が患者に経口投与される。図10Bにおいて、胃腸管の一部分を通過する間に、保護層930が分解または腐食により除去されて、機械的ファスナー920を露出させ得る。図10Cに示されるように、機械的ファスナー920は、胃腸管の組織975と係合し得、これによって、経口投薬形態910の胃腸管を通る前進を遅らせ得る。図示されるように、機械的ファスナー920は、経口投薬形態910を胃腸管の組織975に一時的に付着させる。組織975と係合している間、内部コア915は、治療剤917を胃腸管内に放出し始め得、この胃腸管がこの治療剤を吸収し得る。ある長さの時間の後に、機械的ファスナー920は、身体または胃腸管の運動性による分解によって弱まり得る。図10Dに図示されるように、経口投薬形態910は、外れ得るか、または胃腸管の組織とさらに係合することが不可能になり得る。経口投薬形態910は、最終的に、身体により完全に吸収され得るか、または結腸を通して排出され得る。
【0102】
本明細書中に記載される経口投薬形態は、治療剤を哺乳動物患者の胃腸管の一部分に送達するために適切である。任意の適切な経口送達方法が利用され得る。1つのこのような方法は、少なくとも1つの治療剤を含有する内部コアを備え、そして胃腸管内の組織と係合するための少なくとも1つの機械的ファスナーを有し、保護層がこの少なくとも1つの機械的ファスナーを取り囲んでいる、経口投薬形態を投与する工程を包含する。投与後、体液との相互作用がこの保護層を分解し、そしてこの少なくとも1つの機械的ファスナーを、胃腸管の一部分に対して露出させる。次いで、これらの機械的ファスナーが、この経口投薬形態を胃腸管の組織に付着させ、そしてこの内部コアの分解が、少なくとも1つの治療剤を放出する。
【0103】
種々の改変が、本明細書中に開示された実施形態に対してなされ得ることが理解される。例えば、任意の種々の内部コア材料および外側保護層が、本明細書中に記載される経口投薬形態を形成する際に使用され得る。別の例として、機械的ファスナーもまた、少なくとも1つの治療剤を含有し得る。従って、当業者は、特許請求の範囲の趣旨および範囲内で、他の改変を予測する。
【符号の説明】
【0104】
110 経口投薬形態
115 内部コア
120 機械的ファスナー
120b ナップ付きフィラメント
122 近位部分
124 遠位部分
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの治療剤を含有する内部コア;および
該内部コアの少なくとも一部分に配置された少なくとも1つの機械的ファスナー、
を備える、経口投薬形態。
【請求項2】
前記内部コアが、前記少なくとも1つの治療剤の即時放出を提供する、請求項1に記載の経口投薬形態。
【請求項3】
前記内部コアが、前記少なくとも1つの治療剤の放出を遅延させる、請求項1に記載の経口投薬形態。
【請求項4】
前記内部コアが、前記少なくとも1つの治療剤の放出を持続させる、請求項1に記載の経口投薬形態。
【請求項5】
前記少なくとも1つの機械的ファスナーが、少なくとも1つのフィラメントを備える、請求項1に記載の経口投薬形態。
【請求項6】
前記少なくとも1つの機械的ファスナーが、ループ、棘、V字型フィラメント、フック型フィラメント、ナップ付きフィラメント、まっすぐなフィラメント、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項5に記載の経口投薬形態。
【請求項7】
前記少なくとも1つのフィラメントが第一の位置および第二の位置を有する、請求項5に記載の経口投薬形態。
【請求項8】
前記少なくとも1つのフィラメントの前記第一の位置が、通常把持しない位置である、請求項7に記載の経口投薬形態。
【請求項9】
前記少なくとも1つのフィラメントの前記第二の位置が、通常組織を把持する位置である、請求項7に記載の経口投薬形態。
【請求項10】
前記少なくとも1つの機械的ファスナーが、形状記憶材料から作製されている、請求項1に記載の経口投薬形態。
【請求項11】
前記形状記憶材料が、形状記憶ポリマー、形状記憶合金およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項10に記載の経口投薬形態。
【請求項12】
前記投薬形態が、丸剤、錠剤、カプセル剤、カプレット、カシェ剤および小丸剤からなる群より選択される、請求項1に記載の経口投薬形態。
【請求項13】
前記少なくとも1つの機械的ファスナーを取り囲む外側保護層をさらに備える、請求項1に記載の経口投薬形態。
【請求項14】
前記外側保護層が、前記機械的ファスナーの露出を遅延させる、請求項13に記載の経口投薬形態。
【請求項15】
前記外側保護層が、少なくとも1つの治療剤をさらに含有する、請求項13に記載の経口投薬形態。
【請求項16】
複数の内部コアであって、各内部コアが少なくとも1つの治療剤を含有し、そして該複数の内部コアのうちの少なくとも1つの少なくとも一部分に配置された、複数の機械的ファスナーを有する、複数の内部コア;および
該複数の機械的ファスナーを取り囲む第一の外側保護層、
を備える、請求項1に記載の経口投薬形態。
【請求項17】
第二の外側保護層であって、前記複数の機械的ファスナーの少なくとも一部分、および前記第一の外側保護層の少なくとも一部分を取り囲む、第二の外側保護層、
を備える、請求項16に記載の経口投薬形態。
【請求項18】
哺乳動物患者の胃腸管の一部分に治療剤を送達するためのシステムであって、
