説明

治療用移植片

本発明は、体液中に存在する少なくとも既知の1標的に、これも本発明の一部となる生体内原位置の移植片を用いて、特異的に結合し、該標的を選択的に固定する少なくとも1部分の使用に関する。この移植片には、生物学的に適合する基材を備え、該基材に上記少なくとも1部分をリガンドによって結合させ、該移植片により標的を捕捉し、不要な物質を生体内原位置で局所的に破壊、或は生体外で除去又は破壊可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体内原位置で哺乳類の体液から選択的に不要な標的を固定及び除去するための、方法、移植片及び特異的に結合する部分の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
抗生物質、放射線療法及び化学療法は、体液中、例えば血流中で発症する疾病を治療するために広く用いられている。これらは最も一般的方法だが、特に、高い毒性や、主要器官、特に心臓、肺、肝臓、腎臓、甲状腺、膀胱、生殖器及び神経系を含む健常組織への損傷という深刻な短所がある。
【0003】
不要な細胞又は組織の排除
多大な努力がそうした不利点を克服するために払われてきたが、例えば米国特許出願第10/200,011号(タッカー(Tucker)他)、公開第2003-0097035号を参照すると、該出願では、患者の癌組織を、放射性熱シードを患者内に配置し、各シードには強磁性コア、放射性同位元素及びパラジウム被膜を備え、該シードを振動磁場に暴露させて、治療する方法について記述している。
【0004】
米国特許第6,074,827号(ネルソン(Nelson)他)では、核酸を精製及び処理する集積化電気泳動微細装置及び方法について記述しており、好適にはこれを使用して、腫瘍細胞又はTリンパ球を試料から(例えば、骨髄から)、移植及び治療で使用する造血細胞製剤を作製するために、消耗させる又は除去する。同装置にはポリマービーズ又は常磁性ビーズ又は粒子のベッドを含む可能性があり、該ビーズを抗体又は他の標的特異性を有する親和性結合成分で被覆する、又は、例えばビオチン化抗体と共に使用するためにストレプトアビジンで被覆する。別の技術は、腫瘍抗原に対する放射性原子モノクローナル抗体と結合することから成り、それにより付着したモノクローナル抗体で“識別”してあるそれら細胞(癌)に対する放射線の破壊力を限定的にすることを意図している。
例:Zevalin(登録商標)。これは、B細胞(及びリンパ腫)上のCD20分子に対するモノクローナル抗体であり、1)放射性同位元素インジウム-111(111In)又は2)放射性同位元素イットリウム-90(90Y)の何れかとコンジュゲートする。両方共リンパ腫患者に投与され、まず111Inバージョン、次に90Yバージョンを投与する(その都度Rituxanを併用する)。Bexxar(登録商標)(トシツモマブ)。これは、CD20及び放射性同位元素ヨウ素-131(131I)に対するモノクローナル抗体のコンジュゲートである。これは、また、リンパ腫に対する治療薬としても設計されている。Bexxar(登録商標)及びZevalin(登録商標)は両方共正常なB細胞を殺してしまうが、B細胞前駆体はCD20を発現していないためB細胞前駆体を損傷しない。そのため、やがて、これら前駆体で健常B細胞を身体に再増殖できる。
【0005】
米国特許第5,514,340号(ランズドープ(Lansdorp)他)では、試料中の磁気標識細胞を印加した磁場を利用して分離する装置、及び該装置を使用して精製細胞製剤、好適には選択した細胞、例えばTリンパ球、癌細胞及び(又は)赤血球等を枯渇させた造血幹細胞製剤を調製する方法について記述している。
【0006】
米国特許出願第09/725300号(フルミン(Frumin)他)、公開第2001-0023825号では、試料中で粒子を、数学的な非単調関数に従い空間的に変化させた電界に置くことにより、移動、分離及び(又は)同定する方法及び装置について記述しているが、これは例えば悪性細胞を健常細胞から分離するのに利用できるかも知れない。
【0007】
米国特許第6,268,119号(澄田、他)では、細胞捕捉手段を構成する不織布の多孔質構造体を備え、該構造体により細胞の通過を防止する細胞分離システムについて記述している。
【0008】
米国特許出願第10/409,732号(ジョンソン、他)、公開第2003-0231981号では、選択的に少なくとも1つの構成要素を全血又は体液から結合及び分離する方法であって、該全血又は体液を、孔径が5〜500ミクロン範囲の多孔質構造体を有する剛性の一体化した分離マトリクスを通過可能している該方法について記述している。
【0009】
細胞の混合集団から細胞を分離する方法が、ビガロウ(Bigalow)他により、1989年「ジャーナル・オブ・イムノロジカル・メソッズ (Journal of Immunological Methods)第117号:p289-293」で報告されている。これらの著者らは、細胞粘着クロマトグラフィー法(AC)と作用場流動分画法(FFF)という2つの分離方法を混成した方法を開発して、それによりラット腸間膜のB及びTリンパ球を効果的に分離することに成功し、これを報告している。この方法では、AC法の選択的粘着とFFF法の制御した置換力を組合せ、B及びTリンパ球の系粘着表面への結合力を量的に推定もする。同方法では、2枚の平行したガラス製プレートを備える装置を使用し、様々な細胞種類によって異なるこれらプレートへの結合親和性を利用している。同方法の持つ主な短所として:特定のガラス表面への細胞の固有な結合特性を利用するために、多数の細胞を分離するまで拡大できない点がある。
【0010】
米国特許第6,589,786号(マンガーノ(Mangano)他)では、導電性内核を有し、該核を誘電膜により包囲した個別の対象物を、選択的に電界により、それらの誘電膜の不可逆破壊を介して、不活性化可能にする装置について記述しており、該装置は、細胞懸濁液から所望又は所望でない生体細胞を、抗体を使用せずに、選択、精製、及び(又は)除去するのに使用されるかも知れない。
【0011】
生体内原位置での治療に関するポリマーの使用
ポリマー材料は、治療での使用が増大している。例えば、米国特許第6,555,103号(ロイケル(Leukel)他)は、生物医学的モールディングに関し、該モールディングには生体適合性有機ポリマーを備えるが、該ポリマーにはその表面に付着した特定のラジカルを有する。ポリマーは、例えば、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリエーテル、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、シリコン、ポリシロキサン、パーフルオロアリキルポリエーテル、フッ化ポリ-メタクリレート、ポリアルキルメタクリレートまたはフッ化ポリオレフィンであるかも知れない。
【0012】
米国特許第5,800,516号(ファイン(Fine)他)では、形状記憶プラスチック製管状部材を配備及び回収する方法について記述しており、該方法では第1直径を有して該部材を治療部位に導入し、該部位で第2直径にまで拡大するが、必要に応じて、該部材をその第1直径に戻した後に該部位から回収する。
【0013】
米国特許第5,474,563号(マイラー(Myler)他)では、回収可能なエラストマー製ステントについて記述しているが、該ステントには近位及び遠位係合要素を有して、挿入/回収カテーテルをステントに係合可能にして軸方向力を印加する。ステントを軸方向に伸長すると、ステントの断面積が減少し、その結果ステントを取外し可能になる。
【0014】
米国特許第4,950,258号(川合他)では、生体内原位置で用いるプラスチック成型体について記述しており、該成形体は形状記憶と生物分解性の両特性を有する;それらは、ラクチド又はグリコリドの単独重合体或はラクチドとグリコリドの共重合体から成る。
【0015】
米国特許第5,605,696号(ユーリ(Eury)他)では、好適には多孔質の血管内ステントの形状をした薬剤装填ポリマー材料について記述している。特定のポリマーとして、ポリカプロラクトン、ポリ(エチレン−共重合−酢酸ビニル)、ポリ(酢酸ビニル)、シリコーンガムラバーの他、非生分解性ポリマー、及びポリDL乳酸(DL−PLA)、ポリL乳酸(L−PLA)、ポリオルトエステル、ポリイミノカーボネート、脂肪族ポリカーボネート、及びポリホスファゼン等の生分解性、生体吸収性ポリマーを挙げている。
【0016】
米国特許第6,702,849号(ダッタ(Dutta)他)では、連続気泡微細高分子発泡体の形状をした多孔質の血管移植片及びステントカバーについて記述しており、該発泡体は治療薬を血管に供給するよう構成可能である。
【0017】
米国特許第5,800,828号(ディオンヌ(Dionne)他)では、生細胞を含む治療用製品を供給するための、移植可能な生体適合性を有する免疫隔離媒体について記述している。媒体として、多価イオンと架橋したアルギン酸等のハイドロゲルを含むかも知れない。
【0018】
米国特許第5,324,519号(ダン(Dunn)他)及び第6,395,293号(ポールソン(Polson)他)では、動物の生体内原位置で固体の移植片を形成するのに適当な構成体について記述しており、該構成体から移植した生物活性物質を放出するかも知れない。米国特許出願第10/837,082号(ローマン(Lowman)他)、公開第2004-0220296号では、哺乳類の選択した部位に感温性ゲルを、ハイドロゲル水溶液を選択した部位に注入することにより移植するが、それにより体温でハイドロゲルが凝固して固体の移植片を形成する方法について記述している。ハイドロゲル水溶液には、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)及び、第2ポリマー、例えばポリ(エチレングリコール)、ポリ(ビニルピロリドン)及びポリ(ビニルアルコール)を備えるかも知れない。
【0019】
米国特許第6,514,688号(マラー-シュルテ(Muller-Schulte))では、磁性球形架橋ポリビニルアルコール(PVAL)ポリマー粒子を使用して、生体物質を分離することについて記述している。実施例15では、ストレプトアビジンをマトリクスに結合させるための実施例詳細について示している。ビオチン化されたDNA断片を、既知の方法に従いこのマトリクスに結合できる。
【0020】