経口投薬形態を備え、該経口投薬形態は、少なくとも1つの治療剤を含有する内部コアを備え、そして該胃腸管の組織と係合するための少なくとも1つの機械的ファスナーを有し、保護層が、該少なくとも1つの機械的ファスナーを取り囲んでおり;該少なくとも1つの機械的ファスナーは、該胃腸管の一部分の内側で露出するように構成されており;該内部コアは、該少なくとも1つの治療剤を放出するように構成されている、
システム。
【請求項19】
少なくとも1つの治療剤を含有する内部コア;および
該内部コアの少なくとも一部分に配置された少なくとも1つの機械的ファスナーであって、該機械的ファスナーは、第一の非把持位置と第二の組織把持位置との間で移行可能である、機械的ファスナー、
を備える、経口投薬形態。
【請求項1】
少なくとも1つの治療剤を含有する内部コア;および
該内部コアの少なくとも一部分に配置された少なくとも1つの機械的ファスナー、
を備える、経口投薬形態。
【請求項2】
前記内部コアが、前記少なくとも1つの治療剤の即時放出を提供する、請求項1に記載の経口投薬形態。
【請求項3】
前記内部コアが、前記少なくとも1つの治療剤の放出を遅延させる、請求項1に記載の経口投薬形態。
【請求項4】
前記内部コアが、前記少なくとも1つの治療剤の放出を持続させる、請求項1に記載の経口投薬形態。
【請求項5】
前記少なくとも1つの機械的ファスナーが、少なくとも1つのフィラメントを備える、請求項1に記載の経口投薬形態。
【請求項6】
前記少なくとも1つの機械的ファスナーが、ループ、棘、V字型フィラメント、フック型フィラメント、ナップ付きフィラメント、まっすぐなフィラメント、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項5に記載の経口投薬形態。
【請求項7】
前記少なくとも1つのフィラメントが第一の位置および第二の位置を有する、請求項5に記載の経口投薬形態。
【請求項8】
前記少なくとも1つのフィラメントの前記第一の位置が、通常把持しない位置である、請求項7に記載の経口投薬形態。
【請求項9】
前記少なくとも1つのフィラメントの前記第二の位置が、通常組織を把持する位置である、請求項7に記載の経口投薬形態。
【請求項10】
前記少なくとも1つの機械的ファスナーが、形状記憶材料から作製されている、請求項1に記載の経口投薬形態。
【請求項11】
前記形状記憶材料が、形状記憶ポリマー、形状記憶合金およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項10に記載の経口投薬形態。
【請求項12】
前記投薬形態が、丸剤、錠剤、カプセル剤、カプレット、カシェ剤および小丸剤からなる群より選択される、請求項1に記載の経口投薬形態。
【請求項13】
前記少なくとも1つの機械的ファスナーを取り囲む外側保護層をさらに備える、請求項1に記載の経口投薬形態。
【請求項14】
前記外側保護層が、前記機械的ファスナーの露出を遅延させる、請求項13に記載の経口投薬形態。
【請求項15】
前記外側保護層が、少なくとも1つの治療剤をさらに含有する、請求項13に記載の経口投薬形態。
【請求項16】
複数の内部コアであって、各内部コアが少なくとも1つの治療剤を含有し、そして該複数の内部コアのうちの少なくとも1つの少なくとも一部分に配置された、複数の機械的ファスナーを有する、複数の内部コア;および
該複数の機械的ファスナーを取り囲む第一の外側保護層、
を備える、請求項1に記載の経口投薬形態。
【請求項17】
第二の外側保護層であって、前記複数の機械的ファスナーの少なくとも一部分、および前記第一の外側保護層の少なくとも一部分を取り囲む、第二の外側保護層、
を備える、請求項16に記載の経口投薬形態。
【請求項18】
哺乳動物患者の胃腸管の一部分に治療剤を送達するためのシステムであって、
経口投薬形態を備え、該経口投薬形態は、少なくとも1つの治療剤を含有する内部コアを備え、そして該胃腸管の組織と係合するための少なくとも1つの機械的ファスナーを有し、保護層が、該少なくとも1つの機械的ファスナーを取り囲んでおり;該少なくとも1つの機械的ファスナーは、該胃腸管の一部分の内側で露出するように構成されており;該内部コアは、該少なくとも1つの治療剤を放出するように構成されている、
システム。
【請求項19】
少なくとも1つの治療剤を含有する内部コア;および
該内部コアの少なくとも一部分に配置された少なくとも1つの機械的ファスナーであって、該機械的ファスナーは、第一の非把持位置と第二の組織把持位置との間で移行可能である、機械的ファスナー、
を備える、経口投薬形態。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【公開番号】特開2011−105721(P2011−105721A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−256359(P2010−256359)
【出願日】平成22年11月16日(2010.11.16)
【出願人】(507362281)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (666)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月16日(2010.11.16)
【出願人】(507362281)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (666)
【Fターム(参考)】
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