ポリマー成分を含む静脈又は動脈カテーテルは、治療に於いて、診断用ツールとして広く用いられている。例えば、米国特許第4,392,848号(ルーカス(Lucas)他)では、少なくとも、抗菌性カテーテルの一部に、浸透性ポリマー、例えばポリジメチルシロキサン等のシリコーンポリマーを備える。米国特許第5,470,307号(リンダル(Lindall))では、化学的に基材に、光エネルギーに暴露すると薬剤を光分解的に放出するリンカーを使用して、該基材外面に結合させた治療剤を有するカテーテルについて記述しており;該基材には、例えばガラス、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリプロピレン、ポリウレタン又はラテックス等の物質を含むかも知れない。
【0021】
ポリマーを含有する診断用移植片は、今日では、例えば血栓を調べながら血流を検査する、又は特定物質の濃度レベルをモニターするといった、役割を果たすために用いられており、それらに関しては、例えば米国特許出願第10/758,495号(シルバー(Silver)他)、公開第2004-0176672号を参照するが、該出願では、血管内に移植して、血液中の物質及び血液の特性をモニターするセンサについて開示しており、該センサには血栓形成を抑制する層を有し、ハイドロゲル、例えばポリ(エチレングリコール)、ポリ(N-ビニルピロリドン)、又はポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)を備えるかも知れない。
【0022】
例えば、体液と接触するだろうポリマー面を処理することも、知られている。従って、米国特許第5,409,696号(ナラヤナン(Narayanan)他)では、医療装置のポリマー面又はその構成要素は、移植中又は医療処置中に血液等の体液との抗血栓性、線維素溶解性又は血栓溶解相互作用を示す。適当なポリマーを、ポリウレタン、及びポリウレタン-ポリエステル、ポリウレタン-ポリエーテル及びナイロン-ポリエーテル共重合体、及びシリコーンゴムとしている。米国特許第6,638,728号(デサイ(Desai)他)では、例えばポリスチレン上の表面コーティングについて記述しており、該コーティングは基本的に、ポリマー形態で、ストレプトアビジン、アビジン又は脱グリコシル化アビジンから成り、ポリマーの50%以上は天然分子の二量体、三量体及び四量体の組合せであり;そうした製品は標的分子を捕捉する高い能力を有し、その結果感度を強化した分析が行える。米国特許第5,795,719号(バスラン(Vaslin)他)では、エチレン性不飽和モノマーの重合から得られるラテックス小球について記述しており、該ラテックス小球にはグラフト化したビオチン残基を含む表面官能基、及び該残基に対応するアビジン又はストレプトアビジンビオチン複合体を、診断用又は生物学的又は免疫学的分析用の薬剤として有する。
【0023】
抗体
抗体は一般的に生物学的分析、治療及び診断に用いられており、この目的のために、抗体を適当な基材、特にポリマーに付着させる。抗体を含む幾つかの構成については、既に上述した。その他にも、例えば、米国特許第4,582,810号(ローゼンスタイン(Rosenstein))では、カルボキシ誘導化されたポリマーコア(例えばポリスチレン又はポリアクリルアミド)に付着する抗体分子を備える診断用粒子の懸濁液を、凝集試験に対して提供している。抗体を、アビジン-ビオチン架橋を介してコアに結合させる。アビジンをアミド結合によりコア上のカルボキシル基に結合させ、ビオチンをアミド結合により抗体分子上のアミノ基に結合させる。
【0024】
生体内での抗体の使用については、治療又は免疫診断用に関する場合、通常免疫療法と呼ばれ、研究及び診断に使用されており、両方共今日では一般的なツールである。このように、例えば、米国特許第6,455,043号(グリロ-ロペス(Grillo-Lopez))では、B細胞リンパ腫の治療、特に、非ホジキンリンパ腫を有する患者に対する抗CD20抗体の投与について開示している。同様に、米国特許第5,736,137号(アンダーソン(Anderson)他)では、免疫活性マウス/ヒトキメラ抗-CD20抗体、放射能標識抗-CD20抗体の投与を利用することを含む治療戦略を開示する一方、米国特許出願第10/366,709号(ハンセン(Hansen)他)、公開第2003-0219433号では、CD20に結合する、ヒト化、キメラ及びヒト抗-CD20抗体、及びCD20抗体融合タンパク質で、従ってB細胞異常及び自己免疫疾患の治療及び診断に有用であるものについて記述している。
【0025】
米国特許第6,264,596号(ウィードック(Weadock))では、生体内原位置で放射性にする装置について記述しており、該装置を血管内処置部位に配置して再狭窄を防止するよう構成し、上記装置の表面には第1物質(A)を固定し、放射性第2物質(B)を血管内に注入すると、該第1物質(A)が該第2物質(B)と選択的に結合するように構成している。(A)と(B)の特定な対を、(A)をアビジン、ストレプトアビジン、又はタンパク質とし、(B)を放射能標識ビオチン、又は放射能標識モノクローナル又はポリクローナル抗体とする;(A)をプロタミンとし、(B)を放射能標識ヘパリンとする;(A)をタンパク質とし、(B)を上記タンパク質と親和性を有する放射能標識抗体とする;(A)をビオチンとし、(B)を放射能標識アビジン又はストレプトアビジンとする。
【0026】
上述した特許及び公開された特許出願の全内容については、参照によりここに組込むものとする。
【0027】
先行技術に関して記述した多大な努力にもかかわらず、全血から病原因子を効果的に除去可能にしつつ、健全な組織及び器官に与える損傷を最小限に抑える治療法に対する深刻な必要性が存在する。
【0028】
(発明の開示)
本発明は、1態様において、移植片を提供するが、該移植片を、哺乳類の体腔に挿入して、少なくとも部分的に癌性又は病原性感染している細胞及び細胞断片を含む、 病原因子、抗原及び抗原決定基から選択した少なくとも既知の1標的を、体液から除去し、移植片上に固定するよう構成しており、 該移植片には、少なくとも既知の1標的に特異的に結合する抗体及びその断片から選択する少なくとも1部分を含む表面層を備えており、該移植片には、少なくとも1部分をリガンドによって該表面層に結合させる生物学的に適合する多孔質又は非多孔質の基材を備える。変形例では、標的には、移植片拒絶細胞及び不完全な自己免疫特性を持つ細胞を含んでもよい。
【0029】
別の態様では、本発明は、生体内原位置で哺乳類の体液から、少なくとも既知の1標的を選択的に除去する方法を提供するが、該方法には以下のステップ(A)及び(B)又は(C)の何れかを備える、即ち:(A)哺乳類の体腔に存在する体液に、該体腔に挿入した移植片を曝し、該移植片には、少なくとも既知の1標的に特異的に結合して、それらを固定する少なくとも1部分を含む表面層を備え、該移植片には、生物学的に適合する基材を備え、該基材に該少なくとも1部分をリガンドによってその表面層に結合させるステップ;及び所定の時間間隔をおいて後、(B)哺乳類の体腔から、上記少なくとも1部分に結合する少なくとも1標的を含む移植片を除去し、任意の更なるステップでは体外で上記少なくとも1部分に結合した少なくとも1標的を破壊するステップ;又は(C)生体内原位置で、上記少なくとも1部分に結合した少なくとも1標的を破壊するステップ。
【0030】
更に別の態様では、本発明は、体液中に存在する少なくとも既知の1標的に特異的に結合する抗体及びその断片から選択する少なくとも1部分の使用に関し、該標的を、少なくとも部分的に癌性又は病原性感染している細胞及び細胞断片を含む、病原因子、抗原及び抗原決定基から、薬剤を製造する際に、選択して、少なくとも既知の1標的に関連する疾病を治療し、及び本発明には、哺乳類の体腔に挿入するのに適する移植片を含み、選択的に上記少なくとも既知の1標的を体液から除去して該移植片上に固定し、該移植片には、生物学的に適合する基材を備え、該基材に上記少なくとも1部分をリガンドによって結合させる。
【0031】
(定義)
本発明の移植片は、生体外で製造され、保存可能なものであり、従って生体内で形成される同様の構成体については排他的にこれを除外する。
【0032】
標的は、本発明によれば、体液から除去され、本発明の移植片上で固定されるが、該標的は体液に自然に存在する、或は患者の疾病又は状態により存在するものとし、従って、患者の体内に人為的に注入した生物学的又は化学的物質を除く。
【0033】
(詳細な説明)
本発明の移植片については、放射性又は非放射性としてもよく、好適には少なくとも1つの以下の特徴により更に特徴付けられる:
(a)少なくとも1標的を、抗原及び抗原決定基を備える実体から選択すること、及び少なくとも1部分を、該少なくとも1標的に特有なモノクローナル抗体から選択すること;
(b)移植片にはカテーテルとの接続用装置を含むこと;
(c)移植片は、抗菌剤、抗真菌剤、抗悪性腫瘍剤、抗血栓剤、抗毒素剤及び抗ウイルス剤から成る群から選択する少なくとも1つの薬理活性化合物を含み、それを徐放するよう構成すること。
【0034】
上述したリガンドには、好適には、アビジン、ビオチン、ストレプトアビジン、及びそれらの類似体から選択する少なくとも1物質を備える。
【0035】
ここで言及した特異的に結合する部分を、例えば、タンパク質、ポリペプチド又はその断片、抗体又はその断片、炭水化物(多糖を含む)、ホルモン類、酸化防止剤、糖タンパク質、リポタンパク質、脂質、脂溶性ビタミン類、胆汁酸、反応染料、アラントイン、尿酸、ポリミキシン、核酸分子(DNA、RNA、それらの一本鎖、二本鎖、三本鎖又はそれらの組合せ)、又はそれらの組合せから選択してもよい。
【0036】
特定の実施例では、この部分をモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、合成抗体、抗原親和性合成断片、それらの抗原親和性を保持する抗体断片、Fv抗体断片、放射能標識抗体及びビオチン化抗体から選択する。説明に役立つ例示のみとして、この部分をモノクローナル抗体とした場合には、該部分を、特異的にB-又はT-細胞抗原決定基、例えば非ホジキンリンパ腫治療用B細胞CD20抗原決定基、慢性リンパ性白血病治療用として抗CD20又は抗CD52、前リンパ性白血病治療用として抗CD52、有毛細胞白血病治療用として抗CD-22又は抗CD52、又は急性白血病治療用として抗CTLA-4に、結合するようにしてもよい。
【0037】
本発明の方法は、好適には少なくとも以下の特徴の1つにより更に特徴付けられる:
(a)少なくとも1標的を抗原及び抗原決定基を備える実体から選択し、少なくとも1部分を該少なくとも1標的に特異的であるモノクローナル抗体から選択すること;
(b)移植片をカテーテルに接続可能にすること;
(c)移植片は、抗菌剤、抗真菌剤、抗悪性腫瘍剤、抗血栓剤、抗毒素剤及び抗ウイルス剤から成る群から選択する少なくとも1つの薬理活性化合物を含む及びそれを徐放するよう構成すること;
(d)体腔を血管とし、体液を血液とすること;
(e)少なくとも1標的を、細胞及び細胞断片の個体群から選択し、該個体群は少なくとも部分的に癌性又は病原性感染していること;
(f)任意の更なるステップ(“発明の開示”のステップ“(B)”で記述した)及びステップ(C)を、上記少なくとも1部分に結合する少なくとも1標的に局所的に、少なくとも以下、即ち放射線、熱(高熱)、超音波処理、免疫治療、放射免疫療法、遺伝子治療又は制御した薬剤放出の1つを適用することにより実施すること;
(g)表面層の特異的モノクローナル抗体を再生及び(又は)添加するが、これを移植片だけでなく標的にも特異的に結合するよう構成したモノクローナル抗体を哺乳類に直接投与することにより、行うこと。
【0038】
上記の段落(f)では、放射線の照射を、任意の既知技術、例えば、外部放射装置から、又は放射性薬剤の投与又は生体内原位置での放射により、行ってもよい。
【0039】
当然ながら、本装置には、例えば、ポリマービーズ及び他の粒子(基材として)にストレプトアビジン及びビオチン化抗体を連続して付着させて利用することを含んでもよく、これは米国特許第6,074,827号と同様で、米国特許第6,514,688号の他、本発明に関連する表面官能基を有するラテックス小球に関する米国特許第5,795,719号、及び米国特許第4,582,810号(アビジン-ビオチン架橋を介してポリマーに付着する抗体を備える粒子について記述)でも参照されるが;これらは全て本発明での適用が認められる。
【0040】
当然ながら、既知の体外での使用とは対照的に、本例では、かかるビーズ又は粒子を、循環体液及びそれらの内容物のみを透過させる適当な膜内に安全に拘束する必要がある。
【0041】
本装置で使用する基材をポリマーとする場合、該基材を、米国特許第6,555,103号(上記参照)で記述したように、生体適合性があり、一般的に非生分解可能な既知の任意のポリマーから構成してもよい。このポリマー基材を、表面反応して抗体に、一般的な場合、1つ又は複数のリガンドを介して付着可能にする必要がある。本装置、実質的には基材は、生体内原位置、例えば血管内で、体液と半永久的に接触する目的で、互換性を有する任意の形状を有してもよい;典型的な形状としては:固い表面を有する又は有孔の中空管、リブで接続した中空リングから構成した管、又は円盤、ロッド、リング、螺旋体又は球体としてもよい、と考えられる。
【0042】
こうして使用するポリマー基材を一般的に非生分解性とするが、それでも、用途によっては生分解性を有用な特性としてもよく、その結果例えば上記の米国特許第4,950,258号で記述したような生分解性ポリマーが、現文脈では、勿論前述したように、それらの表面反応を行いリガンド及び(又は)抗体に付着する能力に依るが、有用であろう。
【0043】
本装置が主に体液内で循環する有害な実体を放出するよりはむしろ捕捉する(任意の追加的特徴を除いて)ことに関するという事実にもかかわらず、それでもなお生体適合性上の理由で、生体内原位置で使用して治療用物質を体内に放出する既知の装置もまた、本装置用基材として有用と現在考えられるが、この点に関しては、上記の米国特許第5,605,696号、米国特許第6,702,849号及び米国特許第5,800,828号の装置は特に関連する。
【0044】
本発明の移植片を、例えば上記の米国特許第5,324,519号及び米国特許第6,395,293号で記述したように、生体内原位置に形成することも可能である。
【0045】
他の箇所で記述したように、有害な抗原性の実体を捕捉した後、生体内原位置で局所的に適当に処理し、それによりかかる実体を破壊してもよい。別の方法では、回収可能な装置を採用して、これを体外で回収又は処理してもよい。類似の回収可能な本体については、例えば上記米国特許第5,800,516号及び米国特許第5,474,563号参照の先行技術で既知であり;かかる本体を本発明で使用するよう構成してもよい、と考えられる。
【0046】
同様に、例えば米国出願第2004-0176672号で記述するようなポリマーの他、(例えば)体液との接触を目的とする表面処理済ポリマーで、例えば米国特許第5,409,696号及び米国特許第6,638,728号で記述するようなものを含む診断用移植片が、本装置用基材として有用であろう。
【0047】
可能性としてまた、例えば米国特許第5,470,307号(化学的に治療剤をその外面で基材に結合させるカテーテルについて記述)のカテーテルを、本発明の目的用に構成することも考えられる。
【0048】
(発明を実施するための最良の形態)
成熟B細胞は、特定の抗体と結合する特異性の高い分子である抗原決定基によって特徴付けられる。CD-20はかかる抗原決定基であり、正常な成熟B細胞と悪性B細胞の両B細胞の外面に発現する。
【0049】
非ホジキンリンパ腫は、B細胞及びT細胞で発達する一般的な癌であり;米国だけで、2003年には53,000人がこの種のリンパ腫と診断された。
【0050】
非ホジキンリンパ腫は通常、B細胞リンパ球の異常な増殖によって特徴付けられるが、これは生命を脅かす状態という事実に加えて、以下の症状を引き起こす:貧血症、リンパ節の腫れ、脱力感及び嘔吐。現在用いられている治療法は、化学療法と放射線療法を疾病の進行状況により組合せるものである。放射線療法では、様々な種類のリンパ球を含む白血球が集中して存在する部位を含む主要リンパ節の幾つかに集中して行う。この分野で行われた膨大な研究に基づく科学的進歩により、次第により正確な治療を、用いる投薬量を低減させながら、提供できるようになった。しかしながら、放射線療法は、リンパ節で癌細胞を攻撃する一方で、そのリンパ節に存在する多数の他の種類の血液細胞も破壊してしまう。この重要な不利点のために、免疫系が混乱し、その主要構成要素を破壊してしまう。その上、放射線療法では成熟細胞の他にまだ最終的に分化していない幼若細胞も攻撃してしまう。たとえ疾病状況が悪化しても、全てのリンパ節に同時に照射できるというわけではない;そうすることで、免疫系が機能停止しているため、生命を脅かす疾病に罹り易くなる。
【0051】
本発明には、とりわけ循環血液、例えば循環リンパ液中のB細胞等の感染細胞を含む、特定の細胞個体群を固定するよう構成する移植片を含む。本装置を、所定の容易に追跡できる部位に取付ける。これらの機能を、B細胞個体群集中部位に提供する。同装置では、B細胞のかなりの部分を全血から分離する。抗体を含む同装置を、“捕捉領域”と呼んでもよい。
【0052】
この捕捉部に照射すると、結合したB細胞を除去するため、その結果今日癌クリニックや病院で実施されているより大幅に特異的な放射線療法が提供できる。本装置には、CD-20抗体、好適にはビオチン-アビジン結合を含有するビオチン化抗体を含み、それにより高い結合親和性オプションを提供して特定の細胞を結合及び単離する表面層と、ストレプトアビジン分子及びこれらCD20抗体を含有する基材、特にポリマー基材とを有する。
【0053】
本発明の移植片及び方法を使用して、少なくとも転移細胞の個体群を大幅に減少させ、特定細胞の増殖活動を抑制できると、現在考えられる。
【0054】
本装置を、カテーテルに接続し、小動脈又は大静脈に挿入するよう設計してもよい。同装置を好適には非生分解可能なポリマー製とし、これにCD-20抗体を、好適にはちょうど列挙した方法で、付着させてもよい。
【0055】
本発明の移植片についての概略実施形態を図1に示すが、同図では参考となる特徴を一定の縮尺で描いている。この例示的装置では、ステント状装置14の内壁12(その周壁の一部を切り開いて説明目的で示す)を示しており、該装置を例えば、適当なポリマーから作製してもよい。内壁12に付着させ、循環血液又はリンパ液等の体液に曝すのを、多数のモノクローナル抗体とし、該抗体を代標的な単一の抗体6として(極めて大きく拡大して)説明するように、これを付着させている。抗体6を、ビオチン4及びアビジン又はストレプトアビジン2で構成するリガンドを介して、壁12に付着させる。要素14-2-4-6を組合せ(これらを、好適には互いに共有結合で付着させ)て、本発明の移植片についての実施形態を示している。この説明図でのモノクローナル抗体6は、細胞10の外面にある抗原決定基8に特異的であり、その結果図面で示すように該抗原決定基を捕捉する。
【0056】
本発明について、以下の非限定的な実施例により説明する。
【0057】
実施例
PSA(ブタ血清アルブミン)10%溶液中で、pH7.8で、抗CD20抗体溶液0.25mg/mlを等量のイタコン酸無水物と反応させ、次にその生成物をその重量の約20倍のN-イソプロピルアクリルアミドと共重合させる。コンジュゲートしたイタコン酸残留物は、従ってリガンドとして機能して、基材の一部ともなる。結果として生じる共重合体を、第2ポリマー、例えばポリ(エチレングリコール)、ポリ(ビニルピロリドン)又は(及び)ポリ(ビニルアルコール)と混合して、必要に応じて加熱してゲル化させ、管10cm×5mmに形成した。別の手順では、該第2ポリマーに相当する1つ又は複数のモノマーを、共重合反応に用いてもよい。
【0058】
この管を、0.9%(NaCl)生理食塩水で慎重に洗浄する。同管を、カテーテルを使用してブタ静脈に24時間挿入しておく。血液試料を30分毎に採取し、白血球(WBC)血算を行い、炎症をモニターする。血液中のB細胞数を、FACS分析を使って評価する。この期間後、カテーテルを取外してもよい。
【0059】
(発明の効果)
本発明では治療のための安全な方法を、既に評価されている技術に基づき、危険な完全な放射線療法技術の代わりに提供し、その結果治療に関する全く新しい展望を開くものである。特に、放射線治療を、本事例では、身体の局部、望ましくは放射線による損傷を受け易い器官から離れた予め選択した領域で、広義のリンパ節領域に照射するより危険な方法の代わりに、集中してこれを行う、或は別の方法として、体外で実施してもよい。従って、患者の完全回復に関する見通しを大いに改善できると確信する。
【0060】
我々の新技術は特に、例えば、悪性細胞を含む成熟細胞個体群を排他的に標的にしており、他の細胞に僅かな悪影響を与えるだけある。この種の治療により、WBC(白血球)個体群全体に与える必要以上のストレスを軽減できる。
【0061】
他の効果として:組織の損傷及び炎症の軽減等の副作用を低減すること、及び免疫抑制又は免疫系に対するその他の害が殆ど或は全くないこと;操作が比較的単純であること等-治療の効率を向上させ、比較的費用が低いこと、が挙げられる。
【0062】
本発明について特定の実施例に関して、本発明を実施するのに現時点での好適な態様を挙げながら記述してきたが、当業者は、変更及び置換してもなお本発明の精神及び範囲内となる多数の可能な変形例及び置換えが存在するものと理解するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の移植片に関する1実施例について説明している。
【符号の説明】
【0064】
2 ストレプトアビジン
4 ビオチン
6 抗体
8 抗原決定基
10 細胞
12 内壁
14 ステント状装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
体液中に存在する少なくとも既知の1標的に特異的に結合する抗体及びその断片から選択する少なくとも1部分の使用であって、前記標的を、少なくとも部分的に癌性又は病原性感染している細胞及び細胞断片を含む、病原因子、抗原及び抗原決定基から、薬剤を製造する際に、選択して、前記少なくとも既知の1標的に関連する疾病を治療すること、及び哺乳類の体腔に挿入するのに適する移植片を含み、選択的に前記少なくとも既知の1標的を体液から除去して前記移植片上に固定し、該移植片には、生物学的に適合する基材を備え、該基材に前記少なくとも1部分をリガンドによって結合させること、を特徴とする使用。
【請求項2】
前記部分を、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、合成抗体、抗原親和性合成断片、それらの抗原親和性を保持する抗体断片、Fv抗体断片、放射能標識抗体及びビオチン化抗体から選択すること、を特徴とする請求項1に記載の使用。
【請求項3】
以下の特徴:
(a)前記少なくとも1標的を、抗原及び抗原決定基を備える実体から選択し、前記少なくとも1部分を、前記少なくとも1標的に特異的なモノクローナル抗体から選択すること;
(b)前記移植片を、カテーテルに接続可能とすること;
(c)前記移植片は、抗菌剤、抗真菌剤、抗悪性腫瘍剤、抗血栓剤、抗毒素剤及び抗ウイルス剤から成る群から選択する少なくとも1つの薬理活性化合物を含み、それを徐放するよう構成すること;
(d)前記体腔を血管とし、前記体液を血液とすること;
(e)前記少なくとも1標的を、少なくとも部分的に癌性又は病原性感染している細胞及び細胞断片の個体群から選択すること、
の少なくとも1つにより更に特徴付けられる請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
以下の特徴:
(i)前記基材を、天然及び合成ポリマー、セラミック、ガラス、金属、金属酸化物及び繊維成形物から選択すること;
(ii)前記少なくとも1標的を、例えば成熟B細胞及びT細胞等の癌化した細胞から選択すること、
の少なくとも1つにより更に特徴付けられる請求項3に記載の使用。
【請求項5】
以下の特徴:前記リガンドには、アビジン、ビオチン、ストレプトアビジン及びそれらの類似体から選択する少なくとも1物質を備え;及び(又は)前記モノクローナル抗体は、B-又はT-細胞抗原決定基と特異的に結合すること、の少なくとも1つにより更に特徴付けられる請求項4に記載の使用。
【請求項6】
哺乳類の体腔に挿入し、少なくとも部分的に癌性又は病原性感染している細胞及び細胞断片を含む病原因子、抗原及び抗原決定基から選択する少なくとも既知の1標的を、選択的に体液から除去し、前記移植片上で固定するよう構成する移植片であって、前記移植片には、前記少なくとも既知の1標的に特異的に結合する抗体及び抗体断片から選択する少なくとも1部分を含む表面層を備え、前記移植片には、生物学的に適合した基材を備え、該基材に前記少なくとも1部分を前記表面層でリガンドにより結合させること、を特徴とする移植片。
【請求項7】
前記部分を、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、合成抗体、抗原親和性合成断片、それらの抗原親和性を保持する抗体断片、Fv抗体断片、放射能標識抗体及びビオチン化抗体から選択すること、を特徴とする請求項6に記載の移植片。
【請求項8】
以下の特徴:
(a)前記少なくとも1標的を、抗原及び抗原決定基を備える実体から選択し、前記少なくとも1部分を、前記少なくとも1標的に特異的なモノクローナル抗体から選択すること;
(b)前記移植片には、カテーテルに接続する装置を含むこと;
(c)前記移植片は、抗菌剤、抗真菌剤、抗悪性腫瘍剤、抗血栓剤、抗毒素剤及び抗ウイルス剤から成る群から選択する少なくとも1つの薬理活性化合物を含み、それを徐放するよう構成すること、
の少なくとも1つにより更に特徴付けられる請求項6又は7に記載の移植片。
【請求項9】
前記基材を、天然及び合成ポリマー、セラミック、ガラス、金属、金属酸化物及び繊維成形物から選択すること、を特徴とする請求項8に記載の移植片。
【請求項10】
以下の特徴:
(a)前記リガンドには、アビジン、ビオチン、ストレプトアビジン及びそれらの類似体から選択する少なくとも1物質を備えること;
(b)前記モノクローナル抗体は、B-又はT-細胞抗原決定基と特異的に結合すること、
の少なくとも1つにより更に特徴付けられる請求項9に記載の移植片。
【請求項11】
生体内原位置で哺乳類の体液から、少なくとも1つの既知の標的を選択的に除去する方法であって、該方法には以下のステップ(A)及び(B)又は(C)の何れかを備えること、即ち:
(A)前記哺乳類の体腔に存在する前記体液に、前記体腔に挿入した移植片を曝すことであって、前記移植片には、前記少なくとも既知の1標的に特異的に結合して、それらを固定する少なくとも1部分を含む表面層を備え、前記移植片には、生物学的に適合する基材を備え、該基材に前記少なくとも1部分をリガンドによって前記表面層で結合させるステップ;及び所定の時間間隔をおいて後、
(B)前記哺乳類の体腔から、前記少なくとも1部分に結合する前記少なくとも1標的を含む移植片を除去し、任意の更なるステップでは体外で前記少なくとも1部分に結合した前記少なくとも1標的を破壊するステップ;又は
(C)生体内原位置で前記少なくとも1部分に結合した前記少なくとも1標的を破壊するステップの何れかを備えること、を特徴とする方法。
【請求項12】
前記部分を、タンパク質、ポリペプチド又はその断片、抗体又はその断片、炭水化物(多糖を含む)、ホルモン類、酸化防止剤、糖タンパク質、リポタンパク質、脂質、脂溶性ビタミン、胆汁酸、反応染料、アラントイン、尿酸、ポリミキシン、核酸分子(DNA、RNA、それらの一本鎖、二本鎖、三本鎖又はそれらの組合せ)、又はそれらの組合せから選択すること、を特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記部分を、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、合成抗体、抗原親和性合成断片、それらの抗原親和性を保持する抗体断片、Fv抗体断片、放射能標識抗体及びビオチン化抗体から選択すること、を特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項14】
以下の特徴:
(a)前記少なくとも1標的を、抗原及び抗原決定基を備える実体から選択し、前記少なくとも1部分を、前記少なくとも1標的に特異的なモノクローナル抗体から選択すること;
(b)前記移植片をカテーテルに接続可能にすること;
(c)前記移植片は、抗菌剤、抗真菌剤、抗悪性腫瘍剤、抗血栓剤、抗毒素剤及び抗ウイルス剤から成る群から選択する少なくとも1つの薬理活性化合物を含み、それを徐放するよう構成すること、
(d)前記体腔を血管とし、前記体液を血液とすること;
(e)前記少なくとも1標的を、少なくとも部分的に癌性又は病原性感染している細胞及び細胞断片の個体群から選択すること、
(f)前記任意の更なるステップ及び前記ステップ(C)を、前記少なくとも1部分に結合する少なくとも1標的に局所的に、少なくとも以下、即ち放射線、熱(高熱)、超音波処理、免疫治療、放射免疫療法、遺伝子治療又は制御した薬剤放出の1つを適用することにより実施すること;
(g)表面層の特異的モノクローナル抗体を、移植片だけでなく標的にも特異的に結合するよう構成したモノクローナル抗体を哺乳類に直接投与することにより、再生及び(又は)添加すること、
の少なくとも1つにより更に特徴付けられる請求項11乃至13の何れか1項に記載の方法。
【請求項15】
以下の特徴:
(i)前記基材を、天然及び合成ポリマー、セラミック、ガラス、金属、金属酸化物及び繊維成形物から選択すること;
(ii)前記少なくとも1標的を、成熟B細胞及びT細胞等の癌化した細胞から選択すること;
(iii)前記直接投与したモノクローナル抗体には結合リガンドを含むこと;
の少なくとも1つにより更に特徴付けられる請求項14に記載の方法。
【請求項16】
以下の特徴:前記リガンドには、アビジン、ビオチン、ストレプトアビジン及びそれらの類似体から選択する少なくとも1物質を備えること;及び(又は) 前記モノクローナル抗体は、B-又はT-細胞抗原決定基と特異的に結合すること、
の少なくとも1つにより更に特徴付けられる請求項15に記載の方法

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2008−520330(P2008−520330A)
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−542501(P2007−542501)
【出願日】平成17年11月15日(2005.11.15)
【国際出願番号】PCT/IL2005/001204
【国際公開番号】WO2006/054289
【国際公開日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(507160481)
【出願人】(507160492)
【Fターム(参考)】